February 27, 2013

急性大動脈解離・闘病記 その4 CCUでの2週間

自分自身、整理しておきたくて手を付けたこの闘病記。
でも、やっぱり、というか、当然、コレは当時のコトを思い出す作業。
なるべく正確に虚飾なく、を、心がけておりますが、まだ当時の気持ちに引っ張られてしまう部分もあるようです。

それは、まだナカナカにベビーだったりもするのです。
それでも、整理と名を借りて吐き出してしまいたい自分も居る。

今しばし、この長編記録にお付き合い頂ければ幸いです。


さて、「急性大動脈解離・闘病記」の続きです。

発生2日目に手術を回避した僕の治療方針は、ひとつになりました。

「血圧を下げ、安静を維持し、裂けてしまった血管が安定するのを待つ。」
要するに、ただひたすらに動かないで時間が過ぎるのを待つワケです。

まぁ、そうは言っても、単にずーーーっとベッドに寝ているワケではありません。

自己判断で動いていいレベルを「安静度」と言います。
ベッド上で絶対安静を起点として、ベッドを60度まで起こして良い、や、90度までOK、ソレが可能になったら自分で座って良い。等々。
一段階進めては、始めは5〜10分程度の維持をして、少しづつ維持の時間を延ばし、で、また次の段階へ。
そうやって安静度のレベルを徐々に上げていき、最終的に歩いて帰るレベルに達したら退院と相成るワケです。

一段階進むのに、2〜3日。
段階が進む前後には血圧の測定やら、CTやらで異常が起きないかを確認しながら。
ゆっくり、万全を期して進む安静度。
結局、CCUを出れる(自分で座れる)安静度になるまでに2週間の時間が必要でした。

このCCUを出るまでの2週間は煉獄。
何がツライかと言い出せば、痛い、動けない、咳痰、寝れない、食事マズいとキリがない。

昼夜を問わずに大声を出し、唯我独尊を通すことコトがアイデンティティになってる爺さんが隣のベッドになったり。

大きい方を出す時の「差し込み便器」ってのも、精神的にも肉体的にもキツかったな。
まず、患者にとって生活空間であるベッド上で大きい方をする精神的ダメージは特大。
その作業は、イキまない為(血圧を上げない為)にどうしても時間が掛かってしまうのだけれど、差し込み便器のヘリが案外鋭く肉に食い込むコトとか。
慣れない時は、最長で3時間強くらい差し込み便器の上にいた・・・とか。
失敗してシーツを汚してしまったとか。
アレは本当に嫌だった。

ただ、どれが特記してツライとかじゃなく、全部ツラい。
生きるコトが、そのまま修行。そのまま試練のようでした。

でも、このCCU期間は、ある意味で救いのある日々でもありました。
毎日、何かひとつは改善や治療の進行などがある。

今日は、もう水を飲んで良いですよ。
今日は、超強力鎮痛剤を止めましょう。
今日は、60度までベッドアップしてみましょう。
今日は、食事を出してみましょう。
今日は。
今日は。

1日一歩でも、改善がある。
まぁ、三歩進んで二歩下がるの世界ではあるものの、自分が治っていく実感を得られるコトが嬉しかった。

多少の救いはある、希望は見える、でも、地獄。
ゆえに、CCUは煉獄。


ただ、命に関わる緊急の時期を過ぎ、徐々に身体の回復が得られるようになってきたこの頃から、精神の方にダメージを負いだしたのも忘れられません。

CCUの期間は、夜にとにかく寝られない。
そもそも寝られる環境ではないんです。

午前中は、検査や食事、清潔作業などをしていると終わる。
午後は、昼食後に少し待てば面会時間になり、嫁様が来てくれる。
その後も家族が入れ替わりながら、面会時間ギリギリまで誰かが居てくれるので、午後8時の面会時間終了までは、あまり暗いコトを考えずに済む。

ただ、そこから朝までの10時間は、たった独り、身じろぎもせずに天井を眺める時間。

「この先、自分はどうなるんだろうか?」
「仕事への復帰は、本当に出来るのか?」
「自分の身体はどれくらい保つのだろう?」

延々と繰り返しの続く、自分との対話。
その中で生まれた、もうひとりの自分・虚無。

心の闇から生まれた虚無が現れた夜は、最悪。
自分の不安や恐怖が、ノーガードの心の柔らかい所を切り裂いていく。

虚無から逃げよう、寝ようと試み、ウトウトすると、定時の血圧測定で起こされる。このツラさ。

まぁ、実際は半分くらいはウトウトしてたんでしょうが、体感時間的に夜はとにかく長かった。


肉体的には、一歩ずつ回復と希望があり。
精神的には、一歩ずつ病んでいく。

CCUは、そんな2週間でした。

2013,1,10
でも、そんな日々も終わり、一般病棟へ移る日が来ました。


「急性大動脈解離・闘病記 その5 一般病棟へ、そして胃腸炎」へ



「そう言えば、年越しもCCUのベッドの上だったな。」

「何の感動も感慨もない年越しでしたか?」

「いや、2013年の目標が定まった夜だったよ。「必ず日常に帰り、社会復帰する。」ってね。」

「え?目標、ココで発表? しかもフツーっすね。つまんね。」

「この目標にそんなコト言うのは、君くらいだよ。虚無君。」



know_the_base at 21:46│Comments(0)TrackBack(0) 日記 | 療養生活

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