比良 八幡谷 平成23年9月11日 Y山 T中 U本 T(記)
比良。急峻なY字型の山脈を構成する関西岳人の古里。古くて、新しくて、
そして危ない。急峻なその奥に何か我々の求めるものが隠されているはずだ。
でなければ古今東西の岳人たちがそこをめざしたはずがない。
今回は口深、奥深に続き、八幡谷を目指す。急峻な滝のその上に何か、
まだ見ぬ何かがあるはずだ。それを拝む前に私は転落していたかもしれない。
今回も毎度最近おなじみのメンバーで前夜の21時に西宮に集合し、細川
集落を目指す。夜の運転に迷ったのかそのひとつ南側の三舞谷へ車を走らせて
しまい、どうも様子がおかしいと言う事で一本沢を間違えた事に気づく。
再度車を北へ走らせ、目指す八幡谷の取り付き堰堤に到着する。平地が
少ないのでテン場探しにに苦労する。夜はニンニクとステーキで豪勢に
宴会する。晩飯でビールを控えたため、もう手が震えそうだ。25時就寝。
翌5時起床。小雨が降っている。と言う事で再度、寝る。6時ごろ、止む。
晴れ間も出てきたため、やむを得ず、出発する。この微妙な感覚。
堰堤を左から巻くと、長い間の河原歩きが続く。単調で全く面白くない。
うんざりした頃、二股が出現。私は敢えて(?)遡行図を持ってこなかったが
Y君がきっちりと備えていたので確認する。最後の二股ではなく、1番目の二股
なので2:1の2の方の水量の多い左股へ進む。二股へ分岐してからやっと
沢登りらしくなり、次から次へと滝が連続して現れて遡行者を有頂天にさせる。
(使い古された表現だが)どれも釜を持たない5~8mくらいの滝で、登攀
要素が強い。登攀力に自信のない我々は(道具も不足していたが)登るか、
巻くかを選択しながら超えて行く。2番目の二股を右に取り、出てきたやや
大きな滝は無理そうなので左岸から巻く。次に現れた中滝は両側ゴルジュで
直登は難しそう。巻きは大巻きで尾根に乗りかねない。どうすんべと考えて
居ると滝の中ほどに残置ロープがあり、これは何かと思案しているうちに
巻き道である事が判明する。先頭の私は有頂天にノーロープで滝上まで
上がり、冷静に考えるとここは危ないのでロープを出して確保しながら登る。
天気も曇りで暗いが、尚一層谷中が暗い。暗くて寒い。台風12号の傷跡か
沢中の大きな石がぐらぐらでよく動く。しかも倒木もやたらと多い。忘れた
頃にヒル君が付いてきて遊んでくれる。後半の滝をフォローするT中さん
次第に水は枯れ、ガレ場歩きとなる。これがまたきつかった。何処でも
歩けるので踏み後が薄く、コンパスを見ながら適当に上がると細川尾根の
稜線直前辺りに飛び出した。時刻は14時30分。だいぶかかった。
ここで最終到達点として休憩する。体中に小バエがたかって鬱陶しい。
辺りはガスって何も見えないが武奈岳頂上は近いと見て、頂上を踏みに行く
ことにする。5分もかからず到着。記念撮影をし、また稜線を北へ戻って細川
尾根に入り、下山する。706mの小Pまでは歩きやすい明瞭な道だったが
越えた辺りから噂の激下りとなってきた。道は大きく掘れており、しかも一直線に
降りているので膝が持たない。前二人は大きく掘れた道を脱し、山の斜面を
山スキーよろしく左右にジグザグターンを切りながら降りていると掘れた道を
バスケットボール大の岩が人為的にゴンゴロと飛ぶように落ちてきた。人が
居たら直撃だ。ここは道なのか、溝なのか、よく分からない不思議な場所だったが、
溝の中を歩くのは落石で危険だ。
激下りを終えるとまた斜面は落ち着きを戻し、めでたく車のデポ地点へドンピシャで
降りてきた。数名の靴にはやはり、あの、人懐こい愉快な山仲間がくっ付いていた。
下山時刻17時。
NOTES:
山を批判はしないが、八幡谷はきつく、長かった。中間部に滝やゴルジュが
集中し、その前後は凡庸か、きつい斜面が長く続く。もし途中でアクシデントが
あった場合、対処には時間がかかるだろう。また、泳げるような釜はなく、
中間部は滝の連続だった。また、台風の結果か、山崩れ後があちこちにあり、
不気味でもあった。