2022年05月

2022.5.7-8 杓子岳杓子尾根~白馬岳

日程:5/7~8
メンバー:谷川、長野
行程: 5/7 猿倉荘(1230m)9:15ー白馬尻(1560m)10:00ー杓子岳山頂(2812m)17:15ー幕営地(2620m)17:50
     5/8 起床4:50ー幕営地発(2620m)6:05ー白馬岳山頂(2932m)7:40ー大雪渓8:50ー白馬尻(1560m)10:10ー猿倉荘(1230m)12:00


一か月前の山行ですが記憶を頼りに書いています。



GWの時期に今シーズンの雪も最後だろうと、白馬方面へ谷川君と一泊二日の行程で行ってきました。
白馬岳主稜はGWやから人も多いはずと静かに登れそうな杓子岳の双子尾根か杓子尾根にしよっかと相談の結果、杓子尾根を登る事にしました。


計画時、もしかしたら雨降るかもというような予報もあったが、行動中は降らなさそうとの判断で決行。
5月6日、谷川君と合流後、高速道路を乗り継ぎ猿倉荘の駐車場で仮眠。





5月7日
AM9:15より入山開始して白馬尻へ向かう、この日は山スキーのパーティーが多い様子。
白馬尻で小休止の後、アイゼンを装着し杓子尾根へ取付く。下から見ても結構藪が出ていそう。最初のほうははっきりしない尾根というか尾根中間部まで結構適当に斜面を登る。


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杓子尾根取付き

ルートは貸し切り、右手に見える白馬岳主稜もこの日は誰もいないように見えた。
「誰もいないんやったら主稜でもよかったかもね。」と話しつつも、ギザギザの白馬岳主稜線を見ながらの尾根歩きも爽快なものである。白馬岳主稜も来年あたり登ってみたい。

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杓子尾根斜面の様子

今年の冬シーズンは積雪は結構あったように思うが、春の気温の上がり方が大きく、尾根上に雪が載っていなかったり、藪が出ているところが多々あった。ところどころ藪を巻いてトラバースしたり、掻き分けたりと快適に登れないところもあったので、個人的には4月に登ったほうがよさそうとの感想。


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稜線は雪が少ない!!


途中眼下左手に見える双子尾根にポツンと樺の木が一本立っている樺平がいい感じだ、双子尾根を登るに絶好のテントサイトらしい。


2550メートルで双子尾根とのジャンクションピークに到達、双子尾根方面よりここから先はうっすらと踏み後もあるが、途中尾根上は融雪で藪漕ぎになるので右手の斜面、雪壁状をトラバースしたりする。
雪が腐り気味のところがあったりと慎重に足を進めつつ通過。
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斜面をトラバースしたり、杓子岳山頂直下の岩場




今回、稜線上もロープを出すようなところはなかったが、もっと雪が多ければロープを出したりしたかもしれないし、雪稜で確保点が思うように取れなかったりもすると思うので、ほんと条件次第なのだろう。


杓子岳山頂直下で尾根上の岩場を行くか、左手斜面をトラバース気味に行くか斜面の雪は腐り気味だしまあまあ斜度もあるので岩場を登ってPM17:15杓子岳山頂到着。




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杓子岳山頂



山頂から白馬岳までの稜線は夏道が繋がっているようなのでアイゼンを外して白馬岳頂上宿舎へ向けて歩く。日没時間も迫ってきていたので途中にあった雪原にて幕営。テントを立て終えた頃に丁度雨が降ってきてテントに潜り込む。ギリギリセーフ!!


夕飯の鍋を食べたり、雪でかき氷作って食べたりして就寝。



 
5月8日
AM4:50起床、朝食の豚汁うどん(切り干し大根や高野豆腐がいいアクセントでした!)を食べて出発。とりあえず白馬岳頂上へ向かうが、やはり稜線上は風がきつく寒い。白馬岳山頂からは主稜の雪稜と最後の雪壁の乗越を確認。こっちも登ってみたいなあ。
 
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白馬岳山頂
       白馬岳主稜を見下ろす



本当はそこから白馬鑓ヶ岳へ向かい鑓温泉に入浴してから下山の予定であったが昨日、今日と満足したのでこのまま大雪渓から下山することにして下る。この日もたくさんの山スキーヤー達が大雪渓を登っていました。僕は経験がないけど山スキーも楽しそう。それこそ白馬鑓温泉で山スキーとか。


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大雪渓方面へ下る



PM12:00猿倉荘駐車場に下山
温泉に入って、白馬村のグリンデルでご飯を食べた後、安全運転で帰ってきました。


反省点:今回50リットルザックで行動したが、テント撤収時のパッキングに手間取った。行けないこともないがもうちょっと大きいサイズのザックのほうがサクサクパッキング出来たなあと思う(気づいてはいたが雪山テン泊では少々厳しい。。。。)。








2022/05/23 櫛田川水系 蓮川 野江股谷

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 こんにちは!!

 先日、沢の下降で膝を故障し、絶賛リハビリ中のSMBです!!

 

 今回は三重県松坂市飯高町蓮の『野江股谷』で沢登りをしてきました。

 野江股谷は、数年前の大きな崩落で、途中のゴルジュが崩壊し、最新版『関西発沢登りルート100』のガイド本では除外された沢とのこと。

 グレードは中上級、メンバーは谷口さんと私の二人。

 私自身初めて経験する高グレード且つ大崩落した未知の沢ということで、期待と不安に震えながら当日を迎えました。



 以下、遡行記録です。



〜概要〜

 山 行 日 2022年5月23日(月) 晴れ

 遡行対象 櫛田川水系 蓮川 野江股谷

 活動内容 沢登り

 メンバー 谷口(L),SMB(記録)

 行  程  6:00 駐車地

       6:30 入渓

       8:00 鶴小屋滝

      10:40 二俣

      12:45 脱渓

      14:20 駐車地

 装  備 登攀具一式

      ロープ30m
      


〜前夜〜

 谷口さんをピックアップし、私の運転で前泊地へ。

 二度目の利用の為、勝手知ったる我が家の様に快適に過ごさせてもらい、軽く飲んで寝床に就く。

 夜中にゲリラ雷雨があり、目が覚めたものの、短時間であった為翌日の遡行に影響はないだろうと、再び目を閉じる。



〜入渓〜

 前日に入手した特大おはぎ2個で腹ごしらえをし、午前5時半に泊地を出発。

 蓮ダム沿いの道を西へ進み、その先の林道終点に絵馬小屋登山口がありそこに駐車。

 駐車地までのちょっとした悪路に、助手席の谷口さんがとても興奮していたので、ここぞとばかりに私のダート走行テクニックを披露して喜んでもらいました。

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 午前6時30分、準備を整え、いざ入渓。


〜第一ゴルジュ〜

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 いきなりのゴルジュ、そして泳ぎ


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 自然が作り出した造形美の薄暗い廊下を歩く

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 廊下の先には豪壮な岸壁に囲まれた不動滝と墨汁の様な水をたたえた釜

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 左手の壁を登ろうとトライするもヌメヌメで悪かった為、断念

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 苔々した素敵なゴルジュを高巻く

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 イガミ滝

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 イガミ滝は高巻き
 ロープを出して安全に


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 よく晴れて新緑と苔が映えて目に優しい


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 大量のオタマジャクシ


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フリーで快適に登れる小滝がいくつもあり楽しい


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 落ち口が風呂釜になっていたので入浴


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 ウォータースライダーをよじ登る
 プールでやるのはマナー違反


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 岩と岩の間に体を割り込ませワイドクラックっぽく登ってみる(やった事ないけど)


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 ここは木と岩の間に手と足でジャミングをキメ、クラックっぽく登ってみる(やった事ないけど)


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 午前9時30分、第三ゴルジュの入り口の綺麗な8m滝、ここで小休止

 谷口さんはいつもの竹輪、私はカステラと冷えた牛乳(至高)で腹ごしらえ

 牛乳が腐らず冷えたまま飲める沢が好きです。



〜大崩落ポイント〜

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 8m滝を超えた先は、噂の大崩落ポイント

 第三ゴルジュ
 
 地すべりがあったのか

 遠く山の一部が欠け、土石流が全てを押し流し、荒涼とした景色が広がる

 圧倒的な自然の力に驚かされた

 そこに一匹のニホンカモシカが佇んでいた。

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 厳しい環境に身を置く生物の逞しい姿を見て

 生き様の違いをまざまざと見せつけられたようで胸が熱くなる

 カモシカは我々を気が済むまで眺めた後、何事も無かったかの様にその場を立ち去った

 私がカモシカとの邂逅の余韻に浸っていると谷口さんが





 『悟空とベジータが戦ったあとみたいやなー!』






 そうですね。







〜脱渓〜

 その後も遡行を続け、午前10時20分二俣に到着。

 左俣を選択し少し進むと、苔むした岩壁、清涼な沢の流れに黄色く小さな花の群生が。

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 まるでラピュタの空中庭園のような世界観にテンションが上がり、私は小さなお花を愛でて、谷口さんはロボット兵になりきって楽しそうでした。


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 その後も小滝をいくつか越え、午後0時45分に脱渓、明るく爽快なナンノキ平に出る。

 この頃からアブに付き纏われて防虫ネットを持って来なかったことを後悔。

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 丈夫な杖を手に入れ下山開始。

 午後2時20分駐車地に到着。



〜まとめ〜

 自然の造形美に心を打たれ、滝の登攀に心を躍らせ、大崩落を見てこの世の無常を感じ、とにかく最高に楽しい沢登りになりました!

 この沢をチョイスしてくれた谷口さんに感謝です。

 それと、全てリードさせていただきましたが、フリーの練習の成果かとても快適に登攀する事が出来ました。

 ただ、ちょっとでしゃばり過ぎたかなと反省しているので、次回はよろしくお願いします!

 台高最高!!
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2022.5.22 大峰 地獄谷

2022.5.22 大峰山脈 大普賢岳 地獄谷 の記録

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こんにちは、岩瀬た、です。

今年の2月にグランドイリュージョンにトライした時に落としてしまったアイススクリューを回収すべく、地獄谷(というかグランドイリュージョンの取付)に行ってきました。

いかなる理由があろうとも山に残置してしまった物を回収する責任は当然全ての登山者にあるし、あの山行のリーダーは僕だったので、なおさら責任を全うしなくてはならぬ。

ということを建前に、本当のところは遊んでくれる相手がおらず暇だったので、和佐又から地獄谷上部の滝へのアプローチ偵察するついでに見つかったらラッキーぐらいの気持ちでスクリュー回収に行ってきました。
雪に埋もれ雨に流されたスクリューがまさか見つかるとも思えないし。

以下、山行記録です。
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◎メンバー
岩瀬た


◎行程概要
6:30 和佐又駐車場 出発
7:10 日本岳のコル 下降開始
8:50 グランドイリュージョン最終ピッチの横(ルートミス)
9:30 グランドイリュージョン取付 回収作業
11:00 引き返し
13:00 和佐又駐車場


◎行程詳細
4:00にレンタカーを発車させ一路奈良へ。
先週は169号線が大迫ダムの辺りで通行止めになっていたのだけれど今週のうちに解除された。ありがたい。

6:30、駐車場に到着してすぐ出発。
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(笙ノ窟)

7:10、思ってた半分くらいの時間で日本岳のコルに出た。身支度して下降開始。
見た目の割に斜度があって、足元も崩れがちなので慎重に。
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今回は基本的には行きも帰りも同じ道を進むことにしていたので、登れないところは降りない。降りれないところは登らない。深入厳禁。を肝に銘じつつ歩みを進める。
グランドイリュージョンの取付の高度まで標高を下げて、トラバース開始。
当然だがグラと切れ落ちた谷がいくつも行手を阻むので、どうするのが1番良いかグラの規模やGPSを見たりして考えながら登ったり降りたりを繰り返す。
基本的にはGPSに加えてシカの踏み跡を頼りに進むけれど、結構悪いトラバースに入るたびに「これ戻れるかな、、、」と逡巡して、時には諦めて他の道を探したりしつつ少しずつ近づいていく。
気づけば思いのほか標高が上がっていて、どっかで降りていかないとなぁと思いながらもトラバースを続けしまい、もうこれ以上進めないとなったところでGPSを確認すると、グランドイリュージョンの真上だった。木々の間に見える70度くらいの滝はおそらく最終ピッチの滝だろう。そういえばOKDさんがピッチ切ったのって、そこに生えてる木じゃないか?
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来すぎちゃったなぁと来た道を少し戻り、降りてみるか迷いつつ通り過ぎたガレ沢まで戻って降る。
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ガレ沢はちょうど小普賢岳と大普賢岳のコルに繋がる沢で、計画している時は、この沢は大きなグラに挟まれているからきっと悪いだろうと思っていたけれど、稜線側を見るとなんかそのまま本当に稜線まで繋がっているように見えたので帰りはこの沢沿いに上がってみようとプラン変更。


ガレ沢を降りていくと、ちょっと向こうのほうに滝が見えた。
おや、あれはもしや前衛滝40mじゃないか?と思い、辺りを改めて観察すると、かつて岩沿いに巻き上がった場所だとわかってきて、その時のことを思い出してグルッと小尾根を回り込む。
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(木々の奥に40m滝)

そうするとグランドイリュージョンの取り付きに辿り着いた。

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凍っている姿はとてもカッコよかったけれど、凍っていなくても迫力満点だ!
荷物を置いて、早速滝の下まで行ってみる。
水量は少なく、水飛沫に打たれて気持ち良い。
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いやぁ来れた。良かった。と思い、スクリュー探し開始。
あぁここが最初のビレイ点だなぁ。めっちゃズボズボだったけどこうなってたんだなぁと思いつつ近づくと、なんとサビサビの21cmスクリューが1個落ちているではないか。
その近くには苔の生えた捨て縄付きのカラビナも落ちている。
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まさかの発見に、ちゃんと探せば案外見つかるかもしれないと思い、本腰を入れて探索開始。
気分はトレジャーハンターだ。
滝の落下地点付近から開始して、木の枝や石ころが溜まっているところをチェックしつつ降りていく。
そうすると、ちょっと降りたところにまた1つスクリューが転がっていた。この蛍光グリーンのテープはまごうことなきOKDさんのスクリュー!テープって意外と剥がれないもんなんだなぁ。良いテープ使ってるのかな?刃先は少し錆びてるけど、ほぼ綺麗な状態だ!研いだら使える!
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あともう1つあるはずなので、ゴールドラッシュの砂金採掘者のごとく水溜りをグジャグジャする。
すると、また見つけた!黒いスクリューや!
これは僕らが落としたものでは無いけど、とりあえず回収!ここに来る人そんなに多いわけでも無いだろうし、持ち主見つかったら良いな!
その後も執拗に水溜りをグシャグシャしたり岩の隙間を覗き込んだり、どこかにキラリと光るものは無いかと俯瞰したりしたけれど、結局この3本でゴールドラッシュは終わってしまった。
もっと下流にいけばゴールドラッシュの夢の続きが見れそうだったけれど、降りるには滝があってちょっと危ない。諦めよう。欲深すぎてはいけない。引き際が肝心だろう。

だが待てしかし。何事においても、"本当にヤルヤツ"はちょっとヒクぐらい貪欲だ。僕ももっと貪欲に取り組むべきなのかもしれない。
"求めよ さすれば与えられん"
と言うでは無いか。欲しがるやつだけが勝つ世の中だ。まだもう1つ自分たちのアイススクリューがどこかに落ちてるはずだ。ここで諦めたら"やり切ることができないヤワなヤツ"になってしまうんじゃないか?

と、考えていると、お腹が空いたきたので持ってきたおにぎりを食べる。美味しい。

滝から落ちる水飛沫に日の光が当たりキラキラしている。まるで黄金である。
僕には3本のスクリューと水飛沫の輝きで充分だと思い、撤収。
もう1本のスクリューはいつかの今度また探しに来るとするか。

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(回収品)

来た道を引き返し、プラン変更したコルに向けて登り返すと、ズバリ登山道まで苦もなく上がってこれた。
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なんだ、こっちが正解だったかー!この道なら冬も歩けそうだぞ!と嬉しい誤算を喜びながら登山道を歩いて駐車場まで。

下山完了。

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以上、山行記録でした。

拾ったものについて、もしこの記事を読んで心当たりある人がいましたら、コメントかなにかで連絡いただければと思います。

黒く塗ってあるスクリューについては、刃先を研げば使えそうなので、連絡あるまでは僕がありがたく使わせてもらおうと思います。
上面に特徴的な印があるので、それがどんな印かも添えて連絡ください。一応本人確認です。



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(今回の記録)






2022.05.17-18【剱岳山スキー】


今シーズン最後の山スキーに、

「剱岳 大脱走ルンゼ」を滑ってきた



この場所に行こうと誰が言い出したのか、
どうやら私みたい ...

「身のほど知らず」とは正に私の事

行くとなれば当然、色々と調べる
どうやら山スキーヤーにとっては一つの目標であり
チャレンジ精神を掻き立てられる
「憧れの崇高なルート」

「岩と雪の殿堂 剱岳」

北アルプスの盟峰 剱岳 (2,999m) の南面を山頂から
平蔵谷まで綺麗に貫く急峻なダイレクトルンゼ
斜度は平均45度、最大50度」と言われる
ミスの許されない クラシックライン
黒々と岩稜を露出した威風堂々とした山容は
威圧感が凄い



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想像するだけで心臓の鼓動が速くなる

いくら準備しても不安が拭えない


以下、山行記録です


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■ メンバー


藤本  (L)(記)          スキー
N      (会外友人) スキー
T       (会外友人) スノーボード     



■ 装備 (主な物)


山スキー  標準装備

登攀具
アックス × 1本
ウィペット × 1本
ポール × 1本
アイゼン 
ハーネス
PAS
スリング (400㎝、240㎝、120㎝) 
無線


■ 行動詳細


1日目  (5月17日) 

  7:00
 立山駅 
  8:30 室堂
11:00 剱御前小舎 (泊) (2,750m)


急ぐ理由はないが始発の
ケーブルカーに乗る
美女平からのバスに揺られながらいつかのワンデイ

「立山駅 ~ 雄山 山スキー 50㎞」を想出す

果てしなく遠かったな

室堂は予報通りの曇天
これまた急ぐ理由はないが剱御前小舎まで
競う様にハイスピードで上がる



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小屋に着き初めて稜線の反対側の剱岳を望めた
肉眼で見ても「大脱走ルンゼ」
ぶっ立ってる!

「ここまで来てしまった ... 」

更に望遠カメラでラインを念入りにチェック
核心部のノドに破断面があるが判断がつかない

気温はさほど低くはないが雪は硬め

「時間があれば別山北面の急斜面を滑るべき」

と某書籍に書かれている通り若者のT氏は滑りに
行き「おかわり」までしたとか

我々おじさん組は色んな理由をつけ意地でも外に
出て行かない (笑)
そして会議!




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「美しい ~」



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富山の水田に夕日が朱色に染まり綺麗


4月下旬から5月の中旬までしか見れないらしい

「砺波平野の散居村」

散居村とは家一軒一軒が広大な耕地を挟んで点在
している集落形態で、日本では他に十勝平野や
出雲平野などでも見る事ができるが、とりわけ
砺波平野の散居村は日本最大級の規模を誇る



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そんな絶景の撮影も若者にまかせる (笑)


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2日目  (5月18日) 

快晴


  3:00
 起床
  4:30 剱御前小舎 (2,750m)
  4:43 日の出
     剱沢 滑降
  5:30 平蔵谷出合 (2,100m)
     インデアンクーロワール
     源次郎尾根
  9:30 剱岳山頂 (2,999m)
10:30 滑降開始
11:30 平蔵谷出合 
(2,100m)
12:00 剱沢 登り返し
14:00 剱御前小舎 
(2,750m)
15:30 室堂 (2,430m)
16:30 最終バス
18:00 立山駅 (駐車地) 
  



眠さと緊張感が入り交じり皆、口数が少ない

薄暗い中、カチカチの剱沢を平蔵谷出合まで滑る
快適とはまず言えない雪
すぐさま太ももに乳酸が溜まりストップ



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「どんどん近づいてくる」

「圧倒されてきた ... 」




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立山の名ガイドとして活躍した「佐伯平蔵」

なかなかな風貌の男

「平蔵谷」の名を残している


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平蔵谷出合 到着


天気は申し分ないが、まだまだ雪は硬い
雪が緩まなければ流石に「大脱走ルンゼ」は
滑れない
帰りの最終バスの時間を意識しながらギリギリまで
雪が緩む時間をかせぎ山頂からのドロップ時間を
調整する
内心、コンディションが揃わない事を願ってる
自分がいた ...

右側の岩壁からの落石に注意しながら中央~
左寄りを登る

下部はデブリと落石が多い

前を行く3人パーティ
(全員、BCガイドでプライベート山行とか)
インデアンクーロワール出合近くまで進んでいる



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青と白のコントラストが眩しい




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山スキーヤーの2人が頼もしく見える

ビビってるのは私だけか?




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右手に見える天狗の鼻の様な顕著な岩峰を挟み

左が 「大脱走ルンゼ」、
右が 「インデアンクーロワール」

どちらからでも登れる

またそれ以外にも平蔵谷を詰めれば
「えびルンゼ」や 平蔵のコルから
「カニのタテバイ」もある

今回は「大脱走ルンゼ」の斜度をまじかに見て
滑降のイメージをしたいのと雪質のチェックが
したかったので「インデアンクーロワール」から
登る事とした



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「大脱走ルンゼ」直下の破断面
深さ3mほどはありそう
絶対落ちるのはNG



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「大脱走ルンゼ」の核心部のノド直下を偵察
壁の様にそそり立つ
雪は繫がっているのかは不明
クライムダウンするにしても滑走からアックスと
アイゼンにモードチェンジできる場所があるのか?

もし出来なければ詰んでしまう ...



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上を見上げればガイドの先行パーティ
かなり傾斜で苦労してそう

それにしても「ぶっ立ってる!」



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我々は「インデアンクーロワール」から

傾斜は「大脱走ルンゼ」よりも寝ており
取付から源次郎尾根の稜線が見えていた
ここからはアックスとウィペットで登攀

予想通り尾根までは楽に乗り上げた



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源次郎尾根の向こうにはドーン!

「八ッ峰」

手前の平坦な部分「熊の岩」(クライマーの適泊地)

「かっこういい!」

いずれ「八ッ峰 
登攀」~「長次郎谷 滑降」でも
やってみたい



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一服してるその細尾根の稜線は両側とも雪が
割れており気持ちが悪い

「長居は無用」



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ここからは「源次郎尾根」を登る
まず現れたのが岩稜の間を抜けるポイント
かなりの高度感の中、フリーで垂直の雪壁を登る
様に見えた
少し悪そうに見え躊躇したが弱点を突き突破
抜けた上部でスタンディングアックスビレイで
確保する



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難所を抜け、急峻な雪稜を登る
雪は予想通り硬すぎず、緩すぎない程度
踏抜きもなく上手くステップを作れる

Nパイセン、トレースありがとう



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頂上をロックオン!
この辺りが滑降ライン

「横から見ると45度は越えてる!」

超絶ビビってる私とは裏腹に若者のT氏は

「これくらい雪が緩めば楽勝~」と豪語

あとNパイセンもゴーサインを出せばもう
行くしかない事に ...



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サミット!

笑顔が引きつってる私

心臓が飛びだしそう ...



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しばし眼下の大展望を満喫して呼吸を整える

ピークで滑走モードに変え
1段下がったテラスに降りる

ここはリーダーの権限で順番を決める

1番 Nパイセン
2番 私
3番 Tパイセン

技量から見ても順当であるし何かあったら助けて
もらわないと

小さいノールを越え左にトラバースしてエントリー



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先行していたガイドパーティが最後の稜線まで
上がってきた

やはり「大脱走ルンゼ」の登りはかなりきつかった
のであろう
若しくは好きこのんで選んだのか?



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しばし躊躇する3人 ...



1番手のNパイセンがドロップ

すかさずジャンプターンを決める! こわ!

つづいて私

そんな決死のワンターンなど私にはでき様もなく
尾根に乗り上げるまでノーターン (笑)


やはり 平均斜度45度

最大50度 」は怖い




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尾根で深呼吸をして、意を決して最初のターン!

「うぉぉぉぉぉー!」

ミスは許されないから超絶に怖い

転んでも止まりそうなザラメに感じるが
信用はできない
また縦溝をドロドロと流れるスラフにも警戒が必要

何となく感覚が分かってきて少し余裕が出てきた

残すは核心部のノド

Nパイセンがスキーで突破
無線で的確な指示をもらう

スキーヤーズライト
→ レフト → ライト
とクレバスに落ちない様に通過

無事に「大脱走ルンゼ」を滑降!

一気に安堵感がこみ上げた


生きてる




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まだ予断を許さない

平蔵谷のデブリとクレバス、落石に注意しながら
出合を目指す

でも先程までと比べると明らかに気は緩んでいる

平蔵谷出合に到着

どんな形であれ安全に降りて来れれば良い

それが「山スキー」


「やったぞー」



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「達成感、はんぱない!」


剱御前小舎まで 650m アップ

2時間ほどの地味な登り返しも清々しい



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総距離 :  16.5㎞

獲得標高: 2,352m


今回のコンディションで行かなければ
絶対に行けない

でも行って本当に良かった

宿題にはならなかったし (笑)


パイセン方、本当にありがとう!










2022.05.02-05【穂高BC】

今年のGWは「穂高で山スキー」
満喫しようとかなり欲張った計画を立てた



それが直前4月下旬の大雨の影響により北アルプス、
上高地につながる県道が土砂崩壊により通行止めと
なった
直前の計画変更は時間的に準備が大変で、
この時点では考える気にはならなかった
「お願いします~」
だが懸命の復旧作業により4月29日には開通され
安堵した


山行の概要はこの様なもの

1日目 前穂高岳 (3,090m)
2日目 奥穂高岳 (3,190m) ロープ使用
3日目 涸沢槍  (3,103m)
4日目 北穂高岳 (3,106m) 
ロープ使用

4日間で「3,000m峰」を4回登頂して頂上から
滑降するという内心無謀とも思える計画

今回、同行して頂いた先輩は少し宇宙の方なので
「何でも大丈夫ですよ」と言う
嬉しく、また安心できる懐の深い方だけど ... (笑)

はたして体力的にもつのか?
1日や2日間ならハードな山行は可能だが、
3日目は全力でレストしたがる身体を鼓舞して
乗り切る
4日目は ...
とにかく気持ちを強く保つ事が一番重要
理由を探し諦めようとはしない
成し遂げる方法を冷静に模索して前進する

でも不安が拭えない


以下、山行記録です


———————————————————————


■ メンバー


藤本 (L)(記) (板 グレー、ブーツ 黄色)
三浦       (板 オレンジ、ブーツ オレンジ)

↑ ※ 判別方法


■ 装備 (主な物)


山スキー  標準装備
登攀具
ダブルアックス
アイゼン 
シングルロープ 8.5㎜ 50m
カム C4 #1.0#0.75#0.5#0.4#0.3
ナッツ 
スリング他
無線
総重量 22㎏ (藤本)


■ 行動詳細


1日目 

2:30
 あかんだな駐車場

深夜なのにGWなので次々と車がやってくる
必ず始発バスには乗りたいので何時から順番
待ちをすれば良いのか分からないがとりあえず
寝付けのビールを飲み1時間だけ仮眠
起床、まだ睡魔が ...
朝食のざる蕎麦をかきこむ

4:50 始発バス発 → 5:25 上高地着 (1,500m)

ガスが抜け穂高の稜線が見えて
テンションが上がってきた!

お約束の河童橋でパシャリ


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「例年より雪は少なそう」
遠望してまだこの時点では呑気な事を言ってる


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小一時間ほど夏道を登ってきたがまだ雪は
現れない
天然クーラーの風穴はいつ来ても気付かない
振り返れば霞沢岳、遠くには乗鞍岳が見える

「やっぱり上高地は最高!」

 まだまだ観光客気分


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2時間ほど登り漸く沢筋の雪が繫がってきたので
シールを張る
30分ほどで岳沢小屋がひょっこり現れた
嬉しい誤算
(2,170m)

※ 結局4日間でシールを使用したのはここだけ


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今夜のお宿の岳沢小屋に不要な荷物をデポして
奥明神沢を詰める
午後からは小雪と稜線の風は強めの予報
天気と競争しながら高度を上げて行く

 ↓  (写真)
  左:奥明神沢 右:明神岳に伸びる沢

前日の降雪により踝ほどのラッセル
表面がうっすらパックされていて登りづらいので
グレーに見える雪付きの少ない部分を進む
落石は少なく心配はない 


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かなりの斜度で直登はできない
ひたすらジグを切って上がる
固い雪面がありアイゼンの片側しか刺さらない
ダブルアックスで3点支持をしないと滑落しそう

「初級のアイスクライミングレベルみたい!」

ロッククライミングやアイスクライミングは
やっているので登攀は問題ないが
スキー滑走に難のある私はもうドキドキもの


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遥か上の稜線は風が強くなってきた
と思えば雪も
だが標高を上げて行く

計画では
奥明神沢 ~ ダイレクトルンゼ ~ 前穂高岳
前穂高沢 ~ 岳沢小屋

ダイレクトルンゼの二俣手前で視界が悪くなって
きて天候が好転する気配もなかったのでモード
チェンジして滑降する事に

この時、
「初日から敗退癖がつくのを懸念した」
 事を記憶している


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少し期待した雪はワンターンで悪いと気づく

重い!

スキー板の上にドッサリ雪がのって足かせの様
トップが雪に潜ってターンができない
太腿に乳酸が溜まる~
へっぽこスキーヤーの私には辛すぎる


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小屋に戻り仮眠しようとするが噂通り寒すぎる
夕食まで、持参したバーボン(500ml)を飲み明日
からの期待に胸を膨らませる

スキー集団の猛者、シーハイルの方々もおられ
色々なお話ができた
何か自分は場違いな様に思えた
また共通の友人だらけで世間の狭さを痛感した


2日目 

(訂正 2~3日目)

2:30 起床

4:30 岳沢小屋 (2,170m) 出発

計画では
奥穂高岳南稜 ~ トリコニー ~ 南稜ノ頭 ~
奥穂高岳 ~直登ルンゼ滑降 ~ 涸沢ヒュッテ

この「奥穂高岳南稜」はウェルター・ウェストン
と上條嘉門次が1912年に初登した超クラシック
ルートである

しっかりと堪能しよう

天気は晴れ、風は穏やかだが冷え込む予報

外にはテントが5張りほど
そのうちの若者6人パーティが先に出発した


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若者パーティは右往左往して取付を探している

我々は現場判断で取付こうと決めていた

選択肢は4ヵ所?

① 尾根左側を巻き上がり乗り上げる距離を
少なくする (遠目には弱点なのか判断がつかない)

② 尾根末端から乗り上げる
(簡単そうだが藪漕ぎが長そう)

③尾根右側を巻き上がり乗り上げる距離を
少なくする (遠目には弱点なのか判断がつかない)

④ ③の更に右側から?

結局、③を選択
クライミング要素があり、
藪漕ぎが少なそうだった為


 ↓ 写真 左上

南稜ルートの中間あたりにある「トリコニー」と
呼ばれる存在感のある3つの岩峰を抜けて行く


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雪稜を進める所まで詰めて行く
所々シュルンドが隠れており踏み抜きを警戒する


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1P 藤本リード


柱状節理の壁
無雪期なら高さがあるのだろうが最奥部の
棚を慎重に数段乗り上げ、核心部は高さ3mほど
だがここが悪かった ...
気休め程度の支点を4ヵ所きめ
(ピナクル、極小ナッツ、極小カム)
※ 結果2ヵ所は外れた
カチに左前爪を乗せ、右足はぶら
バランシーな状態で両腕を目いっぱい伸ばし
アックスを岩間の泥に僅かにかけ身体を持ち
上げた
その後は ↓ の様に不細工な馬乗り状態になり
一安心

「焦ったよ~」その①

50m いっぱいまでロープを伸ばし灌木で
ピッチをきった

セカンドビレーのロープに度々テンションが
かかる
フォローの三浦さん、苦労してそう

南稜ルートでロープを出す所が少ないと思って
いたので、朝一から時間をかけ過ぎてしまった

※ ナッツを残置 山を汚して申し訳ありません

※ 残置支点なし


2P 藤本リード


ハイマツを踏み越え雪稜にすぐ出た
ここはフリーで良かった


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「青 と 白」


対面のコブ尾根が美しい!


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しばし雪稜を詰めて行く
けっこう斜度があり数歩で息があがる
ロープ (約2.5㎏) 分の差は大きい
三浦さんに距離を開けられる

気付けば上高地はもう眼下に
霞沢岳と同じくらいの高さ


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隣の雪稜へトラバース
ここも地味に悪い
三浦さんは小気味良く先に抜けた
1,2ヵ所のスタンスとホールドが見つからないと
気持ち悪い
だが分かれば安心


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振り返れば奥明神沢

「スティーーープ」

昨日の雪質で良かった ...
「こんな所を滑れるか~!」


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吊尾根は近くで見ると分からない
やっぱり河童橋からだわ

絶景がつづく!
穂高に包まれてる~!
堪らん!



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明神岳も近くに
高度感が半端ない

だが「トリコニー」が見えてこない


UAZD0521


















微かに大雪庇の遥か上部に大岩峰が見えた
右も左も切れ落ちている
ルートはこの雪庇越えしかなさそう


3P 藤本リード


ハイマツでビレーしてもらい 0ピンをとる
その後はひたすらランナウト
壁は垂壁
先行パーティは雪が締まってる時に通過したのか
我々の時には昇温により雪はグサグサになって
いた
前爪を蹴り込んだステップも数回崩壊した
アックスも身体を持ち上げれるほど固くなく
ズズっとずれる
腕がパンプしてきて堪えきれず、気休めの
アックスにPASをかけレストする
落ちれば15mほど下の藪に突っ込み止まるで
あろうが怪我は免れない
時間はもうこれ以上かけてはいられない
アックスで僅かに雪質の固く感じるポイントを
探し両手両足に負荷を分散させ渾身の力で這い
上がった

「焦ったよ~」その②


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雪庇の上を詰め「トリコニーⅠ峰」取付の
ハイマツでビレー


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4P 三浦リード

出だししか見えなかったが「やりますか?」と
聞くと「やりましょう!」と即答
さすが宇宙の方
スルスルとロープが伸びて行く
快調な感じ

フォローで登ったが
「いや~そんなに優しくはない」
きっと痺れたはず
ビレー地点に着くと良い顔をしてた

※ 残置支点なし


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5P 藤本リード

初めは優しい階段状
中間部に凹角のスラブ 
凹角のリスの泥をアックスで掻き出し極小ナッツ
とカム#0.3をきめ右前爪をカチに乗せ
アックスでじわっと身体を上げた

※ 残置支点なし


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6P 三浦リード

顕著な「トリコニーⅠ峰」の雄姿

チムニー手前でピッチをきる

※ 残置支点なし


EVNV7918


















※ 積雪期の南稜ルート上ではここが一番良い
  適泊地になりそう

綺麗なスラブが敷き詰められた感じ


XFCR1842
























7P 藤本リード


チムニーに突入
板を歩荷して突破できなければ荷揚げが必要


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ズリズリガリガリしながら奥へと入って行けた
数メートル進むと回廊は右へと直角に曲がる
「抜けた」と思ったがその先は切り立った崖
トレースもないし違う
廊下は全て垂壁の壁がそそり立っている
弱点など何もない ...

「灯台下暗し!」

コーナーの岩棚を数メートル登り反対側の岩に
乗り移ると言う事か!
繫がった岩を登る事しか考えてなかった
記録に書いてた「螺旋階段」とはこの事か
納得して笑えた
右足を飛ばしバランスをとりながら対面の岩に
カム#1.0をきめアックスの先を岩に引掛け
勇気を出して身体を引っ張って乗り移った
その後も廊下が続いた
ルーファイミスをして
ロープが屈曲して流れなくなってきたので
ピッチをきった

※ 残置支点なし


AKPY3230
























EQGN7053
























8P 藤本リード

雪付きが薄くトレースがない
ルートが分かりづらい
塔状の巨大ピナクルの脇の凹角に残置スリングが
あったが悪そうだったので左側に回り込んだ
するとそこからⅠ峰の頂上へ上がれるこましな
弱点があり這い上がった
そこからはリッジ上を抜けⅡ峰との間のコルに
出てハイマツの根でピッチをきった


DPVP5265
























9P 三浦リード


コルの雪は少なく歩けるほど
記録によると雪が多ければロープを出して
トラバースするほどの難所

 ↓ 「トリコニーⅡ峰」

雪稜を登り右側からⅡ峰の上に乗り上げた
錆びた残置ハーケンでビレー

この時すでに時間は日没寸前の 18:30頃

ロープを畳み
夜に備え地獄装備を

後は雪稜を標高400mアップ程度と気軽に
考えていた

「ここまでも長かったけど、

 ここからが一番長かった ...」



NVGR0029


















「日の出前」から「日の入」
そして夜に突入

夕焼けが綺麗


WVXM3377














そして星空も綺麗

疲労困憊で思う様に標高をかせげない

雪稜はかなりの傾斜があり4足歩行
しかも雪稜だけではなかった
ワンミスで滑落するミックスの岩稜帯も続く
カムでセルフをとりながら通過して回収する
ロープを持ってもらってる先輩には時に
お助け紐を目いっぱい繋いで垂らす
暗くてルートファインディングも難しい

スキーブーツは重たく前傾角度の制限が少なく
登りづらい
雪稜では直登が難しくジグを切って登る為、
トレースを使えない所もある
スキー板も重たい
前かがみになればトップが雪面や岩にあたり
藪では引っかかる
真っすぐに立てばテールが足やギアにあたる

全て想定内で好きこのんでやってる事なので ...

しかし時間がかかる



JEKT7639














22:10


抜けた!
南稜ノ頭 (3,140m)
最後の一口のホットレモンを飲むほす
ここからは一般登山道


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23:00

奥穂高岳 (3,190m)
とりあえずパシャリ
やっぱいるでしょ

この頃から目が見えづらくなってきた
最近、超時間冷たい風雪に目をさらすと霧が
かかった様に近くの物しか見えなくなる
ヘッデンの灯りを頼りに足元に集中して下山

通常ならここから穂高岳山荘は夏道で30分

GPSではルート上に乗ってるがルートが
分からない
一瞬、間違い尾根に行きかける
際どいトレースを発見してその先は山荘へと
導かれる


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5月4日 1:30

21時間行動

記録写真も、わやくちゃ

時間はかかったものの安全?に目標達成
自分達にしか分からない
小さいグータッチを交わす
(2,983m)

穂高岳山荘の表玄関を入った土間にあるベンチを
拝借して仮眠しようとするが、神経がまだ張り
つめてるのと極寒のせいでなかなか寝付けない
2時間ほどウトウトしてると身支度をする宿泊者
が起きてきた

いくら温かい物を食べて飲んでも身体が寒い

陽も登り外は明るくなってきた
早く涸沢ヒュッテに行きたいが風が強いのと雪の
緩みを待った

早く布団で寝たい!


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3日目 


計画では
涸沢ヒュッテ ~ 穂高岳山荘 ~ 涸沢槍 ~
涸沢槍コル ~ 滝谷D沢滑降 ~ D沢F沢出合 ~
F沢登り返し ~蒲田富士コル ~ 涸沢岳西尾根 ~
涸沢岳 ~ 涸沢槍コル ~ 涸沢ヒュッテ

この疲労でそんな事をでき様もない

11:00

いよいよ滑降
冬道を上がってくる登山者が大勢いる
人的雪崩を誘発させない様に我々は
ザイテングラートの北側の斜面を狙った
先輩がドロップしてスキーカットをした瞬間
湿雪雪崩が発生
雪を落とした後でもフォローは気持ちが悪い


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滑降と言うよりはただただ重たい雪とデブリに
耐え太腿パンパンで落ちてきただけみたいな


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それに対して先輩は攻めてて躍動感がある

格好良い!

あんな滑りに憧れるな


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涸沢ヒュッテ (2,309m) 到着

  これほど美味い
「800円の生ビール」はあるであろうか!?


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都会の涸沢

夕食を挟み9時間爆睡
どれだけ回復させられるかリカバリーに時間を
最大限、費やした


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4日目 

0:30
 起床

2:00 涸沢ヒュッテ (2,309m) 出発

計画では
涸沢ヒュッテ ~ 北穂高岳東稜 ~ 北穂高岳 ~
北穂高沢 滑降 ~ 涸沢ヒュッテ ~ 横尾 ~ 上高地

明るく穏やかな夜
無数のテントが張られたテン場はまだお休み中
標高を上げて行くと涸沢を囲む山々には我々以外に
2人いた
北穂を目指して前を行くソロイストと、
前穂北尾根5・6のコルを目指すソロイスト
灯りでお互いに無言のエールを送っている様


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4:00  (2,820m) に乗り上げた

最後の詰めはかなりの斜度があった


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辺りが白ずんできた


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おはよう、槍


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マジックアワー

「俺、イケてる?」(笑)



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本来計画していた奥穂高岳直登ルンゼが見えた
あれはヤバそう!
よっぽど雪質が良くないと私には無理


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北穂高岳東稜「ゴジラの背」到着

1P 藤本リード

取付手前のピナクルでビレー
登攀準備もここで可能


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リッジの上にはトレースがあるが上がるのは
右のピナクルから乗り移る?
いや悪いでしょ!しかもキレット側の高度感が
半端ない
左側からに決定
良く見ると錆びた残置ハーケンがありカム#0.4
を足して乗り上げた


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この先を先輩にリードして欲しかったので
見通しが良くロープの流れが良さそうな
ピナクルでピッチを切った

※ 残置支点あり

「爽快なクライミング!」

「気持ち良い~!」



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2P 三浦リード


岩と雪のリッジを越えて行く

「北穂 と パイセン」


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3P 藤本リード

雪稜のリッジを直進してクライムダウンも可能
そうだが気持ちが悪い

北面にトレースがあったので信じて辿った
初めは垂壁をアックスとアイゼンを効かせ降りた
フォローを考え2mほど降りたクラックにナッツ
で中間支点をとり核心部のドカ落ち対策をとった


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4日間の集大成

「北穂高岳へのビクトリーロード」

あと標高100mアップ


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パイセン、ひょっこり顔を出す


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ついにやった~!


「槍」をバックにパシャリ

今日は時間的にお釣りがあった (笑)


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「北穂高岳北峰」(3,106m) からドロップ

「岩間を滑降しよう」と勢いづいていたが
いざ頂上から覗き込んだら何も見えずすぐさま
NGマーク (笑)
お付き合い頂いて
結局、先輩は南峰との間のコルから
私はへっぽこなので200mほどクライムダウン
して登山者に影響がない所から滑降
この日も湿雪雪崩が多かった



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「ゴジラの背」をバックに滑降


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ひたすら落ちて行く


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落ちて行く ...


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振り返るとドーン!

本当にここを滑ったのか!

「北穂高スキー場、万歳」

コーラがうみゃい~



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帰る道中、昨年登った屏風岩を眺め思いを馳せる

ただ先を急がねば 
最終バスが
河童橋はまだ遠い
荷物が拷問の様に重い ...




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「一周をした」

壮絶だったがもうすでに良い思い出に変わろうと
している


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16:00 河童橋 着

先輩、お付き合いありがとうございました

「滝谷滑降」の宿題をまた回収しに来ましょね!


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最後に

あくまで個人的な主観と記憶で書き記しており
ますので、自己の責任において充分な計画をして
安全で楽しい山行をして下さい




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