2019年01月

2019.1.29 乙女渓谷アイスクライミング


2019.1.29乙女渓谷
岐阜県 小秀山 乙女渓谷 夫婦滝アイスクライミング記録
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こんにちは、岩瀬琢海(以下岩瀬た)です。
岐阜県小秀山の乙女渓谷にアイスクライミングをしに行きました。
僕は昨年12月の八ヶ岳に続いて2度目のアイスクライミングで、裏同心や大同心大滝ではアドバイスをもらいながら無我夢中で登りましたが、今回はアドバイスもらうことは変わらず、しかしいろいろと考えながら割と落ち着いて登れたと思います。



以下、山行報告です。

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◎メンバー
岡田
岡田友人(以下TNさん)
岩瀬た


◎行程
・1/29
曇り時々晴れ
時折風有り
気温-8℃
5:00 乙女渓谷駐車場 到着・仮眠
8:00 起床(寝坊)
9:00 駐車場 出発
10:30 夫婦滝 到着 アイスクライミング開始
11:00 男滝 開始
15:00 男滝 終了
15:30 女滝 開始(1ピッチのみ)
17:00 女滝 終了
18:30 駐車場到着
23:30 帰神



◎アプローチについて

乙女渓谷は無雪期は小秀山へのハイキング道になっているようで、整備が行き届いていました。
綺麗な水の流れる沢にちょこちょこと滝や岩があり、目にも楽しいアプローチでした。
途中、広くて綺麗な避難小屋があり、そこで前泊するのも大いにアリだと思います。
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◎夫婦滝について
・男滝
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高さ70m。
1ピッチ目、TNさんがリード。TNさんは岡田さんの友人で、今回いろいろと教えていただきました。
今季初アイスのようで、緊張すると言いつつ滝センターから左上し、そして右上し、グイグイ登って行く。滝に向かって右側の棚部分まで35mほどロープを伸ばしピッチを切る。
セカンド岩瀬た、サード岡田さんギアを回収しながら登る。
2ピッチ目もTNさんのリードでほぼ直登30mほどでトップアウト。
続いて岩瀬た、岡田さん。
滝の上は平坦で小広く、しっかりした立木があったのでそこを支点に60mダブルロープ一回の懸垂で取り付きまで降りることができました。

この男滝、途中途中で一息いれることができる凍り方をしていて、セカンドで確保されてる安心感と新しく勝ったバイル(今回のアイスクライミングでは新型のぺツルのノミックを持参して行きました!!高かった。。。)も良い具合に刺さって、楽しい嬉しい気分で登ることができました。
2ピッチ目に、凍った滝の中を透明度の高い氷越しに水流が流れているのが綺麗に見える場所があり、滝が凍るっていうのはなんて美しい現象なんだとしみじみ思ったりもしました。
ビレイ中は、どんな登り方をしているのか、どんなタイミングや場所でスクリューを打っているのかじっくり見て、ギアのラッキングのこと等もいろいろと教えてもらい、勉強になる。
自分が懸垂で降りてから、次の懸垂する人が降りてくる間にアックステンションをして待ってみたりしつつ、全員降りて一息入れて女滝へ。
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・女滝
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高さ60m。
男滝の沢の左岸伝いに歩いて支流を少し登ったところにあるほっそりした滝でした。
ほっそりしたといえども、充分迫力があって、縦に長く見える。
時間的にトップアウトは厳しそうだったので、下から見た顕著なテラスまで1ピッチだけ登って懸垂で降りようということに。
岡田さんと僕とどっちがリードするかとなり、岡田さんが譲ってくれて、僕がリードすることに!
「アイスはアルパインだから。絶対無理しないこと。スクリューは抜けることもあるから絶対に落ちないこと。立てる場所では休むこと。垂直部なら疲れる前にアックステンションすること。途中で氷が詰まって動かなくなったスクリューは使うことを諦めてすぐに次のスクリューを使うこと。」と確認を込めて改めて教えてもらい、ギアを確かめ、ずっしり腰に重い量のスクリューをぶら下げて、いざ。
取り付いて、さあさっそく一本スクリュー打とうと思うと、そこはまだ落ちても大丈夫(ふわふわの雪が下に溜まっていました)だから〜と言われ、もう少し登る。
安定した場所でスクリューをセット。僕は右利きなので、自分の右側に打とうと思うと、「左側の方が氷が厚いよ」とアドバイスをもらう。確かに。氷の色も違う。薄い部分は岩が透けるからかなんとなく黒く、厚い部分は淡いブルー。
スクリューをセットして、氷の形や頑丈さ、登るラインを改めて確認して登る。
こういう氷は固い氷。こういう形はアックスが一発で刺さる。ここは足がうまく刺さる。この氷はたぶん割れる。など考えながら、その一連の流れが楽しく、あっというまに(結構時間はかかっていたと思いますが。。)1ピッチが終わってしまった。約25m。
続いて岡田さん、TNさんが登り、アバラコフで懸垂して降りました。
その際、割と狭い場所でビレイしていたのもあって、ロープをうまく整理できず、懸垂するまでにロープさばきに時間がかかってしまって、申し訳なかったです。アイスだけじゃない技術もまだまだ練習しないとでした。
アバラコフで降りるのは岡田さんも僕も初めてで、2人して、先行して降りていくTNさんの体重がかかる氷を戦々恐々と見つめ、自分が降りる番ではドキドキしながら降りました。
バックアップを回収してから降りないといけなかった岡田さんはもっと怖かったことかと思います。笑
しかし、ちゃんと固く凍った氷壁で作ったアバラコフは人間の体重くらいなんとも無いようです。
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日の沈んだ乙女渓谷の遊歩道をヘッドランプの明かりを頼りに歩き、駐車場に着く頃には、学ぶことも多かったしあぁ楽しかった!と思える1日でした。



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以上、山行報告でした。


今回は、バイルだけでなくたくさんのアイス用のギアを揃えてから最初のアイスクライミングで、新品の道具の嬉しさもあいまってトレーニングをしてから挑戦したので、八ヶ岳に行った時よりも腕やふくらはぎの体力の消耗は少しマシだったように思います。アイスクライミングは関西でできる場所が少なくなかなか行けない感があるので、体力面に関しては日々のトレーニング大事だなと思いました。
また、冬だけのアクティビティですが、どうにかして回数を重ねて氷の登攀技術を身につけ、より山奥深くにあるアイスルートやミックスルートに繋げて行きたいなと思います。


TNさん、岡田さん、今回はいろいろと教えていただきありがとうございました!!




2019.1.28荒島岳山行記録


2019.1.28荒島岳山行記録
福井県 大野市 荒島岳(大野富士)の山行記録

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こんにちは、岩瀬琢海(以下岩瀬た)です。
荒島岳に行ってきました。
今回の目的は、冬の荒島岳の一般道を歩くことと、ツェルト練習、雪洞練習でした。また、個人的に冬の日本海側の湿雪というものを知りたいということもありました。
途中ホワイトアウトしてしまい緊張感のある場面もあったりして、大変良い勉強になりました。


以下、山行報告です。

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◎メンバー
芦田
岩瀬た

◎行程概要
・1/28
曇りのち風雪
気温2℃〜–8℃
8:00 勝原駐車地到着
8:15 登山開始
10:30 シャクナゲ平
11:30 1400m近辺で稜線に出る ホワイトアウト
12:15 1475m地点 撤退開始
13:15 シャクナゲ平
14:00 680m地点 ツェルト練習開始
15:15 ツェルト練習終了
16:00 駐車地 到着 下山完了

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◎行程詳細

3時に神戸にて芦田さんと合流し、予定から1時間ほど遅れて勝原スキー場(現在はスキー場は廃止されています)登山口駐車地に到着。
装備を整えて早速出発。
天気予報は悪くなっていく傾向だったけれど、出発時点では思いの外天候も悪くなく、高曇りという程度。移動の車中からは荒島岳全体を見ることもでき、行けるところまで行きましょうということで駐車場を出発。
土日にスノーシューの集団が歩いたようで、トレースもしっかりとついていて、楽々と歩みを進め、シャクナゲ平にて休憩。
これはもしや楽勝で山頂まで行けてしまうんじゃないかと思いながら歩みを進めて樹林帯が終わり稜線に出たところで、トレースは終わっている。風に煽られる。
若干のガスでしたが視界もまだあり、おぉ雪庇だ。気をつけよう。などと思いながら歩いていく。
次第にガスが濃くなっていき、あれよあれよという間に3m先の地形を見るのにも一苦労になる。
「方角通りに登れば山頂につく。下りは自分たちのトレースもあることだし。」
と思いながら、なおも歩みを進めましたが、徐々に無視出来ない勢いの風が吹き始め、顔に当たる雪の粒が弾丸になって痛くなってきたところで、この先をどうするか2人で相談しました。
「私は、無理せず降りるべきだと思う。」
「僕は、多少の無理をしてでも山頂まで行きたいです。」
とお互いの意見を確認したところで、下山を決定。
正直、進むことにためらいが無かったといえば嘘になる状態だったので、芦田さんとの相談の時間をキチンととることができて良かったと思いました。

さて、では下山しましょうと、元来た道を戻ろうとすると、稜線に出てから度々膝程度まで踏み抜いていたはずのトレースが完全に消えている。
ここで急に緊張を感じましたが、「焦りが1番の事故の元」と思いながら、ホワイトアウトの隙間を見つめ、わずかに残る雪面の凹凸を拾う努力をするけれど、まるで何も見えてこない。風雪は勢いを増していく気もする。
しょうがないので、コンパスを頼りに元来た方角通りに歩くも、自分たちの右側に張り出しているはずの見えない雪庇が怖くて気づかぬ間にどうしても左に向かって歩いてしまう。
修正を加えながら進んでいたつもりでしたが、登りでは絶対に通らなかった草木や石の地帯に入ってしまったところで、自身の技術不足に折り合いがつき、携帯のGPSで現在地を確認。30m程度道を外していました。
たったの30mを100mくらいに感じながら下山路を修正して無事に風雪の稜線から脱出し、トレースの残っている穏やかで静かな樹林帯まで降りることができました。
その後、シャクナゲ平で休憩し、さらに降りた平坦な場所でツェルトを張る練習などしてから下山しました。

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◎ホワイトアウトについて

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今まで何度か濃いガスに巻かれたことはありましたが、風雪による完璧なホワイトアウトというものを初めて経験しました。
ホワイトアウトの中でも安全に動くために、
・登り時点で方角をこまめに確認しながら登る
・くだりはトレースを拾えば大丈夫
というのを意識しながら登りましたが、両方ともなかなか思い通りにはいかずでした。
下山時、補助ロープを持っていたので、アンザイレンをして傾斜と地形を感じながら方角を確認しつつ歩けば解決できるかもしれないとチラリと考えもしましたが、確固たる自信が持てなくてGPSを確認しました。
冬山にGPSは必携と思いますし、山に入るときは記録を兼ねてほとんど常に携帯電話のGPSを起動するようにしてますが、精度に全幅の信頼をおける物でも無いし万が一故障したときのことを想像するとやはりアナログの技術が重要になると考えています。
当然、天候回復までビバークするのは選択肢のうちの一つですが、そのことはひとまず置いといて、ホワイトアウトが起こる予測がある場合に安全に引き返すための方法を考えてみました。

1、竹串などある程度高さのあるもの(15cm以上)にピンクテープをつけたものを多数用意。
2、それを雪面に刺して、方角を確認してそこから絶対に方角を変えないようにまっすぐに進む。最大50歩(20m程度)。
3、曲がるときは地面に竹串を刺して、そこからまた真っ直ぐに歩く。
4、この繰り返し

・・・・距離にもよりますが、竹串の数が膨大になりそうなのと、回収を考えるとピストン前提でしか使えないのであまり現実的では無いかもしれません。

なにか、良い方法をご存知の方がいらっしゃいましたら集会や山行でご一緒になった時に教えてください。

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◎ツェルト練習について

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今回の山行の目的のうちの一つに、雪山でツェルトを張る基礎的な練習というものがありました。
前もって5パターンの張り方を調べていって、そのうち2つをやってみました。
1つめは、ストック・張り綱・ペグを使って張る1番基本的な方法。
雪山では小枝や竹ペグを使うことが多いと思いますが、最近どうやら竹ペグの残置が問題になっているようで、自然物と言えども還る時間がかかり過ぎるので現地のものを使わない場合は基本的には回収して帰ることがマナーなようです。今回は練習ということで割り箸を十時に組んで麻紐でガイラインを伸ばしたものを使いましたが、回収し易いように幅広の薄い板を使う方法もあるようです。

2つめは、ロープとペグと立木を使って張る方法。
ツェルトにロープを通して張るわけですが、意外に立木に結ぶ高さに気を使うのと、自在結びなどのロープワークがいまいち習得できてなかったので少し時間がかかってしまいました。

他の方法はいずれも雪洞を掘って、中でツェルトを張ったり入り口をツェルトで閉じるようなものですが、今回は時間的なこともありやりませんでした。
ツェルトの緊急時の使用を前提に現実的に考えると、木や岩の影にできた窪みを踏み固めてツェルトを吊り下げる方法が簡単かつ早いのでこの5パターンの中ではベストなのかなと思います。
また、稜線でホワイトアウトしたときに、ツェルトを張って休憩すれば良い練習になったかもしれないなとも思います。もっとも、練習としてやるには余裕も無かったしリスクが大きいので、あくまで「後から考えると」というところですが。
次回、どこかでホワイトアウトした時に充分に余裕があればやってみようと思います。

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以上、山行報告でした。

ホワイトアウトの印象が強過ぎてそのことばかり書いてしまったような気がしますが、荒島岳は樹氷も綺麗で、晴れていれば姿形も一級品らしいです。またいつか積雪期に一泊予定など組んで行きたいなぁと思います。
また、樹林帯はトレースのおかげで苦労することなくて個人的に知りたかった日本海側の山の雪は堪能できませんでしたが、ちょこちょこトレースを外して歩いてみたりして、なんとなくきめ細かいようなしっとりしているような、そんな印象を持ちました。

そして、今回一緒に行っていただいた芦田さんの冷静な下山判断で無事に余裕を持って降りられたので、僕は自分が思ってるよりももっと手前の段階で安全な選択をしたほうが良いだろうなと思い、良い勉強になりました。ありがとうございました!

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八ヶ岳 赤岳地蔵尾根  

八ヶ岳 赤岳地蔵尾根      平成31年1月20日ー21日  T内、T(記)


 当初、阿弥陀南陵へ行く予定だったが、現地の舟山十字路についてみるとT内さんが
アイゼンを家に置き忘れてきたことが判明し計画が根底から崩れる。安平路山に続き
またもや!?午前3時から、眠い目を擦りながら計画変更案を練るが良い知恵も思い浮か
ばないので寝ることにする。
 翌朝、アイゼンなしで北八つでもと思ったが、意外と近くにモンベル諏訪店が
あることがわかり、とりあえずそこでアイゼンを手に入れるということに決定する。
 車で往復1時間半かけて買いに行き、今日明日で美濃戸口から行者小屋、地蔵尾根か
文三郎尾根を登下降することにする。ここまで来て地蔵尾根とは情けない。
 土曜日までは快晴だったらしいが、本日日曜は曇天雪交じりのあいにくの天気だ。
 南沢の登山道も朝から降りてくる人で一杯だ。約3時間で行者小屋着。誰もいないので
小屋横の風雪をしのげる場所でテントを張らせて頂く。張っている間に手の指が凍ってきた。
 すごい寒さだ。慌てて息を吹きかけて温めて、何とか鈍痛とともに血行の回復を確認
する。昔凍傷になった指はすぐにまた凍傷になろうとするので細かな注意が必要だ。
 テントを張り終え、酒を飲み、温まったところで今夜の夕食のシチュー作りに取り掛かる。
 T内さんがペミカンを作ってきてくれたので手間が省けて助かる。夜6時就寝。一晩中
小屋辺りでも風雪が強い。阿弥陀の稜線で張っていたならどうなっていただろうかなどと
考える。
 翌朝5時起床。天候回復を期待したが、まだ曇天だ。私はもう帰る気満々だったが
T内さんがどうしても行きたいというので、大凡の引き返す時刻を決めてから地蔵尾根に
取り付く。尾根自体は梯子や鎖が整備されているので流石は一般コースだが、そういった
補助設備がなかったら、ここもロープ持参の初級バリエーションかもしれない。
 それにしても気温は低く、すぐに手足の指先の感覚が無くなる。一月後半から2月にかけての
厳冬期の八つには完璧な防寒具が必須であることを再認識させられる。(またもや手袋は
やや薄めのウールをもってきてしまう)一般路でこれ程寒いからにはバリエーションなら
指のことなど構ってられない場面も多いのであっという間に凍傷になりそうだ。
 何も見えない白い世界の中を鎖を頼りに登っていくと、約2時間ほどで稜線のお地蔵さまに
出会えた。風の弱まる東側の岩陰に退避して登頂を喜ぶ。しかしじっとしていると1時間で
死ねるような寒さなので早々に地蔵尾根を下山にかかる。T内さんは1年前の阿弥陀北陵
の頃と比べると遥かに歩行は上達したのでそう心配せずにサクサク降りられる。
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 しかしまだ何といっても経験が浅いので冬山の常識が吹っ飛んだ場面もあり、
油断はできない。安心できる樹林帯まで下りた頃にようやく西の空が晴れてきて青空も
見えてきた。帰る頃になってようやく低気圧通過か・・思わず「ナメトンカー!」と空に
向かって怒鳴る。しかし山の神が怖くなって「アリガトーゴザイマース!」と叫ぶ。
 しかしその後の階段の手すりをもって下りていた途中で手すりが無くなっていることに
気づかず、空中で手すりをまさぐりながら暫くよろめく。体操選手が着地でバランスを崩し
必死でバランスを取っているような状態だった。あそこでこけていたら氷の階段を転がって
落ちていたはずなので改めて山の神様の存在を確認する。ナンマイダーナンマイダー。
 行者小屋に戻るとまた誰もいないので下山祝いに善哉を作って食べる。12時発。
 14時美濃戸山荘。もみの湯に寄って、5時間半の単独運転に辟易しながら帰神20時半。

 
 NOTES:(備忘録)
  ・耳にタコが出来そうだが、冬山(夏山でも)には電子着火ライターは持参するべからず。
   何故かは一度濡らしてみれば分かる。
  ・冬の稜線でのテント設営と撤収は一大作業
   スライダー(自在)の使い方や張り綱結束の方法、風に飛ばされずに張る(畳む)練習等は
   下界でマスターしてから本番に臨まなければならない。すぐに飛んでいきます。
  ・厳冬期の八つが岳には最高性能の防寒装備が必要。気合や慣れでは太刀打ちできない。
  ・当初計画通り南鐐へ行っていたらどうなっていたかは推測の範囲でしか分からないが、
   日曜日から新雪が積もりだしているのでP3のルンゼ内はかなり不安定な雪の状態に
   なっていたと思われる。現地で撤退の判断をしていたかもしれない。吹雪のルンゼは
   怖い。
  ・今年こそスリーフィンガーの手袋を用意しよう!

2018.12.29~2019.1.1 北沢尾根からの南駒ヶ岳、空木岳

2018.12.29~2019.1.1 北沢尾根からの南駒ヶ岳、空木岳 メンバーO会長、N.O、U、M、T.I、I(記)




今年の冬山はどうしようか・・・。

O会長が、新人向けの本冬山を計画していたので便乗させていただく。

参加者は、最終的に6名がエントリー。

大寒波の襲来で、南駒ヶ岳登頂も危ういところであったが、奇跡的な⁉快晴の中、皆で協力して計画通り空木岳までをトレースすることができた。
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12月29日(土)『期待』 曇り時々雪

2台の車で恵那峡SAに集合し、早朝、登山口へと向かう。

伊奈川ダムへ向かう林道へ入るが、思った以上に積雪が少ない。

これは、意外と行けるかも!との希望的観測が頭をよぎる。

ダム下にある橋のゲートが閉まっていたため、手前の空きスペースに駐車して、準備する。

ここから北沢登山口まで長~い林道約7kmを徐々に高度を上げながら、ひたすら歩く。
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ダムの湖面が凍り、また沢が氷瀑となっていることから、寒さが窺い知れる。

途中、何度か休憩を挟みながら、2時間20分程で、北沢尾根登山口に着く。

辺りは小雪が舞い、強い風が吹き抜けていく。

登山口からトラバース道に入るのだが、少し進むと豪雨の影響か川沿いの登山道が崩壊していた。
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最初の核心を四苦八苦しながら越え、トラバース道から北側の尾根に乗り、九十九折れの登りに入る。

所々、凍っているので、ストックを使いながら慎重に登って行く。
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標高1,900mを越えた辺りから、徐々に膝下のラッセルとなり、歩みが鈍り始める。

標高2,060m付近に広いスペースがあり、O会長の指示で、ここをC1とする。

もう少し進んでおきたい思いがあったので、空荷で上部を偵察に行ったが積雪も多く、また暫く平坦地もなかったので、よい判断だったと思う。

夜は、とにかくよく冷え込んだ。

 

コースタイム:Pスペース08501035越百山登山口分岐~1105北沢尾根登山口~1410標高2,060mC1

平面距離:8.46km、累積標高:(登り)1,635m

 

12月30日(日)『極寒』 曇りのち晴れ

この日は、特に冷え込んでいた。

プラティパスの水があっという間に氷る寒さだ。

テントを片付け、『最強』と呼び声の高い⁉新兵器のスノーシューを装着して歩き出す。

しかし、強烈な寒さで、過去に凍傷を負った指先が半端なく痛む。

痛みを堪えながら、先行するT.I君を追うが、どうも登りに集中できず、差は開く一方だった。

調子の上がらない体調に凹みながら、樹林帯の中トレースを黙々と辿る。

結局、一人で先行ラッセルを続ける元気一杯のT.I君に追いついたのは、標高2,411mピークだった。

ここから、ラッセルを交代するが、スノーシューでも結構足が沈んで、思った以上に進まない。
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樹林帯の合間から漸く目標とする2,591mピークが見えた。
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交代でラッセルしながら、稜線沿いを進む。
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2,591m
ピークへの登りも雪が深いため、稜線沿いを強引に抜ける。

同ピーク上は台地になっており、展望もよくテント適地だ。

しかし、風がまだ強かったため、下のコルを整地してC2とする。
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ここから、トレースを付けに空荷で出かける。

自分は、未だ暫くラッセルが続くと踏み、岩稜帯までのトレースならと、スノーシューで進む。

稜線北面の深い雪の中をトラバース気味に進み、小岩峰に出る。
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壺足なら所々、太腿まで潜る積雪だったので、スノーシューの威力は抜群だった。

小岩峰から2箇所短いナイフリッジを越えると、標高2,712mピークの登りに入る。
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急斜面を登り切ると標高2,700mの標識がある。今日のトレースはここまで。
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O
会長達は、2,712mピークまで登り、周囲の景色を見に行ったが、自分は明日の楽しみにとっておく。
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C2
に戻ると、風は強いものの徐々に太陽が出始め、明日の好天を期待させてくれるのだった。
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コースタイム:C106400810標高2,411m0955標高2,591m1000標高2,580mC211501310標高2,700m1345C2

平面距離:2.35km、累積標高(登り)678m

 

12月31日(月)『晴天』  晴れ

テントから出ると風は収まり、寒さも幾らか和らいだように感じた。

アイゼンを装着し、ヘッドラを点けて、先行する若手を追う。
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見上げる空は、若干の薄い雲がかかるも、昨日までとは打って変わって穏やかだ。

標高2,700mから先頭を交代し、ピークの右をコルに向かってトラバースして行く。

コルからは、巨岩の連なる岩稜帯が始まる。

左手は切れ落ちているので、右手斜面のトラバースを交えつつ、岩場を縫うように越えて行く。
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標高2,700mから見えていたピークの裏側は小ギャップになって切れ落ちている。

ここは、O会長が慎重にステップ切ってくれる。
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先のコルからは、M君が先頭に立ち、稜線沿いの巨岩を縫うようにトレースを付けて行く。

振り返れば、朝陽に浮かぶ御嶽山と乗鞍岳が見える。
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北方向には空木岳へ続く稜線、宝剣岳が凍てつく空に浮かび上がる。
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そして巨岩上に輝く太陽に向けてトレースを辿ると、そこは南駒ヶ岳のピークだった。
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文句なしの360度の展望に、皆自然と顔が綻ぶ。
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一休みして空木岳へ向かう。

稜線沿いの氷化した急斜面を慎重に下り、赤梛岳の登りに入る。
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所々膝下まで潜るが、先頭のT.I君はものともせず、ぐいぐい進んで行く。
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赤梛岳ピークで燃料を補給し、更に稜線を進む。
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この下りも氷化した急斜面である。

コルからは、ほぼ稜線沿いに先行するT.I君がトレースを付けていく。

夏道は、西側斜面のトラバースルートだが、雪が着くと結構な急斜面となり、滑れば谷底まで行きそうだ。

稜線沿いのルートとどちらを選択するかは、雪質、メンバーの力量等ケースバイケースだろう。
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T.I
君のいう危険個所とは、赤梛岳の北側コルから最初に出てくる小岩峰帯だ。

空木岳手前のコルで待ってくれていた若手に漸く追い付く。

夏道をジグザグに辿り、遭難碑から急斜面を左上して行く。
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急斜面を登り切ると、傾斜は緩やかになり、目指すピークは目の前だ。

空木岳ピークでも勿論360度の展望、皆で記念撮影大会となる。
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帰りは、先頭で夏道トラバース沿いにルートを取る。
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南駒ヶ岳への登り返し、薄い雪の乗る氷化した急斜面での出来事だ。

アイゼンを前爪から斜面に平行気味に乗せ替えた時、爪のかかりが甘く、スリップする。

幸い直ぐ後ろに続いていた若手二人が、身体を支えて止めてくれ、事なきを得る。

冬山の登りでスリップしたのは初めてだったので、ヒヤリとした一瞬だった。気の緩みもあったと思う。

気合いを入れなおして、南駒ヶ岳ピークまで登り切る。

一通り景色を堪能して、若手は先に下山する。

O会長とともに暫く余韻を楽しみ、下山にとりかかる。
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南斜面は日差しが強くて風もなく、春山のような陽気で、暑くて消耗する。

標高2,700mで再び休憩を挟み、一人のんびり写真を撮りながらC2まで下る。
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この日は皆、大満足で眠りに着けたことだろう。

 

コースタイム:C206050635標高2,700m0750南駒ヶ岳08000840赤梛岳08501010空木岳10301145赤梛岳11551240南駒ヶ岳13051415C2

平面距離:7.04km、累積標高(登り)922m、(下り)913m

 

1月1日(火)『年始』 晴れ

極寒だが、穏やかな年明けを迎える。

山で年を越すのは、何年ぶりだろう。

7年前に、SさんとT君とで木曽駒から檜尾岳まで縦走した時以来だろうか。

流石に2泊した後のテントのポール継ぎ目は固く凍り、撤収にも一苦労だ。

撤収後、見晴らしのいい標高2,591mピークで初日の出を待ったが寒すぎてギブアップ。
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苦労した登りも、北沢尾根登山口まで僅か2時間45分で、あっという間の快速下山だった。

登山口からは、再び長~い林道をトボトボと歩いて車まで。
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帰りは、クアリゾート湯船沢で、暖かい温泉にほっこりしながら汗を流し、地元食材で腹を満たして帰路に着く。

思い出に残る年明けとなった。

 

コースタイム:C206300915北沢尾根登山口~1100Pスペース

 

久し振りの山岳会らしい多人数での冬山合宿となった。(※特に6テンでの冬山合宿)

当初は、天候的に登頂は難しいかなと思っていたが、晴れ男のUさんとM君のご利益のおかげ⁉で快晴の雪山を満喫することができた。

若干、若手の足手纏い気味ではあったが・・・。
同行してくれた皆さん、残念ながら同行できなかったものの、5人の山男たちの胃袋を存分に満たす⁉食料を計画準備してくれたYさん、ありがとうございました‼

冬の中央アルプス最南部 安平路山

冬の中央アルプス最南部 安平路山         2018年12月16-17日  T(単独)


 久し振りの単独冬山とあって、嫌が上にも緊張する。緊張しすぎて直前にスノーシューとワカンを
必要かもしれないということで車に積み込む。安平路山にはこれで2回目の挑戦だが、アプローチが
遠く、簡単な山(のはず?)には、なかなか登らせてもらえない。さて、今回の挑戦はいかに。事前に
冬季の同山の記録を検索するが、積雪期の記録が全然ない。。これは一体。。。

 仕事を終え、大急ぎで帰宅し、30分ほど仮眠して21時過ぎに家を出発する。単独なのでドタキャン
しても誰の迷惑にもならないので、誘惑に負けそうになる。あー、一人で寒いツエルト(実際は避難小屋)
に泊まらなくても、どこかもっと近くの温泉でビバークして、温泉の梯子でもしたら年相応の遊びが
できるだろうなあ。。などと。しかしそれでは山の男が廃ると、優雅に上げ膳据え膳の安楽な道を
選ばすに、風雪が待つはずの2363ピークを目指す。眠気と闘いながら、2階の休憩を挟んでやっと
中津川インターを降りる。土曜深夜だが道は空いていて、木曽川沿いを走る前の長距離トラックに
いらいらしながら、酷道19号から酷道256号にとり、お次は県道8号線を目指す。何やら古い
看板があり,県道8号は冬季通行止めと書いてある。こんな古い剥げた看板はあてにできないと
楽観的に考え、なおも進むとやがて道は雪交じりとなり、暗闇の中ヘッドライトに照らされたのは
大きな鉄の格子だった。思わず、アンジェイ・ワイダ監督の往年の名画「地下水道」を思い出す。
 あの映画のラストシーンもこんな鉄格子に希望を阻まれた絶望的なラストだった。しかし私の
場合、まだ転進という道が残されている。時刻は午前3時。もう頭も眼も身体も限界だ。昨日は5時起き
で仕事なのでもう20時間近く運転している。ここからどこへ行けと神は宣うのか。。(大げさな。。)
 取りあえず、車の中で地図を広げ恵那山か南木曽山に転進することにする。恵那山がよさそうだが
ここから2,3時間はかかりそうだ。しかも登山口まで道路が繋がっている保障もない。残るは
南木曽だ。前にも登った簡単な山だ。(山を簡単と言うのは恐れ多いが)。もう思考力も尽きたので
車の中で寝ることにする。しかし寝るためのベニヤ板を家に忘れてきたことに気が付き、まともに
足を延ばしては寝られないのでテントを出して張って寝る。寒い割には疲れで熟睡できた。
 さて、翌朝起きてみると何やら結構人家に近いところだった。しかし通行止めのゲートを目指して
地元の人が来ることも考えにくいのでゆっくりとラーメンなどをすすりながら今後の対応を検討する。
 と、このままゲートから徒歩で安平路を実直に目指すという本来の岳人的なコース案を思いつく。
 グーグルマップなどを駆使し、その距離を算出すると登山口まで約25キロと出た。うーむ、計画時
から10キロの3時間歩きは想定範囲内だったが25キロとなると8時間はかかる。これではほぼ一日
行程で、山頂を目指すところではない。止む無く、一番無難な南木曽山に登ることにする。思い起こ
せば台風増水のため前回の南木曽も安平路の代替案で登ったのだった。
 車を南木曽の登山口まで引き返しこちらも通行止めを恐れたが、目出度く登山口まで行けた。すでに
一台、止まっている。しかしドか雪が来たら脱出にはタイヤチェーン必着となるだろう。この辺は
マイナーな山なので事前の積雪通行止めの情報確認は役場などに問い合わせておくべきだったと後悔
する。さて支度をして、8時に出発する。ザックの重さと疲れでふらふらになりながら木段の急登を
登る。雪があるのか分からないので水を約3L入れたが、それが余計に重い。途中で今夜の酒が足りない
事を思い出し、往復1時間かけて取りに戻る。(最近物忘れが激しい。しかし結果的に酒は足りた。。)
 4時間かけて山頂避難小屋到着。途中看板には2時間などと書いてあるがどうも嘘くさい。エアリア
マップでも3時間40分だ。雨の予報だったが、幸いまだ降っては来ない。雨さえなければ身軽なツエルト
泊でもまた楽しだが、雨の中でツエルトで濡れながらの一夜は地獄だ。快適な避難小屋で、水や酒、
ボンベまで置いてあるが、ボンベは空で、水関係はすべて凍っていた。しかし酒が無くなったら溶かして
でも飲むだろう。時間もあるので頂上から展望を楽しむ。なるほど、この山は中央アルプス主脈からは
離れた独立峰で特に存在価値も低いかと思っていたが、廻りの山の展望が素晴らしい。御岳、乗鞍、
木曽駒、空木、南駒、越百、そして今回登るはずだった安平路、末端の擂古木山まで270度位見渡せる。
 これは良かった。ふと見ると水場まで歩いて30分とあるので手ぶらで(!)行ってみると確かに
水場があって氷も取れる(オンザロック用)ここで手ぶらに気づき、小屋迄戻ってポリタンを持って
また往復する。(あー無駄な動線)。しかし氷の氷柱で飲むいいちこはまた格別な美味。そうこう
するうちに日が暮れだしたのでランタンを付け、小屋内でツエルトを張り(これ大事)今夜の鍋を
作って一人忘年会と洒落込む。ラジオと酒があると全く寂しくないのは不思議だ。逆にNHK教育を
効きながら英会話の学習や文化講演会、私の仕事学拝聴など、これ以上ためになることは下界ではなかなか
出来ない。荷物を軽くするために必死で飲み、食うが、やがて眠たくなったので寝ることにする。
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天気予報では夜中に低気圧通過と言ってるが一向に雨の気配はない。。。
 翌日、急ぐ必要もないので朝7時起床。小屋の外へ用足しに出てみると辺り一面の銀世界だ。
一晩で良く積もったものだ。雨の音がしないのは当然だった。。(唖然)帰りのタイヤチェーンが気になる。
 ラーメンをすすって荷物を片づけ、小屋を綺麗にしてから出発する。一度来ている山なのでホワイト
アウトでも何とか下りれるという安心感はある。天気は晴れに移行しそうだ。下りも急斜面につけられた
木梯子と鎖に助けられながら、頑張って降りる。この辺りは木曽なので木材も豊富にあり、かつ山道に
整備された木道の丈夫さは六甲山系などでは見られないものだ。金属を全く使用せずすべて木材加工
で据えられているのに感動を覚え、かつ地元の方々に感謝しながら下りる。また4時間ほどかけて
登山口まで下りてみると、心配したほど雪は積もっていないので一安心する。あとはこの山旅のメインで
ある木曽の情緒ある温泉に入ることにし、途中で「あららぎ温泉」の看板を見つけ風情がありそうなので
入ってみるとこれがやや狭いが源泉かけ流しの檜風呂で、強烈な濃いアルカリ泉に思わず唸りながら
貸し切り風呂で寛ぐ。アルピ二ズムやチャラいクライミングとはかけ離れてはいるが、何か昔を懐かしむ
ような一泊二日の木曽の山旅だった。帰りは中津川IC近くの「川上屋」で栗きんとんを買って帰る。
 ここの栗きんとんは元祖らしく、小さくて一個280円もするが、何度食べても絶品の味で、家族にも
喜ばれる。次は厳冬期に雪洞泊で奥美濃経ヶ岳でも登る計画を考えながら帰路に就く。


 







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