クライミング

北穂高岳 東稜 残雪期アルパインクライミング 北穂沢 バックカントリー 山スキー

北穂高岳 東稜 残雪期アルパインクライミング 北穂沢 バックカントリー 山スキー

山行日
山域、ルート
北穂高岳 東稜 北穂沢
活動内容
残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー
メンバー
藤本(L)、三浦(記)

北穂高岳

北穂高岳は北アルプスの3106mの山である。穂高連峰の主稜線上にあり、北穂高岳の北側は、大キレットを経て南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳へと稜線がつながる。南側の稜線は涸沢岳から奥穂高岳、西穂高岳へと繋がっている。涸沢カールから望める代表的な山の一つであり、岩稜帯が露出した南稜と東稜は涸沢の景色を特徴づける重要な要素である。西の飛騨側は、上高地の名ガイド上條嘉門次が「飛ぶ鳥も通わぬ」と称した滝谷と呼ばれる峻厳な岩壁であり、クライミングの名所となっている。涸沢カールと滝谷に囲われ穂高連峰のアルパインな景観を形成している。

涸沢ヒュッテから見た北穂高岳。右側が東稜、左側が南稜で東稜と南稜の間が北穂沢。
涸沢ヒュッテから見た北穂高岳。右側が東稜、左側が南稜で東稜と南稜の間が北穂沢。

北穂高岳と山スキー

北穂高岳の山スキー/バックカントリーのルートとしては北穂沢1が最もよく滑降されている。涸沢から積雪期の一般道である北穂沢から登頂し、山頂から北穂沢にドロップできる。涸沢からは見ることができない槍ヶ岳の素晴らしい展望が山頂から比較的容易に望めるルートである。その他、北穂は南面や滝谷が度々滑降されている。

北穂高岳東稜

北穂高岳東稜は北穂高小屋から南東方向に伸びる尾根である。頭は北穂小屋、末端は涸沢カール内にある。ゴジラの背と呼ばれる切り立ったナイフリッジの岩稜帯が核心であるものの、難易度は高くなく容易な涸沢からのアプローチもあってバリエーションクライミングの入門ルートとして人気がある。スケール感のある涸沢カールと横尾本谷右俣カール、槍ヶ岳へと続く長大な主稜線の景色を楽しみながら登攀出来ることもこのルートの魅力の一つである。

北穂高岳 東稜 残雪期アルパインクライミング 北穂沢 バックカントリー 山スキーの山行記録

涸沢ヒュッテを出発し、北穂東稜を登攀し北穂に登頂、北穂沢スキー滑降し涸沢ヒュッテ経由で上高地に下山する計画である。当初は北穂の滑降ルートとして南面を計画していたが、雪が少なく岩の露出が多かったので北穂沢滑降とした。

壮絶な工程を終えた前日だったが、涸沢ヒュッテで十分な休養を取れた。0:30に起床し2:00にヘッデンの明かりを頼りにアイゼンで歩き始める。シールは涸沢ヒュッテにデポしていった。

北穂沢の下部を詰めて、ゴルジュの上側から東稜の南側、雪が繋がっているコルから取り付いた。そこそこ斜度があるのでジグを切って登った。稜線に乗り上げるとトレースがくっきりついていたので、自分たちよりも末端側から取り付いたパーティが多いようだ。

北穂東稜の取付き。北穂沢のゴルジュの上から右側の雪のつながっているコルに乗り上げた。
北穂東稜の取付き。北穂沢のゴルジュの上から右側の雪のつながっているコルに乗り上げた。

稜線に乗り上げるごろ、空が白くなり始め周りの景色が見えるようになった。涸沢カール側には2日前に滑降予定だった直登ルンゼ2や過去滑降した吊尾根北面ルンゼ3、前穂北尾根67のコル1がはっきりと見える。振り返ればグラデーションのかかる夜明け空に、こちらも以前に滑降した槍ヶ岳と横尾尾根4が望める。過去の山行を振り返りつつ、今から挑む行程に期待を寄せる印象的な時間だった。岩稜になるゴジラの背に至るまでの北穂東稜は、比較的緩やかな雪稜で景色を楽しみながら歩くことができた。完全に夜が明けてからゴジラの背の取り付きに到着した。

夜が明けるころ東稜に乗り上げた。背景に前穂北尾根が見える。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。背景に前穂北尾根が見える。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
夜が明けるころ東稜に乗り上げた。常念岳から日が昇った。
奥穂高岳と前穂高岳。過去滑降した直登ルンゼ、吊尾根北面ルンゼ、前穂北尾根67のコルが見える。
奥穂高岳と前穂高岳。過去滑降した直登ルンゼ、吊尾根北面ルンゼ、前穂北尾根67のコルが見える。
大キレットを経て南岳、横尾尾根、槍ヶ岳。
大キレットを経て南岳、横尾尾根、槍ヶ岳。

1P 藤本

ゴジラの背手前の小さなピナクルを開始点とした。ゴジラの背の左側から取りついてリッジに乗り上げるように登った。最高地点のピナクルでビレイ。ロープが屈曲してコールも届きにくそうなルートなのでピッチを短めにした。

北穂東稜開始点。ゴジラの背手前の小さなピナクルを使った。
北穂東稜開始点。ゴジラの背手前の小さなピナクルを使った。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。
北穂東稜1Pの終了点でビレイする藤本さん。

2P 三浦

最初は高度感のある岩のリッジをクライムダウン気味に進む。その後岩のリッジの間にある狭い回廊状の雪稜を歩き、雪稜の右側の雪壁にトレースが降り始める地点にあったピナクルでビレイした。背負ったスキーが引っかかり少々動きにくいが、なんとか支点を構築し藤本さんを迎える。

北穂東稜2P終了地点からゴジラの背でビレイする藤本さんを振り返る。
北穂東稜2P終了地点からゴジラの背でビレイする藤本さんを振り返る。

3P 藤本

最初は斜度のある雪壁のクライムダウン。アイゼンを蹴り込んで慎重に足場を作って下った。10mほど下ると斜度が緩くなったところにある岩が終了点となった。そこからはロープを解除し雪の斜面をトラバースして再び稜線に乗り上げる。コルでロープをしまいクライミングのピッチは終了。

コルからは北穂小屋めがけて雪壁の登りになる。階段状のトレースがあるので特に難しくない。最後の乗越を超えると急に平らになって北穂小屋が視界に入った。達成感と素晴らしい景色で自然に笑顔になる。藤本さんとグータッチで互いの検討を讃えた。

ロープをしまい北穂小屋に向けて階段状の雪壁を登る。
ロープをしまい北穂小屋に向けて階段状の雪壁を登る。
北穂小屋に到着して記念撮影。
北穂小屋に到着して記念撮影。
北穂小屋に到着して記念撮影。
北穂小屋に到着して記念撮影。

北穂小屋のテラスでたっぷりくつろいだ後、滑降準備をして北穂沢に向かう。デブリが多いが、きれいな雪面を探して滑った。長い滑降ルートで足がパンパンになる頃に涸沢ヒュッテに到着。登ったゴジラの背と滑降した北穂沢を眺めながらコーラで乾杯した。

北穂沢を滑降。
北穂沢を滑降。
北穂沢を滑降。
北穂沢を滑降。
涸沢ヒュッテまで滑降し乾杯。
涸沢ヒュッテまで滑降し乾杯。

涸沢ヒュッテにデポした荷物を回収して、名残惜しさを感じつつ4日間遊んだ穂高連峰から下山開始。涸沢ヒュッテから下はメローな斜面を気持ちよく滑り、本谷橋手前の下りでスキーを脱いでアプローチシューズに履き替えた。

本谷橋からは河童橋に向けて、スキーとブーツとロープの重さにバテ気味になりながらもひたすら歩く。

岳沢登山口まで降りてくると4日間かけて奥穂を経由して同じ場所まで無事戻ってきたことに感慨深くなる。次第に観光客が増えてくると下界に戻った実感が湧いてきた。4日間で経験した壮絶な行程と観光地の穏やかな雰囲気や安堵感を対比して涙が出そうになりつつこの山行を終えた。

河童橋に下山して4日間の山行終了。
河童橋に下山して4日間の山行終了。

関連記録

  1. 北穂沢 前穂北尾根67のコル スキー滑降 2012年4月
  2. 奥穂高岳 南稜 残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー 2022年5月
  3. 前穂高岳 吊尾根 北面ルンゼ スキー滑降 2015年5月
  4. 槍ヶ岳~横尾本谷右俣 スキー滑降 2011年5月

イブキ嵓谷 2022/08/27-28(おせんver)〜ドキドキの沢泊デビュー〜

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(サワタビトリオ、全ての核心を終えて)


こんにちは、おせんです!

今回はイブキ嵓谷で、念願の『沢泊』を経験する事が出来ました。
約1年前、服部文祥さんのYouTube『楽園山旅』に憧れて『沢登りがしたいです🤤』と神戸山岳会の門を叩き、この度ようやく『楽園山旅』を叶えることが出来たのです。
楽園というより地獄でしたが、今まで培った登山の総合力を全力で発揮できる、自分にとって筋トレでいうところのオールアウトの様な登山でした。

メンバーは『めざせ!ザクロ谷』のOKDさん、岩瀬た君、そして私の3人。

行程の詳細は岩瀬君が書いているとおりなので、私は私なりに気づいた事を、徒然なるままに書いていこうと思います。

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入渓から少し進むと『アメ止りの淵』
長い淵を泳ぎ進む。
右岸は30mの嵓が覆い被さるように聳り立つ。
手前から左岸を容易に巻くことも出来るものの、奥に見える2段10m滝を見に行く。

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2段10m
行けそうだったので、釜を泳ぎ滝の左側からフリーで突破。

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2段20m『桶側ノ滝』
この奇観を言葉で表現するのは難しい。
まず両岸とも大きく立ち、この写真の撮影地点は、50mの嵓が大きく侵食されて洞窟になっている。
一方向からでは、滝の全貌を掴むことが出来ず、滝の落下地点を確認する為、右側の暗い廊下を泳ぎ進む。

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まるで海溝のよう。

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滝壺のリサーキュレーション、そこから廊下に向かう横方向の強烈な水圧が岩壁に衝突し、更に90度に屈曲する廊下、廊下の突き当たりはエディが出来て、流れがあまりにも複雑で危うく廊下の奥に吸い込まれるところでした。
岩瀬君がテラスの上に居た事で手を借り、引き上げてもらいましたが(命の恩人🙏)肝が冷えました。
見た目は綺麗ですが、まるで地獄の釜か、河童の群れが住んでいるのでは、という程です。
これが泳いで近付かないと分からない洞穴の死角にあり、気付いた時には手遅れで、いつ引き込まれてもおかしくない為、テラスまでも泳いで近づくのは止めた方が良いです。
しかしとても綺麗で、青の洞窟の様でした(見たことないけど)
桶側ノ滝は右岸から、岩瀬君リード。


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先日メルカリで新調したクラシカルバランスライト(4,000円)一発目の荷上げで一気に男前に。
雨蓋に物入れ過ぎたかな?
またこの沢は、岩が脆く鋭利な部分もあって、登攀中、ウェアやザックの至る所が損耗しました。
アー○テリクスなんてもっての外!!

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一見容易そうなナメ滝5m
滝の左から離陸し取り付くも、ホールドスタンス共に乏しく一筋縄でいかない。
釜にフォールし振り出し…

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OKDさんは水流右から奮闘!
色々試行錯誤しましたが、少し寒くなって時間もかかっていたので、ここは大人しく左岸巻き、おせんリード。
ここもボロボロで気持ち悪かったです。

カラハッソウ谷との分岐を左にとり、いよいよイブキ嵓谷へ。

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透明度の高い釜にかかる小滝、その奥に15m滝。
とても清涼な空間でもっと時間をかけて堪能したかったけど先を急ぐ。
ここは左岸のガリーを、おせんがリード。
取り付きは草付きで、その後左上、嵓と大きなフレークの間に身体を入れ、ワイドクラックばりに直上。
その際、ザックがあっては登れないので、その場にデポ、フォローに回収依頼。
スタンスやホールドは動いたり、動きそうだったり、動かないと見せかけて動いたり、結局動いたりと相当脆く悪い。
何とか40mロープいっぱい伸ばしてピッチを切る。
あまりに悪かったので『次は山頂で日の出を見ながらコーヒーを飲む、そんな優しい登山がしたいな』と現実逃避しながらセカンドビレイしました。
嵓とフレークの間にデポしたザックは、フォローの岩瀬君がメインロープに固定し引き上げ、その際、意思の疎通が上手くいかず、手間取りました。
事前に打ち合わせをしておくとか、もっと効率の良いシステムだとか、色々と反省点は多かった。
ただ、自分の中では会心の登攀でした!

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三俣の本谷側30m
ここから一日目最後の大高巻きが始まる。
その前にヴルクシャーサナで精神統一。

大高巻きを終えて、ようやく幕営地にたどり着く。
随分かかってしまったが、まだ明るい内に野営の準備が出来て良かった。

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担ぎ上げたプレモルを沢水で冷やして

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乾杯して優勝✨

沢でやりたかった事の一つ。
今まで飲んだプレモルの中で、ダントツで一番に美味しかったです。荷物は軽量化の為、シュラフ無し、マットは50㎝+ザック、登攀具はほとんどメンバーのお二人に持っていただきましたが、これだけは外せない!とザックに仕込んでおいて良かったです。すみません🙏

夜は中々の不整地に極小マットとザックを敷き、シュラカバにくるまる。
タープは『晴れてるからいらんやろ〜』との神からのお達しで、夜空の下ごろ寝しているとパラパラと雨が。
雨は強くなったり弱まったり朝まで断続的に降り続け、その間シュラカバの入り口を小さくして、鼻と口だけ出して、耐える。
ほとんど眠れないまま朝を迎える。
4時半起床。
6時半に出発し、ゴーロ帯を抜けると、遂に黒滝が現れる。

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『黒滝』
イブキ嵓谷と言えば黒滝。
落差80mを誇り、三段になって落下。
落ち口からの水が霧となって降り注ぐ。
まるで巨大な遺跡か、無骨な巨像のよう。

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その左に聳り立つは『メオトグエ』
120mの大岩壁は天空を突き、ガスに姿を隠す。

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黒滝登攀
1P目、岩瀬君リード。
黒滝が見える右のルンゼを登り、その後左のフェイスにトラバース、からの直上。

ホールド、スタンス共に乏しく、更に草付きや灌木も根が張っておらずズルズルで激しく悪い。
ここをリードでキッチリキメるメンタルが凄い。
しかし黒滝バックの登攀は映えるな〜

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ちなみにおせんはフォローの際、ルンゼからフェイスへのトラバースでフォール。
一気減りました。


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1P目終了点から、黒滝登攀の可能性を探る岩瀬君『ここの凹角、行けそうですよ!』

俺は今すぐ温泉に行きたいかな( ^ω^ )

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 2P目おせんリード
黒滝から右にトラバースして開始。
前半ホールド乏しく、逆走で悪い。
そこを抜ければ容易なルンゼ、倒木でセルフを取ってビレイ解除。

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3P4P目、岩瀬君リード
ナイスクライミング!!!

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最後の悪所25m滝の高巻きを終えて一息。
荷物切り詰め過ぎて、行動食を切らしてしまいOKDさんに分けてもらう。
ポテトチップスを砕いて、ナッツとドライフルーツを混ぜた行動食、とても美味でした!
次から自分もやってみよう。

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夕陽の中を歩く沢屋二人
中尾から下山する。

一日目11時間行動
二日目15時間行動

自分自身、普段からそこそこ運動しており、体力はあると自負していましたが、結構ハードで完全燃焼でした!

沢経験豊富なOKDさんから沢泊のイロハを教えていただき、岩瀬君からは様々な場面でフォローしてもらいました。
このイブキ嵓谷を完全遡行出来たのは、お二人の力添えがあったからこそで、二人には感謝しかありません😌

ただ、自分の思っていた沢泊とちょっと違ったので、ザクロが終われば、次はちゃんと『楽園山旅』しませんか笑

雪彦山 温故知新 マルチピッチクライミング

 こんにちは、おせんです。
 
 今回は谷口さんと吉田さん、自分の3人で、雪彦山の『温故知新』でマルチピッチクライミングをしてきました。

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温故知新の終了点にて
令和4年7月28日

前日、谷口さんから雪彦山でマルチのお誘い。
こんな暑い時期に、しかも低山なんて地獄やん…と思いつつも、これもトレーニングと気持ちを切り替えて参加しました🙄
結果、とても楽しかったです!
常に汗だくで熱中症寸前、手汗でホールドがヌルヌルしてヒヤヒヤしましたが、たまに吹く風は涼しくて気持ち良かったし、ビレイ点から眺める景色は夏っぽくて最高でした!!
この日は他にクライマーは居らず、雪彦山を自分達だけで独り占め出来ました。

参考までに、
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1P Ⅳ おせん ちょっと気持ち悪い取り付き

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2P Ⅲ 吉田さん 草付き

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3P Ⅳ? おせん 木を使って離陸したリッジ

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4P Ⅳ 吉田さん チムニー

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5P 5.10a おせん トラバースからの直上

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6P 5.10b おせん 逆くの字クラック

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7P 5.10a 吉田さん 長いピッチ
ちなみに今回、谷口さんはカメラマンでした📷

反省点は、せっかく買ったアプローチシューズ(スポルティバTX2)を家に忘れた事(何の為に買ったん…)ワークマンの建さん大活躍。
谷口さんもアプローチシューズ忘れて、クロックス。
事前準備は大事ですね!
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終了点から雪彦山頂上まで登って、そこから一般道を使って下山、途中の沢で身を清めて終了。
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丸一日、目一杯雪彦山に遊んでもらいました。
もっと上手くなって色んなルートをやりたいな、出来ればもう少し涼しい日に🙄

雪彦山『友人登路』マルチトレーニング

 SMBです。
 最近、クライミングを始めて良かったな〜と感じたので、先日長野さんと登った、雪彦山のマルチピッチフリールート『友人登路4P、5.10b』の記録を織り交ぜて、少し語らせていただきます。

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友人登路を終え不行岳をバックに
令和4年6月10日


 午前6時30分、長野さんと合流し、私の運転で雪彦山へ向けて出発。
 今夏は長野さんとアルプスのバリエーションを計画中。
 その行程について相談し、妄想を膨らませながら車を走らせていると、あっという間に雪彦山駐車地に到着。
 
 午前9時00分、準備をして友人登路の取り付きへ。

・1P(Ⅲ)2P(Ⅳ+)4P(Ⅳ?)は長野さん
・3P(5.10b)はSMB
がそれぞれリードしました。

IMG_69751P長野さんリード
IMG_69762P長野さんリード
IMG_69803P終え終了点から
IMG_69813P終了点からの景色

 絶対に落ちてはいけないという緊張感をもって、オールフリーで抜けようとしましたが、3P目の終盤、気持ちが切れてヌンチャクを掴んでレスト、5.10bオンサイトならず…悔しい
 後に40mスケールだと分かり、ロングルートの練習不足を痛感しました。

 長野さんは大量のガチャ類をこれ以上無いくらい全身に装着して、ランナウトした気持ちの悪いピッチを、とても慎重に登っていました。
 最終ピッチ、自分がフォローで登る際、その大量のガチャを身に付けて登りましたが、人ひとり担ぎながら登っているんじゃないかと思う程身体が重く、またキャメロットの4番とナッツキーが死ぬ程邪魔で、この状態でよくリードで登れるなと感心しきりでした。
 
 あわよくば弓状クラックも登れたらと考えていましたが、既にお昼の時間。
 事前に13時までと決めていたので、友人登路4Pで終了。

 三峰の頭で、登頂の余韻に浸りながら軽く食事をとりました。
 一年と少し前、雪彦山で登山中に地蔵岳や不行岳を遠くから眺めていた自分が、まさかクライミングを始めて、ここを登っているとは露とも思わなかったな、と感慨深かったです。

 その後、三峰の稜線から懸垂下降し、地蔵の東稜取り付きを経由し、午後2時30分ころ駐車地へ。

IMG_6998今日のアプローチは地下足袋にズボンの裾を靴下にインスタイル。
IMG_7011下山完了

 帰路「登山の後は温泉でしょ?JK」と互いの認識が一致したところで『秘湯 雪彦温泉』へ。
 平日で人も少なく、ゆったりとした時間を過ごし、クライミングで張り詰めていた身も心もほぐされていきました🤤
 閉館まで粘れそうでしたが、お腹が空いたので一路姫路へ。

 IMG_7005雪彦温泉にて

 姫路の『麺屋甚八』というラーメン屋を訪れ、空腹と謎のハイテンションも手伝って、2人とも魚介鶏白湯ラーメン大盛に焼肉チャーシュー丼大盛をセットでそれぞれ注文。
 上品な鰹節の香りと鶏白湯の濃厚でクリーミーなスープが麺に絡まり、とても美味しくいただきました。

IMG_7008

 ただちょっと量が多過ぎたので、いっときラーメンは食べなくてもいいです。

 長野さんと初めてザイルパートナーを組み、自分自身の課題や指標?の様なものがうっすらと見えてきました。
 また今後、夏のアルプスに向けてトレーニングや準備を着々と進めていきたいと思います。

 同好の仲間と、朝イチから緊張感のあるクライミングをして、温泉でリラックスし、本能の赴くまま好きな物を食べ、山とか諸々について語る、とても充実した良い休日になりました( ˘ω˘ )

 急な誘いにも関わらず応えてくれた長野さんに感謝🙏✨またよろしくお願いします!!

奥穂高岳南稜 残雪期アルパインクライミング

奥穂高岳 南稜 残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー

山行日
-
山域、ルート
奥穂高岳 南稜
活動内容
残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー
メンバー
藤本(L)、三浦(記)
登攀装備
シングルロープ8.5mm x 50m、カム、ナッツ、スリング、ハーネス、アックス2本

奥穂高岳 南稜 残雪期アルパインクライミング バックカントリー 山スキーの山行記録

奥穂高岳

奥穂高岳は北アルプスの3190mの山である。日本第3位の高峰、北アルプスの最高峰であり、北アルプス南部の盟主とされる。圧倒的な質量感のある峻厳な岩塊そのものを山体とする姿は盟主と呼ぶに相応しい風格だと思う。奥穂高岳は私が初めて本格的な登山を経験した山でもある。中学生の夏休み、山好きな両親に連れられて運動靴で岩場をよじ登っていったのを覚えている。個人的に最も思い入れがある山である。

奥穂直登ルンゼとバックカントリー

奥穂高岳はバックカントリースキーの対象としても人気が高く、最もよく滑降されるルートは直登ルンゼ1, 2だろう。直登ルンゼは、その名の通りザイテングラードから奥穂山頂に向けて一直線かつダイレクトに突き上げるルンゼである。名前から登攀ルートとして開拓されたと想像され積雪期には登ることもできる3が、今日ではスキー滑降ルートとして語られることがほとんどである。日本第3位の高峰山頂からスティープなルンゼにダイレクトにドロップできる非常に魅力的なラインである。その他、奥穂の山スキーのルートとしては扇沢も度々滑降されている。


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奥穂高岳と直登ルンゼ。中央右のピークが奥穂高岳で、山頂から直線的に落ちる顕著なルンゼがスキー滑降ラインの直登ルンゼ。左のピークは前穂高岳。5月5日北穂東稜から撮影。

奥穂高岳南稜

奥穂高岳南稜は岳沢から南稜の頭に向けて突き上げる尾根である。ウォルター・ウェストンと上条嘉門次が1912年に奥穂高岳を初登したクラシックルートであり、無雪期、積雪期問わずアルパインクライミングのルートとして人気がある。トリコニーと呼ばれる3つの岩峰があり、上高地や岳沢からその特徴的な姿を望むことができる。


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岳沢から望む奥穂高岳と奥穂南稜。左端のピークが奥穂高岳でその右下に見える3つの岩峰がトリコニー。

岳沢~涸沢間の移動

岳沢と涸沢間の移動は山屋や山スキーヤーの課題と考えている。積雪期に一般縦走路を使って岳沢から涸沢へ移動するのであれば、最短で岳沢~奥明神沢~前穂~吊尾根~奥穂~奥穂山荘~涸沢、となるが直線距離のわりには長丁場である上に、積雪期の吊尾根は一般縦走路にしては難易度が高い。一方で、山スキーであればより合理的なルートが選択肢になる。岳沢~奥明神沢~前穂~吊尾根北面ルンゼ滑降~涸沢のルート4は一つの解であろう。しかし吊尾根北面ルンゼはかなりの急斜面でありながら、岳沢からアクセスするとドロップポイントに行くまで滑降ラインの状況は確認できないため、容易なルートとは言い難い。そこで別解として以前から温めていたのが、岳沢~奥穂南稜登攀~奥穂~直登ルンゼ滑降~涸沢のルートである。登攀と滑降を含み、アルパインクライミングと山スキー両方の経験者のみに許された合理的なルートだと思う。

4月の大山5に続きアルパインクライミングとスキーを合わせた山行ということで、奥穂南稜をスキーを担いで登攀し、直登ルンゼを滑降するという以前から温めていた計画を実行した。しかし、奥穂南稜を完登したものの時間がかかり過ぎ、奥穂山頂に23時着、直登ルンゼ滑降は諦め、21時間行動の末、25時半に疲労困憊で奥穂山荘に逃げ込むという結果に終わった。

山行記録

5月2日 奥明神沢滑降

あかんだな駐車場から始発のバスで上高地入りし、岳沢登山口から歩き始めた。下部には雪は全くなく、シールを使えたのは2050m付近から。この日は奥明神沢を登り、前穂高岳山頂からダイレクトに滑降できる前穂高沢6を滑る予定だった。気温が低めだったので行けるところまで、ということで岳沢小屋に不要な荷物をデポして奥明神沢を登り始めた。しかし、次第に稜線に雲がかかり始め雪も降り出したので、2600m付近でスキーに履き替え、登ってきた奥明神沢を滑ることにした。昨日降雪があったおかげでパウダーだが、古く硬くなったデブリに底付きするため見た目より滑りにくい。なんとかこなして岳沢小屋まで滑り降りた。


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奥明神沢を登行。両側の岩壁が迫力ある。

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奥明神沢をスキー滑降。パウダーだが古く硬くなったデブリに底付きして見た目より滑りにくい。

5月3日 奥穂高岳南稜登攀

4時半岳沢小屋発で奥穂南稜の取り付きに向けて歩き出す。取り付きは尾根の末端を右に巻いて詰めたところから。先行パーティは尾根左手から、後続は自分達のさらに右側から取り付いたようだ。


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南稜取付きまでに向けて登行。明け方の上高地の景色が素晴らしい。

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奥穂南稜取付き。左下の尾根末端を右に巻いて詰めたところから取付いた。先行は尾根の左側から、後続は自分たちのさらに右側から。

1P 藤本
ハイマツを開始点にして、岩壁に取り付く。最初の岩壁がかなり悪く、何度かテンションかけながら無理矢理フォローで登った。


nanryo1P
奥穂南稜1Pの最初の岩壁。テンションをかけつつ無理やり馬乗りになって何とか超えた。

2P 藤本
緩いハイマツ帯。抜けると雪稜に出た。取り付きで見えた2パーティは先行し姿はもう見えなくなっていた。取り付きで時間をかけ過ぎたか。

2Pの後、先行のトレースを使わせてもらい雪稜をフリーで登る。右手には明神岳、左手にはコブ尾根の迫力ある岩壁だった。景色を堪能しながら登って行った。しばらく登るとトレースは一旦尾根の右側に移り、雪庇を乗っ越して再度尾根に乗り上げていた。雪庇直下のハイマツを開始点にして再びロープを出す。


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奥穂南稜2Pの後の雪稜をフリーで登る。振り返ると霞沢岳の素晴らしい景色が望めた。

3P 藤本
雪庇の乗っ越しはグサグサ雪の垂直な雪壁で、前爪を何度も蹴り込んで足場を作って登る。雪庇を越えると広めの雪稜。


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奥穂南稜3P最初の雪庇の乗っ越し。再びロープを出してグサグサ雪の垂直な雪壁を超える。

4P 三浦、5P 藤本
徐々にハイマツと雪が少なくなり岩稜帯になってくる。


nanryo5P
奥穂南稜5P。次第にハイマツと雪が少なくなり岩稜帯になってくる。右側の岩壁は吊尾根。間近で見ると迫力がある。

6P 三浦
1峰チムニーの手前まで。このあたりはほぼ岩場の登攀。

7P 藤本
チムニーの間を歩いて抜けて一旦右側の岩壁を上がってから、左の岩壁に乗り移る。


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奥穂南稜7Pのチムニー入り口。チムニーは歩いて抜ける。突き当りで一旦右の岩壁に乗り上げてから左の岩壁に乗り移る。

8P 藤本
1峰頂上に向けて岩稜帯を登り頂上から先はナイフリッジを歩く。背負ったスキーのテールが岩に引っかかり歩きにくい。


1pou
奥穂南稜1峰を抜けてナイフリッジを歩く。日没が迫り陽が傾いてきた。

9P 三浦
1峰2峰のトラバースから2峰終了点まで。雪面のトラバースの後、トレースは2峰の岩場を登っていたが、トレースの右側の雪面をそのまま登ると2峰を巻いてトレースに再び合流できた。錆びた残置ハーケンでビレイ。

時刻は18:30、薄暗くなってきた。ヘッデンをつけロープを解除して南稜の頭に向けて歩き始めた。トリコニーから南稜の頭までは、ほぼ簡単な雪稜で1~2時間と思っていたが結局4時間近くかかった。疲労の上、思ったより岩稜帯が多く全くペースが上がらない。風が出てきて途中で寒くなり、ピナクルにセルフビレイしてザックに入れていたダウンを着込み厚手のグローブに交換する。

南稜の頭到着が22:20、寒いので写真だけ撮ってから吊尾根の縦走路を山頂に向けて歩き、23時奥穂山頂到着。この辺りで雪が降り始めた。直登ルンゼ滑降も、この日の目的地の涸沢ヒュッテも諦め、奥穂高岳山荘までの下降路を降る。途中マチガイ尾根に迷い込んだりしてここでも時間がかかり、結局奥穂山荘に25時半到着となった。疲労困憊で寒さに震えながらも無事着いたことに安堵し、倒れ込むようにロビーで横になった。


kashira
奥穂南稜の頭22:20到着。
okuho
奥穂高岳山頂23時到着。

okuhosanso
奥穂高岳山荘25時半到着。疲労困憊で寒さに震えながらも無事着いたことに安堵。

5月4日 奥穂山荘から涸沢ヒュッテへ滑降

寒くてほとんど寝られなかったが、宿泊客が動き始める朝4時ごろ起きた。この日は涸沢ヒュッテを出発し滝谷D沢滑降の後、登り返してまた涸沢ヒュッテに戻る予定だった。すでに奥穂山荘にいて滝谷D沢はすぐそばだが、疲れは全くとれておらず滝谷滑降どころか外に出る気力すらないので、風が弱まるまで奥穂山荘で時間を潰すことにする。睡魔と寒気と時間を持て余しつつ過ごし、11時ごろになると風が弱まったので、涸沢ヒュッテへ降りることにした。前々日の降雪が猛烈なストップ雪になり、滑るとデロデロ雪崩れる状態だったがなんとか涸沢ヒュッテまで滑降した。


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奥穂高岳山荘から涸沢ヒュッテまで涸沢カールをスキー滑降。

涸沢ヒュッテには風もなく暖かだった。壮絶だった行程を振り返りながら、安穏な涸沢の空気に浸るのは心地良かった。1日遅れながらも無事目的地に着いたことに感謝し、穏やかな陽のあたるテラスで乾杯した。


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暖かく穏やかな涸沢ヒュッテのテラスで乾杯。中央に見えるのは奥穂高岳。

残雪期奥穂南稜のコースタイム

奥穂南稜登攀の残雪期の標準的なコースタイムは、岳沢小屋から南稜の頭まで5時間から長くても10時間程度のようだ。それに対して自分達は18時間かかっている。大きくルートを外れた訳でも大きなトラブルがあった訳でもない。取り付きのピッチには時間がかかったが、それだけではコースタイム5~10時間が18時間にはならない。

ここまで時間がかかったのは小さい要因が積み重なったことが理由だろう。2人とも積雪期無雪期問わず奥穂南稜を登攀したことがなかったため、ルートファインディングに時間がかかったりロープを出して登るピッチが多くなったこと、背負ったスキーが岩場で引っかかり動きが制限されたこと、スキーが重くて行動が遅くなったこと、足首の自由が効かないスキーブーツでの登攀に時間がかったことなどが要因と思われる。結果的に奥穂南稜登攀~直登ルンゼスキー滑降を実行するには力量不足だったと言わざるを得ない。しかし経験を積んでいつか成功させたいと思う。

岳沢~涸沢間の移動

奥穂南稜登攀~直登ルンゼ滑降は、岳沢から涸沢へ移動するルートとして温めてきた山行だった。逆に涸沢から岳沢へ移動するルートとしては、直登ルンゼ登行~扇沢滑降のルート3があるが、扇沢滑降は雪崩や落石、ノド部の滝の露出のリスクが高い。他のルートとして吊尾根北面ルンゼ登行~前穂高沢滑降、アルパインクライミングとスキー滑降を含む前穂北尾根登攀~前穂高沢滑降が考えられる。いつか挑戦したい魅力的なルートだと思う。


関連記録

  1. 奥穂高岳直登ルンゼ スキー滑降 2011年5月
  2. 奥穂直登ルンゼ 白出沢 スキー滑降 2012年5月
  3. 奥穂高岳 直登ルンゼ~扇沢 山スキー 2018年4月
  4. 前穂高岳 吊尾根 北面ルンゼ スキー滑降 2015年5月
  5. 大山北壁弥山尾根東稜 残雪期アルパインクライミング、行者谷 山スキー 2022年4月
  6. 前穂高岳 前穂高沢 バックカントリー 山スキー 2014年4月
  7. 北穂高岳東稜 残雪期アルパインクライミング 山スキー 2022年5月
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