講談社BOX

September 29, 2012

憑物語

よつぎドール


いつまでも続く。
そんな贅沢がこの世に存在するわけがないということを、僕は知るべきだった

「対価は支払わなくちゃいけないでしょう。」

阿良々木暦という人間が、阿良々木暦という僕が。
終わり始まる物語だ。



憑物語
講談社BOX  西尾維新 著  VOFAN イラスト

「よつぎドール」収録

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あらすじ

「恋物語」から1ヵ月ほど。
2月13日バレンタインデー前日、そして、大学入試まで丁度1ヵ月。

正に受験勉強が正念場を迎えた冬の朝。
阿良々木暦はいつものように妹の火憐と月火に叩き起こされ、目覚めた。
いつものように軽口を叩きながら、いつものようにふざけあいながら、いつものように心では感謝しながら、目覚めた。

だが、そのいつも通りの朝、暦は自分の体に起こった致命的な変化に気付く。

鏡に映らない。

それは、吸血鬼の顕著たる特徴のひとつ。

自分の影にかつて伝説の吸血鬼だった、怪異の王の搾り滓である忍野忍を宿し。
その身にもかつて忍の眷属として吸血鬼だった名残を残す阿良々木暦。

猫、蟹、蝸牛、猿、蛇、蜂、不如帰。

彼は、中途半端とはいえ怪異の王たる吸血鬼の力を使って、様々な怪異と、時に人間と、そして神とさえ対峙してきた。
あまりにもその力に頼りすぎ、使いすぎ、慣れすぎた暦の体は、今、吸血鬼に変わろうとしていた。

これまで目を瞑って見ない様にしてきた全てを、清算する時が近付いていた。

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「物語」シリーズの最終章3部作。
その第1巻「憑物語」です。
ファイナルシーズンはそれらしく語り部も主人公の阿良々木君に戻りました。

様々な語り部たちによって語られてきた「物語」たちは、第1部である「化物語」「傷物語」「偽物語」で広がった、阿良々木ハーレム呼ばれた登場人物たちの都合の良い人間関係や、決着の曖昧さに本当の意味での決着を付けてきた。

告白しないままに自分の気持ちを押し殺そうとした羽川翼には、失恋の痛みを。
怪異としての存在意義を失ったまま彷徨う八九寺真宵には、成仏を。
周囲の見る自分と、自分の見る自分の差の間で過去を抱えたまま立ち尽くしていた神原駿河には、成長を。
片想いに片想いしていた千石撫子には、現実を。

それぞれに痛みを伴いながら語られる幾つもの「物語」。
その中で、曖昧さが生み出していた都合の良い人間関係は整理され、曖昧さの為に縛られていた人たちが解放されていった。

曖昧さ、言い換えれば、優しさ。
だが、そんなぬるま湯に、いつまでも浸かり続けることは許されない。

そして、この最終章で解放されるのは、阿良々木暦と忍野忍。
2人が綱渡りのように紡いできた、最も曖昧で、信頼と優しさに頼りきった儚い絆。
だか、それはあまりにも中途半端な決着の上にあった。

果たして、この2人にどんな決着が待つのか。
期待と、不安が入り混じる序章でした。


さて、そんな整理ばかりで減っていく登場人物の中、今回から式神であり付喪神でもある童女・斧乃木余接がメインに躍り出てきました。
「よつぎドール」のサブタイトルに負けない登場時間(行数?)と活躍をみせます。
そして余接の過去が語られることで、阿良々木君と関わってきた怪異の専門家たち、忍野メメ、貝木泥舟、影縫余弦、臥煙伊豆湖、彼らの過去も少しずつ明らかになってきます。

この最終章、今後のキーになるのは、やはり忍野メメ・・・。
あの見透かしたアロハ男の再登場が楽しみすぎる。


と、まぁ、そんな風に真面目に書いてはみましたが・・・・。

前半の部分は「雑談が本編。」と言っても良いこのシリーズのテイスト充分。

妹の月火とお風呂とか。
シャンプーしてもらうとか。シャンプーしてあげるとか。
「わかった。いいよ、お兄ちゃん。」とか。

なんだコノ、偽物語(下)の歯磨きシーンに勝るとも劣らない内容はっ!!

ノリだけかっ! この兄妹はノリだけでコレかっ!!

本筋に入るまでが長いよ。本筋に入るまでに80ページあるよ。
目覚まし時計への文句に7ページ半、妹との入浴に至っては33ページあるからっ!!

277ページしかないのにっ!!

でも、そこが楽しくて仕方ないファン心理。むー。
これがねー、また作者を甘やかしているんでしょうけどねー。

まぁ、読者が楽しいって言ってんだから、仕方なし。

そして今回も、満足、満足。



「西尾維新祭の応募券が3枚になりまちたね。でも、応募したいのは5枚のヤツなのを知っているでしゅ。」

「うん。あと2枚をどうやって1ヵ月で入手するか。それが問題だ・・・。」

「応募して抽選に外れたときのダメージが楽しみでしゅ。」



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August 23, 2012

偽物語 つきひフェニックス(下)Blu-ray Disk 完全限定生産版

偽物


Amazon で御予約の偽物語 つきひフェニックス(下)が届きました。
月に一度のお楽しみもこれで最終巻。

最終巻なので、もちろん新シリーズ「つきひフェニックス」もこれにて完結。
前半の「かれんビー」は7話、後半の「つきひフェニックス」は4話。
でも原作の偽物語では同じ厚さの上下巻。

んー。

まぁ、配分のアンバランスさはアニメ化のしやすさの問題なんだけどね。
個人的には「つきひフェニックス」の方が内容が濃くて好きなんですけどね。

この作品の本質は会話劇で、影縫さんと阿良々木君の「偽物」と「本物」についての会話が重要だったのに、その辺がもったいないなー。

会話劇部分がダイジェストになっちゃてるのがアニメの性質的に仕方ないとは言え、全4話の前半2話まで火憐ちゃんに持っていかれちゃってるし。

不遇だ、不遇だよ。つきひフェニックス。

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偽物語 つきひフェニックス(下) 限定生産版
・キャラクターデザイン渡辺明夫描き下ろしデジパック仕様
・本編Disk
#つきひフェニックス 其ノ參
#つきひフェニックス 其ノ肆

・特典CD
偽物語」劇伴音楽集 其ノ肆 & あとがたり完全版

・三方背クリアケース
・特製ブックレット
・エンドカードピンナップ ×2
・スーパーピクチャーレーベル

・原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
1:副音声 神原駿河・阿良々木火憐
・特典映像 
スポット・トレーラー集

例によって例の如く、内容に関しては頑張ったOA毎話レビューがあるので↓コチラへ
#つきひフェニックス 其ノ參
#つきひフェニックス 其ノ肆

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特典の副音声が神原駿河と阿良々木火憐。
要はバカ(火憐)と変態(駿河)。

でもって、このバカの大暴走が最高潮に達している為、変態がフツーに常識人に聞こえてくる。
まぁ、駿河は「花物語」で十二分に普通の女子高生だったしね。
あのバカのテンションに駿河まで付き合ってたら、この副音声が月まで行って帰ってきても足りないもんね。

会話って相手が大事だよね。相手が。


さて、今回のbru-rayのオマケで入ってたチラシで大事なのが2つ。
チラシ
ひとつ目は「西尾維新祭2012」(写真右)
要は西尾維新絡みの作品を3つ買って応募してね。とゆーキャンペーンなのですが、既に2つクリア。
そして、間違いなくあとひとつ買う予定。

抽選で当たるのは
A賞(応募券5枚)「物語シリーズプレミアム上映会」
B賞(応募券3枚)「西尾維新祭 2013年オリジナル卓上カレンダー」
C賞(応募券2枚)「西尾維新通信vol.2」

んーと、あれ? 応募券が沢山必要だぞ? どうしよう、僕3枚しかないぞ?

2つ目は、上の西尾維新祭のひとつである「憑物語」(写真左)
遂にこの物語シリーズも最終シーズン。
僕がこの本を買わないという選択肢が、既にない。

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憑物語

頼むからひと思いに――人思いにやってくれ”
少しずつ、だがしかし確実に
「これまで目を瞑ってきたこと」を精算させられていく阿良々木暦
大学受験も差し迫った2月、
ついに彼の身に起こった”見過ごすことのできない”変化とは・・・・・・。
〈物語〉は終わりへ向けて、憑かれたように走りはじめる――

青春に、別れの言葉はつきものだ

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んー。楽しみすぐる。

しかし、発売日8月下旬って。今日はもう23日ですが?

そして、8/31、9/1、試験でしたっけ?>僕


なにはともあれ。
これにて「偽物語」は終了。

一応、全物語シリーズのアニメ化をするとの噂であり、「傷物語」については現在製作中のハズなので、それを楽しみに過ごそうと思います。




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May 22, 2012

偽物語 かれんビー(中)Blu-ray Disk 完全限定生産版

偽物語

月に一度のお楽しみ。
Amazon で予約していた偽物語(中)が届きました!

偽物語 かれんビー(中) 限定生産版
・キャラクターデザイン渡辺明夫描き下ろしデジパック仕様
・本編Disk
 #かれんビー 其ノ參
 #かれんビー 其ノ肆
 #かれんびー 其ノ伍
・特典CD (かれんビー主題歌:二言目&「偽物語」劇伴音楽集 其ノ壹 )
・三方背クリアケース
・特製ブックレット
・エンドカードピンナップ ×3
・スーパーピクチャーレーベル

・原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
1:副音声 戦場ヶ原ひたぎ・神原駿河
・特典映像 
ノンクレジットオープニング(A・Bバージョン)

例の如く内容に関しては、せっかく頑張った毎話レビューがあるので↓コチラへ
「かれんビー 其ノ參」
「かれんビー 其ノ肆」
「かれんびー 其ノ伍」


今回のウレシイは、特典のCD。
ガハラさんの歌う神曲「二言目」はモチロン、サントラが付いてるのがウレシイっす。

しかもパッケージは敬愛する戦場ヶ原ひたぎ様。
素敵すぎ。

それに、内容の方も大人向けバージョン。
忍と阿良々木君の入浴シーンが、東京都では販売禁止になっているであろう無修正版っす。
まぁ、あの400歳の幼女とゆー、正に「非実在」系の存在が無修正になったところで、大人である僕がイヤラシイ気持ちになったりは「本当に」ならないんだが・・。

いや、本当にこの修正は放送時も必要だったのか?
むしろ、修正をかけたことで、本当なら意識しないものを不必要に意識させてしまうとゆーコトになってるんじゃなかろうか。
んー。まぁ、その辺はリアルで生々しい大人の事情ってヤツすかね・・。


さて、それはともかく。しばらくはヘビロテ鑑賞っす。

前回の偽物語(上)を、本編、副音声、裏音声合わせて僕は一体何回流したか・・・。
既に元は取った(?)んじゃなかろうか。

さて、この(中)も元を取らせて頂きやす!!



「三方背クリアケースって、壊さないように使うのが難しいでしゅ。ピクチャーレーベルが傷にならないようにしないといけないでしゅ・・・。」

「今回の件から僕が得るべき教訓は、自分がダメ人間なのは耐えられるけど愛娘が堕ちるのは耐え難いということか。」



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April 25, 2012

偽物語 かれんビー(上)Blu-ray Disk 完全限定生産版

かれんビーか

予約注文しておいたのが届きましたー!!

中身は
・キャラクターデザイン渡辺明夫描き下ろしデジパック仕様
・本編Disk
 #かれんビー 其ノ壹
 #かれんビー 其ノ弐
・特典CD (かれんビー主題歌:marshmallow justice )
・三方背クリアケース
・特製ブックレット
・エンドカードピンナップ ×2
・スーパーピクチャーレーベル

・原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
1:副音声 戦場ヶ原ひたぎ・羽川翼
2:裏音声 千石撫子・阿良々木月火


まぁ、内容に関しては毎話レビューを頑張ったコチラ↓を御覧頂ければ幸いです。
「かれんビー 其ノ壹」
「かれんビー 其ノ弐」

このディスクの真骨頂は、なんと言っても原作者・西尾維新書き下ろしの副音声&裏音声!!

楽しみ過ぎるっ!!

まぁ、まだ今は復習を兼ねて通常の内容を流してる段階。
ウォーミングアップ。 ヲーミングアップっすよ。 準備運動大事っすよーーー!

来月、次のディスクが届くまで、ちびっとづつ、ながーく楽しみますよ。


さて、この間の西尾通信で物語シリーズの全話アニメ化が報じられていましたが、まぁ、楽しみなワケですが、僕はこのままだと全部買うよね。

買うね。

買うよね。



「アニヲタを自認する勇気!!」

「パパ・・・、どんなネタでも皆様が引かないと思わない方が良いでしゅ。」



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January 29, 2012

偽物語 其ノ肆(四)

swich


えーと。見ました。
感想、言いたい事、山ほどありますが、今はちょっと無理・・・かも。

今週も・・・楽しかった・・・。 ぐはっ。



この後、ちゃんとしたレビューを書くであろう、自分メモ(遺言)。

正義の第一条件は正しい事じゃない、強い事だ。
今回は忍ターンってコトで良いですよね?
だからOPが無いんですよね?
忍のモザイク。これがTV放送と言うコトか。
阿良々木家の風呂、広すぎねぇ?
てか、阿良々木家・・・デカすぎねぇ?
翼のショートヘア最高。いめちぇんバンザイ。
でも、スカート丈が短くなり過ぎ。
そんなスカートで男の子のベッドに横なっては・・・だめーー!
でも、阿良々木君と翼のやりとりシーンはコマ送りした。
このシリーズは「swich」の表紙になるような作品なんだぜ。
あの「よん」って旧字はどうやったら出るんだベイベ。


「パパ、そんな身体になってまで・・・・、まぁ、正に馬と鹿でしゅ。」
「てか、もう、充分に書いてましゅ。」

「ちゃんとした、レビューを書きた・・かっ・・た。」

「ダレも求めてましぇん。」

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December 27, 2011

化物語 blu-ray disc box

偽物語 


ひとり西尾維新祭、継続中。
Amazon サンタが届けてくれた、自作自演の自分クリスマスプレゼント・その2。
「化物語 blu-ray disc box」 です。

ひたぎクラブ
まよいマイマイ
するがモンキー
なでこスネイク
つばさキャット

全15話収録。

意外と思うかも知れませんが、人生初のアニメシリーズBOXの購入です。

これで何回でも、何度でも、いつでも見放題!!

「買って、積んだら満足しちゃった。」なーんてコトにしませんよ。
とりあえず、通しで1回鑑賞。

やっぱ、イイなぁ。この作品は。
なんつーんだろ。好みのツボなんですよねぇ。
コレに関しては、他人と共感する気ゼロっすからね。ゼロ。

それにブルーレイは、やっぱ綺麗っす。
満足、満足、大満足。


さて、この作品の続編 「偽物語」のTV放送が発表になってました。

偽物語  

「偽物語 公式サイト」
ウチの入る放送局だと↓のどっちか。
Tokyo MX 1月7日 毎週土曜24時〜
チバテレビ 1月8日 毎週日曜25時〜

って、チバテレビの1月8日の25時〜って、いつなのさ。
月曜の深夜1時のコトなのか?
かえって分かりづらい気がするが・・・。

まぁ、何にせよ楽しみ。楽しみ。



「パパって・・・。 もう、ツッコミも面倒くさくなってきたでしゅ。」

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December 22, 2011

恋物語

恋物語


片想いをずっと続けられたら
それは両想いよりも幸せだと思わない?


恋物語
講談社BOX  西尾維新 著  VOFAN イラスト

「ひたぎエンド」収録

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あらすじ

「囮物語」から2ヵ月。
1月1日・元旦。

戦場ヶ原ひたぎは、自分の家族を破滅に追いやった詐欺師・貝木泥舟と会っていた。

本当なら自分の前に立つことなど許せない。
いっそ、刺し殺してしまいたい。
そんな恨み骨髄の相手、貝木泥舟。

そんな貝木に、戦場ヶ原ひたぎは電話をし、詐欺の依頼をした。

「あなたに騙して欲しい人間がいるの。」


公立七百一中学校二年生、千石撫子。
千石撫子は小学校時代から阿良々木暦に片想いをし続けてきた。
だが、阿良々木暦には彼女・戦場ヶ原ひたぎが居る。

そして、その事実を知り、その恋の終わりを知ることで蛇に噛み付かれ、いや、神憑かれ、蛇神になった。

蛇神となった千石撫子は、自分の願いを成就しようとした。

成就するコトのない、成就させるつもりの無かった片想いを永遠にする。
その為に、片想いをし続けてきた阿良々木暦を殺す。
そんな願いを。

阿良々木暦と、伝説の吸血鬼の残り滓・忍野忍。
運命共同体の2人が蛇神になった千石撫子に殺されようとする、2ヶ月前のその時。

「卒業式を待って欲しいの。」

卒業式が無事に済んだら、私も、阿良々木君も殺していいわ。

阿良々木暦の恋人である戦場ヶ原ひたぎの願いを千石撫子は受け入れた。

そして、千石撫子は待つことにした。
想い人の卒業式を。


このままなら、あと数ヶ月で、暦と自分は死ぬ。
戦場ヶ原ひたぎは、貝木泥舟に依頼した。

「千石撫子を騙して欲しいの。」


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物語シリーズの最終巻・・・だと思っていた、「恋物語・ひたぎエンド」。

僕が敬愛して止まない戦場ヶ原ひたぎが、シリーズ最初の「ひたぎクラブ」以来のタイトルであり、表紙もつとめるこの作品。
もちろん、今回の語り部は戦場ヶ原ひたぎのハズ。 そりゃあ、待ち侘びずにはいられませんでした。

語り部を務めるキャラは、やはり語り部であるが故に内面をさらけ出さざるを得ない。

無敵の完全無欠委員長・羽川翼が、ただの片想いをする女子高生だったように。
誰もが知るスター選手であり、露出狂の気がある天然モノの変態・神原駿河が、悩みを抱えた女子高生だったように。

周囲から見られているイメージと、本人の内面は、全くの別物。
そう、ワトソンの見たシャーロック・ホームズの事件簿と、シャーロック・ホームズ自身が語る事件簿は、同じ事件を扱っていても全く別の話になるように。

ツンデレを通り越してツンドラと呼ばれ、その氷の仮面を脱いで普通の女子高生に戻った戦場ヶ原ひたぎ。

最終巻だからこそ、遂に、そんな彼女が内面をさらけ出す・・・、ハズだったのに・・・。


そう思ったのに・・・、思っていたのに、語り部・貝木泥舟。

なのに・・・・、語り部・貝木泥舟?

って、えええええぇぇえぇぇぇぇぇ??!!

語り部・戦場ヶ原ひたぎ。じゃ、ねーーーのーーー?!


うわっ、男かよ。

しかも、「偽物語(上)」では、むしろ敵だった謎の詐欺師・貝木泥舟かよっ!

このシリーズでの登場回数は数えるほどの、貝木泥舟かよっ!!

なんつー、壮絶な肩透かし。

しかも、この語り部・貝木泥舟が、意外と良いのがまた悔しい。
しかも、貝木泥舟・・・・なんだかんだで内面を知ればイイヤツなんだもんなぁ。
まぁ、そんなコト言われても本人は「それさえ詐欺師の掌さ。」とか言いそうですけどね。

例えそうだとしても、シリーズの最終巻として最高潮に高まったクライマックスにキッチリとカタを付けてくれた貝木を、もう、嫌う事など出来ない。


で、あれ?

シリーズ主人公の阿良々木君は、今回、出てましたっけ?


ま、何はともあれ。

次巻からは、ファイナルシーズン!!

楽しみ。楽しみ。




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恋物語、読了。

恋物語


今日買ってきて、読了しちゃいました。
正に、一気読み。

23:50現在。
流石にこの時間なので、ちゃんとしたレビューは明日以降に書こうと思いますが・・・・、そうくるか西尾維新。

期待通り、だし。
期待以上、だし。

苦笑い、だし。

ニヤニヤ、だし。

そっかぁ。これ、セカンドシーズンの最終巻だったけど、物語シリーズの最終巻じゃなかったのねww。

ファンとしては嬉しい限りだけど。

でも、まぁ、苦笑うよね。

最終巻だと思ってたら、続編があるのって。
しかも、後から情報が出てくるワケじゃなく、その最終巻だと思ってた奥付に、その情報があるのって。

嬉しいから許すけど。

でもって、ニヤニヤするけど。




いやー、満足。

暖かくして、あとは寝よう。

明日は、Blu-ray の化物語を見よう。
いや、その前に iTunes を設定して、サウンドトラックを取り込まねば。

あー、忙し、忙しっ!!


「誰か、このダメな人に、人としての道を照らしてあげてくだしゃい。」



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October 05, 2011

花物語

花物語


花物語
講談社BOX  西尾維新 著  VOFAN イラスト

「するがデビル」収録

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あらすじ

私立直江津高校三年生・神原駿河。
直江津高校の、いやこの地域きってのバスケットボールプレイヤーだった彼女は、スポーツに力を入れない高校を全国大会にまで導いたスター選手であり、スターだった。
だが、高校二年生の時に「猿の手」ならぬ「悪魔の手」に叶わぬ願いを願い、結果、その左手に悪魔を宿すこととなった。
彼女の選手生命はそこで終わった。

どんな願い事でも3つ叶えてくれる「悪魔の手」。
だが、それは、願った者の願いを歪んだ形で成就させる呪いのアイテム。
「足が早くなりたい。」と願えば、自分よりも足の速い子を亡き者にして、結果、自分が最も足が早くなる。
「あの人の隣に居たい。」と願えば、その人の隣に居る人を亡き者にしようとする。

現在は彼女の願った願いを、叶えようがない「契約の不履行」と言う形で、なんとか悪魔の動きを封じてはいるものの、それはキワどく、危ういバランスの上。
いつその左手が自分の意思に反して人を傷つけることになるか分からない。

そんなコトはないなんていう保証は、ない。

母親の形見でもあるその「悪魔の手」を左手に宿した神原は、自分への罰としてその状況を受け入れつつ、毎朝新聞の隅々に目を通し、眠っている自分が犯してしまったかも知れない事件を探し、それが無いことに胸を撫で下ろして過ごしていた。

そして、彼女の敬愛する戦場ヶ原ひたぎと、阿良々木暦が卒業した春、彼女はひとり残された直江津高校で三年生になった。
新しい学年が始まる始業式の朝、神原はひとつの噂を耳にする。

「悩みを必ず解決してくれる、悪魔様って知ってますか?」

どんな悩みでも解決してくれる悪魔。
あくまで噂話とは言え、本物の悪魔を左手に宿す神原にとって、それは心穏やかならぬ噂だった。

だって、それは、もしかしたら、自分の知らない自分かもしれない・・・

神原は「悪魔様」の噂を追った。

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今回は、ななななんと、語り部・神原駿河!!

うわー。バサ姉だけの特別ミッションじゃなかったんだ・・・。

しかも、シリーズ主人公の阿良々木君は高校を卒業して大学生になってしまっているとゆー。
しかも、今回の作品の中にはほとんど登場しないとゆー。
しかも、「猫物語(白)」の時と同じく、ラストの美味しいトコだけ、良い感じに奪い去っていくとゆー。

てか、阿良々木君は、あらゆるヒロインの心を奪っているとゆー。


さて、今回は「自分の見る自分、他人の見る自分、自分の見る他人」の認識のズレを扱った物語。

著者曰く 「人の人に対する認識なんて、人の数だけ誤解があり、勘違いがある。勘違いもまかり通れば事実になるし、誤解もまかり通れば真実になる。その全てが真実であり、真実は無数にあり、でも実際はどこにもなくて、そこには誤解だけがある。」

「スポーツ少女だと思う人にはスポーツ少女であり、変態だと思う人には変態である。」なんて、懐かしい台詞が頭をよぎるけれど、神原の存在はこの台詞に集約されているのだろうか。

明朗快活なスポーツ少女。前向き。スター。ある一部では変態。
そんな肩書きが一人歩きして、自分自身の自分自身に対する認識とのズレを常に感じている神原駿河。
そんなのは、誰でも感じる違和感。でも、スターである神原は普通の人よりずっと多くの人から、本当の自分とは異なる理想像のイメージを持たれてしまう。

「自分はそんな人間じゃない。」
もっと愚かで、後ろ向きで、どうしようもない。だから、この左手に悪魔を宿すことになったのだ。これはそんな自分への罰なのだ。
そんな想いに縛られていた彼女が、そんな自分から、悪魔の左手から、自由になる物語。


語り部・神原って、こんなに真面目な展開になるんだ。ていう驚き。

凄くスポーツマンな青春物語を読んでしまった感じ。

BLな妄想も、スーパーのゲームコーナーを占領することも、阿良々木君とガハラさんには言えない様な絡みをすることもない。
あくまで真面目に問題と向き合い、自分自身と向き合う神原は、なんて言うか、すごく大人だ。

途中まで、阿良良木君ならどうするか、と、怪異と向き合う自分を阿良々木君に重ねるが、そこは憧れであり、先輩である存在を真似てしまうのも致し方ないコト。
だが、最後には彼女は彼女だけにしか出来ないやり方で、彼女だけの答えで問題を解決する。

最後の答えも、やり方も、成長も、全部含めて、神原がすごく大人だ。


まさか、この子が「おっぱ○」と言う言葉をあんな風に使うだなんて・・・
まさか、この子がブルマやスクール水着をあんな風に・・・だなんて・・・

この「花物語」を読んだだけなら、とても信じられないねっ。



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October 01, 2011

傾物語

傾物語


傾物語(カブキモノガタリ)
講談社BOX  西尾維新 著  VOFAN イラスト

「まよいキョンシー」収録

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あらすじ

夏休み最終日。
私立直江津高校三年生・阿良々木暦は、主人であり従僕である吸血鬼・忍野忍の指摘であるコトに気付く。

そう、夏休みの宿題が終わっていないコトに。

のび太的な、でも、留年ギリギリの内申書の彼にとっては致命的なミス。

今日が明日になるまで、あと2時間。
どう頑張っても終わらないタイミングで気付いてしまった痛恨のミス。

せめて気付くのが昨日だったら、昨日に戻れたら・・・  そんな暦に忍は言う「時間移動がしたいなら、出来ないことはないぞ。」 

そして、凄惨に笑い、言った。  
「やっちゃお。」 と。


人間の理など通用しない存在・怪異。
本来ならば怪異の王たる忍野忍。
彼女がやって出来ないコトは、ない。

そして、暦と忍が辿り着いたのは、なぜか昨日ではなく、11年前の母の日の前日だった。
11年前の世界に困惑する暦だったが、そこでこの時点で出来るあるコトに気付く。

11年前の母の日に、家庭の事情で会えなくなった母親に会うために家を出て、そして事故に遭って彷徨う怪異になった少女・八九寺真宵。

彼女を助けるコトが出来る。

暦と忍は、11年前の世界で真宵を探す・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回ばかりは、タイトルにルビが必要。

傾物語 と書いて、カブキモノガタリ。


さて、新章に入って2作目となる「傾物語」です。
前作はバサ姉に語り部を奪われたワケですが、今作は毎度お馴染みの語り部・阿良々木暦で御座います。


まぁ、今回はなんてゆーか、阿良々木君と忍ちゃんのいちゃこら話って感じ?

今回はメインヒロインである完全無欠の委員長・羽川翼も、阿良々木君の彼女である戦場ヶ原ひたぎも、ほぼ登場しない。
そして表紙でありタイトルである八九寺真宵でさえ、話のポイントでは出てくるものの、とてもタイトルが「まよいキョンシー」だったとは思えない程度の扱い。

ひたすらに阿良々木君と忍ちゃんが、2人っきりの世界でお互いへの想いを吐露し続ける感じ。
心の底では分かり合い、許しあっているにも関わらず、それまでの経緯から一定の距離を持つことになっている2人。
そんな2人が極限の環境の中で互いの存在を「かけがいがない。」と再認識し、互いがいなくなった世界を目の当たりにして、それを確信にするストーリー。



内容的には、今回は本筋に影響しない挿入話と言うか、タイムスリップなんていう無茶なストーリーなので、ある意味でコメディと言えなくもない。
まぁ、タイムスリップものの抱えるタイムパラドックス的なネタを作者なりに「僕だったらこう解釈するし、作るなー。」と言った実験的な試みに、阿良々木君と忍のストーリーを絡めることで成立させているって感じでしょうか。

一作前の「猫物語(白)」のクオリティからすると、とにかく「西尾維新、遊んだなぁ。」と言う内容。
この作品で誰が傾いた(カブイタ)かと言えば、そりゃあ作者でしょ。

100%趣味で書かれた作品。と豪語するシリーズだけに、それもアリと言う。ね。

でも、まぁ、何だかんだ言っても、やっぱり語り部・阿良々木君の脱線まみれが好きなワケですよ。
ファンにしてみれば、こっちこそが「物語シリーズの本懐」だったりもするワケですし・・・ 何はともあれ楽しめました。


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September 19, 2011

猫物語 [黒]

猫物語


猫物語[黒]
講談社BOX  西尾維新 著  VOFAN イラスト

「つばさファミリー」収録

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あらすじ

傷物語」で私立直江津高校に通う阿良々木暦(あららぎ・こよみ)が吸血鬼に襲われ、自ら吸血鬼となり、そして人間もどきに戻ってから1ヶ月後。

化物語」で阿良々木暦が様々な怪異と関わり、戦場ヶ原ひたぎと付き合うことになる1ヵ月前。

4月末から5月頭にかけたゴールデンウィークと言う名の大型連休9日間。
阿良々木暦の恩人であり、同級生の羽川翼は猫に魅入られた。

その怪異の名・「障り猫」
幸福を呼ぶ「招き猫」に相対する存在として、不幸を呼ぶ銀色の毛皮をした尾のない猫。

道端でボロボロになった猫の死骸を装い、それを埋葬した善良な人間の心の裏側に入り込む怪異。
その猫に魅入られた人間は、心に秘めた鬱屈した闇を開放してしまう。
他人に「触る」ことで生気を吸い取り、「障り」を起こす。

怪異としての知名度も格も決して高くない「障り猫」。だが、魅入られたのは完全無欠の委員長・羽川翼。
彼女の知性を身に着けた猫は、妖怪怪異のオーソリティ・忍野メメをもってしても手の出ない怪異「ブラック羽川(命名・忍野メメ)」へとレベルアップしてしまっていた。

障り猫から翼を救うため、暦は動いた。
だが、それは翼の閉じ込めていた心の闇を深く知ることと同じであった。

翼の闇。 
すなわち、翼の家族の問題は、暦の想像を超えて翼の心に圧迫し、削り、病ませていたのだった。

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このシリーズのレビューを書いていて、いつも思う。 

「あらすじだけ書くと、なんか格好良い。」


さて、今作もシリーズ恒例のアホ雑談満載で御座います。
で、今回の目玉は、兄・暦と妹・月火の冒頭から80ページに及ぶ 「恋って何だろうね、月火ちゃん。パンツって白が良いよね、お兄ちゃん。」談義(笑)。
「黒い下着はそんなにエロくないよね。」で、中二の妹とハイタッチをし、恋愛相談の中で妹の胸を揉んで「お前の胸が、僕の手のひらを揉んできた。」と豪語する主人公・阿良々木暦。

あれ? 
なんだろう。このアニメ化を絶対拒否した内容は。
メディアミックス出来るものならやってみろ。とゆーー、西尾維新からの挑戦としか思えない。

でも、アニメ化しちゃうんですよね? >シャフトさん!!
などと、ラノベを読みながら叫びたくなる33歳男。

この時点で既にダメ人間マックスかつチキンマックスの阿良々木と同等か、それ以上のダメさを自分の中に見出さずにはいられない。


さて、少し真面目な感想をば。

この猫物語の中で、阿良々木君の中の羽川翼への想いはある確かなモノに変わった。
それは、尊敬であり、思慕であり、微かな恋心だったモノが、相手の為に死ねる、死にたいという決意に変わってしまった瞬間でもあった。
その瞬間、阿良々木君の中にあったかも知れない、羽川翼への恋心は永遠に失われてしまった。

この阿良々木君の心情の変化は、小説の中で読んでいると納得で、男の子的には格好良くて、その後の展開もこの決心があってこそのモノなんですが・・・

翼の想いを考えると、切なすぎて泣けてくる。

この暦の心境の変化は、暦が勝手に自分の中で翼へ想いを昇華させてしまい、想いを伝えることなく勝手に失恋して、勝手に納得しているワケで。
翼にしてみれば、暦が自分に恋心を抱いてくれていたことも、愛と呼べる想いを抱えていることも、それを生涯伝えない決心をしてしまったコトも、知らないまま。

しかも、この暦の心が変わってしまった9日間の記憶を失っているなんて。

それは、「あれ? 私たち、このまま付き合うんだよね?」と確信にも似た執行猶予期間だった2人の間に、突然に越えられない溝が生まれてしまったのと同じ。
甘い執行猶予を楽しんでいた間に想い人の心は変わり、自分が行動に移る前に鳶に油揚げが攫われていく。

この状況は次の煉獄を連れてくるに充分だと確信してしまう。

てか、最後に忍野が阿良々木君に「結婚しちゃえば。」と声をかけた時、ほとんどの読者が「そうだ、結婚しちまえ。」と思ったに違いない。

僕は阿良々木君の彼女である戦場ヶ原のファンだけど、神原の予言通り「なんだかんだで最終的には翼と結婚してる。」に一票を投じてしまうなぁ。

ねぇ? >D樹 メケちゃん


でも、良く考えれば、翼の知性とか読みが完全無欠みたいに忍野は言うけど、阿良々木君の変化を読みきれず、自分の心も把握仕切れなかった翼は、誰がなんと言おうと普通の女子高生だったんだろう。

know_the_base at 14:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)