Yosemite climbing RanjorRock NutCracker5.8

2022.08.11

前日のCentral Pillar of Frenzyで多少の疲労感を残しつつ、ロングトレイルでむくんだ足の踵はズタボロにはがれていたが、テーピングをして何か簡単なルートでも登ることにした。

ヨセミテの初級マルチとして、人気のあるルートのNutCracker5.8を選んだ。

IMG_0733IMG_0734









登ってみて人気な理由がうなずける。

アプローチが極端に短く、快適なクライミングの中にも様々な要素が含まれており、トップアウトした後もヨセミテの壮大な景色を風を浴びながら感じることができる。また、下山も道が明瞭で快適だった。


以下、山行記録

Camp4をでて10分程で駐車地に到着

IMG_0760









6時55分 準備をすませて出発

7:00 取りつきに到着、アプローチが5分未満!!

取りつきにはベアボックスがあり、そこに不要な荷物はデポする。

1P目は1段あがった立木の部分からのスタートとなる。
すでに他パーティのFixロープが残置してあったが、気にせず登り始める。

7:15 1P 5.8 石橋
いきなり核心ピッチとなる。
コーナークラックを登っていく。フィンガークラックからコーナーが覆いかぶさるようなハングとなるが、そこはレイバックで越えていく。
烏帽子岩のゴールドフィンガーを左右逆にしたようなルートだった。
人気ルートのため、一部花崗岩が磨かれている。石橋君は「とぅるとぅるやー」といいつつ安定して抜ける。

IMG_0764









コーナーでロープがひっかかりやすくランナーは長めにとるとよい。
終了点はカムで決める。

石橋君が登っている間に、フリーソロ男が現れた。
「スクランブリングで簡単なルートを登るんだよ。」と話していたが、わりかし立っている岩の上を走って超えていき、石橋君が1P目の終了点につく頃には見えなくなっていた。

IMG_E0762




こわ。



8:20 2P 5.4 林

V字溝のランペをトラバースしていく。
フリクションはよく快適。歩きみたいなルート。
広いテラスでピッチをきる。
終了点はクラックにカムや大岩にスリングをかけて作る。

IMG_0768









8:50 3P 5.7 石橋
テラスからフェイスに1歩を踏み出した後、まっすぐに伸びたハンドサイズクラックを登る。クラックやフレークが多数あり、登りやすそうなラインをみつけて登っていく。スリングの巻かれた終了点があるため、そこでピッチをきる。


IMG_0771










9:20 4P 5.8 林
バルジ上に膨れたフェイスを右から左上しつつ登る。快適なハンドクラックが続く。
どこでピッチをきるか迷うが、5P目の凹角を抜けるラインがわかる場所で切った。
足場が結晶化した尖った岩で靴を脱いでも休まらない。
IMG_0773










10:50 5P 5.8 石橋
アンダーガバを左にトラバースし、傾斜が強くなる凹角を登るが、案外足や手もしっかりあり、快適に登ることができる。乗越はマントルで。乗越したら、もこもこと隆起した岩が両サイドにありステミングで登っていく。多少ランナウトする。
IMG_0778IMG_4736












11:50  TopOut
トップアウトするとキャンプもできそうな広いテラスになっており、言わずもがな景色は最高だ。

IMG_0784IMG_0786






テラスの奥をクライムダウンすると明瞭な踏み後のあるトレイルにでる。

12:20下山
およそ15分程で下山が完了した。

◎ギア
キャメロット(0.5~3番)2セット
スリング多め


Yosemite Central Pillar of Frenzy 5.9

2022.08.10

ヨセミテに入ったその日はテン場の確保に追われて気づけば夕方になってしまっていた。
夕陽に照らされたヨセミテの岩々は早く登ってくれと言わんばかり。が、アルコールの誘惑を振り切れず、この日は宴会に甘んじた。
7DA8EEBD-A8F6-4CB0-A4FC-D5ADC0C69302

翌朝、帰国する林さんのJMTパートナーが乗ったバスをなんとか見送って、足早にCentral Pillar of Frenzyへと向かった。

壁の前を通る車道から遊歩道を歩くこと3分。カラビナマークのビッグウォールサインが示す小道を上がると、大きな壁が目の前に立ちはだかる。
497D9101-ADFE-4658-A85B-67918861D012

見上げてても山頂の見えない壁。振り返るとエルキャップが背後に迫る。ついに、ついに夢の舞台へやって来たのだ。
CDFD684C-2382-48A9-A1A5-63B74AC53FA0

高鳴る鼓動を抑えつつ、着々と準備を進める。でもやっぱりドキドキが収まらないのでソワソワする。

1P 10:10 5.9 石橋
はじめは快適な凹角のクラックだが、次第に細くなってゆく。スタンスも上部はピッカピカに磨かれているのでかなり怖い。が、ヨセミテを登っているのだというワクワク感の方がデカい。
16B45D52-12DB-496B-A62F-D82E795202E5

2P 11:40 5.9 林
フィンガーサイズのクラックルート。クラックの中に鳥の巣があってそれを潰さないように登るのが核心。
8990C7C9-1BA1-4D5C-9465-F11564F68993

2BE9E423-2D6F-4149-BE3C-FFB10B71EDA9

3P 13:10 5.8 石橋
核心の下部2ピッチを終え、ナメて取り付いた5.8のハング越えでボロボロにやられる。
ハングを超えた先も開き気味のクラックで気味が悪い。果てには大きめのカムを切らせて最後はランナウト気味で終了点へ転がり込む始末。 まだまだ未熟すぎる。。。
43D5614B-1E8D-4DDB-AA6A-10D96EA18D7D

4P  15:00 5.8 林
先ほどの5.8とは比べ物にならないほど快適なクラック。アメリカのグレードの幅広さはピカイチだと思う。
0DA36460-9E2B-4F73-BD0F-877E61CD04EC

5P 16:00 5.6 石橋
ビクトリーロードならぬビクトリークラック。最高の景色の中、少々長めの快適なクラックを登る。 
CCDBEC95-9037-4833-90C4-4B9D65612136

17:20 トップアウト。下降開始。
当初はルート左側のラペルステーションを経由して下降する予定だったが、トップから次のラペルステーションが確認できなかったため同ルートを下降。 
疲れで注意散漫としていたのか、末端を結んだままロープを抜いてしまう痛恨のミス。誰もいない終了点に引っ掛かったロープ。ヘトヘト過ぎて取りに行きますと言い出せぬ惨めな自分と違って、ささっと登ってささっと帰ってくる林さんは本当にCoolな男なのでした。

A4EE82AC-5360-4F5A-9389-60FA29B54623

Bishop climbing

こんにちは林です。

JMTを歩き終えて、会友の石橋君とヨセミテでクライミング!!

と行きたいところだったが、ヨセミテに車で乗り入れするためには事前予約が必要となる。

入山予約できた日まで、しばらく日数があったため、Mt.Whittneyへの玄関口の街Lonepineで周辺のクライミングができる場所の情報収集をした。
その結果、BishopがYosemiteに向かう道中にあることを知り向かうことに。

ボルダーをされる方なら、名前を聞いたこともあるエリアかと思う。
まさにボルダー天国と言われる程に無数にルートがある。
調べるうちに、リードができるエリアも存在することが分かった。

下山した日はホステルでゆっくり過ごし、翌日も雨が降ったため、写真の整理や今後の予定を立てたり、クライミングに関する情報収集、買い物に行ったり、観光を楽しんだ。

ちなみに、Bishopで泊まったホステルはTheHostelCaliforniaという名前で共同スペースのリビングやダイニングにはクライミング関連の歴史的な道具や書籍が立ち並んでおり、クライマーのためのホステルと言っても過言ではなかった。

IMG_2675IMG_2664IMG_2663

















また、このホステルの庭には立派なマリファナが植えてあり、夜な夜なスタッフたちはガレージでマリファナパーティーを繰り広げていた。このことをぼくらはマリパーと呼んだ。

IMG_2662












この手の薬物に詳しい方々は、すでにお察しの方もいるかもしれないが、このホステルの名前。
TheHostelCaliforniaを略すとTHC。

このTHCは薬物検査などで大麻を表す言葉となっている。

自由の国アメリカの遊び心にあふれたホステルは洒落が過ぎていた。

興味がある方は泊まってみてください。笑

さらにこのガレージにはハイカーボックスもあり、その中には食料だけでなく、クライミングマットや靴などもあった。

ぼくは、その中からなぞに置かれていたアルトラの新品の靴を入手した。
ロングトレイルでソールが減っていたため、本当に助かった。
一緒に泊まった二人もそれぞれ、ホカオネオネの靴やキーンのサンダルなどを手に入れていた。
もちろん、マリファナの香りつきだ。

話がそれすぎたが、Bishopから近いクライミングエリアとして2つの場所に行ってきた。

①OwensRiverGorge
②PineCreek(ScheeliteCanyon)


どちらもアプローチは短く快適なクライミングエリアであった。

クライミングエリアやトポの入手は、そのエリアの近くの登山用品店にいくとよい。
他にもマウンテンプロジェクトというアプリを事前に入手しておくと、写真やトポの情報、ルートのボルト数などを記していたり、のぼってみての感想なども書いてあり、参考になる。
でも、ボルト数は適当に書いてあることが多く、きちんとオブザベ等をしておくことをお勧めする。


◎OwensRiverGorge

●アプローチ:Bishopから20分ほど。駐車地から車止めの柵を入り5分程車道を歩く、渓谷に降りられるふみ後があるため下る。およそ10分程でエリアには到着。

IMG_2667





●雰囲気:ゴルジュ地形の川沿いのエリアで涼しい。ルートは数百本もあるらしい。ルートによっては、川でビレイするんかな?というのもあった。

IMG_2666IMG_2665



















久々のクライミングで気持ちが高まる。

しかし、日本で履きなれたクライミングシューズがはけない。

おそらく、ロングトレイルで歩きすぎて、足がむくみ、そのうえでピザやハンバーガーを食べたことで足がパンパン腫れ上がっていたせいだ。

簡単なルートで身体を慣らしていく。

IMG_2668


















プロテクションや終了点は、ところどころ不思議なものが設置されていたり、これで大丈夫なのかと疑いたくなるものも多かったが、アメリカでは普通らしい。

なんとも恐ろしい。


翌日にいくエリアもBishopから近いが、それよりも近く安いキャンプ場BimHortonCreekCampSite(8ドル/泊)があったためそちらに泊まった。

IMG_2678








そこでも濃ゆすぎるおじさんに遭遇。
薪とビールとギターで弾き語りのオリジナルソングをくれた。

毎日が面白いの連続だ。


IMG_2676IMG_2677













◎PineCreek(ScheeliteCanyon)

2日目に行ったこのエリアは、賑やかな場所だった。

静かにクライミングを楽しむというよりは、アメリカ人のクライミングに取り組む姿などがみれて、雰囲気もいいエリアであった。

日本人のぼくらにもフレンドリーでメロンをくれた!
IMG_2670







犬を連れてきていたり、子ども連れであったり、ピクニックのように2,3時間で帰っていく人もいたり、それぞれが自由に楽しんでいるんだと感じられた。

●アプローチ
Bishopからは車で20分程。キャンプ場からは10分程で到着。
駐車地にとめて、ぼくらが行ったエリアは歩いて10分程。快適な登山道沿いにある。

IMG_2669












●エリアの特徴
草木の生えた広い渓谷に1本の細い川が流れており、その左右に無数のルートがある。
シングルルートだけでなく、壁の高さがでている場所では3,4ピッチ程度のマルチピッチが可能。

IMG_2672










5.9をアップで登ったが、無茶苦茶ムズイ、かなりハードやな。
これが、本当のアメリカグレードなんか?と思っていると、

地元のクライマーが「ハードな5.10dだよ。」と笑いながら教えてくれた。

そのあとは、やさしいルートを数本触って、
5,11cの星付き課題を触ることにした。

5.10bのセクションを終えて、ハングを豪快に超えて、最後はスラブに移行していく。

ハングが核心となるが、何度もフォール。結局レッドポイントできずに泣きの回収。

IMG_2671












トライしているときに、地元の女性クライマー陣が「cool」と言ってくれた。

それは、僕のことが好きということですか?と思い違いする程にきれいな人だった。

アメリカって最高やな。

以上、通りすがりのBishopクライミング思い出投稿でした。

2022.08.06-07

IMG_2674



JhonMuirTrail ②

JMT 後半105mileの山行記録です。

IMG_0522












あいかわらず、ダラダラと長い記録ですので、写真だけでも覗いて行ってください。


2022.07.22  JMT10
 ミュアトレイルランチからマッククルーメドウ(10.8mile17.28km

前日に豪華な食事を摂ることができたが、今後はリサプライができない100mile(160km)となる。
もし、リサプライをするなら、1日以上かけて町にいくことになる。僕らは、リサプライをしないという選択をしたため、今後は食料もガスも節約をしながら、歩かないといけない。
このころになると荷物の重さに対する耐性がついており、景色も楽しみながら歩くことができた。

この日はシエラナショナルフォレストからキングスナショナルパークへと国立公園をまたぐことになる。

IMG_0247






IMG_0254










また、ここにはJMT名物の橋も何もない渡渉ポイントがある。


多くのハイカーは勇敢にも靴のままバシャバシャとわたっていたが、僕はマメができるのが嫌という理由でサンダルで渡渉した。

アメリカのトレイルは、できるだけ人工物を設置しないようにしているらしく、渡渉ポイントでは倒木や石をつんでいるところがよく見受けられた。
自然を自然のままに。とてもいい考えだ。

IMG_0273







2022.07.23  JMT11
 マッククルーメドウからワンダレイク(8.2mile13.2km

川が流れる牧草地の近くにテントを張った僕らはその渓谷沿いに朝もやのような景色をみて、綺麗だなと思って川沿いにでてみる。

なんとなく煙臭い。近くにいた女性ハイカー(
Catherine)が、山火事かもしれないと話し、しばらく停滞することに。停滞している間に、日本茶を振舞ったり、一緒に話をして過ごした。
9
時頃になると少しだけ煙が晴れたように感じた。レンジャーステーションにいくと別のエリアでの火災という張り紙があり出発した。

IMG_0284











レボリューションレイクで
Catherineに再会すると、「あなたたち、トレイルネームあるの?」と話しかけてきた。
トレイルネームとは、ロングトレイルを歩いて出会った人につけてもらうニックネームのようなものだ。
ないことを伝えると、ぼくに「チップマンク」というトレイルネームをつけてくれた。由来は、一緒にお茶をして過ごしているときにリスの絵をかいて、リスの英語をなんというのか聞くと、ぼくが書いたリスの種類がチップマンクというものだったらしい(チップとデールのチップらしい)。

LZGSE6946










IMG_0289






なんとも可愛らしいトレイルネームがついてうれしかった。
パートナーは、「スマイリー」という名前をもらっていた。このネームに関しては、友達の彼女の写真をみて、特にいうことがなくて、苦し紛れに「なんか優しそうな人だね。」というノリでついたような名前にしか思えなかった。

でも、念願のトレイルネームがついて、とっても嬉しかった。


2022.07.24  JMT12
 ワンダレイクからルコンテ(9mile14.4km

ワンダレイクをほどなく歩くとミュアパス(3650m)という峠に到達する。そのミュアパスには、ミュアハットというJMT唯一の避難小屋が設置されている。スナフキンが住んでいそうな可愛らしい小屋だった。

IMG_0301






その近くのヘレンレイクで石切りをして遊んだが、3投ぐらい投げたあたりで息切れが激しかった。
以外と標高は高く、ミュアハットで3650mあるから当然っちゃ当然だった。

IMG_0314



ROCK MONSTER


IMG_0328






2022.07.25  JMT13
 ルコンテからパリセードレイク(10.6mile16.9km

パリセードレイクにあがるためのゴールデンステアケース(黄金階段)は、名前の通り素晴らしい形式が広がってたけど、長くてしんどかった。

IMG_0339






2022.07.26  JMT14
 パリセードレイクからベンチレイク手前のフォード(9.5mile15.2km

トレイルを歩き始めて2週間が経った。
マザーパス(3688m)で出会ったTIMは日本メディアでも働いた経験もあるらしく、日本のことが好きだから君たちにあえてうれしいよ。と話してくれた。
その日は、もう少し先のテン泊地を目指す予定だったけど、TIMのおすすめの場所に泊まった。
水場も近くて、すんごい快適だった。ありがとうTIM!

IMG_0354IMG_0363IMG_0379









2022.07.27  JMT15
 ベンチレイク手前のフォードからツインレイク(5.2mile8.64km

この日は、サイドトレイルをちょこっとだけ歩いてベンチレイクというところに行ってきた。このトレイルは、あんまりメジャーじゃないのか自然にかえりつつあったけど、静かな湖畔でとてもいい場所だった。特に何もせずにぼーっと過ごした。

IMG_0436






この日、ピンチョパス
(3672m)というところを越えたが、雨に打たれ、雹に打たれ、雷雨になって大変だった。
目的地より手前で、雨が止んだため、早めにテントを張ることにした。ただ、ぼくのテントは、四方が通気性抜群のメッシュ状になったシングルウォールなため、雨が降ってくると雨が余裕で侵入してくる。頼むから雨よ降らないでくれと思いながら就寝。

2022.07.28  JMT16
 ツインレイクからバクスタークリーク(7.3mile11.68km

前日の雨は、曇り空でくすぶっていたが、どうにか持ちこたえてくれて雨の被害もなく過ごすことができた。カリフォルニアで雨に打たれることはまずないだろうなと思っていたけど、危うかった。
やれやれと思いながら、テントを撤収したが、前日の雨が嘘のように結露もほとんどなく、地面も乾いていた。さすが、乾燥大国。
撤収した後に歩き始めてまもなくすると、トレイル上でアメリカ人の親子が先の方をみて潜んでいる。ゆっくり近づいてみると、ブラックベアが子どもと何かを食べている。初めてみる野生の熊に興味はあるが、恐怖感もある。距離としては15mほどであったが、静かにそばを通りすぎる。貴重な体験だったと思う。

タイトルなし











この日も、夕方から強めの風が吹き始め、前日の雨が降り始める前の似たような気象となってきたため早めにテントをたてて夕食も早めにすませる。
案の定、夕食を食べ終わったあたりで雨がふりはじめた。
カリフォルニアでも雨は降る。。。

2022.07.29  JMT17
 バクスタークリークからブルフロッグレイクトレイル(9.2mile14.72km

この日は、疲労のせいか、雨に打たれたせいか、熱がでた。手持ちの解熱剤を飲んで歩く。
トレイルを歩いている途中で熊をみたら、レンジャーに報告するように言われていたため、ラエレイクのレンジャーステーションに報告するために立ち寄った。ノックをすると、金色のひげを持つレンジャーが顔をだす。彼に地図をみせて、ここに熊がいたと話すと、「OK、ありがとよ。これから峠超えるのか?がんばれよ。」と応援してくれた。

ただ、彼のひげには、べっとりと濃厚なチーズがついていた。

こっちは、朝昼オートミールで、夕食にラーメンかα米のみ。その上、熱も出しながら歩いている。
そんなことをこのレンジャーは知らないし、ぼくも好き好んでトレイルを歩いている。
どこにも向けようのない強烈な感情が沸き上がる。

早くハンバーガーとピザをコーラで流し込みたい。。。

IMG_0127












2022.07.30  JMT18
 ブルフロッグレイクトレイルからバブスクリーク沿い(4.4mile7.07km

前日の発熱は持続。解熱剤を飲んで、少しでも歩く。

バブスクリーク沿いで、トレイルの反対側から黒い物体がこちらに向かってまっすぐ向かってきている。

熊だ。
IMG_E2659 (2)






ぼくらは、ゆっくりゆっくり後ずさりする。

後ろを歩いていたアメリカ人(グレッグ)にも熊が来ていることを伝え、3人で後退する。

どんどん熊に距離を詰められたため、トレイルを外れて藪に入るが、こちらに近づいてくる。

JMTを歩くときに、パークレンジャーから熊に遭遇した場合は刺激を与えず後退し、それでもだめなら両手を挙げて身体を大きくみせるように言われていた。

ぼくら3人は「向こうに行け!」と心で叫びながら、なさけなく手を挙げることしかできなかった。

すると熊はその場で立ち止まって、じっとぼくらを見つめ続ける。

その距離10m程。怖すぎる。

なんとも言えない時間が過ぎる。

しばらくすると、熊はトレイルを外れて、ぼくらとは反対の斜面を駆け上がっていった。

その後は夢中でトレイルを歩いて、ひらけた場所でグレッグと3人で助かったことの喜びを分かち合った。

IMG_0444











この日は、体調を整えるため、距離は延ばさずに午前中にはテン泊地に到着しゆっくり過ごした。


地面に枝で碁盤を作って、松ぼっくりと石でオセロをしたり、近くの河原で洗濯や魚を獲りをした。
久々にやるとオセロは案外面白かった。


IMG_0449IMG_0470







ベアボックスは椅子にもなる。


2022.07.31  JMT19
 バブスクリーク沿いからシェファードパス(8.5mile13.6km

体調はぼちぼち。熱もそんなにひどくない。

フォスターパス(4011m)を午前中のちに越えると、谷合の中を1本のトレイルがどこまでも続くトレイルが見えた。

IMG_0485











このフォレスターパスは、すぐ近くのジャンクションピークという山からでる3本の尾根の一部が峠を作っている。また、この3本の尾根は、キングスナショナルパークとセコイアナショナルパーク、シエラネバダナショナルフォレストの分岐となっている。


まさに国立公園のジャンクション(分岐)になる山だった。

また、この峠から先のセコイアは、JMTにおける最後の国立公園である。

パス越えすると新たな景色に出会えることに喜びを感じていたため、なんとなく寂しさもある。

IMG_0486







パスであったナイスガイは、アメリカの登山道具に詳しいいわゆるギアマニアだった。アメリカのギア事情やパッキングについて話をきくことができた。

しばらく、ゆっくり過ごしたかったが、ジャンクションピークには雨雲がかかっていたため、先を急いだ。


14
時頃には、ぽつぽつと雨が降り始めたため、テントを早めに立てる。

雨は止む気配はなく、延々と降り続けた。

夕食は、松の木の下でラーメンを立って食べた。

17
時 頼むから止んでくれと思いながら、テントに入る。

2022.08.01  JMT20
 シェファードパスからクラブツリー(8.6mile13.76km

前日の雨は、朝方の4時頃まで降り続けた。

カリフォルニアの大地は、ほとんど水を吸わないため、容易に至るところで洪水騒ぎとなる。

テン泊適地のため、洪水の程度はそんなにひどくないにしても、ぼくのテントは前述したとおり、雨に極端に弱い。

そのため、前日の17時から朝の5時まで浸水したテントの底やシュラフ・マットをタオルで30分置きに
タオルで拭きながら過ごすことになった。

それでも、朝には止んでくれて本当に良かった。

そして、ここまで雨が降り続けた影響もあり、パイン(松)の香りがテン泊地を包み込んでいた。

あの素晴らしい香りは、忘れられない。

気を取り直して、この日はJMTで最後のレンジャーステーションがあるキャンプ場(クラブツリー)に向かった。

雨の影響を受けて、多くの谷には珍しく雲海が広がっていた。

日本では当たり前のようにみれるものも、乾燥した場所ではとても珍しい。

クラブツリーに早めに到着して、前日に濡れたテントを張って乾かす。

その間に昼食やガスの量を確認すると、食料はギリギリ持ちそう。

ただし、ガスは確実に足りない。

そのキャンプサイトにあるハイカーボックスを願いを込めて除いてみる。

食料はあったが、ガス管はない。。。ガーン。

最悪、水でα米やラーメンをバリバリ食べるしかないか。

レンジャーステーションにいらないガス管がない聞きにいくと、扉からでてきたのは、信じられない程の美女なパークレンジャー。

事情を話すと、「いいよ。」と無料で新品のガス管をくれた。

天使!?神やん。美女のやさしさに、髭面の男たちは泣いて喜んだ。
IMG_0505











人は、1人じゃいきられない。と思うとともに、準備不足を恥じた。
IMG_0507












2022.08.02  JMT21
 クラブツリーからギターレイク(8.6mile13.76km

クラブツリーから5㎞程でキャンプ地のギターレイクに到着。
IMG_0533







このギターレイク(
3499m)からはJMTの目的地であるホイットニー山が綺麗に見える場所だ。

猛々しい様相のホイットニー(4417m)は、アメリカの富士山のような山で、トレイル最後のアクセントにふさわしい。

翌日以降のことも考え、トレイルクレスト(4190m)という場所に不要なものだけ荷揚げした。

また、高度順応もかねて停滞する予定にしていたが、雲がかかって霧雨となり、雨も降りだしそうであっため、有効な順応はできなかったが、荷物をデポすることはできた。


2022.08.03  JMT22
 ギターレイクからマウントホイットニー経由でトレイルキャンプ(9.9mile14.84km

ギターレイクを出発し、いよいよホイットニーに登る。
旅の集大成となる。この日は、感情が高ぶることはなく、ごく自然に歩き出す。
前日に荷物をデポしたトレイルクレストに到着し、更に不要なテントやシュラフなどをデポして登る。

マウントミューアを横目にみながら、いよいよホイットニーに到着する前で、ぼくらにトレイルネームをつけてくれたキャサリンに再会!

うれしすぎて、みんなで抱き合って喜んだ。

IMG_0570







振り返ってみると、トレイルの景色は素晴らしかったが、それ以上に出会った人との思い出でいっぱいに包まれていたんだなと思った。


無事に山頂に到着したが、あたりはガスまみれで展望は皆無だった。

何はともあれ、JMTの目的地に到着!!

IMG_0571







IMG_E0578



六甲スピリッツ!!!


その後は、話せば長くなるため詳細は省くが、アメリカの会友とトレイルキャンプ(
3657m)で合流した。

IMG_0592
IMG_0593



トレイルキャンプからみたホイットニー山。


合流した目的は、翌日もホイットニーを再登頂をする。


2022.08.04  JMT23
 再度マウントホイットニー登頂後、ホイットニーポータル(13.7mile21.92km

前日にガスガスの山頂であったため、早朝の雲があがりきらない時間帯で登頂できること目標に登る。

この日の方が、気持ちとしては高揚していたように感じる。

真夜中に出発をする。
気温は氷点下までは下がらないが、ピリッとした寒さに、漆黒の闇夜に白息がはずむ。
まだ、夜空の星も綺麗にみえる時間帯に出発。

IMG_0546






トレイルキャンプを出発してしばらくすると、後方にはちらほらとヘッドライトの明かりが点在してえる。みんな目的地は同じだ。

黙々とあゆみを進める。

徐々に、山頂に近づく。
IMG_0615








それとともに、朝日が刻一刻と景色に輪郭を生み出す。赤く浮き上がる山々の景色がはるか彼方まで見える。

山頂について、寒さと高揚感もあり、3人とも鼻と頬を赤らめながら喜びを分かち合った。このJMTという旅の終焉に、自然と涙がでそうになる。

 
IMG_0600IMG_0613











写真を撮ったり、ココアを飲んだり、もはやこのトレイルに欠かせなかった最後のオートミールを胃袋に流し込んだ。

 

この日の午後は大荒れになる予報だったらしく、早めに下山した。

 

最後はゆっくりしたかったが、天気は待ってくれない。

 

下山口到着目前でぽつぽつと雨が降ってきた。

 

この下山口には、ホイットニーポータルという場所があり、そこではお土産物を購入したり、食事ができる。

 

そのテラス席をみると、もう会うことはないと思っていたキャサリンと再度会うことができた。最後の最後で、ちゃんとお別れの挨拶ができて本当にうれしかった。


IMG_0624

 








土砂降りの雨が降りしきるテラス席で、念願のハンバーガーとポテトとコーラを身体に流し込んだ。

また、ホイットニーポータルの店主が、みんなにお祝いにスイカを切り分けてくれた!
甘くて最高!

IMG_0626

 IMG_0625












誰かが、雨は神様のうれし涙。といっていた。

 

ぼくらのトレイルの最後は神様が大泣きして喜んでいたに違いない。

 

知らんけど。

 

ロングトレイルは、ただ歩くだけと思われる方もいるかもしれないが、その中でも多くの人に出会い、多くの出来事を体験することができる。また、もくもくと歩き続けるということは、自分自身との対話をすることにもつながったと思う。

100人のハイカーがいたら、その100人が同じトレイルを歩くことはあっても、同じ道を歩くことはないと思う。哲学的な話になっているが、正解も不正解もない自らの気持ちで決めた道をただひたすらに突き進むということは、とても気持ちのいいことだ。

 

出会ったハイカー、応援をしてくださった方々、トレイル整備に携わるボランティア、パークレンジャー、素晴らしい体験をともにできたパートナー、そしてジョンミューアに感謝いたします。


IMG_0563

 

JhonMuirTrail ①

こんにちは。林です。

2022
年3月に仕事を退職して、7月からアメリカントリップに行ってきた。
アメリカでは、ヨセミテのクライミング、ロングトレイル(ジョンミューアトレイル:以下JMT)、マウントレーニアの雪山登山、グランドティトンのアルパインクライミングを行った。

その中で、JMTについてまとめていきたいと思う。

 

JMT(ジョンミューアトレイル)は、ロングトレイルの名前である。
人によってロングトレイルという言葉には差があるかもしれないが、このトレイルは211mile(およそ340km)の道のりを5つの国立公園をまたぎながら歩くことになる。

ちなみにジョンミューアは人の名前である。彼は、1870年代のアメリカゴールドラッシュでシエラ山脈を含む自然が森林伐採・ダム建設が進む中、その大自然を守ろうと真っ向から戦った「自然保護の父」と言われる人物である。ジョンミューアがいなければ、シエラの大自然も、ヨセミテもなかったかもしれない。トレイルの名前は、そんな自然保護の立役者であるジョンミューアの名前をとって、その名がついた。

IMG_9800






概要

71日~6日   成田→ロサンゼルス、サンフランシスコ観光、買い出し
7
7日~12日 ヨセミテ、散策、ハーフドーム登山
7
13日     JMTスタート
7
21日     Muir Trail Raunch(Half Mile)
8
4日    Whitney Portal

装備
●for 
alk
シューズ(アルトラtimp3
トレッキングポール


●for Pack
ザック70L(グレゴリーバルトロ)
ザックカバー

 

●Cloth

レインウェア(上のみ)

シャツ2枚

トレッキングパンツ Long1枚 Short2

ソックス3枚

パンツ3枚

帽子1個

 

●ShelterSleep
テント(シックスムーンデザイン)
エアマット(サーマレスト)
シュラフ(NANGA)
グランドシート なし

●Cooking
Water
ストーブ(Soto
ガス缶
クッカー(Sea to Sumitt
カトラリー(箸、スプーン)
ライター
ベアキャニスター(Bear Vault BV500
水筒(飲み口付きのSmart Water0.7L
運搬用水筒(プラティパス2L
浄水器(Be Free
食料、行動食

●Et cetera
時計

ライト
ナイフ
トイレセット
気温計付き簡易コンパス
細引き
手ぬぐい
マップ
モスキートネット
サコッシュ
財布防虫剤(DEET40%以上)
日焼け止め
エマージェンシーキット
許可証

スマホ
iPad
iPencil
GoPro

 


山行記録
コロナの影響で、なかなか海外に行くことができず、3年越しに計画を実行することとなった。
日に日に思いは募るというが、ここまで一つのことに恋焦がれたのは高校時代の恋愛に匹敵すると思う。その強い思いのあまり、記録が長くなった。
だらだとした記録なので、内容よりも写真だけでも見ていただきたい。

アメリカに到着して、サンフランシスコのスーパーや、アウトドアショップで買い出しを済ませた後、大陸縦断鉄道(アムトラック)とバス(YARTS)でヨセミテ入りした。

IMG_9476






人生初のヨセミテは、スケールのでかさに驚愕した。

エルキャピタン、ハーフドームはもちろん深くえぐれた渓谷はとてつもない岩壁をいくつも作り出しており、クライミングの聖地と言われる所以がわかる。

IMG_E9665






しばらく、一人でヨセミテに滞在したのちにJMTへスタートすることとなったが、そのヨセミテで過ごした時間も多くのトレイルを歩いて、ハイカーやパークレンジャーと話しをして充実した日々を過ごすことができた。

IMG_9636











野鳥の鳴き声で毎日がはじまる。ピリッとした寒さだが、沸かしたお湯でオートミール、ココアを作り身体を温めつつ、1日の行程をなんとなく考える。近くには朝食を狙うリスが、走り回る。昼間はトレイルを歩いたり、だらだら寝て過ごす。夕刻になると朱色の光線でヨセミテバレーが照らされ、一面が光に包まれる。陽が長いカリフォルニアでは、その光景は
20時頃まで楽しめる。陽が落ち始めると、空は一気に暗闇となる。
ただ、乾燥した土地には雲がほとんどかからず、空は一面の星で包まれる。
すんだ空気の中飲むチープなウイスキーは格別だった。

ほぼ毎日、そんな日々を過ごした。
ほとんど電波は通じず、大好きなユーチューブやアマプラも見られないけど、何もないこと、ありのままの環境に身を投じられることの幸せを感じた。

IMG_9826











気を取り直してJMTの話に戻る。


JMTは、ヨセミテのハッピーアイルという場所を起点に、マウントホイットニーというアメリカの富士山的な山が最終目的地となる。

JMT
のおすすめ行程として、21日で抜けることを記載されているが、人によってまばらかと思う。ぼくらは、途中の街に食料調達や観光目的で降りたり、現地にいる会友と合流をする予定もあって、23日をかけて歩いてきた。

毎日、手持ちのiPadに日記を書いていたため、そこから抜粋して記録を書いていく。

2022.07.13
 JMT1 ハッピーアイルズ~リトルヨセミテバレー(5mile8km

日本から14日遅れで到着したパートナーとヨセミテで合流し、ぼくらのJMTは始まった。ウィルダネスセンターで許可証を取得し、ハッピーアイルを出発し、今日のテン泊地(リトルヨセミテバレー)に向かう。

IMG_9756







2022.07.14 JMT  リトルヨセミテバレーからサンライズ (8.2mile13)

樹林帯を抜けると山火事で立ち枯れした木々が立ち並ぶ。近くには小川が流れており、そこを中心に草木が再生しており、自然に戻ろうとする底力を感じる。

IMG_9848IMG_9850IMG_9870









サンライズは楽園のような大草原が広がっており、リスやプレーリードックがお出迎え。

テン泊地に到着すると、すでに老夫婦がくつろいでおり、軽めにあいさつをして少し離れた場所にテントを張ろうとすると、あたしたちの見えないところに行け。私たちは静かにすごしたいんだ。と言われた。
別に邪魔をしたわけではないが、テントをたたんで、見えない位置まで移動して再度設営。アメリカの洗礼を受けた。笑




2022.07.15 
 JMT  サンライズからライエルキャニオン(28mile44.8km

サンライズという地名が付くのも納得できるように稜線の彼方から朝日が昇るのをココアを飲みながら眺めて、この日はスタート。
途中、コロンビアフィンガーという中2ぐらい尖った岩山を横目に歩いていると、眼鏡のフレームが折れたが、これも一興。テーピングで補強して問題なく使用できた。この後、一回も補修することなく歩ききって帰国するまで使用できたことには自分でも驚いた。
IMG_9890











IMG_9900






前日とは打って変わって狂ったように歩いた。フルマラソンレベル。

トゥオルミメドウという場所の前後4mileはキャンプが禁止のため、距離をかせごうと思い、足を延ばす決断をしたが、終わってから考えると、もっとゆっくり歩けばよかった。
また、当てにしていたストアも閉まっており、意地でもコーラを飲みたくて歩き回った結果、すさまじい距離を歩くことになった。当然、すさまじい疲労感だった。


IMG_9908IMG_9916








2022.07.16  JMT4
 ライエルキャニオンからシャドウレイク(10.7mile12.6)

ライエルキャニオンの渓谷を詰めていくと、ジョンミューアトレイル最初の峠越えのドノヒューパス。この峠を越えるとヨセミテナショナルパークをでて、インヨナショナルフォレストへと移ることになる。ドノヒューパスの標高は3300mであるが、僕の知っている3000mの景色ではなかった。豊富な水を持ち、湖が形成されており、植物も咲き、とても高所とは思えない景色であった。

IMG_9931IMG_9940IMG_9946









サウザンドレイクアイランドレイクでも、雄大な景色に心を打たれた。

IMG_9975IMG_9958







2022.07.17  JMT5
 シャドウレイクからマンモスレイク(10.7mile12.6km

IMG_9996






早朝出発し、マンモスレイクという町にバスを使って、観光と食料調達(リサプライ)に降りた。この町は、アウトドアをする人の街と言っても過言ではないほどのアウトドアショップが点在しており、その町の雰囲気だけでも味わってみるといいと思う。
IMG_0011










IMG_0016








この日、出会ったお店「
Black DeBock Gallery」はハイカーであれば是非いってもらいたい。このお店は、これまでの道、これからの道で出会う景色や動物の写真を販売しているギャラリーである。
僕は、この店が気に入ってJMTを歩き終わった後に、再訪しお店で写真を数枚購入した。
僕にとって、それほどに、このお店は魅力があると思えた。


IMG_0026IMG_0047











この日は、ゆっくりこの町のホステルに泊まった。

泊まったホステルは、ハイカーが集う場所で、多くのハイカーが夜な夜な情報交換して過ごしていた。
僕らも香港人ハイカーとトレイルのことや自分たちの国のことを話して有意義な時間を過ごすことができた。

IMG_0059






2022.07.18  JMT6
 マンモスレイクからディアクリーク(6mile9.6km

マンモスの街が居心地良すぎて、昼前までゆっくり過ごした。
トレイルに戻るため再度バスに乗り、目的地のデビルスポストパイルナショナルモニュメントという観光地に到着。ここは躍動感のある柱状節理の岩がみられる。

IMG_0082IMG_0086







また、ここはレッヅメドウというリゾート地も併設しており、ここで補給をして歩くハイカーも多い。
ここにはハイカーボックスがあり、ハイカーが不要となったものをおいていって、そのあとに来たハイカーがそれらをもらったりして歩くという文化がある。

IMG_0094











僕たちは、マンモスの街で十分に買い出しができたので、ここでは補給せず、今後出会うハイカーボックスを利用させてもらうことにした。
この日は、そんなに足を延ばさずインヨナショナルフォレストからシエラナショナルフォレストへとの変わる境目の場所にテン泊した。


IMG_0115











2022.07.19  JMT7
 ディアクリークからスコォーレイク(14mile22.4km

パープルレイク手前で、トレイル整備をするボランティアの人たちに出会った。
このトレイルは、整備が行き届いており、ごみも全くと落ちていない。
本当に「人々に愛されたトレイル」と感じるとともに、このような人のおかげで歩けていることに感謝する。

IMG_0120






2022.07.20  JMT8
 スコォーレイクからベアクリークトレイル(15.2mile24.6km

この日はバーミリオンバレーリゾート(VVR)という場所にフェリーに乗って行く予定であったが、下調べ不足で思いっきりフェリーの時刻に間に合わなかった。
フェリーの風に吹かれて、リゾートでハンバーガーとコーラを食べるという思いは一瞬にして灰と化した。無駄に歩いた往復2.2mile(3.5km)で、メンタルをやられた。

IMG_0173






その気持ちを引きづった状態で、そこから歩いた水場のない急登の続くトレイル(5mile8)は鬼のようにしんどかった。


2022.07.21  JMT9
 ベアクリークトレイルからミュアトレイルランチ(13.7mile21.9km

朝起きると、浄水器の蓋が外れており、テントとシュラフ、上着がびしょ濡れになっていた。それにも気づかず寝ていた僕の鈍感力は才能だと思う。
この日は、ペースを緩める予定であったが、前日に食料調達ができなかったため、今後のことを考えると早めにリサプライポイントに向かうことにした。

途中のマリエレイクは美しすぎて、感動した。


IMG_0202IMG_0201







この日、目指した場所はミュアトレイルランチ(MTR)だ。
MTR
の手前に半分の地点となる105mileがある。順調なペースで進んでいることにほっとした。


IMG_0216IMG_0230







MTR
には、出発前に郵便局(post office)から食料をバケツで郵送していたため、それを回収する。MTRのスタッフに到着しているか確認すると、無事に届いていたので一安心。
バケツ開封時は、宝箱をあけるような気分だった。
日本からもってきた鯖缶やはたはた飯、パートナーには内緒で忍ばせておいたコーラを取り出す。2人で喜びのハイタッチをした。
VVRでコーラにありつけなかったため、余計にうまく感じて、脳みそスパークした。


IMG_0235IMG_0237











JMT②に続く。


熊野古道 中辺路一人旅

山行日  20221018~23

山域   和歌山県 熊野

活動内容 縦走

メンバー 須川雄

熊野の山々を望む




「百間ぐらからの眺望」(4日目)

いにしえの平安時代から自然崇拝の信仰として歩かれていた熊野古道。京都を出発点に大阪~和歌山まで横断する紀伊路。そこから熊野三山まで海岸線を歩く大辺路。複数あるルートの中で熊野詣での一般的な参拝道である紀伊半島を横断する中辺路(なかへち)。歴史や自然を感じながら中辺路を歩いてきました。

 中辺路




「中辺路概念図」

1日目 1018日(火)  行動時間4時間 距離13㎞ 晴れ

JR摩耶駅(620分)→JR紀伊田辺駅着(1150分)→秋津王子(1255分)→万呂王子(1350分)→三栖王子(1420分)→八上王子(1515分)→稲葉根王子(16時)

・神戸から普通列車でのんびりと景色を楽しみながら南紀白浜の手前にあるJR紀伊田辺駅まで。紀伊田辺駅には熊野観光センターが併設されており、熊野古道の街道マップなどを入手できる。

田辺の市街地を抜けて田畑に囲まれた田舎道を歩く。大阪から熊野までの道中に散在する九十九王子という熊野権現の分社を巡る。九十九王子は難行苦行の信仰の道を繋ぐために設けられた休憩所や宿泊所で実際は九十九ヶ所以上ある。各王子までは標識も多くスタンプラリー感覚で楽しい。紀伊田辺駅からしばらくはスーパーマーケットなどの商店を通るので買い出しもできる。

今回の旅は全行程、徒歩・自炊・テント泊を基本としている。食料は玄米と味噌を持ってきており、夕方に夕食用と明日の行動食用の玄米をまとめて焚き、みそ汁に乾燥野菜などの乾物を入れて食べる計画。途中に無人販売所やスーパーマーケット・コンビニがあれば購入する予定。
稲葉根王子に着いた時点で16時。初日で荷物も重く、体も慣れていないので本日の行動はここで終了とする。稲葉根王子の横を流れる富田川沿いにテントを張らしてもらい就寝。

 田園を歩く





「田園を歩く」
2日目 1019日(水) 行動時間8時間 距離20㎞ 晴れ

稲葉根王子(645分)→鮎川王子(8時)→清姫の墓(950分)→滝尻王子・熊野古道館情報センター(1045分)→不寝王子(1125分)→高原熊野神社(13時)→大門王子(1415分)→十丈王子(15時)

・今日からは市街地を離れ山間部に入る。滝尻王子までは無人販売所などもあり、梅干しやミカンを買い足す。道の駅もあり、高菜おにぎりの「めはりずし」が美味しかった。滝尻王子に併設されている熊野古道館情報センターで中辺路の歴史や資料があるので立ち寄る。ここからは、熊野の聖域の登山道となり急な登りが続く。岩穴を抜ける「胎内くぐり」や昔の豪族が夫人同伴で熊野参りに来た時に夫人が急に産気づき出産してしまい、岩から滴り落ちる乳を飲まして助けを待ったと伝えられる「乳岩」など、歴史的見所が多く説明書きの看板も設置してある。

急登が終わると高原熊野神社に着く。樹齢1000年を超える大楠が圧巻で熊野の山々が一望できる。社殿も1400年ごろに建築されたもので、社殿の内部には巨大な竜が描かれている。この辺りは集落になっており旅籠もある。中辺路の旅籠の相場は一泊二食付きで8000円からで素泊まりでも6000円ほどかかる。高原熊野神社からも登りが続き山中では鹿や猿、蛇も見かけた。ツキノワグマ出没注意の看板も出ているが、幸いにも熊には出会わずにすんだ。

15時に十丈王子に到着。ここから通常の宿泊地である近露王子集落までは2時間半かかる。初日の行動が短かったので宿泊適地のポイントまでの行程がズレてしまう。近露王子まで頑張って歩くか迷ったが、17時過ぎには暗くなることと、ザックが重く疲労も強いのでここで宿泊することにする。ぼっとんトイレと沢水を引いた水汲み場があり、ボロボロの東屋の下でテントを張る。

18時にはすることが無くなり寝袋に包まるが全く眠れない。山深い山中の漆黒の闇の中で動物の鳴き声や物音に怯えながら長い長い夜明けを待つ。「人類の歴史の中で夜も当たり前のように行動できるのは電球が普及した後のことで、それまではロウソクなどのつたない明りで生活していたんだろうな」等と考えを巡らせる。八百万の神々で最高位に位置しているのが、太陽を司る天照大御神とされていることを実感できた。

 古道に佇む地蔵





「古道に佇む地蔵」

3日目 1020日(木) 行動時間10時間 距離22㎞ 晴れ

十丈王子(630分)→大坂本王子(8時)→道の駅(830分)→近露王子(910分)→比曽原王子(10時)→継桜王子(1030分)→小広王子(1130分)→仲人茶屋跡(1240分)→湯川王子(1440分)→船玉神社(1620分)→発心門王子(1640分)→発心門王子のバス停(1650分)

・無事に朝を迎え、まだまだ続く登りの山道を出発。早朝の凛とした空気の中、木漏れ日が差し込み清々しい。途中に花山法王の熊野詣の旅姿といわれる牛馬童子像がひっそりとたたずんでおり、いにしえの古道の雰囲気を感じさせられる。出発して2時間半で中辺路の宿泊拠点として栄えた近露王子集落に到着。江戸時代には十件近くの宿屋が並び賑わっていたらしい。今も「熊野古道なかへち美術館」などがあり最新のゲストハウスなども出来ている。ニホンオオカミ最後の目撃情報がある土地でもある。近露王子社や画家の野長瀬一族の墓などを横目に楠山坂の山道を登る。所々に公用の文書や荷物の逓送の為に作られた伝馬所跡がある。

野中の一方杉という巨大な大杉が圧巻の継桜王子を過ぎると「とがの木茶屋」という茶屋があり営業している。清水で淹れた冷たい焙じ茶をご馳走になる。この辺りからまた集落が続き、安倍晴明が腰かけた石など歴史的な見どころも多く堪能できる。

本来であれば仲人茶屋から岩神王子に向かうのだが、今は地滑りで崩壊しており迂回路を通る。熊野古道は苔むした石畳道を踏みしめて、石仏や地蔵を眺めながら歩くのが醍醐味だが、迂回路は普通の登山道で整備されており味気ない。湯川王子からは小川沿いに細い道を進む。道中に江戸時代の後期まであった小さな集落跡がある。石垣を築き家屋を建てて林業を生業としていたそうだ。このような街から離れた山奥で、どのような生活をしていたのか想像を膨らます。

長い道のりを進み発心門王子に到着。発心門王子は九十九王子のなかでも特に格式が高い五躰王子のひとつ。ここから先は熊野本宮大社の神域となる。発心門王子の近くのバス停でテントを張らせていただき就寝。

S__33751043




「とがの木茶屋」

4日目 1021日(金) 行動時間10時間 距離23㎞ 晴れ

発心門王子のバス停(7時)→水呑王子(720分)→伏拝王子(8時)→熊野本宮大社(9時)→請川バス停・小雲取越登山道(1110分)→百間ぐら(1350分)→石堂茶屋跡(1435分)→桜峠(1520分)→小口集落(17時)

・本日はいよいよ本宮に到着予定。発心門王子からは集落があり、早朝から畑仕事に精を出すおばあさんが声をかけてくれる。働く高齢者は元気で活き活きしている。歩き出して4日目で疲れもあるが、足などに痛みもなく体調は良い。順調に歩みを進め伏拝王子に到着する。ここは昔の旅人が遠くに見える熊野本宮大社を望み、ありがたさに伏して拝んだといわれるのが名前の由来。

本宮に近くなるほどに道が整備されてきて、いよいよ熊野本宮大社へ。本宮大社は全国に4700社以上ある熊野神社の総本営。祀られている熊野坐大神はスサノオノミコトとされている。サッカー日本代表のシンボルマークでもある三本足の大烏であるヤタガラスが神使。鳥居をくぐると、急に気温が下がったような気がする。深い自然に抱かれた威厳のある姿の本殿が見える。古代にこの地に神が降臨したと伝えられている。紀元前33年に社殿が建てられたらしい。奈良時代には仏教を取り入れて、神=仏として祀られるようになった。由緒あるパワースポットで癒しと活力をいただく。ゆっくりと参拝してから次の目的地を目指す。本宮大社の近くは商店もあるので中華弁当を購入。久しぶりの手の込んだ食事は美味しかった。

平安時代の貴族は本宮大社の宿坊で数日間宿泊し、熊野川を船で下ったそうだが庶民である私はもちろん歩く。アスファルトの国道を進み請川バス停まで。ここから小雲取越登山道が始まる。熊野本宮大社大社から熊野那智大社までは小雲取越と大雲取越という、流れる雲に手が届くほど高いところに登るという二つの難所がある。請川バス停から2時間の上りを登りきると「百間ぐら」に到着し熊野三千六百峰が一望できる。時折現れる茶屋跡で歴史に思いをはせる。小雲取越の後半は長い下り坂で小口集落に到着する。小和瀬の渡し場跡の休憩所で幕営する。

 熊野本宮大社大社





「熊野本宮大社大社」

5日目 1022日(土) 行動時間10時間30分 距離23㎞ 晴れ

小口集落(615分)→大雲取越登山道(645分)→楠の久保旅籠跡(750分)→越前峠(930分)→地蔵茶屋跡(1035分)→舟見峠(1210分)→登立茶屋跡(13時)→熊野那智大社(14時)→多富気王子(1440分)→那智駅・勝浦海水浴場(1640分)

・本日が中辺路一番の難所。小口集落から一気に標高差800メートルの大雲取越の急登を登る。疲れの溜まった体に鞭を入れて、歯を食いしばって登る。今日は土曜日なので登山者も多い、外国人の方も歩いており世界遺産である熊野古道の関心は高い。小雲取越・大雲取越は九十九王子が無いので次に進むモチベーションも上がらない。さらに石畳の階段が苔むして滑るので歩きにくい。標高870メートルの越前峠を越えるまで本当に辛いが、途中に咲くリンドウの花がかわいらしく元気をもらえる。

大雲取越は途中で給水ポイントが無いので行動中に必要な水分を担がなければならない。登山道の横に直径2メートルぐらいの「まん丸の岩」がところどころあり神秘的だ。舟見茶屋跡からは那智の勝浦港が見渡せる。この辺りは1600年ごろから捕鯨の歴史があり、今も近海での小型捕鯨が続けられている。太地町では「くじら博物館」があり、ホエールウォッチングができる。

大雲取越えの雲の中を行くがごとき厳しいアップダウンが終わると、落差日本一の名瀑である那智の大滝がある熊野那智大社に到着する。熊野信仰は大いなる自然への畏敬の念が起源であり、生命の根源たる水の流れが絶えない那智の大滝はその象徴となっている。主祭神は国生みの女神であるイザナミノミコト。あまりにも観光客が多いので興ざめし早々に下山する。熊野古道のパンフレットなどで平安衣装を着て階段を歩いている写真で有名な大門坂を下り、那智駅を目指す。

足が棒になりながら2時間かけて那智駅に到着。那智駅には町営の公衆浴場「丹敷の湯」が併設されており、5日ぶりに入浴することができた。丹敷の湯は勝浦の青い海が一望でき、ゆったりと疲れを癒せる。近くのコンビニでとんかつ弁当とビールを購入し日が暮れつつある那智湾を望みながら一人で乾杯する。そのまま勝浦海水浴場の砂浜でテントを張らせてもらい就寝。

 那智湾の夕日





「勝浦海水浴場より那智湾を望む」

6日目 1023日(日) 行動時間5時間 移動距離17㎞ 晴れ

勝浦海水浴場(615分)→佐野王子(740分)→高野坂(840分)→浜王子(10時)→熊野速玉大社(1040分)→JR新宮駅(12時)→神戸(21時)

・いよいよ最終日。熊野三山最後の熊野速玉大社を目指す。勝浦海水浴場より美しい日の出を拝む。日の出をみるとなぜか手を合わせてしまう。数名の人が日の出を見に来ていたが一同に手を合わせていた。日本人に限らず人は日の出を崇拝したり、感謝や感動すると手を合わせる事は世界共通だと思う。

那智湾を右手に道路を歩く。アスファルトの上は木陰がなく暑い。雨天用に折りたたみ傘を持ってきていたので日傘代わりにさして歩く。今回はトレランシューズとTevaのサンダルを交互に履き分けている。アスファルトの上はクッション性の良いサンダルの方が蒸れずに歩きやすい。

JR三輪崎駅周辺から高野坂に入る。この高野坂は1.5㎞の短い山道だが、右手に海を眺めながら歩く人気コース。波が押し寄せる美しい海岸が望むことが出来る展望台もある。海の神を祀る浜王子があり海と山の信仰が結びついたロマンを感じさせる。余談だがこの辺りが武蔵坊弁慶の誕生地とされている。
そして熊野の中核都市である新宮市へ。かつて熊野地方を統治していた源頼朝の叔父である新宮十郎行家の城であった新宮城など神社以外の見どころも多い。新宮城からほどなく歩くと、熊野速玉大社に到着する。平重盛が手植えしたとされる日本最大のナギの木が境内にそびえる。主祭神は水の勢いを神格化したイザナギノミコト。熊野本宮大社大社から船で降りるルートの到着点でもある。

熊野速玉大社を参り、これにて熊野三山を全て参拝することが出来た。帰路はJR新宮駅から大辺路沿いに走る和歌山線に乗り、古座の橋杭岩や南紀白浜の美しい海を眺めながら、普通列車で7時間かけて帰宅する。

 熊野速玉大社





「熊野速玉大社」

■まとめ
今回の旅は有難いことに連日の好天に恵まれた。6日間かけて歩いたが、山間部だけなら4日間でも可能。滝尻王子から本宮までや那智から本宮までなど分けて登ることも出来る。本宮からは紀伊田辺駅までのバスが1時間に1本のペースで出ている。食料や幕営道具を背負い、自分の足だけで歩き通せた事は自信に繋がった。10代の時に友人と四国遍路を一ヵ月かけて回ったが、今回の旅も心に刻まれる記憶になるだろう。色々と協力してくださった方々に感謝します。祈りを込めて。

2022.9.17〜18 称名川 ザクロ谷(OKD記)

メンバー:OKD、岩瀬た、おせん

特に印象に残った事を記す。

詳細は前述の岩瀬た君とおせん君の記録を見てください。


「ザクロ谷」

沢登りを始めて少し経った頃に手にした成瀬陽一さんの著書の表紙を飾るのがその谷だった。

その頃の僕は、紀伊半島の沢でようやくゴルジュや大滝登攀というものに触れ始めた頃で、その画に強烈な印象を与えられたことを覚えている。

以降、ザクロ谷は僕の憧れの沢として心に棲みつき、5年前に選りすぐりのメンバーでこの谷に入る計画が持ち上がり準備を整えたのだが、この時は天候不良で中止に終わった。

その後は自分の仕事やら当時のメンバーの生活環境の変化などで行く機会を逃したまま月日は流れた。

ただ「行きたい」という思いは心の片隅にこびりついていて、ふと僕が漏らした「ずっと前からザクロに行きたいんよなぁ」の一言を彼が覚えていたのかは定かではないが、今年に入って岩瀬た君と行った山行の途中に「今年、ザクロ行きますよね!」と言われた。

その時はまだ、一緒に行ってくれるメンバーが現れるなんて思ってもみなかったので「お、おぅ。行くよ。。。」と答えたものの内心「ほんまに行くんかいな」と半信半疑だった。

しかしそこからの彼はすごかった。まずザクロの予定日を決めると、ほぼ毎週末沢へ行く計画を立てて僕に送りつけてきた。いつ休むの?というくらいのまさしく地獄のロード。しかし、ザクロに行くからにはそれなりに準備は必要だし、それまでに練習として行っておくべき沢を話し合いながら決めた。途中でおせん君も志願兵としてメンバーに加わり、天候や流行病にかかったりで計画通りに進まない部分もあったけど、なんとかギリギリ準備は間に合った。

そしていよいよ当日を迎えたのである。


1日目〉

前夜21時におせん君が自宅まで迎えにきてくれ、そこから岩瀬た君をピックアップ、立山を目指す。

僕は夜勤明けであまり仮眠が取れなかったこともあり、初めはおせん君が運転を引き受けてくれた。

途中で運転を交代し後半は僕の運転で3時に桂台ゲートに到着した。その間、岩瀬た君は前日が仕事休みだったにもかかわらず後部座席で爆睡コノヤロー!まぁこういうのも彼の憎めないところではあるんだけどね。


予定より少し早い時間ではあるが、さっさと準備を済ませて出発することにした。

ゲートを越え車道をトボトボと30分くらい歩くと称名川第二発電所の取水管が見えてきた。

辺りは暗くて先は見えず、ヘッデンの明かりを頼りに一歩一歩登っていくが、一向に終わる気配はなく「六甲縦走の高倉の階段よりキツいやんけ」とか悪態をつきながら登っていくとようやく巡視路のトンネル入口に着いた。このトンネルには蝙蝠が生息していて何人もの沢ヤたちがビビらさられているらしいので、先を2人に譲ることにした。僕は大抵の虫や動物は大丈夫だけれど、鳥が羽ばたくのが少し苦手で、バタバタと羽ばたいた時に何か粒子のようなものが飛び散る気がしてその空気を吸い込むのが嫌なのだ。蝙蝠は鳥じゃないけれど。

IMG_0438

案の定、何度か蝙蝠の羽ばたきに見舞われ、その度に息を止めてやり過ごしながらトンネルを越え、雑穀谷に出た時には空も明るみ始めていた。


早速この日のために考えを巡らせたレイヤリングのウェアを着込み沢に浸かる。冷てぇーーー!!

覚悟はしていたがそれ以外の言葉が出ない。

その横でおせん君はボタボタと汗滴る身体をクールダウンさせるかのように涼しい顔をしていた。マグマのような男。

IMG_0237


ちなみに、この遡行に使った僕のレイヤリングを備忘録的に書いておく。

◎遡行中

ドライレイヤーウォーム上下(finetrack

2.5mmネオプレンロングジョン

2.5mmネオプレンロングスリーブ(モンベル)

レインウェア上下(ワークマン)

ネオプレンソックス(モンベル)

サワタビ(モンベル)

◎夜

ドライレイヤーウォーム上下(finetrack

ドラウトポリゴン3finetrack

トレールアクションタイツ(モンベル)

シュラフ(スリーシーズン)

シュラフカバー

です。

水は冷たかったけど気温も高く、概ねこの装備で良かったと思う。


水冷たぃなぁ、ゴルジュで凍えるかなぁとか考えながら進んでいくと、急に谷の幅が狭くなった。

いよいよザクロ谷の出合である。

IMG_0239

5年越しでやっとここに立つことができた。

「やってやるぜ!」という高ぶる気持ちと「ほんまに遡行できるんか?」という不安な気持ちがない混ぜになったが、「必要な準備はしてきたはず」と自分を奮い立たせる。


ザクロ谷に入るといきなりF2が現れた。

ここは岩瀬た君のリード。

彼とはもう幾度も山行を共にしており、登攀中などは彼が意図していることは話さなくてもだいたい意思疎通できるし何より登攀技術、メンタルコントロール共に素晴らしい男で、彼には全幅の信頼を置いている。

いざ登攀にかかるが何度か水流に弾き返されていて、水温を考えると時間との戦いか。次は僕の番かなと心の準備をしていたが、粘りのアタックでとうとう離陸していった。さすがである。

IMG_0306


苦労した記録が多い荷上げもスムーズにこなし、後におせん君が続く。

おせん君はまだまだ沢の経験は少ないが、このザクロ計画に名乗りをあげ、それからのトレーニングではメキメキと力をつけた。

今回、大きめの滝はセカンドで登ってもらうことが多かったけれど、アッセンダーやアブミの使い方もとても上手になった。

そしてラストに僕が登ろうとした時、滝の上からザックが流れてきてドボンと手前の釜に落ちた。「え?なんで?」。

上では2人が「あぁ〜」と悲鳴にも似た溜息をついていた。どうやら岩の上に置いたザックが何かの拍子で落ちてしまったらしい。

マジかまた荷上げやなと思っていると、おせん君が「これ背負って登れますよ」と一言。

むむむ…やってやろうじゃないか。俺を誰だと思ってるんだ。関西「滝の磨き屋OKD」とは俺のことや!

水をたっぷり含んだザックを背負い、ドドドと流れる水流に抗いながら必死に右壁のガバカチを掴み、「沢ヤの意地をみせてやる!」とばかり力一杯に側壁にステミングで立ち上がった。幸いにもフリクションはよく効いた。やれやれである。それにしてもその姿を見て嬉々としているこの2人は鬼か悪魔でしかない。

IMG_0439


続く2段目3段目(F3?)も順調にこなすと、すぐにかの有名なF4が現れた。

IMG_0312

緑一色の側壁の中心を流れ落ちる滝。滝はエロスであるが、これほどのエロスを感じさせる滝は今まで見たことはない。ここは僕がリードさせてもらう。

淵を泳いでいくと滝の手前で足がついた。そこから少し深くなっていよいよ滝に取り付き、なんとかステミングの体勢に持ち込んだ。

IMG_0315

「よし!いただき。」と思ったが、左壁は黒っぽいコケがついててまぁまぁヌメる。エロスにはヌメリが不可欠。いやむしろヌメっているからこそのエロスなのだ。

ジワジワと高さを上げ、右のポケットにスカイフックでアブミをかけて一安心。

IMG_0318

あとは一気に落口に乗っ越そうとしたけれど、ちょっとバランスが悪くて気持ち悪いので、左壁のリスにハーケンを打つことにしたのだがどうもザクロ谷全般に言えることだが岩が柔らかく、ハーケンもバチ効きの手応えがない。心配なのでもう一枚打ち足し「まぁ落ちることはないだろう」と意を決して乗っ越した。

乗っ越した後で確認したら、先に打ったハーケンは抜けていた。


これで1日目の核心は終わった。と思ったが、そこからも小難しい滝の連続で、高さこそないが滝の下はほぼ釜になって深さがあるし側壁はツルツルですんなりとは越えられないものばかりだった。

ここでおせん君の力がフルに発揮される。

彼はうちの会では1番の大男でパワーも並大抵ではない。まさしく巨神兵である。

IMG_0421

ちょっとした小滝なら持ち前の身長とパワーで先に登ってお助け紐をくれるし、そうでないところはヒューマンリフターと化した彼のショルダーで楽々と越えていくことができた。彼をメンバーに加えてよかったとつくづく思った。この小滝群を僕と岩瀬た君だけで進んでいたら、疲労度は大きく時間もかかっただろう。

IMG_0267


その後も彼の独壇場は続き、いくつかの滝を越えて幕営地である「牛の首」に到着した。

IMG_0422

地形図を見る限りここから下山路の登山道までは50mほどで、来る時の車中では「2日目に使わない荷物はここにデポしよう」と提案していた。

すぐに幕営準備を済ませ、斜面を登って下山路までのルート確認に向かう。

斜面にはロープも架けられていて、登山道までは10分くらいで上がれた。

その後は持ってきていたウィスキーで1日目の無事を乾杯し、1日目の感想や下らない話をしながら各々河原で眠りについた。途中で目が覚めた時に見上げた空は満点の星空だった。

IMG_0335


2日目〉

4時に起きる。

朝食は昨晩と同じくアルファ米に味噌汁の素とウィンナーを放り込んだもの。美味い。

昨日確認した場所に荷物をデポして5時半出発。


すぐに手まり滝に着いた。

よく見ると登れそうな感じはしたが、すぐに着きすぎて身体もほぐれていないし、この先もまだまだあるねって事で定石通り右岸巻き。

まぁまぁの高さまで巻き上がり、早乙女沢出合の手前から歩いて下りられた。

上から確認したら手まり滝上は天然のウォータースライダーだった。

IMG_0348


そこからは緑の回廊が続く。

IMG_0447


しばらく進むとF25に着いた。この滝は右岸壁を登っての巻きで、今日の核心の一つだ。

僕はF4をリードしてなんだか満足気になってたので、誰かリードするかなって思ってたけど誰も言い出さなくて。痺れを切らせた岩瀬た君が「誰かリードしますか?」って聞いてきたので「ま、F4だけってのもなんだかな」と思い僕がリードすることにした。

1ピン目までが遠かったので、この日のためにおせん君にお願いしていた自作のチョンボ棒でクリップする。

初回おせん君のショルダーでクリップしようとしたけれど、足場が安定しなくてうまくいかず失敗。

続く岩瀬た君が水流横の一段上がったところから慎重に伸ばすとクリップに成功した。やったね!

IMG_0352


同じく水流の横からスタートし、ロープを伸ばす。

下からだと寝ているように見えた壁も登ってみるとそれなりに立っててスタンスも細かく、なおかつコケも生えててヌメる。

IMG_0353

「ヤベェなぁ」と思いながらもところどころ乗れるスタンスや残置もあり「足置く順番間違えると詰むな」とか考えながらタワシで磨き倒しつつ案外冷静に登れた。

IMG_0442

そこからトラバースするバンド手前の頑丈な木の根っこでピッチを切る。

おせん君、岩瀬た君の順番に迎え入れ、2ピッチ目は岩瀬た君にそのまま繋いでもらった。

2ピッチ目は若干藪漕ぎっぽいピッチだったけど、きっちり滝の落口に出られた。ナイスルーファイ!


その後、ちょっと広くなった河原で休憩した。

今回の山行は荷物を極力軽くしようということで、行動食も重量の割に高カロリーの物を考えて持参した。

僕は今回のとっておきにマヨネーズを選んだ。

大正解だった。およそ100gあたり660kcal

カロリーもさることながら味が良かった。

山の食事ではあまり登場しない酸味と、程よい塩味、そしてほんのり卵の風味。

IMG_0443

普段の生活で僕はマヨネーズを使うことは少ないが、今まで口にしたマヨネーズの中で一番美味しいと感じたと言っても過言ではない(物はキューピーのマヨネーズだけれども)。一口で記憶の遠いところからすさまじい勢いでマヨ味が蘇ってきて脳天に電撃が走るほどの美味しさだった。おせん君なんかチャオチュールに魅せられた猫のようにその後休憩の度に「マヨチュッチュいいっすか?」とおねだりしてきた。

IMG_0279

休憩を終えてからの小滝も前日同様、おせん君のリードやショルダーでサクサクと超えていく。

たまに残置を使ったアブミ1段なんかもあったが、この頃になるとおせん君のアブミの技術も全く危なげなく、サクサクとルート工作してくれた。

IMG_0275


今日2つ目の核心F34

ここは釜が巨大なポットホールになっていて、おまけにスーパーハングっている。

IMG_0444

1ピン目も遠く、ここでもおせん君のチョンボ棒が役に立った。

IMG_0445

リードは岩瀬た君が名乗りを上げる。ゴボウで水中から這い上がり、1ピン目にアブミをクリップ。そこから残置のリングボルトや、リングが切れたボルトの残骸なんかで順調にアブミを架け替えしてロープを伸ばす。見事である。

IMG_0370

彼は以前に撤退した池郷下部の帰りやその後の池郷中部でもアブミの架け替えを練習していた。練習したことをきっちり身につけてすぐさま本番に投入する。

練習してもすぐに忘れてしまう僕とはえらい違いだしほんと尊敬する。

最後は一歩が悪目のトラバースをこなし、無事に落口へ。ナイス!

2番手はおせん君に登ってもらい、最後は僕の番。

IMG_0376

回収は任せとけって感じで、必要なスリングアブミを少し付け足したりしながら、スムーズに回収作業できてF34もクリア。


その後、ニセF37と呼ばれる滝を越え、次のF37も僕がリードした。

IMG_0414

傾斜は緩くそれなりにスタンスもホールドもあったが、この辺りになると水流中でもヌメリが増してきて、なおかつ岩もボロくなってきたのでほとんどプロテクションが取れないままロープを伸ばすことになった。見ている2人には心配かけたかも。


F37を超えると徐々に沢の水も少なく、気づけば空も近い。

最後にF40があるはずで、岩瀬た君が先に確認しに行ってくれたけどホンマにあるんかな?と言った雰囲気。

でも少し進むと再び廊下が狭まって、最後のF40が現れた。

IMG_0291

あれ?思ってたより小さい滝やな。しかもロープかかってるやん。

この滝は過去の記録を見ると、ハンマー投げに苦労しているパーティもあり、ハンマーが届かずに右岸から巻いている記録も散見される。そのせいで僕の頭の中では10mくらいの滝を想像していたのだけれど、遡行図にもちゃんと6mって書いてあった。

その右岸の棚の上に岩瀬た君がいて「ハンマー投げ一発で成功しちゃいました。。へへっ。。」と嬉しくも半ばバツの悪そうな微妙な薄ら笑いでこちらを見ていた。

僕は「やったやん!」と思ったけれど、彼はここのハンマー投げでワチャワチャと盛り上がるつもりだったらしく、持て余した気持ちを払拭するかのように「ムロフシーッ!」と叫びながら釜に飛び込んでこちらに戻ってきた。


最後は今回の遡行で殊勲章ものの活躍を見せたおせん君がリードすることになった。

巨神兵がアブミとアッセンダーで登ると想像より小さかった滝がさらに小さく見えた。

IMG_0446

下が深い釜なので、ハンマーが外れて落ちたらそれはそれで絵的に面白いなとか内心思っていたのだけれど、岩に挟まったハンマーはバチ効きで、おせん君は城塞を越える巨神兵のようにズンズンと登って行った。僕と岩瀬た君もサクッと続いて難所はこれで終わり。

IMG_0294


F40を超えるとすぐに二股となった。

本流は左だけれど、辺りは源頭の雰囲気でそのうち水もなくなるだろうと水筒に水を汲んでから下山が短縮される右を選択。

途中で岩瀬た君がブルーベリーの実を見つけてくれて、食べてみたら甘酸っぱくて美味しかった。

IMG_0388

彼は以前に北アルプスの山小屋で働いていて、その時にブルーベリー摘みをしたことがあったのですぐにわかったらしい。

山中でブルーベリーを見つけて食べさせてくれるなんて、僕が乙女だったらキュンやな。

そんなことを考えながら歩いていると程なくして登山道の木道に合流し、大きな充実感の中に若干の名残惜しさを滲ませて僕らのザクロ谷は幕を閉じた。

IMG_0426


下山は約2時間半と思ってたよりも早く、ヘッデンになる前に桂台の駐車場に着いた。

IMG_0396

帰りに見た取水管の階段はなかなかの斜度で延々と先に続いていた。往路の登りが暗い時分で全貌が分からないうちに登れてよかったとつくづく思った。


◎あとがき

「俺たちのザクロ」計画が持ち上がり、それからのトレーニングでは毎週末のように沢の予定が入った。

途中少し食傷気味になったりもしたけれど、その度に岩瀬た君が課題を見つけてきてくれては議論するということを繰り返しながらモチベーションを保ち続け、準備できたことでこの遡行が成功したと言っても過言ではない。毎度のことながら彼には感謝している。


おせん君は途中から計画に参加することになった。色々考えた末、3人で遡行する方が尚よしということになり募集をかけたところ参加を表明してくれた。

彼は僕らに比べると経験も浅かったが、参加を表明してからは田岡谷、中御所本谷、イブキ嵓谷、池郷川中部という険谷の遡行を経験し、その度にメキメキと力をつけた。

まだまだ荒削りで心配な部分もあるけれど、今回の遡行では想像以上の大活躍で、今回の遡行がこんなにもスムーズに予定時間よりもはるかに短時間で終えられたのは彼のおかげである。ありがとう。


IMG_0296


5年越しの憧れだったザクロ谷は想像を遥かに超える素晴らしさで、僕らを迎え入れてくれた。

厳しくも美しく、清冽な流れの中で過ごした2日間は一言では言い表せない。

今回は天気、気温、水温、水量の全てに神様が味方してくれた。

先人達の残した記録、残置ボルトにも大いに助けられた。

そして何より仲間に恵まれた。

全てのものに感謝しかない!

ほんとうにありがとう!

ザクロ谷 2022/09/17-18(おせんver)〜『俺達も沢ヤだ!!!(自称)』

IMG_8603
『ザクロ谷』
北アルプスの立山西方に流れる称名川の支流。
水路状の狭いゴルジュに弱点の少ない険悪な滝を連ねる、国内有数の難渓。


この度、ザクロ谷を遡行し無事に大日平に詰め上がる事が出来ました☺️
ザクロが終われば『気合を入れて記録書くぞー!ウオォォォ!!』って燃えていたんですが、ちょっと燃え尽き症候群状態で、なんだかフワフワしているので、詳細な記録はたくみ君の書いたblogを参照して下さい🙏笑
http://blog.livedoor.jp/kobe_alpine/archives/5806726.html


ザクロ谷は、とにかく楽しい沢でした。
強くて愉快な仲間に恵まれた事、緑の回廊、日に照らされたエメラルドグリーンの沢の水(美味)、個々の能力を遺憾無く発揮出来るスケールのLa Gorge!!
もう、これ以上ない充実した遡行になりました✨

OKDさんは沢を引退宣言していましたが、今後も共に険谷チャレンジしてくれることでしょう☺️


完全遡行出来たのは天候に恵まれたこと、諸葛亮も嫉妬するOKDさんの深謀遠慮と采配、たくみ君の技とキレ、おせんの賑やかし、各種トレーニング等もありますが、何より先駆者達の遡行記録があったから。多謝。
そして、応援して下さった方々にも感謝を。
IMG_8597
F2 支点構築これぞゴルジュ!感

IMG_8602
F2 たくみ君ナイスリード!シビれる!!

IMG_8603
F4 艶かしく神秘的な場所

IMG_8660
頑張るOKDさん『ぬめるでー!!』
ちょけるおせん『うぇ〜いw』

IMG_8509
OKDさん、数年越し念願のザクロ

IMG_8518
エメラルドグリーンに緑の回廊が映える荷揚げ
昇天しそう

IMG_8517
日が差して綺麗だ

IMG_8661
贅沢なティータイムinザクロ
アツくてアマいアールグレイ

IMG_8519
緑の回廊で紅茶、映えるな(嫉妬)

IMG_8653
F8 エイドの虜になりそう
とりあえずアブミとフィフィ買お💸
あ、カムも揃えなきゃ💸💸

IMG_8623
おせんショルダー
この日の為にバーベルスクワットとショルダープレスでガンガンに追い込みました☺️
しかし水含んだ65Lザック担いで乗るとか、鬼畜の所業やな☺️

IMG_8533
今夜のお宿に置かれていたモダンインテリア

IMG_8538
朝風呂でシャキッと!!

IMG_8663
これが…

IMG_8655
こうなる。

IMG_8636
F34

IMG_8668
自作ちょんぼ棒が上手くいって狂喜乱舞する人の図

IMG_8565
いい天気や

IMG_8638
いい笑顔☺️

IMG_8666
ここはフリーで右壁トラバース
落ちたら絶対死ぬゲーム(妄想)
全員クリアしました。

IMG_8669
岩魚掴み取り大会

IMG_8671
爽快な詰め

IMG_8650
下山後、称名滝(落口)バックにドヤァァァ!!
最高の仲間に巡り会えました。


さて、来年はどの渓へ行こうかな…
IMG_8678

2022.9.17-18 ザクロ谷

2022.9.17-18 富山県 常願寺川水系 称名川 ザクロ谷 遡行 の記録

49A281BA-E29E-494E-8E7C-422323196DDB

こんにちは、岩瀬た、です。
この夏の目標にしていたザクロ谷に、OKDさんとおせんさんと行ってきました。

台風12号と14号が近づく中、
「くるなよぉ、くるなよぉ、、、」
とヤキモキしながら3種類の天気予報(気象庁、SCW、Windy)を見続けていると、山の神様の思し召しの如く台風は速度をゆるめ、それどころか国土交通省の雨量情報を見る限りではこの1週間室堂ではほとんど雨も降っていないよう。去年に引き続き今年もラニーニャ現象で残暑も続き日中は気温30度越えだ。
バッチリやん!

ということで、
「目指せザクロ 第7弾 ザクロ谷」
です。

---------------------------------------------

◎メンバー
OKD
岩瀬た
おせん


◎装備(使用したもの)
・2ザック+1サブザック
・40mロープ
・25mフローティングロープ
・ハーケン15枚
・マスターカム6個
・C4 #1、2、3
・あぶみ x2
・60cmスリング
・120cmスリング
・240cmスリング
・クイックドロー
・チョンボ棒1.8m
・ライジャケ(個人)
・スカイフックx1(個人)
・シュラフ(個人)
・シュラフカバー(個人)
・着替え(個人)
・ジェットボイルx1
・アルファ米x2(個人)
・大盛アルファ米x1
・ウィンナーx6(個人)
・ジムビーム小瓶x1
・水筒(アツくてアマいアールグレイ)x1
・行動食2日分(個人)
・全員モンベルのサワタビ


◎行程概要
・9/17
4:00 桂台ゲート駐車地 出発
4:40 第2発電所
5:10 雑穀谷
5:30 入渓
7:00 ザクロ谷出合
7:30 F2
9:00 F3
9:30 F4
10:50 F5
12:20 F8
14:00 牛ノ首 幕営

・9/18
4:00 起床
5:30 幕営具デポ後 出発
5:40 手まり滝 巻き
6:15 早乙女沢出合 沢復帰
6:20 元口無しの釜の滝
7:30 F25
8:30 F26ソーメン滝
10:20 F34
12:30 ニセF37
12:40 F37
13:30 F40
14:40 登山道
15:20 牛ノ首 デポ回収
16:20 大日岳登山口
17:30 駐車地


◎行程詳細
「うす、おはようございまーす。」
といつも通りに挨拶を交わし、荷物を積み、おせんさんのBMに乗り込む。22:00。
するとさっそくOKDさんより、
「ちょっと話しててんけど、幕営具、牛の首にデポして2日目は身軽で行かへん?下山路すぐ近く通るやろ?」
と提案がある。
しばし考えたのち、デメリット無いなということで、同意する。今までそれは考えたことが無かったけど、グッドアイデアだ。これは後々大きなアドバンテージとなる。
いよいよだなぁと、車内はなんとなくいつもよりも口数が少なく、阪神高速環状線の屹立するビル群を抜け北陸道を走る。

交代で運転しつつ(僕は後部座席で眠りこけていました。ゴ、ゴメンナサーイ!!)、3:00、予定より早く桂台の駐車場に着く。
準備して出発。
寝ぼけながら発電所まで歩き、暗くて先がわからない階段を延々登り、ホラー感しか無い導水管巡回路のコウモリトンネルを抜けて雑穀谷に降り立つ。
C2EE1695-B388-4375-AA95-254C621C3411
(ホラー感しか無い)

ちょうど夜も明けた。
ウェットを着込み、入渓。ゴーロ帯をバシャバシャ進む。
171EDE4F-D262-4AC0-9A0B-5ED4070094EA
(雑穀谷)

つ、冷たい。水が冷たいぞ!!!
とOKDさんと僕はキャーキャーはしゃぐが、おせんさんはなんともないらしい。心強すぎる。
この強心臓が後々大きなアドバンテージとなる。

しばらく進むと、仄暗いザクロ谷の入り口が見えてきた。
C8A5AB18-7DE8-4FEC-B3BA-121153DCDBBA
(ザクロ谷 入り口)

しばし休憩して、気持ちを整える。
いよいよだ!!!

、、、、、、
個人的なことを書くが、この日のために、6月からほぼノンストップで練習を積んできた。
OKDさんやおせんさんと「目指せザクロ」をしたのは合計6回だが、個人的に目指せザクロをしたのは合計13回になる。
平日は仕事の合間にどうにか時間を作り最低週に一回はクライミングジムで練習して、週末は沢や登攀の練習、山歩きで体力をつけた。
・6/5 小谷川 OKDさん
・6/25 田岡谷 OKDさん,おせんさん
・7/2 御在所エイド練習 長野さん
・7/10 中御所谷 おせんさん,谷口さん,吉岡さん
・7/16-17 剱岳 ノマちゃん
・7/24 クラガリ又 OKDさん
・7/30-31 前鬼川 単独
・8/6-7 川浦渓谷 ダイさん
・8/12 鞍瀬谷 OKDさん
・8/20 池郷下部ゴルジュ OKDさん
・8/27-28 イブキ嵓谷 OKDさん,おせんさん
・9/2 静閑瀞 H.Iさん
・9/11 池郷中部ゴルジュ OKDさん,おせんさん
となる。

そもそも僕は暑い夏の沢登りは好きではあるものの、滝登攀などは結構苦手で、ゴルジュなんかは僕が行くような地形じゃないとすら思っていた。
でもザクロ谷はOKDさんの何年か越しの目標だったので、行くと決めた以上、怖いなんて言ってられないし(いや本気で怖かったら言うけども)、クラガリ又に行ったあたりから結構自信もついてきて、なんだったら「ここ1番の難関の突破は僕に任せろ!(まぁ無理だったら、あとはヨロシク!)」と思えるくらいになった。
良い具合に積み上げることができたのだ。
、、、、、、

そんなことを思い出しながらF1を越え、F2前の淵に着く。
強心臓のおせんさんがフローティングロープを引いて滝前まで行き、支点構築をして僕とOKDさんが後に続く。
C35E7457-9BC6-418D-BAAA-DF52BA14A40F
(F2前の淵を泳ぐおせんさん)

さぁF2だ。

C96E033F-25CE-4D0D-8296-D5840F02255F
(F2)

「ここ1番の難関の突破は僕に任せろ!!」と意気込んで、装備を整え、荷上げタイミングの確認(1段ずつ荷上げすることにした)をし、しびれる冷たさの釜に飛び込んで滝の右側からトライ。
滝の中にホールドがあるとかなんとか聞いていたけれど、水の勢いがすごくて手を出してもバチーンとハジかれてホールドさがすどころじゃない。
その代わり、水中の壁面のフリクションが結構良く、バランスを保てば少しだけ浮上できそうだったので、フワッと立ち上がってはホールドっぽいものを取り損ねるのを何回か繰り返し、「やばいー寒いぞー、一回戻って交代してもらおうかな、、、いやまだあともう一回」と繰り返すうちに、ついにどガバを掴むことができた。
3A262EBF-6475-4E89-9E84-648C1F8195C0
(離水成功!)

掴むことができたとはいえ、手先がだいぶ痺れてたので掴めてるのかどうかよくわからなかったし、ホールドの形も全然わからないほどだったけど、とにかく絶対離すまいとモジモジしながらどうにか離水し、ジワジワ上がってステミングで安定した。よっしゃー!
息もだいぶ上がって全身ガタガタ震えた(後にも先にもこの時が1番寒かった)けど、ズリズリと1段目の上まで行き、ハーケンでビレイ点を作り、荷上げをする。無事にスムーズに荷上げもできた。
F5272106-1050-4DE8-8F4A-B310F42AE54C
(荷上げの準備。寒すぎる。)

おせんさんを迎え、次はOKDさん、というところで、不意に1段目の奥の方に置いていたザックが1つ流されて滝の下に落ちてしまう。しくった!!
ため息と共に発せられた、おせんさんの鬼畜の一言、
「これ背負って登れますよ」
により、OKDさんがヒーコラ言いながら背負って登ってくれました。
おせんさんは通常は優しい巨人であるが、たまにびっくりするようなことを言ったりしたりすることがある。怖い人だ。

続けて2段目と3段目を登ってピッチを切り、後続に荷物を背負って登ってもらう。
F3をアブミで越えて、荷上げをして2人とも上がってくる。
ABB11126-49D0-446F-83CD-352E5E007A6D
(F3の手前にて)

F2、F3と無事に突破し、僕の今日の仕事はこれで終わりや!よっしゃー!とあとはサボれることを喜ぶ。


そしてすぐにF4。
0C47486F-4B4F-47BE-90A0-15173879F3FE
(F4)

「綺麗だなぁ。」
のひとことに尽きる。
緑のゴルジュの中にエロい滝だ。

ここはザクロ言い出しっぺのOKDさんに行ってもらう。
49A281BA-E29E-494E-8E7C-422323196DDB
(リードOKD)

カッコいい絵だなー!!

6351F96E-0E10-475D-836C-658A83EEE9B9
(ええ顔)

0CC545F0-A46D-4C08-AA2F-23D71CC32613
(ええ顔!!)

必死に登るOKDさんをバックにバえ好きのおせんさんのニッコリ笑顔も写真に納め、そうこうしてるうちにOKDさんはスカイフックとあぶみを使って滝上へ。ナイス!
0876E2EC-91C1-4D7C-9683-CAEFF1AEC632
(ナイス!)

34EE82B1-8D04-4B7D-BF37-AB1D25B58CFB
(荷上げ)

99142098-80BA-400B-89DA-6CC1FD9C4E1F
(後続も続く)

荷上げをこなして、後続も登り、序盤の核心を思ってたよりもだいぶスムーズに突破することができた。

ロープをたたむ間におせんさんに先行してもらう。
僕らが着くころにはすでにおせんさんがF5にハンマーとスリングで突破口を用意して、ロープをつけたらすぐに乗っ越していった。
DE09D4C7-8572-4866-8F1C-17C4D3E7E9DB
(F5シャワー)

容易かと思い後に続くが、水責めで結構しんどく、なかなか後に続けないので、ここでも荷上げをしてから空身でフォロー。
この突破結構しんどかったんじゃないだろうか。馬力王おせんだ。

この先も無数の小滝を越えていくわけだが、この小滝たち、ちょいちょい高さがあって、「ヒューマンリフト」と化した馬力王おせんのショルダーで難なく越えていくことができた。詰まるところが全然無い。すごいリフトだ。ザックを背負ったままリフトに乗ってもスイーっと上がっていく。これは油圧式か何かか?
このスーパーリフトが無ければ倍は時間かかっていただろう。
F2820AB3-A4FF-42DA-AD06-70F84704F4A2
(ヒューマンリフト)

2C6BFDCE-8F7E-49F0-A988-CAAA6BB00F72
(スーパーヒューマンリフト)

ありがとうございますおせんさん。
F8もおせんさんリード。容易にあぶみで越えていく。大活躍だ。
96753785-F6B0-4619-8772-1278FFCF458B
(F8をエイドするおせんさん)

そうこうしているうちに牛ノ首に着き、しばしいい寝床を探し、登山道にエスケープできる道も確認して幕営としました。
721A1F57-37F5-4ABA-A4D7-7C74E572EB77
(幕営地)


2日目。
未明に起き、朝ごはんを食べてヒヤーっとする沢服を着て行動開始。

、、、
余談だが、今回の服装について。
各メンバー若干の違いはあるけれど、僕の場合は、
・ベースレイヤーウォーム上下(finetrack)
・ラピッドラッシュ上下(finetrack)
・パドリングジョン(montbell)
・クリマプレンフルジップロングスリーブ(montbell)
・短パン
・雨ガッパ上
というガチガチ装備にしました。
それでも個人的にはやはり寒いことも多かったです。
寝る時は、
・ジオライン厚手上下(montbell)
・ウルトラライトダウン上(ユニクロ)
・ダウンシュラフ#5(montbell)
・シュラフカバー(isuka)
としました。
夜半も気温がそこまで下がらなかったのでまぁまぁ快適に寝れたので良かったです。
、、、

さて、行動開始したわけだが、移動の車中で決めた荷物のデポだ。
25Lのサブザックに3人分の行動食と貴重品とお湯の水筒と救急道具とヘッドライトと1枚だけ防寒着を入れる。
残りのものを大きいザックに入れて牛ノ首の登山道わきの木にスリングで吊るしておいた。
幕営地から登山道まで登り10分下り5分といったところで、渓流釣りの人が入るのかフィックスされた太い綱も張ってあって、このデポ作戦は非常に楽で良かった。おススメだ。

デポを済ませ、入渓。
うー寒いと思いながら少し進むと手まり滝。
朝からシャワーは嫌だと言うことで、巻道に入る。
藪を漕ぎながら大きく巻いて早乙女沢の見えるあたりから歩いて降りられた。
身体も温まる。というかちょっと暑いくらいだ。
46C893D1-04C8-4905-A8D4-ED760E9DC2AE
(手まり滝)


しばし休憩して、ゴルジュに突入。
口無しの釜はヒールフックで難なく抜ける。
4D0F53A4-497C-4E20-B755-595DFD8A27BD
(ヒールでグイッと)

昨日に引き続きスーパーショルダーマン大活躍でポンポン小滝を通過して本日最初の難関F25に到着。
滝自体はスライダー滝だ。右岸の壁を巻き登ることになる。

スーパーショルダーマン自作のスーパーチョンボ棒でうまいことスーパー残置リングボルトにスーパークリップできて、スーパーOKDがスーパーヌメヌメのスラブを登っていく。
D58D26A0-C90D-467F-91DD-0C1E9D58F564
(スーパーショルダーヒューマンチョンボクリップ。このトライは失敗する。)

0A792718-E3A1-44DA-8054-93ECF7851E8B
(クリップは優しく)

9A4088BE-26FA-49C1-8181-7BCD2BD4D818
(スーパーOKD)

CFDBE2F9-A5DB-41DA-9BFD-03791102B940
(スーパーOKD2)

フォローでも結構緊張するスラブだった。
まさに漢の中の漢、スーパーOKDである!

立木でピッチを切り、そこから真横にトラバースしていってピッタリ滝の落口に着く。スーパーピッタリだ。しつこいか。

間をおかずF26が現れて、スーパーおせんさんがスーパーリード。エイドも慣れたものだ。
345BFFC9-73F3-471B-A320-59CE26482634
(スーパーおせん)

池郷中部ゴルジュで練習したのが確実に力になっていると感じる。ザクロ行く前に池郷中部に行くのはかなりオススメできる。

その次の3mの滝もエイドでこなし、荷物が無いからサクサクと快適遡行。
AF2487D9-BAEC-42B4-AA85-42CF79B3C685
(3m滝)

F31は左岸トラバースで行くことが多いようで残置のスリングも下がっていたけれど、今回は水流から乗り上がることができた。
側壁の苔のラインなどみてると、平水に比べて20cmから30cmくらい水位低そう。好条件山の如しだ。よっしゃよっしゃ。

ルンルンとゴルジュを進み、F34に到着。本日2つ目の難関だ。
4C27327A-6872-4CE8-B48C-FA8689C6E379
(F34)

ここは僕がいかせてもらう。
スーパーショルダーマンのスーパーチョンボ棒でスーパー残置ハーケンにクリップして、スーパーゴボウして離水後、新しめのリングボルトにアブミをかけて、アブミかけかえで進んでいく。
後続のために結び目を作った240cmスリングをアブミ代わりに残しておく。
いくつかの記録を読んでここのトラバース地点の残置リングボルトが飛んているとかリングだけブチ切れているとかいろいろ書いてあったのでどうなっているのかと戦々恐々としていたが、よく考えたら落ちても釜なので、まぁやばいダメージは負わないだろう。
とはいえ、やはり緊張するもので、リングがブチ切れた残置ボルトにスリングをタイオフして、
「どうかハズレませんように、、、」
と思いながらアブミをかけてジワリと乗り込む。
スラブの落口の向こう側にハーケンが打ってあったので、スリングを投げ縄にして引っかからないかと何度か試すが引っかからないので意を決してフリーに切り替える。

この遡行中、コケが生えてる部分はもちろんスベるんだけれど、灰色の岩の部分はかなりフリクションが良かった。

そしてこのF34も例に漏れず灰色の部分は少しタワシでこすればフリクションバッチリだったので、外傾したスタンスでも慎重に乗れば立つことができた。
ジワジワと落口の向こう側まで進んで残置ハーケンにクリップし、無事に安定したところまで。
ハーケンでビレイ点を作り、ホッと一息。よっしゃよっしゃ!

F292071E-A85A-4DC3-9CDB-355AB215A705
(スーパーおせんチョンボ棒)

BC47DC7B-5CCA-4326-93CC-6F30AEB4D0EE
(あぶみかけかえ)

94748B9F-EA72-4FDD-A660-7275B5569420
(頼む、外れるなよ。)

2EC06026-F961-410F-AD06-9D0449D7D0CC
(ジワリトラバース)

ここからは後続が大変だ。
セカンドでおせんさんが上がり、トラバースのワンポイントはギンギンに両側からロープを張って落ちても大丈夫なようにしつつも、無事にトラバース成功する。
78FCC267-8046-44B1-8859-2E23EEDDC6DE
(セカンド)

サードOKDさん。
回収しながら登れるようにしてきたつもりだけどうまくいくかなとハラハラ。
うまいこと回収しながらトラバースポイントまで来て、無事にトラバースを済ませる。
落口側の中間支点まできて、セルフを取ってアブミの回収。

8804B62C-B031-41F3-B938-E47C0818C571
(サード)

リングナシボルトにスリングをタイオフしてただけだったので、引っ張ったら容易に回収できたようだ。やれやれである。

さて、これで難所は終わったようなものだ!!と意気揚々と遡行を続け、途中でゴルジュが切れた河原で休憩したりして、ニセF37をシャワーで登り、F37をOKDさんがリードする。
DD3045A2-DBF8-48B1-8860-61B5E4C0A2DC
(ニセF37)

B11FDBC0-88BB-42B9-85A0-B3C09A8D4F78
(F37)

F37はあまり中間支点がとれず、見てるこっちがハラハラしたけれど、無事に抜ける。
セカンドで僕が上がり、サードのおせんさんが登ってる間に先行してF40に行くことにした。

意外に長いF40までのゴルジュをチョッパヤで駆け抜け、河原を挟んで、ついにその姿が見えた。
0D1FE170-A356-4C7E-85BE-D795C473E249
(F40)

ここはハンマー投げの腕が問われる最後の難関だ。なかなかハンマー投げが引っかからないらしいし、諦めて巻くことにしても巻きは巻きで悪いらしい。

とりあえずF40の釜まで進んで、景観に身を置く。
確かに下からだとちょっと距離あるなぁと思い、右岸の棚に上がれそうだったので試しに上がってみる。
そうすると、だいぶ落口が近くなったように感じたので、「よーし、いっちょハンマー投げしてみるか」とOKDさんとおせんさんを待たずにハンマー投げ開始。

フローティングロープにハンマーをつけて、ゆっくりグルングルンと回して、勢いが乗り切った10回転目で「おりゃー!」とハンマーを投げると、一直線に落口に飛んでいった。
「カンカン!!」
と小気味良い音を響かせ、見事に奥の方に吸い込まれていくハンマー。
「お、おう、、、まさかのめっちゃええ感じで飛んでいったぞ。」
と想定外にうまく投げれたことにタジロギながら、ゆっくりとロープを引いてみる。

、、、かかった。
かなり強く引いてもビクともしない。
「かかったぞー!!!!」
と喜んでみる。一人で。

94518A18-FE83-406C-AF7E-1518ABD95881
(かかった)

、、、あ、あれぇぇ?おかしいな。
もっとこう、3人で、「あー!惜しい!!」とか「次俺投げるから代われー!!」とかキャーキャー言いながらハンマー投げするつもりだったのに、たった1人、あんまり何も考えずに投げて1撃でハンマー投げ成功させてしもた。
違うんです違うんです!僕だって1回で成功すると思ってなかったんですよ?3人で盛り上がるつもりだったんですよ!?
5分くらいボーっと待ってると、OKDさんとおせんさんが向こうのほうからやってくるのが見えた。

ハンマー投げがうまくいってしまったことを伝えて、ハンマー投げる時に叫ぶつもりだった
「ムロフシーッ!」
を、釜に飛び込みながら叫んでダイブして、2人のいる河原まで戻る。
若干興醒めしてるような気がする2人と一緒に休憩して、最後はおせんさん先行でアッセンダーで登って、難なくF40を越えました。
めでたし!!

0B4F60E2-2AC0-4A54-92F1-8C99578C6FED
(めでたし!!)

F40を越えるとすっかり源頭の雰囲気で、程なくして二股になり、右に入る。
まるで造られたかのような水路を辿ると、大日平の登山道に出ました。
65A686D9-D5ED-4291-AB21-69E63335EC26
(詰めの水路)

9B5C21F9-CBCE-45C1-BE6E-8EDBF15E1009
(やっほー!)

そこから綺麗に整備された木道を歩き、牛ノ首のデポを回収し、汗ダラダラになりながら大日岳登山口まで降りて大休止&記念撮影。
他の登山者や称名滝を見に来た観光客に紛れて駐車地まで。

下山完了。

---------------------------------------------

以上、山行記録でした。


この3ヶ月長かった。
僕は冬のクライミングが好きなので、今年の冬にOKDさんにいろんなところに付き合ってもらい、夏は反対になにかOKDさんのやりたかったことに付き合いたいと思っていて、5月の終わり頃にザクロの話が出たので、ちょっと気張って行ってみることにした。
3人で行った方が良い気がするねという話になり、おせんさんが名乗りを上げて加わり、あーだこーだと意見交換をしながら過ごした3ヶ月でした。
ザクロの言い出しっぺはOKDさんですが、もしかしたら僕の方が熱くなってたんじゃ無いかと思う節がいくつかあって、ロープワークや装備など、2人には結構失礼というかちょっと嫌な言い方をしてしまっていたことも多々あるかと思いますが、それを受け入れて適当にイナしつつ関わりを持ってくれて、楽しい沢登りができて、本当に嬉しいです。
ビッグなハートを持つお二人に感謝でございます!!!僕ももっとゆとりのある人間になるぞー!!
じっくり共通の目的に取り組んで、それを活かして次に繋げていくというのは、時々しんどくなりつつも途中で辞めなければ最終的には楽しいことになるんだなと思います。
OKDさん、おせんさん、ありがとうございました!!


さて、夏も終わり今来てる台風が過ぎればきっともう秋で、冬になるまでの間、いっちょクラッククライミングに打ち込むかと思っているので、お付き合いしてもらえる人は是非行きましょう!!!


目指せザクロ 完!!!
0A824D93-0D10-4621-A930-075A868E8182
(あざっした!!)



2022.9.11 池郷川中部ゴルジュ

2022.9.11 大峰 池郷川 中部ゴルジュ の記録

83333B5F-9C6F-4DA5-87D5-2C06BED3899D


こんにちは、岩瀬た、です。
池郷川中部ゴルジュに行ってきました。
メンバーはおなじみOKDさんとおせんさん。
目指せザクロ第6弾です。

記録写真はおせんさんの記事を読んでもらえればと思います。

以下、山行記録です。

---------------------------------------------

◎メンバー
おせん
OKD
岩瀬た


◎装備
・50mロープx1(30mで良さそうだった)
・25mフローティングロープ
・ハーケン9枚(もう少しあっても良かったかも)
・カムX4 #0.1〜0.5 各1
・カムC4 #0.75〜4 各1(0.75序盤でどっかに落とした)
・マスターカム#1〜5 各1
・ボールナッツ(不使用)


◎行程概要
6:20 駐車地出発
6:40 入渓
8:00 岩間のあぶみ乗越
9:00 5m滝エイド
11:00 ネジ滝
13:30 ネジ滝上
14:20 大又谷出合
14:50 大又谷 脱渓地点 ロープワーク練習
15:30 脱渓
16:00 池郷林道
16:20 駐車地


◎行程詳細
6:00に駐車地につき、準備して出発。
林業のモノレール軌道に沿って降りる。

余談だが、大峰の林業の手は深くまで伸びてるなとよく思う。ズルズルの泥壁や文字通り断崖絶壁のような場所にも太い鉄の杭が打ってあったり、ワイヤーを通してあったり、どうやってここまで資材を運んだのかと思うような場所に朽ち果てた小屋があったりする。
今通ってきた林道もそうだ。こんな山にそして川に道を作ろうと思い実行に移し完成させるのは並大抵じゃない。
自然に手が入るのを良しとしない意見もあると思うが、僕のような単純な人間はただ感心してしまう。その苦労や当時の生活を想像してみるけれど、結局いつも上手く想像できない。
昔の人はすごい。総量的な意志のパワーがすごい。
もちろん現代社会の僕たちも家に居ながらにしてあらゆることを知り、疑似体験をし、短縮された時間のおかげでいろいろな新しいことができるので、すごい。ベクトルの違い山の如し。
この先どうなっていくのか、地球が滅びても人間は滅びずにいるのか、少し気になるところだ。
最後の1人がいなくなる瞬間を見てみたい気もする。それが可能かどうかは抜群に頭の良い人間に委ねられている。僕が死んでしまうまでに技術が完成したら、その未来を見させて欲しいものだ。できるだけ安く、できればタダで。

と考えているうちに沢床に着き、入渓。

最初からゴーロで、しかも結構な巨岩帯で、進むのにヒーヒーなりながら進む。
こびりつくコケと水面の高さから見て水量も平時より少し多そう。
流れる水に流されないように飛び込んで岩の間を必死に泳いだり、ちょっとした乗越だけれどカムにあぶみをかけないと乗り越えられないようなところを越えて、5mの滝に到着。
滝左側のピンスカーが顕著な壁をエイドで越える。
以前に御在所でエイドの練習をしたが、その時は思いの外てこずった。その練習の成果か、早くも無く遅くも無い(?)ペースで登れた。
しっかり支点をとることができ、抜け口には残置のハーケンやボルトもあったりして、おせんさんにテンションをもらいながら支点を作ったりして、結構安心して登ることができた。
テンションもらわずとも、セルフビレイでやったら良かったかな?

5m滝の上で少し休憩して、淵を泳いでしばらく行くとネジ滝。
大きな釜の向こうにドドドと滝が落ちる。

おせんさんが取りつきに向かって釜を泳ぎ、本人初エイドで登り、テラスの上でピッチを切る。よっしゃ。
セカンドで僕が行き、続いてOKDさん。
ビレイ点のテラスは滝が真横に落ちてきていて、時折水飛沫がブワっとかかって会話するにも少し大声で喋らないと聞こえない。

セカンドで登ってテラスに着いた時、次のピッチは悪そうなトラバースだと思い、これは怖いなぁと思った。

次のピッチはOKDさんのリード。
僕が見てたトラバースではなく、直上する細い縦リスを登る。
正直なところ、縦リスはハーケンすぐ抜けるイメージしか無かったので、自分でも気付かぬうちに選択肢から外していた。

ハーケン抜けるんじゃ無いかとヒヤヒヤしながら、慎重にあぶみにのって登っていく。
静荷重には耐えれても落ちたらハーケンはすぐ抜けるだろう。
ハーケンが抜けてそのまま落ちれば一度テラスでバウンドして滝壺近くに落ちるだろう。
ビレイはおせんさんがしていて、僕は暇だったので、落ちたらどうするか考えていた。
下まで落ちてしまってロープに引っ張られて溺れるようなことになってしまったら、おそらくビレイ解除するのにもたつくだろうから、リードのロープを切って、自分のセルフを外して僕もダイブだ。
落ちた人をキャッチして、釜の向こう側まで泳いで引き上げよう。
うまくいくかなぁ?助けに行った僕まで溺れたら目も当てられないよなぁ。

と考えてるうちに無事にOKDさんが上に乗っこした。
ナイス!見てるこっちもヒヤヒヤする。
セカンドで上がると、グラグラするハーケンの根元にスリングをタイオフしてそこにプロテクションとあぶみをかけていた。
いつでもリード交代したろと思って構えていたけれど、マジで?これにあぶみかけて登ったん?と思う。漢の中の漢、OKDである。僕なら沢を良いことに登りながらチビってたな。

セカンドで快適にスリングやらなんやらを掴みまくって登り、おせんさんが回収しながら登る。
グラグラしてたハーケンも意外に効いていたようだ。
次のピッチはまたおせんさんリード。階段状を少し登って、トラバースして見えなくなってしばらくでコール。

3人とも無事にネジ滝の上にたどり着き、ポカポカ太陽の光の中で大休止。グッドロケーション!

そこから少し遡上して、時間もあったので大又谷の出合でロープワークの練習をしてから林道に上がり、駐車地へ。

下山完了。

---------------------------------------------

以上、山行記録でした。

池郷川中部、岩は白く輝いて、天気も良くてガシガシ登って、人工メインで登っていくのも初めてで楽しかったです。

今シーズンはたんまりリードさせてもらっているので今回は口笛吹きながらフォローさせてもらって、泳ぎも引っ張ってもらったりした。
ザックをワンザックにしておせんさんが最初から最後まで背負ってくれてツワモノだ。
僕はちょっとサボりすぎだったかも?

カムC4の0.75を序盤のどこかに落としてしまったようなので、また探しに来ないといけない。その時はあの縦リスをリードしよう!沢を良いことにチビりながら。

毎度、OKDさんおせんさんありがとうございました!

ついに次回はザクロ谷だ。天気良くあってくれ!!台風の影響でなんか逆に良い感じの天気になれ!!!



記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

kobe_alpine

  • ライブドアブログ