2012年05月

富士山山スキー

富士山山スキー    平成24年5月24日(木) Y山(単独)


気付けば今月はGWも含めて連休ゼロ。
休日出勤が続いて単発で1日休暇しか取得できていない・・・
 
さて、予想地上&高層天気図から判断し、高気圧勢力圏内で500hPa高層天気図上でも等高度線の幅が広がる本日5/24(木)に休暇を取得し、約半月ぶりに富士山山スキーのリベンジ計画を立てた。前回の到達高度は手持ちの高度計で3,550m、地形図で確認すると九合五勺にあたる。山頂までの高度差は僅か200mほど。

前回は夜間通行止め規制中だったが、今回は規制解除確認済み。早朝にスタートが可能だ。
前回の時もそうだったが、最近開通した新東名は快適に走れるので関西からのアクセスも若干良くなったように思う。
 
今回の山行計画↓
富士宮口新五合目→剣ヶ峰→火口スキー滑降→剣ヶ峰→富士山南斜面スキー滑降→富士宮口新五合目
 
最新の予想高層天気図から判断すると、山頂付近の風速は強くても5~7m/s程度、山頂付近の気温は1~3℃と予想。風速はもっと弱い可能性が高い。
絶好のアタック日和と判断した。

早朝に富士宮口新五合目を出発。
前回の5/8の時は、富士宮口新五合目駐車場から山頂までかろうじて積雪は繋がっていたが、今回は前回かろうじて繋がっていた箇所も途切れてしまっている。
P5240003

今回は積雪が途切れている箇所が多数あるようなので、シール登高は諦めて最初からクランポンで登高開始。
夏道には行かず、雪渓を登り詰め、馬の背を登高して日本最高峰に登頂。
P5240009

昨年は須走口から登頂した為、日本最高峰の剣ヶ峰に立つのは2年ぶりとなる。
P5240014

予想した通り快晴微風。西の風約7m/s、気温は約1℃。
思っていたよりも気温が低い・・・

最高峰で板を履き、火口へドロップ!
P5240034

火口は意外に積雪が緩んでおり、快適ザラメを堪能して火口の底へ。虎岩の下部の積雪は日陰でアイスバーンだった。
気温は約5℃と高め、稜線の風が吹き下ろしており、火口の底にも関わらず風速約7m/s。滑降に適した雪質ということは登り返しでは足を取られて山頂へ戻るのがキツかった。

富士宮口山頂の鳥居は積雪で埋まっていた。
P5240041

登り返した後、雲海を眺めながら山頂から滑降。
P5240044

山頂付近は気温が低く、またウィンドクラストしておりアイスバーン状の積雪だったが、Co3,500m辺りからはザラメ状となりCo3,400m辺りの雪質は最高だった。
 
今秋のフルマラソンに向けてのトレーニングで、つい先日の約20kmの走り込みが効いているのか、薄い酸素に苦しむことも無く登頂できた。ランニングで確実に心肺機能が高まっているのを実感できた。昨年の山スキー富士登山登頂時にはランニングなどしていなかったので、トレーニング効果の差は歴然としている。
4月末の槍ヶ岳と半月前の富士山で高所順応ができていることも作用しているのかもしれないが・・・
 
 
今回の山行で1年間の半分以上となる約7ヶ月間の山スキーシーズンを終了し、板納めとする。
今シーズン初めの11月の立山では積雪が少なく、シーズン初めにして板にダメージを負ってしまった。板納めで早速近日中にチューンナップに出して来シーズンに備える。

富士山山スキー

富士山山スキー   平成24年5月8日(火)  Y山(単独)


今年のGW、結局連休が取れたのは槍ヶ岳山スキー山行の4/28-29の2連休のみで、あとは合間合間に休日出勤を強いられた(泣)

5/8(火)本日、予想地上天気図・予想高層天気図を確認したところ、まずまずの天候且つ予想最高気温が地上で27℃で3,776mの日本最高峰山頂でも積雪が緩んで快適ザラメになることが予想された為、休暇を取得して約1年ぶりの富士山山スキー山行を決行。

予想高層天気図から読み取ると、山頂付近は10m/s以上の強風が予測されましたが、この時期の富士山としては格別強風というわけでもなし。むしろ10m/s以下の風を待っていては好天を逃してしまう。
そういう意味では槍ヶ岳に行っていた4/28-29の2日間は富士山に行くにしても絶好の機会だったと言える。この両日は高気圧に覆われ、高層天気図からも等高度線幅が広がっており、富士山頂でも風が弱まっていた。更に夏日となった為、富士山頂でも積雪が緩み、極上ザラメだったようだ。
GWの富士山山スキーの絶好の機会を逃したのは痛いが、槍ヶ岳山スキーを計画していたため致し方なし。
 
4/28-29の2日間には劣るが、本日5/8の気象条件もまずまず。
富士宮口新五合目までの道が夜間閉鎖されている為、07:30の開通を待たなければならないのが何ともじれったいが。睡眠時間を確保できると前向きに捉えれば我慢できるか・・・。関西からだと富士山は遠い。
 
久々の日本最高峰だが、先日の槍山行でCo3,000mの山小屋に一泊した為、高所順応もバッチリ!?加えて今秋のフルマラソンに向けて早朝ランも再開したことだし、心肺機能は高まっているはず・・・

08:00に富士宮口新五合目駐車場に到着。直ぐに準備を整え、登山口からスキーを履いてシール登高開始。
P5080001

Co2,700mほどで傾斜がキツくて効率が悪いので、シール登高からクランポンに換装して登高続行。

予報通り、気温は8℃と高めで、ほとんど雲も無く快晴の中汗を流しつつの登高。が、あっという間にガスに覆われ日差しが遮られ始める。
P5080003

富士宮口頂上の山小屋と剣ヶ峰を目前にしたCo3,550m付近で20m/sほどの強風に見舞われ進退極る。しかもガスに覆われ、予想に反して積雪はアイスバーン状。気温は約0℃。
P5080006

ザックに装着したスキー板が風に煽られてバランスを崩しかける為、身の危険を感じる。
頂上まで約200mほどの高度差に迫ったが、ここで撤退することに。先行の単独スキーヤーも東にトラバースして風を避けるようで、同じく風下の方へトラバースして滑走準備を整える。

先行の単独スキーヤーが滑降した後、クランポンからスキーに換装。スキーブーツがウォークモードじゃなく滑降モードになっているのに漸く気付く(汗)
どおりで歩き難いと思った・・・

強風吹き荒ぶ最高到達点を後にドロップ。
P5080008

Co3,400m付近までは固めのバーンで緊張したが、その下からは快適なザラメ状。
P5080009

標高差1,000mの滑降を楽しみ新五合目駐車場へ。
P5080012

新五合目の売店に観光客15名ほどのギャラリーがおり、スキーで滑降していくと拍手で迎えられた(苦笑)片手を挙げ、拍手に応えつつ下山。
山から下山して拍手で迎えられるのは初めての経験だった。

昨年の富士山山スキーの時は薄い酸素に喘ぎながらの登高だったが、今回は酸素が薄いとは感じなかった。
フルマラソンに向けての早朝ランのお陰か、先日の標高差2,000mオーバーの登高を1日でこなした槍山行の効果か。

下山後、ラジオの情報によると、富士山の麓の最高気温は予報とは違って21℃か22℃と言っていた。麓でこの気温だと富士山頂の積雪はアイスバーンなのは当然。
また、高層天気図から山頂付近の風が強いとはある程度予想していたが、強くても15m/sほどだろうと高をくくっていたら見事に予想が大外れ。気象予測は難しい・・・
帰宅後、気象庁のウィンドプロファイラでチェックしたところ、富士山頂付近はやはり20m/sほどだった。瞬間的には20m/s以上あったように思う。
日本最高峰且つ独立峰の為、強風には要注意。甘くはない。

御在所岳 前尾根

御在所岳 前尾根                  平成24年4月某日  T、U


 7年ほど前、雨のため断念した前尾根に行く事にする。ネットで調べるも、これと
いったルート図もなく、エイ、ヤーで行く事にする。少ない情報によるとクラックが
多いようなので、カムとナッツ類(お菓子ではないですよ)を忘れずに持参する。
 前夜20時西宮発。新名神にのり、甲賀土山ICで降り、鈴鹿スカイラインを
くねくねと曲がりながら登山口に到着。深夜だと言うのに暴走族の車で賑やかい。
 暴走族に負けないように宴会をしてから寝ようとするが、何故か私のシャツの
袖にあの、人懐こい愉快な山仲間が・・。これは木の枝か?ナメクジか?いや、
その正体は我が山仲間ヒル君ではないか! 早速、箸で摘まみ、火あぶりの刑に
処す。合掌。しかし1匹いると言う事は他にも仲間が大勢この新調したアライの
エアライズ2に潜んでいるかもしれない。しかしこのエアライズ2は実に快適だ。
各寸法も絶妙で、3人でもぎりぎり可能だ。(大男では辛いが)ふと見た山渓にも
なんとベストバイになっている。極めて同感だ。昔スタンダードだったエスパースは
何処へ消えて行ってしまったのか・・。エスパースの寸法設計には疑問が多かった。
表示の人数では快適に使えない。あと5センチ、10センチの差が使いやすさに
影響する。さて、ヒル君も火葬にしたので残り香の漂うテントでアジの干物を炙る。
しかしU女史はビビッてしまい、その後食欲がなくなってしまった。合掌。
 暴やんが一晩中走り回るので時々起こされたがなんとか熟睡し、翌8時出発。
藤内小屋に9時着。さて、ここからが問題だ。前尾根が何処にあるのか判らない。
 恥を忍んで(?)ベテラン風のおじさんグループに質問する。「あー、前尾根に
行きたいんですけど、どっちですかねえ?」するとおじさんたちは親切に写真などを
持ってきて教えてくれた。よし、大体は判った。登山暦30年の自信を取り戻し、
意気揚々と教えてもらった道を進む。あたりはガスガスで目印の藤内壁も霧の中だ。
 これが前尾根だろうと検討をつけて登っていくとP7と思しき壁でガチャガチャ
音がする。お、これはクライマーの発するあの独特の音ではないか!おーマイゴッド。
神に感謝して音を頼りに進むとおばさん2名とおっさん1名がクラックに取り付いている。
 しばらく観察するが今にも雨が降り出しそうだ。しかも巻き道が明瞭に壁を巻いている。
「巻こう」相方に指示し、巻き道を登るとあっという間にP6の上まで来てしまった。
巻き道はありがたいが、これでは何をしに来たのか判らない。気持ちを切り替え、
登攀装束に身を変え、P5と思しき緩やかな岩尾根を登る。傾斜は緩く、ピンは
少なく、あたりはガスで、岩質はもろい石灰岩のようだ。やすりのように靴がよく

KC3Z0029P4?KC3Z0024P4?KC3Z0032P3上部


ちびりそうだ。初登なので慎重を期してアンザイレンして登る。30mほど行くと
立派なステンのアンカーに到着。ルートを通して、ピンは古く、又少なくほとんど
信用できない。アンカーだけは立派なのが2個、4個と打ってある。中間支点も
整備してもらいたいものだ。P4、P3と超えて、その間にコンテのパーティ抜かされ
たりしながらやがてP2と思しき立塔の岩に来た。これか、通称「ヤグラ」は。
 本で見たより難しそうだ。しかもピンも少ない。クラックは豊富なのでナチュプロ
は使えるが距離があるので使いすぎに注意だ。意を決して取り付くと、クラックの
内部が濡れていて気持ち悪い。カムの小さいやつがビレイしている相方の腰にぶら
下がったいるので一旦取りに降りる。装備満タンで再度登る。しんどい。何故しんどい
のか?判った。ザックを背負っている。中にはコンロやナベ、水、銀マット、リンゴ、
巻き寿司など、重たいものが満載だ。なんとかこれを外したいがどうしようもない。
 こうなったら落ちないように登ろうと、ナチュプロとエイドで誤魔化しながら少しずつ
ずり上がる。上部の乗越しで詰まる。ハーケンが2箇所あるが一つはぐらぐらだ。
 こんなんに命を預けるのはいやだなあと右の方を見ると、ありました。銀のボルトが。
神助ではと感謝しながらこのボルトの利用法を考え、おもむろにもっとも手堅い
アブミの利用を決定する。アブミに立ちこんで乗越し、しばらく上がるとぴかぴかに
光る大きなステンレスアンカーが。この落差は何なんだ? ここからは相方の
引き上げに苦労する。相方の荷物も重い。さば寿司やプリンやら登攀に関係ない
品物が一杯入っているはずだ。相方を力いっぱいで引き上げ、なんとか二人で
上までやって来られた。めでたしめでたし。
 終了点からは踏みあとを10分ほど歩くと、稜線の縦走路に直角にでた。
 ハイカーで一杯だ。15時。そこからは進路を右に取り裏登山道から藤内小屋
へと歩いて戻るが、疲れのためか足が棒になった。最後に湯ノ山温泉「希望荘」
で汗を流し、かやくご飯定食500円を食べてから、四日市経由で約2時間半で
西宮に戻った。

KC3Z0024P3付近KC3Z0022P3KC3Z0034ヤグラ

notes:

 30m毎の終了点には綺麗なステンレスアンカーがあるが、中間支点はぐらぐら
ハーケンや干からびたリングボルトなど、非常にしょぼい。カム、ナッツ類必携。
 今回ガスの中だったが天気が良ければ絶景のはず。昨日は晴天で、取り付きで
は2時間待ちだったとのこと。
 ザックを途中で降ろして効率よく登攀する方法を考える必要がある。ダブルロープ
なら色々応用できそうだが。シングルではなかなか上手い手が思いつかない。
 アイゼンでもよく登られているようで二本爪の跡も多い。いい練習になるだろうと
思われる。
 シュラフの中でヒル君と添い寝せずに済んだのは幸いだった。翌朝悲惨。
 最後に、楽しく登れた相方に感謝!。


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