見下す

September 28, 2007

『他人を見下す若者たち』を読んで。

他人を見下す若者たち

講談社現代新書 『他人を見下す若者たち』
             速水敏彦 著

「自分以外はバカ」の時代!

現代人は自分の体面を保つために、周囲の見知らぬ他者の能力や実力を、いとも簡単に否定する。
世間の連中はつまらない奴らだ、とるに足らない奴らだという感覚を、いつの間にか自分の身に染み込ませているように思われる・・・。
このように若者を中心として、現代人の多くが他者を否定したり軽視することで、無意識に自分の価値や能力を保持したり、高めようとしている。

高度経済成長時代は終わりを告げ、高学歴=高収入の公式は崩れ、大人の言う事を聞いて勉強さえしてれば良いとは言えなくなった時代。
人々の価値観は多様化し、若者たちは個人は個人で自分の全ての価値観、良識、目標を作らなくてはならなくなった。
そんな若者の周囲に溢れるのは、ゆとり教育によって「個人の特性」を最も大事なものとして伸ばす教育。それによって培われる個人至上主義

しかし、運動会やテストでは子供の気持ちを大事にするあまり、勝敗がハッキリせず、通知表はどの教科も突出することなく、自分の得意なことが見出せなくなっている子供達。
自分の得意なことが分からず、褒められる経験も叱られる経験も乏しいままに「自分らしさ」を求められた子供達は、実力も自信も無いままに「勝ち組・負け組」を決める実力主義社会と相対する。
その時に、自分を守る為の精神機構として獲得したのは、自分よりも他者を落とし、蔑むことによって相対的に自分を持ち上げる「仮想的有能感」だった。

「あいつは自分よりバカだ。」と断定する事によってしか自分を守れなくなった現代人の病巣を分析する。

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んー。
キャッチーなタイトルとオビの割りに、内容は案外真面目で、ひたすらに現実状況の検証と論証、そこから導き出される仮説への考察に終始する。
まだ心理学的には立証されていない「〜〜こうじゃないか?」的な仮説が多く、部分的にちょっと強引な論理もあるが、まぁまぁ納得は出来る論理展開。

結論として、ちゃんとした「しつけ」レベルからの教育と家庭でのコミュニケーションの回復をしないと、感受性の乏しい、共感力のない人間だらけの社会になってしまうぞ。と言う話。
んー。誰だって、それが出来ればそうしたいとは思ってると思うんですけどね。

著者は別に「美しい国」とか「国家の品格」とかは言い出さないけど、今の社会が悪い。教育が悪い。昔が良かったってのは暗に訴えきてる。
でも、教育学者だって「つめこみ教育」が壊してしまった個人を回復させたいと思って「ゆとり教育」を提唱した訳だし、皆、真面目に社会を良くしようと思って、頑張って現在がある訳だし、今更、過去には戻せない訳ですしね。

今の若者はすぐにキレる。とか、言うけど、それって本当なのかなぁ?

あ、そうか。僕がもう若者じゃないから、分かんないのか・・・・。



know_the_base at 06:44|PermalinkComments(3)TrackBack(0)