1対3〜5人位の個別指導塾で教えていたある大学生のアルバイト講師。

 その日に受け持つ生徒の名前や学習範囲の情報は何もない。

 「中学生を3人担当してくれ」という情報は塾に入ってから分かる。

 3人の科目はバラバラ。

 「中1の数学と理科の生徒、中3の国語と英語の生徒、中2の英語と数学の生徒」などという組み合わせも珍しいことではない。

 しかもそれぞれ今学習している範囲は別。

 学習塾で使用しているテキストを授業の直前に目を通して指導に入る。

 板書の授業でない分まだ良いが、いくら高校・大学受験を通り抜けてきた大学生だとしても、その日の内容を突然知らされてささっと目を通しただけの状態でまともに授業をやるというのは(少なくとも私にとっては)至難の技。

 今、振り返ってみると、本当に受験勉強が身に付いている大学生講師は、そういったある種ジャズのアドリブような授業をこなせるべきなのかもしれない。

 そう考えると私の塾講師としてのレベルは大変お粗末なものであり(暴露話になってしまいました)、生徒さんには申し訳ないことをしたなと思ったことがある。

 夏期講習が終わり、そこから通常の授業を受けることにした方もおられることでしょう。

 チラシやホームページ、体験入塾や教室長・塾長の話では、信頼できる学力や指導力を備えた講師陣がそろっていると思ってしまう。

 だが、塾講師という職業を本職にしていない大学生やフリーターのアルバイトに(大変申し訳ないが)、「プロ講師」としての資質を求めるのは残念ながら難しい。

 塾ではスーツを着て、「〜大学在学中の○○先生」と格好良く立っているが、社会人としての職業経験のない大学生に、しかも大学の授業や就職活動を抱えながらやっている大学生に、子供の将来を任せることは(私が親ならば)出来ない。

 所詮はアルバイト。

 学習塾は授業料を安くおさえるために、講師全員を正社員にすることはしない。

 学校の先生を目指している大学生ばかりが塾講師をやる訳ではない。

 居酒屋で働くよりも時給が良く、肉体労働できつい思いをしなくても良い、これまで勉強してきた知識を多少使えるかなという考えで塾講師をやる大学生だって決して少なくない。

 学習塾の内部にいた者としては、「こんな兄ちゃん姉ちゃんに自分の子供の将来の一部を託すなんて怖くて出来ない」。

 そう思ってしまう。

 自分が子供の学習塾選びをする時は、かなり突っ込んだ質問を教室長・塾長にすると思う。

 そこの教室長・塾長がどういう基準でその大学生を講師として採用したのか?
 体験入塾で受け持ってもらった先生ではなく、実際に入塾した後に受け持つ先生は誰なのか?
 大学生やフリーターの講師は、その学習塾の方針や考え方をどれくらい理解して授業に取り組んでいるのか?

 大学生でもきちんと事前の授業研究(予習)と授業後の反省をやっているのか、やらせているのか?

 生徒の年間目標をきちんと理解した上で毎回の授業に取り組んでいるのか?
 曜日によって講師が変わることがあると思うが、講師間での連絡・連携はきちんと出来ているか?

 最終的な責任者は教室長なり塾長であるが、教室長自体が教育事業に熱心かどうかも特に確認しておくべきだ。

 全国的に教室数を増やしている学習塾の中には、起業の雑誌に毎回のように「学習塾のオーナー募集」の広告が出ているところもある。

 教育に情熱を持っている人であれば良いが、単にサラリーマン生活が嫌になったという理由で加盟金を払って適当に本部に言われるがままの状態で塾を運営している教室長だって決してすくなくないはずだ。

 もっとも、そういう教室長は話をしていくうちにどんどん化けの皮が剥がれていく。

 サラリーマン根性丸出しのいい加減な教室長も決して少なくない。

 だから、上記のような「理屈っぽい質問」をたくさんすべきだ。

 本当に教育に情熱をもった先生であれば、そういった質問は歓迎されると思う。

 信念や熱い想いをたくさん語る先生であれば、子供を預けることを真剣に考えても良いのではないか。

 そう考えると、全国的に名の通ったチェーン店方式の学習塾よりは、その地域にせいぜい2〜3教室位のこじんまりとした学習塾の方が、親身になって指導してくれる印象がある。

 自分自身の情けなさを棚にあげて良くもそんなことが言えたものだと、我ながら恥ずかしいが、消費者の立場になって子供の将来がかかっていると思うと、中途半端な先生に担当してもらいたくはないし、1年なら1年でいいから責任をもって携わってほしい。

 次に私自身が教壇に立つことがあるとしたら、過去のふがいなさを反省した上で、ここに書いた気持ちを忘れずにやる。

 自分自身への戒めをこめてー。