2019年09月

2019.9.23-25 黄蓮谷

2019.9.23-25 黄蓮谷

南アルプス 山梨県 尾白川 黄蓮谷

F11A09C6-B427-4EE6-A1C9-ECFC380ADEF4


こんにちは、岩瀬た、です。
夢見てた黄蓮谷に行ってきました。いや、黄蓮谷行ったとは言えないかな??
魚影と焚き火に夢中になって、2泊3日を費やしてまさかの五丈沢から黒戸尾根下降。
甲斐駒ケ岳まで行けなかったし黄蓮谷もほとんど遡行していない。
しかし、こういう山行もたまには良いもんだなぁと思える、軽量化などとは無縁ののんびりした遡行で、逆にワイルドでゆるりとした時間を過ごすことができました。


以下、山行記録です。

---------------------------------------------


◎メンバー
岩瀬た(L、記録)
OKD(運転、焚き火)
N(会外友人、食事)


◎行程概要

・9/22
14:30 岩瀬た,岡田 合流 出発
15:30 N 合流
22:30 道の駅はくしゅう 到着・就寝

・9/23
6:30 起床
9:15 出発
9:30 竹宇駒ケ岳神社駐車場
10:00タクシー乗車
10:30 日向山矢立石登山口 到着・出発
12:30 入渓
15:00 鞍掛沢出合
16:30 1440m地点 ビバーク
22:30 就寝

・9/24
6:30 起床
8:00 出発
11:30 黄蓮谷出合
12:30 1600m地点 ビバーク・偵察
20:30 就寝

・9/25
7:00 起床
8:30 出発
9:00 千丈滝・五丈沢出合
11:30 黒戸尾根登山道
15:30 竹宇駒ケ岳神社駐車場・下山完了


◎行程詳細

・0日目
神戸にてOKDさんと合流。車にはどデカイザックが積んである。僕のギュッと絞ったザックも積み込んで、出発!
大阪在住のアロハ姿のNさんと合流。
食担に気合が入っていることがそれとわかる量の野菜や肉。酒を積み込む。
そして、「靴どないしよ。これでええか。」と適当に物置から沢履を出し、予備の古びたバーナーや何年前のものかわからない錆びたガス缶を出してくる。
“遠出の準備って、こんなゆるい感じでやるもんだっけ。っていうか食料以外めっちゃ適当や”と思いながら、これまたどデカイザックを積み込んで、一路山梨へ。

OKDさんのワンマンドライブ(ありがとうございます)を経て、道の駅はくしゅうにて雨と明日の増水を気にしながら小宴会。じきに就寝。


・1日目
朝、野菜を買いに来た地元の人の列の横で荷物をわけわけして、竹宇駒ケ岳神社の駐車場へ。
準備を整え、事前に予約していた北杜タクシーに乗って日向山の林道に乗り入れる。運転手さんが良い人だった。30分貸切料金¥3250。
どこまで進めるか良くわかっていませんでしたが、日向山の矢立石登山口までが限度でした。そのすぐ先でゲートが閉じている。タクシーとさよなら。
林道にちょこちょこ生えてるキノコなどを見ながらしばらく歩き、トンネルを3つ抜けた先の林道終点からフィックスロープ伝いに一応安全を期して懸垂下降なども交えつつ沢まで降りて、入渓。
89C81AF3-FA84-4EF5-877D-D04A83E701DE

B49196EB-A68A-4046-B903-7E4FAC85A1CC


沢に降り立つと噂通りの黄色がかった水。飲んでみると美味しい南アの水。
入渓地点で休憩がてら魚影を探すOKDさん。
B1971978-4094-4957-A6B1-2CF4EC9C3020

改めて遡行開始。

雨が降ってるせいか思いの外水温はぬるく、懸念していた寒さも気にならない。水量も意外と平水っぽい。

少し気になるのは荷物の重さだ。

食料の内訳を記しておきます。
・キャベツ半玉
・玉ねぎ3個
・シイタケ1パック
・エノキ1パック
・エリンギ1パック
・焼いたサバ(?)1尾
・豚肉1キロ
・鶏肉0.5キロ
・ニラ3束
・焼肉のタレ2パック
・レトルトカレー4袋
・味噌汁の素12食分
・米1キロ
・うどん3玉
・三岳 2升
・白州(入手困難!) 1リットル弱
・日本酒 1リットル


オートキャンプみたいな量の食料だ、、、と思いながら重荷を背負ってツルツルスラブの滝を登ったり巻いたり。良さげな釜や瀞があれば魚影を探す。
0D5EB06C-CDA0-4F78-AF6C-C55A44DF1BB5

B33621E3-2ECC-427B-8BA3-F0086F7B1917


ゆるりと遡行して、そろそろビバーク地を探す時間になってきたので良きところで荷物を下ろす。雨は降ったり止んだり。
タープとテントを張って、無事に焚き火が起こる。
基本的に僕は見てるだけでしたが、いろいろ焚き火のコツを教えてもらったので、次に泊まり沢に入ったら自分で火起こしに挑戦してみたい。
8A275DE0-C286-4C52-BD99-51FF60431DC5


三岳焼酎で乾杯して、鍋を囲んで楽しいひと時。
焚き火と飯盒で炊いた米と、肉と野菜たっぷりの韓国風鍋でお腹一杯になる。上出来。運んだ甲斐がある。Nさん食担ありがとうございます!
三岳、初めて飲みましたが飲みやすくてグイグイいける。グイグイいって、酔っ払う。
火を絶やすまいとOKDさんは聞いたことない奇声を上げて薪を集め、帰ってきたと思ったら千鳥足で焚き火に突っ込んだりしてる。
「濡れてるから大丈夫!」
とか言ってましたが、全然大丈夫じゃない。もう結構服乾いてますよ。
「もう座っといて!動かんといて!」
とNさんに言われた後に、砂地のくぼみで本当に動かなくなって大口開けて寝てしまった。
148DF30F-04E6-418E-BF95-F1BC8E69B0F5


暖かな夜を過ごして、2升あった三岳焼酎は無事に3人の胃の腑に溶けていった。


・2日目
眼が覚めると、NさんとOKDさんが朝ごはんのための焚き火をしているところでした。
暖かい火がありがたいです。
D96F6FEC-4EF4-4AEA-AF69-CEB71BDD25C0

うどんを食べて、出発。

相変わらず30分歩いては30分魚影を探すようなペースで進む。実に贅沢な遡行だ。
381D34DB-204D-44BC-9349-43D55F8313F5

263CA0D2-9FB1-4A48-A2A7-EA9F894FF75E

E2A0882F-A62F-47A6-ACD9-9C250CD64410


エスケープに考えていた五丈沢が近づいてきた。どうするか少し迷う。ここから核心部が始まるし甲斐駒ケ岳まで行くのはなんか違うなって感じで気分は完全にのんびりモードだったので明日はエスケープルートを辿って下山することに決める。
そうと決まれば火は早いうちに起こせということで、小広い広場になった場所を見つけて荷物をおろす。
一応、僕とOKDさんで本当にエスケープできるのか道の確認の偵察に行き、Nさんは偵察を待ってる間に焚き火を起こしてくれた。
偵察から帰ってきて、Nさんの起こした焚き火に当たる。
僕の目には普通に燃えてるように見えたけど、薪が湿っていて勢いがなかなか出ないとNさんは不服な様子。
焚き火って難しいもんなんだなぁと思いつつ、白州ウィスキーで乾杯。日本酒も出てきた。まだ日は高く暖かい。
ほろ酔いでズッコケ無いように気をつけながら魚影を探しに出かけ、夢中になって気づけば暗くなってしまった。
結局1匹もその姿を手中に収めることは無かった。。。難しいもんなんだなぁ。
678242E3-A75F-4B39-979C-EF6276BE51DE

焚き火を囲んでカレーを食べて、ソーセージやベーコンを炙って、今日もまた酔っ払ってシュラフに潜る。

・3日目
千丈滝の巻道から五丈沢が見えるところまで行き、錯綜する踏み跡を辿って登る。
8248C8A4-4DE0-4ABB-8276-A3961187E428


食材も酒も全て食べたと言えども、ギアの重みもあってかザックはボチボチ重い。急登に喘ぐ。
「黄蓮谷やったら1泊でいけるで!飛ばせば1日でもいけるわ!!」
と、出発前は豪語していたNさんも、
「反省する。体力落ちとる。。」
としょんぼりモード。しかし、そう言う割にはキノコを見つけた時は動きが早いのが不思議だ。キノコを見つけるたびに通常の倍くらいのスピードで登って来る。
05C48FFF-4E25-4E05-8D12-714E4833C17B
8EFB9C6B-1B41-4F03-A3E5-B463FC025AD4
2CEBDD5E-5CC2-4C1A-A045-FB8A97F2F2F0







途中、岩をのっこすところでNさんのザックを上から引っ張り上げたらめちゃめちゃ軽くてOKDさんと一緒にブーイングを贈る。笑
もちろん愛と友情を込めた暑いブーイングです。

そんなこんなでワイワイと2時間半の登りで黒戸尾根登山道に出て、そこから4時間木漏れ日のそそぐ森を歩き、駐車場に到着。
ED2E1CD6-9C53-4F1D-AA5B-D3922E8A927D
下山途中で見えた八ヶ岳。


道具を片付け、白州観光案内所になってる売店でトコロテンを食べる。美味しい。
ここのお母さんがいろいろ知っていて面白い。
話しているうちに、リンゴ、ぶどう、かぼちゃ、ミョウガの漬物やしそジュースまで出してくれた。ありがとうございます。
9E49140E-BA5A-4250-AC8B-7C792F3C476E


行きと同様OKDさんのワンマンドライブで(ありがとうございます!)関西まで戻ってきました。

下山完了。


---------------------------------------------

以上、山行報告でした。


なんだか、ダメな大人3人の夏休み、みたいな山行ですっごく楽しかったです!!笑
これで僕は今シーズンの沢は締めかなと思っていますが、OKDさんやNさんが言うには12月1周目まで南紀だったら入れるらしいです。。。

冬に、黄蓮谷をまた登ろうと思っているのでその時は甲斐駒ケ岳まで詰められたら良いなと思います!!

OKDさん、Nさん、ありがとうございました!!来年はどこに行きましょうか!





mt.kinabalu


こんにちは。林です。

今回は、マレーシアにあるキナバル山に登ってきました。初めての海外登山、初めての4000m峰ということもあり、ネットや口コミを参考に手軽に?登れる山として選考しました。

9月初旬に肺炎で寝込んでいたこともあり初めての高度障害に悩まされましたが、無事に登頂して帰ってくることができた。


以下、山行記録参照。

 

◎メンバー 林、芦田、若林(会外友人)

 

◎行程概要(2019.9.169.20

Day1

関空よりクアラルンプール経由でコタキナバル空港へ

コタキナバル市街地散策後、ホテル泊

 

Day2

5:30 起床

6:30  タクシー移動

8:00 パークヘッドクォーター着、ID・メディカルチェック後、登山口へ移動

8:50 ティンポホンゲート(1866m)着、申請後、入山

11:30 ラヤンラヤン(2702m)で昼食

13:30 ラバンラタ(3272m)小屋到着,フリータイム

16:30 夕食

20:00 就寝

 

Day3

2:00 起床・朝食①

2:40  ラバンラタ小屋出発(3272m)

5:03 ローズピーク(4095m)登頂、ご来光待ち

6:00 下山開始

7:40  ラバンラタ小屋(3272m)帰着、朝食②、休憩

9:00 ラバンラタより下山開始

11:10 ティンポホンゲート着

11:30 パークヘッドクォーター着 登頂証明交付

12:00 昼食

13:00 コタキナバル市街地へタクシー移動

14:40 ホテル着、休憩後街中散策

19:00 夕食、ナイトマーケット散策

 

Day4

コタキナバル発、クアラルンプール、台湾桃園空港経由で関空へ

 コタキナバル市内前泊入山

 

◎山行詳細(2019.09.1819

 

キナバルDay1 (2019.09.18

 

6:30コタキナバル市街地よりタクシーでホテル前に迎え

ドライバーは1時間45分くらいで着くよ。と笑顔で話し、ぼくらはハイエースに乗車した。

ハイエースには、僕らのほかに日本人2人が乗車。

海沿いや、朝日に照らされたモスクを眺めながら快適に進んでいく。徐々に建物も少なくなり、郊外にでるとドライバーが豹変したようなあおり運転を繰り広げ、囚われたアジア人の気持ちとなり、震えたが、無事にパークヘッドクォーターにつくことができた。

IMG_6480
IMG_6482

 

8:00 パークヘッドクォーターで入山チェック。

名前、パスポートNo、緊急時連絡先、体調についての確認事項を記載して、入山許可のIDカードを交付される。ここで、今回の同行してくれるガイドとご対面となる(キナバル山はガイド登山が絶対条件)。彼はラシュスといい、1週間に2回のキナバルガイドをこなし7年目の大ベテラン。初の海外登山では安心感しかない。ただ、彼の服装は、Tシャツ、短パン、ワーク〇ンで売っていそうな靴に、ピンクのナップサック。昨日、コタキナバルにも似たような人がいたな。一抹の不安をかかえながら、登山口へ向かうタクシーへ乗車。


IMG_6492
IMG_6496





8:50 タクシーに揺られること15分ほどでティンポホンゲート(1866m)へ到着。ガイドよりルート説明があり、登山者リストへサインして入山。

IMG_6498
IMG_6501

 

登山道は整備されており、枕木が組まれた階段と土道で快適。

道標・休憩地点は約1km0.5km毎に設置されており、立派な東屋に水洗トイレ、ゴミ箱。

レストポイントとなるところには、リスがよってきて、食料を狙っている。

IMG_6508

 

9:20 登山はじめは、曇ってみえなかったキナバルの岩壁を目視。その後、再度樹林帯へ。

 

樹林帯の中は、風は吹かなくても案外涼しく、速乾素材の長袖に長ズボン程度で十分であった。

ラシュスは半そで・半ズボンにピンクのナップサックで快適そうだ。

途中、日本人男性とすれ違い、「山頂は寒かったけど、景色がよくて綺麗でした!頑張って!」と激励され、さわやかな笑顔に鼓舞された。

 
IMG_6530

IMG_6515



11:30ラヤンラヤン(2702m)で昼食

蒸し野菜、炭焼きもも肉、ゆで卵、パン、リンゴ、行動食

ガイドより昼食を早く食べてと、なぜか急かされる。。

 

考えうる理由:

  山行時間短縮

  ぼーっとしていると、飯をリスに奪われるため?

→芦田さんはリスに行動食の襲撃を受ける。

  早く、小屋で寝たい。→途中でよく寝ていた。

IMG_6525

 

1200ラヤンラヤンを過ぎると、土道と枕木階段が減り、歩きやすい花崗岩に変化していく。

 

標高2500mを過ぎても森林限界に入ることなく、サヤサヤの木や日本では見たことがない名前がわからない熱帯植物も豊富にみとめた。あとで他の登山者に聞くと、ウツボカズラ(ビーナス フライ トラップ)もちょこちょこあったようであるが、確認できず。

IMG_6537

 

12:30キナバルの岩壁が近くに。ローズピークは明日以降にしかみられない位置にあるとのこと。

このころ(標高2800m前後)、人生初の高山病の頭痛と、肺炎をみとめていた部位(右中肺野)の疼痛が出現してきた。山小屋まで残り1時間ほどであったことと、食事・水分摂取は十分に可能な状態であったため、登山を継続した。

IMG_6516

 

13:30休憩:7回(小休憩6回、昼食休憩1回)を経て、ラバンラタ(3272m)小屋到着しチェックイン。

ラシュスより夕食、就寝時間、明日の行動について説明があり、フリータイム。

 

詳しい山小屋の特徴は後述。

ぼくらが泊まった部屋は2段ベッドが2組あり4人部屋でした。

あと一人同室者がいると聞いていたので、どんな人かと3人で想像しながら過ごしていると、まさかの日本人!そして、若くて美人な女性で単独行。

後に分かった事実で、最年少7大陸最高峰制覇した南谷真鈴さんでした。

はじめての海外登山で、偉大な人物に会えたことに素直にうれしかった。
IMG_6702
IMG_6551
IMG_6542


 

14:20 部屋で荷物整理と着替えを済ませて、小屋周辺を散策。インスタ映えを狙って、写真を撮りまくる。

小屋に戻って、日の当たる食堂にはテラスも併設されており、雲海と夕日をみながら、ビール(3人で1缶)とおつまみで乾杯。控え目な言葉で表現すると最高でした。

 

そのころ芦田さんが、ずーやんは時差ボケで眠そうだと言っていた。もともと眠そうな顔のため、たいして変わらないようにも思う。林は動くとすぐに息があがって、軽い頭痛がしていた。

IMG_6707
IMG_6663


 

16:30夕食 ビュッフェスタイル

肺炎で寝込んでいる間、アマゾンプライムで多くの山岳映画をみた(春を背負って、劔岳 点の記、メルー、クライマーパタゴニアの彼方へなど)。その中で、映画「岳」の島崎三歩は「大盛りのスパゲッティを食べていてよかった」と話していた。そのおかげで人を背負って降りることができたと。僕は人を救ったりしないけど、自分の体調を悪くしないためには飯をくうことが大事と思って、死ぬほど食べた。ということもあるが、シンプルに山小屋の飯がうますぎた。


IMG_6553


20時就寝

寝る前に南谷さんの人生史とデナリ登頂についてのリアルな話を聞くことができた。

消灯後、みんなの寝息を聞きながら僕はほぼ寝ることができなかった。

高山病の指標には睡眠障害もある(日本では除外されている)。安静にしているにも関わらず、頻脈だ。

僕は、明日無事に登頂できるのか、みんなに迷惑をかけるぐらいならここにとどまろうとも考えていた。

後々、振り返って考えてみると、夕食で食べ過ぎた影響で頻脈となって、それが気になって眠れなかったのかもしれない。

高所環境で、スパイスや食べ過ぎは、あんまりよくないのかもしれない。単細胞であったことを反省した。

 

山行時間4h30m、獲得標高1406m、距離6km

 

 

 

 

キナバルday2 (2019.09.19)

 

トイレや外に風を浴びに行ったりしながら、結局ほとんど眠れず。

夜中、外で一緒に過ごしてくれた若林くんが「のぼりましょう。」と言ってくれた言葉には励まされた。

ただ、その前にいろいろといい話をしてくれていたような気がするが、あまり覚えていない。

 

2:00起床・朝食

15分で朝食をすませろとガイドより説明があったが、うますぎるビュッフェのせいで、10分程時間オーバー。

ガイドは笑顔であったが、たぶん呆れていたと思う。

あんまり眠れなかった割には、体調はいい。

 

ラシュスの恰好が、見違えるような姿になっていた。昨日までは、市街地にいるおっちゃんだったのが、今日は完全に登山家。もはや、かっこいい。ここから先の行程が険しくなることが容易に想像できた。

 

2:40 出発

3:30 出遅れたスタートであったため、ラシュスの焦りか、相当なハイスピード。

最後の方にスタートしたにも関わらず、全てのパーティを置き去りにして、トップでサヤッサヤッハット(3688m)へ。入山時に受け取ったIDカードを提示しなければ、この先登山を継続することができないようになっている。

ここでIDカード提示する意義を知った。

以前、この地域で起きた大規模地震の影響で多数の死者がでて以降、登山者の管理をするための意向措置だそうだ。

僕は自立した登山者となりたいがために、ガイド登山は好きではなかったが、このような対応については賛成だ。自然災害は避けようがないこともあるが、事故を起こさない努力、起こった時のことも含めた行動をすることの大事さを、改めて教えてもらったような気がする。

 

サヤッサヤッハットの上部は、花崗岩の巨大な一枚岩のフェイスを登ることになる。

山頂までのルートには、何キロもの長いFIXロープが張られていた。明らかに今までの登山道とは毛色が変わっている。登山靴で歩くにはフリクションもよく、浮石もなく快適に上ることができたが、雨の日に登るとロープを頼らなければ、相当気持ち悪そうだ。

 

5:03なかなかな斜度に苦しんだが、頭痛もなく集中して登ることができた。

ぐんぐん高度を上げていき、無事にローズピーク(4095m)登頂

ぼくらより、一足早くついた南谷さんと一緒に登頂の喜びをわかちあえた。

IMG_6714

 

強くはないが風が吹いており寒くて防寒着を着用し、岩陰に隠れたりして過ごした。

山頂で、芦田さん持参の酸素飽和度を測定。頭痛はなく、気分も悪くないが、明らかに数字は低く、肺炎の影響は否めない。ずーやんは、毛がボーボーで測れなかった。芦田さん・若林くんは、安定の強さを発揮。


IMG_6721


ラシュスから「ここで朝日がでるのをまとう。」と言われる。

つたない英語を駆使して、寒いし朝日をみずに、モルゲンロートに染まるローズピークを見てみたいと交渉したが、なぜか拒否された。寒さを紛らわすため、いろんなポーズで写真を撮った。

IMG_6726
43687210.64b34e9b59bd4a5241fb34ccb8cdbc4a.19091920
ずーやん朝日待ち


遊んでいる内に、日の出の時刻。しかし、朝日は雲に隠れてみられず。なんとも言えない気持ちになった。ただ、ラシュスは満足そうだ。

IMG_6722

 

6:00下山開始

朝日がさして、やっと自分たちが歩んできた道のりや景色が、くっきりと見える。

暗闇に隠れていたサウスピーク、セントジョーンズピークなど、見える景色が岩と空しかなかった。

広大な岩の草原と岩峰の数々は、日本では決して見られることのできない景色で鳥肌がたつほどにかっこよかった。

IMG_6731


IMG_6730
ローズピーク


IMG_6728
サウスピーク

それにしても、岩のフェイスの下りは足への負担が大きい。細かく歩を進めて、安全に下山。

 

7:40  ラバンラタ小屋着、2度目の朝食 最後の晩餐ばりにビュッフェを食べまくった。

9:00  ラバンラタより下山開始

11:10 小休憩を3回はさみ、ティンポホンゲート着

11:30 ビジターセンターで登頂証明交付

 

山行時間7h20min、獲得標高823m、下山標高差2229m、距離2.58.5km

 

以上、山行記録。

 

今回、初の海外登山と体調のことが不安でたまらなかったですが、3人の支えもあり無事に楽しく登山をすることができました。ラシュスにチップを渡しそびれる失態を犯してしまいましたが、安心してキナバルを登ることができた。また、山と山がつながっていくように、国境を越えた先でも出会いをもたらしてくれる山の奥深さに感動しました。また、機会があれば、南谷さんとも登りたい。多くの学びをありがとう、キナバル山。

 

 

◎気づきとメモ

●服装について

初日はTシャツか長袖で十分な気温。山小屋から山頂は防寒着、手袋、ビーニーなどあれば安心です。過ごしやすい環境であるが、熱帯高所環境のため、湿度が低く、乾燥しているので、意識的に水分をとることが必要。

 

●食事・行動食について

ガイドから昼食、行動食、水分(500ml)の配布もあり、食事の準備としては少量の行動食と+5001000ml程の水分の用意でいいと思う。そのほかの食事についても、ラバンラタ小屋のおいしいビュッフェで十分。

 

ガイドの特徴

ガイド登山が絶対条件。

今回は、ガイドが先導してくれたが、後ろからついてきてもらうことも可能で、自分のペースで山行をすることも可能。

今回はベテランがついてくれたが、かなり若いガイドも多数いた。

 

●コースについて

整備された(されすぎた?)登山道

短い区間で、休憩所、避難所があり、天井には担架の設置、休憩所・避難所意外にもレスキューポイントの設置が23km毎に認めた。緊急時対応も迅速に対応可能と考えられる。

山頂付近は花崗岩の岩場を歩くため、足への負担が大きい。

雨など濡れているとかなりスリップのリスクありストレスとなる。

 

 

ラバンラタ(3272m)小屋について

受付・食堂

日中はスピーカーから音楽が流れている

小屋限定グッズなどの販売は一切していなかった。ヘリを利用せず、人力での歩荷スタイルのため、食料、水など最低限のものしか売っていなかった。

水や酒、軽食の販売あり。

 

食事

ビュッフェスタイルで種類豊富でとにかくうまい。

生野菜が多い、牛乳が飲める歩荷が豊富だから?

 

部屋の特徴

3200m以上の小屋で2段ベッドの4人部屋

バスタオル配布

充電設備完備

 

そのほか

男女別の水洗トイレ、シャワーあり

外廊下は24時間電気

1日に入山できる人数が150と制限があり、必然的に山小屋に宿泊できる人数にも制限がかかり、食堂やテラス席など含めて比較的ゆったりと過ごすことができる。

 

●メディカル

高所環境では、体調を万全にすることは大事。

スパイスと食べ過ぎはよくない。

AMS(高山病)スコアに照らし合わせて、山行継続について、体調のマネジメントができた。酸素飽和度の数値と体調は相関しないが、あると便利。

 

山行費用、今回は個人交渉のみで行ったため111万前後(通常は1530万程度?)

往復送迎費(ホテルキナバル公園ティンポホンゲート)、ガイド料、山岳保険料、キナバル公園入園料、入山料、ラバンラタ宿泊料、初日の昼弁当と行動食と500mlペットボトル、小屋のご飯(夕食、アタック前ご飯、朝食)、下山後レストランの昼食、登頂証明書

 

2019.9.17 五田刈谷

2019.9.17 五田刈谷
奈良県 大峰山脈 北山川水系 五田刈谷

3FE87071-C638-4897-B136-6F69ACE6D993


こんばんは、岩瀬た、です。
五田刈谷という沢に行ってきました。
地形図で見るとかなり短い距離だったので、すぐに終わるかもなと思いながら入渓しました。
が、河原から始まり、ゴーロ、滝、ナメ、巻き、といろんな要素があって想像してた以上に楽しい沢でした。


以下、山行報告です。

————————————————————

◎メンバー
OKD(L)
吉岡
岩瀬た(記録)


◎装備
ネオプレンジャケット
50mロープ(40mでも大丈夫かも)
30mロープ(荷揚げの補助で使用)
マイクロトラクション(荷揚げで使用)
アッセンダー(荷揚げで使用)
登攀用具


◎行程概要
8:15 林道広場駐車地
8:30 入渓
8:50 8m滝
9:05 2条8m滝
9:40 10m滝
9:50 3段10m滝
12:00 10m滝
12:15 25m滝
14:00 林道、遡行終了
15:30 駐車地、下山完了


◎行程詳細

8:30、五田刈林道をしばらく入ったところの広場になっているところに駐車し、入渓。
綺麗な水の河原。
B3B2BC27-4788-4E45-B01F-D3F51587C36C



すぐに河原は終わって、ゴーロに入る。
F8D64ECB-C71F-4A03-AE40-AD66274A2021



8:45、ゴーロを少し進むと釜を持った2条の小滝。
18B3D3FA-960F-4EE3-B3EE-96D1D368EF4B

へつりを交えて乗越すと、左手に爽やかな滝が。
7F1A2E31-49BC-4947-B8CC-21318D8CBFED



8:50、8m滝はシャワークライミング。水はそれほど冷たく無いのがありがたい!
C17AD287-52DB-4D76-B96F-2A4C15E4C7B5

49F6F271-9166-42B4-B084-534ECA98313F


9:05、2条8m滝も水流の間から取り付いて直登。
2181CDE9-D9A2-4549-8082-A3980608FAF8

564D6128-7AC4-438C-ABB2-08C6C95C7738



巨岩帯を抜けて、
99B0447F-4607-42F5-AA00-859B359CF25B



9:40、10m滝。これは右岸を巻いた。
F7FCE16F-F390-4F24-9D29-EE0A424AC0E7

8C1C0E55-7F43-4C2A-BCD8-B3553A579F81



巻いた先には3段10m滝。
4DA9592E-1E83-45DB-A972-67B05BBB302B

4EFD1C21-EFEE-49D2-A693-F7CC769C3D94

ザックを下ろして空身でロープを出して水流右を登る。
リスが走っているのでプロテクションは取れた。
落ち口の乗越は木の根が張っていてありがたく使う。
92BCC57D-BED8-4E0F-913E-D70C596E681D



そしてまたゴーロ。少し休憩したりする。
4BE0BC22-FF81-4305-AB0F-D5FFEE53C0F5



12:00、ゴーロの10m滝は水に飛ばされないように気をつけつつ登る。
落ち口は若干手がかりが少なめなのでフリクションと思い切りでのっこす。
落ち口以外はホールド多いが、ちょっと狭い。
嵐のようだ。
9C6955BE-118A-4D29-9543-6F6E7CCABFAF

6DEC333D-7AE3-47CF-A6A0-500AF0FBE2CB

3229AA26-5708-496B-874B-F738984DE0FE



その先には25m滝。
水のカーテンのようで綺麗。
7E280F0C-8CD6-4247-BA6C-FD9C88C0B0FA

「まぁこれは巻きだよな。」となんとなく思っていると、OKDさんがまさかの
「ちょっと行ってみる。」
と。
ロープをつけて空身で滝の左壁から登って行ってしまう。
3AA53D61-F316-4AA8-A1CB-DD998DFA407D

EA63AC88-3FAF-49C9-836C-AAFA2372EC3F

続いて僕も空身で登って、荷揚げ。吉岡さんは30mロープでザックが引っかからないように下でカイシャク。
水を吸ったザックにさらに水流の重みも加わって重たい。
最近ゲットしたマイクロトラクションと、アッセンダー(今回はシャント)を使って3分の1システムで荷揚げ。3人分揚げるとひと仕事終えた気分だ。
最後に吉岡さんも登ってきて、ひとここち。


25m滝を超えてしばらく行って、大きく二俣になったところで林道に近づくので、左俣を少し登ってぶつかる堰堤のところで、14:00、遡行終了。


林道をしばらく歩き、小尾根の藪を漕いで、林道に復帰するところで5mほどの懸垂下降。
少し林道を降りると、小さな流れがあったので、最後にバシャっと水浴びして、15:30、駐車地に到着。

下山完了。

————————————————————


以上、遡行報告でした。

滝を登るのはどれもピリッとした感じがあって、巨岩帯のゴーロも迷路みたいで、短い距離の中に面白さがギュッと詰まった沢でした!水も綺麗!!
荷揚げ、なかなか大変だったので、荷揚げのルートファインディングもしないとな、、、と思いました!

OKDさん、吉岡さん、ありがとうございましたー!!



2019.08.29.神崎川本流

2019.08.29.神崎川本流
20651AC2-CB12-47BE-998B-572F9768B942


おはようございます。吉岡です。岩瀬たと神崎川に行ったことを報告します。
タイムスケジュール
6時【起床】→7時【駐車地出発】→8時【取り付き堰堤】→12時【ヒロ沢出合い】→13時【下山開始】→15時【取り付き堰堤】→16時【駐車地着】

前夜、ここ数日天気が悪い日が続いていた。家を出る前に累加雨量を確認。現地で入渓の判断をすることにし、20時に神戸を出発する。1時過ぎ、現地に到着し薄暗い駐車地からヘッドライトを付けて神崎川をのぞき見る。予想していたより水量は落ち着いているようだった。朝に備え入眠。
朝6時に起きる。体は重くまだまだ眠たかったが、ゆっくりと朝食と準備をすまし、7時に出発する。暑い中、沢装備を万全に着込み車道を1時間ほど登る。入渓ポイントを少し過ぎてしまい引き返した。2人ともカッパやネオプレンで蒸れに蒸れて汗だくでした。
FD77C7F8-B59A-43E9-8D6B-953109CB5811

 8時20分に堰堤を越え入渓する。しばらく歩くと水は透明度を増していき美しい。S字形に屈曲した0.5mと1.5mの滝は少し増水しており右岸をへつるように進むがスラブに置く一歩が悪かった。神崎川の白い岩はフリクションが良く、ラバーシューズだとおけるスタンスにフェルトはおけない様子でした。左岸からも取り付いてみるが流れが強く突破できない。お助けスリングを垂らして乗越えました。
859C0CBF-68AB-4A0D-A179-33E10155FC8B

美しい渓谷をのんびりと進み40mの長瀞はロープを出すことなく問題なく進む。
天狗滝5mへ。ザックを置き、水線際を取り付こうとするが爆流に流され登れそうにない。右岸側が登れそうだったので、何気なくフリーで取り付いてしまう。少しもろい部分もあったが、ホールド、スタンス豊富で登れてしまう。下からロープを投げ荷揚げしようとするが、思ったようには届かなかった。上から400cm+60cmスリングを垂らし荷物を引っ張り上げる。申し訳なかったです。続いて岩瀬さんもフリーで取り付いた。
643E9B00-DD06-4E9E-8306-379157909243

8ADC40CD-5165-46E4-BB8A-CB0EBA242710

 天狗滝を越えてからは淵が2つあったが、水線の突破は難しく小さく右岸を巻いた。
ヒロ沢の出合いに到着し遡行を打ち切る。おのおののんびりと過ごした。清い水が流れ緑と水のコントラストが美しかったです。
CAEDB32F-3DDA-4C1B-AEB8-EA13C8B499C4

下山は堰堤まで沢沿いに下降。5m滝の天狗滝は飛び込むのにかなりの勇気が必要でこの遡行で一番怖かったかもしれません。流れに乗り下山しました。

以上山行報告です。今までの沢は冷たく寒いことも多かったですが、今回は水温も暖かく天気もよかったため、休憩しているとぽかぽか陽気でとても気持ちよかったです。リフレッシュできた遡行でした。

2019.9.2~4 熊野川水系大塔川 黒蔵谷

2019.9.2~4 熊野川水系大塔川 黒蔵谷 メンバーT.II(記)

 

 

当初、T.I君と大きな沢をやろうと、色々と思案して金木戸川小倉谷を予定していた。

コロコロと変わる天気予報に最後まで悩まされたが、北陸方面の悪天予報が決定的となり、リサーチと事前準備を怠らないT.I君が第2案として計画してくれていた関西の名渓、黒蔵谷に転進する。

幸い天候にも恵まれ、沢登りの醍醐味を存分に味わうことができた。

DSCN8937



 

 


9
2日(月)晴れ

途中、仮眠を交えて県道241号線を遡り大塔川林道に入る。

落石跡が多く、普通車では心許ない。

突合の看板がある空きスペースの端に車を停めて準備する。

今回も体力差を勘案して、T.I君に40mロープと食料、タープ等を背負って貰う。

急斜面の杣道を下りて、大塔川に入渓する。

少し遡ると、西から黒蔵谷が合流する。
DSCN8901






黒蔵谷に入ると、清流に朝陽が煌めき、心が躍る。

最初に現れる鮎返滝は、釜を泳いで左に取り付く。
DSCN8909







上部が立っていたので、荷物を下ろしてロープを出し、T.I君リードで越える。

要所にハーケンを打ちつつ登るT.I君は、下から見ていても安定感のある登り。
DSCN8914











荷物をサブロープで荷揚げしてもらい、セカンドでハーケンを回収しつつ越える。

抜け口のスタンスの置き方が難しい。

落ち口の激流を泳ぎ渡り、谷が右に屈曲すると下ノ廊下の始まりだ。

廊下は、太陽の光が降り注ぐ清流が輝き、素晴らしい景観を提供してくれる。
DSCN8923DSCN8929





連続する淵と小滝を泳ぎとヘツリで越えて行く。

22m滝は、左をへつって越える。
DSCN8938







多条ナメ滝かな?
DSCN8940






釜を持った2m滝はパスして右から越える。
DSCN8943






直ぐにナメ4m滝、T.I君は泳いで左から、自分はパスして右を越える。
DSCN8950






標高190m付近の河原で一息入れる。
DSCN8956






直ぐに始まるナメを越えると三連ノ釜を持つ美しい2m滝、左岸をへつって越える。
DSCN8961







これを越えると下ノ廊下が終わり、右手から小滝のかかる出谷が合流する。
DSCN8965






谷は右、左と曲がり、次の中ノ廊下が始まる。

ここも泳ぎとへつり、時に岩登りで越えて行く。
DSCN8978DSCN8985





最初の22m滝は、釜を泳いで滝身左手際を攀じ登る。
DSCN8996DSCN9000






連続する淵を泳いで進み、次の2m滝は、左手を泳ぎながらへつり、滝左の岩の窪みを登って越える。

重荷では辛いところだ。
DSCN9021DSCN9027





細い淵の右岸を越えて進むと洞窟状の5m滝が現れる。これは登れず右岸巻き。
DSCN9033DSCN9035





砂利に埋まった45m淵付近で一息入れて進むと、トポや数々の記録に出てくる26m滝。

荷物を背負ったまま取り付いて感触を確かめたT.I君が、荷物を下ろして再挑戦する。
DSCN9051






すると、あっさり、フリーで抜けてしまう。
DSCN9055






意外といけるのか⁉と勘違いした自分は、荷物を背負ったまま取り付つくも、身体が水面から上がらず、T.I君が垂らしてくれたシュリンゲで敢え無くA0

これを越えて、10分程進むと右から高山谷が合流する。
DSCN9059






少し進んだ廊下の中に現れた6m滝は滑り易い滝身左を登る。
DSCN9064






岩間2m滝は、T.I君にショルダーして貰って越えたが、T.I君は荷物を背負ったまま登ってきた。
DSCN9069






次のCS2mは、大岩の右にある隙間を越えるが、抜け口が被り気味で、荷物を背負っていると苦しい。

しかし、T.I君は荷物を背負ったまま越えてしまい、自分は潔く荷物をT.I君に渡して空荷で越えた。
DSCN9071






時刻は15時をまわり、そろそろテン場を見つけなければならない。

連続する小滝を越えて行くと、大岩が現れ、トポの巨岩の累積帯に到達したことを知る。
DSCN9079DSCN9080






巨岩上部の4m滝を越えて進むと洞窟状のゴルジュとなり、奥に13m滝が現れる。

更に奥には、巨大なカンタロウ滝も見える。
DSCN9088






13m
滝は登れず、トポ通り右岸を高巻くが、結構急斜面の木登りで気が抜けない。

少しトラバースしてルンゼに降りるのだが、下部が切れ落ちていたので、ロープを出して10m程懸垂下降する。

ルンゼを越えて落ち口に降り立つと、直瀑の34mカンタロウ滝に圧倒される。飛沫を浴びているだけで、寒い。
DSCN9095







トポ通り左岸に通じている尾根の踏み跡を辿るが、上がるほど傾斜もきつくなり、木登りも辛くなってくる。

50~60mは登っただろうか。いい加減しんどくなってきた頃に漸く断崖の上部に抜け、脆い岩場を左にトラバースしていくと滝の落ち口らしき沢音が聞こえた。

T.I君先頭で、脆い岩場と急斜面を、木を掴みながら下ると、ぴったり落ち口に出ることができた。

この高巻きに約30分かかった。

時刻は既に1615、トポではまだ廊下帯が続くため、これを越えなければならない。

薄暗くなりつつある廊下帯を進んで行くと、右から美しい第3支流が合流する。

左手奥には釜を持った33m滝がかかる。

T.I君は急流の釜を泳ぎ切って滝右手の岩に上がり、そのままするすると登って越えてしまう。
DSCN9110






自分も続くが、滝右手の岩の手掛かりが掴めず力尽き、急流に押し戻されてしまう。

直ぐにT.I君がロープを投げてくれたので、これを掴み、何とか岩に這い上がることができた。

なお、滝右の岩を登ると上に登らされ、落ち口に降りる足掛かりがないので、ジャンプかズリ落ちることになる。

突破が難しいとあった次の26m滝は、泳いで滝の左にある岩の窪みから越える。
DSCN9121







この先の大岩上(右岸)に砂地上の平らなテント適地を見つけたが、もう少しでトポ上のテント適地に至るということで先に進む。
そして現れたのがトイ状2M斜滝、結構ヌメヌメなうえにトイ状から釜に直噴射流が落ちている。
DSCN9126






滑れば間違いなく空母のカタパルト発射よろしく釜に直噴射落ちである。

流石に幕営前のドボンは遠慮したいので、先ほどのテント適地まで戻ろうと考え始めたが、左岸を登ったT.I君がロープを出してトラバースするというので、立木にセルフを取ってビレイする。

細かいスタンスを拾って、ジワリとトラバースを成功させたT.I君に腰絡み確保して貰い、自分も冷や冷やしながら何とか無事トラバースして滝を越える。なお左岸の噴射口付近にハーケンが打ってあった。

これで核心部は抜けたことになる。

右手から支流が入り、谷が左、右と屈曲した先に漸く河原状のテント適地を見つける。

右岸の一段上がった河原にタープを張り、腰を下ろして一息つく。
DSCN9127






T.I
君が担ぎ上げくれ調理してくれたボリューム満点のマーボー丼で腹を満たし、充実した初日を終える。

夜は心配していた雨も降らず、風も吹かず、寒くもなく、結構、快適に眠れた。

 

コースタイム:駐車地(標高175m08400900鮎返滝~1115支流出合~1340高山谷出合 ~1545カンタロウ滝16151710トイ状斜滝2m1755標高500m付近河原(泊)

平面距離:7.83km、累積標高(登り)1,942m(下り)1,625m

 


9
月3日(火)晴れ後夕立

0530、薄明りに目覚めると隣のT.I君は、疲れが溜まっているのか深い眠りに落ちている。

起こさないように紅茶と朝飯のラーメンを用意する。

T.I君を起こして朝食を食べ、準備してタープを畳み出発する。

直ぐに始まった廊下に朝陽が差し込み、気持ちの良い遡行が始まる。
DSCN9131






実は、ここが上ノ廊下だったことを後で知る。

あまりにも、あっさり越えてしまったので、2人ともそれと気付かなかったのだ。

斜滝8mは、滝右の岩を登って越えたような気がする。

短い廊下を越えると、暫くは単調な河原歩きが続く。

2条小ナメとナメ滝L5mを越えて進むと、斜滝8m(地図上の黒蔵滝)が現れる。
DSCN9142DSCN9145





これを滝左の大岩から巻き登り、次の釜を持った綺麗な斜滝2mは右からへつって越える。
DSCN9152







暫く進むと左から大きい支谷が合流し、ここで一息入れる。

斜滝2mを越えて進むと奥の二俣に到着する。
DSCN9159







我々は、勿論、野竹法師山まで登るので、右手の谷に進む。

ナメ滝1mを越えると徐々に水量が減り始め、崩れやすいガレ場を登ることになる。
DSCN9165






次の分岐を右に進み、ガレ谷を登って行くと、奥に25m滝が見えた。
DSCN9170






手前にある4m滝を越えて25m滝に至る。
DSCN9175DSCN9178











滝の飛沫を浴びてクールダウンし、右岸のガレルンゼを巻き上がって右にトラバースすると、10m滝が姿を現す。
DSCN9185











これは左岸の滑り易い急斜面を、木の枝を掴みなが巻き上がる。

どちらの高巻きも急で滑り易く、結構悪い。

これを越えると同じく滑り易い23m滝、水もそろそろ涸れそうなので、水汲み休憩を挟む。
DSCN9189






次の5m滝は右岸を巻き上がり(この辺りが最後の水場)、一登りで涸滝35mが姿を現した。
DSCN9193DSCN9197






ここから両谷の間の樹林帯を右から巻き上がって行くのだが、最初の木登りが急峻で消耗する。

その後も急な木登りが続き、富士山の登りのように5m登っては一息みたいな感じになってしまう。

沢用のウェアを重ね着しているので、顔から滝のような汗が出てくる。

必死でT.I君の後を追い、高度差約200m1時間程かかって、野竹法師山頂に飛び出す。
DSCN9202







最後は心が折れそうになりながらも、無事、山頂に辿り着き、T.I君と握手を交わす。

山頂は北東面が少し開けた樹林帯に囲まれており、山深さを感じる。

大休憩と着替え、靴の履き替えを挟み、後は長い林道を駐車地まで戻るだけだ。

当初、コルを越えた最初のピークから林道に下れると思っていたのだが、踏み跡がどうも薄いため、その先の標高844mピークまで取りあえず行ってみることにする。

しかし、標高844mピーク東面は、藪の急斜面で、どうも下りる気がしない。

T.I君と相談し、取りあえず尾根上を進み適当なところから、林道に降りことにする。

結局、そのまま藪尾根を東に進み、二つのピークを越えることにしたのだが、アップダウンと藪の激しさと、自分のバテが足枷となり、結構時間を喰ってしまう。
DSCN9216






標高954mの次のピークを越えて南の尾根を下り、最後に懸垂下降して林道に降り立った頃には、既に時刻は15時をまわっていた。まだ約15キロの林道歩きが残っている。

少しの休憩を挟んで林道を歩き出すが、俄かに黒雲が立ち込めたかと思うと、滝のような夕立が降り始める。

急いでカッパを着て、うんざりしながら下っていると、今度は足元からヤマビルの攻撃が始まる。

この林道のヤマビルの多さは半端ない。

足元のヤマビルを時折、振り落としながら、雨の中、林道を2人で黙々と下る。

2時間程で、漸く雨も小康状態となり、林道が大きく右へカーブして安川大塔川林道へ下り始めた時、何気に対岸に目をやると、斜面が大きく崩れ、岩肌が露出しているのが目に入る。
DSCN9222






まさか林道埋まってないよな、と思いつつ、安川大塔川林道と合流して一息入れてから下って行くと、悪い予想は当たり、林道は大量の土砂に埋まっていた。

最初の山崩れ跡は、ガレ場の崩れやすい落石に注意しつつ何とかトラバースで越えられたが、次の山崩れ跡は、大きく抉れており、下は沢まで切れ落ちている。

トラバースできそうにないので、上か下から越えるしかないが、もう日没は間近である。

T.I君と相談のうえ、沢装備を付けて沢を下ることにして、再装着のうえ河原に降り立つ。

下り始めると直ぐに高い堰堤が現れ、その下には滝と崩壊地が見えた。

暗闇の中、この滝下りはリスクが高い。やむを得ず、河原にタープを張り、もう一晩越すこととする。

しっかり予備日を設定してくれていたT.I君に感謝するとともに、2人で、こういう事態に備えての予備日設定は大事なことだなと再認識する。

夕食はT.I君が用意してくれた珈琲とスパイシーなウィンナー入りカレーで腹を満たす。

翌日、無事、崩壊地を越えられるよう願いながら眠りにつく。

 

コースタイム:標高500m付近河原07100740黒蔵滝~0805二俣0820(標高500m)~0840奥ノ二俣(標高600m0850092025m滝(標高680m)~1030涸滝35m(標高800m)~1140野竹法師山(標高971m12201250小ピーク~1305標高844mピーク~1340標高906mピーク~1435標高854mピーク~1510林道(標高780m15551810林道崩壊地~1930標高470m付近河原(泊)

平面距離:13.28km、累積標高(登り)1,896m(下り)1,922m


 

9月4日(火)晴れ後夕立

心配していた雨も、あれから降らず、風もなく快適な夜だった。

少し早めに起き、紅茶を飲みつつ朝食のスパゲティを食べて準備する。

まずは空荷で偵察に出るが、滝は良い懸垂支点が取れそうになく、道路高さのトラバースもやはりリスクが高い。

相談の上、崩壊地際の立木から斜め懸垂で中間の倒木までトラバース気味に下ることにする。

先ずはT.I君が先行してガラガラと脆い地盤の落石を落としながら、懸垂トラバースしていく。

上手い具合に大きな倒木まで辿り着き、次に自分も同様、落石を落としながらトラバースする。
支点がなさそうだった滝の左岸を見ると、下部は木梯子、上部はフィックスロープが張ってあるのが確認できた。

崩壊地中間部からガレ場をトラバースして上の林道に復帰できそうだったので、偵察に行くとフィックスロープが張ってあるのが見えた。
DSCN9227






それを辿ると、無事、林道に復帰することができ、2人でホッと胸を撫で下ろす。

崩壊地の幅は、約400mといったところだろうか。

また崩壊地が現れないことを祈りながら、一応、沢装備で林道を下ることにする。

次の林道分岐まで来ると昨年の台風20号の影響により通行止めとの標識が立っていた。
DSCN9229






長いクネクネした林道に飽き飽きしつつも、気持ちの良い沢音を聞きながらトボトボと歩く。

いい加減、重荷に肩が痛くなってきたころに、漸く駐車地へ辿り着く。

下ってみれば2時間と少し、昨日あのまま順調に歩けたとしても、到着は20時をまわっていただろう。

河原で冷たい沢水に浸ってクールダウンし、装備を片付けて黒蔵谷を後にする。

途中、十津川温泉の泉湯で汗を流し、昼食を食べて帰路に着く。


コースタイム:標高470m付近河原05500655崩壊地を越えて林道復帰~0920駐車地

平面距離:9.38km、累積標高(登り)882m(下り)1,217m

 

****************************************************************************** 

関西でも指折りの谷と言われるだけあって、素晴らしい景観、泳ぎ、渡渉、登攀、高巻き、そして長い林道歩き?、予想外の崩壊地?等あらゆる要素が詰まった?ボリューム満点の沢だった。

第一候補だった小倉谷に行けなかったのは残念だったが、それを補って余りある沢登りになったと思う。
ヤマビルは、沢沿いは殆ど見かけなかったが、帰りの安川大塔川林道に至る林道には多数生息していた。
林道崩壊地は、一度沢に降りて沢沿いに崩壊地を越えてから林道に復帰するのが早そうだ。

パートナーのT.I君には、仕事が忙しい中、ダブル山行計画作成から諸準備、共同装備の負担までして貰って色々と負担をかけた。T.I君に感謝したい。

記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

kobe_alpine

  • ライブドアブログ