定年までに知って得するお金の話

知っているだけで得する情報はたくさんあります。これまでの取材や自分の経験で知りえた、得するお金の情報を、カテゴリーごとに、わかりやすく、紹介していきたいと思っています。また、国や地方などでつくっている公的制度を知り、上手に利用することは大切です。しっかりと確認していきましょう。自己紹介:ファイナンシャルプランナー(CFP認定者、1級FP技能士)。大手金融機関に入社。営業、企画、総務部門をはじめ、支社長、支店長、理事(執行役員待遇)などを経験。現在、お金に関することをテーマに、執筆・監修・相談・講演活動などを中心に積極的に取り組んでいる。他、DCプランナー、証券外務員などの20資格を取得。

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<国債>
・銀行や証券会社の窓口で購入できる「個人向け国債」は1万円からという手軽さに加え、国が発行しており、事実上元本割れしない安心感から人気を集めます。
・個人向け国債は、0.05%の最低金利保証があります。個人向け国債は、金利タイプと期間によって「固定3年」、「固定5年」と、「変動10年」がありますが、低金利水準の現在では、今後の金利上昇局面に期待が持てるので「変動10年」が注目を集めています。
<社債>
・企業が資金調達する際に発行するものです。株と異なり株価上昇による値上がり益や配当金は得られませんが、その企業が倒産さえしなければ、設定された利子が定期的に受け取れるほか、売却時には社債の価格上昇による利益も得られる可能性もあります。また、情感期限を迎えると購入金額が全額返ってきます。
(例)ソフトバンクグループが、2017年3月に2.03%、2018年6月に1.57%、2019年4月に1.64%という利率で、社債を公募しました。
社債の購入を検討する場合、発行元企業の健全性が注目されることが多いです。しかし、そもそも、社債を発行できるだけの体力があるという時点で、その企業の破綻リスクは限りなくゼロと考えていいのではないかと思われます。
大きなリターンは狙いにくいかもしれませんが、リスクを極限まで抑えた投資先として、これらを検討する価値はあるかと思われます。

<国民年金基金のデメリットとリスク>
1.国民年金基金にはインフレリスクに対応できない
・国民年金基金は、利率が決まっているがゆえに、貨幣価値の変動に対応できない、というデメリットがあります。
・例えば、インフレになった際には、その金額で買えるものが少なくなり、実質的な年金額が目減りする可能性があるのです。
2.付加年金が利用できなくなる
・国民年金基金に加入すると、付加年金の利用ができなくなります。付加年金とは、国民年金の人だけが利用できる制度です。国民年金に月400円上乗せして支払うことで、将来受け取ることができる年金がアップするというものです。
・具体的には、月400円を20年、合計9万6000円支払うと、年間4万8000円年金が上乗せされます。つまり、年金を受け取り始めてから2年で元が取れる、というお得な制度です。
・国民年金の人で、付加年金を利用している人の場合、国民年金基金に加入したことで付加年金をやめなくてはいけないことは大きなデメリットと言えます。
3.現在の利率は1.5%と低い
・国民年金基金の利率は、将来にわたり固定されています。しかし、全ての加入者が同じ利率ではありません。加入するタイミングや年齢、性別によっても利率が異なるのです。
・国民年金基金がスタートした平成3年の予定利率は、5.5%でしたが、この予定利率は下がり続けており、平成26年以降は1.5%になっています。つまり、平成3年に加入した人は、今年拠出したお金も、今後拠出するお金も5.5%の年金を受け取れる一方、今年加入した人は、今年も今後も1.5%の利率が適用されるというものです。
・国民年金基金は、加入者の拠出金を運用しています。そして、運用成績に関わらず支給額を保障しています。言い換えれば、加入者に約束した利率は、実際の運用実績を上回ってしまう可能性があり、そのリスクは基金が負っています。つまり、現在運用がうまくいっていなくても、一定の受給者に対し5.5%の利率で支払いを行っており、それが今後も続くのです。
・実際の利回りが低かったことや受給者の増加から、数年前には、国民年金基金の積立不足が新聞に取り上げられたこともあり、不安定要素もあります。そして、新規の加入者は、さらに年々減少傾向にあるのも現実です。
・ただし、基本的にiDeCoでも元本割れの可能性があります。それを考えると、自分で商品を選ばなくてはいけないiDeCoよりも任せることができる国民年金基金の方がよいという人もいると思います。
・iDeCoも国民年金基金も、最大81万6000円が所得控除の対象となる制度です。そして、両者の最大の違いは、自分で運用を考えるか全て任せるか、という点です。iDeCoと国民年金基金は併用もできます。両者のリスクもしっかり把握したうえで、枠の半分は自分で運用を考えて、半分は国民年金基金のお任せ、といった利用もできるのです。
・国民年金基金はiDeCo同様、節税メリットがあります。一方、iDeCoとは異なり、拠出時に将来受け取る金額が決まっています。現在は予定利率1.5%と低いながら、一定の利益が約束されているとも考えられます。ただし、インフレリスクに対応できないなどのデメリットもあります。
・細かな設計により、受取時期・金額なども変わってくるため、一概にiDeCoとどちらがいいかは言えません。節税をしながら将来の準備資金を、と考える場合には、iDeCoも国民年金基金も選択肢に入ってきます。

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