山行記録

西穂高岳西尾根積雪期バリエーションルート

西穂高岳西尾根積雪期バリエーションルート
2018/3/30-3/31

天気:2日間、雲一つない快晴。晴れ過ぎやろ(笑)
メンバー:W、U本(記)

 以前から気になっていた西穂高岳西尾根へWさんと行ってきました。
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 樹林帯と岩稜帯で構成されるこの西穂高岳西尾根は北アルプスの槍、穂高というメジャーな山域にあるものの比較的入山者も少なく、総合的な冬山の楽しみを十分味わわせてくれる積雪期バリエーションルートであり、いずれは登ってみたいと考えていた。

 
 前半は樹林帯を伸びる急登の尾根道で積雪状況によってはラッセルを覚悟する必要があり、後半は森林限界を抜けた急斜面の雪稜登攀と山頂まで続く雪と岩稜のミックス地帯の登高というのが本ルートの特徴である。

 20㎏前後のザックを背負って積雪状況によっては深雪をラッセルしながら登る体力、雪崩のリスク判断、滑落したらほぼ間違いなく死ぬであろう危険個所が多数あり、わずかなミスでも命取りとなることから雪稜や岩稜での的確なピッケル、アイゼンでの登高技術、ロープワークに加え、入山者が少ないルートということもあり積雪状態に応じた正確なルートファインディングも必要とされる。


 計画の初期段階からWさんと何度も打ち合わせを重ねながら、実際に起きうるであろう様々な事態をシミュレーションし、必要な装備、日数、食料などを割り出して詳細を詰めていった。地形図による詳細なルート調査とお互いの力量を検討した結果、一応1泊2日でいけるのではないかとの見通しは立てていたが、雪が予想以上に多くラッセルに時間をとられる場合もあると考え、予備日1日分余裕をみて食料は2泊3日分を持ち上げることとした。また、稜線を吹き抜ける強風でコールがお互い聞き取れないことも考えられたため、アマチュア無線機を各自携行することとした。実際は最後までロープを出さずに行けたため、無線機でコールする場面はなかったが、わずか160gと軽量コンパクトであり、スマートフォンと違い分厚い手袋をしたままでも容易に操作できるという手軽さで行動中の意思疎通にとても役立った。無線機は今後も積極的に活用したいと考える。


 荷物は極力軽量化していく方針であったが、八ケ岳阿弥陀南稜で7人が同時滑落、そのうちの3人が死亡する遭難事故が本山行の数日前に発生した。山では何が起きるかわからないということも考え、50mシングルロープ1本、アイススクリュー数本、またスノーバーも持っていくこととした。

 雪山での通常の幕営装備に加えて、ダブルシャフトで登攀の安全性を高める目的で各自ピッケル2本(アッズとハンマー各1本)を携行、ラッセルがある可能性もあったのでワカン、雪崩の危険個所があるためビーコン、ゾンデ、スコップを携行したことでザックの重さは最終的に23㎏に達した。
 せめて食料だけでも軽くしたいということで今回は山岳会伝統の鍋料理でなく、アルファ米などの携行食料を中心とした簡素なものとした。さらにこの時期は雪が氷化し、滑落のリスクが高くなっていることが考えられたため、ピンピンになるまでアイゼンの全ての爪を研ぎ直す等、細部に至るまで事前準備をおこなった。


 本山行の数日前の出張で北アルプス上空を飛ぶ機会に恵まれた。槍、穂高上空を抜けるコースをうまく取ってくれればと、また雲が少なく視界が遠くまできいてくれればとひそかに期待していたところ、穂高連峰の上を狙いすましたかのように飛んでくれ、西穂高岳を上空から事前偵察することができた。3月も末にもかかわらず、穂高連峰は真っ白な雪に覆われた荘厳な雪山の装いで、来たる山行への期待が高まる。

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 午前3
時半過ぎに新穂高駐車場へ到着し、車中でそのまま仮眠する。5時過ぎに目覚め、かるく朝食をとり装備を整えて6時過ぎに出発する。前日までの激務の疲れに加えて極度の寝不足で頭はぼーっとし、体は死んだように重く、調子が上がらない。

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 新穂高登山指導センターに登山届を提出し、ロープウェイの新穂高温泉駅の下を素通りして右俣林道へ入っていく。車止めのゲートから先はがっつり雪が積もっていた。ツボ足で林道をトボトボ歩く。モナカ雪を踏み抜いては膝や腿まで埋まり、歩きづらい。

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 穂高平避難小屋についたあたりから身体がようやく目覚めてきたか、頭が少ししゃきっとしてくる。後ろから40代男性2人のパーティが追いついてくる。西尾根に入ったのは我々と彼らの2パーティ、計4名だけであった。

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 西尾根の取り付きはどこからでも良いということになっている。穂高平避難小屋の前でワカンを履き、牧場跡の柵を乗り越え、ただっぴろい雪原を突っ切って西尾根の末端にとりつく。
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 表面はパリッと、中はふんわりサラサラしたモナカ雪が積もった急斜面が尾根のすそ野から始まる。モナカ雪を踏み抜いて膝や腿まで埋まってはもがき、ザックの重みが肩からのしかかり、一向に捗らない。ふと気づくと熊の足跡が目の前を点々と横切っている。こめかみから汗を滴らせながら、熊も冬眠から目覚めてこんな深い雪の中を歩きまわって大変だな、などとぼんやりした頭で思った。
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 雪が締まっていて少しでも歩きやすいところを探しつつ、広い尾根を右上へとトラバースしながら登っていくと、少しずつ雪が締まってき、能率が上がってくる。

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 適当な頃合いでアイゼンに履き替え、肩に食い込むザックの重さにあえぎながら雪の急斜面を尾根筋に忠実に登っていく。心地よいほどに静かなブナの原生林を抜けていく。見上げれば穂高ブルーに染まった雲一つない青空がどこまでも続く。真っ白に雪化粧した錫杖岳、笠ケ岳、抜戸岳を背負いながら着実に高度を上げていく。

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 1946mピークで一息入れる。見渡せばテントを十数張りは張れそうな平地が広がっている。しかし我々が目指すのは2350~2400m付近の幕営適地。こんなところで落ち着いてしまうわけにはいかない。ずっと先まで樹林帯が続いているのが見える。

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 1946mピークの奥のなだらかなコルを抜けると西尾根主稜上へ出る。アップダウンを繰り返しながら細く痩せてきた尾根沿いの急登が果てしなく続く。モミの木の間から白銀の西穂高岳のピークが見え隠れしながら少しずつ近づいてくる。

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 15時頃ようやく2343mのコルにたどりつく。先行していた40代男性2人のパーティがテントを設営しているところだった。重いザックを投げ出し、どこにテントを設営するかWさんと頭を突き合わせて相談する。地形図を改めて確認すると30分ほど進んだ先の第1岩峰手前の2400mのコルにテントを張れそうな地形がある。2343mのコルにザックを置いたまま空身で偵察に向かう。23㎏のザックがないとこんなに身体が軽いのか、このまま空へ風船のように舞い上がっていけるかのような錯覚におそわれる。先ほどまでの亀のような重い足取りが嘘のように空身で尾根筋を駆け上がると予想どおり2400mのコルに2人用テントを1~2張りだけ張れる狭いスペースがあり、目の前に第1岩峰がそびえている。お互い迷うことなくここにテントを張ることにした。

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 2人用テントを張り、その近くにトイレを掘り、テントの脇に風よけのブロックを積み上げる。膝を突き合わせて温かい紅茶を回し飲みし、ウィスキーを舐めながらせっせと水を作る。アルファ米にレトルトカレーをかけ、ボイルしたシャウエッセンをほおばりながらカレーライスを掻き込む。シャウエッセンをボイルしたお湯で溶いたクラムチャウダースープを流し込む。アルファ米に入れるお湯の量を間違えておかゆカレーになってしまったが、お腹に入れてしまえば同じだ。満腹になった後はウィスキーを舐めながらよもやま話をしているとだんだん瞼が重くなってき、早々に寝袋に潜り込む。テントの中は暖かく快適で、朝まで夢一つみず爆睡だった。

 

 4時過ぎに目覚め、アルファ米の牛飯とコーンスープの簡単な朝ご飯をすませ、テントを撤収して6時過ぎ出発。見上げると今日も雲一つない青空がどこまでも広がり、風もほとんどない。今日もまた良い一日になるのではと期待が高まる。

 

 ここから先は昨日までの樹林帯の尾根歩きから一転、岩と雪の荒々しい岩稜へと様相が変わる。威圧的なほどに第1岩峰が目の前に高々と聳える。過去の山行記録によると第1岩峰を右へ巻いたり、左へ巻いたり、雪がついているときは第1岩峰を直登した事例もあるようだ。今回は第1岩峰下部にはほとんど雪がついておらず、所々氷柱が垂れ下がっている。
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 我々は前もって打ち合わせたとおり第1岩峰を右へ巻き、岩峰基部近くの急斜面の雪渓を直登する。所々岩が出ているが、ほとんどが雪壁。雪はよく締まっており、アイゼンが良く効く。ロープは不要。
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 雪の急斜面を登り切ると、ジャンクションピークへ向かって延々トラバース。所々前爪で登る箇所があり、ふくらはぎに堪える。もたもたしていると疲れるので駆け上がるように進む。ちょっと止まっては息を整え、足を休める。前をみると雪庇が張り出しており、下をみればどこまでも続く急な斜面。雪の下にハイマツと岩がうっすら見えるところを慎重に進む。
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 ようやく北西尾根との合流地点、ジャンクションピーク。見るからに頼りなげな細い痩せ尾根の上に北西尾根からのトレースが残っている。去年のGWにTさんとI瀬さんがここから登ってきたのだなと、自分たちが登ってきた西尾根と同じく長大な北西尾根を見下ろしながらそんなことを考える。ジャンクションピークの上に小さなコルがあり、テント跡が残っていた。1~2張り分のスペースしかないので早い者勝ちだが、北は双六岳、弓折岳、槍ヶ岳、中岳、南岳が横一列に広がり、南には焼岳、乗鞍岳、御岳山、西には錫杖岳、笠ケ岳、抜戸岳、東には西穂高岳のピーク、ロバの耳、ジャンダルム、その奥に奥穂高岳が畏怖堂々と屹立している。次に来るときは早い時間にここまで上がってテン泊し、絶景を愛でながらゆっくりお酒を飲みたいものだと思った。

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 ジャンクションピークの隣に2837mピークがそそり立つ。右側を巻いて雪稜を進むと第2岩峰が視界に入ってくる。これも岩尾根を右に巻いて岩稜右側の浅いルンゼを直登する。この辺りは岩がボロボロで浮石も多く、気が抜けない。難しさは感じないが、失敗できないので緊張感が続く。ふくらはぎが疲れてくるのが怖い。岩にしっかり乗れる場所を見つけてレストしてはふくらはぎを休め、また登る。繰り返し出てくる小岩峰ごとに急な雪壁の登りがある。雪壁にはピッケルもアイゼンもしっかり刺さる。岩峰に雪がついているところのほうが登りやすい。雪質も柔らかいところや堅いところと様々。劣化したフィックスロープや錆びたワイヤーが所々垂れていたが、雪に埋もれているところも多かった。正しいルートを進めているというとりあえずの指針にはなる。天気に恵まれ、幸いロープを出さずにすんだ。

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 山頂直下の最後の核心部の岩場に差し掛かる。古いロープが垂れていたが、大半が雪に埋まっている。丁寧に足場を確保しながら垂直に切り立ったルンゼをダブルアックスで慎重に体をせり上げる。特に難しさは感じないが、見下ろすと完全に切り立っていて高度感が半端ない。このドキドキ感がたまらない。雪崩の跡が所々に残る西穂沢の雪渓が遥か麓まで伸びている。登攀する足元から崩れ落ちた雪塊が数百メートル垂直に切れ落ちた絶壁を次々落ちていく。わずかなミスも許されない。

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 ルンゼを乗り越えると西穂のピークへの最後の斜面が陽光にきらきら輝いている。そのまま一気にピークへ駆け上がる。

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 西穂高岳山頂。パートナーとがっちり握手する。お互い自然に笑みがこぼれる。雲一つない穂高ブルーの青空がどこまでも冴えわたり、360度の大パノラマが広がる。絶景に圧倒される。山頂は無人で我々だけだった。撮影大会をし、景色を楽しみながら携行食をほおばり、温かい紅茶を味わう。ここから離れるのが惜しい。

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 下山開始。急峻な岩稜に雪の痩せ尾根が続き、独標までは気が抜けない。ロープウェイの時間に確実に間に合うという安心感からか、絶景を十分に味わいながらアップダウンを繰り返しつつ標高を下げていく。

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 ピラミッドピークから独標までの細い尾根を何人もの人が続々こちらへ登ってくる。午前中のロープウェイで上がってきた人たちだろうか。

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 独標。ここまでくると大勢の登山客で賑わっていた。ここでまた少し休憩する。狭い高台に大勢の人がひしめいており、傍のグループの大声が耳に飛び込んでどうにも落ち着かない。先ほどまでいた西穂山頂の静寂が早くも懐かしい。早々に休憩を切り上げて西穂山荘めがけてさらに下る。

 

 丸山を通過し、広くなだらかになってきた斜面を降りると西穂山荘。山荘の前に重いザックを下ろして名物の西穂ラーメンを頂く。味噌味の温かいスープが胃にしみわたる。

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 西穂山荘からロープウェイ駅まではこれでもかというくらい丁寧な案内看板とデポ旗が点々と続く雪道を降りていく。1時間ほどでロープウェイ駅到着。着くとすぐにロープウェイが発車し、15分ほどで新穂高温泉駅到着。新穂高登山指導センターへ下山届を出して温泉に向かう。中崎山荘奥飛騨の湯の開放感満点の露天風呂で2日間の汗を流す。さっぱりした後、体重計に乗ってみるとWさんも私も2日間で2㎏落ちていた。あと4回通えば10㎏は落とせる計算だ。

 

 本ルートは、第1岩峰の取付きから山頂直下の緩斜面に出るまでは険しい岩稜帯、急峻な雪稜やオープンバーンの雪壁の連続で気の抜けるところはほとんどなく、緊張感を張り詰めたなかでの持続力が求められる。また雪庇や雪の状態を判断できる氷雪スキルは勿論、アイゼン、ピッケルワーク、重装備を担ぎながら登高を続ける強靭な体力が必要である。バリエーションルートのため入山者は少ないが、滑落事故もしばしば起きており、慎重な行動と判断が求められる中上級者向けのルートであると感じた。深雪でのラッセルが多かったり、天候が不安定なときはかなり手強いルートになると思われた。今回は天候にも恵まれ、雪の状態も安定しており、ラッキーであった。

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 Wさん 楽しい山行ありがとうございました。やっぱりアルパインクライミングは楽しいですね。またこれからも色々なバリエーションルートにチャレンジしましょう。

 

≪コースタイム(超アバウト)≫

330:

午前6時過ぎ:新穂高登山指導センター  午後3時過ぎ:2343mのコル  午後4時過ぎ:2400メートルのコル(泊)

331:

午前6時過ぎ:2400メートルのコル出発  昼前、西穂高岳山頂  午後1時半過ぎ:西穂山荘  午後4時、新穂高ロープウェイの新穂高温泉駅(新穂高登山指導センター)
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2018/3/13 伯耆大山登山 & 雪上訓練

伯耆大山
登山(夏道)&雪上訓練

2018年3月13日(火)
天候 晴
メンバー A井(L)、O西(SL)、T口、T内、I 橋、OKD(記)

今回は雪山初心者も参加ということで、雪上訓練も兼ね伯耆大山へ。
午前0時半にメンバー全員三ノ宮駅に集合し、「さあ出発!」といきたいところが・・・T口さん、まさかの寝坊・・・直接現地に向かうとのことで、残りのメンバーで大山へ向かう。
午前4時ころに駐車場に着き、しばし仮眠、目が覚めるとT口さんの真っ赤なロードスターが横に止まっておりホッと一安心、さっそく準備に取り掛かる。
午前6時40分それぞれ準備を整え気合を入れて出発。
A井リーダーを中心になんだか戦隊もののような後ろ姿。
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夏道登山口から入ってすぐ、連日の陽気で溶けた雪が再び夜中に凍ったのか足元がツルツル滑り、早々にアイゼンを着けることに。
足元もしっかりしてザックも軽くなり、仕切り直していざ出発。
A井リーダーを先頭にフラットキックに心がけながら順調に高度を稼ぐ。
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午前8時40分、6合目避難小屋に到着。
ここで滑落停止訓練。
O西監督の御指導のもと、ピッケルを使ったセルフビレイ、腰がらみでのビレイ、滑落停止方法等、慣れない動作に戸惑いながらも皆積極的に反復練習する。
監督の滑落停止見本はさながら❝蝶のように舞い蜂のように刺す❞といった感じで、ひらりと反転したと思うと一撃必殺でピックを突き刺し、ピタリと停止。
皆一同に「おぉ~」と歓声が上がりました。
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滑落停止訓練を終え再び登山開始。
励ましあいながら最後の登りを越え、1600m付近になると急になだらかな斜面となった。
天気は常に快晴、日本海の水平線まで見渡せた。
海の向こうでは平昌パラリンピックの選手が健闘しているころか。
I 橋君が海に向かって「ヤッホー」と叫ぶ。。。当然返事はない。。。。
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スタートから順調なペースで登り続け、滑落停止訓練にも小一時間を費やしたがほぼ予定通り午前10時40分頂上碑に到着、しばし各々撮影タイム。
偶然通りかかった他の登山者に依頼し、全員集合で写真におさまることができた。
お約束の❝シェー❞させて頂きました。
向こうに見えるのが最高峰の剣が峰、冬季のみ登頂可能だがこの日は気温も高く、この時点で雪も緩んできている。
剣が峰の登頂はまた次の機会ということで。
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撮影会後は弥山避難小屋で軽く腹ごなし。
T内さんのザックからゴボウ天が出てきたのは少々驚きましたが、これがまた絶妙。
汗をかいた体に、優しい塩味が染みました。
その後美しい北壁を眺めながら一気に高度を下げる。
来シーズンは北壁にチャレンジしたいですね。
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午前11時50分、再び6合目避難小屋に到着。
小屋横の雪だまりで雪崩の弱層テスト。
皆で雪を掘り出し、弱層テストの方法をO西監督から教わるも今日の雪はなかなかに強固でうまく層からズレてくれず・・・「雪崩の心配なし!」との結論。
T口さん、PetzlのNewヘルメットかと見紛うようなヘアースタイル、似合ってますYO!!
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最後は阿弥陀堂横の開けた場所で、ビーコンの使用方法を確認。
今回は1台を隠して探索し、トリプルアンテナ、シングルアンテナの性能の違いや使用方法を試してみた。
実際にやってみると、ある程度の範囲は絞ることができるものの残り数メートルの探索が非常に難しく、ゾンデ棒も併用することでいかに早く発見することが重要かを体験することができた。
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午後2時10分下山。
装備を片付け、豪円湯院で汗を流す。
顔が日焼けしていて温泉でピリピリしました。
温泉でサッパリしてから食事し、その後帰路につきました。
帰りの車窓からもかっこいい伯耆大山の姿が見られました。
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今回の山行を計画してくれたA井リーダー、多々指導してくれたO西さん、パーティーの皆さん、有意義で楽しい山行をありがとうございました!!
下界はもう春の陽気、沢シーズン始まりの予感!!
















2017.10.17~22 南アルプス縦走(白峰南嶺(青薙山~広河内岳)~蝙蝠岳)

2017.10.1722 南アルプス縦走(白峰南嶺(青薙山~広河内岳)~蝙蝠岳) メンバーI(記)

 

4年前の大峯奥駆(逆峯)以来となる単独縦走を計画する。

南アルプスでも知る人ぞ知るマイナールート。計画は、白峰南嶺と蝙蝠岳を繋ぐ周遊だ。

いい計画だと思ったが、季節外れの秋雨前線の影響で全行程⁉雨予報となる。

しかし、この機会を逃すと、次に歩けるチャンスがあるかどうか。

悩んだ末、雨歩き覚悟で決行とする。
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10月17日(火)『初日』 雨のち曇り
単独運転だったので、早めに家を出たが、沼平到着が午前7時を過ぎてしまう。

車は勿論、自分の1台だけ。しとしとと雨が降る中、雨具を着て、重い足取りで林道を歩き出す。
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ダム湖終点辺りが、青薙山の取り付きだ。雑草に覆われた階段を登ると、出だしから踏み跡が薄い。
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今にも崩れそうなジグザグの急坂を喘ぎ登ると、石の積み重なった小台地に出る。

ここで、右手の送電線巡視路に誤って入り、鉄塔まで登って漸く間違いに気付く。

雨で下を向いて歩きすぎた。約30分ロスする。小台地を左手に進むのが正解。

急な尾根を登りきると、トラバース道に入り、やがて沢音が聞こえてくる。

池ノ平はテント適地のオアシスだ。窪地にこんこんと水が湧き出している。時間的に所の沢越までが怪しくなったので、ここで水を汲んでおく。
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重いザックを背負い直し、谷間を登り切ると赤崩の縁に出る。足元から切れ落ちている広大な黒い崩壊地は迫力満点だ。畑薙橋付近に大量に堆積している土砂は、ここから流れ出たものだ。
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崩壊地を左手に斜面を登ると赤崩の頭。晴れていれば大パノラマだろうが、雨は止んだものの雲しか見えない。この辺りのルートが、草木が繁殖して判別し難い。よくよく探すと右手に僅かなトレースとピンクテープがある。
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このルート上にある比較的新しいピンクテープは、有難く活用させていただいた。

暫く樹林帯の谷間を縫うように進む。

やがて右手の尾根を登ると、青薙山の急登が始まる。思いのほか、足が前に出ず、どんどん時間だけが過ぎてゆく。この登りで、本日、所の沢越まで到達しないことが決定的となる。

疲れ切ったころに漸く傾斜が緩やかになり、青薙山山頂に到達する。樹林帯に囲まれ展望はないが、周辺は傾斜が緩くテント適地だ。しかし、次の日の行程を考えると少しでも進んでおきたい。
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青笹ルートの分岐を越えると尾根は細くなり、藪っぽくなる。
藪をかき分け進むと2368の次のピークでタイムアップ。秋の日没は早い。あっという間に辺りは暗闇に包まれ、初日が終わった。

 

コースタイム:沼平07500910青薙山取り付き~1205池の平12201315赤崩の頭~1605青薙山16201715小ピーク

平面距離:11.66km、累積標高:(登り)1958m、(下り)586m

水場:池の平

docomo電波:青薙山(何とか入る)


 

1018日(水)『晴天』  晴れのち雨

日出前からヘッドランプを点けて歩き出す。幸い尾根が細く、それほどルートを外す心配もない。

が、僅かなトレースとテープを疎かにすることはできない。少しでも「おかしい」と感じたら、それはルートを外していることを意味する。そう感じたなら、焦らず正しいルートまで一旦戻る。この山脈を歩く上で大事なことだ。

右手から朝日が昇り、雲海の上に富士山が浮かび上がる。何度見ても心打たれる感動の瞬間だ。
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稲又山山頂も樹林帯に囲まれ展望はない。ここから北上する際は、山頂手前を右手に折れ、トレースの判然としない斜面を下る。テープはあるが、見落とし注意。
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倒木を越えて進むと、ルートは尾根沿いにあり、薄いトレースと所々にあるテープを丹念に拾って進む。

小屋跡を越えると斜面が広がりルートがわかり難いが、右手の尾根沿いに下って行くと所の沢越に出た。

荷物を置いて5分程下ると沢の音が聞こえ、水場に着く。沢の南側は、よいテント適地になっており、昨日到達できなかったことが悔やまれた。
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布引山への登りは出だしからルートが判然としない急登だ。一旦コルへ下り、約400メートルの再急登が始まる。ほぼ尾根沿いに登るが、布引大崩れ辺りで一部踏み跡が崩壊している。
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大崩れを越えて樹林帯をジグザグ登り、最後は斜面左手の藪を進む。藪漕ぎにうんざりする頃に老平からの登山道に飛び出した。布引山山頂は直ぐそこだ。樹林帯に囲まれ展望はないが、疲れたので大休止する。
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ここから、これまでとは違い踏み跡が濃くなる。広い山頂部を下って行き、コルから再度200メートル登り返すと二百名山の笊ヶ岳山頂。嬉しいことに360度の展望で、
これが、この山行一番の展望となった。
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山頂から小笊の延長に見える富士山が印象的だ。振り返れば歩いてきた青薙山、稲又山は、綺麗に紅葉している。遙か遠くに間ノ岳も見える。あそこまで歩けるだろうか。日没までに転付峠へと思い、先を急ぐ。

椹島下降点まで一気に200メートル下り、再び這松尾山手前までの登り返し。下降点からの先の稜線も踏み跡は比較的しっかりしている。
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這松尾山付近で、周囲が雲に覆われ始める。既に天気は下り坂だ。ここで富士山も見納めとなった。

上倉沢上部のガレ縁を通過して一登りすると生木割山山頂。立派な標識とテレビアンテがあるが樹林に囲まれ展望はない。既に時間は午後2時だが、転付峠まで4時間と表示されている。やれやれ・・・。
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この先から南アルプスらしい静かで深い樹林帯が続く。辺りは雲が湧き始め、幻想的な雰囲気だ。
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小さいプレート表示のある天上小屋山ピーク(展望なし)を越えると稜線西側のトラバースルートに入る。幅の狭い踏み跡を黙々と歩く。結構長い。

トラバースが終わり、稜線沿いの樹林帯を少し下ると林道に出る。何とか日没前でホッとする。林道だが、草木が立派に繁殖し、法面も所々崩れ石がゴロゴロしているので歩き難い。
転付峠まで急ぐが、あえなく日没となり、ヘッドラのお世話になる。
転付峠直前で突然、濃い霧に覆われ、ヘッドラの光が蒸気に反射して3メートル先の視界もままならなくなる。手探り状態で何とか転付峠標識に到着。
水を汲みに行きたかったが、視界がないうえにルートが濃い笹藪に覆われていたので断念する。

するとポツリと奴が来襲し、疲れた身体に追い打ちをかけるのだった。

 

コースタイム:小ピーク05200615稲又山~0715所の沢越07451010布引山10201155笊ヶ岳12251245椹島下降点~1405這松尾山14201445生木割山~1555天上小屋山~1710林道~1755転付峠

平面距離:17.88km、累積標高(登り)1739m、(下り)2064m

水場:所の沢越、転付峠

docomo電波:布引山、笊ヶ岳、転付峠(良好)

 

1019日(木)『冠雪』  雨(霙)

昨夜から降り始めた雨は、出発になっても止むことなく降り続いた。今日の関東地方は、12月中旬並みの季節外れの寒さとなるとのこと。周囲に雪が積もっていなくてホッとするが・・・。
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暫く水場がないので、サブザックで水を汲みに行く。転付峠標識から笹藪を掻き分け、雨で滑り易い斜面を左手に下って行く。10分程で水場だ。塩ビ管から細い水が流れ出ている。水分不足の身体には有難い。直ぐ傍にテント適地がある。

転付峠に戻り、雨で展望のない林道をトボトボと歩く。予報とおり寒く、冷たい風雨が身体を刺す。
林道は直ぐに草木の繁殖が著しくなり、開通からの時代を感じさせる。この林道もいつかは、草木に埋もれていくのだろう。
途中、木々や落ち葉の上に積雪があるのに気付く。見上げれば雨に霙が混じっている。

林道を50分程進むと、各記録に載っている法面崩壊地に突き当たる。ここは法面上部を迂回する。北上時は迂回ルート終盤の下り斜面が急で崩れている。
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2
時間程で地図上の広場に到達する。晴れていれば荒川岳と徳右衛門岳のパノラマだが勿論展望ゼロ。
更に1時間程歩いてやっと林道終点の奈良田越に到着。辺りには、古い建設資材等が散乱している。
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ここからの北へ白剥山の急登となる。テープも少なく、濡れた地面と積雪でルートが判別し難い。

ルートを慎重に見極めながら、樹林帯の尾根を登ると白剥山山頂に到着。ここも樹林帯で展望はない。
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このピークの先で右手の谷に迷い込んだり、2重ルートで折り返してしまい、雪面に着いた自分の足跡でハッと気づいたりした。雨で俯き加減で歩くので、どうしても視界が狭まってしまう。

そんな天候に嫌気が差しながらも、深い樹林帯を黙々と高度を稼ぐ。

樹林帯の窪地の先から徐々に藪が激しくなる。怒涛の藪漕ぎの始まりだ。
序盤はシャクナゲの藪と格闘しながら尾根上を進む。
尾根を左に越えると這松帯の露地に出て、漸く雲に見え隠れする笹山南峰を捉える。
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尾根左斜面の這松帯を漕ぎながら、僅かな踏み跡とテープを探しながら進む。ルートを外すと這松地獄が待っている。風雨の中、ただでさえ消耗しているので、それだけは避けたい。水分をたっぷり含んだ這松漕ぎで登山靴は水浸しだ。

ルートは尾根上に戻り、谷間を登って、再び尾根左斜面に出る。うんざりする這松漕ぎと脆い露地を交互に越えて行く。砂利の斜面でルートは直角に右に折れ、広場(テント適地)に出る。そこから左手に一登りで笹山南峰に出た。
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藪漕ぎで全身ずぶ濡れ状態なので、立ち止まると急速に身体が冷えていく。樹林帯の陰で行動食を詰め込む。

ここから先は笹山ダイレクト尾根を利用するハイカーが結構いるので、踏み跡は濃くなる。翌日の天気次第だが、とりあえず白河内岳手前の森林限界まで進むこととする。

展望のない笹山北峰から一旦下り、少々ルートが不明瞭な露岩帯を越える。

その先の濃い這松帯を抜けて、樹林帯を一登りすると白河内岳手前の森林限界台地に出た。
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ここからは暫く吹き曝しの稜線となる。相変わらず、冷たい風雨が西から東に吹き抜けていく。

全身ずぶ濡れの辛い一日となった。

 

コースタイム:転付峠05100520水場~転付峠05450625乗越~0740広場~0850奈良田越09101020白剥山~1230樹林帯の窪地~1350笹山南峰14151420笹山北峰~1525白河内岳手前

平面距離:13.49km、累積標高(登り)1646m、(下り)863m

水場:転付峠
docomo電波:笹山南峰、白河内岳手前(良好)


1020日(金)『疲労』  雨

雨は断続的に降り続いていたが、昼頃から明日の午前中までは一旦止むとの予報。台風も本土接近が23日以降とのことだったので、予定通り進むことにする。

暗いうちから歩き始めたが、白河内岳南面は広い。少し進むと暗闇でルートを失った。ここは迂闊に進むと這松漕ぎで大変なことになる。2年前のそれを思い出す。おまけに雨の日出特有の濃い霧が辺りを包み、ライトが反射して方向が定まらなくなる。ここは落ち着きと慎重さが必要だ。

幸い南斜面のど真ん中を進めばいいことは分かっていたので、這松帯を慎重に躱しながらガレ場を登ると上手い具合に山頂に出た。ここから先は吹き曝しの稜線となり、西から吹き抜けていく風雨が強くなる。

広大な山頂を右手に下り稜線沿いを大籠岳へ進む。西からの風雨をもろに受け、左半身が凍える。

大籠岳直前は濃い這松帯なので、斜面右手の稜線沿いから下り、低い這松帯を抜ける。

大籠岳から稜線の西側の踏み跡を北上し、2772ピークを越えたあたりで、漸く雨が小降りとなる。
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稜線西側斜面のルートを外さないように下る。

緩い登りからルートは左に直角に曲がり、広河内岳への急登が始まる。
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稜線沿いをジグザグに登ると小ピーク。冬仕様が始まった雷鳥ファミリーがウロウロしていた。
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小ピークから右手の稜線沿いを登ると広河内岳山頂に着いた。風が強く、とても休める状態ではない。写真だけ撮って進む。
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ここから先は一般登山道だ。

一旦大門沢下降点まで下り、稜線の東側陰で、少し行動食を補給する。

ここから農鳥岳までは稜線東側斜面の登りなので、若干風が和らいだのが有難かった。

農鳥岳山頂東面の陰で再度エネルギーを補給し、西農鳥岳へのトラバースに入る。
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予想通り風がきつく、雨が降ってないのが不幸中の幸いだった。濡れたガレ場のトラバースと登りは思いのほか時間がかかる。

西農鳥岳を越えて視界の効かない急坂を下って行くと突然、農鳥小屋が現れた。人気のない小屋を過ぎて三国平へのトラバース道分岐手前で一息つく。すると雲が切れ始め、少しだけ周囲が見えるようになった。

一休みして西の間ノ岳斜面に見え始めたトラバース道に進もうとしたが、情けないことに記憶違いで分岐がわからず、行ったり来たりを繰り返し、大幅にタイムをロスする。悪い思い込みの典型だった。

何とかトラバース道に辿り着き、農鳥沢を越えて登り切った頃には、疲労感満載となっていた。
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農鳥沢を越えると起伏は少なくなるが、トラバース道は延々と長い。
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三国沢の水場で一休みしてからも長く感じた。

三国平に着く頃、再び辺りは雲に覆われポツリと雨が降り始める。

電波が入ったので天候をチェックすると、台風21号の本土接近が早まり、明後日から暴風雨予報。しかも、その影響で前線が活発化して明日の朝から雨が降り出し、大雨とのこと。蝙蝠岳を越えての下山を急がなくてはならない。

さっさと下って熊ノ平に着きたかったが、既に足取りが重い。残念ながら、雨の中、雪投沢まで3時間かけて歩く気力が湧かなかった。ここは切り替えが必要と割り切る。今日は思い切って早く休み、明日超早出で頑張るしかない。

10年振りの熊ノ平は、水も豊富で変わらずオアシスであった。


コースタイム:白河内岳手前04550535白河内岳~0620大籠岳~0750広河内岳~0815大門沢下降点~0915農鳥岳09251005西農鳥岳~1045トラバース分岐手前11051210農鳥沢~1300三国沢~1350三国平~1420熊ノ平

平面距離:12.08km、累積標高(登り)1144m、(下り)1329m

水場:三国沢、熊ノ平
docomo電波:農鳥岳、トラバース分岐付近、三国平(良好)、熊ノ平(なし)


1021日(土)『核心』  曇りのち雨

深夜零時に起きて、午前1時に出発。幸い雨は止んでおり、直ぐに降りそうでもない。暗闇の樹林帯をヘッドラ頼りに黙々と進む。

1時間半ほどで小岩峰に到着。10年前は、朝日に照らされた周囲の稜線に感動したものだが、今日は周囲のぼんやりとした稜線が見えるか見えないかだ。

2542のコルで一休みし、見覚えのある北荒川岳の登りにとりかかる。登りの最後は変わらずの這松帯で、漕いで行くと見晴しのいいはずの頂上に出た。正面の暗闇に塩見岳の山容がぼんやりと浮かび上がる。

エネルギーを補給して崩壊地の縁を進んでいくと、例の日出前の濃い霧に包まれる。ライトが反射して視界が効かない。広いガレ場でルートを失うとはツイてない。記憶を頼りにガレの縁をゆっくりと進んでいくと、旧テン場の白い小屋が現れた。何とかルートを外さずに済んだ。

ここからは再び踏み跡を辿る。一般道の割に藪が煩く、葉に着いた雨露でどんどん身体が湿っていく。日出を迎えたが、塩見岳からいかにも降り出しそうな雲が越えて来る。吹き曝しの稜線で悪天に捕まるのだけは避けたい。

雪投沢から、北俣岳分岐への急なガレ尾根を急いで登る。しかし、登りで遂に雨が降り出す。天気は早くも下り坂だ。
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ガレ尾根の上部は急峻だ。登ると足元から崩れていくので消耗する。踏ん張って登り、6時過ぎに北俣岳分岐へ到着。雷鳥ファミリーがウロウロしているのを見て少し心が和む。

残念だが、塩見岳は割愛して先を急ぐ。細い岩尾根を慎重に越えると北俣岳。標識はない。
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ここから晴れていれば気持ちがいいであろう広大な砂利の稜線を蝙蝠岳に向かって進んでいく。雲の切れ間から時折、蝙蝠岳が見え隠れするのが救いか。
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広大な稜線を下り切ると、蝙蝠岳への登りに入る。頂上まではいくつもの肩を越えて行く。頂上と思って越える度に、落胆することを繰り返す。しかもルートを這松が覆い尽くしているので、掻き分けながら進まざるを得ず、頭の先から爪先まで全身ずぶ濡れとなる。これには正直参った。

偽ピーク?に落胆すること数回、やっと這松も低くなり、次かと期待して登っていくと二本の標柱が見えた。
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ここが蝙蝠岳のピークだった。
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振り返れば鎧兜のような塩見岳、南西には不気味な雲に覆われた悪沢岳が見えた。この天候で、これだけ見えただけでもラッキーだった。
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一時、感慨に耽った後、蝙蝠岳に別れを告げ、下降に移る。

ガレの斜面を右手に下って行く。地図では踏み跡なしとなっているが、所々にケルンが積まれている。踏み跡は蝙蝠岳北面よりも濃いと感じた。尚も這松帯の稜線を下って行くとガレ縁の四郎作ノ頭に到着。

徐々に雨脚が強まってきたが、ここから左手の森林限界下に入る。安全圏に入ったので、後は少々天候が悪くなろうとも何とかなる。踏み跡はしっかりしているが、ここからやたらと倒木が多くなる。
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濡れて蒸れ、擦れた両足は腫れあがり、下る度に痛む。しかし二軒小屋まで延々と1200メートルの下り坂なので泣き言は言っていられない。幻想的な南アらしい深い森が唯一の慰めだ。

樹林帯を下り2581ピークを右から回り込むと、再び徳右衛門岳への登りが始まる。徳右衛門岳は少し上空が開けた樹林帯に囲まれたピークで、展望はない。小さなプレートに徳右衛門岳とあった。
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少し先で雨を避けながら、登山靴を脱ぐと両足は悲惨な状態だった。これだけ濡れていては、テーピングも無意味だ。靴下を絞り、気合を入れて下る。

一度の休憩を挟み、長い尾根の樹林帯を時に滑って転びながら、がむしゃらに高度を下げる。やがて尾根は急峻になり木の根を掴みながらの下りとなる。右手の大井川西俣の沢音が近くなったころ、中部電力管理棟に飛び出す。雨は相変わらず降り続いていたが、周囲の尾根は立派に紅葉していて綺麗だった。
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ここから一下りのはずだったが、この下りが最も悪かった。急な細い尾根上で、苔が生えた滑り易い石、下り方向に伸びる木の根が多く、その上に濡れた落ち葉が積み重なり、滑らずに歩く方が難しい。

しかし、この急斜面で転ぶ訳にはいかない。慎重に一歩一歩下るしかない。最後の核心を下り切り、林道に辿り着いてホッとする。ここから蝙蝠岳へ登るとなると、いきなり萎えそうだ。

二軒小屋まで林道を歩いていると入山日以来の人に出会う。二軒小屋の宿泊者だった。30分程で小屋に到着。
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当初は、テント泊後、翌日、林道約20キロを8時間かけて歩いて沼平まで戻る予定だった。しかし、明日は既に台風接近により大雨予報。それを気遣ってくれた受付のお姉さんが、小屋は素泊り可能で、それなら宿泊者扱いとなり、二軒小屋から畑薙ダムまで車で送って貰えると教えてくれる。ここまでの行程と明日の天気を考えれば、林道歩きに拘る必要はない。ここは素直に素泊まりとさせて貰う。

少々値は張ったが、荷物を乾かせ、何より風呂に入れ、暖かい布団で眠れたのは有難かった。

ベッドで山行の余韻に浸りつつ、激しくなる雨音を聞きながら、受付のお姉さんと小屋に感謝するのであった。

コースタイム:熊ノ平01100240小岩峰~0425北荒川岳04300535雪投沢~0610北俣岳分岐~0635北俣岳~0810蝙蝠岳08250900四郎作ノ頭~1030徳右衛門岳~1255中部電力管理棟~1410登山口(林道)~1445二軒小屋

平面距離:20.15km、累積標高(登り)1599m、(下り)2780m

水場:二軒小屋

Docomo電波:北俣岳分岐、蝙蝠岳(まずまず)、二軒小屋(なし)

 


10
22日(日)『台風』  大雨

6時少し前に起きて、小屋のテラスで朝食を摂る。雨は、昨日より激しさを増している。

雨が降っていなければ、最高のロケーションだが、台風が相手では仕方ない。

いつか、この山行を振り返る歳になった時、この小屋に泊まってみたいなと思った。

送迎の車を待っていると、今後の雨で林道の状態が悪くなると予想されることから出発が早まるという。

小屋の宿泊者7人に交じり、四駆のバンに載って椹島に向かう。各沢から流れ出した水で、既に林道は川の様になっていた。

椹島には宿泊者はおらず、同じ車で畑薙第一ダム向け出発する。長い林道を車で揺られながら、歩きじゃなくて良かったとしみじみ思った。

沼平のゲートで下ろしてもらい、ポツンと停まる愛車へ。下山連絡したかったが、二軒小屋から沼平にかけては電波が入らない。

せっかくなので白樺荘に寄って温泉に入り昼食を摂る。柔らかいぬめりのある泉質で、さっぱりできた。

暫く車で走り、田代付近でスマホをチェックすると会長から着信ありの表示。折り返し下山連絡を入れる。

ご心配かけて、すみませんでした。

帰りの高速では、大型台風の猛烈な暴風雨の洗礼を浴びまくるが、何とか無事帰宅できた。

雨山行の〆が「台風」とは・・・、自分の「雨男」全開⁉ぶりに哀しくなるのであった・・・(完)


比良 奥の深谷

比良 奥の深谷         平成29年7月30日(日)

                   山吉 山村 橘(記)

 

 突然の事情で前回中止になった奥の深谷へ、梅雨明け10日を

期待して行くことにする。しかしまたしても曇天だ。どうなっているのか。

前夜発2名、現地集合1名で、未明の雷雨の後、朝8時目出度く出発する。

 林道を小一時間ほど歩き、入渓ポイントに到着し、沢に入る。
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 結構人の入っている沢なので踏み跡は明瞭だが、滝の直登には
技術が要求される。技術も体力も最近とみに落ちてきているので

出てくる滝は合掌して拝んでから巻かせて頂く。滝は登らなくても

マイナスイオンを浴びて涼むだけで十分だ。(負け惜しみか?)

 総じて出てくる滝はどれも均整がとれて美しい。未明の雷雨のためか

やや水量が多い。そのことも巻きが多かった理由かも。(言い訳か?)
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 巻けない滝ではロープを出す。私は今朝から異様に眠たく、

遡行中も生あくびの連発で、真っすぐに立つことさえ精一杯な感じだ。

なぜこうも眠たいのかと考えるが、やはり原因は過労しか考えられない。
 盆も正月もGWもなく、土曜日は平日の2倍の仕事量で、その疲れの
まま山に来ている。これは危ない

 さて今回、滝の直登は避けたため、意外と高巻きにてこずる。

 変な斜面を高巻き過ぎて緊張したりしながら、また水流に戻ったりする。

 天気はずうっと曇りで。まだ梅雨が続いているような感じだ。

 途中山吉さんが釣竿を出すがミミズをかじられるだけで終わった。

 魚もすれているようだ。眠気と闘いながら微妙な滝を越え、

ようやく見覚えのある登山道合流地点に到着する。(14時)

 今回は多めにロープで確保したのでやや時間がかかったが、

眠たくていつスリップするか自分でもわからないのでこれで良かった。

 後は色々なキノコを愛でながら、一般道を約1.5時間で駐車場に戻った。
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 やはり夏秋の山にはキノコ図鑑があれば楽しみも倍増する。次回は持って

来よう。家に帰ってもまだ眠いので沢道具を片づけて急いで寝る。

 あーしんどかった。山吉さん、山村さん、お疲れ様でした!!

 

 NOTES:

比良の沢は滝また滝の連続で休む暇がない。大峰や台高に比べると

癒し系の沢はあまりないようだ。近いのは良いが。。

沢のお土産には蛭1匹。

 

大山 振子沢から剣ヶ峰

2017年3月26日

大山 振子沢  晴れ後ガス O島、UR本、M()、筑波大WVよりO娘とその友人T

 

はじめまして!新人のM田です。

今回はO島さんのお誘いで、大山に連れて行ってもらいました。

 

前日からO島さんの車で奥大山スキー場でテントを張り飲み会をしていた我々は、

朝に現着したU本さんを加え、二日酔いの頭を奮い立たせながら6:30ごろに出発した。

 

天候は午後から不安定になるとの予報であったが、午前中は晴れ。

 

スキー場から30分ほど歩いたのち鍵掛峠登山口よりスタート、しばらく進むと前日から不安定だったT田君の体調が(二日酔いのせいか)悪化、あえなくそのまま脱落となってしまった。駐車場に戻るT田君を残し進むことに。

 

昨夜のアルコールを汗として出しながら歩くと鳥越峠に到り一旦休憩、甘いもの大好きな私は持参したチョコを食べ幸せ気分に。

 

休憩を終え、鳥越峠を降り駒鳥小屋を横目に振子沢から稜線へと上がる予定であったが、駒鳥小屋が雪に埋もれて見つからず、振子沢とは別の沢(本沢)を登ってしまう。

 

本沢はいたるところに雪の被っていない急な崖が露出しており、崖からは常に落石が発生していた。大きいものでは20cmほどもあろうかという玄武岩質な岩が硬くしまった雪の上に落ちると、

沢の斜面に沿って結構な速度で転がり落ちていく。運の悪いことに広げた手のひらほどの落石が、O島さんの太ももに直撃してしまう。幸いにも大事に至らずそのまま山行を続けることが出来たが、打ち所が悪ければ骨折していただろう。

 

落石におびえながら沢を遡行すると、稜線へと登る急な坂が現れる。

大部分を先行するO島さんのステップに頼りながら稜線への急斜面を進みましたが、自分もわずかな部分だけキックステップを駆使しながら先頭をやりました。

ヘトヘトになりながら進んだ急斜面から見える稜線は、近く見えるようで中々遠かったです。

急斜面を登る間にガスが発生し、視界が制限されてきました。

 

稜線に到ると、天狗が峰の手前へと出ました。

山頂への道は最も細いところで自分の横幅ぐらいで少しビビりました。幸いにもその日は風が弱く問題なく山頂へと至ることが出来ました。

 

11:30ごろに山頂に到着し、山頂でお昼ご飯を食べているとほんのひと時だけガスがはれ、日本海目にすることが出来ました。

 

お昼ご飯を終えると今度は当初の予定通り振子沢へと向かいました。

本沢にスキー板を回収するためにO島さんが本沢へと登り返しに行ったので、振子沢と本沢が交わる部分でO島さんを待ちつつ、U本さんから滑落停止とスタンディングアックスビレイを教わりました。安全に登山する技術は何より大切なので貴重な体験が出来たと思います。U本さんありがとうございます。

 

スキー板を回収したO島さんと合流を果たすと、かんじきを履いて鳥越峠へ。実は私はかんじきを履くのがこれが初めてだったのでかなり苦戦しました。

鳥越峠を越えると、スキー板を履いたO島さんがスイスイと降りていくのを羨望のまなざしで見つめながらかんじきで進み、鍵掛峠登山口へと戻ってきました。奥大山スキー場へと戻ったのは4:30ごろでした。途中で駐車場に戻ったT田君はすっかり回復しており何よりでした。

 

帰りはO島さんの車で加古川駅まで送っていただきました。帰りに印象的だったのは、蒜山SAで食べたジンギスカン定食がおいしかったことと、稀勢の里が左肩の負傷にもかかわらず新横綱として逆転優勝を決めたことをラジオで聞いたことです。稀勢の里優勝の報にO島さんは大変興奮し、普段相撲を見ない私でさえ目が潤みました。

 

雪山は今年一月に伊吹山に行ったのと二月に丹沢に行ったのを含めてこれで三度目で、テクニックや体力などまだまだ身に着けるべきものが沢山あると、今回の山行で感じさせられました。

もっといろんな山に挑戦してみたいです。

大山南面

朝焼けの大山







鳥越峠
鳥越峠







本沢


本沢を登る(振子沢と間違えた)






本沢の崖

本沢の上部 落石が多い





稜線


ガスの頂稜









 




鳥越峠へ登り駒鳥小屋への下り本沢本沢上部頂上へ

















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