2024.9.28-29 上高地 岳沢 滝沢大滝 の記録
こんばんは、岩瀬た、です。
上高地の岳沢を詰めたところにある滝沢大滝というところに、友人のガンちゃんに誘われて行ってきました。
大滝と言いつつ平常時に水の流れは無く、雨が降る時だけ滝となるようで、ガンちゃんから送られてきた写真を見ると、まるで大きな聖堂のパイプオルガンのようになっている柱状節理に囲まれていて、その場に身を置いてみたい欲求に駆られる。
登攀記録もクラシカルな記録ばかりのようで、興味深い。
詳しい記録は、"魂の男"ことがんちゃんのブログに書いてあるのでそちらをご覧ください。
・ちょっと寄り道の山
https://yorimichiii.blogspot.com/2024/08/takizawaotaki.html?m=1
がんちゃんの記録の前置きの長いこと川の如しだが、「なんだか気持ちは良くわかるなぁ」という感じだ。是非読んでみて欲しい。
僕は印象的だったことを書こうと思います。
1日目
(滝沢大滝全景)
滝沢大滝の偵察時に1ピッチ目を見た時、僕の目では「いやぁこれは正面のクライミングは無いな。」と見えたので、滝左側の凹角を登るのが無難だろうと思っていたのだが、魂の男の1時間30分にわたるルートファインディングの末、残置のハーケンのラインを見つける。
それでもなお僕は「いやぁクラックもリスも乏しいし、60年前の残置ハーケンなんか全く信用できないから、これは厳しいでしょ。」と思っていたが、魂の男はノリノリで、登るべきラインを見つけて嬉々としながら「1ピッチ目おれ登る」と進言してきたので、「それではよろしくどうぞ。」と譲って偵察を終えた。
(1ピッチ目の壁)
(柱状節理を愛する"魂の男"オレンジおじさん)
2日目
宣言通り、下段の滝1ピッチ目はガンちゃんが登る。
エイド前提の計画で、今時珍しく"なんでもあり"のスタイルでの登攀だ。
序盤の小ハングでさっそくエイドを開始するものの、ガンちゃんあまりエイドの経験無かったようでアブミへの乗り込みがぎこちない。
(1ピッチ目の小ハング)
練習してから来るべきだったのでは、、、と脳裏によぎる。
僕は、"挑戦するならそれなりの練習をするべき"と思うタイプで、アブミは練習すれば絶対できるようになることのうちの1つでもあるので、正直言うと若干イラついたが、本人熱望の壁だったし、今まさに頑張っているのが目に見えるので、わがまま言わずにじっとビレイする。
小ハングを超えて、明らかな核心の中間地点まで来た時、魂の男は何回も登ったり降りたりを繰り返した挙句ついに動きが止まり、だいぶ迷いが生じてきていた。
無理もないだろう。
残置ピンは触ってもないのに近くにハーケンを打つとポロッと落ちるものも混じってる始末だ。
そんなルートの中で、核心部のハーケンは上向きのリスに刺さっていて、全く信用できない。
がんちゃんはそのハーケンに向かって1歩を踏み出すかどうかだいぶ迷って、ついに、
「やめとこかな、、、」と呟く。
僕は長いビレイに飽きてきたのと、少なからず登ってみたい気持ちもあったので、
「怖かったらロワーダウンして交代でもええで。無理しない方がええんちゃう。僕も登ってみて、無理やったら諦めて巻こ。」
と声をかける。
それでもなお踏ん切りつかず迷っているので、
「まぁでもそのハーケンで登った人がおるんやから大丈夫なんちゃう。」
と逆にポジティブな声をかけてみる。
本当は全くもってそんなこと思っていなかったが、、、
かれこれビレイし始めて1時間半が経過しているのと、登っていく中でいくつかはちゃんとしたプロテクションとれてるっぽかったし、万が一骨折とかしても岳沢小舎がすぐ近くにあるので担いでそこまで行けるしどうにかなるなと思って、"迷える魂の男"に発破をかけてみたのだ。
そしたらようやく踏ん切りがついたようで、
「もうちょっとやってみるわ!」
と登りを再開した。
信用ならぬ下向きの残置ハーケンにアブミをかけ、念入りにテストして乗り込む。緊張の瞬間だ。
無事に乗り上がって、なんやかやと登ってせまい凹角に逃げ込むことに成功。そこでピッチを切る。
20m登るのに実に2時間かかったクライミングだった。
フォローで登ると、残置のハーケンは想像してたよりも劣悪な状態のものばかりで、ようこんなんでエイドしたな、、、と思うものだった。
ガンちゃんに合流すると、少し得意げ。
得意げになるには充分な内容で、2時間かける価値があったピッチだったので、僕もなんだか嬉しくなった。
結果的に、ビレイのしがいがある良いピッチだったと思う。良いもの見せてもろた。
在るものは在り在らぬものは在らぬ。の法則だ。
僕には在らず、ガンちゃんには在ったピッチでした。あっぱれです!!
(ここでピッチを切った)
その後はしばらく容易で、上段の滝の周囲は写真でみたパイプオルガンのような見事な柱状節理だ。
ここは僕リードで、思いっきり弱点の滝右側の凹角を登った。ちょっとボロくて落石が怖かったけど、爽快なピッチだった。
(パイプオルガンのようだ)
(行くぜ行くぜー!)
(爽快なピッチ)
そのあとも、ガンちゃんの空中アブミトラバースがあったりしたが、1ピッチ目の頑張りと比べると些細なことのように思えるので割愛。
上段の滝を抜けて、滝沢大滝終了!
(登るガンちゃん)
(落口へのトラバース)
上段の滝を抜けると穂高の吊り尾根が見えた。
そこまで行きたい気持ちが芽生えたが、時間もあまり無かったので奥穂南稜へ抜けて下降。
テント場に戻ってきて撤収し、無事にバスに乗り込んで下山完了。
魂の男がんちゃん、誘ってくれてありがとうでした!
なかなか良い山行になりました!!
僕らは決して上手なクライマーでは無いけど、それでも特別な感動を与えてくれる山と、そこで取り組むクライミングは、良いものだなぁ。
としみじみ思いました。
(記念写真)
こんばんは、岩瀬た、です。
上高地の岳沢を詰めたところにある滝沢大滝というところに、友人のガンちゃんに誘われて行ってきました。
大滝と言いつつ平常時に水の流れは無く、雨が降る時だけ滝となるようで、ガンちゃんから送られてきた写真を見ると、まるで大きな聖堂のパイプオルガンのようになっている柱状節理に囲まれていて、その場に身を置いてみたい欲求に駆られる。
登攀記録もクラシカルな記録ばかりのようで、興味深い。
詳しい記録は、"魂の男"ことがんちゃんのブログに書いてあるのでそちらをご覧ください。
・ちょっと寄り道の山
https://yorimichiii.blogspot.com/2024/08/takizawaotaki.html?m=1
がんちゃんの記録の前置きの長いこと川の如しだが、「なんだか気持ちは良くわかるなぁ」という感じだ。是非読んでみて欲しい。
僕は印象的だったことを書こうと思います。
1日目
(滝沢大滝全景)
滝沢大滝の偵察時に1ピッチ目を見た時、僕の目では「いやぁこれは正面のクライミングは無いな。」と見えたので、滝左側の凹角を登るのが無難だろうと思っていたのだが、魂の男の1時間30分にわたるルートファインディングの末、残置のハーケンのラインを見つける。
それでもなお僕は「いやぁクラックもリスも乏しいし、60年前の残置ハーケンなんか全く信用できないから、これは厳しいでしょ。」と思っていたが、魂の男はノリノリで、登るべきラインを見つけて嬉々としながら「1ピッチ目おれ登る」と進言してきたので、「それではよろしくどうぞ。」と譲って偵察を終えた。
(1ピッチ目の壁)
(柱状節理を愛する"魂の男"オレンジおじさん)
2日目
宣言通り、下段の滝1ピッチ目はガンちゃんが登る。
エイド前提の計画で、今時珍しく"なんでもあり"のスタイルでの登攀だ。
序盤の小ハングでさっそくエイドを開始するものの、ガンちゃんあまりエイドの経験無かったようでアブミへの乗り込みがぎこちない。
(1ピッチ目の小ハング)
練習してから来るべきだったのでは、、、と脳裏によぎる。
僕は、"挑戦するならそれなりの練習をするべき"と思うタイプで、アブミは練習すれば絶対できるようになることのうちの1つでもあるので、正直言うと若干イラついたが、本人熱望の壁だったし、今まさに頑張っているのが目に見えるので、わがまま言わずにじっとビレイする。
小ハングを超えて、明らかな核心の中間地点まで来た時、魂の男は何回も登ったり降りたりを繰り返した挙句ついに動きが止まり、だいぶ迷いが生じてきていた。
無理もないだろう。
残置ピンは触ってもないのに近くにハーケンを打つとポロッと落ちるものも混じってる始末だ。
そんなルートの中で、核心部のハーケンは上向きのリスに刺さっていて、全く信用できない。
がんちゃんはそのハーケンに向かって1歩を踏み出すかどうかだいぶ迷って、ついに、
「やめとこかな、、、」と呟く。
僕は長いビレイに飽きてきたのと、少なからず登ってみたい気持ちもあったので、
「怖かったらロワーダウンして交代でもええで。無理しない方がええんちゃう。僕も登ってみて、無理やったら諦めて巻こ。」
と声をかける。
それでもなお踏ん切りつかず迷っているので、
「まぁでもそのハーケンで登った人がおるんやから大丈夫なんちゃう。」
と逆にポジティブな声をかけてみる。
本当は全くもってそんなこと思っていなかったが、、、
かれこれビレイし始めて1時間半が経過しているのと、登っていく中でいくつかはちゃんとしたプロテクションとれてるっぽかったし、万が一骨折とかしても岳沢小舎がすぐ近くにあるので担いでそこまで行けるしどうにかなるなと思って、"迷える魂の男"に発破をかけてみたのだ。
そしたらようやく踏ん切りがついたようで、
「もうちょっとやってみるわ!」
と登りを再開した。
信用ならぬ下向きの残置ハーケンにアブミをかけ、念入りにテストして乗り込む。緊張の瞬間だ。
無事に乗り上がって、なんやかやと登ってせまい凹角に逃げ込むことに成功。そこでピッチを切る。
20m登るのに実に2時間かかったクライミングだった。
フォローで登ると、残置のハーケンは想像してたよりも劣悪な状態のものばかりで、ようこんなんでエイドしたな、、、と思うものだった。
ガンちゃんに合流すると、少し得意げ。
得意げになるには充分な内容で、2時間かける価値があったピッチだったので、僕もなんだか嬉しくなった。
結果的に、ビレイのしがいがある良いピッチだったと思う。良いもの見せてもろた。
在るものは在り在らぬものは在らぬ。の法則だ。
僕には在らず、ガンちゃんには在ったピッチでした。あっぱれです!!
(ここでピッチを切った)
その後はしばらく容易で、上段の滝の周囲は写真でみたパイプオルガンのような見事な柱状節理だ。
ここは僕リードで、思いっきり弱点の滝右側の凹角を登った。ちょっとボロくて落石が怖かったけど、爽快なピッチだった。
(パイプオルガンのようだ)
(行くぜ行くぜー!)
(爽快なピッチ)
そのあとも、ガンちゃんの空中アブミトラバースがあったりしたが、1ピッチ目の頑張りと比べると些細なことのように思えるので割愛。
上段の滝を抜けて、滝沢大滝終了!
(登るガンちゃん)
(落口へのトラバース)
上段の滝を抜けると穂高の吊り尾根が見えた。
そこまで行きたい気持ちが芽生えたが、時間もあまり無かったので奥穂南稜へ抜けて下降。
テント場に戻ってきて撤収し、無事にバスに乗り込んで下山完了。
魂の男がんちゃん、誘ってくれてありがとうでした!
なかなか良い山行になりました!!
僕らは決して上手なクライマーでは無いけど、それでも特別な感動を与えてくれる山と、そこで取り組むクライミングは、良いものだなぁ。
としみじみ思いました。
(記念写真)