冬季クライミング

2020.12/23-12/24 裏同心ルンゼ&小同心クラック

こんにちは、M本です。12/23-12/24にかけて八ヶ岳に行ってきました。
結果は虚しい結果となりましたが、反省がてら記録にします。以下、参考記録です。

メンバー:M本(L)、N野(SL)、I橋

12/23
21:30 三宮発
5:45 美濃戸口着
6:30 美濃戸口より入山
10:00 赤岳鉱泉着
11:00 赤岳鉱泉発
13:30 F2
14:40 F3
15:30 打ち切り
16:10 大同心稜合流
17:40 赤岳鉱泉着
20:00 就寝

12/24
3:30 起床
5:45 赤岳鉱泉発
6:40 トラバース開始(これよりルートミス)
8:30 引き返し
10:00 トラバース地点(正規)
11:00 赤岳鉱泉着
12:00 赤岳鉱泉発
15:00 美濃戸口へ下山

<詳細・反省>
21:00頃三宮に集合。N野さんのヴィッツにデカザック3つを詰め込む。21:30三宮を出発。重量のせいか、うまく加速ができないらしい。サービスエリアでカーボローディングを挟むなどしていると、到着予定が偉く遅れてしまっていた。結果、ろくに仮眠もとらず美濃戸口を出発。
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途中山ガールごっごなどして、赤岳鉱泉着。
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その後、用意などして赤岳鉱泉を出発。本日は裏同心。F1はアイス初めての人もいたので、念のためロープを出す。その後F2。I橋君リード。
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フォローのN野さん。
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F3はN野さんリード。少し不安でしたが無事抜けてました。ここで時間が厳しいのでタイムアップ。大同心稜目指してひたすらトラバース。無事合流。ヘロヘロになりながら赤岳鉱泉着。夕食はキムチ鍋。のち、就寝。

翌日、起床。準備して出発。ここですでに45分遅れ。6:40、右側にトレースもあり、写真で見たことがあった風景だったのでここをトラバース地点と勘違いする。しかし、誰一人気付いていない。
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トラバースのち、微妙な違和感を覚えつつ進む。一応踏み跡有。かなり危険なトラバースを2つ超えたあたりで流石におかしいという話になり、引き返した。かなりヒヤヒヤした。
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しかし、その後も踏み跡は続いていた。なんなんだろうか..。なんとかトラバース開始点付近まで戻ったが、正規ルートが知りたくなったので、上に上がってみると、まさかの正規ルート発見!どうやらトラバース地点を間違えたらしい。無念。
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やり切れぬ思いのまま、下山した。

やりきれなさでいっぱいである。全体を通しての反省としては、自分含めていろいろなことに時間がかかりすぎているかと思いました。3人でのロープワークの時はリードは固定したほうが早いですね。下調べもまだまだ浅かったかと思います。近々また、リベンジもやりたいところですねー。

以上、参考記録でした。

2020.12.21 小同心クラック

2020.12.21 小同心クラック
八ヶ岳 小同心クラック の記録
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こんばんは、岩瀬た、です。
久しぶりに山に行きました。
前シーズンに登ろうと思って、途中でなんだか怖くなってしまって取り付きにすら辿り着かずに敗退下山した小同心クラック。
同じく、前シーズンに天候不良で登ることができなかったA田さんとHさん。
秋の半ばに、「小同心行きません?」と声をかけて頂いたので二つ返事で行くことに決めました。

以下、山行記録です。

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◎メンバー
A田(L)
H
岩瀬た(記録)


◎装備
8.2mmx50mダブルロープ
スリング120cmx6,180cmx1,240cmx1
ヌンチャク60cmx6,120cmx3
ハーケンx2(不使用)
イボイノシシx2(1本使用)
カムC4#0.75〜#2(何個か使った)
アックス(1本で大丈夫だった)


◎行程概要
・12/21
4:30 赤岳山荘駐車場 出発
6:15 赤岳鉱泉
8:30 大同心基部
9:40 小同心基部
10:30 小同心クラック登攀開始
14:00 小同心の頭
15:50 小同心基部
16:20 大同心基部
17:00 赤岳鉱泉
18:30 赤岳山荘駐車場


◎行程詳細
諏訪湖SAで仮眠の後、赤岳山荘の駐車場まで上がる。急な坂道もHさんの車では余裕。
良いなぁ僕も早く車欲しいな。と思いながら準備して出発。
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赤岳鉱泉まで上がって、装備を整えつつ休憩。気温計を見ると-21度。寒い。
A田さんは9枚重ね着してる(内訳どうなっているんだ)らしい。Hさんは指先の冷えから来る恐怖心と戦うべく隠し持ってきてたホットウィスキーを飲んでいた。僕も少しもらって気分良く大同心稜からアプローチ。
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トレースがしっかり残っていて、ラッセルも無く良い調子で大同心の基部に到着。
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風も無く天気も良い。
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前回来たときはここでガスが立ち込めていて、晴れるのを待ってるうちに怖くなって下山した。
その時のことを思いながら、今日の天気が抜群なことを心底嬉しく感じる。

小同心基部までのトラバースを無難にこなして準備していると、2人組の別パーティーがやってきた。
こっちは3人で時間もかかりそうなので先を譲る。ライン取りやプロテクションの取り方を見たいような、せっかくだから自分で見つけて登りたいような、ごく個人的な葛藤を持ちつつチラチラ見て(見ちゃった)、サクサク登っていく先行パーティーの様子に、「なんや、簡単そうや。」と思って取り付く。

・1P目、Ⅳ、35m、岩瀬た
先行パーティーのフォローが2P目を登り始めたのを見届けて登攀開始。目の前の緩傾斜から左上。
先行パーティーはほぼノープロで(1ピッチの中で2つしかプロテクション取ってなかった、、、)登っていたけど、僕はとれるところでプロテクション取っていこうと思って、まずは1段上がった草付きにイボイノシシを打ち込む。初めて本番で使ったけど、評判通り凍った草付きにガチ効き。
雪を払って足場を選びながらトラバースして、岩の出っ張りにスリングを巻きつつチムニーを登る。少し過剰な量のプロテクションだったかもしれないけど無事にビレイ点に到着。
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先行パーティーの様子からしていかにも簡単そうだと思っていたけど、自分で登ってみると所々緊張した。
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セカンドとサードも上がって来る。

・2P目、40m、Ⅳ、H
アプローチ中に、挑戦することと無謀な行動の違いについて話したHさんのリードでスタート。
寒さからくる恐怖心からか、若干不安がってた印象を受けてたので気持ち的に大丈夫かなと思っていたけれど、しっかり落ち着いて登り始める。。。と思ったら、ヘルメットにつけてたゴープロが岩に当たって外れて遥か遠くに落ちていってしまった。ショックが大きい。
気を取り直してチムニーの中にたくさん出ている小さなピナクルでこまめにプロテクションを取りながら登って行って見えなくなる。
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しばらくしてかすかに合図が聞こえてビレイ解除。
それからしばらく待って、「なかなか合図来ないですね〜。」なんてA田さんと話つつ待つも、一向に登ってどうぞの合図が聞こえないので改めてこちらからも合図を出すと、Hさんも何回か合図出して待っていたようで、どうやら僕らが合図に気付いていなかったみたい。すみません!

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「Hさんが見えたところで教えてくださいね〜」と頼んでセカンドでA田さんが登っている間、ついウトウト。寒い上に眠い。A田さんの呼び声で我に帰って登る。
ビレイ点は快適な小広いレッジ。


・3P目、25m、Ⅲ(+Ⅳ)、岩瀬た
A田さんにリードするか聞いたら、今回は辞退するということで、リードさせてもらう。
出だしの小ハングをズリズリ越えて、あとは快適なクライミング。
小同心の頭まで行ってビレイ。
横岳の壁を”あそこがラインかなぁ”と眺めつつビレイしていると、セカンドのロープにグッとテンションがかかる。
あらら、と思いながらしばらく待つも、なかなかテンションが抜けないので少し焦ってきた。
声をかけても返事が来ないし、もうしばらく待ってテンションが抜けなかったら懸垂して様子見に行こうと思った頃合いに、サードのロープが登って来たのでビレイ再開。
しばらくすると両方とも登って来たのでホッと一安心。
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後で聞くと、出だしの小ハングが越えられずにテンションかかったみたいで、そのままどうすることもできなくなってしまったよう。
サードが手助けして登攀再開できたようだ。
程なくして2人とも無事に小同心の頭に到着。
記念撮影。
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横岳まで行きたい気持ちもあったけれど、予定よりも時間が大きく押していたのでここから懸垂で降りることにする。
ひっかかりそうなところが多かったので、ロープ一本で懸垂開始。
1ピッチ降りたところで、後続のパーティーが登って来た。後ろには誰もいないと思ってたので驚いた。
そしてさらに驚いたことに、Hさんの落としたゴープロを拾ってくれていた。見えない遠くに落ちていったと思っていたので思いがけない幸運に感謝する。ありがとうございました!

懸垂を繰り返して無事に取り付きまで。
最後の1ピッチだけ、リングボルト1本+残置スリングでの懸垂になってしまったので少し怖かった。

日が暮れる小同心を背に、駐車場までA田さんのものすごいスピードについていく。
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あ〜疲れた!と思った頃に駐車場に到着。
下山完了。

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以上、山行報告でした。

小同心クラック、冬季登攀の入門ルートということで、冬季登攀の経験浅い3人で計画段階から気になったことは確認し合いながら行きました。
緊張する箇所もあったし合図が届かずコミュニケーションできなかったり、テンションかかった場合の対処に迷いが生じたり、懸垂するにもリスク対処せずに安易にリングボルト1つで降りてしまったり、結果的に予定よりも時間がかかって計画通りに行けなかったので、経験不足を痛感したし反省点や勉強になることが多かったです。
3人パーティーのメリットとデメリット、両方感じた山行でした。
今思い返すとすべての反省点に対処法がいくつか思いつくので、次の山に行くときに活かして行こうと思います。
とはいえ、楽しく登れたし景色も良く、満足の行く良い山行だったと思います。
何回行っても楽しいだろうなと思えるルートだったのでまた行きたいです。

A田さん、Hさん、ありがとうございました!!!
Hさん、安全地帯まで降りて来てから「もう冬山いい!アイゼンメルカリで売る!!!」と嘆いてましたが、そんなこと言わずにまた行きましょう!!笑
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2019.5.1-3 五竜岳 GⅡ中央稜

2019.5.1-3五竜岳 GⅡ中央稜
北アルプス 後立山連峰 五竜岳の記録

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こんにちは、岩瀬琢海(以下、T.I)です。
五竜岳に行ってきました。
1日目は雨でしたが、2日目の昼頃から空は晴れていて一見すると絶好の登山日和でしたが、吹きすさぶ強風に不安を感じるような天候でした。
天気図を始め各種天気情報を見て最後まで諦めずにチャンスを伺い、実りのある良い山行ができたと思います。

以下、山行記録です。
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◎メンバー
T.I(記)
H.I

◎行程概要

・4/30
22:00 神戸集合出発

・5/1「入山〜BC設営〜トレース付け」
雨のち雪
20℃〜遠見尾根出だし7℃〜BC3℃
時折風有り
5:00 道の駅白馬到着・仮眠
8:00 道の駅白馬出発
9:15 テレキャビン乗車
9:45 地蔵の頭
11:00 小遠見
12:30 大遠見
13:30 西遠見手前BC設営
15:45 トレース付け出発
16:30 G0取付き、折り返し
17:30 BC
20:00 就寝

・5/2「BC〜五竜岳一般道撤退〜BC」
雪・曇りのち晴れ
テント内3℃
稜線上強風
3:00 起床・朝食
4:30 天候待ちで、うたたね
7:30 再び起床
10:30 一般道で五竜岳に向かう
12:50 約2500m地点、撤退
15:00 BC
19:30 就寝

・5/3「BC〜GⅡ中央稜〜BC〜下山」
晴れ
登攀中ルンゼ内ー3℃程度
稜線上風有り
2:30 起床・朝食・天候待ち
4:30 出発
6:00 GⅡ中央稜登攀開始
9:30 稜線に抜ける
12:00 GⅡの頭
12:15 五竜岳山頂
13:30 BC
14:15 BC出発
16:20 テレキャビン乗車
16:40 駐車場・下山完了

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◎行程詳細

・5月1日
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目がさめると、雨のパラつく「道の駅 白馬」でした。
運転席にはH.Iさん。ぐっすり寝ている。
起こさないように外に出て、手を洗うついでに煙草を一服。
昨夜、僕も役に立たねばと思い20日ぶりになるMT車の運転を振り返り、
「SA内でエンスト3回。路上では誰にもクラクション鳴らされずに済んだ。前回よりはギアチェンジもスムースにできた気がする。よし、運転上手くなってる。」
と1人静かに感慨にふける。
見渡す田畑はしっとりと濡れている。
半クラッチの感覚を忘れないようにしよう。

しばらくしてH.Iさんも起き出し、改めて五竜テレキャビンに向けて出発。
前回(4/11-13杓子岳)に引き続き、今回は五竜岳だ。すっかり後立山に魅了されてしまった。

エスカルプラザ白馬五竜の駐車場に着き、準備を整え、スキーヤーやスノーボーダーに紛れてテレキャビンに乗り込む。
滑り行く人の波間を縫ってゲレンデをトボトボ歩き、遠見尾根に取り付く。
しばらく歩いて小遠見を越えると鹿島槍ヶ岳と五竜岳がドーンと目の前に飛び込んでくる。。。はずだったが、どんより雲で半分くらいしか見えない。雨も降ったり止んだり。
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ポツポツと歩みを進める。
やがて今日の目的地にしていた西遠見山の手前の平坦地にて、BC設営。
崩れかけのテン場跡を再利用して、雪ブロックを積み上げて強風に備える。

BC設営後しばし休憩して、やることも無いので明日に備えてG0・GⅡへのトレースをつけに行くことに。

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五竜岳東面の概念図と目の前の光景を見比べて、どの尾根が何の稜なのかも比較的すんなりと頭に入ってきて一安心。
西遠見山を少しトラバースして、傾斜のマシなところをねらって一直線にシラタケ沢まで下降。
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なかなかの高度感の中をH.Iさんがズンズン降りて行く。気後れしないように後を追い、シラタケ沢を渡ってG0の取り付きへ。
尾根と沢に囲まれて、山の中にいるんだな〜と思う。
今日はここまでとして、元来た道を戻る。
風が強くなってきた。明日はどうなることやら。


・5月2日

朝早くに起きて、朝食を食べ、外の様子を伺うと、軽く吹雪。
これはもしや沈殿なのかとテンション下がりつつうとうとしていたらどうやら寝てしまったようで、8時前にH.Iさんに再び起こされる。外が明るい。
トイレついでに様子を見ようと外に出る。五竜岳はガスの中で何も見えない。強風が吹く。
どうにも良く無い天気だ。
しばし沈殿。

携帯電波が入ったので天気図を見たり他愛ない話をしつつ過ごしていると、空が見え始めてなんとなく風が弱まったような気がしてきた。
時間的にG0もGⅡも取り付けないし、かといって何もしないのももったい無いので一般道で五竜岳まで行きましょうよとH.Iさんに提案。
H.Iさんは以前に五竜岳に登ってるのでなかなか乗り気になってくれなかったけれど、最終的に了解してくれて、いざ五竜岳へ!
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身体がほぐれて行くのが気持ち良くて、H.Iさんもきっと良い気分だろうと思い、
T.I「どうですか!テンション上がりますねえ!」
と聞くと
H.I「いや、全然。」
と連れない答え。
そうですか〜と思いながらも、僕はワクワク気分で前進。
白岳を越えたあたりから、猛烈な風に煽られる。
うわぁこれはやばいなぁ。と思いつつ、乗り気じゃなかった割にグイグイ進むH.Iさんの後を追って進むも、暴風で耐風姿勢をとる回数が増えて来たので飛ばされる前に引き返すことに。頂上まで行けず残念。
後立山の稜線の西側と東側では風の強さが段違いでした。

BCに戻って、今後の天気予測を見るけれど概ね悪く無い。晴れてるのに依然として北アルプスだけ風が強いもよう。
「このまま何もできずに帰るの嫌だなぁ。明日の感じで無理そうならH.Iさんにせめて雪訓お願いしようかなぁ。」
とか思いながら、ご飯食べて早めに就寝。


・5月3日

2時半起床。テントバタバタ風強し。
再三確認する予報では、少しマシになっていく傾向にあるよう。
朝ごはんを食べて、のんびり風の様子を伺う。
「お、風止んだかな?」
と思うとまたバタバタとテントが揺れる。
今後の風の動向が気になってまんじりともしない時間を過ごす。
今日が下山日なのと雪の状態を考えると、行動開始するならそろそろ判断しないと今が時間的に限界かなというタイミングになって来た。
何回目になるかわからない天気についての会話を交わして、ついに
H.I「取り付きまででも行ってみるかい?」
T.I「行きましょう行きましょう!」
待ってましたとばかりに二つ返事で出発。


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辿り着いたGⅡ中央稜Aルンゼ内は風も無くおだやか。

登攀開始。

1P目、雪壁
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リードT.I、フォローH.I
日が差す寸前の雪のルンゼをガシガシ登る。スノーバーやデッドマンで支点をとりつつ40m程ロープを伸ばして、太いダケカンバでビレイ。

2P目、ハイマツ帯
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リードH.I、フォローT.I
「ここがルートです」と言わんばかりの良い感じに雪が付いたハイマツ帯を登っていく。中間支点も多く取れるようで安心感のあるルートどり。25m程ロープを伸ばして松の木でビレイ。

3P目、 ハイマツ帯
リードT.I、フォローH.I
まだハイマツ帯が続く。
あれ、なんか前調べや遠望して決めてたルートと違って妙にヤブコギが続くなぁ。と思いながら登っていくも、想定してた雪壁に至らずルートロスト。
右も左もハイマツの枝ばかり。時折目に刺さる。
少し開けたところで小さな岩壁にでくわした。
どうしようかと思いつつ、とりあえずピッチを切るために近くに生えていた松の木でビレイ。25mくらいロープを伸ばした。
フォローしてきたH.Iさんとルート間違えてますよね〜としばし作戦会議。
右側は切れ落ちていて、とても進めそうにない。もっと左に本来登るはずのルンゼがあるようだったので、トラバースしてみようということになる。

4P目、岩・ハイマツ
リードT.I、フォローH.I
ピッチを切った目の前にある岩に直上できる登攀ラインが見えたので、続けてリードさせてもらう。
凹角状になった部分に入り込んで、自慢のノミックを草付きに刺して乗っこそうとしたらブチっとピックが抜けかけて「おっとっと!」と思いながらもバランスを取り直し乗っこす。ムーブの引き出しとそれに付随するパワーは大事だなと地味に思う。
乗っこした先は少しは良いように見えていたけど、思ってたよりも立ったハイマツ帯で、無理やり枝をねじ伏せながらトラバース。
15m程トラバースしたところで小さな雪のスペースがあったのでピッチを切る。
ハイマツでビレイ。

5P目、ハイマツ・雪壁
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リードT.I、フォローH.I
さらにトラバース。屈曲したロープの重みに耐えながらハイマツ地獄を進む。
落ちてもハイマツに絡まって落ちようがないから安心だけど、どうにも辛いなと思い始めたところで緩傾斜の雪壁に抜け出る。稜線も見えた。やった。
20m程しか伸ばしてないのにギンギンに重くなったロープに耐えかねて、稜線手前でハイマツの根を掘り出してビレイ。

6P目、ハイマツ・雪壁
リードH.I、フォローT.I
小さな雪庇状になった雪壁に向かって左上し、雪壁沿いに登って、ロープを10m程伸ばし稜線にでたところの松の木でビレイ。

登攀終了。

抜けることができましたね〜!と喜びながら、ロープをしまって少し休憩。

その後もしばらくハイマツこぎと、ガレ、雪壁、ベルグラと、いろんなパターンの登りがある稜線を辿ってGⅡの頭に無事到着。
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途中、ロープを出すか少し迷って、いやそれほどでも無いなと思いつつ登ったらやっぱりロープ出した方が良かったかな、、、と思うような箇所があった。
安全管理は難しい。
安全を優先するのは当たり前だけど、安全を優先すると場合によっては別の安全が失われる可能性があることを考える。
そんなジレンマを思いながらGⅡの頭でガッチリと握手。
(今回はそんなシビアな状況でも無かったし、その後の会話を思い出すと、ロープ出すべきだったと反省です。)

H.I「せっかくやし山頂行ってきたら?おれゆっくり降りとくし。」
ということで、ここで分かれてH.Iさんは下山開始。僕は山頂に向かう。
思いの外立った雪壁に息を切らせながら登り、五竜岳山頂の標識でぐるり一回転して景色を楽しむ。
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「鹿島槍カッコいいな〜」とか「やっぱりいつか劔だな」と思いながらそそくさと山頂を後にして、ダッシュでH.Iさんの後を追う。
風は強いが思ってたよりもマシだった。
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西遠見山あたりで追いつき、無事BCに帰還。
一服して、晴れ渡る五竜を眺めながらテント撤収。下山開始。
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テレキャビンに間に合うかどうかギリギリの時間で、もはや間に合わす気の無いH.Iさんに
T.I「行けますよ行けますよ!」
と無理くり(無理させてごめんなさい!!笑)歩いて、営業停止10分前にテレキャビン乗車。
下山完了。

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以上、山行報告でした。

今回、登攀に関してはもちろん勉強になること多く、うまくいって良かったなと思いますが、天候予測に多くの時間を割いたことが印象深いです。
天気図だけでなく、上空の寒気の流れ込みや地形による空気の流れの変化を直に感じることができて面白かったです。
五竜岳の雪のつき具合や、他山行記録など調べてると、どうも4月中くらいがベストシーズンなんじゃないかと思ったりもするので、また来たいと思います。
次はGⅣGⅤ中間稜やGⅤにも取り付いてみたいなと思います!


H.Iさん、今回もありがとうございました!
恵那峡〜梓川、黒丸〜吹田までの運転はお任せください!!!そして徐々に距離を伸ばして、安眠を提供できるように精進します!

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2019.2.5 堂満岳第一ルンゼ中央稜ルート

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滋賀県 比良山地 堂満岳
堂満岳第一ルンゼ中央稜ルートの記録

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こんにちは、岩瀬琢海(以下岩瀬た)です。
堂満ルンゼに行ってきました。
この山行の前後2、3日の天候の予報が不安定だったので大丈夫かなぁと思っていましたが、当日の天気は良く存分に楽しむことができました。



以下、山行報告です。

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◎メンバー
竹内(リーダー)
岩瀬た(記録)


◎行程概要
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・2/4
21:30 JR比良駅 到着
22:30 イン谷口を過ぎた広場到着・テント設営
23:00 就寝

・2/5
曇りのち晴れ
気温 ー2℃〜+5℃
所により微風
5:30 起床・朝食
6:40 出発
7:50 第一ルンゼ取付の堰堤 到着
8:20 中央稜取付 到着
12:00 中央稜終了・休憩
13:20 堂満岳頂上
14:00 金糞峠
15:00 テント場 到着・休憩・撤収
17:00 JR比良駅 到着 山行終了

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◎行程詳細

・堂満岳第一ルンゼ中央稜について
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イン谷口からの登山道の道すがら、左手に2つ連続して堰堤があるところから入山。
すぐに3つ目の堰堤があり、先に進みフィックスロープが張られている小滝を越え、支谷に入らないように右岸沿いに進むと中央稜の取付きに到着。
堰堤より先は若干トレースが残っていて、膝〜場所によっては腰まで踏み抜きつつのアプローチとなりました。
中央稜取り付きからロープを出して、登攀開始。
1ピッチ目、25m
トップ竹内、フォロー岩瀬た
出だしにⅢ級程度の岩があり、それを乗っ越して岩と雪をしばらく進む。立木でビレイ。
2ピッチ目、40m
トップ岩瀬た、フォロー竹内
岩と雪をつないで、立木とピナクルでビレイ。
3ピッチ目、30m
トップ竹内、フォロー岩瀬た
リッジ。リッジ終わりで雪面を歩き正面の立木でビレイ。
4ピッチ目、25m
トップ岩瀬た、フォロー竹内
ビレイ点を直上して進んだ先の、岩のもろそうなせまいガリーに入るか、少しトラバースして雪稜のガリーに入るか迷って、直上を選択。チムニー手前の立木でビレイ
5ピッチ目、20m
トップ岩瀬た、フォロー竹内
チムニー。落石に注意を払い、ちょうど良い間隔で生えた立木に中間支点をとりつつ登る。Ⅲ級程度。
チムニーを抜けて10m程歩いて松の木とピナクルでビレイ。
6ピッチ目、25m
トップ竹内、フォロー岩瀬た
このピッチから先は竹内さんもまだ歩いたことがないらしく、リードをしたいとのことでお任せしてみる。難なく通過。立木でビレイ。
7ピッチ目、25m
トップ竹内、フォロー岩瀬た
続けて竹内さんのリード。階段状になっている岩と草付きに雪がちらほら。難なく通過し、立木でビレイ。
あとは歩きで行けるようだったので、ここでロープをしまい、踏み跡を辿ると雪の小広い広場に出ました。中央稜の登攀終了。

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・堂満岳頂上までのラッセルについて
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中央稜の頭の小広場から頂上までトレースがありましたが、それでもところどころ膝〜腰まで踏み抜くラッセルでした。
交代番子でラッセルするつもりでしたが、「ギャッ」とか「ウワァ」とか言いながらも根性と気合で竹内さんがほとんど先頭でラッセルし、交代したのは1回だけ。
強いなぁと思いながら僕は後ろをついていくだけの1時間半でした。竹内さん、ありがとうございます!
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・雪崩について
山行日の2日前から神戸では雨が降ったり止んだり。気温も高い。
神戸のこの雨は比良では雪になっていてルンゼは雪で埋め尽くされてるかもしれないなぁと思ったりしながら当日を迎え、比良駅に着くと全く雪が無く登山口のテント場もほぼ無雪でした。
登山道に入ると雪が出始めましたが、ルンゼ取り付きまでの一般道のトレースは硬く、降雪の影も薄い。どうやら昨日までは雪ではなく雨だったもよう。
第一ルンゼの堰堤から腐った雪を掻き分け、ある程度雪崩れた跡を確認し、それでも気温の上昇に伴う雪崩の可能性を考えながら竹内さんの示す道の通りにラッセル。
中央稜に取り付けば雪崩の危険性も皆無に思われ、雪稜のリッジ部分はここ数日降ったであろう雨によって適度に削がれて程よく締まりバイルもよく効く。
ワクワク登っているうちに中央稜が終わり、しばし休憩。
時間もまだ余裕のある範囲内。
よし、今回の目標であった堂満岳の頂上まで行きましょうと、目に見えて深そうな稜線樹林帯のラッセルをこなし、無事に頂上に到着。眩しく日が当たり、風も弱く清々しい気分。
一息ついて、さてでは降りましょうと一般道を歩くと、おそらく第2ルンゼの抜け口にあたるであろう箇所に崩壊寸前の雪庇を見る。
下山の道中にも今日雪崩れたであろう箇所が一箇所あり、僕は雪崩の可能性やイメージについて無知だなと反省するような気持ちになりました。
雪の状態を見る目をつけるのと合わせて、もっと地形図を読み込むようにしようと思います。

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以上、山行報告でした。


今回、僕は初めてのアルパインクライミングで、なおかつお誘い頂いた竹内さんとは初めての山行ということもあり事前の計画段階では入門者向けのルートで情報豊富といえども雪崩のことやこの2人でのトータルの能力などを考えると未知の要素が大きく正直不安で少しナーバスになっていました。
しかし、当日を迎えて顔を合わせて話をしていると僕がこっそり懸念していた考え方や取り組み方のすれ違いも埋まっていき、結果、人間的なストレスの無い良い山行となったので、メールなどのやりとりだけじゃなくて顔を合わせてのコミュニケーションは非常に大事なんだなと改めて思いました!

また、余談ですが、中央稜での登攀はロープの流れを考慮した中間支点もとって、各々もっとロープを伸ばせばピッチ数も少なくなり、より素早い行動ができたのだろうと思います。
スポーツ的なクライミングと違って、自由にルートどりができる(登りたいルートの弱点を探って登れる)アルパインクライミングではシステム面での効率的な素早い登攀をすることが最重要なことのうちの1つに入ると思うので、次回はそれを課題に工夫してみようと思います。


竹内さん、ありがとうございました!!!
お互い早く車に乗れるようになって、良いカーライフを送れるようになったら良いなと思います!が、たまには電車で登山口に行くのも良いなとも思います!

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西穂高岳西尾根積雪期バリエーションルート

西穂高岳西尾根積雪期バリエーションルート
2018/3/30-3/31

天気:2日間、雲一つない快晴。晴れ過ぎやろ(笑)
メンバー:W(L)、U本(記)

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 樹林帯と岩稜帯で構成されるこの西穂高岳西尾根は北アルプスの槍、穂高というメジャーな山域にあるものの比較的入山者も少なく、総合的な冬山の楽しみを十分味わわせてくれる積雪期バリエーションルートであり、いずれは登ってみたいと考えていた。

 
 前半は樹林帯を伸びる急登の尾根道で積雪状況によってはラッセルを覚悟する必要があり、後半は森林限界を抜けた急斜面の雪稜登攀と山頂まで続く雪と岩稜のミックス地帯の登高というのが本ルートの特徴である。

 20㎏前後のザックを背負って積雪状況によっては深雪をラッセルしながら登る体力、雪崩のリスク判断、滑落したらほぼ間違いなく死ぬであろう危険個所が多数あり、わずかなミスでも命取りとなることから雪稜や岩稜での的確なピッケル、アイゼンでの登高技術、ロープワークに加え、入山者が少ないルートということもあり積雪状態に応じた正確なルートファインディングも必要とされる。


 計画の初期段階からWさんと何度も打ち合わせを重ねながら、実際に起きうるであろう様々な事態をシミュレーションし、必要な装備、日数、食料などを割り出して詳細を詰めていった。地形図による詳細なルート調査とお互いの力量を検討した結果、一応1泊2日でいけるのではないかとの見通しは立てていたが、雪が予想以上に多くラッセルに時間をとられる場合もあると考え、予備日1日分余裕をみて食料は2泊3日分を持ち上げることとした。また、稜線を吹き抜ける強風でコールがお互い聞き取れないことも考えられたため、アマチュア無線機を各自携行することとした。実際は最後までロープを出さずに行けたため、無線機でコールする場面はなかったが、わずか160gと軽量コンパクトであり、スマートフォンと違い分厚い手袋をしたままでも容易に操作できるという手軽さで行動中の意思疎通にとても役立った。無線機は今後も積極的に活用したいと考える。


 荷物は極力軽量化していく方針であったが、八ケ岳阿弥陀南稜で7人が同時滑落、そのうちの3人が死亡する遭難事故が本山行の数日前に発生した。山では何が起きるかわからないということも考え、50mシングルロープ1本、アイススクリュー数本、またスノーバーも持っていくこととした。

 雪山での通常の幕営装備に加えて、ダブルシャフトで登攀の安全性を高める目的で各自ピッケル2本(アッズとハンマー各1本)を携行、ラッセルがある可能性もあったのでワカン、雪崩の危険個所があるためビーコン、ゾンデ、スコップを携行したことでザックの重さは最終的に23㎏に達した。
 せめて食料だけでも軽くしたいということで今回は山岳会伝統の鍋料理でなく、アルファ米などの携行食料を中心とした簡素なものとした。さらにこの時期は雪が氷化し、滑落のリスクが高くなっていることが考えられたため、ピンピンになるまでアイゼンの全ての爪を研ぎ直す等、細部に至るまで事前準備をおこなった。


 本山行の数日前の出張で北アルプス上空を飛ぶ機会に恵まれた。槍、穂高上空を抜けるコースをうまく取ってくれればと、また雲が少なく視界が遠くまできいてくれればとひそかに期待していたところ、穂高連峰の上を狙いすましたかのように飛んでくれ、西穂高岳を上空から事前偵察することができた。3月も末にもかかわらず、穂高連峰は真っ白な雪に覆われた荘厳な雪山の装いで、来たる山行への期待が高まる。

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 午前3
時半過ぎに新穂高駐車場へ到着し、車中でそのまま仮眠する。5時過ぎに目覚め、かるく朝食をとり装備を整えて6時過ぎに出発する。前日までの激務の疲れに加えて極度の寝不足で頭はぼーっとし、体は死んだように重く、調子が上がらない。

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 新穂高登山指導センターに登山届を提出し、ロープウェイの新穂高温泉駅の下を素通りして右俣林道へ入っていく。車止めのゲートから先はがっつり雪が積もっていた。ツボ足で林道をトボトボ歩く。モナカ雪を踏み抜いては膝や腿まで埋まり、歩きづらい。

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 穂高平避難小屋についたあたりから身体がようやく目覚めてきたか、頭が少ししゃきっとしてくる。後ろから40代男性2人のパーティが追いついてくる。西尾根に入ったのは我々と彼らの2パーティ、計4名だけであった。

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 西尾根の取り付きはどこからでも良いということになっている。穂高平避難小屋の前でワカンを履き、牧場跡の柵を乗り越え、ただっぴろい雪原を突っ切って西尾根の末端にとりつく。
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 表面はパリッと、中はふんわりサラサラしたモナカ雪が積もった急斜面が尾根のすそ野から始まる。モナカ雪を踏み抜いて膝や腿まで埋まってはもがき、ザックの重みが肩からのしかかり、一向に捗らない。ふと気づくと熊の足跡が目の前を点々と横切っている。こめかみから汗を滴らせながら、熊も冬眠から目覚めてこんな深い雪の中を歩きまわって大変だな、などとぼんやりした頭で思った。
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 雪が締まっていて少しでも歩きやすいところを探しつつ、広い尾根を右上へとトラバースしながら登っていくと、少しずつ雪が締まってき、能率が上がってくる。

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 適当な頃合いでアイゼンに履き替え、肩に食い込むザックの重さにあえぎながら雪の急斜面を尾根筋に忠実に登っていく。心地よいほどに静かなブナの原生林を抜けていく。見上げれば穂高ブルーに染まった雲一つない青空がどこまでも続く。真っ白に雪化粧した錫杖岳、笠ケ岳、抜戸岳を背負いながら着実に高度を上げていく。

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 1946mピークで一息入れる。見渡せばテントを十数張りは張れそうな平地が広がっている。しかし我々が目指すのは2350~2400m付近の幕営適地。こんなところで落ち着いてしまうわけにはいかない。ずっと先まで樹林帯が続いているのが見える。

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 1946mピークの奥のなだらかなコルを抜けると西尾根主稜上へ出る。アップダウンを繰り返しながら細く痩せてきた尾根沿いの急登が果てしなく続く。モミの木の間から白銀の西穂高岳のピークが見え隠れしながら少しずつ近づいてくる。

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 15時頃ようやく2343mのコルにたどりつく。先行していた40代男性2人のパーティがテントを設営しているところだった。重いザックを投げ出し、どこにテントを設営するかWさんと頭を突き合わせて相談する。地形図を改めて確認すると30分ほど進んだ先の第1岩峰手前の2400mのコルにテントを張れそうな地形がある。2343mのコルにザックを置いたまま空身で偵察に向かう。23㎏のザックがないとこんなに身体が軽いのか、このまま空へ風船のように舞い上がっていけるかのような錯覚におそわれる。先ほどまでの亀のような重い足取りが嘘のように空身で尾根筋を駆け上がると予想どおり2400mのコルに2人用テントを1~2張りだけ張れる狭いスペースがあり、目の前に第1岩峰がそびえている。お互い迷うことなくここにテントを張ることにした。

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 2人用テントを張り、その近くにトイレを掘り、テントの脇に風よけのブロックを積み上げる。膝を突き合わせて温かい紅茶を回し飲みし、ウィスキーを舐めながらせっせと水を作る。アルファ米にレトルトカレーをかけ、ボイルしたシャウエッセンをほおばりながらカレーライスを掻き込む。シャウエッセンをボイルしたお湯で溶いたクラムチャウダースープを流し込む。アルファ米に入れるお湯の量を間違えておかゆカレーになってしまったが、お腹に入れてしまえば同じだ。満腹になった後はウィスキーを舐めながらよもやま話をしているとだんだん瞼が重くなってき、早々に寝袋に潜り込む。テントの中は暖かく快適で、朝まで夢一つみず爆睡だった。

 

 4時過ぎに目覚め、アルファ米の牛飯とコーンスープの簡単な朝ご飯をすませ、テントを撤収して6時過ぎ出発。見上げると今日も雲一つない青空がどこまでも広がり、風もほとんどない。今日もまた良い一日になるのではと期待が高まる。

 

 ここから先は昨日までの樹林帯の尾根歩きから一転、岩と雪の荒々しい岩稜へと様相が変わる。威圧的なほどに第1岩峰が目の前に高々と聳える。過去の山行記録によると第1岩峰を右へ巻いたり、左へ巻いたり、雪がついているときは第1岩峰を直登した事例もあるようだ。今回は第1岩峰下部にはほとんど雪がついておらず、所々氷柱が垂れ下がっている。
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 我々は前もって打ち合わせたとおり第1岩峰を右へ巻き、岩峰基部近くの急斜面の雪渓を直登する。所々岩が出ているが、ほとんどが雪壁。雪はよく締まっており、アイゼンが良く効く。ロープは不要。
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 雪の急斜面を登り切ると、ジャンクションピークへ向かって延々トラバース。所々前爪で登る箇所があり、ふくらはぎに堪える。もたもたしていると疲れるので駆け上がるように進む。ちょっと止まっては息を整え、足を休める。前をみると雪庇が張り出しており、下をみればどこまでも続く急な斜面。雪の下にハイマツと岩がうっすら見えるところを慎重に進む。
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 ようやく北西尾根との合流地点、ジャンクションピーク。見るからに頼りなげな細い痩せ尾根の上に北西尾根からのトレースが残っている。去年のGWにTさんとI瀬さんがここから登ってきたのだなと、自分たちが登ってきた西尾根と同じく長大な北西尾根を見下ろしながらそんなことを考える。ジャンクションピークの上に小さなコルがあり、テント跡が残っていた。1~2張り分のスペースしかないので早い者勝ちだが、北は双六岳、弓折岳、槍ヶ岳、中岳、南岳が横一列に広がり、南には焼岳、乗鞍岳、御岳山、西には錫杖岳、笠ケ岳、抜戸岳、東には西穂高岳のピーク、ロバの耳、ジャンダルム、その奥に奥穂高岳が畏怖堂々と屹立している。次に来るときは早い時間にここまで上がってテン泊し、絶景を愛でながらゆっくりお酒を飲みたいものだと思った。

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 ジャンクションピークの隣に2837mピークがそそり立つ。右側を巻いて雪稜を進むと第2岩峰が視界に入ってくる。これも岩尾根を右に巻いて岩稜右側の浅いルンゼを直登する。この辺りは岩がボロボロで浮石も多く、気が抜けない。難しさは感じないが、失敗できないので緊張感が続く。ふくらはぎが疲れてくるのが怖い。岩にしっかり乗れる場所を見つけてレストしてはふくらはぎを休め、また登る。繰り返し出てくる小岩峰ごとに急な雪壁の登りがある。雪壁にはピッケルもアイゼンもしっかり刺さる。岩峰に雪がついているところのほうが登りやすい。雪質も柔らかいところや堅いところと様々。劣化したフィックスロープや錆びたワイヤーが所々垂れていたが、雪に埋もれているところも多かった。正しいルートを進めているというとりあえずの指針にはなる。天気に恵まれ、幸いロープを出さずにすんだ。

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 山頂直下の最後の核心部の岩場に差し掛かる。古いロープが垂れていたが、大半が雪に埋まっている。丁寧に足場を確保しながら垂直に切り立ったルンゼをダブルアックスで慎重に体をせり上げる。特に難しさは感じないが、見下ろすと完全に切り立っていて高度感が半端ない。このドキドキ感がたまらない。雪崩の跡が所々に残る西穂沢の雪渓が遥か麓まで伸びている。登攀する足元から崩れ落ちた雪塊が数百メートル垂直に切れ落ちた絶壁を次々落ちていく。わずかなミスも許されない。

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 ルンゼを乗り越えると西穂のピークへの最後の斜面が陽光にきらきら輝いている。そのまま一気にピークへ駆け上がる。

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 西穂高岳山頂。パートナーとがっちり握手する。お互い自然に笑みがこぼれる。雲一つない穂高ブルーの青空がどこまでも冴えわたり、360度の大パノラマが広がる。絶景に圧倒される。山頂は無人で我々だけだった。撮影大会をし、景色を楽しみながら携行食をほおばり、温かい紅茶を味わう。ここから離れるのが惜しい。

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 下山開始。急峻な岩稜に雪の痩せ尾根が続き、独標までは気が抜けない。ロープウェイの時間に確実に間に合うという安心感からか、絶景を十分に味わいながらアップダウンを繰り返しつつ標高を下げていく。

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 ピラミッドピークから独標までの細い尾根を何人もの人が続々こちらへ登ってくる。午前中のロープウェイで上がってきた人たちだろうか。

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 独標。ここまでくると大勢の登山客で賑わっていた。ここでまた少し休憩する。狭い高台に大勢の人がひしめいており、傍のグループの大声が耳に飛び込んでどうにも落ち着かない。先ほどまでいた西穂山頂の静寂が早くも懐かしい。早々に休憩を切り上げて西穂山荘めがけてさらに下る。

 

 丸山を通過し、広くなだらかになってきた斜面を降りると西穂山荘。山荘の前に重いザックを下ろして名物の西穂ラーメンを頂く。味噌味の温かいスープが胃にしみわたる。

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 西穂山荘からロープウェイ駅まではこれでもかというくらい丁寧な案内看板とデポ旗が点々と続く雪道を降りていく。1時間ほどでロープウェイ駅到着。着くとすぐにロープウェイが発車し、15分ほどで新穂高温泉駅到着。新穂高登山指導センターへ下山届を出して温泉に向かう。中崎山荘奥飛騨の湯の開放感満点の露天風呂で2日間の汗を流す。さっぱりした後、体重計に乗ってみるとWさんも私も2日間で2㎏落ちていた。あと4回通えば10㎏は落とせる計算だ。

 

 本ルートは、第1岩峰の取付きから山頂直下の緩斜面に出るまでは険しい岩稜帯、急峻な雪稜やオープンバーンの雪壁の連続で気の抜けるところはほとんどなく、緊張感を張り詰めたなかでの持続力が求められる。また雪庇や雪の状態を判断できる氷雪スキルは勿論、アイゼン、ピッケルワーク、重装備を担ぎながら登高を続ける強靭な体力が必要である。バリエーションルートのため入山者は少ないが、滑落事故もしばしば起きており、慎重な行動と判断が求められる中上級者向けのルートであると感じた。深雪でのラッセルが多かったり、天候が不安定なときはかなり手強いルートになると思われた。今回は天候にも恵まれ、雪の状態も安定しており、ラッキーであった。

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 Wさん 楽しい山行ありがとうございました。やっぱりアルパインクライミングは楽しいですね。またこれからも色々なバリエーションルートにチャレンジしましょう。

 

≪コースタイム(超アバウト)≫

330:

午前6時過ぎ:新穂高登山指導センター  午後3時過ぎ:2343mのコル  午後4時過ぎ:2400メートルのコル(泊)

331:

午前6時過ぎ:2400メートルのコル出発  昼前、西穂高岳山頂  午後1時半過ぎ:西穂山荘  午後4時、新穂高ロープウェイの新穂高温泉駅(新穂高登山指導センター)
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