2019.8.7-9 北岳バットレス
山梨県 南アルプス 北岳バットレス第4尾根 の山行記録

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こんにちは、岩瀬た、です。
北岳バットレスの第4尾根に吉岡さんと行ってきました。

冬のうちから、「この夏は行きたいところたくさん!」と思っていて、昨年12月の時点で今年の9月頃までの大まかな予定を擦り合わせていました。できたこともできていないこともたくさんです。
8月に向けていろいろ調べて最終候補に上がっていたのは、剱岳・前穂北壁・北岳バットレス、でした。
剱岳は、2人の経験値的にはちょっと不安だったのと、どうやら時期的にもう少し早い方が良いらしいということで却下。
前穂北壁は、調べているうちに取付きまでのアプローチが結構悪いみたいだということがわかってきて、計画書も書いてみたけれど最終的に踏ん切りがつかず却下。
北岳バットレスは、アプローチの容易さや計画の立てやすさから、僕らには妥当だろうということに。


以下、山行報告です。

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◎メンバー
岩瀬た(記録)
吉岡


◎登攀時装備(主な物)
8.2mmx50mダブルロープx2
クイックドローx4
ヌンチャク60cmx6
ヌンチャク120cmx4
ヌンチャク240cmx2
カム c4#0.75-#3
水各自2L


◎行程概要

・8/6
22:30 神戸 集合・出発

・8/7
晴れ時々雨
5:30 芦安駐車場 到着
5:50 乗り合いタクシー 乗車・出発
6:50 広河原 到着・出発
9:30 白根御池小屋 到着・テント設営
10:30 取付きの偵察に出発
14:00 帰幕・休憩・夕飯(そうめん)・ギア類の準備
17:30 就寝

・8/8
晴れ
3:00 起床・朝食(らーめん)
4:00 白根御池小屋 出発
5:45 北岳バットレス下部岩壁 取付
6:00 登攀開始
9:00 北岳バットレス第4尾根 取付
12:00 北岳バットレス第4尾根 終了
12:30 北岳山頂
15:00 白根御池小屋 着・夕飯(カレーライス)
18:00 就寝

・8/9
晴れ
5:30 起床・朝食(うどん)・テント撤収
7:30 下山開始
9:00 広河原
9:30 バス乗車
10:30 芦安駐車場 下山完了


◎行程詳細

○8/6
各々仕事を終わらせて、出発。

○8/7
運転と睡眠を交代ばんこでするも、僕の運転が伸びず、八ヶ岳PAで少しだけ眠るつもりが1時間ほども寝てしまい、それでも眠気がとれずに吉岡さんが運転を代わってくれて気づいたら芦安駐車場だった。結局僕はあんまり運転していない。ありがとう吉岡さん。

駐車場に着いて始バスまで仮眠するつもりが、乗り合いタクシーの人に声をかけられてボケっとしながら乗り合いタクシーに乗り込む。
予定よりも早く広河原に着くことができて良かった。

6:50広河原で登山届けを提出して、入山。
さすが北岳。平日にもかかわらず結構人いるなぁと思いながら歩いて、大汗をかきはじめた頃合いに北岳がデーンと見える白根御池小屋に着く。
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テントを張って、しばし休憩の後、バットレスの偵察へ。

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10:30、誰か登ってる人いるかな?と思いながら、用意した地形図を見つつ大樺沢を歩く。

余談ですが、今回、取付きを間違えないように国土地理院地図のホームページを利用して、平面図と3D図面を用意しました。
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会のホームページのメニュー「各種資料」の中に会長が書いてくださった詳しい使い方があります。是非。かなりオススメです。

さて、バットレス沢を過ぎてC沢を確認し、C沢D沢の中間稜の明瞭な踏み跡を辿る。
しばらく藪の中の踏み跡を辿ると、メルヘンなお花畑に出て、同時に北岳バットレスの下部岩壁が眼前に広がって、ウワーッと嬉しさもひとしお。
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下部岩壁直下まで行き、「十字クラック」「ピラミッドフェース」「Dガリー大滝」「第五尾根支稜」、それぞれを概念図と照らし合わせて確認。
今回僕たちが予定している取付きは第五尾根支稜。2010年の第4尾根上部崩壊後からは最もオーソドックスなルートだ。
まだ登っても無いのに感動を噛み締めつつ、続きは明日ということでテントに戻る。
戻る途中で小雨がパラリ。振り返るとバットレスは雲で見え隠れ。

14:00、テントに戻ると同時に雨足が少し強くなったので一眠り。目がさめると雨は上がっていたので、外のベンチで吉岡さんの用意した具沢山そうめんを食べ、明日の準備。
準備が終わってシュラフに入るとまた雨が降ってきたが、夜に一度目がさめ外の様子を伺うと満天の星空。これはおそらく一兆くらいでしょう。知らんけど。
嬉しい気持ちでいっぱいになりながら、また眠りに落ちる。


○8/8
3:00起床。らーめんを食べ、よーし頑張るぞと4:00出発。
取付きに行く途中、緊張のせいなのか珍しくお腹がゆるゆるで何度かキジを打ちに行く。結構タイムロスした。
すまないすまないと思いつつ、下部岩壁が朝日に染まるのを眼前に先行する吉岡さんの後を追い、6:00前に取付きに到着。
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さっそく準備を整えて、登攀開始。


・1P目 第五尾根支稜
15m、トラバース、リード岩瀬た
顕著なバンドをトラバースして、岩をぐるりと回り込んだところにビレイ点がある。このまま直上してロープを伸ばすか迷ったけれど、出だしからコミュニケーション取れなくなるのも嫌だったのでピッチを切る。アプローチの一部みたいなピッチだった。

・2P目 第五尾根支稜
40m、フェイスからリッジ、リード吉岡
クライミング開始!という感じのピッチで、フェイスを上がって尾根に出てズンズンロープを伸ばした先でビレイ。

・3P目 第五尾根ーDガリー大滝へのつなぎ
50m、歩き、リード岩瀬た
何のことは無い歩きパートでしたが、一応ロープをつけて行く。
Dガリー大滝の手前でピッチを切る。
Dガリー大滝にはロープが垂れていて、「あれ、フィックスロープでも張ってあるのかな?」と思ったら、誰かの忘れ物でした。少し気味が悪いけど、見渡す限りに人が倒れてもいないので、とりあえず吉岡さんを迎える。

・4P目 Dガリー大滝
40m、ルンゼ、リード吉岡
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残置ロープは岩に詰まっていたので、取り除いて下に落としてもらい、隅っこの方にまとめて置いておく。
トントン登って行って、ルンゼの出口のビレイ点でビレイ。

・5P目 横断バンド
30m、歩き、リード岩瀬た
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僕、なんか歩いてばっかりだな、、、と思いながら綺麗な花の咲く横断バンドを灌木帯まで行ってビレイ。

・6P目 横断バンド
15m、歩き、コンテ
灌木帯手前にクラックがあったのでそこを直上するか、さらに灌木帯を進んでC沢に出るかしばし迷う。
予定ではC沢のガレ場を上がる予定だったのでとりあえず少し先の様子を見てみようとコンティニュアスで進むと、
「あ、これたぶんトポ図にある直上ラインだ。」と思える顕著なクラックのラインがあった。

・7P目 横断バンドーハング
45m、クラック、リード岩瀬た
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つるべの順番でいうと吉岡さんがリードの番でしたが、僕は歩いてばかりだったので、
岩瀬た「・・・行っても良い?」
吉岡「やっぱり?笑」
ということで、リードさせてもらう。
出だし幅広のクラックをレイバックで上がり、簡単な階段を上がった後にハンドサイズのクラックがビューっと走る。カムでプロテクションを取りながら登って(残置回収不能のマスターカムがひとつありました)、上がりきったどっかぶりのところのビレイ点でビレイ。

・8P目 ハングー草付き
40m、トラバース,フェイス、リード吉岡
どっかぶりの岩を左右どちらに巻くかしばし迷って、右側を巻く。
少し染み出しあり。階段状のフェイスを登り踏み跡を辿るとビレイポイント。特に問題無く登れる。

・9P目 草付きー4尾根取付き
45m、トラバース,フェイス,ルンゼ、リード岩瀬た
ホールドはたっぷりあるけど結構立ってる壁を登るか、コケっぽい湿ったルンゼを登るか迷う。
薄い踏み跡のようなものがあったのでそれを追って少しトラバースしてみるも、どこに行き着くのかよく分からなかったので踏み跡を追うのはやめて、とりあえず支点になる灌木めがけて登る。
そこからはルンゼに入るしかなさそうだったのでルンゼを登る。
ルンゼを抜け出ると視界が開ける。
写真を見て頭に叩き込んであった4尾根の取付きが見えた。やった。
ロープいっぱいになりそうだったので付近のハイマツでビレイ。
無駄にトラバースせずに、出だしから直上すれば4尾根の取付きまで行けたはずなので、ちょっと反省。
フォローを迎えて4尾根の取付きまでわずかばかり歩く。

・10P目 第4尾根
40m、クラック,スラブ、リード吉岡
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さあ!ついに4尾根が始まる!と気合が入る。
日射がジリジリと照りつけて痛いが、晴れ渡る空と大きな富士が遠くに見えて気分は最高。
リード吉岡、フィストサイズのクラックにカムでプロテクションをとって登って行く。
しばらく登って見えなくなったところでビレイ解除のコール。僕も続けて登る。

・11P目 第4尾根
40m、階段,リッジ、リード岩瀬た
あまりよく覚えていないけれど、ずっと景色が良かった。
リングボルト2本のビレイ点でビレイ。

・12P目 第4尾根
40m、白い岩のクラック、吉岡
特に難しい事もなく、快適なクライミング。
あんまり覚えていない。景色が良かった。

・13P目 第4尾根,マッチ箱
45m、フェイス,リッジ,マッチ箱、リード岩瀬た
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ビレイ点から少し登って、リッジを進むと三角形の壁が現れる。左側にクラックが走っていて、残置ハーケンが何本か打っているので適当な間隔でプロテクションをとりスラブを乗り越す。
乗り越した先は右も左も切れ落ちたすっきりと気持ち良いリッジ。眼前に迫る最後の壁を見ながら進み、マッチ箱のピナクルにあるビレイ点でビレイ。

・14P目 第4尾根,懸垂下降
20m
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マッチ箱のビレイ点のすぐ目の前にある残置のリングボルトに何本も通されたスリングを使って、ロープ一本で懸垂下降。
最初どこに降りたら良いのか迷いましたが、よく見るとすぐ下に次のビレイ点が見えました。

・15P目 第4尾根
30m、コーナー,クラック、リード吉岡
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ビレイ点右側コーナーを登って、登った先の左側のクラックを行く。難しい箇所も無く、快適なクライミング。照りつける日射で首の裏が痛い!ついでにクライミングシューズで締められたつま先も痛い!

・16P目 第4尾根
40m、凹角,リッジ,トラバース、リード岩瀬た
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凹角を上がってリッジに出る。リッジの先にはかつての枯れ木のテラスがあり、その名残であろう枯れ木が岩に挟まっている。
そこでピッチを切っても良かったけれど、まだロープに余裕があるので最終ピッチ手前までのナイフリッジのトラバースもやってしまうことにする。
リッジを持ちつつ足は細かなスタンスを拾って、岩の割れ目をピョンと乗越して、最後の城塞チムニー前にあるビレイ点に到着。
ビレイ点はやや傾斜が強く、足を置く場所が極端に狭いのでハンギングビレイとなる。
バチ効きしてるので大丈夫だけれど、錆びたリングボルトやハーケンでハンギング状態になるのは少し嫌だった。というか、これ打つの結構大変だったんでは無いだろうか。ありがたし。などと思う。

・17P目 第4尾根ー終了点
30m、チムニー、リード吉岡
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やっと最後のピッチだ。
薄くかぶったチムニー。残置ハーケンは多め。
適当にプロテクションをとりつつ、窮屈そうだが無難に登って行く。姿が見えなくなってから少ししたらビレイ解除のコール。
フォローで登る。吉岡さんが窮屈なチムニーに僕が入るのはちょっとしんどいので、できるだけ外側を登るようにして無事にビレイ点へ。
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12:00、登攀終了!
終わったー!とハイタッチして、ロープをまとめて靴を履き替えて北岳の山頂までしばし歩く。
山頂には結構人がいたので、お願いして写真を撮ってもらいました。
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それから肩の小屋まで降りて、甲斐駒ヶ岳を眺めて、降りる。

15:00、無事に白根御池小屋のテント場に着いて、ギアをバラして休憩。
ほぼ予定通りに登って降りてこられたのでなかなか満足!

「山で贅沢はしない!」という吉岡さんを尻目に僕は我慢できずに小屋に売ってるビールをいただき、米3合を炊いてカレーライスを食べ、お腹いっぱい良い気分で眠りにつきました。
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○8/9
今日は下山だけなので、目覚ましもセットせずに眠った。夜半に少し遠くで雷がビカビカゴロゴロと鳴っていた。
5:30頃に目が覚め、朝ごはんをのんびり食べてテントを片付けて下山開始。
良い気分で広河原まで降りて、9:30のバスに乗って芦安駐車場へ。
芦安駐車場には日帰り入浴できる銭湯があったので一風呂浴びてアイスを食べて、帰路につきました。

下山完了。

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以上、山行報告でした。

夏の目標だった本チャンに行くことができて、嬉しい気持ちでいっぱいです!

出発直前まで天候が不安定で中止するかどうか悩んだりもしましたが、蓋を開けてみればほとんど雨に降られること無く、ただただ楽しい3日間でした。
この一年、僕がしてきたフリークライミングや日帰りの沢登りとはスケールが違い、フィジカル/テクニカルな部分こそ優しかったものの、ルートファインディングなどで頭を使う部分もあったりして、初めて行く夏のアルパインには最適な場所だなと思いました!
しかも、平日というのもあるのか終始僕らの貸切で、好きなペースで登れたのも大変良かったと思います。残置支点も、錆びてるけどバチギギのハーケンやリングボルトが多数ありました。


吉岡さん、毎度毎度ですが、毎度ありがとう!!
少しずつレベルアップして、夏も冬もいろんなアルパインルートに行きたいです!
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