灰と幻想のグリムガル

May 13, 2019

灰と幻想のグリムガル Level,14+




オレはオレの心を裏切らない!

灰と幻想のグリムガルLevel,14+ 相変わらずではいられない
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


ゴブリン視点でグリムガル世界を見る「さらば愛しきゴブリガル」
マナトの視点で語られる「お願いだから、あと少しだけ」
狩人になったユメと魔術師になったシホルのギルド研修期を描いた「今日はおやすみ」

そして、信念を曲げない「あの男」が帰ってきたー
ハルヒロ達と袂を分かった暗黒騎士・ランタのその後を描いた「仮面有情」

本編で語られていない4エピソードをまとめた短編集。

現行本編のパラノ編のダメージが大きすぎて、発売日に買ったのにまだ読んでいませんでした。

いや、グリムガルが面白いってことを思い出せてよかったです。

「ゴブリガル」は、胡蝶の夢のような話。
突然グリムガルに召喚されたハルヒロたちが、人間じゃなくてゴブリンだったら。
そんな視点でゴブリン側の世界観を見せる。

「あと少しだけ」は、ラストが分かってるだけに・・・ね。
早く死んでしまったマナトが、一体どんな人間だったのか、何を考えていたのか、何をしていたのかが深掘りされることで、本編の深みがグッと増す。

ユメ・シホルの話で重要なのは、シホル側のエピソードかな。
ユメ側は、なんでユメがお師匠に可愛がられているのかが分かるだけ。
シホル側のエピソードは、なぜシホルが「ダーク」という独自の呪文体系を生み出すことが出来たのか、そのキッカケはここにあったと知る。

そして、この単行本の核となるランタのストーリー「仮面有情」。

不覚にも「ランタかっけぇ」と思ってしまうランタ尽くし。

カリスマオーク・ジャンボ率いる集団・フォルガンを離れて3年。
人間族の敵地の中で、ランタは生き延び、オルタナを目指していた。
あらゆる状況、あらゆる環境を独力で切り抜け、腕を上げ、知識を蓄え、実力を兼ね備えた男に成長したランタが、今もオルタナを目指す理由。
それは、もう自分には笑いかけてくれることはないだろう、彼女にもう一度会いたいがため・・・


この巻は、「ゴブ → マナト → ユメ・シホル → ランタ」という構成がもったいない。
読者はパラノ編で心折られてるんだからさ、冒頭はゴブじゃなくてマナトとかでサクッと掴んで欲しかった。買って最初にゴブリガルがちょっと面倒くさかった。

まぁ、ゴブリガルも読み終わればソコソコだったんですけどね。
ツカミとしては掴みにくい感じだったのは否めない。


読み終わってみれば、本編の間に挟まる短編集としては十分楽しめました。

まさかランタが単独で3年も彷徨ってるとは思わなかったですけどね。
ランタがめっちゃ強くなってて、かなり良い感じで、なんか笑えた。

そして、人間の敵にあたるオークや灰色エルフ側の状況や社会なんかも垣間見ることが出来て、なかなか良作の短編でした。


本編の続き、はよ。

パラノのその後、はよ。




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May 06, 2018

灰と幻想のグリムガル 『Grimgar, Ashes and Illusions BEST』




かなり今更ですが、「灰と幻想のグリムガル」のサントラ買いました。

灰と幻想のグリムガルは、2016年1月〜3月に放送されたアニメシリーズ。
イマドキなラノベ原作のアニメ化作品で、特にその期の覇権を取ったわけでもない、忘れる人はもう忘れてしまったであろう作品。

ラノベ原作とは言っても、いわゆる俺ツェェェェ的な異世界モノとは一線を画し、ゴブリン1匹を斃すことにも四苦八苦するレベル1のモブ冒険者パーティの成長を描く。
仲間を失いながら、それでも先に進み続けるしか生きる術の無い主人公たちのガムシャラさが心に刺さる。

その作中に使われた楽曲の格好良さは頭2つばかり突き抜けていて、このサントラは欲しい欲しいと思ってました。

まぁ、楽曲の格好良さが重視されるあまり、30分アニメの中で一曲ほぼフルコーラスで使うなど音楽寄りとも言える構成がこの作品の賛否両論を真っ二つに割った原因でもあるんですけど。

好きな人はすげー好きで、ダメな人はハッキリとダメ。
そんな灰と幻想のグリムガル。

で、僕は当然、好きな方。
アニメでこの作品を知って、原作を大人買いし、現在も追ってますからね。



『Grimgar, Ashes and Illusions BEST』
Disk1
episode:1 〜6

Disk2
episode:7 〜12

Disk3
Animation Music Video

作中で歌付きの曲が多用されていたグリムガル。
男性ヴォーカルと印象の違う2人の女性ヴォーカルだったので、複数のアーティストが寄ってたかって作ってたのかと思ってましたが、全楽曲「三月のパンタジア」が提供してたとサントラで知りました。
まじか、好きすぎるぞ「三月のパンタジア」。

なんか、印象としてELLEGARDEN を彷彿とされられる感じ。
スピード感がありつつメロディアス。


てか、オフィシャルなクレジットは「(K)NoW_NAME (ノウネイム)」ってなってて、これはSuper Cellみたいなクリエイター集団なのね。

もう最近の楽曲作成のカタチとか、正直良く分からんのですよ。
入れ替わりともまた違う、楽曲ごとに必要な人材を持ってくる感じ。


さて、完全に2周遅れですけど「三月のパンタジア」を追います。
「フリクリ」で「the pillows 」に出会った時以来のアニメ発・アーティスト追いです。


ラノベのアニメ化から、原作小説、サントラ、そして楽曲提供していたアーティストを追うなんて、なんて良いお客なんだろうか。





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March 23, 2018

灰と幻想のグリムガル Level,12




それはある島と竜を巡る伝説の始まり

灰と幻想のグリムガルLevel,12
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


謎の男・ジェシーから命を受け取り、メリイは生き返った。
だが、その生き返りは、当然だけれど超常の奇跡。

ジェシーが引き継いでいた、様々な人間の人生と経験をメリイは引き継ぐ。
自分の中にある自分でない知識と経験。
自分の中の変化をどう受け止めていいのか、そもそもこの自分は生きているのか、不死者ではないのか、自分は自分なのか?

そんな悩みを抱えたメリイに、ハルヒロたちはかける言葉も見つけられないでいた。

一方、オルタナへの帰還の旅は順調に進んでいた。
東を目指し、海に出る。
海にたどり着いたら、南下し、オルタナと交易のある港町で船を見つければいい。

海を目指したハルヒロたちは、座礁してしまい仲間の迎えをまつ海賊団と出会う。
そして海賊の頭をしている不思議な少女・モモヒナにふっかけられたステゴロの決闘に負け、なぜかモモヒナの手下になってしまうのだった・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

灰と幻想のグリムガル、待望の最新刊です。
本来の発売日が明後日なのに、今日レビューを書いてるってどういうことだ!!

家電の販売システムもどうにかしろと思うけど、本の発売日とかも有名無実化してるよな・・・。


12巻は、作者が宣言していた通り、(比較的)明るく楽しいほんわかした冒険物語でした。

まぁ、あくまで比較的だけどね。
比較的、明るく楽しい。
お気楽ラノベと比較したら、結構死にそうで、結構しんどい冒険だけどね。

ちょっと海辺で遊んだりするシーンがあるとか、それくらいの感じ。

他にも明らかにグレードアップした装備を手に入れたり、今まで積み上げた経験が生きて冒険らしい冒険をしたり、ちょっとだけど恋バナが進展したり!

ここまでの11巻、仲間が死んだり、実力不足を思い知らされたり、夜しかない世界に放り込まれてドブ攫いをしたり、と、本当に良いことなしだったハルヒロのパーティ。
やっとです。
やっと、日の目を見た感じ。

たまにはこういうのも無いとね〜。
グリムガルっぽくはないけど。

そう。
この12巻は、グリムガルっぽくありません。
グリムガルってのは、もっとこー不遇でさ、いつもピンチでさ、ちょっと自信を持つと足元掬われてさ、そういう話じゃない? ← ひどすぎ。

ハルヒロたちもレベルアップしたってコトかぁ。

まぁ、いい加減そろそろオルタナに帰らないとね。
いい加減そろそろソウマたちと合流したりさ、次のステップにいかないとね。

どうせ次の巻ではまたロクでもないコトになるんでしょう。
単純にハルヒロハーレムが出来上がって、ぬるい冒険をするようなグリムガルになったら、本売ります。


この12巻で大きな別れもありましたし、次巻あたりでオルタナに帰りつくんでしょうか。

続巻はよ!


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July 28, 2017

灰と幻想のグリムガル Level,11




あの時それぞれの道で夢を見た

灰と幻想のグリムガルLevel,11
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


注意・今回は過分にネタバレを含みます。
だって、ネタバレ無しに感想書けないもの。


灰と幻想のグリムガル、待望の第11巻。

前巻のラストで、まさかまさか展開。
ヒロイン・メリイが、ゴリラのバケモノ・グォレラの手にかかる。
ハルヒロの前で脆くも崩れ去るメリイ。

またか、またなのかよグリムガル。

どうなっちゃうんだよ。
ハルヒロ、いい加減心折れちまうよ・・・


でも、店頭で帯を見て目を疑う。

「この残酷な世界で、おれは彼女を失った  

             −−−はずだった。」


おい!
帯でネタバレかよ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

謎の男・ジェシーが作った亜人の村・ジェシーランド。
村の一角でグォレラたちの猛攻を受けるハルヒロたちは、全員が体力も気力も限界ギリギリの状況に陥っていた。

そして、何より、メリイ。
回復魔法を使えるパーティの要・神官であるメリイが、死んだ。

ハルヒロの目の前で、ハルヒロの腕の中で、死んだ。
一瞬我を忘れそうになる、だが心の中で「ダメ」とメリイの声がする。

今は、メリイの死を考えたくない。

ハルヒロは、いつもと同じように今自分の出来る最善手のみに集中していく。


グォレラのボス・笑うレッドバックを倒し、立ち尽くすハルヒロにジェシーが言った。

「方法は、ある。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最初のリーダーであり、神官だったマナト。
パーティの要となる戦士として成長していたモグゾー。
そして、ハルヒロの心の大事な部分を支えてくれていた神官のメリイ。

次々に仲間が死んでいく。

この小説、主人公が不遇過ぎんだろ。
そう嘆きたくなるほど、仲間たちが容赦なく倒れていく。

でも、遂に禁断の御都合がハルヒロたちに微笑む!!!


うーん。
嬉しいような、悲しいような?

メリイは流石に生き返ってほしいと願う気持ちと、グリムガルではやってほしくなかったという気持ちが、心の中で複雑に混ざり合う。

でも、どうやらこの蘇生は、むしろ物語を進めるための一歩。

グリムガルに来る前の記憶を持つジェシーの命によって救われたメリイが、ジェシーの記憶を受け継いで生き返る。
いや、ジェシーどころか、ジェシーの前の、その前の、その前の・・・沢山の人間の記憶を受け継ぐ。
その記憶の中には、様々な能力の持ち主が居て、メリイはこのグリムガルで初めてハルヒロパーティに与えられたチート級の道標的存在となった。


うーん、コレが良いのか、悪いのか。
まぁ、それは今後の展開によるかな。

グリムガルに来る前の記憶の秘密に迫るのが物語の核心だとしたら、地を這いずり回るばかりのこのままの展開では、一体何巻になるかわからんもんな。

何はともあれ、メリイ復活がうれしいし。
流石にメインヒロイン死亡はないだろ。

それに奥手と奥手で実りが無さそうだったハルヒロとメリイの関係も、相手を失う経験を通して進みそうだし。

続刊はよ!!


あれ?
ランタは?

この巻の半分くらいを占めたランタ編は、読者の都合により割愛します。

ランタにも過去も事情もあるんだってさ。
ふーん。



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March 25, 2017

灰と幻想のグリムガル Level,10




ラブソングは届かない

灰と幻想のグリムガルLevel,10
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


灰と幻想のグリムガル、待望の第10巻。

本日発売。
朝の8:00にレビュー。

あれ?
まぁ、近所の本屋でフライングゲットしただけなんですけど。

・・・・・・・・・・・・・・・・

闇の異世界・絶望の地(ダルングガル)から戻り、霧の渓谷・サウザンドバレーを離れ、遠く離れた拠点・オルタナを目指すハルヒロたち。
その道は敵対する勢力の間を抜けていく、過酷な旅だった。

長く仲間だったランタは、仲間を裏切り、離れていった。

今残るハルヒロの仲間は、聖騎士のクザク、狩人のユメ、魔道師のシホル、そして神官のメリイ。

道案内は、サウザンドバレーの隠れ里から抜け出した悪霊術師の少女・セトラ。
ハルヒロを気に行ったセトラは、いろいろと訳あってハルヒロに「恋人のふり」をすることを求め、ハルヒロも戸惑いながらもその契約に従っていた。

そんなハルヒロ一行は、非常に厄介な敵・グォレラに追われていた。
巨大なゴリラの様な体躯に堅い皮膚。
そして集団で狩りをするグォレラたちは、ハルヒロたちを追い詰め、疲弊させ、確実に体力を奪っていく。

このままじゃ全滅する。

窮地を脱するため、ハルヒロはセトラの策を受け入れるのだった・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・


まじかよ。
それは勘弁してくれよ。

自分の中で、この作品が止まらなくなった三巻のラストを思い出す。

もう、やめてよ、この終わり方。

えー。
それは、ない。
それは、ないわー。


数々の危機を乗り越え確かにレベルアップしてはいるものの、泥臭く、不遇が続くハルヒロ達の旅。
絶望的とも言える状況の中、とにかく自分たちの出来る最善を尽くすが、道は険しい。

そんな中で、ハルヒロに直接的な好意の感情をぶつけてくるセトラの存在が「家族のよう」にまとまっていた人間関係に波を起こす。

そして、このグリムガルに辿り着く前の記憶への鍵を握るジェシーの登場。

単に物語の次への糸口を握る存在が登場し、ハルヒロ達に関わってくるブリッジの巻かと思ってたのにさぁ。


くは。

だめだ。

僕は、もう、だめだ。

今日は使い物になりません。
今は感情がひっぱられてしまって、冷静な感想など書けません。


ひどい。
ひどいよ、十文字青。


続巻が、読みたいような。
読みたくないような。

ぐは。


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August 27, 2016

灰と幻想のグリムガル Level,9




ここにいる今、遥か遠くへ

灰と幻想のグリムガルLevel,9
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


神に棄てられた闇の異世界・絶望の地(ダルングガル)から、グリムガルに帰還することに成功したハルヒロたち。
だが、帰ってきたグリムガルは、以前に拠点としていたオルタナからは遠く離れた敵地の中だった。

深い霧のたちこめる千の渓谷(サウザンドバレー)で6人はバラバラになり、暗黒騎士のランタと神官のメリイが敵の手に落ちた。
ジャンボという名のオークに率いられた人間に仇なす集団・フォルガン。

何とか集まろうと悪戦苦闘するハルヒロたちの前に敵として立ったのは、ランタだった。

友達ではない、好きでもない、だが、仲間として信頼していた。
そんなランタの裏切りによって動揺する仲間たち。

なぜ裏切ったのか。
どんなに考えても本当のことは分からない。

ならば目の前にある、やるべきことをやらなければならない。

サウザンドバレーで出会った先輩義勇兵パーティ・ロックスと行動を共にし、フォルガンと真正面からぶつかる。
喧噪を抜け出し、メリイ救出に向かったハルヒロはそこでランタと再びあいまみえ、剣を交わす。

戦士としての地力に勝るランタの虚を突き、メリイ救出に成功したハルヒロ。

だが、その手にはランタに突き刺した剣の感触が重く残っていた・・・・。


それぞれがその時々に最善と思う行動をし、結果、ランタが裏切る形になった。

でも、ランタだってバカじゃない。
混乱の中で、ランタが何を想い、なぜハルヒロに剣を向けたのか。
それには、それなりのランタなりの理屈がある。

そして、命をかけたやりとりをした後のハルヒロだって、なんとなくその理屈と理由が分かる。


極限状態の中で散り散りになり、自分にとって仲間たちが、パーティが、どんな存在だったのか。
そして、自分と言う人間がどんな人間で、心の一番底で何を想い願っているか。

そんな大事なことを見つめ返す第9巻。

マナト、モグゾーという2人の仲間を失い、黄昏世界や絶望の地を経てグリムガルに帰ってきたハルヒロたちは、義勇兵として確実に成長している。
だが、根源的な人間性は変わらない。

自分は、自分にしかなれない。

そんな当たり前の出発点にそれぞれが立ち返る。


第8巻の混迷がいったん収束に向かうワケだけれども、ハルヒロの新恋人(?)のセトラも深くパーティに関わりだしたり新要素もあって、またもや一気読みです。


メリイ、もう、ハルヒロのこと好きだって認めちゃえよ!!
セトラに取られちまうぞ!

なにが 「何あれ、かっこいい。」 だ、そんなこと思ってる場合じゃないぞ!!


あー、また続巻を待つ日々か。

たまらんの。



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March 26, 2016

灰と幻想のグリムガル level,8




そして僕らは明日を待つ

灰と幻想のグリムガルlevel,8
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


神に棄てられた闇の異世界・絶望の地(ダルングガル)から、グリムガルに帰還することに成功したハルヒロたち。
だが、帰ってきたグリムガルは、以前に拠点としていたオルタナからは遠く離れた敵地の中だった。

深い霧に閉ざされた場所で、偵察に立ったハルヒロとユメは、同じ暁連隊に所属する颱風ロックスの戦士クロウに出会う。
先を急ぐクロウに引きずられる形でロックスに同行することになったハルヒロとユメは、新たな敵集団・フォルガンの存在を知る。

一方、戻らないハルヒロとユメを捜索に出たランタとメリイは、そのフォルガン一行に出くわしてしまい囚われの身に。

残ったクザクとシホルもまた、謎の侍・カツハルに連れられ、霧の中を彷徨うことになってしまう。

ゴブリン、オーク、不死者、獣、そして人間。
種族を超えた集団・フォルガンと霧の森の隠れ里で戒律を重んじて暮らす里の戦いに、ハルヒロタチはバラバラの立場で巻き込まれていく・・・・。


昨日発売の新刊本レビューを、翌日の朝に書く。
まぁ、昨日の深夜に読み終わっていはいたのですけど、流石にレビュー書く気力まではもちませんでした。


読了後、最終章を再度読み返してしまった。

まさか。

結末が信じられず、読み返してしまった。

まさか。





以下、ネタバレを若干含む。






パーティの中心として成長したハルヒロは、パーティメンバーから厚い信頼を寄せられるまでになっていた。

だが、ひとりで背負い込む傾向があったハルヒロのリーダーシップは、パーティメンバーとの間にちょっとしたズレを生んでいたのかも知れない。

それが、この結末を呼び込んでしまった。

ハルヒロたちがグリムガルに召還され、流れるままに組んだあぶれ者パーティ。
最初期からのメンバーは、ハルヒロ、ランタ、ユメ、シホル。

最弱のゴブリンにさえ四苦八苦するザコパーティから、まがりなりにもトップクラン・暁連隊に所属するまでに成長した現在。

女性のユメとシホルと、男性のランタ。

頼りがい有るリーダーに育ったハルヒロをサポートすることを、当然と受け入れられるユメとシホル。

だが、ランタにとってハルヒロは、対等者、もしくは時には格下とさえ思っていた存在。
そんなハルヒロに頼り、ハルヒロ無しで戦えなくなっていたランタ。

その差は、大きい。


自分の中では揺らぎ、葛藤しながらの決断であっても、表に出さなければ頼れるリーダーの果断にしか見えない。
ハルヒロの内面を知る読者ならば、ハルヒロはそんなにリーダーに向いているとは思わない。

だけど、その内面が見えなければ、ハルヒロはひとりでパーティの指針を示す頼りになる羅針盤。

もっとハルヒロが内面を、弱みを見せ、仲間に頼っていれば。
そう思わないではないけれど、それは結果論でしかない。

それに、ランタは弱みを見せるとつけ上がる方だから、むしろランタには見せられなかったろうし。

そう考えれば、必然。

必然なんだけど・・・。


続巻はよ。

そう叫びたくなる第8巻でした。




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March 17, 2016

灰と幻想のグリムガル level,7




彼方の虹

灰と幻想のグリムガルlevel,7
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


異世界「黄昏世界(ダスクレルム)」で、巨大な人型生物・巨神によって出口を封じられ、グリムガルに帰る事が出来なくなってしまった義勇兵たち。

一斉に襲い掛かってくる教団員と呼ばれる人型生物と、白巨人、そして二階建ての家ほども有るヒュドラ。
歴戦の伝説級義勇兵たちが奮戦するものの、ハルヒロたちは完全に窮地に陥っていた。

そんな時、ララとノノという2人組みに導かれ、ハルヒロたちは更なる別世界に繋がる洞窟へと逃げ込んだ。

そこは夜の世界。
微かに明るくなる時間帯があるものの、太陽の昇らないその世界は、絶望の地(ダルングガル)だった。

右も左も分からない暗闇のなか、ハルヒロたちは手探りで生き延びる道を模索する・・・。


異世界(グリムガル)から、更なる異世界(ダスクレルム)へ行き、そこから更に異世界(ダルングガル)へと渡ってしまうハルヒロたち。

もはや、もう、これは無理でしょと思うような状況の中で、自分の、自分たちの出来る最善を模索し続けるハルヒロかっこいい。
そして、人間関係、実力を含め、パーティの成熟度が上がってきていて、その成長が、またたまらん。

最初はゴブリン一匹に悪戦苦闘していたハルヒロたち。
でも、流石にもう7巻。
グリムガルに来て、ダスクレルムにいる時間を日数にしたら、2年くらいになるのか?

ゴブリンスレイヤーたちもいい加減相当に強くなってきているハズなんだけど、このグリムガルの世界は分かりやすいレベルみたいなモノは無いので、強さがハッキリとは明示はされない。
それが良い。

それでも、前に苦戦した相手の行動パターンを憶えて倒せるようになり、さらに倒して無傷で倒せるようになっていく。
成長が物語の中で感じられるのが、上手い。

でも一方で、強く、慣れていくことで生まれる慢心で、あっという間に窮地に陥ったりする。
いくら強くなったからって、急所を刺されれば死ぬ。

どんなに強くなっても、人間は人間。

この緊張感がグリムガルを面白くしている。


遂に現行最新刊を読み終わってしまいました。

まぁ、数日後(8/25)に最新8巻が出るそうなので、それを楽しみにしてはおります。

かぁー、また続編を待ちわびる作品が出来ちまったぜ。


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灰と幻想のグリムガル level,6




とるにたらない栄光に向かって

灰と幻想のグリムガルlevel,6
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


ワンダーホールの奥でハルヒロたちが発見した異世界「黄昏世界(ダスクレルム)」。
ヒーラーである神官が信奉する光明神ルミリアスの加護が届かない黄昏世界では、回復魔法が使えない。

だが、そこに生息する教団員と呼ばれる人型生物と大きな岩の様な身体を持つ白巨人は、虹色輝石という石を持ち、それは高値で売れる。
黄昏世界の噂はあっという間に広がり、名うての義勇兵たちが集まってきていた。

ハルヒロたちもすっかり協力体制が馴染みだした実力派パーティのトッキーズと共に、白巨人狩りに精を出していた。

しかし、義勇兵たちはやりすぎたのかも知れない。

ある日、体長300mはあろうかという巨神と、二階建ての家ほども有るヒュドラが出現し、黄昏世界にいる人間たちを攻撃し始めたのだ。

あれは無理。
常識的な判断を下すハルヒロ。

面白くなってきた。
そんなことを言い出すトッキーズリーダーのトキムネ。

ここでトッキーズとはお別れか・・・。そんなことをハルヒロが考えたとき、胸の受信体が鳴る。

それは何故かハルヒロたちを仲間にした伝説の義勇兵・ソウマからの連絡だった・・・・。


黄昏世界編と言っていい新展開の第2巻。

慎重で安定感はあるけど破壊力に欠けたハルヒロたちのパーティと、破壊力抜群だけど無謀と暴走が同居したようなトキムネのパーティが行動を共にするようになり、物語に幅が出てきた。

そして万能感があった神官の回復魔法が封じられて、緊張感もまた増す。

まぁ、回復魔法を封じられ、戦闘にも参加しないメリイの存在感がどんどん薄くなるのは仕方の無いこと。
主人公から離れて他の男にいってしまったヒロインなど、そんなモンだ。
てか、黄昏世界に来てからのメリイは、単にハルヒロの心を不安定にするだけの存在に成り下がってしまった。

むしろ、一方通行の恋心を寄せてくる巨女のミモリンの方が可愛く感じてくる。

この辺が、一人称視点小説だなぁって感じ。
主人公が感じる世界、認識する世界がすべてだから、主人公が嫌いな人は嫌いになるし、好きな人は好きになる。
まぁ、だからこそ、主人公に自分を重ねて冒険世界にトリップ出来るわけだけど。


最強義勇兵・ソウマと伝説級義勇兵アキラとその仲間たちが本格的に出てくる第6巻。
義勇兵のトップクラスが見せるレベル違いの戦いは、地味に地味にきていたグリムガルの戦闘とは一線を画す。

でも、ハルヒロたちはそうなれないだろうし、違う形でソウマの暁連隊に参加していくんだろうなぁ。




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March 16, 2016

灰と幻想のグリムガル level,5




笑わないで聞いておくれよ

灰と幻想のグリムガルlevel,5
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


心機一転で新しい狩場にしたワンダーホールに慣れてきたハルヒロたちのパーティ。
希少金属を甲羅に含むグリンブルという生物を狙って鉱道を目指す途中で、今までは無かった穴を発見する。

発見。
それは、日々変化し続けるワンダーホールの中で、見つかる全く新しい「何か」。

まだ誰にも知られていない「何か」は、栄光と、それに何より稼ぎをもたらす可能性がある。

ハルヒロたちが穴に入ろうとした時、声がかかる。
ハルヒロたちと同じ時にグリムガルに来たキッカワが所属するパーティだ。

実力は確かなのに変人が集まる聖戦士トキムネが率いるトッキーズと共に、ハルヒロたちはその穴に足を踏み入れるのだった・・・・。


ハルヒロがパーティリーダーとして開眼していく第5巻。

地味だけど、ちょっとスゴイやつになっていくハルヒロ。
それにパーティとしての能力も向上し、第4巻で全滅させられそうになったウストレルさえ、巻頭でサクッと倒せるくらいに成長している。

戦力的には中の下くらいにはなってきた感が頼もしい。


でも、ま、ハルヒロはハルヒロ。

自分はリーダーに向いていないとボヤきながら慎重に慎重を重ね、指揮をし、時に快心の一撃を繰り出す。

そんな成長したハルヒロに、想いを寄せる女性もやっと現れるし(5巻にして!)。


ヒロインを他の新参に持っていかれちゃってるのが、読者でも地味にしんどい。

クザクこのやろう。
クザクこのやろう。

ハルヒロの気も知らないメリイとクザクを遠くから見て、地味に祝福してるハルヒロに祝福あれ。


この主人公だからって、地味メンがモテモテになったりしない辺りまでリアリティあるのが、グリムガルの良さなんだろうなぁ。




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March 14, 2016

灰と幻想のグリムガル level,4




導き導かれし者たち

灰と幻想のグリムガルlevel,4
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


モグゾーを失った。

パーティ唯一の戦士であり、盾役であり、攻撃の要であり、軸。

そのモグゾーを失ったハルヒロたちは、パーティの機能が完全に麻痺。
もう卒業したハズのゴブリン退治にさえ四苦八苦するようになってしまう。

再び仲間を死なせてしまった神官のメリイは落ち込み、一方でオークの砦攻めで良い所を見せたランタ、ユメやシホルには他の有力パーティから引き抜きの声がかかる。

ハルヒロたちのパーティは空中分解の一歩手前になっていた。

そんな時、オーク砦攻めで仲間をすべて失ってしまった後輩パーティの聖騎士・クザクがハルヒロのパーティに加えてほしいと声をかけてきた。

メリイと「何か」が、あった気配のするクザク。
ハルヒロの過去の記憶に繋がった少女・チョコを死なせたクザク。

ハルヒロはクザクの加入に乗り気ではなかった。
だが、盾役は要る。

とりあえず仮だからと断って、クザクはハルヒロたちのパーティに加入する。

心機一転と目指した新しい狩場・ワンダーホールで、勝手の違いに手惑うハルヒロたち。
原因は全員にあるが、何よりも問題だったのは経験不足のクザク。
どっしりと戦場の中心にいてくれたモグゾーに比べて、クザクは大分見劣りがする。

そんな時、慣れないモンスターたちの集中砲火を浴びて、ハルヒロたちは全滅の危機に陥ってしまうのだった・・・。



うわー、モグゾー死んだ・・・。

しかし、着々と仲間が死ぬな。この作品は。
しかも、パーティの中心になって頼りになるヤツから死ぬな。

そして、新加入のクザク・・・、いきなりメリイと・・・、メリイと・・・、 許せん。


パーティの中核だったモグゾーを失い、その大きさを実感する第4巻。

オーク砦の攻略で名を上げたものの、モグゾーを失ったことで大きく後退してしまったハルヒロのパーティ。
その穴を埋めるべく加入したのは、ハルヒロたちより更に未熟な聖騎士・クザク。

空中分解の手前までいきながら、なんとか踏みとどまり、前を向く過程が堪らない。
主人公の成長モノだとは分かっているものの、着々とリーダーとして、ひとりの義勇兵として成長していくハルヒロの姿は胸アツです。


男3女3のパーティなのに恋愛ネタとか出てこないなー。
というか、主人公のハーレム状態に一切ならないことに好感を抱いていたこのグリムガル。

いらねーんだよハーレムとか。
世の中、そんなんねーんだよ。

なのに、遂に恋愛ネタがブッこまれてきました。

しかも、恋愛をブッこんだのは主人公ではなく、新登場の優男・クザクとヒロイン・メリイという凶悪な組み合わせ・・・。

なんだクザク、このやろう。
なんだクザク、このやろう。
なんだクザク、このやろう。

いや、まぁ、まだこの4巻現在ではクザクとメリイの間に何があるのかなんて書かれてないんだけどさっ。

ハーレムものはウンザリするけど、主人公目線で世界を見ている以上、こういう展開もコレはコレでモヤモヤすんなぁ。



1日に2冊ペースで読んでしまう「灰と幻想のグリムガル」中毒。

明日も買って帰る予定ですが、一体何巻まで買えば良いだろうか・・・。





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March 13, 2016

灰と幻想のグリムガル level,3




思い通りに行かないのが
世の中だと割り切るしかなくても


灰と幻想のグリムガルlevel,3
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


実力?
いや、その9割は幸運だった。
それでもハルヒロたちは、サイリン鉱山で恐れられていた凶悪なコボルト・デッドスポットを討ち取った。

その功績によって、ハルヒロたちのパーティは少し知名度を上げ、その時の稼ぎによって装備やスキルを充実させることが出来た。
なにより、戦士のモグゾーはデッドスポットが使っていた大剣を手に入れることが出来た。

パーティとして充実してきたハルヒロたち。
そこにランタが情報を仕込んで帰ってきた。

「兵団指令(オーダー)が出てる」

人間と相対する勢力のひとつ、オークが支配する砦を襲撃する。
その人員が集められていた。

その報酬は、金貨1枚。
数日分の稼ぎが一気に手に入る。
それに、オークとはいつか戦わなくてはならないのなら、最初は他の仲間と一緒の方が心強い。

ハルヒロは迷ったが、オーダーを受けることにした・・・・。


マナトを失ってから、一歩一歩と階段を登り、遂に名のある敵を討ち取ったハルヒロたち。
そのハルヒロたちが、更なる階段を登ろうとする第3巻。


慎重に、でも確実に成長してきたハルヒロたちの成長を感じると、どうにも楽しく、読む手が止まらなくなる。

それに、地味に展開してきたグリムガルで、遂に始まる集団戦闘。
混戦の中でリーダーとして成長したハルヒロがパーティの指揮をとり、みんながそれに応える。
コレは、やっぱり盛り上がる。


でも、ラスト・・・そりゃないよ。

そりゃあ・・・ない。
上げて落として、その落とし方・・・。


思わず買い置きしておいた第4巻にそのまま入ったもの。
止まらないもの。



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March 12, 2016

灰と幻想のグリムガル level,2




大切じゃないものなんか、ない

灰と幻想のグリムガルlevel,2
十文字 青 著
オーバーラップ文庫


ゴブリン相手に調子に乗り、リーダーでありヒーラーであるマナトを失ったハルヒロたち。

仲間を失っても、生きるためには戦いに出なくてはならない。
美人だが無愛想でとっつきにくい神官のメリイを仲間に入れて冒険を続け、マナトの仇であるゴブリンたちを倒すことが出来た。

少しの自信を手に入れたハルヒロたちの次の目的地は、サイリン鉱山。

犬頭の人型種族・コボルトたちがねぐらとするサイリン鉱山は、メリイがかつて所属していたパーティが壊滅させられてしまった因縁の場所。

新たな敵、新たな場所で、ハルヒロたちはまたひとつの階段を登る。


さっそくの第2巻。

気付くと、今日2本目のグリムガルレビュー。

しかも、3・4巻も既に購入済み。
と言うか、今日の午後に「もう2巻が読み終わってしまいそうだから。」という理由で買ってきたんです。

小説1冊600円。
ラクショー、ラクショー。

おそらく最新刊の8巻まで駆け抜けます。


1巻の終わりでやっとパーティらしくまとまり、マナトの仇を討つことに成功したハルヒロたちが、次なる敵のコボルトに挑戦する。

もう、屋台の骨付き肉が幾らかという話題は過去のもの。
相変わらず、ハルヒロたちはグリムガルの世界の雑魚中の雑魚パーティであることに変わりはないものの、着々と装備を整え、着々と強くなっていくのが頼もしい。

この2巻の肝は、パーティメンバーたちそれぞれの自覚。

盗賊のハルヒロは、パーティリーダーとして。
戦士のモグゾーは、みんなを守り、敵を倒す前衛の中心として。
暗黒騎士のランタは、みんなに必要とされ、みんなを必要とするパーティメンバーとして。
魔法使いのシホルは、ただ守られる存在ではなく、役に立つ戦力として。

新参のメリイは、ハルヒロたちの仲間として。

まぁ、天然狩人ユメだけは、なんともフワフワとつかみどころがないけれど。

なにはともあれ、ハルヒロたちのパーティは、誰ひとり欠けても成立しないパーティとしての完成度を少しずつ高めていく。


メタネタ、ギャグ、お約束の踏襲といった、最近流行の紗に構えた作品とは一線を画すこの王道感。

やっぱり冒険ファンタジーは王道が良い。
主人公たちの不器用さ、純粋さ、泥臭さが、少しずつ、少しずつ洗練されていく過程がたまらない。

良いね。
グリムガル良いよ。

アニメ版もかなり好みでしたが、原作は更に更に良い。

これはめっけもんでした。




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灰と幻想のグリムガル level,1




ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ

灰と幻想のグリムガルlevel,1

十文字 青 著
オーバーラップ文庫


気付くと、そこは暗闇の中。

ここがどこで、自分が何者で、今までは何をしていたのか。
そんな事を考えると、雲を掴むように記憶にモヤがかかってしまう。
分かるのは、自分の名前くらい。

ある時、ハルヒロは自分と同じような状況のヤツラと一緒に、グリムガルと呼ばれる地に居た。

流されるままに訪れた義勇兵団事務所。
ブリトニーと名乗る所長は、ハルヒロたちに見習い義勇兵になるか、ここを出て行くかを選ばせる。

右も左も分からない状況でハルヒロたちに選択肢は無い。
少しの金を貰って見習い義勇兵となって、事務所を放り出された。

一緒にグリムガルに来た強そうなヤツラは、ハルヒロたちを残して去っていった。

残されたハルヒロたちは、肩を寄せ合い、なんとか見習い義勇兵としての一歩を踏み出すのだった・・・。



2015年度の冬アニメの中で、なんとも心の琴線にクリーンヒットした「灰と幻想のグリムガル」の原作に手を付けました。


このグリムガル、いわゆる剣と魔法のファンタジー世界で、未熟な冒険者(義勇兵)として踏み出した主人公たちが成長していく典型的なストーリーです。

ただし、主人公たちは、この世界の中で主人公ではありません。
完全に脇役です。

どう考えても、世界の中心から遠く離れた有象無象のパーティのひとつでしかない。

普通のファンタジーなら最弱の敵であるゴブリン一匹に四苦八苦し、6人の仲間でやっと倒す。
しかも、格好良さのかけらもない泥臭い感じでなんとか倒す。

一巻の最後まで読んでも、ずっとゴブリンとしか戦わない。
街の他の義勇兵から「ゴブリンスレイヤー」なんて呼ばれるくらい、ゴブリンとしか戦わない。

そして、ゴブリン一匹倒して幾らの収入、その金で何とか生活費を工面し、食事をし、貯金をして何とか装備を整え・・・・と、地味に地味に話は進む。

で、そんな地味で、盛り上がりもない展開の中、最弱の敵のハズのゴブリンに大事な仲間を殺されてしまう。
というか、殺させてしまう。

当然、生き返るわけもない。

こんな地味なファンタジー、今まであったか?
そんな疑問さえ湧いてくる。


でも、このリアルにリアルにファンタジー世界を表現した「灰と幻想のグリムガル」は、完全に僕の心にヒットしました。

ドラゴンクエストやウィザードリィから始まるあとがきの内容で、著者は完全に同世代だと確信してます。
そして、影響を受けた小説が「ロードス島戦記」と「隣り合わせの灰と青春」とか。

「作者は僕か!」と叫びたくなりました。


そして、このグリムガルで描かれていた主人公たちに、僕は思い当たるフシがあるんです。

良いパラメータをもつキャラを作る為に、作っては消し、作っては消しを繰り返す。
自由度の高いRPGで、最初のキャラクターメイキング作業でお馴染みの光景です。

でも、その消されてしまった凡庸なパラメーターのキャラクター達は、一体どこに行くんだろう?

そんなコトを考えたことがありました。

ドラゴンクエストで言えば3のルイーダの酒場で、いつまでも冒険に連れて行って貰えない戦士や格闘家は、いつも何をしているんだろう。
ウィザードリィの訓練場で消えていった無数の凡庸冒険者たちは、一体どこに行くんだろう。

生きていくには、ただ酒場でくだを巻いていれば良いと言うわけにはいかない。
プレイヤーの目に触れない場所で、黙々とスライムを倒しているのかも・・・?

グリムガルは、そんな僕が空想の中で抱えた疑問への、ひとつの答なのかも知れません。

魔王に挑戦するでもなく、お姫様を助け出すでもなく、ただ街の周辺で生活の為にモンスターと命がけで戦う。
そんな冒険者たちにも、喜びも悲しみもあり、成長もある。

冒険者としては歩みの遅いハルヒロたちの、今後が気になります。



「実兄に特に薦めたいシリーズ発見です。兄、この作品は我々のツボだぞ!間違いない!」



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