金沢大学スポーツチャンバラ部blog

金沢大学小太刀護身道(スポーツチャンバラ)部へようこそ! 現在、毎週月・木曜日の19時から兼六中学校体育館にて活動中です。 御用の方はこちらまで→ kodachi200@yahoo.co.jp

ガマくんとお散歩

 男は愛車の920号を運転している。車内ではMr.childrenの365日が流れている。
「砂漠の街に住んでても、君がそこにいさえすれば、きっと渇きなど忘れて暮らせるとか言ってるけど、そもそも砂漠の街に住むことってできなくない?」
「そんなこと言ってるから女の子にモテないんすよ。男さんって漫画とかアニメとか見れないタイプですよね。」
助手席に座った青年が適格なツッコミを入れた。この青年は後輩のガマくんである。ガマくんとは、部活の説明会で男がチャンバラの説明そっちのけでラブコールを送った人物である。
「ガマくんってミスチルのファンやったっけ?」
「僕、中学からファンでファンクラブも入ってるんすよ。今年、30周年のライブも行きますし。」
「あとさ、aikoの花火で、夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろして、とかあるじゃん。物理的に星座にぶら下がるのは無理じゃない?」
「だから、男さんみたいなタイプの人に向けた歌ではないんですよ。」
ガマくんは男の疑問に正面から向き合うようなことはしない。愛ある毒を含んで返すツッコミが彼の持ち味である。

「開店10分前なのに、行列なんですね。」
ガマくんが若干驚いた。野郎二人組は以前、Tさんが薦めてくれた金沢の美味しい蕎麦屋さんに来ていた。店内に入ると、落ち着いた空間が男たちを待っていた。
「おぉ…。こんな店、坊ちゃんやマルコは絶対知らんやろうな。」
「偏見ですよ。」
「マルコとか飯行くってなったら〇〇としか言わんからな。」
「確かにマルコの○○狂いはイカれてますね。」
とりとめのない話をしていると、蕎麦が持ち運ばれた。食べてみると、蕎麦の味を最大限に引き出しているように感じた。
「美味いな。」
「美味いですね。」
「ガマくんは、休日に遠出して外食しないの?」
「しないですね…全然関係ないですけど、僕ら(21代目)が一番多く行った店って餃子の王将なんですよ。」
何とも悲しい。今度、金沢の食の魅力についてプレゼンしてあげよう。男は蕎麦をすすりながら心に誓った。

 男は会計を済ませ、蕎麦屋近くの喫茶店に来ていた。ガマくんはコーヒーを注文し、男はそれに加えて甘すぎるパンケーキを注文した。余談だが、以前、Tさんと来た時に、ほぼチャンバラの話と部活の今後という話題だけで3時間滞在していたことを併せて記しておく。女子高生がサイゼのミラノ風ドリアとドリンクバーだけで6時間滞在するのとほぼ同義なのかもしれない。
 話し足りないので、喫茶店に来たわけだが、とりとめのない話を際限なく続けるだけである。阪神の話(昨年終盤の打線は壊滅的でしたね。→近本3番、糸原5番は地獄やな。)、チャンバラの話(この間合いで相手の重心が後ろにあれば、飛び込みが確定で入るんですよ。→感覚的すぎて分からないです。)、恋の巡査部長の話(要するに付き合っているかどうか判別するのは一緒にいる頻度の問題でもあるんですよ。→そんなんじゃ分からんよ。私たち、付き合ってますよって恋の巡査部長に書類で届け出るべきだと思うんよ。)、ブログの話(何で叩かれるのか分からん。→20代前半の女性を3人称でおばさんと表現するからですよ。)、等々、数え出したら枚挙にいとまがない。
 勿論、そのような話ばかりだけではない。男はガマくんの今後について独占取材することに成功した。
「僕、金大を卒業して地元のK大の大学院に行くんですよ。」
ガマくんが語りだした。男は飲もうとしたコーヒーカップをそっと置いた。
「まだ勉強もしたいですし、大学院で取得できる教職の資格も取りたいんで。なので、残念ですが、金大でチャンバラすることはもうないかもしれないですね。」
男は少なからずショックを受けていた。かつてチャンバラをしていた仲間がポツポツといなくなっていくことに寂しさを感じていたのである。その一方で、その仲間が夢に向かって走り出したことを男は誇らしく思っていた。
「そうか。地元に帰っても頑張れよ。」
「はい。」

 男とガマくんは920号に乗り込み、帰路についていた。道中、車内ではMr.childrenの旅立ちの唄が流れていた。
「自分が誰か分からなくなるとき、君に語りかけるよ、って歌詞あるやん。まず、君に語りかける前に病院で診てもらうべきだと思うんだよね。」
「またですか。」
男とガマくんは談笑していた。離れても、今のように信頼できる仲間のままでいられるのではないだろうか。
男はなぜかそんな気がした。

男、不審者になる(回想)

2018年2月12日(月)11時頃
男は悩んでいた。目の前の試験問題に悩んでいるのではない。追いコンの際に、先輩のY根さんに言われたことで悩んでいたのである。男は2週間前の練習後に小太刀でY根さんにケチョンケチョンにされた動画を37回観た後、追いコンでY根さんにどうしたらY根さんに勝てるかを聞いたばかりであった。
「俺に勝つ方法?」
Y根さんはビールが入ったグラスを片手に笑った。
「えー分からんな。べーさんに聞いたら?」
べーさんとは、OBの先輩であり、休日にOB、OGの練習会を主催している方である。しかし、男はその練習会に参加したい気持ち半分、その者に怖いイメージがあって参加したくない気持ち半分であった。
「べーさんって怖くないですか?」
男は単刀直入に聞いてみた。Y根さんはちょっと声を高くして笑った。
「やっぱりそう思うけ。俺らの代も、先輩で誰が怖いかって聞かれてべーさんって言ってたわ。全然怖くないんやけどね。」
男は、年齢確認で運転免許証を忘れたK澤さんが未成年の1回生とジュースで一杯やっているのを横目に休日練習会に参加することに決めた。

2018年2月8日(木)19時頃
「男、来週のB大が来る練習会に参加するけ?」
キムチ将軍が聞いてきた。前回の練習後に、例のあの人(※1)が鶴間キャンパスの体育館にB大やってくると周知されたばかりであった。
「どうしようかな。一日目は行こうと思っとるけど、二日目はTOEICあるから行けねえわ。S谷はどうするけ?」
男はそれとなく聞いてみた。
「俺もTOEICと試験あるからパスするわ。」
「そうか、なら無理やな。」
S谷がこのTOEICに苦しめられることになることは誰も知る由がない。
その会話の背後で、棒に空気を入れている弁慶にある人物が近づいてきた。卑弥呼である。卑弥呼とは、男が毎月1回、町内にやってくる廃品回収に出したいと思っている人物である。
「ねえ、弁慶、友達になろ~。」
語尾を若干伸ばしながら軽い気持ちで聞いていた。
「え、何で。」
弁慶は表情を変えず、答えた。
この二人が一年後、ともに新歓の運営に携わることになると予想できた者が部内に何人いたであろうか。

2018年2月12日(月)15時頃
「おぉ、さびぃな。」
男は鶴間キャンパスに向かうまでの大きな石段を駆け上がっていた。とても雪が積もっている。朝刊を見たが、40年ぶりの大雪らしい。はぁはぁと息を切らしながら、敷地に入っていく。指導部長のカタツムリくん(※2)曰く、階段を上がったら着くらしい。
「体育館はどこだろうか…。」
男は周りをキョロキョロ見渡した。鶴間キャンパスとは医学系の学生が使っているので、男はよく知らないのである。
すると、横から金大の野球部と思われる部員がこんにちはと挨拶してきた。何人もだ。なんて礼儀正しいのだろうか。男はこの時以上に金大生を誇らしいと思った瞬間はない。
男は気持ちよくさせられたまま、どこから建物に侵入できるのか分からないので、窓越しに建物内部を覗き込んだ。雪が降っている影響もあり、女子学生がテニスの練習をしている。祝日なのに何て練習熱心なんだ。男は感心した。
女子学生をしっかり観察した後、男は再度、体育館の入口を探すことにした。しかし、不思議なことにどこを探しても体育館らしいものがない。
(なぜだ?なぜないんだ?)
男は不思議に思い、カタツムリくんに電話で体育館の入口のありかを聞くことにした。すると、カタツムリくんから思いもよらない答えが返ってきた。
「君がいる場所、金大のキャンパスじゃないんじゃない?」
男は校門の横に書かれている文字を見た。〇〇商業高校と書かれている。
男は全速力で駆け出した。
男の行方は誰も知らない。

※1:「名前を言ってはいけないあの人」とも言われている。男が長い間、ブログを投稿している中で、唯一ネタにしなかった人物
※2:自称小太りの放射線技師。外見は会社の重役っぽい。元気にしているだろうか…。

何様~男たちの悲しい忘年会~

 クリスマスに男は仲の良い友人二人と飲み会に来ていた。
「1年間、お疲れ様でした。」
男の合図と同時にグラスがぶつかり、男は最近飲めるようになったビールを喉に流し込んだ。
「そうや、H江、結局あの子とはうまくいったんか?」
M澤が枝豆を手際よく食べながら聞いた。
「いや、何もないよ。」
H江はにべもなく言った。あの子とは、H江が3年間仲良くしながら、結局想いを伝えられないでいる女の子である。
「いつまで日和ってんだよ。早く言えよ。」
24年間日和っている男が圧をかけた。
「いや、でもさ、…。」
H江は何やらボソボソと、今の関係が壊れたらどうとか言っている。
「なら、告白してフラれても今の関係のままでいてくださいっていう誓約書を事前にその子に書かせればいいんだよ。」
「嫌だよ。何か西野カナの歌詞に出てきそうな台詞やな。」
H江は即答した。
(名案だと思ったんだけどな…。)
来月結婚する予定の恋の局長か、在学時に恋愛心理学を専攻していた卑弥呼に機会があれば、女性側の意見を聞いてみようと思った。

「これだけ経ってもお前(H江)はアタックできないなら、マッチングアプリでも入れとけ笑」
M澤がH江のiPhoneを半ば強制的に取り上げ、某アプリをインストールした。
「おい、やめてくれ~。」
ちょっとだけ嫌がるH江を尻目にM澤が冗談半分でH江のプロフィールを捏造する。
「えっと、身長は180cmで、体格は普通、年収は800万~1000万な。」
(実際は身長175cm、体格は小太り、年収は200万~400万だろ…。)
「もう全部嘘やん。それってよくわからんけど、正直に答えた方がいいんじゃないの?」
「何言ってんだよ。こういうのは自分をよく見せなきゃいけないんだよ。自己分析して自分の強みをアピールしないと。」
M澤がさも就職支援室の面接練習の教官であるかのように答えた。
(騙し合いやん…就活アプリやん…。)
この場合、自己分析よりも他己分析の方が重要であるかもしれないと男はふと思った。
程なくしてH江がふざけだした。そう、可愛い女の子探しである。
「お、この子可愛くないけ?」
「はいはい、可愛いね。」
M澤と男は店員から飲み物を受け取りながら適当に相槌を打った。
「あ、でもダメやわ。」
「何で?」
「こいつ、ジャニオタやったわ。」
H江がその子の自己紹介文を見ながら呟いた。
(結局、顔か…。)
男は頼んだばかりのピーチミルクをグイっと飲み干した。

※部活が再び活動停止になるという話を聞き、久しぶりに投稿してみました。前回、「男、徒然日記を書く 上」を投稿しましたが、続編の原稿が紛失してしまい、投稿できませんでした。申し訳ありません。書く能力が衰えているので、継続的に投稿できるように頑張ります。次回以降、投稿できるか分かりませんが、短編集として「男、不審者になる(回想)」、「ガマくんとお散歩」を投稿したいと思います。
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