クライミング

2025.4.29 御在所岳 前尾根

こんにちは、川です。


GW早々、アルパインクライミングの入門ルートとされる御在所岳の前尾根に須川さんと行ってきました。

山岳会に入会する以前より登りたいと思っていたルートで、事前に過去の記録を読み漁って臨みましたが、登るのに精一杯で様々な課題が浮き彫りとなった山行になりました。


■メンバー

須川さん(L)、川(記録)


■主なギア

・ロープ(8.2mm 50m) ×2本

・カム(0.5〜2番) ※3番があってもよかった

・クイックドロー ×各5本

・アルパインヌンチャク ×各3本


■行程

・05:30 駐車スペースより出発

・06:00 藤内小屋

・06:30 前尾根取り付き

・07:00 登攀開始

・11:30 ヤグラ終了点

・13:30 駐車スペース



前日22時に神戸を出発し、名神と新名神を経由して裏道登山口へ。鈴鹿の山は初めてだけど意外と近いのね。

5時まで仮眠し、各々朝食を済ませて5:30頃に出発。


途中、兎の耳やカリフォルニアドリーミングを見上げながら快調に進み、6:30頃に誰もいない取り付きに到着。

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準備を済ませ7:00頃に須川さんリードで登攀開始。


ロープが岩に挟まり流れが悪いため立木の辺りでピッチを切る。

フォローで登り始めるが、案の定クラックで少しもたつき先が思いやられる。

2P目は出だしが難しく、引き続き須川さんがリード。私は迷うことなくヌンチャクを鷲掴みにし何とか離陸した。
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3P目のP6はリッジルートをリードさせてもらう。

登るのに必死なあまり、短いフェースをひと登りすれば歩きのパートというところで、誤ってチムニールートの終了点でピッチを切ってしまう。全然先が見えていなかった。

風が強まってきたのでレインウェアを着る。雲が冗談みたいな速さで流れているので上の方は爆風であろうことが伺える。

P5を経てP4の凹角ルート(?)をリードで登る。

それほど難しくなくルンルン気分で高度を上げるが、いよいよ風の洗礼を受けることになる。

P4頂上に出た瞬間に立っていられないくらいの暴風が向かい側から襲いかかってきた。みるみるうちに体温が奪われていき、凍えながら重たいロープを引き上げビレイする。


P3は中盤のピッチをリードさせてもらった。

すぐ左側に簡単な階段状のルートがあったのを見過ごしてしまい、難しそうなクラックに向かって突っ込んでしまった。

とりあえず取り付いてみたものの、クラックが苦手なこともあり怖くなって一旦降りる。

直前に終了点があったのでロープが残り少なければここでピッチを切ってしまえと悪魔の囁きに耳を傾けつつ須川さんにロープの残りを聞いてみる。

すると、まだ半分あるとの返答が。我に返りクラックに取り付き直す。

この時点でカムの残りは0.5番と2番の2つのみ。

下部で2番を決める。そこからは幸いなことに狭い幅のクラックが続いており0.5番が綺麗にキマったので、カムでエイドしながらジリジリと上り詰めていく。

あと一手というところでクラックが広がりズルできなくなってしまったが、力ずくで突破する。どうやって抜けたのかよく覚えていない。


いよいよP2ヤグラ。先行者なし。風が強いことを除けばコンディション良好。登らない理由がなかった。

とはいえ、目の前にそびえ立つヤグラを前にビビってしまい須川さんにリードをお願いする。

フォローで登るが案の定ボルトが打ってあるところでウジウジしてしまい、次第に手が冷えて力も出なくなってきた。

後続パーティの応援を受けつつ、最終的にはスリングアブミで何とか突破した。

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懸垂下降でヤグラの取り付きに下降。

帰りは急な下降路(とはいえ堡塁岩のアプローチとは比べ物にならないほど快適)を辿り、裏道登山道に合流して下山した。
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帰りは「湯の山ロッジ」(日帰り入浴700円)で一汗流して帰路についた。



■まとめ

まだまだ経験が浅く、変なところでピッチを切ったり色々とやらかしてしまいましたが、その都度須川さんに懇切丁寧に教えていただき、また一段成長できたように思います。

須川さん、ありがとうございました!

今度はヤグラ含め前尾根全ピッチリードを目標にやっていきますので、またお願いします!


鬼ヶ牙クライミング

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 こんにちは須川雄です。晴天の秋空の中、鬼ヶ牙にクライミングを楽しんできました。

鬼ヶ牙は三重県亀山市の石水渓谷にある巨岩を積み上げたようなゴツゴツした岩肌が特徴の488mの低山です。最近は新名神高速道路から一望できますが、古くからクライミングゲレンデとして楽しまれていたようです。

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■メンバー 長野・須川雄(記)

 

108

8:00        石水渓キャンプ場発

8:10     取付き

1200   クライミング終了

1230   鬼ヶ牙ピーク

1400   石水渓キャンプ場


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 早朝に神戸を出発する。第二阪奈道路の宝来ICから地道で行くと2時間半ほどで安く行ける。石水渓キャンプ場の駐車場に車を停めて10分ほど歩くと鬼ヶ牙ルートの取付きに着く。老夫婦の先行パーティーがいるが、先に登らせてもらう。
 
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 1
ピッチ目は須川リード。ゆるいスラブでフリクションが良く効き快適に登れる。岩の表面が風化している箇所があるのでスリップには注意。ハンガーボルトの中間支点が整備されているが、中にはグラグラな支点もあるので注意が必要。このピッチは複数ラインがあるが、今回は一番右側を登った。
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 2
ピッチ目は長野リード。今回の核心ピッチだ。出だしが2ルートあり左側はA0、右側は少しハングしているのでアブミがある方が登りやすい。今回は右側のルートを登る。中間支点は連打されているが、ハンガーボルトはどれもグラグラでリングボルトの方がしっかりしている。久しぶりのアブミを使ったエイドクライミングなので、回収やレストに戸惑ってしまう。エイドクライミング慣れてきたところで、小ハングが終了しスラブになるが、急にフリークライミングになるので頭の切り替えが難しく緊張する。

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 3
ピッチ目は須川リード、徐々に傾斜がきつくなるスラブを登る。ハンガーボルト通りに行くと、上部で少しテクニカルな箇所がある。A0であれば容易に超えられるがしっかりしたハンガーボルトがあるのでフリーで超える。

45ピッチ目は長野リード。ここからはブッシュ交じりの簡単なクライミングで上部は木登りや木の根っこを持ちながら進む。60mいっぱい伸ばし、5ピッチ目の途中からはコンテで通過。落石防止のワイヤーが出てくるので、ワイヤーを持ちながら登る。

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6ピッチ目は須川リード。このあたりから強風が吹き出す。風の通り道なのか晴天でも風は強い。ふらついてバランスを崩さないように1つ目のピークを目指す。ロケーションも最高で伊勢湾まで見渡せる。ピークを直登しようとしたが難しく、直下を左に巻く。ロープが屈折し重くなるので、登り終えたらロープをピーク直下から流れるように動かした方が良い。

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 このピークでクライミングは終了。東峰までは、ロープ不要だが、滑落に注意しながら進む。途中フィックスロープが張っている箇所をトラバースするなど気は抜けない。東峰からは登山道になるので急に歩きやすくなる。鬼ヶ牙ピーク手前の展望地で景色を楽しみながら昼食をとる。下山は駐車場まで30分ほどだが、一般登山道にしては急斜面の悪場が続くのでスリップには注意が必要。石水渓谷はボルダリングも楽しめる岩場が沢山あるが、連日の寝不足であくびが止まらないので、早々に神戸まで帰る。
  ※鬼ヶ牙は以前から行きたいと思っていたルートでした。マルチピッチ・支点がしっかりしている・アプローチ近い・ロケーション最高という素晴らしい好ルートでした。一緒に登ってくれた長野さん。ありがとうございました。

※ヌンチャクはパーティーで10本は必要。カムは使うところ無し

北穂高岳 東稜 残雪期アルパインクライミング 北穂沢 バックカントリー 山スキー

北穂高岳 東稜 残雪期アルパインクライミング 北穂沢 バックカントリー 山スキー

山行日
山域、ルート
北穂高岳 東稜 北穂沢
活動内容
残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー
メンバー
藤本(L)、三浦(記)

北穂高岳

北穂高岳は北アルプスの3106mの山である。穂高連峰の主稜線上にあり、北穂高岳の北側は、大キレットを経て南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳へと稜線がつながる。南側の稜線は涸沢岳から奥穂高岳、西穂高岳へと繋がっている。涸沢カールから望める代表的な山の一つであり、岩稜帯が露出した南稜と東稜は涸沢の景色を特徴づける重要な要素である。西の飛騨側は、上高地の名ガイド上條嘉門次が「飛ぶ鳥も通わぬ」と称した滝谷と呼ばれる峻厳な岩壁であり、クライミングの名所となっている。涸沢カールと滝谷に囲われ穂高連峰のアルパインな景観を形成している。

涸沢ヒュッテから見た北穂高岳。右側が東稜、左側が南稜で東稜と南稜の間が北穂沢。
涸沢ヒュッテから見た北穂高岳。右側が東稜、左側が南稜で東稜と南稜の間が北穂沢。

北穂高岳と山スキー

北穂高岳の山スキー/バックカントリーのルートとしては北穂沢1が最もよく滑降されている。涸沢から積雪期の一般道である北穂沢から登頂し、山頂から北穂沢にドロップできる。涸沢からは見ることができない槍ヶ岳の素晴らしい展望が山頂から比較的容易に望めるルートである。その他、北穂は南面や滝谷が度々滑降されている。

北穂高岳東稜

北穂高岳東稜は北穂高小屋から南東方向に伸びる尾根である。頭は北穂小屋、末端は涸沢カール内にある。ゴジラの背と呼ばれる切り立ったナイフリッジの岩稜帯が核心であるものの、難易度は高くなく容易な涸沢からのアプローチもあってバリエーションクライミングの入門ルートとして人気がある。スケール感のある涸沢カールと横尾本谷右俣カール、槍ヶ岳へと続く長大な主稜線の景色を楽しみながら登攀出来ることもこのルートの魅力の一つである。

北穂高岳 東稜 残雪期アルパインクライミング 北穂沢 バックカントリー 山スキーの山行記録

涸沢ヒュッテを出発し、北穂東稜を登攀し北穂に登頂、北穂沢スキー滑降し涸沢ヒュッテ経由で上高地に下山する計画である。当初は北穂の滑降ルートとして南面を計画していたが、雪が少なく岩の露出が多かったので北穂沢滑降とした。

壮絶な工程を終えた前日だったが、涸沢ヒュッテで十分な休養を取れた。0:30に起床し2:00にヘッデンの明かりを頼りにアイゼンで歩き始める。シールは涸沢ヒュッテにデポしていった。

北穂沢の下部を詰めて、ゴルジュの上側から東稜の南側、雪が繋がっているコルから取り付いた。そこそこ斜度があるのでジグを切って登った。稜線に乗り上げるとトレースがくっきりついていたので、自分たちよりも末端側から取り付いたパーティが多いようだ。

北穂東稜の取付き。北穂沢のゴルジュの上から右側の雪のつながっているコルに乗り上げた。
北穂東稜の取付き。北穂沢のゴルジュの上から右側の雪のつながっているコルに乗り上げた。

稜線に乗り上げるごろ、空が白くなり始め周りの景色が見えるようになった。涸沢カール側には2日前に滑降予定だった直登ルンゼ2や過去滑降した吊尾根北面ルンゼ3、前穂北尾根67のコル1がはっきりと見える。振り返ればグラデーションのかかる夜明け空に、こちらも以前に滑降した槍ヶ岳と横尾尾根4が望める。過去の山行を振り返りつつ、今から挑む行程に期待を寄せる印象的な時間だった。岩稜になるゴジラの背に至るまでの北穂東稜は、比較的緩やかな雪稜で景色を楽しみながら歩くことができた。完全に夜が明けてからゴジラの背の取り付きに到着した。

夜が明けるころ東稜に乗り上げた。背景に前穂北尾根が見える。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。背景に前穂北尾根が見える。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
奥穂高岳と前穂高岳。過去滑降した直登ルンゼ、吊尾根北面ルンゼ、前穂北尾根67のコルが見える。
奥穂高岳と前穂高岳。過去滑降した直登ルンゼ、吊尾根北面ルンゼ、前穂北尾根67のコルが見える。
大キレットを経て南岳、横尾尾根、槍ヶ岳。
大キレットを経て南岳、横尾尾根、槍ヶ岳。

1P 藤本

ゴジラの背手前の小さなピナクルを開始点とした。ゴジラの背の左側から取りついてリッジに乗り上げるように登った。最高地点のピナクルでビレイ。ロープが屈曲してコールも届きにくそうなルートなのでピッチを短めにした。

北穂東稜開始点。ゴジラの背手前の小さなピナクルを使った。
北穂東稜開始点。ゴジラの背手前の小さなピナクルを使った。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。

2P 三浦

最初は高度感のある岩のリッジをクライムダウン気味に進む。その後岩のリッジの間にある狭い回廊状の雪稜を歩き、雪稜の右側の雪壁にトレースが降り始める地点にあったピナクルでビレイした。背負ったスキーが引っかかり少々動きにくいが、なんとか支点を構築し藤本さんを迎える。

北穂東稜2P終了地点からゴジラの背でビレイする藤本さんを振り返る。
北穂東稜2P終了地点からゴジラの背でビレイする藤本さんを振り返る。

3P 藤本

最初は斜度のある雪壁のクライムダウン。アイゼンを蹴り込んで慎重に足場を作って下った。10mほど下ると斜度が緩くなったところにある岩が終了点となった。そこからはロープを解除し雪の斜面をトラバースして再び稜線に乗り上げる。コルでロープをしまいクライミングのピッチは終了。

コルからは北穂小屋めがけて雪壁の登りになる。階段状のトレースがあるので特に難しくない。最後の乗越を超えると急に平らになって北穂小屋が視界に入った。達成感と素晴らしい景色で自然に笑顔になる。藤本さんとグータッチで互いの検討を讃えた。

ロープをしまい北穂小屋に向けて階段状の雪壁を登る。
ロープをしまい北穂小屋に向けて階段状の雪壁を登る。
北穂小屋に到着して記念撮影。
北穂小屋に到着して記念撮影。
北穂小屋に到着して記念撮影。
北穂小屋に到着して記念撮影。

北穂小屋のテラスでたっぷりくつろいだ後、滑降準備をして北穂沢に向かう。デブリが多いが、きれいな雪面を探して滑った。長い滑降ルートで足がパンパンになる頃に涸沢ヒュッテに到着。登ったゴジラの背と滑降した北穂沢を眺めながらコーラで乾杯した。

北穂沢を滑降。
北穂沢を滑降。
北穂沢を滑降。
北穂沢を滑降。
涸沢ヒュッテまで滑降し乾杯。
涸沢ヒュッテまで滑降し乾杯。

涸沢ヒュッテにデポした荷物を回収して、名残惜しさを感じつつ4日間遊んだ穂高連峰から下山開始。涸沢ヒュッテから下はメローな斜面を気持ちよく滑り、本谷橋手前の下りでスキーを脱いでアプローチシューズに履き替えた。

本谷橋からは河童橋に向けて、スキーとブーツとロープの重さにバテ気味になりながらもひたすら歩く。

岳沢登山口まで降りてくると4日間かけて奥穂を経由して同じ場所まで無事戻ってきたことに感慨深くなる。次第に観光客が増えてくると下界に戻った実感が湧いてきた。4日間で経験した壮絶な行程と観光地の穏やかな雰囲気や安堵感を対比して涙が出そうになりつつこの山行を終えた。

河童橋に下山して4日間の山行終了。
河童橋に下山して4日間の山行終了。

関連記録

  1. 北穂沢 前穂北尾根67のコル スキー滑降 2012年4月
  2. 奥穂高岳 南稜 残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー 2022年5月
  3. 前穂高岳 吊尾根 北面ルンゼ スキー滑降 2015年5月
  4. 槍ヶ岳~横尾本谷右俣 スキー滑降 2011年5月

イブキ嵓谷 2022/08/27-28(おせんver)〜ドキドキの沢泊デビュー〜

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(サワタビトリオ、全ての核心を終えて)


こんにちは、おせんです!

今回はイブキ嵓谷で、念願の『沢泊』を経験する事が出来ました。
約1年前、服部文祥さんのYouTube『楽園山旅』に憧れて『沢登りがしたいです🤤』と神戸山岳会の門を叩き、この度ようやく『楽園山旅』を叶えることが出来たのです。
楽園というより地獄でしたが、今まで培った登山の総合力を全力で発揮できる、自分にとって筋トレでいうところのオールアウトの様な登山でした。

メンバーは『めざせ!ザクロ谷』のOKDさん、岩瀬た君、そして私の3人。

行程の詳細は岩瀬君が書いているとおりなので、私は私なりに気づいた事を、徒然なるままに書いていこうと思います。

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入渓から少し進むと『アメ止りの淵』
長い淵を泳ぎ進む。
右岸は30mの嵓が覆い被さるように聳り立つ。
手前から左岸を容易に巻くことも出来るものの、奥に見える2段10m滝を見に行く。

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2段10m
行けそうだったので、釜を泳ぎ滝の左側からフリーで突破。

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2段20m『桶側ノ滝』
この奇観を言葉で表現するのは難しい。
まず両岸とも大きく立ち、この写真の撮影地点は、50mの嵓が大きく侵食されて洞窟になっている。
一方向からでは、滝の全貌を掴むことが出来ず、滝の落下地点を確認する為、右側の暗い廊下を泳ぎ進む。

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まるで海溝のよう。

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滝壺のリサーキュレーション、そこから廊下に向かう横方向の強烈な水圧が岩壁に衝突し、更に90度に屈曲する廊下、廊下の突き当たりはエディが出来て、流れがあまりにも複雑で危うく廊下の奥に吸い込まれるところでした。
岩瀬君がテラスの上に居た事で手を借り、引き上げてもらいましたが(命の恩人🙏)肝が冷えました。
見た目は綺麗ですが、まるで地獄の釜か、河童の群れが住んでいるのでは、という程です。
これが泳いで近付かないと分からない洞穴の死角にあり、気付いた時には手遅れで、いつ引き込まれてもおかしくない為、テラスまでも泳いで近づくのは止めた方が良いです。
しかしとても綺麗で、青の洞窟の様でした(見たことないけど)
桶側ノ滝は右岸から、岩瀬君リード。


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先日メルカリで新調したクラシカルバランスライト(4,000円)一発目の荷上げで一気に男前に。
雨蓋に物入れ過ぎたかな?
またこの沢は、岩が脆く鋭利な部分もあって、登攀中、ウェアやザックの至る所が損耗しました。
アー○テリクスなんてもっての外!!

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一見容易そうなナメ滝5m
滝の左から離陸し取り付くも、ホールドスタンス共に乏しく一筋縄でいかない。
釜にフォールし振り出し…

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OKDさんは水流右から奮闘!
色々試行錯誤しましたが、少し寒くなって時間もかかっていたので、ここは大人しく左岸巻き、おせんリード。
ここもボロボロで気持ち悪かったです。

カラハッソウ谷との分岐を左にとり、いよいよイブキ嵓谷へ。

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透明度の高い釜にかかる小滝、その奥に15m滝。
とても清涼な空間でもっと時間をかけて堪能したかったけど先を急ぐ。
ここは左岸のガリーを、おせんがリード。
取り付きは草付きで、その後左上、嵓と大きなフレークの間に身体を入れ、ワイドクラックばりに直上。
その際、ザックがあっては登れないので、その場にデポ、フォローに回収依頼。
スタンスやホールドは動いたり、動きそうだったり、動かないと見せかけて動いたり、結局動いたりと相当脆く悪い。
何とか40mロープいっぱい伸ばしてピッチを切る。
あまりに悪かったので『次は山頂で日の出を見ながらコーヒーを飲む、そんな優しい登山がしたいな』と現実逃避しながらセカンドビレイしました。
嵓とフレークの間にデポしたザックは、フォローの岩瀬君がメインロープに固定し引き上げ、その際、意思の疎通が上手くいかず、手間取りました。
事前に打ち合わせをしておくとか、もっと効率の良いシステムだとか、色々と反省点は多かった。
ただ、自分の中では会心の登攀でした!

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三俣の本谷側30m
ここから一日目最後の大高巻きが始まる。
その前にヴルクシャーサナで精神統一。

大高巻きを終えて、ようやく幕営地にたどり着く。
随分かかってしまったが、まだ明るい内に野営の準備が出来て良かった。

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担ぎ上げたプレモルを沢水で冷やして

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乾杯して優勝✨

沢でやりたかった事の一つ。
今まで飲んだプレモルの中で、ダントツで一番に美味しかったです。荷物は軽量化の為、シュラフ無し、マットは50㎝+ザック、登攀具はほとんどメンバーのお二人に持っていただきましたが、これだけは外せない!とザックに仕込んでおいて良かったです。すみません🙏

夜は中々の不整地に極小マットとザックを敷き、シュラカバにくるまる。
タープは『晴れてるからいらんやろ〜』との神からのお達しで、夜空の下ごろ寝しているとパラパラと雨が。
雨は強くなったり弱まったり朝まで断続的に降り続け、その間シュラカバの入り口を小さくして、鼻と口だけ出して、耐える。
ほとんど眠れないまま朝を迎える。
4時半起床。
6時半に出発し、ゴーロ帯を抜けると、遂に黒滝が現れる。

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『黒滝』
イブキ嵓谷と言えば黒滝。
落差80mを誇り、三段になって落下。
落ち口からの水が霧となって降り注ぐ。
まるで巨大な遺跡か、無骨な巨像のよう。

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その左に聳り立つは『メオトグエ』
120mの大岩壁は天空を突き、ガスに姿を隠す。

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黒滝登攀
1P目、岩瀬君リード。
黒滝が見える右のルンゼを登り、その後左のフェイスにトラバース、からの直上。

ホールド、スタンス共に乏しく、更に草付きや灌木も根が張っておらずズルズルで激しく悪い。
ここをリードでキッチリキメるメンタルが凄い。
しかし黒滝バックの登攀は映えるな〜

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ちなみにおせんはフォローの際、ルンゼからフェイスへのトラバースでフォール。
一気減りました。


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1P目終了点から、黒滝登攀の可能性を探る岩瀬君『ここの凹角、行けそうですよ!』

俺は今すぐ温泉に行きたいかな( ^ω^ )

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 2P目おせんリード
黒滝から右にトラバースして開始。
前半ホールド乏しく、逆走で悪い。
そこを抜ければ容易なルンゼ、倒木でセルフを取ってビレイ解除。

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3P4P目、岩瀬君リード
ナイスクライミング!!!

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最後の悪所25m滝の高巻きを終えて一息。
荷物切り詰め過ぎて、行動食を切らしてしまいOKDさんに分けてもらう。
ポテトチップスを砕いて、ナッツとドライフルーツを混ぜた行動食、とても美味でした!
次から自分もやってみよう。

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夕陽の中を歩く沢屋二人
中尾から下山する。

一日目11時間行動
二日目15時間行動

自分自身、普段からそこそこ運動しており、体力はあると自負していましたが、結構ハードで完全燃焼でした!

沢経験豊富なOKDさんから沢泊のイロハを教えていただき、岩瀬君からは様々な場面でフォローしてもらいました。
このイブキ嵓谷を完全遡行出来たのは、お二人の力添えがあったからこそで、二人には感謝しかありません😌

ただ、自分の思っていた沢泊とちょっと違ったので、ザクロが終われば、次はちゃんと『楽園山旅』しませんか笑

雪彦山 温故知新 マルチピッチクライミング

 こんにちは、おせんです。
 
 今回は谷口さんと吉田さん、自分の3人で、雪彦山の『温故知新』でマルチピッチクライミングをしてきました。

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温故知新の終了点にて
令和4年7月28日

前日、谷口さんから雪彦山でマルチのお誘い。
こんな暑い時期に、しかも低山なんて地獄やん…と思いつつも、これもトレーニングと気持ちを切り替えて参加しました🙄
結果、とても楽しかったです!
常に汗だくで熱中症寸前、手汗でホールドがヌルヌルしてヒヤヒヤしましたが、たまに吹く風は涼しくて気持ち良かったし、ビレイ点から眺める景色は夏っぽくて最高でした!!
この日は他にクライマーは居らず、雪彦山を自分達だけで独り占め出来ました。

参考までに、
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1P Ⅳ おせん ちょっと気持ち悪い取り付き

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2P Ⅲ 吉田さん 草付き

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3P Ⅳ? おせん 木を使って離陸したリッジ

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4P Ⅳ 吉田さん チムニー

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5P 5.10a おせん トラバースからの直上

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6P 5.10b おせん 逆くの字クラック

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7P 5.10a 吉田さん 長いピッチ
ちなみに今回、谷口さんはカメラマンでした📷

反省点は、せっかく買ったアプローチシューズ(スポルティバTX2)を家に忘れた事(何の為に買ったん…)ワークマンの建さん大活躍。
谷口さんもアプローチシューズ忘れて、クロックス。
事前準備は大事ですね!
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終了点から雪彦山頂上まで登って、そこから一般道を使って下山、途中の沢で身を清めて終了。
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丸一日、目一杯雪彦山に遊んでもらいました。
もっと上手くなって色んなルートをやりたいな、出来ればもう少し涼しい日に🙄
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