2022年02月

2022.2.27 野猿の岩場

2022.2.27 太田切川 野猿の岩場 の記録

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こんにちは、岩瀬た、です。
OKDさんと野猿の岩場に行ってきました。
A〜D沢までありますが、今回はC沢F2(2段20m)の1段目と、アプローチ途中の林道脇にあるミニ氷柱で遊びました。

なんと、僕が担当していたロープを持ってくるのを失念してしまっていて、危うくフリーソロの特訓になるところでしたが、前日までアイスをしていて今日も練習していくという、久しぶりに会うNさん&おなじみの会のNさんがロープを貸してくれてありがたく使わさせて頂きました。大変、ありがとうございました!!

ロープを忘れるのは笑えないな。ロープに関わらず忘れ物はなによりも怖い。


以下、山行記録です。

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◎メンバー
岩瀬た
OKD


◎行程概要
7:00駐車地
7:30 出発
7:55 渡渉ポイント
8:20 C沢F2
12:50 ミニ氷柱
15:30 駐車地


◎行程詳細

7:00、駐車地にてN&Nコンビと合流し、久しぶりに会うNさんとお喋りしつつ準備して、件のロープをお借りする。
N&Nコンビは駐車地から10分ほどの林道脇にあるミニ氷柱を登るということで、ここで分かれて僕とOKDさんはC沢へ。

林道のカーブのところからトレースに沿って歩き、そのトレースは堰堤を渡っていたが今回渡渉のために昔ながらのビニール袋作戦を考えていたので、今後の山行のための実験も兼ねて河原からアプローチ。
ビニール袋作戦は結構うまくいった。
若干ニッチな情報かもしれないけれど、今回のビニール袋作戦の概要を記します。
準備したもの
・トラスコ中山0.15mmの厚手ビニール袋
・輪ゴム
・チェーンスパイク
これを組み合わせて渡渉。
ブラッシュアップポイントとしては、
・今回は90Lを持ってきたけれど、70Lくらいの方が良さそう。大きすぎた。
・輪ゴムはちょっと使いにくかったので、ガムテープやビニールテープなどで巻くか、マジックテープなどで巻いて足に固定する方が良さそう。
・チェーンスパイクは水中でもガッチリ地面をグリップしてくれたので大正解だった。
・小さな穴が空いて少し水が入ったけど、わずかだったので問題無かった。
以上です。
野猿の岩場に限って言えば、アプローチ近いし林道なのでウェーダーでも良いかなと思います。脱ぎ履きがめんどくさいかな?
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無事に渡渉を終えて、目の前のC沢へ。

正面のラインはボコボコに穴が空きすぎていて逆になんだか登りにくかったけれど、リード&フォローで登って、あとはトップロープで練習。
他に8人組のパーティが来て、なかなかの賑わいだった。お互いに譲りながら平和で楽しいひと時だった。

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僕とOKDさんでお互いに4本登って、昼からはミニ氷柱でN&Nコンビに合流しようと思うも、時すでに遅く、もう帰っていた。さすがのスピード感だ!!

ミニ氷柱は小さいながらも綺麗な平面部分の多いバーチカルで、10m程度。
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気温が上がって氷も柔らかくなり、今シーズン登った氷とはまた違う感覚(平面的でアイゼンがサクッと刺さる)で登ることができた。氷の柔らかさに加えて真っ直ぐに立っていたのでちょっとビビってスクリュー結構使った。
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1本目はリードして、あとはお互いに2本ずつ好きなラインをトップロープで登って終了。

10分ほどで駐車地に戻って下山完了。

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以上、簡単ですが山行記録でした。

A沢も気になるところでしたが、聞く話では雪で埋まっているようなので今回は行きませんでした。C沢ではミックスに挑戦したりミニ氷柱では折れそうな氷柱部分でデリケートに登ってみたりして良い練習になりました。
アックスを打ち込み過ぎずに登る塩梅が少しだけわかった気がします。スクリュー打つ時だけしっかり刺して、あとは4分の1くらい刺さってれば大丈夫そう。引っ掛けるだけというのをできるようになりたかったけど、これは思ってたよりも結構ハズレたので要練習or見極めだ。

楽しく登ることができました!!!

2022.2.11-12 大峰 明ケノ明星

2022.2.11-12 大峰山脈 明星ヶ岳 三ッ嵓谷 無名滝 明ケノ明星 の記録

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こんにちは、岩瀬た、です。

先週に引き続き大峰にアイスをしに行ってきました。

当初は戸台川に遠征する予定でしたが、インスタグラムでいろんな滝をドローンで空撮した映像を投稿している人をたまたま見つけて、その中に大峰の明星ヶ岳近くにぶっとく凍った綺麗な滝の映像があり、かなり興味深かったので撮影者に連絡を取って場所を教えてもらい、OKDさんと行ってみることにしました。

以下、山行記録です。

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◎メンバー
岩瀬た
OKD


◎装備(主なもの)
60mダブルロープ
スクリュー14本


◎行程概要
・2/11 晴のち小雪
6:30 湯ノ又登山口 出発
11:30 1500m近辺 テント設営
12:30 偵察 出発
13:45 前衛滝 左岸ルンゼの巻道探索
16:00 偵察終了折り返し
16:45 テント 泊

・2/12 晴
4:30 起床
5:30 出発
6:00 前衛滝 準備
6:30 前衛滝クライミング開始
8:00 無名滝取付
8:30 無名滝クライミング開始
9:20 1ピッチ目終了 2ピッチ目開始
11:00 2ピッチ目終了 3ピッチ目開始
11:30 3ピッチ目終了 詰め開始
13:00 中尾
14:30 テント 撤収
15:30 下山開始
18:50 湯ノ又登山口 下山完了


◎行程詳細
・2/11
湯ノ又登山口近くの広いスペースにて駐車。準備して出発。
幕営装備とギアの重みを両肩に、「滝どんなんでしょうねぇ、登れたら良いですねぇ」と話ながら中尾を歩く。
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(あまりの暑さに上裸になったら快適だった。人の少ない山でオススメ。)

地形図の1325mピークのあたりで、樹林の隙間に小さく青く光る滝が見えた。目的の滝だ。嬉しい。
鎖場を抜けて標高1500mくらいの平坦地にてテントを立て、しばし休憩したのちにギアを身につけて偵察に出発。

トラバースしながら三ッ嵓谷の沢床に降りる。
踏み抜きに気をつけつつラッセルし、15m程の前衛滝に到着。
GPSで見ると前衛滝手前の左岸から切れ込むルンゼに目的の滝があるようだったのでルンゼを詰める。
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しばしラッセルで進むと、踏み抜きまくってどうしようも無くなったので左岸に乗り上げ、そのまま登るも一向に滝が出てくる気配がない。今一度GPSで確認すると、どうやら間違ったルンゼだったようで、もう一つ尾根を越えたところが目的の滝があるルンゼだった。
懸垂下降で降りながらトラバースできる場所を探してみたけれど見つからず、前衛滝まで降りてくる。

良い時間になっていたので、明日は前衛滝のクライミングからスタートということにして、ギアをデポしてテントに戻る。
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目的の滝を拝むことはできなかったけれど、前衛滝を巻くという選択肢を消すことができて進む道がハッキリしたのでまぁ良いだろう。

あたたかい我が家で鍋と酒で慎ましく宴会をして、明日のクライミングを想像しながら眠りにつく。


・2/12
4:30に起床。のんびり準備して、出発。
昨日つけたトレースのおかげで30分ほどで前衛滝に着く。
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ギアを身につけて、いよいよクライミング開始。
僕のリードでスタート。よっしゃ頑張るぞ。

前衛滝、傾斜のゆるいところを選んで登るが氷結が悪く思いの外ボールドな登攀になる。足元の氷ごと崩れてしまいそうなゆるさ。
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20mほどロープを伸ばしたところでようやくしっかりした氷にスクリューを打つことができてひと安心。傾斜の緩い右に寄りたかったけれど水の流れる音がハッキリ聞こえたのでやめておく。
氷結の良い小さなバーチカルを抜けて笹藪に突っ込み、滝上に抜ける。左岸からルンゼが切れ込んでいる。
立木までズボズボのラッセルをこなしてビレイ。
蛇行したラインどりをしたのでロープスケール50mほどだった。
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(ビレイ点からフォローのOKDさん)

ビレイ点からルンゼを詰めれば目的の滝に着くはず。
腰ほどのラッセルを、えっちらおっちら交代番子で続けてほどなくしてドーンと青白く輝く大滝が見えた。
うおー!すごい!!でかい!綺麗!!!
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空撮の写真を何回も見てから来たけれど、下から見上げるとまた違った迫力がある。
しっかり凍っていて嬉しい。これはイケるとテンションも上がる。

ひと通り眺めて、ルート取りを確認。
2段になっていて、1段目は真ん中の段状になった緩傾斜にラインを決める。目測20mほど。
2段目は右の方は緩傾斜になっていそうだけれど岩が透けて見えて氷が薄そうなのでやめとく。
正面のバーチカルが少し凹角になっていて、しっかり凍っているし、ところどころ段があるように見えたのでそのラインでいくことにする。これも目測20mくらい。もう少しあるかも。

一服していよいよクライミング開始。

1ピッチ目 OKD
段状の氷を登る。打ち込むアックスはカツーンカツーンとどうやら結構氷が硬そう。結氷良く嬉しいが疲れそうだ。
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しっかりスクリューを決めてスムースに1段目をこなす。好きにラインが引ける感じで、ビレイしながら羨ましくなる。
2段目の直下でビレイ。
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フォローで快適に登る。うーん気持ち良い!


2ピッチ目 岩瀬た
ビレイ点では霧のような水が降っていた。水滴にもならないくらいの薄い水。こういう水でこんなに大きく凍るのかと感心する。
さて、ぶっ立つ2ピッチ目スタート。
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焦らずゆっくりパンプしないように良い体勢を保つ努力をする。
順調に高度をあげるがやはり結構腕にくる。凹角と思ってたけどうまく足を効かせられず、10mほど登って「あぁやべえなぁ」と3回思って、思わずフィフィに手を伸ばす。がしかし、フィフィをつけてるスリングが短くてアックスに届かない。しまった!
とりあえず身体を上げて早くアックステンションしないとと思って足を上げると、やっぱりなんだかいける気がしたので粘ることにした。フィフィのお世話にならずに済んでオンサイトトライ継続。
じわじわと上げていき、もう少しでバーチカル終わりそうなところで左手のアックスを微妙な角度で打ち込み、右手のアックスを振ると、打ち込んだ場所が大きく剥がれてボディブローのように身体に直撃した。
「う、落ちる。」
と思ったけれど、どうにか左手のアックスと右足で耐えることができていて、まだ落ちていない。必死で右手をもう一度叩き込む。落ち着いて真っ直ぐに振りかぶって、叩き込む。綺麗に刺さる。ホッ。落ちてない。まだ落ちてないぞ!
2、3歩上がってようやく段になっているところで一安心。右手フリフリ左手フリフリでゆっくり休んで、あともう少し。
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もうワンプッシュ登ってようやく緩傾斜に乗っこす。
その先は階段状の快適なビクトリーロードだ。やっほー!
階段を登っていくと、真ん中に雪のルンゼを引いて両側に綺麗なシャンデリアを下げた庭園のような場所に出た。明るい陽が当たって綺麗。
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まだロープ長があったのでそのままその庭園を突っ切っても良かったけれど、せっかくなので松の木でピッチを切ってOKDさんを迎える。
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3ピッチ目 岩瀬た
松の木のビレイ点でゆっくり景色を楽しんだあと、庭園にかかるシャンデリアをよいしょっと乗っこしてルンゼを詰める。
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大きな立木でビレイ。
OKDさんも登ってきて、無名滝のクライミング終了!オンサイト!ハイタッチ!
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記念撮影だ。

その後、懸垂下降しても良かったけれど、せっかくなのでグルっと回ってテントまで歩いて戻ることにする。
がしかし、この選択はなかなかのミスだった。
中尾までのトラバースはしんどいながらも知れてるラッセルで、中尾の尾根に移った時には景色もよく最高の気分でしたが、その後の下降が踏み抜きだらけの藪漕ぎのラッセルになってめちゃめちゃしんどかった。登攀よりもしんどかったんじゃなかろうか。
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(ここまでは良かったがこの後が地獄だった。)

僕は100回くらい踏み抜いた挙句心が折れかけて胸まで埋まってボーッとしてしまいましたが、OKDさんが沢屋魂を燃やして「こっちの方向や!」と藪漕ぎのラッセルをリードしてくれてどうにかテントに戻ってこれました。
しんどい時のOKDさんはやはり漢である。

テントを片付けつつゆっくり休憩して、また重い荷物を背負ってゆっくり駐車地まで。
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下山完了。

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以上、山行記録でした。


何人かの大峰の沢や関西のアイスに詳しい方にお聞きすると、どうやらこの滝はまだ誰も登ってないらしく、今回が初登のようです。
僕もOKDさんも初めての初登なので、記念に今回登ったルートに恥ずかしくも僭越ながら名前をつけることにしました。

明ケノ明星

にしようと思います。
滝直下から明星ヶ岳まで方角的に東に向かって登ることになるので、この名前としました。
また、明けの明星は縁起が良いものでもあるようなので、良い名前だと思います。

もし、「すでに登ってる人がいるよ」という情報がありましたら、教えてください。

明ケノ明星のルート図と経路の概念図を記録として残します。
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(PDFデータやより詳細な位置図など必要な方は連絡いただければお送りします)

積雪状況によりますが、健脚なパーティーなら登山口を早出して滝を登った後に懸垂下降すればワンデイでのトライも可能かもしれません。
今年はよく冷えたので前衛滝15mも凍ってましたが、ここは結氷状況をよく見る必要があると思います。左岸の巻きは厳しいと思いますが、右岸は確認していません。

メインの滝はめちゃくちゃ難しいわけでは無く、結氷もしっかりしていて広く、いくつもラインが引けそうです。
下段は緩傾斜からバーチカル、上段はバーチカルからそれ以上にも見え、いろんなクライマーが楽しめると思います。
中尾でテントを張って、1泊2日もしくは2泊3日などで登るのがのんびりできて楽しいんじゃないでしょうか。


終わりに、この滝を登るきっかけを作っていただいたTakuさんに大きく感謝します。ありがとうございます!!
兵庫県の人だそうで、いつかご飯でもいければ良いなと思います!いろんな氷瀑の話を聞かせてほしいです。



2022.2.5 大峰グランドイリュージョン

2022.2.5 大峰山脈 大普賢岳 地獄谷 グランドイリュージョン の記録

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こんにちは、岩瀬た、です。

大峰にアイスをしに行ってきました。
今年は良い年で、どこも良い結氷をしているので嬉しい。毎年こうだったら良いのにな!

僕らにはまだ難しいかな?いやいけるだろう!と思いながら、グランドイリュージョンに挑戦してきました。

以下、山行記録です。

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◎メンバー
岩瀬た
OKD
谷川


◎装備(主なもの)
60mダブルロープ
スクリュー10cmx1
スクリュー13cmx4
スクリュー17cmx7
スクリュー21cmx4


◎行程概要
5:30 駐車地 出発
10:00 グランドイリュージョン取付・クライミング開始
15:30 グランドイリュージョン終了・下降開始
16:45 取付・トラブル処理
18:00 下山開始
20:30 駐車地


◎行程詳細
予定より30分ほど遅れて入山。
今週は良い感じに気温低かったので大峰はさぞ賑わうだろうと思っていたけれど、先行パーティーはいなかった。
先日、ダイさんとヨッシーさんがグランドイリュージョンの取り付きまで行ったので、その情報とガイドブックの情報を元に、迷ったりしつつ進む。
グランドイリュージョンの前衛滝に着く頃に後続パーティが追いついてきて、なんと前田さんだった。去年も会ったのでほぼ1年ぶりにまた会ったことが嬉しい。さらに驚くことに、あの閻魔大王を初登したMさんも一緒だった。前田さんたちもグランドイリュージョンを登りにきたよう。
僕らは前衛滝は巻いたけれど、前田さんたちは登るそうでここでいったんお別れ。

予定より1時間押しでグランドイリュージョンに着いた。道中谷川くんがラッセルをかなり頑張ってくれた。強い!着いて行けなくならないように僕も頑張らなくては。

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グランドイリュージョン、しっかり氷が発達していて、よっしゃーと嬉しい。
1ピッチ目が難しいと聞いていた&どう見てもカッコいいので誰がトップで行くか相談。谷川くんはラッセル頑張ってくれたのでシード権を得ていたけれど、「じゃんけんで決めましょう」と謙虚だ。
OKDさんは遠慮したので谷川くんとジャンケン。
岩瀬た、勝利!
これは落ちれないなぁと意気込んでクライミング開始。迷わず弱点の凹角になってるところからインする。

滝直下から見上げるとなかなか立っているけど段になってるスタンスもあるので思ってたほどのプレッシャーは受けずに済んだ。しかしなかなか氷が硬い。パンプしないようにゆっくりゆっくり。
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シャンデリアの直下まで登ってこのまま直上してみるか少し迷ったけど、まぁまぁギリギリのしんどさになってきてたことと「バツン」という何かしらの氷の変化の音が鳴ったこともあって右から巻くように登る。
緩傾斜までのラスト5mは、登り切るのが先か、腕がダメになるのが先か、という痺れるおっさん的な感じになって必死の思いでアックスを振り、どうにか緩傾斜帯に乗り上げることができた。
何回かアックステンションの誘惑に駆られたけど、根性でねじ伏せることができて良かった。
スクリュー3本でビレイ点を作って2人を迎える。


2ピッチ目は谷川くん。
正直、僕は1ピッチ目で精魂尽き果てる感があったので優しいラインをとってくれぇと心の中で思ってたけど、結果、強点をつくライン取りで登って行った。ぐわぁ。
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とはいえ谷川くんも想定よりしんどいラインどりをしてしまったようで、テンション交えての登攀となる。
綺麗な滝裏が見える洞窟のような場所でピッチを切る。
フォローで登ると、凹角でごまかしながら登れた1ピッチ目よりもムズイんじゃない!?と思う感じで、スクリュー回収の時はアックステンションしながらのフォローとなった。

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(滝裏のビレイ点にて)

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(2ピッチ目を登ってる途中、前田さんが登ってきました。お久しぶりです!)


3ピッチ目はOKDさん。
OKDさんも1、2ピッチを経て僕と同じく精魂尽き果てた表情をしていたけど、トップで行くとのこと。しんどくても挑戦する、まさに漢である。
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このピッチはそんなに難しく無く易しいと聞いていたけれど、2ピッチ目を登りながら見てると立ってる感じがした。
ビレイ点からは見えないのでどんな感じかなと思いながらしばらく待つ。途中、ギアラックが開きっぱなしになっていたようでスクリュー3本を落としてしまう。(1本は前田さんパーティが拾ってくれました。ありがとうございます!残り2本は取り付きまで落ちて行ったけど結局見つからずだった。南無三。雪が溶けたらまた探しにいきましょう!)
しばらくしてビレイ解除のコール。
フォローで登る。
出だしトラバースからのバーチカルで普通に厳しい。どこが易しいねーん。
バーチカルをこなした後は快適なクライミング。

立木でピッチを切っていて、そこから下降に移っても良かったけれどあと15mくらいで終わりだったので、ちょっと迷って、やっぱり登り切った方が良いなということで最後は谷川くんのリードで登る。

グランドイリュージョン終了!万歳!

こっちで良いかなぁと迷いながら右岸の尾根を懸垂下降して、ようやく取り付きまで戻ってくる。
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3人とも降りて、ふう、ひと心地。あとはロープ回収してお茶でも飲むかという時に、僕のアックスが無いことに気づく。
やってしまった。懸垂下降の支点に置き忘れてきてしまったのだ。まさかこんなヘマを自分がするとは。
トップロープ状態でビレイしてもらって登り返して、雪に埋もれたアックスを回収。やれやれだ。登り返しが難しくなくて良かった。

すっかり遅くなってしまった。さぁロープ回収して下山!と思ってロープを引くと、まさかのロープスタック。
マジかよ、、、と言葉を失って何回か回収を試みるもダメ。しばし沈黙した後に、谷川くんがマイクロトラクションで登り返してスタックを解いてくれた。ロープ同士がクロスして結び目で引っ掛かっていたよう。
これは僕がアックス回収して懸垂下降したあとのロープの扱いが雑だったことが原因なので大きく反省だ。懸垂下降の時は降りてからクロスさせないようにしなければならない。基本だ。

すっかり日も落ちてヘッデン下山。疲れてたし気の抜けない箇所が何箇所かあるので、ゆっくり降りる。
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(前衛滝の暗闇懸垂)

前田さんパーティが残してくれたトレースがありがたかったです。

下山完了。

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以上、山行記録でした。

今回、グランドイリュージョンはチームオンサイトとはなりませんでしたが、またそのうちチームレッドポイント(?)を狙って挑戦したいなと思います。
雪が降る中でのムーディで良いクライミングができましたが、ここ最近、登った後になにかとトラブってしまうことが続いてるので(石尊稜では悪天につかまり、御在所ではアバラコフに時間がかかったし、今回はアックスを忘れた。どれも予定時間をオーバーしている。)、ちょっと気を引き締めて、安全地帯に降りるまでミス無く、というのをキチンとできるようにならないとなと思います。
自分にとって挑戦的なことや、やったことないことにトライしていこうと思って山に入っているのでキャパが若干オーバーしてるのかもしれません。自分のキャパがどの程度かはハッキリとはわからないけれどここ何年かの生活習慣からみて体力は下降傾向にあるし、この延長線上に重大な事故があると思うので、今一度基本を確認していきます。

芝さんが「アルパインはマラソン走りながら将棋を指すようなものだと思う」と言っていましたが、まさにその通りだなと思います。
走れなくなっても指せなくなっても行き詰まる。それどころか走るのが遅かったり、先読み甘く指す手がニブっていても危ない。
難しいし大変だ!!




2022.02.01 【錫杖岳 前衛壁 3ルンゼ】


タフな山行でした


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丁度20年前


私にとっては特別な日

北アルプスで遭難をして気力体力共に限界
1週間後に救出して頂いて九死に一生を得た日
その代償に両足全ての指を凍傷で失った

「2月1日」

ある意味、第二の誕生日と言えるこの日を毎年感慨深く迎える

その日に今年は錫杖岳へと向かった

天気は決して良くはない
良いシーズンはあっと言う間に終わる
しかし過去の失敗、不安が脳裏をよぎる
悪いイメージは失敗を招くし実力を発揮できない
昼過ぎまでは可能性はある
揺れ動く気持ちを奮い立たせ決行!

以下、山行記録です

__________________________________________


■ メンバー

吉澤 (L)
藤本 (記)

■ 装備 (主な物)

[共同] 
ダブルロープ  8.5㎜ × 2本 
アイススクリュー
21㎝ × 2本 (使用無し) 
17㎝ × 4本 (使用無し)   
13㎝ × 5本
10㎝ × 2本
カム C4 #3.0
リンクカム #2.0、 #1.0、#0.75、#0.5   
ナッツ 
ハーケン ×  2 (使用無し)
アブミ × 2

[個人]
ビーコン  
ゾンデ
ショベル

■ 行動詳細

3:15 槍見温泉 

天気が崩れるのが早まり、
前衛壁を遠望して拝むだけになる可能性が高い
そう思いながら出発


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ここ一週間まとまった降雪はなく気温も低かったのでクリヤ谷の登山道は膝丈ほどのトレースが残っており快適

穴滝上部の渡渉ポイントも軽くジャンプして突破

 
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笠ヶ岳へと伸びるトレースはあるが錫杖沢方面へは途絶える
3月に登られてる記録が多いのでまだ時期が早いのかと不安になる

GPSでは出合に着いているが全くルートが分からない
雪に埋まり雪原となった出合の対岸に樹林の薄い雪壁がある
錫杖沢はそこしか考えられない
ここからは膝ほどのラッセルだが表層下の雪は締まっていて登りやすい
確かこの辺りは落差のある小滝
ズボっと踏み抜くのが怖い


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7:00 錫杖沢の岩舎 到着

何かヤバい物が見えてしまった
一息入れ登攀ギアを装着、1ザックに

やりますか!


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樹林帯より沢筋の方が登り易かったのでそのまま錫杖沢を直上して詰める

1ルンゼ ヤバし...
でも最高に格好いい!
技術を付けていつかは絶対にやりたい
頑張ろう


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ここが3ルンゼなのか?
遠目に見れば顕著な3ルンゼだが近づくと見た目が違って分からない
喉の様な所が2カ所 雪がなく繋がってない
怖そう

もう少し右に回り込んで偵察する事に


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見えてきた!
間違いない


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当たりも晴れてきた!
穂高が綺麗


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8:00

1P Ⅳ- 40m
(氷壁となったルンゼから氷へ)

氷壁ではなく雪原
フリーで凹角まで登る
ツボ足がしんどい


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2P Ⅲ 30m
(ルンゼ凹角の氷を登る)

藤本リード
フリーで行けそうだったのでそのまま直上


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だが凹角の雪は詰まってなく踏み抜いた
その下は身長ほどの空洞 
迷わずにロープを出した

その先の小滝も見た目は簡単そうだがベルグラとズボズボ雪
バランスが悪く足が決まらなくて痺れた


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3P Ⅳ 40m

(ルンゼ右側の氷を登る)

吉澤リード
かなり苦戦していて時間もおしてきていた
ビレイしてる側は寒さ半端ない
チリ雪崩が四方から頻発
時には大きな氷の塊が飛んでくる

敗退も視野に入れるがヨッシーは粘って突破!
かなり痺れたであろうが前進してくれた、流石


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4P Ⅲ+ 30m

(氷化したチムニーのトンネルを抜ける)

藤本リード
ベルグラな上、チムニーが狭くアックスを振り辛い
奥のクラックに カム#3.0 を決め
右のアックスはクラックにジャミング
左のアックスはベルグラにわずかにかけ、
足はスタンスの悪い状態でチムニーの抜け口へと進む
いつ落ちてもおかしくない

チムニーを抜けると左側が切り立ったとこに出た。
怖い


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CASD4270
























5P Ⅳ A0 30m
(ルンゼ右壁から左か中央の壁を登る)

吉澤リード
アブミをかけチョックストーンを越えようとするが抜け口が悪そう

フォローでギアを回収するのも一苦労
一瞬口にくわえたカラビナが唇に張りつき直ぐに剥がすと
口の中に血の味が広がった


BZXF8648
























BGRV6072














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6P Ⅳ A0 30m
(チョックストーンのあるチムニーの左壁を人工で越える)

藤本リード
左壁の変形したリングボルトにかけられた切れかけのスリングにアブミをかけ身体を上げる
更に2本目のアブミをかけて上がる
その先はチョックストーンの上にアックスを振り下ろすが効かない
ズボズボ雪
痺れながらクラックの氷を叩き割りカム#3.0を決めるが信頼できない
しかし上がるしかない
左足で側壁を蹴り這う様にして乗っ越す
その時、上からは猛烈な風が吹きつけ目を開けていられなかった

今回の為に自作したアブミ
少し改良が必要だな


IMG_3041














7P Ⅱ 50m
(雪壁化したガレ場と草付 ブッシュを使ってビレイ)

藤本リード
6Pと継続
雪原を詰める
立木でビレイ


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3ルンゼのコル 到着
やったぜ!
ハイタッチ

コルの向こう側、間近にグラスホッパーが見えているが氷が繫がってない
偵察をするにも完全に時間がおしていたので写真を撮るのみ
いつかは北東壁を回り込みチャレンジしたい

急いで下降の準備に入る

安全をみて4ピッチで取付まで懸垂下降
支点はまずまず信頼できる

16:00 取付

岩舎にデポした荷物を回収した時点で日没
辺りは風雪が強くなってきた
後はGPSのログを頼りに安定のヘッデン下山


IMG_3036














19:00 槍見温泉 駐車地 到着

16時間行動

今回の山行で特に感じた事は、本や記録は参考程度にするべき
事前にどこまで現場の状況を想像してあらゆる準備ができるか
まだまだ修行が必要

またまた記憶に残る最高の1本になりました
ヨッシーありがとう


※ 注意

本文は記憶が曖昧な為、ご注意ください


以上









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