転職

July 01, 2019

転職のまえに ノンエリートキャリアの活かし方

転職のまえに (ちくま新書)
中沢 孝夫
筑摩書房
2018-08-07



転職のまえに ノンエリートキャリアの活かし方
中沢孝夫 著
ちくま新書 2018年


ほとんどのビジネスパーソンの仕事人生には何度かの「転機」がある。
そして、そこには「このままでよいのだろうか」という問いがある。
20歳のときの「夢」、30歳のときに知った「現実」も、時間と共に修正される。
それは自己の成長の結果である。
子どものときの被服がすぐに身の丈に合わなくなるように、「志」も「目的意識」も変わるのだ。
さまざまな天気や転換を、中小企業から大企業までの豊富な事例とデータをひもときながら、次の一歩を踏み出す前に一緒に考える一冊。

1944年生まれ・御年75歳の著者は高卒で郵便局に入り、労働組合の専従職員を経て、45歳で立教大学法学部に入学、その後1100社の聞き取り調査を行ったという経歴を持つ。
天下国家や時代といったマクロではなく、個人個人の人生というミクロ領域の専門家。

著者の経歴、紆余曲折なんてモンじゃない。


その価値観の根底に見え隠れするのは

1960年代は生活も給料も酷いものだった。
今は実質最低賃金1000円超であり、月に16万程度は基本稼げる。
2018年の有効求人倍率1.5倍は、恵まれた時代。
海外の本当の絶対的貧困を知ってると、日本の相対的貧困なんてちゃんちゃらオカシイ。

という価値観がチラチラ見える。
こと「転職」をテーマにした本で、作者のその価値観が見えてしまうと、何とも言えない気持ちにはなる。

なぜなら、そこから導き出される仕事観というのは・・・・お察し。

どんな環境でも働き、その働いた日常が繋いで繋いで繋がって、それが人生。
まぁ、分かるけどね。
分かるけど、欲しいアドバイスはソレじゃないんだよなーっていう。


ちなみに、著者が世の中を単純化した大風呂敷(マクロ論)が嫌いと言うのも、非常に良く伝わってくる。

確かに著者が言うように、「単純労働はAIが人間にとってかわる」なんてのは具体的にミクロで考えていくと「本当かよ?」と思う。

新幹線の清掃のような仕事がAIに置き換わるってどういうこと?
ロボット化?

ドローンで配送と言っても、「受け取りは?」「住宅の上も飛ばすの?」「マンションは?」と考えていくと、具体的には良く分からない。

単純労働がAIに置き換わるにしても、本当に具体的に「この仕事はこう置き換わる」というイメージが提示されることが少なくてイメージ出来ない。

著者曰く「マクロ論者は、実際の仕事が分かってない。」
まぁ、確かに。

囲碁や将棋のような一定のルール下でやる競技でAIが人間を負かしたからと言って、だから何だというのは確かにそうだ。
実際の仕事は、将棋盤をひっくり返すような事象や相手に対応しなきゃいけないのだから。

自動運転やAIが人間に取って代わる世界というのを「いずれ」や「かもしれない・可能性がある」を語尾に入れて論じるのは、「宇宙には無数の星々があるのだから、どこかには人間のような知的生命体がいる可能性があり、いずれそれは見つかる。」といった話と大して違わない。確かに。



「転職のまえに」というタイトルではあるのもの、本の中で転職自体の扱いはそう大きくない。

「職業人生の中で転職っていう選択肢もあるよね。しても良いし、元の仕事を続けても良いよね。」
「成功する転職は目的意識がある転職。失敗する転職は逃げの転職。」
くらいのもの。

結論として「転職のまえに」どうすべきかと言えば、あらゆる学びを続けて自分の器を大きくしろ。以上。


「確かにね。」と思う部分もある。
随分と主観でぶった切ってますね。とツッコミたくなる部分もある。

結果、「転職のまえに」というタイトルで手に取った正直な感想としては、「思ってたんと違う。」




know_the_base at 23:38|PermalinkComments(0)

October 08, 2006

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』を読んで

『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』

光文社新書  城 繁幸 著

―年功序列は終ったと言われて久しい。いまや、上場企業の約9割で成果主義が取り入れられている。とすれば、やる気と才能、そしてハッキリしたキャリアビジョンさえ持ち合わせていれば、若くても活躍できる時代になったのだろうか。いや、そんなことはない。状況はむしろ逆だ。いまの時代、汗水たらして働いても、若いときの苦労はけっして報われない。下手をしたら、一生下働きで終る可能性もあるのだ―「3年で3割辞める」新卒離職率、「心の病」を抱える30代社員の急増、ニート、フリーター問題・・・。(本著より)

 戦後60年を数え、バブル経済の崩壊からの再生を見せる日本。しかし、明るい光の影で、収入格差の拡大、ニート、離職率と若者を取り巻く職業環境は悪化の一途を辿る。
 その問題の原因は何か?『最近の若者は我慢が足りないから?』本当に、ここ10年間で若者の忍耐力は劇的に低下したのだろうか?
 筆者はこの問題の根幹を『昭和的価値観』から脱却できない既得権益を握り締めて離さない年老いた日本社会そのものが若者を騙し、搾取する為だと見る。

 本著は一概に「年功序列への反乱」を促すわけではなく、「何の為に自分は働くのか?」をそれぞれの個人が考え、見極め、その目的に沿ったレールに乗るべきだと、そして、もし、自分の人生にとって必要であればレールを下りて、自分の足で歩く必要性があるだろうと喚起している。
 ただ、その一方で、そのレールが「今、つらい思いをして頑張れば将来必ず見返りがあるぞ」と目的地に向っているかのごとくに若者を騙し、搾取するのは許せないと訴えるのだ。


 自分自身、社会に出て6年目。まったく自分の仕事に疑問を抱かない、転職を考えない、などと言うのは夢物語だと骨身に染みて感じている。だからこそ手に取った本でもある。
 それほどに突飛な事を書いた本でもないが、きちんと地に足の着いた考察に基づいていて、僕の考えの補強材料となった。

 結局は本人がどうしたいかに尽きると言う話。

 今の社会は欺瞞に満ち満ちていて、若者は搾取されているのだから、自分で真剣に自分の人生を考えて、行動すべきは行動しなければ搾取されるだけの羊で終ってしまいますよって話。

 正直、自分がどうしたいのかが一番分からん。安定を望んでいるのか、仕事のやりがいを求めているのか。
 やりがいは欲しいが、あんまり酷い冒険も困る。そんな都合の良い話は無いって話。

 結局、動けんって話。

 自分で餌の捕れない狼は羊に紛れて草を食むしかない。

 僕は他人を食い物にせず、でも、ゆったり生きて、他を寄せ付けない象に憧れる。

know_the_base at 07:54|PermalinkComments(2)TrackBack(0)