冬山登山

2025.1.13 堂満ルンゼ中央稜

新人の中村です。
初めて記録を書きます。

中村、須川さん、川さん、橘さんの4人で堂満ルンゼ中央稜に行ってきました。
前々から行きたいと思っていたルートなので行くことができて嬉しいです。天気も悪くなく、4人揃ってナイスなクライミングとなりました。

以下、記録です。


前夜初で夜11時半ごろイン谷口に到着。
橘さんがメルカリで1万円で購入したという4テンで宴会した。
日本酒と焼酎の熱燗をいただく。今度から僕も持っていこう。

僕が持ってきたファミマの冷凍の牛カルビ飯も大好評でした。モンベルのフライパンは、料理するのは手間だけど温かいものが食べたい冬の宴会にもってこいですね。

昨日の酒が残っているようないないような、重い体を持ち上げ出発。
朝イチの長い林道歩きはけっこうしんどいです。
アプローチ











そして中央稜へのアプローチはよくわからないです。スミマセン。

1P下部











取り付きにて

1P 岩稜

出だしが核心で、若干被っている。気持ち程度のカムを決め、思い切り乗っ越した。

スタンディングアックスビレイでセカンドを引き上げるが、シビアな個所があるピッチでは簡易ビレイは心もとない。
須川さんによると、ビレイ点の後ろの大岩にカムで終了点が取れるそうだ。

2P 雪稜
2P











1P目終了点から大岩を右巻きに登りリッジに乗る。快適な雪稜登攀だが、ピナクルのクライムダウンがあり少々面食らう。

3P 雪稜
3P











本来は4P目のチムニーの下のルンゼを登るようだが、今回はその横のスノーリッジを行った。

このリッジは雪があまり付着していないようで、橘さんのラッセルで地面が露出していた。
しかも地面は少々脆く、土にアイゼンを蹴り込む、まるで沢の高巻きのようなクライミングとなった。

4P チムニー
4P











スタンスがほとんど見当たらない。
木の根を頼りにステミング気味で体を持ち上げる、ちょっぴり痺れるクライミングとなった。

橘さんによると、本来は階段状になっているそうだ。崩壊したのか、雪で埋まっていただけなのか...

途中、うっかり浮き石に手をかけてしまった。
幸い落石には至らなかったが、アルパインではこういうところも注意しないといけないな。

5P 雪稜

快適な雪稜。途中、短いナイフリッジが現れる。

6P 岩稜
5P











出だしはスラブで少し気持ち悪い。
写真にある岩場を抜けると立派なスラブがあらわれるが、難しそうなので今回は巻いた。ロープがかなり屈曲するので最後はめちゃくちゃ重かった。上手い人なら直登できるんだろうな。


ここでクライミングセクションは終了となり、安全地帯まで10メートルほど登ってロープを解除した。

帰りは雪も安定していたので1ルンゼから下降する。
30分程度で林道まで戻ることができた。堂満岳まで登っていたらどれくらい時間がかかっただろうか?


以上、記録でした。
初めての堂満ルンゼ中央稜は、年末に小同心クラックを登っていたこともあり、わりと簡単でアルパインの入門にはもってこいのルートだと思いました。とはいえ、同時にクライミング能力もある程度ないと厳しいなとも思ったり。

カムはキャメロットの0.5-3が有効。
スリングは60cmを使うことが多かった。

2024.12.31-2025.1.2 南八ヶ岳 旭岳東稜

あけましておめでとうございます。

はじめまして、新人の川です。


年末年始の連休に南八ヶ岳は旭岳東稜に行ってきました。


自身初のアルパインクライミングだったこともあり詳細な記録を取る余裕もなかったため、
僭越ながら山行を通して感じたことを中心に書き綴っていきます。

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以下は、新人が厳冬の八ヶ岳で洗礼を受けた記録になります。


■1日目(2024年12月31日) ~美しの森から出合小屋まで~

深夜1時に神戸を出発。ガラガラの名神と中央道を経て予定より早く美しの森駐車場に到着。

宴会セットのおかげで26kgを超えているであろうザックが不安だったものの担いでみると何とか大丈夫そう。
直近に歩荷トレを何度かやっておいて良かったと過去の自分に感謝した。


林道を歩き堰堤越えを何度も経て、あっという間に拠点となる出合小屋に到着。
小屋はもぬけの殻で(私たちと同じく旭岳東稜を登攀予定の2人組パーティが後からやってきたのみ)、
4テンでの4人テント泊から小屋での至極快適な宿泊に変更となった。


落ち着いた頃に寄せ鍋と飲酒による宴会が催され1日目は過ぎていった。

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■2日目(2025年1月1日) ~旭岳東稜の登攀~

午前1時過ぎ、目が覚めるとすでに皆起床していたため、そそくさとシュラフから這い出る。
各自朝食を済ませ、予定通り3時に出発。期待と不安が入り混じる2日目がスタートした。

小屋から沢筋の右岸を少し辿り、前日に偵察していた尾根末端に取り付く。
途中1箇所で懸垂下降をこなし、5~10m程度のちょっとした岩場でお助け紐を出してもらいつつ高度を上げていく。


五段の宮直下の急斜面に差し掛かり、小屋で宿泊していた2人パーティが追いついてきたので先頭を譲ると、瞬く間に斜面の上部へと消えてしまった。
それに対して私はというと、落ちれば明らかにアウトな急斜面でアイゼンの前爪がキマっているかどうにも信用ができず、かなりもたついていた。

「こんな斜面でいったい何十分無駄にするつもりだ?」という思いが一瞬頭をよぎるものの、
落ちれば元も子もないので一歩ずつアイゼンとアックスが効いていることを確認しながら慎重に登る。
もはや「怖い」といった感覚ではなく「落ちないよう一挙一動に全集中しよう」という感覚だけが頭を支配していた。

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私にとっての核心部をどうにか抜け、五段の宮の取り付きに這い出る。安堵感と快晴の八ヶ岳ブルーの絶景を前に緊張が途切れ、ただただ眠くなりそうな感覚だった。

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▲五段の宮取り付きから赤岳方面の眺望


その頃、ちょうど先行パーティが五段の宮に正面から取り付くところだった。安定感のある登りで強いクライマーだというのが伝わってくるのと同時に「こりゃ直登はムリだな」と直感する。


10時頃、藤本さんが左側の草付きより五段の宮登攀を開始。
三段目の少し下辺りにある太い潅木でロープをフィックスし、続いて私がアッセンダーでユマーリングのように登っていく。
終了点に辿り着き「こんなとこリードするなんて凄い!」と驚いていると、藤本さん曰く「支点たくさん取れるから簡単やで」とのこと。マジっすか…


2P目を登り終え時計に目をやると、すでに14時40分。日没のちょうど2時間前だった。
私のような不慣れなメンバーがいるとこんなに時間が掛かるのかと申し訳なさでいっぱいだった。


3P目と5P目はお互いコールが届かず、ロープがいっぱいまで伸びる。


5P目終了点で山頂直下に出るもついに日没を迎える。
そこから藤本さんが山頂までロープを伸ばしたところ、簡単なのでフリーで行けるとのこと。
セルフビレイを解除し最後の斜面を駆け登る。


登頂の喜びに浸れると思いきや、山頂に出た瞬間に長野県側から猛烈な風が襲いかかってきた。
そういえば雲の流れめっちゃ早かったなぁなどと思い返しながら、記念撮影の余裕もなく早々にツルネ東稜まで試練の稜線を辿り始める。

暴風で身体が持っていかれそうになり、氷の粒が顔面に突き刺さる。こりゃ厳しい。
快晴微風というこれ以上ない好条件で忘れかけていたけど、厳冬期の八ヶ岳にいるということを嫌でも思い出させられた。


何とかツルネ東稜に逃げ込むと嘘のように風が凪いだ。各々体勢を立て直し下降を開始する。

赤テープ豊富な尾根をダラダラと下り続け、21時頃にようやく出合小屋に帰還。
件の2人組パーティはすでに撤収していた。

もはや夕飯を食べる気力もなく、冷え切った体を温めるために熱燗を煽り、
申し訳程度のツマミを胃袋に収めてシュラフに潜り込んだ。


■3日目(2025年1月2日) ~下山~

7時前に目が覚め、昨晩食べる予定だったカレー鍋を作り始める。
出汁が効いたのか、いくらでも食べられるくらい美味しかった。


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食後一息ついたところで、本日入山してきた2人組が入ってきたのをきっかけに下山準備を始める。
食料を消費したにもかかわらず入山時と重さが変わっていないどころか更に重くなったんじゃないかと思えるくらいザックが成長しており、
下山はお気楽ハイキングだと楽観視していた私の期待は粉々に打ち砕かれることとなった。
(1日目よりは歩行が多少楽だったので実際は軽くなっていたと思う)


下山後は小淵沢IC近くにある「塚治朗」でボリュームのある蕎麦をいただきました。

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■まとめ

今回、旭岳東稜という私にとって分不相応とも言える場所から無事に帰ってこられたのは、
ひとえに経験豊富な先輩方のサポートがあったからであり、自身の実力不足をこの上なく痛感しました。

それと同時にアルパインクライミングの楽しさの一端を味わった気がします。(実際めっちゃ楽しかったです)

ご一緒させていただいた藤本さん、須川さん、岩瀬さん、本当にありがとうございました!

これまで以上にトレーニングに勤しんでまいります!

厳冬期の八ヶ岳 旭岳東陵

八ヶ岳 旭岳東陵
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こんにちは須川雄です。正月山行は涸沢岳西尾根~穂高に行く予定でしたが、年末年始の冬型が厳しい予報でしたので八ヶ岳の旭岳東陵に変更しました。八ヶ岳の旭岳は2671m。旭岳東陵は18年前に滝口さんと岩瀬さんで取付いて敗退したルート。今回は岩瀬さんとエースの大さん、期待の新人の川さんの4人で行ってきました。

 ■メンバー L大さん 岩瀬ひ 川さん 須川(記録) 
▶1日目 20241231
・730分 美しの森到着
・815分 美しの森出発
・1050分 出会い小屋着
連日、日本海側の豪雪のニュースが流れているが八ヶ岳の雪は少ない。美しの森から出会い小屋まで3時間ほど。宴会セットが重くザックが肩に食い込んで辛い。雪のない林道を歩き、途中から川俣川地獄谷に降りる。堰堤をいくつも越えて標高2037mの出会い小屋へ。

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出会い小屋は香港から来た若い二人組の男女パーティーがいるだけで空いている。テントを張る予定だったが、広い小屋を使えて快適。小屋の隣にはトイレもある。
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今日は低気圧の影響で、ずっと雪が降っている。しんしんと降る雪の中、旭岳東陵の取付きまで偵察する。すぐに小屋に戻り、特製寄せ鍋で宴会して早めに就寝。
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▶二日目 2025
11
・1時 起床
3時 出会い小屋発
610分 日の出
820分 雪壁
930分 五段の宮取付き
1000分 1ピッチ目 五段の宮左の草付き
1210分 2ピッチ目 五段の宮(3段目~)
1450分 3ピッチ目 ナイフリッジ
1620分 4ピッチ目 岩稜帯
1712分 5ピッチ目 岩稜帯
1730分 旭岳ピーク
1830分 ツルネ下降路
2110分 出会い小屋着
1時に起床し各自朝食を食べて3時に出発。昨日は一日中雪が降ったが、ところどころトレースが残っている。旭岳東陵は権現沢と上ノ権現沢の出会うところの急登をラッセルしながら登る。尾根はやせていているので、尾根伝いに歩ければルートを間違えることはない。


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標高2150m辺りで尾根が切れ落ちており進めない。ロープを出して懸垂する。ここからやせ尾根が続き両側が切れているために二回ほどロープを出す。2250m地点には少し広い場所があるので、テントを張ることが可能。急斜面が続きアックスを草付きの斜面に刺しながら登る。このあたりで日が昇ってくる。暗闇にオレンジが浮かび上がり、赤い光線が雪面を照らす。
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日の出の瞬間は見れなかったがモルゲンロードで朝焼けに染まった山が美しい。振り向けば富士山が見える。元旦から日の出と富士山で縁起がいい。
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標高2500m辺りは雪壁になり凍った草付きにアックスを刺しながら登る。下が切れ落ちているのでダブルアックスが必要。新人の川さんがアックスに不慣れで苦戦している。このあたりで、香港人パーティーに追い付かれラッセルを代わってもらう。サラサラ雪のラッセルと急な草付きの雪壁。落ちると止まらない緊張感の中で川さんも奮闘。
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標高2550mの五段の宮に到着。まさに岩が5段になっている岩壁で圧巻。大迫力で直登は難しそう。
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先に着いていた香港人パーティーは直登で登っている。プロテクションも取れず厳しそうだ。文献ではⅣ級+。太陽も登り気温も上がり暖かい。晴天の下、赤岳も一望できテンションも上がる。
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ピッチ目は大さんが左の草付きをリード。ハイマツの灌木で支点を取りながらダブルアックスで登攀。下がスパッと切れ落ちていて高度感が半端ない。緊張感が続くクライミングだが、大さんが安定した登りで進んで行くのが頼もしい。一本のロープで終了点にフィクスし、川さんと岩瀬さんがアッセンダーで登り須川引き上げで登る方式なので時間がかかる。
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2ピッチ目も大さんが五段の宮の3段目の少し左からいっぱい伸ばす。ところどころ岩が浮いていて気持ち悪い。先ほどより支点を取る箇所が少ないようだ。岩に着いた雪を落としながら直登してから左上していく。
3ピッチ目はナイフリッジの雪稜で須川がリードする。先行パーティーがトレースを付けてくれているのでなんとか通過できたがトレースがなければ両側が切れ落ちたナイフリッジは気持ち悪い。雪の下に埋もれているハイマツを掘り出してプロテクションを取りながら進む。


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ピッチ目は旭岳の肩までの雪壁。五段の宮のような難しさはないが、滑落すると一巻の終わりで緊張が続く。このあたりで太陽が権現岳の陰になり、急に寒くなる。予想以上に時間がかかっているので日が暮れるまでに安全圏の稜線まで出れるか不安になる。すぐ近くに権現岳のピークが見えているが、旭岳のピークは見えない。
5ピッチ目は肩から頂上直下までの岩稜帯。権現岳が太陽を隠すので、かなり寒くなり風も出てきて焦る。
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ピッチ目終了時点で日が暮れてしまいヘッドランプ着用。旭岳のピークは目と鼻の先。ここからピークまではロープ不要でコンテで通過する。念願の旭岳のピークに到着するが、真っ暗の上に強風で感激する間もなく下山に取り掛かる。

旭岳のピークからツルネ下降の取付きまでは一般縦走路。バリエーションルートのようないやらしさはないが、強風でバランスが崩れる。吹雪ではないだけましだが、旭岳からツルネまでの急なくだりを慎重に下る。
ツルネに入ると風も治まり小休憩する。緊張感が解け一気に疲れが出て座り込んでしまう。行動時間も長くかなり消耗しており、疲労困憊で足が踏ん張れずフラフラになる。ツルネの東陵はトレースがあり、赤テープも豊富にあるので道に迷うことはなかった。なんとか出会い小屋に着いた時には出発から18時間行動していた。香港人のパーティーは下山しており、自分たちしかいない出会い小屋で食事も食べずにそのまま寝てしまう。

 

▶3日目 2025年1月2

730分に外の明るさで目が覚める。疲れすぎて一度も起きなかった。昨日の夕食予定だったカレー鍋を食べる。疲れ果てた体に染みてかなり美味しい。

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重たいザックを背負い、美しの森へ。道の駅こぶちさわの延命の湯で疲れを落とし神戸まで帰る。

 

※今回は天候もよく五段の宮からは先行パーティーのトレースもある好条件。計画よりかなり時間がかかってしまったのは、大さん以外のメンバーの実力不足。これからトレーニングを積み、来年こそは涸沢岳西尾根から奥穂高を目指したい。
個人山行が主体の中で新人育成の山行にご一緒してくれた大さん。長年のパートナーの岩瀬さん。やる気のあふれる新人の川さん。楽しい山行を共にできて楽しかったです。ありがとうございました。また行きましょう!

年越し!高島トレイル

三重嶽手前



メンバー 松本智圭・須川雄司(記録)

 ■はじめに

滋賀県高島市にある山の道「中央分水嶺・高島トレイル」。琵琶湖と若狭湾を同時に望むことができる、自然豊かなロングトレイルに大先輩の松本さんと須川で縦走してきました。高島トレイルはマキノの愛発越えから今津の山を経て、朽木の三国岳に至る80㎞のロングコース。藪に埋もれていた古道や山道を地元の方が整備して2007年に開通しました。自然に囲まれた未舗装のトレイルを長く歩けるのが魅力です。一般的に夏路で6日かかるコースです。

 本来であれば、愛発越えから朽木まで南下するのが通常コースですが、お正月に朽木までのバスが運休していることと、後半のエスケープルートを考えて朽木から愛発越えまでの、逆コースで計画しました。

  

0日目 12月29日

29日の仕事納めの後に急いで家に帰り、忘れ物がないか最終確認して、2230分の京都発JR湖西線で安曇川駅まで。駅近くの公園でテントを張らしてもらい、前夜祭の祝杯を上げる。

 

1日目 1230

739分   安曇川発バス

930分   桑原橋

1143分 三国岳

138分   岩谷峠

1533分 地蔵峠

1619分 休憩舎着

739分安曇川駅発のバスで朽木支所まで、そこから市バスで高島トレイル終点の桑原橋まで。市バスの運転手さんが「今年は近年まれにみるほどの雪が少ない」と教えてくれる。

桑原橋には全く雪がなく、年末年始も暖冬の予報。桑原橋から三国岳までは急な登りが続く。久しぶりに重たい荷物を担ぐので、ザックのベルトが肩に食い込んで痛い。天気は良くブナ林が一面に広がり気持ちよい。地蔵峠から40分ほど下った休憩舎の東屋の下が今日のキャンプサイト。予報では今晩から全国的に雨。食事は味気ないが、夜はアルファー化米と袋麺で朝は棒ラーメンと餅が一つで全日通した。19時頃から雨が降ってきたが、東屋のおかげで快適に眠ることが出来た。

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■2日目 12月31日

650分   休憩舎発

813分   クチクボ峠

118分   おにゅう峠

1251分 百里ヶ岳

1355分 木地山峠

1446分 桜谷山

164分   与助谷山着

昨日の夜からの雨が続く。気温は高いので寒くはない。雨対策をして出発。小雨になったり本降りになったり、青空が見えたりと山の天気は目まぐるしい。三国岳からナベクボ峠までは「高島トレイル」と書かれた黄色いテープはないので、ルートファインディングに集中しなければ、すぐにルートを外してしまう。眺望もない雨の中を無心に歩く。高島トレイルは80㎞あるが、1000メートルまでの低山ばかりでアップダウンは比較的少ない。百里ヶ岳山頂で一瞬の晴れ間がでて、虹がかかり癒される。予定では水場のある木地山峠で泊まる予定だったが早く着いたので距離を延ばす。木地山峠で水を汲み与助谷山まで行き山頂でテントを張る。雨は降り続き、風も出てきてテントの中もビチャビチャに濡れてしまう。
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3日目 11

650分    与助谷山発

745分    駒ヶ岳

108分    横谷峠

1340分  桜峠

1541分  二ノ谷山

17時    水坂峠着

天気予報では朝には雨が止むはずだが、その気配はない。雨の中を駒ヶ岳へ、このあたりから雨からみぞれに変わってきた。13時ごろにやっと天気が回復し若狭湾が見える。横谷峠から桜峠までの間で送電線を超える箇所があるが、工事中のようで通行止めになっている。迂回することもできないのでそのままロープをまたぎ通過させてもらう。桜峠でいったん集落まで降りる。二ノ谷山から歩いていると、急に立ち眩みのような揺れがあり目の前がくらくらする。後でこの揺れが能登半島地震であったことを知る。朽木からこの辺りは携帯電話が入らないので、ラジオを持っていくことをお勧めする。暗くなる一歩手前で水坂峠に到着。隣に小川が流れており、すぐに水が汲める。雨は止んだが、濡れたままの寝袋の中に横たわり、眠れない夜を過ごす。ここでやっと高島トレイの中間点。

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■4日目 1月2日

640分    水坂峠発

950分    武奈ヶ嶽

1333分  三重嶽

156分    大日尾根

1650分  大御影山着

水坂峠から武奈ヶ嶽まで、いきなりの急登を登る。このあたりから雪が積もっている。日本海に近い今津の山になるので、雰囲気は一変する。雪は20cm位しか積もっていないのだが、ラッセルが辛い。雪で足が上がらず体力が消耗し歩行スピードが極端に落ちてしまう。疲労も限界で、松本さんに遅れてしまう。松本さんは重荷力もあり、強く頼もしい。今日は天気が良く、日本海の若狭湾がすぐ近くに見える。
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晴天の雪山登山でテンションは上がるが体が追い付かない。抜土まで行く予定だったが、大御影山の山頂で日が暮れだしてしまう。夏なら抜土まで行かないと水場がないのだが、雪は豊富にあるので水にすることが出来るので大御影山山頂でキャンプとする。夕日が美しい至福の時間。

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5日目 13

740分     大御影山発

915分     抜土

1050分   大谷山

1147分    寒風

1320分    マキノ高原温泉さらさ着

ラッセルに時間がかかるので、高島トレイル始点の愛発越えまでの予定は諦めて、マキノ高原温泉さらさまでのルートに変更する。この辺りは、琵琶湖と日本海が同時に見えて眺望が最高。ブナ林の葉も落ちて遠くまで見渡せる。途中で熊?ような足跡が続いている。大谷山手前に石庭という場所があり琵琶湖の水蒸気が雲海を作り絶景。寒風について、やっと自分たち以外の登山者に出会う。ここからは、雪もない道をマキノ高原温泉さらさまで快適に下る。温泉で5日分の疲れを癒して湖国バスでマキノ駅まで行き。新快速で神戸まで帰る。

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■おわりに

最近はクライミングや沢登りなどばかりで、荷物を担いで長期で山に泊まることはなかった。今回のロングトレイルでは衣食住を全て担いで歯を食いしばりながら、日の出から日の入りまでひたすら歩いた。一歩一歩の小さな積み重ねでどこまでも進むことができる。久しぶりに山で生活することによって、登山という行為は、なんでも自分でやらないと生きられない「シンプルな遊びだな」と改めて感じた。雨が降っても雪が降っても地図とコンパスを頼りに、目標に向かって進む。生き抜くために知力と体力をフル活用して行動する。努力するからこその感動がある。登山は奥が深く人生そのものだ。

 

今回、ご一緒くださった松本さん。30年近い付き合いだが、久しぶりに一緒に山に入ってみてやっぱり山仲間は一生の財産だと感じた山行でした。ありがとうございました。また山に行きましょう!

2022.1.7-9 比良縦走

2022.1.7-9 比良山系 縦走 の記録

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明けましておめでとうございます。岩瀬た、です。
本年もよろしくお願いします。

今年一発目の山行は、じっくりと山を歩こうと思い、今冬の特色とも言えそうな積雪を期待して比良の縦走に行くことにしました。

当初1人で行くつもりでしたが、そういえば昨年に不動岩でアイゼントレーニングをした際、1月にどこか雪山歩きに行こうかという話を野間さんとしたのを思い出し、誘ってみたら行くということだったので2人で行くことにしました。

堂満岳から入って朽木までの比良山地半縦です。

以下、山行報告です。

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◎メンバー
岩瀬た
野間


◎行程概要
・1/7
20:00 JR比良駅集合、出発
22:00ノタノホリ 泊

・1/8 晴
4:30起床
6:00出発
10:00堂満岳
11:00 金糞峠
13:20 武奈ヶ岳
15:15 鶴瓶岳
16:00 イクワタ峠近辺 泊

・1/9 晴
4:30 起床
6:30 出発
7:30 地蔵峠
10:30 蛇谷ヶ峰
12:00 朽木温泉てんくう


◎行程詳細
・1/7
仕事を終わらせて比良駅にて野間さんと待ち合わせる。
堂満岳はラッセルになると思い少しでも早く取り付くための前夜入り。ノタノホリまで辿り着けなかったら適当なところで泊まろうと思っていたけれど、登山口からトレースがあり難なくノタノホリに到着する。トレースあってラッキーと思いつつ少し拍子抜け。

今回は雪山でツェルト泊をする練習も兼ねていたので僕と野間さんと各自でツェルトを準備する予定だったけれど、野間さんのツェルトはエマージェンシー用のツェルトで寝転がれるサイズでは無いことが3日前くらいにわかって、僕のツェルトで通すことにした。
今夜はストックで設営。
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僕のツェルトはファイントラックのツェルト2ロングの旧型。
一応2〜3人サイズで、2人で入るのは初めてだったけど野間さんが小柄なおかげもあり、まぁ大丈夫な広さだった。(天気が良かったので荷物は外に出した。中に入れてもギリ大丈夫そう。)
野間さんは大学時代にワンゲル部だったようで、テント(というか今回はツェルト)の中のスペースの使い方がきっちりしていた。僕はどちらかというとテントの中で物をポイポイ広げるのはあまり好きじゃないタイプ(実際に広げずに過ごせてるかどうかはまた別問題ですが、、、笑)なので、良かった。


・1/8
4:30に起床して朝ごはん食べて出発。
トレースあるから楽々と思ってたけどツボ足では流石にズボズボなのでわかんをつける。
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しかし、程なくしてトレースが終わってしまった。
よーし待ってましたとばかりにラッセル開始。
序盤はスネから腰くらいだったものの、傾斜があるところでは頭くらいの高さになったりもして思う存分に交代番子でラッセルをする。
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野間さんも今回はラッセルトレーニングと思ってたみたいで、かなり頑張ってくれていた。タフガールだ。ラッセルのコツを話しつつ試しつつで進んで、後半はなかなかサマになってて良いペースでいけたので良かった。
トレースをつけるのはしんどいけれど、後ろを振り返って進んできた道を見るとやはり気持ちが良い。

堂満岳の頂上で少し休憩して金糞峠へ。登りほどしんどくは無いけどボチボチの進み具合。

金糞峠からはバッチリのトレースがついていたのでルンルン気分で武奈ヶ岳へ。

武奈ヶ岳山頂は晴天の下たくさんの人がワイワイしていた。
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良い天気だ。
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写真をとったり、これから先の山並みを眺めたりして一服後、北稜線へ。

ここからまたラッセルだろうと思っていたけれど、反対から進んできたわかんのトレース1人分が伸びてきていた。
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このトレースは結局蛇谷ヶ峰まで続いていて、どうやらタフガイがいた模様。たった1人延々続く足跡を見るだけで、どんな人なのか見てみたくなる。

トレースにだいぶ助けられて、鶴瓶岳を越えて予定通りイクワタ峠へ。
日没まで時間があったのと風も弱い予報だったので、雪斜面を削ってツェルトを被せて泊まってみることにする。
雪洞に関して細切れの知識しか無かったけれど、雪崩なさそうな雪質、地形ということと積雪深が充分にあることを確認して作業開始。
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幅をツェルトのサイズギリギリにしてしまったのでちょびっと隙間ができてしまったけれど、高さがあってなかなか快適な空間ができて良かった。
今回は雪洞とは言えない作りだったけど、今冬こそ悪天候でもきちんと過ごせるような雪洞を作って泊まってみたい。

野間さんの用意してくれたミートパスタ&たらこスパゲッティを食べて就寝。気温も低く無く、快適な夜だった。
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・1/9
今日も晴れ。
トレースがあることで気も緩んで結構ゆっくりと朝を過ごして出発。
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琵琶湖一面に雲海が広がって、とっても綺麗でした。
ここから先は急な登りとかは無いものの、水平移動が多く、広くなったところを通ることが多いのでガスったら嫌だなと思ってたけど、全て杞憂に終わった。
天気は良く、トレースはあり、快適そのもの。
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スノーハイキング感すら漂う。

トレースをつけてくれた会うことの無いタフガイさんありがとう。

ちゃきちゃきと進んで昼前に蛇谷ヶ峰に到着。
武奈ヶ岳から歩いてきた道のりが見えて気分良し。
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しばらく休憩して、よく踏み固められた道を歩いて、朽木温泉てんくうで温泉に入り、岩魚山椒煮そばを食べ、シャトルバスという名の軽バンに乗せてもらって朽木の町まで行き、バスで安曇川駅へ。

電車に乗って家に帰りました。下山完了。


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以上、山行報告でした。

久しぶりに雪山を半泊+1泊2日、歩くことができて良かったです。
体力作りはやはり山に入るのが1番だとまた思いました。
今回はラッセルは堂満岳だけだったので予定より早く歩けましたが、フルラッセルだったら3日間くらい欲しい感じでした。
また、南比良は1度も行ったことがないので、そのうち行って、良い感じだったら冬の比良全縦もしてみたいです。


野間さん、ラッセルお疲れ様でした、お互い雪洞の勉強してまた行きましょう!!

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