September 29, 2012

憑物語

よつぎドール


いつまでも続く。
そんな贅沢がこの世に存在するわけがないということを、僕は知るべきだった

「対価は支払わなくちゃいけないでしょう。」

阿良々木暦という人間が、阿良々木暦という僕が。
終わり始まる物語だ。



憑物語
講談社BOX  西尾維新 著  VOFAN イラスト

「よつぎドール」収録

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あらすじ

「恋物語」から1ヵ月ほど。
2月13日バレンタインデー前日、そして、大学入試まで丁度1ヵ月。

正に受験勉強が正念場を迎えた冬の朝。
阿良々木暦はいつものように妹の火憐と月火に叩き起こされ、目覚めた。
いつものように軽口を叩きながら、いつものようにふざけあいながら、いつものように心では感謝しながら、目覚めた。

だが、そのいつも通りの朝、暦は自分の体に起こった致命的な変化に気付く。

鏡に映らない。

それは、吸血鬼の顕著たる特徴のひとつ。

自分の影にかつて伝説の吸血鬼だった、怪異の王の搾り滓である忍野忍を宿し。
その身にもかつて忍の眷属として吸血鬼だった名残を残す阿良々木暦。

猫、蟹、蝸牛、猿、蛇、蜂、不如帰。

彼は、中途半端とはいえ怪異の王たる吸血鬼の力を使って、様々な怪異と、時に人間と、そして神とさえ対峙してきた。
あまりにもその力に頼りすぎ、使いすぎ、慣れすぎた暦の体は、今、吸血鬼に変わろうとしていた。

これまで目を瞑って見ない様にしてきた全てを、清算する時が近付いていた。

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「物語」シリーズの最終章3部作。
その第1巻「憑物語」です。
ファイナルシーズンはそれらしく語り部も主人公の阿良々木君に戻りました。

様々な語り部たちによって語られてきた「物語」たちは、第1部である「化物語」「傷物語」「偽物語」で広がった、阿良々木ハーレム呼ばれた登場人物たちの都合の良い人間関係や、決着の曖昧さに本当の意味での決着を付けてきた。

告白しないままに自分の気持ちを押し殺そうとした羽川翼には、失恋の痛みを。
怪異としての存在意義を失ったまま彷徨う八九寺真宵には、成仏を。
周囲の見る自分と、自分の見る自分の差の間で過去を抱えたまま立ち尽くしていた神原駿河には、成長を。
片想いに片想いしていた千石撫子には、現実を。

それぞれに痛みを伴いながら語られる幾つもの「物語」。
その中で、曖昧さが生み出していた都合の良い人間関係は整理され、曖昧さの為に縛られていた人たちが解放されていった。

曖昧さ、言い換えれば、優しさ。
だが、そんなぬるま湯に、いつまでも浸かり続けることは許されない。

そして、この最終章で解放されるのは、阿良々木暦と忍野忍。
2人が綱渡りのように紡いできた、最も曖昧で、信頼と優しさに頼りきった儚い絆。
だか、それはあまりにも中途半端な決着の上にあった。

果たして、この2人にどんな決着が待つのか。
期待と、不安が入り混じる序章でした。


さて、そんな整理ばかりで減っていく登場人物の中、今回から式神であり付喪神でもある童女・斧乃木余接がメインに躍り出てきました。
「よつぎドール」のサブタイトルに負けない登場時間(行数?)と活躍をみせます。
そして余接の過去が語られることで、阿良々木君と関わってきた怪異の専門家たち、忍野メメ、貝木泥舟、影縫余弦、臥煙伊豆湖、彼らの過去も少しずつ明らかになってきます。

この最終章、今後のキーになるのは、やはり忍野メメ・・・。
あの見透かしたアロハ男の再登場が楽しみすぎる。


と、まぁ、そんな風に真面目に書いてはみましたが・・・・。

前半の部分は「雑談が本編。」と言っても良いこのシリーズのテイスト充分。

妹の月火とお風呂とか。
シャンプーしてもらうとか。シャンプーしてあげるとか。
「わかった。いいよ、お兄ちゃん。」とか。

なんだコノ、偽物語(下)の歯磨きシーンに勝るとも劣らない内容はっ!!

ノリだけかっ! この兄妹はノリだけでコレかっ!!

本筋に入るまでが長いよ。本筋に入るまでに80ページあるよ。
目覚まし時計への文句に7ページ半、妹との入浴に至っては33ページあるからっ!!

277ページしかないのにっ!!

でも、そこが楽しくて仕方ないファン心理。むー。
これがねー、また作者を甘やかしているんでしょうけどねー。

まぁ、読者が楽しいって言ってんだから、仕方なし。

そして今回も、満足、満足。



「西尾維新祭の応募券が3枚になりまちたね。でも、応募したいのは5枚のヤツなのを知っているでしゅ。」

「うん。あと2枚をどうやって1ヵ月で入手するか。それが問題だ・・・。」

「応募して抽選に外れたときのダメージが楽しみでしゅ。」



know_the_base at 21:34│Comments(0)TrackBack(0) 物語シリーズ関連 | 楽しい本

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