November 04, 2019
これは経費で落ちません! 経理部の森若さん3
これは経費で落ちません! 経理部の森若さん3
集英社オレンジ文庫
青木裕子 著
森若沙名子、28歳。
良くも悪くも昔ながらの情緒的部分を残した業界中堅企業の天天コーポレーションの経理で働いて6年。
きっちりした労働と、適正な給料。
彼女のスタンスは、フェアではなくイーブン。
仕事とプライベートをきっちり分け、完璧にコントロールした日常ときっちりこなす仕事のバランスをとって生きてきた。
だが、そんな沙名子に想いを寄せる営業の山田太陽の存在が、少しずつ沙名子の中で大きくなっていく。
そんなある日、広報のショールームで働く派遣社員の室田千晶が沙名子に相談があると声をかけてきた。
やる気のある千晶は、好感が持てる。
千晶が来てからショールームの中はポップなどの飾りつけが増え、営業部も喜んでいるらしい。
だが、正職員になりたいと努力する千晶は、社内で浮いているところもあり、一部の女性社員からは嫌われてさえいる様子だ。
ショールームを訪れた沙名子は、千晶が置いたテーブルや飾りつけを見て気付いてしまった。
これらの飾りの経費はどこから出ているんだ?
経費の清算をするように促す沙名子に、千晶は言いにくそうに言った。
「領収書は無いんです。自分でやりたくてやっているんですから。」
自腹で会社の備品を用意することに眉をひそめる沙名子に、千晶は重ねた。
「このこと、査定に響きますか。森若さん。」
この「これは経費でおりません!」は、仕事の中で起こりうる事件や現実にもいるかもと思える個性的な社員たちが魅力。
ストーリーもコミカルにしすぎず、でもあまりにもリアルで生々しくもしすぎず、バランスが良い。
それぞれの登場自分つのプライベートと仕事で見せる顔の違い、立場の違い、性別の違い、業務の違いがある中、真面目に仕事をして、真面目に生きているのに、すれ違ってしまう人間模様。
今回の3巻では、職員になりたくてカラ回る派遣社員と、仕事の責任から逃げてしまう営業マンがストーリーの中心。
どっちも、現実にも居るなぁ。という、若干身につまされる話。
最近では派遣さんを使っていない企業の方が少なくなってきたような気がします。
もちろん、ウチの職場にもいます。
良い派遣さん、困った派遣さん、色々な人が来ます。
で、それぞれの派遣さんにだって生活があり、人生がある。
必死になるのも分かる。
一方で、必死に媚を売られて引いてしまう職員側の気持ちも分かる。
自分に媚び売られてもねっていう、自分にそんな権限ないですよっていう気持ち、わかる。
めんどくさいのよね。正直、あれ。
微妙に自分の仕事と重ねつつ読んでしまう「これは経費で落ちません!」。
こりゃあドラマ化されるわ。
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