2019.5.8-9 鹿島槍ヶ岳東尾根
北アルプス 後立山連峰 鹿島槍ヶ岳東尾根の山行記録
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こんにちは、岩瀬琢海(以下、岩瀬た)です。
鹿島槍ヶ岳に行って来ました。
積雪期バリエーションクラシックルートの東尾根。
調べれば調べるほど「これなら行けそうだ、行きたいな。」と思うようになり、自分の力量を確認するためにも単独での入山としました。

当日は天気も良く、東尾根からの入山者は自分だけ。
じっくり山登りを楽しむことができました。

以下、山行記録です。
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◎メンバー
岩瀬た

◎行程概要
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・5/7
21:40 大阪梅田 夜行バス出発

・5/8「松本〜大谷原〜第二岩峰基部」

+10℃〜上部–2℃
下部微風、上部度々強風
6:10 松本 到着
6:28 松本→信濃大町 電車
7:39 信濃大町→大谷原 タクシー
8:15 大谷原登山口 到着
9:00 入山
13:00 一ノ沢の頭
14:30 ニノ沢の頭・仮眠
17:00 ニノ沢の頭 出発
18:00 第一岩峰
19:00 第二岩峰基部 テント泊
22:00 就寝

・5/9「第二岩峰〜鹿島槍ヶ岳〜西沢〜下山」
曇りのち晴
-6℃〜+10℃
上部強風
3:45 起床(寝坊)・朝食
5:00 テント撤収・出発
6:45 鹿島槍ヶ岳北峰
7:45 鹿島槍ヶ岳南峰
9:30 冷池山荘・休憩
10:00 冷池乗越・西沢下降
11:30 西又出合
13:00 大谷原登山口・下山完了

◎行程詳細
・5/8
バス・電車・タクシーを乗り継ぎようやく大谷原登山口に到着。
今季、後立山は3度目。こんなに来ることになるとは正直思ってなかった。
よーし頑張るぞ。

赤岩尾根への登山道を20分ほど歩き、ピンクテープのあるところから急登のヤブに分け入る。
石楠花や熊笹をかきわけかきわけ、緩傾斜になってきたところで雪がつき始める。
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今季はこの時期にしてはどうやら雪が多い方らしい。天気予報などでも例年より2度ほど低いとのこと。ラッキーだ。
踏み抜きに気をつけつつしばらく歩いて一ノ沢の頭へ。
ここからは雪の乗った松や笹の踏み抜き、痩せたスノーリッジ、雪庇に神経を使う。
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ようやくニノ沢の頭(2177mピーク)に到着。
鹿島槍に続く尾根が見渡せる。
日が昇り気温も高く、進むのを少しためらうような雪の柔らかさ。これでは雪壁登高は不安だ。
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とはいえ、想像通りなのでゆったりした気分でエアーマットを取り出して寝っ転がる。風は穏やかで暖かい。うたた寝。
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1時間ほどたったところで、風が吹き出し寒くなってきたので穴を掘ってスノーブロックで風除けを作り、さらに寝る。今日は少し夜間行予定を組み込んで、"寝られる時に寝とこう作戦"だ。
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17時、今から登る雪壁が日陰になったのでギア類を身につけて出発。
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しばし歩いて緩傾斜の雪壁にとりつく。気温は0度。もう少し下がってて欲しかったけど、まぁ良いだろう。雪もいくぶん締まり始めてるので第一岩峰につくころには安心できる硬さになってるはず。
18時、第一岩峰の基部到着。ー2度。よしよし、良い感じだ。
出だしは簡単な岩登りで、その後に緩い傾斜の雪壁だ。荷物を背負ったままサクッと登る。
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第一岩峰を過ぎ、ダブルアックスでのトラバース混じりの長い雪壁の登高。まぁまぁの斜度。
北俣本谷まで遮る物がないからか、第一岩峰よりも緊張感がある。
雪が締まるのを待って良かった。グズグズだと少し怖そうだ。
第二岩峰までもう少しというところで暗くなり、ヘッドライトでの行動になる。ナイトクルージング。風も強くなってきた。
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19時、ようやく第二岩峰に到着。
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急いでテント場を設営。
思ってたよりも風が強いので、一生懸命床を掘り下げブロックを積み上げる。
1時間半ほどでどうにか安心できるくらいの壁を作ってテントに潜り込み、一息ついて夜ご飯。
さすがにちょっと疲れていて、珍しくあまり食欲が湧かなかったけど、明日のためと思いアルファ米にインスタント豚汁と乾燥野菜を入れたものとカルパスとチョコレートを食べて就寝。結局結構食べてた。


5/9
3時、目覚ましで一度起きるも二度寝してしまった。痛恨のミス。しかし、風が強くて寝られないかなと思ってた割に全く目を覚ますことなく熟睡できた。
4時前に再び起きて、棒ラーメンを胃に詰め込んで白湯を飲み、急いで準備してテント撤収。もう明るい。
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さて早速第二岩峰だ。
前調べでは、チョックストーンの乗越が被っていて難しいらしい。ロープを出すならここだと思っていた。
ひとまず、問題のチョックストーンの直下まで行く。
なるほど、確かに被っているけど、ホールドも多いし足置くスタンスも問題無さそうだ。
でも荷物を背負って登るのは辛そうだったので、メインロープは出さずバックロープだけ引いて空身で登る。
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チョックストーンを乗っこしたところに残置ハーケンがビシッと打ってあったので、セルフビレイをとって3分の1システムで荷上げ。
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あとは荷物を背負って無難に第二岩峰を乗っ越す。
ここからは雪稜。
右手に北壁の上部を見ながら雪庇に気をつけていくつかピークを越える。
息を切らせながら一歩一歩進んで、ついに鹿島槍北峰に。風が強い。
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一息入れたいけれど、まだ我慢。
南峰の登りが斜度のある雪壁で、締まっているうちに取付きたいところだ。幸い太陽は雲に覆われていて直射日光は当たっていない。まだ気温もさほど高くないし今のうちだ。
強風に巻き上げられる雪煙に顔面をバチバチ打たれながら吊尾根を進み、南峰取り付きへ。
実際に登ってみると、雪壁というよりも岩の中にところどころ雪や氷がついている斜面といった具合だ。方角的にも北面で、日もそんなに当たらないだろう。こんなに急がなくても良かったかもしれない。
アックスとアイゼンを効かせながら登って南峰頂上に。
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ぐるり一周、展望を楽しむ。独り占めだ。
疲れのせいか感動のせいか、はたまた吹き付ける強風のせいか、地球すごいなぁと思って不覚にも少し涙ぐむ。
がしかし、まだ終わってない。距離で言えばまだ半分だ。赤岩尾根取り付きのトラバースも待ってる。西沢の具合はどうか。太陽は雲から顔を覗かせ、いよいよ照りつけてくる。

稜線を歩き、9:30、冷池山荘に到着。
不思議なことにここは風が穏やか。
ギア類をザックにしまって、ようやく座りこんで大休止。
当初ここでテント泊する予定だったけど思ってたよりだいぶ早く着いたので、下山することにする。そうと決まれば善は急げ、雪が緩み切る前に行かなくては。
この、次へ次へと進むのはもうクセだ。ゆっくりすることがどうにも下手くそだ。

道直しの作業に行くのか山荘の人が通りがかったので、赤岩尾根や西沢下降について聞いてみるけど、これといって真新しい情報はなく、やはり自分の目で見て判断となる。

冷池乗越から赤岩尾根へのトラバースに踏み込む。
グズグズ寸前の雪で、若干ビビりながら駆け抜けてホッと一息。
西沢を見下ろすも、さっきのトラバースを思い出すとやめといた方が良さそうだなぁととりあえず赤岩尾根を忠実に下る。しかし赤岩尾根もそんなに良くない。結構急傾斜だ。
西沢に降りられる支谷を「降りたいけど我慢我慢。安全第一。」と思いながら何度か通りすぎるも、4、5番目くらいの箇所で、傾斜も割とゆるやかなところがあったのでちょっと下ってみる。
「ちょっとだけ、ちょっとだけ。ダメそうなら登り返すだけだし。」
と思いながらしばし歩くと、思いの外、雪は緩んでいない。さっきのトラバースとは全然違って、これはいけると踏む。
でもやっぱりなんとなく怖いので雪崩の流心になりそうなところと踏み抜きそうなところを避けて大急ぎでガンガン下る。
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支谷を下りきって本谷に入ると、だいぶ前に雪崩たらしい広いデブリ帯に出くわす。
いろんな形の雪の塊を見て、なんかSF映画みたいだなぁ。と思いながら降りる。
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そしてついに西俣出合に到着。対岸には林道が見える。もうすぐだ。
綺麗な雪解け水がザブザブ流れて行き、爽やかな光景で季節の移ろいを感じさせてくれて、心も和む。
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しかし、ここで大きな誤算に気づく。
あともう少しというところでついに抜け目が出てしまった。万事休す。

対岸まで雪が繋がっていない。
僕は、渡渉が苦手だ。簡単な飛び石ですらちょっと躊躇してしまうくらいだ。

いや〜弱ったなぁ。と思い、飛び石で渡れそうなところを探すも見つからない。
1時間くらいかけてようやく心を決め、1番浅そうなところに目星をつけて、昨年の秋に行った元越谷の遡行や3月の名張の渡渉を必死に思い出す。
「流れが早そうに見えても意外と大丈夫。大丈夫大丈夫。」
と思いながら荷物をまとめていざ入渓。

膝くらいまでの深さで、ビビってるほどには流れも強くなく、大した苦労もせず渡渉できました。ふう。
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そこからは林道をしばらく歩き、13時大谷原登山口に無事到着。

下山完了。

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以上、山行報告でした。


今回、単独での入山をするにあたって、会の役員の方々や、この春の山行を連続で引き受けてくださったH.Iさんにもいろんなアドバイスをもらい大変心配をおかけしましたが、無事に終えることができて良かったです。
また、昨年夏から今までにかけて、フリークライミングやマルチピッチクライミング、ボルダリング、アイスクライミング、年越の低温山行、トラッドクライミング、歩荷トレーニングなど、いろんな人と行った山行で得た経験をうまく活かすことができて、みなさんにありがとうございますと言いたいです!
みなさん、来シーズンはもっとたくさんバリバリ冬山行きたいですね!スキーもしてみたい。

さて、これで僕は今シーズンの雪山は終わりにして、フリー/トラッド/アルパインのクライミングを中心に夏に向けての活動に切り替えようと思います。沢登りの経験も少しずつ積まなくては、、、と思ったり、ビビったり。
引き続きよろしくお願いします!


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