比良 奥の深谷        2011.6.19

                                             青木 横山 橘(記) 天気:曇り


 約20年ぶりに奥の深谷へ行く。過去の記憶では暗くて陰気な谷という
イメージがあったが、さすが日本百名谷に選ばれているというだけあって
短いがびしっと気合の入った辛口の谷であった。
 前夜21時、JR西宮駅集合。名神を走って坊村へは23時過ぎに到着。
往きは早かった。早速大きな駐車場にテントを張って御前会議を開く。
 午前2時、会議を終了し、眠りに付く。
 翌6時起床。登山者もちらほらやって来た。我々も負けてはならじと準備を
して出発する。駐車場発7時。1時間ほど歩いて入渓する。天気は曇りで沢に
入りたくなくなるが雨よりはマシか。沢に入ると次から次へと滝が現れて遡行者
を有頂天にさせる。(どこかで聞いたような表現だが)。連日の雨で水量は
多いようだ。遡行図があると興ざめなので敢えて持たず、出てきた滝と会話し
ながら進む。ほとんどの滝は登攀可能のようだが今回は水量も多いので無理
そうな滝はおとなしく巻き道を探す。今回のパーティは始めて組むので若干判断
に手間取る。有名な沢なので巻き道はばっちりかと思ったが結構薄く、安易な
赤テープもほとんどない。中間部の巻きでは垂直の木登りも現れ、途中からザイル
を出すはめとなった。(ここでトップのA木君が浮石をつかんで顎(あご)を負傷。
浮石は沢へ落とす)。軽傷だったが一気に緊張感が走り、本気モードが出る。
 ここは危ないなと思うと大概残置ハーケンが有り、効いてないのも多いので、
やはりハンマーとハーケンは持参すべきだろう。又、巻きでも直登で運動靴では
太刀打ちできないのでフエルト靴は必携だ。又、滝の爆音で声が届かないので
ホイッスルも持参すべきだった。3名の足はほぼ揃っていたのでそれなりのテンポ
で行けたが新人を連れて行った場合は滝ごとにザイルで確保した方が安全だろう。
 遡行図がないのでどれがどの滝かは分らないが美しい滝が多く、どれもが難
しいが登る事が出来る。諦めるしかない滝が多い大峰とはだいぶ違う。
 さて、巻き道から懸垂で降りた頃、後続の3人パーティに追い越される。
 寒いのに全身ずぶ濡れで滝を攀じったり、滝つぼにダイビングしたりと元気な
パーティだ。(私は泳いだ後寒くて濡れるのが辛くなった)。
 滝で遊んでいる先行パーティを追い抜かした頃、不意に登山道の標識が現れた。
 後は一般道を麓まで降りるだけだ。大峰と違って下山には苦労が無い。
(それがややゲレンデ的なところだが)。登山道合流12時。ここで大休憩の後、
登山道をとぼとぼと降りて約1時間強で駐車場へ帰着。てんくう温泉で汗を流して
神戸へと戻るが帰りは京都東ICまで渋滞し、比良の沢は帰りが難儀やなーと言い
つつ西宮へ戻る。

 NOTES:

  結構厳しい。巻きもクライミングをさせられる。落ちたら危ない箇所が連続する。
  どこからザイルを出し、どこから省略するか、リーダーの判断が要求される、
  辛口の美しい沢であると感じた。ヒルの被害はA木君に2尾のみだった。
  A木君、Y山君(名前を伏せる必要もないが)、お疲れ様でした。