雪彦山 地蔵岳東稜一般ルート  平成24年3月吉日  T、U


 久し振りに花粉の舞い踊る雪彦山へ、岩登りに行く。メンバーは
毎度おなじみ、Uさん。果たしてマルチピッチは大丈夫なのか?
 ダブルロープの操作は無理と思われるので、10.5ミリのメイン
ロープと、万が一の懸垂下降用に9ミリ35mを携行する。
 さて、前夜に鹿野神社に到着し、翌朝7時起床。8時半出発。
 ヘアピンカーブの所より登山道を下りていく。分岐を左に取り、
しばらく歩いて右の踏みあとへ入る・・・と念じながら辿っていくと
前回に続き、また迷ってしまった。何回来ても迷う。これはお狐様の
仕業に違いないと相方に弁明し、遭難碑が出てきたのでゆっくりと
休む。肩にはガチャ類、腰にはハーネスと完全武装にも関らず、
目指す取り付きが判らない。辺りをぐるぐるしているうちにここは何処
なのか、私は誰なのかさえ判らなくなってきた。もうええわい!今日は
お狐様のたたりじゃ、このままこの格好で縦走しようと心に決め、
重い足取りで歩いていると不意に東稜取り付きの岩場に出た。やれやれ
、ガイド料を払い戻すところだった。不行沢周辺は踏みあとが錯綜して
いて彼方此方に目印もあり、迷いやすい。
 さて、気を取り直して岩場に這い上がると、先行3人パーティが準備
しているので、大人しく順番待ちする。しかしリードがなかなか高度が
上がらないので聞いてみると初のリードで挑戦しているとのことで、我々
はその横を登らせて頂く。1p目:緩いスラブ状。ステルスC4が乾いた
斜面によく吸い付く。しかし雨が降ってきたら大変だ。幸い天気はよく
雨の予報はだいぶ先にずれているようだ。春の天気は難しい?
 2P目:1P目と同じような感じだが傾斜がきつくなり、終了点近くの
リッジでは緊張感全開モード。 3P目:ここは短くトラバースして左へ
回り込む。4P目:核心部のクラック。20数年前ここで落ちて大怪我を
した。思い出の場所だ。慎重にランナーを沢山とって登る。とりすぎて
最後の方は手持ちのビナがなくなり、環付カラビナまで動員して終了点に
着く。
PA0_00004Pあたり

5P目:コンテで移動。 6P目:快適な?リッジ状。途中の遭難
碑には礼を尽くすよう、相方に指示。7P目:終了点付近がやや崩壊して
いる。アンカーの木は倒れて枯れているが効きそうなので大シュリンゲで
タイオフしてビレイ。8P目:コンテで移動。9P目:最終ピッチなので
左の溝を行かず、右の乾いたフェースを登る。やや崩壊気味で、叩くと
どれもポンポンといい音が響く。(怖!)こんな所で岩を抱きながら落ちるのは
御免こうむりたいと切に希望する。トラバースで両手両足を伸ばして行ったが
相方には手足が届かないか? 地蔵の頭でビレイしていると、無理!無理!
とのコールが。しょうがないのでテンションをかけてもらって誤魔化し
ながら登ってもらう。13時、無事完登。登頂祝いに頭でコーヒーとケーキを
頂く。初めてにしてはよくここまで鍋、コンロと壊れやすいケーキを
担いできたものだと感心する。登攀をなめているのか。はたまた余裕か。
それともただのカフェイン中毒なのか??。何はともあれ、絶景を愛でながら
頂く美味しいコーヒーと、アンテノールのショートケーキを頂く。生きている
喜びを実感させる素晴らしいひと時だった。(U様、ありがとう)
KC3Z0005これを担ぎ上げました。

 これで花粉さえなければ言う事なしだが、今はその最盛期、くしゃみ
鼻水、鼻づまり、目も痒い。
 至福の時を過ごし、後続のパーティも上がって来たので挨拶の後、
頭を辞す。頭からの下りはいつもながら緊張が緩んだ後なので危ない。
 慎重にクライムダウンし、一般縦走路(大変厳しい)を歩いて下りて
大曲へと出る。ご苦労様でした。14時30分車着。

notes:

  雪彦山の岩場は古くからの歴史もあるのでそれぞれの岩場に古い
 ハーケンが残置されているが、ぐらぐらな物もある。また、ルート中の
 岩盤なども崩壊が進んでいることが予想される。よく登られている
 ルートはまだ安心だがマイナーなルートでは細心の注意が必要と
 思います。