2011年10月

ITT 西山谷

ITT 西山谷           平成23年10月30日(日)   U、T

ITTといっても今の若い人には何のことか判らない方もおられるかも
知れませんが、アイゼンテクニックトレーニングの略称だったと思います。
 
さて、当日は前日から降水確率80パーセントのため、不動岩は断念し
小雨の中を西山谷へアイゼンの足慣らしに参ることにしました。

ここ西山谷はすぐ隣の大月地獄谷と違い、昔の風情はそれほど破壊されては
おらず、アイゼンや沢のトレーニングには今でも十分に役立つルートです。

アイゼンは初めてのUさんもなんとか快調にピッケルを片手に登ってきました。
大き目の滝は濡れると寒いのでほとんど巻いて登ります。

クライマックスの、右岸の垂直の木の根登りはUさんはロープなしで大丈夫かなと
思いましたが無難に上がってきました。

最後に別荘の横に飛び出し、雨がきついので雨宿りさせてもらい、ついでに
ケーキも頂きました。(ここまでのケーキ担ぎは拷問並み)

最後に六甲山上駅まで歩き、そこから寒天山道を下りて、渦が森公園に着きました。
雨の六甲山は人も少なく、静かな山を楽しめました。

魚20111030_1533~01白い防護服(?)を着て歩く謎の人物??靴は上等







9/18 前穂高4峰正面壁 北条・新村ルート

<メンバー> O島、T

 一年以上も温めてきた計画であった。
小さな池の畔の静寂、前穂高東壁の迫る圧巻、富士や南アルプスの遠望。奥又白のベースキャンプは、また何時か訪れたいと思って止まない場所であった。
神戸を出発した金曜の夜は台風15号と日本海の停滞前線の影響で次第に土砂降りの雨となった。天気が良くなる見込みは無かった。しかしこの日程を外すと、次にいつ奥又白に行けるチャンスが来るのか判らない。正面壁を登れなくとも、何とか奥又白まではたどり着きたかった。

奥又白池を見下ろす※奥又白池

<9月17日>
 傘を差して上高地を出発。途中の徳沢で雨宿り。新村橋を渡って中畠新道へ向かうのは我々2
人だけ。途中で雨もあがる。奥又白の池には先客のテント1張りがあった。夕食は「シーチキンのちらし寿司」。時折雨がテントに打ち付け、明日は無理かと思いつつ、早めに就寝。「よく寝た。」と目が覚める。テントの吹き流しから外を覗くと薄らと星が見えた。時計を見るとまだ21時過ぎ。夜明けまでの長い時間も今夜は嬉しい。

奥又BCを出発※奥又BCを出発

<9月18日>
 
快晴の星空。今日の長い行動に備えて、朝飯は「ツナマヨのパスタ」でカーボローディング。5時30分出発。尾根沿いにトレールをたどり遭難碑を超えた平坦な地点から
A沢に下降気味にトラバース。ガレガレの斜面をC沢目指して横切る。まだ残っていた雪渓のトラバースで念のためザイルを繋ぐ。この時期ならアイゼン、ピッケルは不要。ピックのあるハンマーが有効。Aフェースに向かうパーティーと頂上での再会を祈念し、我々はC沢の左岸に上がりT1への踏み跡を進む。

T1でクライミング装備を身に着ける。7時30分登攀開始。下部の100mは優しい岩場。1ピッチ目は50mロープが一杯になるまで伸ばす。2ピッチ目の途中のクラックに大きな浮石。しっかりしている様に見えて、触るとグスグスと動く。この墓石のような岩石が落ちるのは時間の問題だ。

ハイ松テラスより見上げる※ハイ松テラスから見上げる

 ハイ松テラスに8時30分。アブミを準備したり、トップ用とセカンド用に荷物を調整したり、腹ごしらえしたり。人気ルートだが今日は我々の貸切り。9時に再開して3ピッチ目の核心のハング帯。ルートはガイドブックを参照のこと。ピンの間隔は近いが、カラビナを通す隙間が無いハーケンや、根本まで打ち込まれていないハーケンが多い。怖いのは、擦り切れた残置のテープがぶら下がっているハーケン。ダイニーマーをセットしたいがテープを通す隙間が無い。ナイフを取り出して切捨てようかとも思ったが、微妙な体勢でアブミに乗っているので早くハングを抜けたい。手で引っ張って切れないことを確かめて、アブミにそっと体重を賭ける。このピッチを二人が抜けるのに1時間かかってしまった。
 
 4ピッチ目は空中に身を乗り出す様にカンテを回り込むのが爽快。右に水平トラバスしてから左上する逆L字のラインとなり、ダブルロープが交差しないように注意。
別の2人パーティーが下のハイ松テラスに上がってきた。「ここは松高ルートですか?」と道を訊かれた。どうやらルートを間違って登ってきた様だ。

 最終の5ピッチ目。ほぼ直上して浅いコーナからハイ松帯へ。登攀終了。
 傾斜が緩くなると岩屑が堆積している。下に人がいるので落石に細心の注意を。安易にロープを巻けば、ロープに擦れて石が落ちる。ザレた斜面を出来るだけ安定した場所を選んで北尾根に向かう。落ちそうな石には手や足を置かない。他に手足を置く場所がなければ落ちそうな石を別の場所に除けて安定した足場を作る。それでも石を落した時は、すぐに大声で「ラクっ!」と下方に叫ぶのが鉄則。見ていかにも不安定な石ならば、落さないように注意できる。また、登攀中にホールドをたたいたり引っ張ったりして浮石かどうか確かめるのはトップの重要な役割。しかし、整備された岩場ばかり登っていては、その習慣はなかなか身につかない。

 一番恐ろしいのは、微妙なバランスで止まっている大きな岩である。大きな岩なので一見安定しているように思える。それを両手で抱えて乗り越そうとした瞬間、何の前触れもなく岩が自分の方に動き出す。もうどうすることも出来ない。落石と言うよりも、岩の崩落と呼ぶ方が相応しい。私も過去に北尾根で落石事故を起こしたことがある。下で私の墜落を止めてくれたK林さんの足に骨折を負わせてしまった。私は顎と腹部を縫合した。

落石では他にも仲間が痛い目に遭っている。「経験と勘が重要」と言えば簡単だが、「この大きな岩、ひょっとして動くかも?」と思って取りつく場合と、何も考えず勢いよく取り付くのとでは、岩が動いた時の身体の反射的な動きに大きな違いがある。例えば、堡塁岩の「チビッコハング」や「だっこちゃん」のハング越え。あの岩が抜けるかもしれない、と誰が用心しているか。しかし「本チャン」や沢登りではあり得る。

 4峰から北尾根上部※4峰から北尾根上部

 北尾根に合流し4峰到着11時40分。ルート上で北尾根が一番安全で気が休める。そこはもはや、「山ガール」の領域である。順番待ちでタイムオーバーになる可能性もあるので、3峰RCCルートの古典ルートも迂回路に考えておいた方が良い。

前穂頂上※前穂高山頂
 前穂頂上13時30分。賑わう頂上で休んでいるとAフェースからBCの隣人達が上がってきた。約束どおりの頂上での再会を喜ぶ。Aフェースは前穂頂上に直接達するのでドラマティックなルートだと思う。

A沢の降り口※A沢降り口
 頂上から奥又白への下降ルートであるA沢を降り切るまでは気が抜けない。A沢への下降路を見つけるまでに2回まちがえる。明神へ続く稜線の最初の顕著な小さなコルまで降りたら、それは行き過ぎである。上り返しながら、右手の奥又側に出ている尾根が確認できたら、目印の小さなケルンが見えるだろう。A沢の降り口からは奥又池とBCのテントがすぐ下に見える。
A沢の下降は途中50mロープダブルの懸垂。ここは必ず落石が起こる。従って1人1人懸垂下降で通過する。また、落石でロープを傷つけることもこのような場所では多い。懸垂の時は安易に下にロープを投げす、最初に降りる者はビレイによるローワーダウンが望ましい。

 奥又BC帰着17時30分。疲れ切った時の食事には、手間がかからず、消化に負担の少ないメニューが良い。八宝菜雑炊。

<9月19日>
 下山。早朝は快晴であったが、徳沢に降りる頃には頂上周辺はガスに覆われる。BC6時発、上高地11時30分。平湯で温泉から出た頃から雨。台風の影響が出始める。神戸に帰り着くころには土砂降りとなる。

 台風と停滞前線に挟まれながらも奇跡的な快晴に恵まれ、静かな穂高での楽しい岩登りができたことを仲間に感謝する。


(記:O島) 



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