2022年04月

2022.4.23-24【白馬主稜】



こんにちは。野間です。
OKDさん、岩瀬た さんと白馬主稜に行ってきました。私は雪のバリエーションルートデビューです。

◎1日目
4:00 二股ゲート
6:00 猿倉 
7:00 白馬尻
9:00 降雨予報のため半雪洞作成(1800m)→寒すぎてテントに変更
14:30再出発
15:30 8峰
17:30 6峰
18:00 幕営地(2350m付近 56のコル?)

◎2日目
3:30 起床
5:00撤収出発
7:20 山頂直下
7:50 白馬岳山頂 8:15
10:20 白馬尻
11:30 猿倉 12:10
13:40 二股ゲート

2:30に二股ゲートに到着し、1時間仮眠を取って出発。
猿倉までの林道に雪は無く、登山口から付いていた。ただしワカンがいるような感じでは無かったので木の枝にデポ。

白馬尻に着くと先行パーティが見えた。また山頂付近にはガスが出始め、10:00ごろから雨が降り出す予報だったので、それまでに停滞しようと決めて尾根に取り付く。太陽がジリジリ暑く、斜度も急なところが続いたので結構キツかった。
また、途中いくつもシュルンドがあり、どうか崩れませんようにと願って登った。
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9:00ごろ、標高1800mを越えたところの斜面で停滞用の半雪洞を作ることにしたのだが、作ってみると3人には狭く、かつ隙間から風が入って寒かったのでやっぱりテントを立てた。
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この時、テントの素晴らしさを再発見。暖かいし広いし、全てが囲まれて安心感があるし。とにかく最高だった。停滞中雨はあまり降らなかったようだが、少し眠れて回復した。

再出発する頃にはスカッとした快晴が広がっていた。稜線に上がると、日も翳り始めて行動しやすく、気持ちのいい稜線歩きを楽しんだ。
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基本的に怖いところは無かったが、6峰は雪が緩く、ロープを出して登った。スノーバー、デッドマンで支点を作る場面を見れて勉強になった。
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6峰が終わった時点でお腹も空いてきたので、少し進んだところの適地にテントを張った。

夜ご飯はOKDさんのカレー鍋と追いチーズリゾット。ペミカンのようにバターで炒めた肉、キャベツやキノコ、他にも沢山の具と、鍋キューブとカレールーを入れたもので、すごく美味しかった。その後のチーズリゾットも最高だった。私はいつも鍋をするときは生野菜を持ってきて、火を入れるのに時間がかかっていたので、今度から参考にさせてもらおうと思う。

2日目の朝は5:00出発で、丁度日の出とモルゲンロートの絶景を見ることができた。
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出発後は美しい稜線歩きが続く。
風も無く、雪も締まっており絶好のコンディションだったので、快適に通過できた。
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最後の雪壁は斜度60度ということだったが、いつもクライミングしているような壁くらいの緊張感があった。表面の雪はシャリシャリだったが、下の層にはあまり刺さらず、前爪で登っていったので、ふくらはぎがつりそうになり、精神的な弱さも相まって、ひたすら自分を上にあげることに精一杯だった。

そしてやっとのことで登り終わるとそこは頂上で、見たことのある石標識と、立山の山並みが広がっていて嬉しくなった。
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少し休憩してから、下りは大雪渓の単調な斜面をひたすら降り続けた。岩瀬さんはシリセードを上手く使ってすごい速さで降りて行った。
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11:30ごろ猿倉に下りるが、デポしたはずのワカンが見つからず捜索。いくら探しても見つかることはなかった。。
ショックを受けながらゲートまでの林道を下っていると路肩に蕗のとうを発見。一気にテンションが上がり元気になった。
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また、岩瀬さんが猿倉から裸足で歩き始めるという実験をされていて、おすすめされたので、途中少しだけやってみたがすぐにリタイア。私は小石が食い込んで耐えられなかったが、岩瀬さん曰く、それは暫くすると慣れるし、なにより無駄な力を靴に分散させることなく歩ける所が良いとのこと。
そんなこんなで、ゲートに着いて山行終了。
下山後は温泉入って、蕎麦を食べ、岡田さんおすすめのおやき屋さんでお土産を買い無事帰路についた。

今回は、はじめての経験ばかりだったが、特に印象的だったのは最後の雪壁だった。とにかく余裕が無くて、早く終わってくれ〜と思いつつ、OKDさん、岩瀬さん初め、これよりもっと厳しいところで登り続けるアルパインクライマー達は本当にすごい!と心から思った瞬間だった。
また、今回天候が不安定だったにもかかわらず、天気を上手く読んで行動したことで、安全にかつ快適に登れたことはすごく勉強になった。
そして何より、ばっちり頭の記憶に残る美しい稜線歩きができたことが嬉しかった。
OKDさん、岩瀬さん、ご一緒させていただきありがとうございました!

2022.04.19-21【黒部川源流域釣行BC】

以前、「黒部川上ノ廊下」を3日間で遡行した



黒部湖~下、上の黒ビンガ~奥ノ廊下~薬師沢小屋
~赤木沢~赤木岳~北ノ俣岳~太郎平小屋~折立

今までで一番、
体力的にそして精神的にきつい山行だった

その道中で見た黒部川源流域はまさに
「沢ヤの聖地」、リアル天国だった


今回、そこへ「幻の大イワナ」
狙いに行った!?



以下、山行記録です


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■ メンバー


藤本 (L)
寺岡 (会外)


■ 装備 (主な物)


山スキー  標準装備
フローティングロープ 25m (渡渉・雪庇突破用)
ポリ袋 0.05㎜ (渡渉用)
1晩目の宴会食 (鍋、食材 2㎏)

スキー板、ブーツ、ウエアを除いて
合計 17㎏


■ 行動詳細


1日目 

3:00
 駐車地 (岐阜県飛騨市神岡町和佐府)

1時間仮眠

去年のGWには北ノ俣岳登山口 (飛越トンネル) 手前
まで行けたが、今年は大量のデブリによりかなり
手前からのスタートを余儀なくされた

4:00 スタート


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1ッ目のデブリを越えれば雪は繫がっていたので
シール登行できた


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6:00 北ノ俣岳登山口 (飛越トンネル) 

ここからは少しショートカット


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寺地山

漸くここで立山連峰を一望できる

目指す北ノ俣岳は近い様で果てしなく遠い


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流石に睡眠1時間ほどでは眠い!
10分程で急速充電


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15:00 北ノ俣岳ピーク

赤木平に幕営する予定だったが風の心配がなかった
ので稜線にテントを張った

寄せ鍋 最高に美味い!!!
頑張って持ってきて良かった...


(議論)

当初の計画では
稜線を辿り薬師岳ピーク~中央カールを落とし
~薬師沢右俣~薬師沢三俣まで標高差900mを一気に
滑走する計画だったが、薬師岳ピークからドロップ
する時間帯の雪の緩み具合や登り返しの全体行程を
考えたら無理があると考え計画を変更


薬師沢左俣を滑走して黒部川源流域へ釣り山行


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ほぼ満月、月夜が明るい

19:00 就寝


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2日目 

4:30
 起床

リカバリー、不完全... 腰が痛い

でもやりますか!


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8:00 

雪が緩むのを待ち
北ノ俣岳ピークからドロップ

と言うほどスティープではないが (笑)


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「カリッ カリッ カリッ... 」


転倒すれば谷底まで滑落するのは間違いない

赤木平を目指す


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辺り一面、自分達だけ、貸し切り!

ノートラック


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空が青すぎる!

俺、イケてる (笑)


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薬師岳を見ながら左俣を落として行く!

ニヤニヤが止まらない


いつまでもこの時間を味わいたい



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本来、滑りたかった薬師岳右俣

いつかはリベンジ!



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ナチュラルパイプを標高差 600m 


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9:00 天国に到着 

薬師沢三俣
右俣、左俣、中俣の分岐

僅かにスノーブリッジで雪が繫がっており渡渉せず
に渡れた

渡渉するにしても水量が少ないので安全に渡れそう

右俣下部は雪が割れており尾根に乗りあげる必要が
ありそうだが、かなり下まで滑走は楽しめそう


良い情報収集ができた



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素晴らしい景色が連続する!


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深い釜が点在する

雰囲気はバツグン

間違いなく釣れそう


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アタリがない...

おかしい?



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待たれると釣りつらい (笑)

悔しいが 納竿... 


イワナくん、大きくなって待ってておくれ


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登返し 650m

地味に長くきつい

振り返ると薬師岳


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地獄の様に暑い雪原、

「まさに砂漠」

干からびる寸前だった

果てしなく遠くに見える稜線のテン場



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15:00 テントに帰還


(議論)

当初の計画では
3日目、黒部五郎岳ピーク~ウマ沢滑走~北ノ俣岳
~駐車地 の予定だったが予報が悪くなってきた為
早めの下山に決定



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イワナのムニエルを作る為に持ってきた
オリーブ油と調味料は、残り物の鶏肉に使う
はめになった

注意: テントの中で炒め物をすると油だらけに
なります(笑)



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3日目 

4:30
 起床

7:00 下山開始

ピークから滑走
上部は予断を許さないカリカリの急斜面
直ぐ太ももに乳酸が溜まるがこらえるしかない

寺地山手前のコルまで大斜面はつづく
デコボコのガチガチ斜面
拷問地獄

ヒャッホー!

その後は永遠にアップダウンの密林帯を攻める


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11:00 北ノ俣岳登山口 (飛越トンネル) 


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林道脇で気配が...

熊の親子がこっちを見てる!

やめてくれ...


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デブリを乗り越える


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するとこんな事に


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林道のアスファルト上の雪をギリギリまで
繋いで滑り


12:00 駐車地 (岐阜県飛騨市神岡町和佐府)


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来年こそは収集できた情報をもとに
薬師岳 か 黒部五郎岳ピーク から狙いたいな




以上、山行記録でした





2022.04.17 栂谷

2022418日 栂谷

 

こんにちは!初投稿です、矢野です。

OKDさん、SMBさん、岩瀬た さんと和歌山の栂谷へ行ってきました。

みなさんは今年の沢はじめ、私は初の沢登り。ついでにKACでの初山行でした。

 

以下、記録です。

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メンバー

SMB(L)

OKD

岩瀬た

矢野(記録)

 

行動概要

6:40   駐車場出発

6:50   入渓

7:40   ヤケベ嵓

11:00  三俣

13:00  烏帽子山山頂

14:20 俵石

15:00 駐車場

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前の晩に集合、SMBさんの運転で現地へ。

宿泊適地で朝を迎え、いざ入渓ポイントの栂の平橋へ。

入渓



 




遡行開始。
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4月の沢は寒いよー、とさんざん 言われていたので心配していたけど、水温はそれほど低くない。なーんだ、などと思っていたら1つ目のナメ滝でさっそく苔に足を取られ腰まで沢につかる。さ、さむ!

 

ナメでは足裏全体を使って歩くといいよー、などとアドバイスいただきながら進む。なるほど。

ゴーロ帯とナメ滝が交互に出てくる。
ダウンロード (1)







抜けていくと大釜が。
大釜











 

ながーいナメ滝がつづきます。約300メートルあるそう。これは足を滑らせたら下までウォータースライダーですね。もう少し暖かくなったら滑って泳いでしたら楽しそう。

 

最後は急登を詰め上がって稜線へ。登りきったら烏帽子岩という巨岩にたどり着く。岩には頼りないハシゴと鎖がかかっていて、上に登れる。
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那智の山々と熊野灘が一望できます。景色を見ながらしばしゆっくり。
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烏帽子岩から山頂までは5分ほど。関西百名山の一つだそうですが、烏帽子山山頂はほぼ眺望なし。景色は烏帽子岩で堪能するのがよさそうです。
ダウンロード











 

下山開始。フェルトの沢靴が滑る滑る。

次からはアプローチシューズを持参することを誓いました。

 

無事下山。お疲れさまでした。

帰りに奈良名物の柿の葉寿司屋さんに。人生初柿の葉寿司おいしかったです。

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私事ですが、これまでパーティ登山の経験がほぼなく、自分のペースで自分の登れる範囲の山に登る、というスタイルでした。今回経験豊富な皆さんに同行させていただいて、学ぶことばかり、とても楽しく充実した山行でした。本当にありがとうございました。

自分だけでは行けない場所に挑戦したり、他の人の活動から刺激を受けたり。会に所属することでしか得られないこと、経験できないことがたくさんあるかと思います。これからどうぞよろしくお願いします!


2022.04.09-10 鹿島槍ヶ岳北壁偵察


4/9-10に鹿島槍ヶ岳北壁の偵察に行ってきました.
本当はカクネ里のスキー滑降もしたかったのですが,シートラーゲンで天狗尾根を登るのが辛すぎて,泣く泣く1600m地点にデポ.
その後の天狗尾根上や北壁主稜までのトラバースも,終始気温が高く陽光からも逃げられなく,雪がグサグサで厳しい山行でした.
以下に報告の詳細を示します.
なお,主目的はアプローチの偵察であるため,ルート上の注意点等も可能な限り示そうと思います.

4/9
10:30 大谷原(1070m) 入山
12:00 アラ沢出合(1143m)
14:00 スキーデポ(1600m)
15:30 第一クーロワール取付き(2120m)
16:30 第二クーロワール取付き(2270m)
17:30 天狗の鼻(2326m)

4/10
05:15 起床
06:00 出発
09:00 蝶型ルンゼ手前 引き返し開始
10:00 天狗鼻 到着
11:30 下山開始
15:30 アラ沢出合
17:15 大谷原駐車場 下山

4/9 無風快晴
入山は7:30の予定であったが,色々あって3時間も遅れてしまった.
具体的には間違って大冷沢を,西俣出合まで行ってしまって引き返した.
初っ端から盛大にミスってしまった.
言い訳をすると,正規と思われる登山道の入り口が土砂崩れで道とは思えない状態になっていた(にしても方角で気付け…).
駐車場まで戻ると,丁度天狗尾根から下山したと言う男女2人に出会った.
雪の状態が悪く,第一クーロワールで引き返してきたとのこと.それでも2パーティとすれ違ったらしい.
時間的にも雪の状態的にも天狗鼻まで行けないかもしれないが,取りあえず入山した.
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アラ沢出合までは計3回の徒渉を要した.
どの徒渉も水かさは深くても脛の下部くらいで,足場を選べば踝くらい.
徒渉用の袋は持参しているが,スキーブーツであるのでそのまま徒渉した.
アラ沢出合手前の堰からは結構悪い巻き道となる.登山道ではあるが,雪があると沢に落ちる方向に傾斜が出てくる.シートラーゲンなのでバランスも悪く,灌木を掴みながら慎重に通過した.
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アラ沢はデブリだらけ,所々穴が開いており,冷たい水流が覗いていた.
尾根に取り付こうと言うところでスマホが無いことに気が付いた.結局アラ沢出合に落ちていたから良かったが,これによって更に1時間ほどロスしてしまう.

取付きからは急な登りが300mほど続く.ここで体力を大幅に削られた.スキーを担いでいたのはもちろんだが,割りと速いペースで登ってしまったため,枝尾根に合流した頃にはバテバテであった.
枝尾根からはスキーを履ける傾斜になったが,雪が腐ってきて斜登行をしていると表層ごと落ちそうになる.これは危険と判断して,シートラーゲンを継続することにした.
当然ペースは上がらない.これでは天狗鼻に行けないし,天狗鼻まで行けないならスキーがあっても滑るところがない.ということで1600m地点でデポすることにした.折角歩荷したのに…

そんなこんなでなんとか第一クーロワールに到着.
見た感じ意外と行けそう.
確かに雪壁の真ん中は割れていて2段になっているが,厚みはあるし地面とも接しているから落ちないだろう.ダガーポジション,ノーロープで登った.1ヶ所だけ立った雪壁がある.

第二クーロワールは200mほど.
上部に先行パーティを捉えた.
最初は第一クーロワール手前で敗退かもと思っていたが,ここまで来たら天狗鼻まで行ける.
ここも1ヶ所だけ灌木を掴んで登る悪い箇所があるのみで,ノーロープで登った.

計画の1時間遅れほどで天狗鼻に着いた.丁度日の入りくらい.山ではこの薄明の中に居るのが最も感動的な時間だと思う.
浸りたいが,疲労であまりそれどころでなかった.先行者にトレースの礼を言い,ツェルトを張って腰を下ろす.アラ沢出合からのハイペースな登りが効いてる.天狗鼻までは長いので,ゆっくり行って体力を温存した方が良いな.
疲労で胃が食糧を受け付けなかったが,山では食事も仕事の一つと自分に言い聞かせ,無理矢理捩じ込んだ.
天狗鼻には北壁に行くパーティと,北俣本谷を滑るパーティがいた.ここまでスキーを担いできたパーティがいるとは驚きであった.見たところ,自分のスキーの半分くらいの重さだし...と心の中で思いつつも,若干悔しい.
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4/10 無風快晴
目が覚めると丁度日の出であった.昨日と同様雪がグサグサだったら偵察も諦めて引き返そうと思っていたが,少し締まっている.これならいける.手早く準備を済ませて出発した.北壁のパーティは起床時にはもういなかった.

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主稜へのアプローチは2つある.1つは天狗鼻からトラバースで行くルート,もう1つはくの字雪渓からカクネ里に降りて,登り返すルート.今回は最短距離に思える前者で行くことにした.
トラバース開始点はトレースがあったが,すぐ消えた.永遠と雪壁に蹴りと正拳突きを繰り返す.

トラバースを開始すると,カクネ里に北壁のパーティが見えた.一旦降りるルートを選んだようだ.
結論としては,一旦降りる方が良いと思う.トラバースは時間も短縮できないし,精神的にも疲れるし,ルートファインディングも求められる.これは行く前から判明していたことだが,実際にやってみると結構しんどく,降りた方がよかったな...という気分になる.

北壁と言いつつ実際は北東に向いているので,朝から日が直撃する.アプローチは日の出前からした方が良い.
トラバース中から,谷に雪崩の音が何度も鳴り響いて,その度に進退を悩まされた.
雪が次第に緩んできて緊張感も増してくる.ステップは崩れないか?アックスは効いているか?落ちたらどうなるか?雪崩はないか?一歩ずつ自問自答しながら進んだ.
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2時間ほどトラバースすると,蝶型ルンゼ手前で一段と急な雪壁が出てきた.雪も腐ってきているので,ロープを出して通過した.ゲレンデ以外でのロープソロは初めてであったので緊張したが,まあまあ上手くできたと思う.しかし,終了点で9時とタイムアップ.引き返すこととした.
氷のリボンも,岩に隠れて見ることはできなかった.

天狗鼻まで,カクネ里に降りることも考えたが,くの字雪渓の登りがしんどいし,雪崩が怖いのでトラバースを引き返すことにした.
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トレースはしっかりあるがアイゼンに雪が団子になって来るので気は抜けなかった.
天狗鼻に着いてから,幕営装備の撤収と朝飯を摂った.北壁のパーティのコールが聞こえる.どうやら上手いこと登っているようだ.
パートナーがいても取り付くのを躊躇う条件だが,それでも登っている人がいると悔しくなってくる.
来シーズンこそは…!!

下山開始.
雪がグサグサで,尾根も細いので不安定な歩きとなる.ストックは必携だと思った.
ダガーポジションも必要な箇所があるので,ストックとアックスを持ち替えながら下る.ウィペットがあれば楽だと思う.
下山中も谷には雪崩の音が鳴り続け,足元も崩しながらの歩行となり気が抜けなかった.
第二クーロワールはクライムダウンで,第一クーロワールは一回の懸垂下降,アラ沢出合手前で三回の懸垂下降を要した.アラ沢出合に降りる斜面は,スキーを背負っていたこともあるが,単純に非常に滑りやすい状態であった.
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以上です.
ミスが多く,偵察も満足にできず,端から見れば情けない山行だと思うので,正直記録を書くのが恥ずかしいです.
しかし,慣れないソロで鹿島槍でもが気苦しんだことで気付かされる点も多く,個人的には非常に実りの多い山行でした.
1人だとなんか,複数人の時とはリズムが違う感じがしますね.普段しないミスをしたり,どんどんペースが上がってしまいます.

大山北壁弥山尾根東稜 残雪期アルパインクライミング、行者谷 山スキー

2022年4月2日
大山北壁弥山尾根東稜 残雪期アルパインクライミング、行者谷 山スキー
メンバー L藤本、三浦

大山 (伯耆大山) は鳥取県の1729mの山で中国地方の最高峰である。西側は富士山のような優美な円錐形の山容を持ち、伯耆富士とも呼ばれる。一方で大山北壁は荒々しい岩稜と岩壁をまとい、北アルプスのような峻厳な姿を見せる。深田久弥は著書の「日本百名山」の中で北壁を、剃刀の刃のように鋭い頂稜からなだれ落ちている、と表現している。そのような大山北壁には多くのクライミングルートと山スキールートが引かれており、西日本を代表するクライミングと山スキーのエリアの一つになっている。

LINE_ALBUM_大山_220409_34大山北壁 4月の弥山尾根は雪がほとんどなかった。


弥山尾根は元谷から弥山の三角点に向けて北壁をダイレクトに突き上げる尾根である。東稜と西稜がありどちらも代表的な冬季入門のバリエーションルートである。

今回は大山北壁弥山尾根東稜を登攀し、行者谷をスキー滑降した。

3月に天狗沢を登った藤本さんから声をかけていただき計画が始まった。ロープを使って登攀しスキー滑降したいという互いの趣向が一致し、大山弥山尾根を登攀し、状況次第で弥山沢か別山沢をスキー滑降する計画とした。とはいえ、私はクライミングに数年のブランクがあったので、まずは藤本さんや会員の方々に付き合っていただき、岩場やクライミングジムで練習して山行に備えた。

大山寺橋駐車場に深夜到着後、仮眠してから朝5時行動開始。まずは大神山神社まで雪のない参道をスキーブーツで歩く。大神山神社の登山口からは雪があったのでシールで登行したが、木道や階段があったり雪が切れていたりして、結局元谷までほとんど板を担いで歩いた。

堰堤を越えて元谷に出ると、大山北壁が見えた。雪はかなり減っていて雪稜を想像していた弥山尾根にも雪はほとんど付いていなかった。弥山沢も落石に覆われていて滑降不可。他は先行に1パーティのみ、4月の大山北壁は賞味期限切れか。

元谷上部まで登って登攀準備をしていると、県警ヘリを含む2〜3機のヘリが大山北側を旋回し始めた。そのうちの1機が近づいてきて、乗員2名がこちらに向けて腕でバツ印をして別山沢方面を指差している。別山沢が見える尾根に登ってみると、ホイストを出して収容しているようだ。後で知ったが2名が滑落事故で亡くなったそうだ。ご冥福をお祈りします。

尾根から別山沢をみると雪が割れており、滑降できそうもない。さっきのバツ印は別山沢が滑降できないという意味か。ということで、滑降目標は行者谷とした。

気を取り直して弥山尾根取り付きに近づいて行くと、落石が次々と飛んできた。雪のクラックに隠れて落石をやり過ごし、スキをみて急いで取り付きの雪壁を登った。

1P 藤本

ロープを出して灌木で支点をとって登攀開始。ロープがいっぱい伸びたところでビレイ解除の声。雪の切れ目のキワを登っていった。


LINE_ALBUM_大山_220409_5大山北壁弥山尾根東稜 1P終了点


2P 三浦

そのままリード。雪の上端まで登ると2〜3mの崖が出現した。右岸の傾斜は緩いが、藪地獄。崖か藪か迷ったが、藤本さんのオススメに従いなんとか藪を抜けた。

LINE_ALBUM_大山_220409_6大山北壁弥山尾根東稜 2P開始点

3P 藤本、4P 三浦

雪のついた小さい沢状の地形。灌木で支点を取りつつ進む。喉が渇いたので雪を食べてやり過ごす。

5P 藤本

浮石で覆われた雪のない尾根まで。

6P 藤本

尾根を乗っこして左側の雪のある沢へ。支点が無さそうということでリードを代わってもらう。グサグサの雪で登りにくい。

7P 三浦から藤本

そのまま沢を登るトレースがうっすらある。しかし沢の左岸の尾根に乗り上げた方がその後の傾斜はゆるいようだ。とはいえ乗り上げるまでの傾斜はキツく酷い藪なので、短いピッチをきってリード交代。フォローで登るが藪地獄で傾斜も立っていた。枝を掴みながらなんとか身体を持ち上げて進む。ここが一番きつかった。

LINE_ALBUM_大山_220409_24大山北壁弥山尾根東稜 7P 右側の尾根の乗り上げの藪が核心。

8P 三浦

2〜3mで藪を抜けたと思ったら甘かった。急登と藪は続く。ロープ残り10mまで藪が続いた後、やっと藪を抜けて開けた尾根に出た。稜線も近くに見える。ピナクルで支点を取る。





LINE_ALBUM_大山_220409_18大山北壁弥山尾根東稜 8P終了点。やっと藪を抜けた。

9P 藤本

浮石と藪のやせ尾根を抜けて、小さい雪のコルまで。やっとゴールが見えてきた。

10P 三浦、11P 藤本

フリーでも行ける雪の斜面だが一応スタカットで。ロープいっぱい伸ばしてついに夏道に出た。グータッチして互いの健闘を讃え、ロープを解除した。

夏道を歩いて、弥山山頂避難小屋で喉の渇きと空腹を癒しつつ滑走準備をした。雪が切れているので木道を七合目あたりまで歩いて下ってから板を装着した。

LINE_ALBUM_大山_220409_41稜線に出て夏道を弥山山頂避難小屋まで歩く。

行者谷はカリカリ。横滑りと斜滑降でなんとか高度を落としていく。元谷まで降りると雪は緩んでいた。ギリギリ日没前に堰堤まで降りることができた。

堰堤からザックに板を固定してヘッデンつけて、歩いて19時駐車場着に下山。

所感

ロープを使って登攀する山スキーは以前からやりたいと思っていたが、機会に恵まれずできずにいた。今回は強力なリーダーに恵まれ実現できた。山岳会ならではの山行だと思う。

4月の大山北壁は賞味期限切れのようだ。

カメラを忘れてしまったため写真がほとんど撮れなかった。

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