April 28, 2009

スクラップヘヴン

スクラップヘヴン


「拳には拳を、世の中には想像力を。だろ?」

李相日監督。
オダギリジョー・加瀬亮・栗山千明・柄本明。

交番勤務から地道に点数を稼ぎ、やっと刑事になれたサエない警察官・シンゴ(加瀬亮)。
いつの日か手柄を立てて花形の捜査1課へ。 そんな夢を見る。

ある日訪れる、シンゴが夢に見た理想のシチュエーション。 

深夜、シンゴが乗ったバスで起こるバズジャック事件。

拳銃を持つ犯人。そこに乗り合わせた3人。
シンゴもその内の1人。
ここで、活躍すれば大手柄・・・。

だが、何も出来なかった。

目の前で人が打たれても、絶好のチャンスがあっても、犯人が自殺するまで、何も。

その日から、シンゴは警察の中でクズ扱いを受ける。
いつ終わるか分からない、モヤモヤとストレスだけが溜まる何もない日常。

そんな時、シンゴはバスジャックで一緒に人質になった男・テツ(オダギリジョー)と再会する。

「世の中には想像力が足りないと思わないか?」

酔っ払い、ウダウダと愚痴をこぼすシンゴにテツが持ちかける「復讐代行屋」の話。

公衆便所に書かれた復讐屋への依頼方法。
本気とは思えない落書きに1人、また1人と依頼者が訪れる。

シンゴとテツの冗談の様な、悪戯とも犯罪ともつかない復讐の代行。
常識に拘束されてきたシンゴは、自分を解放していく犯罪スレスレの行為に陶酔していく。

2人なら何でも出来る。 信じられない程の無敵感。

復讐の内容は、過激に、危険にエスカレートし、コントロールを失っていく。
加速していくテツは、シンゴのキャパシティを超えていく。
2人の行動が想像もしなかった他人を傷つけていく。

少しだけ狂った歯車が、噛み合う歯車を回し、その歯車が他の歯車を壊していく。

止まりたい。止まれない。
戻りたい。戻れない。

今ならまだ間に合う・・・。 
狂いだした世界に恐怖し、シンゴが立ち止まろうとした時、もう歯車は止まらなかった。


なんてロック!!

いや、ロックなのか、パンクなのか、ファンクなのか。そんなのワカンネェけど、これだけは分かる。この映画、カッコ良い。

破滅と紙一重の2人の疾走。刹那的な、でも確かに生を感じる瞬間。その自由。


その1つひとつを切り出せば、まるでアートかと思うほどの映像の格好良さ。
想像を越えていく展開。
選び抜かれたセリフ。
そして、狂っていくオダギリジョーと加瀬亮の儚さと強さ。

ひとなつっこいオダギリジョーの笑顔が底知れない狂気を感じさせる。
狂っていく自分の世界に酔い、興奮しながら、それでいながら立ち止まりたい、引き返したいともがく加瀬亮。

話を要約すると、救いの無いストーリーと救いの無い結末。
なのに、何故か解放を感じる。自由を感じる。

バカをして、堕ちていく2人の男。そして、シーンは少ないながらも、2人の進む道に重要な意味を持つサキ(栗山千明)

そして、話を夢物語でなく、現実を突き付ける先輩刑事に柄本明の毒のある役。


くわー。後悔する。こんな映画を観ていなかったなんて。


最終評価 A


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know_the_base at 23:02│Comments(0)TrackBack(0) 2009年に観た映画 | 映画 さ行

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