NHKザ・プロファイラー「独裁者か?英傑か?大老井伊直弼」を見ました。

安政の大獄で悪役イメージが強い大老であるが、しかし彼の開国の決断がなければ、日本は外国に占領されていたかもしれない。アメリカの開国要求をけとばしていたら、日本の何処かが香港になっていたかもしれないという面もあると考えて、「独裁者か、英傑か?」を考えた番組です。

 

 

安政の大獄は恐ろしい弾圧だった、というイメージが強いのですがその実際の結果は、死罪8人、処罰100人超であって、他国の粛清と比べると意外に小規模だったたことを記しておきます。

また現在悪役イメージが強い理由としては、明治政府が意図的に悪人のレッテルを張ったためのようです。

明治政府の要人の中には、攘夷運動をした人が多く、安政の大獄で、自分たちが弾圧された恨みが深かったためだと言われています。

 

参考年次

1853年;ペリー来航

1858年;大老就任;日米就航通商条約;違勅調印

1860年:桜田門の変で暗殺さる;享年46

 

 

私の感想;大老悪役イメージの分析

 

開国しないで済ますことは考えられない

井伊直弼を考える時には、歴史の大勢から考えねばならないと思います。

日本はあの時期に、開国しないで済ませることが出来たか?ということです。

現在我々が過ごしているこのような生活をしているのは、開国したお陰でした。

この時に開国しないで済ませることは考えられません。

異国から開国の要求を受けた国で排外意識が生まれるのは自然な現象で、中国、朝鮮にも見られますが、どの国もその後開国しました。

中国にも朝鮮にも攘夷運動が有りましたが、そのために近代化が遅れ、早く開国した日本が近代化の先頭を走ることが出来ました。

だから大老の開国判断は正しかったのであって、攘夷運動をした薩長の志士たちこそ間違っていたのでした。

 

維新の元勲の間違い

明治維新に成功するやいなや、超スピードの近代化を進めた薩長の権力者は、自分たちの過去の過ちを反省するのが当然なのに逆恨みして、大老を悪者にした歴史を作るのは間違っています。

維新の元勲が、井伊大老を悪者にするのは間違っています。

大老が開国したことを非難できるはずがありません。

攘夷の志士を弾圧したことも非難できるものではありません。

歴史認識として、大老の開国判断に少しも問題は在りません。

 

現代日本人に残る悪役イメージ

それではなぜ今でも大老に悪者イメージが付いて回るのでしょうか?

 

強いて考えて見ると、我々現代日本人には、今でも異国アレルギー感情があって、大老に対して反感を持っているのかもしれません。

太平洋戦争は潜伏していた、攘夷感情の暴発かも知れません。

 

現代日本人の意識下に攘夷感情が潜んでいるかもしれません。

ここに私は、現代日本人に存在する歴史認識の矛盾を強く感じます。