魚力
オッサンになると、どーも渋谷とか原宿っていう街から足が遠のいてしまう。人が多すぎて自由に歩けない。よって肉体的にも精神的にもまいってしまう。

ま、若い人に言わせれば満員の通勤電車に毎日乗るようなサラリーマンに言われたくねぇと反撃をくらいそうだが、あれは経済力を獲得するために仕方なく耐え忍ぶ行為なのである。それに満員電車にだって結構、良い点もある。それは、ものすごい圧力で背中を押されるので、マッサージ代わりになるし、まわりにたくさんの人がいるので、立ちながら寝ていても倒れない(爆)。

どーだ。渋谷の人ゴミにこんなメリットあるか?!なんちって。まー、文句あるなら将来、車で通勤できる身分になることだ・・・。としか反論できん。

さて、その店は、渋谷の宮益坂方面ならまだしも、109の交差点がある方面だっていうから、さらに気が滅入る。あの交差点を渡るだけで、約5万8千精神カロリーも消費してしまう。

で、交差点を越えたら文化村通りを登り、東急本店のところを右に曲がると、おおっ、これはかの有名なバゲットレトロドールを売っているVironがある通りではないか!ここには以前来たことがあるが、この先に道なんてあったっけ?

東急本店のところを右に曲がってまっすぐいくと、手前にトラックがたくさん止まってたり、駅前の大きな道や喧騒からはまったく想像できないような小さな寂しい道に急変したりするので、そこがちゃんとした道だとは思いもよらなかったのである。「ははぁ、ここにこんな道があったのね〜」なんて思いにふけりながら神山町方面にスタスタ歩いていくと、渋谷にも「こんな静かな街並みが残ってるのねぇ〜」などと感心してしまう。

そうなのである。私は街歩きが好きなので知っているのだが、大都会に思える銀座にも虎ノ門にも有楽町にも池袋にも、麹町にも赤坂にも、鄙びた良い雰囲気のある商店街が裏の方にひょっこりと残っているのである。外国の主要首都とかは、スッキリと区画整理されていて「大きいなぁ」「広いなぁ」というイメージはあるけど、東京の場合、「深いなぁ」という印象を受ける。知れば知るほど、歴史と文化が詰まっているのである(ま、それはどの国でも同じだけど)。

いまにも絶滅しそうな(世代が変わったら相続税が払えなくて、アパートやマンション、あるいはビルになってしまうだろう)東京の昭和の風景や街並みを残していくためにも、そろそろ東京にも、ビル開発やビル建設の規制を設けたらどーだろーか。外国人観光客1000万人をめざす計画には私も賛成だけど、鉄筋コンクリートはもう十分ではなかろーか。





さて、今回も話が逸脱してしまったが、魚力の鯖味噌はウワサどーり、ひとつ抜きん出ているとしか言いようがない味であった。普通、鯖っていう魚は煮すぎるとガチガチのブリンブリンになって、噛むことも大変なくらいにゴム化してしまうのだが、こちらの鯖味噌は12時間以上も煮込み、骨も柔らかく仕上げているのに、身も同じようにトロトロなのである。それでいて、見た目、まったく煮崩れていない。美しく仕上がっている。いったい、そこにどのような秘技が隠されているのか、私にはわかりようもないけれど、まさに無想転生レベルの究極奥義だと言えよう。

鯖の身だけではなく、味噌ダレも素晴らしい。トロトロタイプで、白味噌ベース。上品な甘さが鯖の身を包み、ご飯が進むように仕組まれている。この見事なプロットは、コナン・ドイルも真っ青ではないか。しかも味噌ダレをすくってご飯にかけられるように、小さなスプーンまで付いている。ただし、コクがありすぎるので、全部の味噌ダレを食えないのが残念だ。味噌ダレ、仕事がなければもって帰りたいっス。

話はそれだけに留まらない。ここの鯖味噌定食には、刺身がついている。というのは、このお店はもともと魚屋だったのである(たぶん)。だから、店構えも、まず魚屋があって、その奥にカウンターがあり、そこで食べるようになっている(2階でも食べられる)。なので、定食屋をイメージしながら探していると見落とす。魚屋を探して、その奥を見極めるべきなのである。まさに、身体の表面を突いて、その奥にある経絡に攻撃を加えるという北斗神拳であるといえよう。

そーいうわけで、ここの刺身がこれまたスゴイ。この日は、マグロ、サーモン、青柳であったが、定食にこれだけレベルの高い刺身が出てくるのは、他にあまりないだろう。旨い魚を食わすフリして、ヨレヨレの刺身定食出してくる大手チェーン店に、「お前、ここに食いに来たことあんのかっ?!」と言いたい。

ちなみに、このお店では、注文する時、入口にかけてある木の札(これに定食の名前が書いてある)を取って、女将さんに渡す仕組みになっているのであるが、木の札の裏をめくると、「当たり」「はずれ」が書いてあるというお楽しみ付きなのである。私は日頃の行ないが幸いしてか、当たりがでてしまった。

すると「おまけメニュー」から何でも選んで良いよ。一品サービスだという。しかし謙虚な私は、自腹で追加したら200円もする明太子や板わさなどは頼まず、1個50円の梅干を選択。鯖味噌の付け合せには、やっぱスッパイ梅干だよねーっと。

ごはんはおかわり自由だが、残すと500円の罰金。が、おかずが旨すぎて、残すどころか食いすぎてしまう。私は3杯もおかわりしたゾ。味噌汁は、シジミ。ダシはシジミだけで、しかも薄味だ。たらふく食べた後には、このくらいの味付けが丁度良い。そーいうことも計算に入ってるのだろうなぁ。

1000円(900円だったっけ?)は絶対価格でいえば高いように思えるが、鯖味噌のうまさがトップレベルなのはもちろん、お刺身やお代わり自由という定食としても最高峰に位置付けられるため、非常にお得感を感じさせられたのであった。まさしく重要文化財レベルといえるだろう!!魚力の皆さん、これからもドーゾよろしくお願いします。


魚力
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鯖味噌煮定食:1000円(たぶん)