2023年9月に出たばかりの本だ。定価は税込1650円、オールカラーの160頁、である。1908(明治41)年から2018(平成30)年までの110年間に日本で発売された、お菓子の年代記でだ。有名どころでは、サクマ式ドロップス(1908)森永ミルクキャラメル(1913)グリコ(1922)セイカのボンタンアメ(1925)明治ミルクチョコレート(1926)中野の都こんぶ(1931)グリコのビスコ(1933)不二家のミルキー(1951)カンロ飴(1955)ロッテのグリーンガム(1957)おやつカンパニーのベビースターラーメン(1959)森永エンゼルパイ(1961)湖池屋ポテトチップス(1962)カルビーかっぱえびせん(1964)シスコのココナッツサブレ(1965)グリコのポッキー(1966)明治カール(1968)東鳩キャラメルコーン(1971)カルビーのサッポロポテト(1974)ロッテのクランキー(1975)ヤマザキのチップスター(1976)イトウのチョコチップクッキー(1981)ブルボンのシルベーヌ(1982)湖池屋カラムーチョ(1984)ハウスのオーザック(1990)ブルボンのアルフォート(1994)、あたりであろうか。2023年現在のスーパの菓子売り場にある商品の殆どが20世紀生まれであることは大変に興味深いことだ。日本人が、お菓子に求めているものは長年変わらないのかもしれない。
「ドカベン&大甲子園」(三栄書房)
2023年8月に出たばかりの本だ。(ほぼ)オールカラーの128頁で、定価は税込1100円、道路地図サイズの大型本である。モノクロなのは67~86頁で、山田太郎が3年春の選抜大会決勝で逆転満塁ホームランを打つシーンを再現掲載している部分だ。「ドカベン」は山田・岩鬼の、中学柔道・中学野球から3年春の選抜大会までを描いている。「大甲子園」は「ドカベン」の続編で3年夏の選手権大会を描いているが、「ダントツ」「球道くん」「一球さん」「男どアホウ甲子園」「野球狂の詩」のキャラも登場する「水島高校野球漫画の集大成作品」である。ゆえに、「球道くん」「一球さん」も3年春の選抜大会で終わっているのである。「ドカベン(第1巻)」(秋田書店)は1972年11月5日(時の内閣総理大臣は田中角栄)に、最終巻=48巻は1981年5月1日(鈴木善幸)に、発売されている。私(1960年生まれ)は1982年頃に全48巻を神楽坂の古本屋で購入し一気読みした記憶がある。「大甲子園(第1巻)」(秋田書店)は1983年8月1日(中曾根康弘)に、最終巻=26巻は1987年10月5日(中曾根康弘)に、発売されている。私は、こちらは発売直後に順次購入して熟読していた。また、アニメ版は、1976年10月6日(三木武夫)に第1話が、1979年12月26日(大平正芳)に最終話=第163話が、フジテレビで放送された。これは原作の40巻=山田2年選手権大会2回戦(VS弁慶)までの内容だ。このアニメも、私は半分くらいはリアルタイムで見ていたと思う。何度か再放送されているので(ほぼ)全話観ているはずだ。漫画の「ドカベン」は、その後も「プロ野球編」「スーパースターズ編」「ドリームトーナメント編」と連載が続いたが、こちらは全く読んでいない。私は高校野球の大ファンだがプロ野球には殆ど興味がない。日本シリーズを観るくらいである。私が何度も読み返しているのが「ドカベン11巻」の山田1年選手権大会神奈川予選1回戦(VS白新)から「大甲子園26巻」の山田3年選手権大会決勝(VS紫義塾)の、高校野球部分だけである。まあ、これだけでも64巻あるのだが。本書で紹介されているのも、この64巻の内容である。とにかく、「ドカベン」「大甲子園」は野球漫画の第一人者=水島新司の代表作であると同時に、日本のスポーツ漫画の一大金字塔であることは、多くの人が認めるところだ。
「ポータブルクーラー」(アイリスオーヤマ)
2023年の夏は殆どの日本人が経験したことのない酷暑となっている。そして、よりにもよって、このタイミングで我が家のリビングのガスエアコンが故障してしまった。(部品がないので)修理は出来ず、新品を購入すると20万円以上するらしい。私の住んでいる建物は築30年で、1階と2階の半分が「税理士事務所」、2階の残り半分が「私の自宅」、3階が「8室の1Kマンション」、である。私の居住スペースはリビング(&キッチン)と和室と寝室と書斎である。和室と書斎のエアコンは10年ほど前に故障してしまったが、本が置いてあるだけなので、別に問題はない。寝室のエアコンは今も元気に活躍してくれている。私は一人暮らしで、通常いる場所はリビングの8Kテレビとノートパソコンの中間の位置である。故に、部屋全体を冷やす必要は特にないのである。そこで購入したのが「ポータブルクーラー」である。府中のケーズデンキで5万円代で入手できた。工事は不要で即日使用可能である。ただ、排熱用のホースから熱風が出るので通常は窓から屋外に排熱する必要がある。使用中は窓に鍵を掛けられないので、夜間や留守中は(いちいち)取り外さなければならない。これは大変に面倒である。そこで私は屋外ではなく廊下に排熱することにした。廊下の先には書斎やトイレや風呂があるので、廊下に出るときにはクーラーのスイッチを切っている。使用開始から2週間以上になるが、ガスエアコンよりも涼しいくらいである。とにかく「この夏の救世主」と言ってもよい存在である。ただ、本来このクーラは種々の事情でエアコンが設置できない場所で使うための二次的なものである。また、当然ながら「暖房」の機能はない。私は、冬になったら、遠赤外線ヒーターと厚着で寒さ対策をする予定である。
「慣用句・故事ことわざ・四字熟語 使いさばき辞典」(東京書籍)
2014年7月に出た本だ。638頁、定価は2900円+税、である。6年ほど前に紹介した、2013年1月刊行の「早引き場面別ことわざ&四字熟語辞典」(ナツメ社)に似ている。ただ、ナツメ版は手帳サイズだが、本書は卓上サイズである。「50音順」の同種本は沢山あるが、「テーマ別」の同種本は稀少である。本書は、1「感情」(12~86頁)全75頁、2「行動」(88~209頁)全122頁、3「様子」(212~298頁)全87頁、4「性格・態度」(300~354頁)全55頁、5「学問・才能」(356~382頁)全27頁、6「社会・生活」(384~481頁)全98頁、7「人間関係・評価」(484~557頁)全74頁、8「言葉」(560~567頁)全8頁、9「自然・時」(570~576頁)全7頁、で構成されている。少し頑張れば通読も十分可能だ。私は1960年5月1日生まれなので、現在、満63歳である。歌手の西城秀樹さん、豊臣秀吉、「三国志演義」の主人公・劉備玄徳、が死去した年齢である。吉川英治「三国志」の中で、死を覚悟した劉備玄徳が諸葛孔明を呼んで「朕、賤土に育ち、書はあまり読まなかったが、人生の何たるやは、この年までにほぼわかったつもりである」と述懐している。私自身の人生は「波瀾万丈」でもなく「順風満帆」でもなく「平々凡々」だったと思う。それでも、私自身や御他人様の人生行路を鑑みるに、「慣用句・故事ことわざ・四字熟語」は「人生とは何か」「人間とは何か」等々を短い言葉で実に適格に表現していると思う。幾多の先人達が後世の人々に残した知恵の結晶なのだろう。
「ミッドウェイ」(キノフィルムズ)
2019年に公開されたアメリカ映画だ。監督は(「ハリウッドの破壊王」の異名を持つドイツ出身の)ローランド・エメリッヒ、上映時間は138分、だ。サブタイトルは「日本の命運を決した3日間」、キャッチコピーは「勝利も、敗北も、海は覚えている。」、である。私は今年のゴールデンウィークにDVDで初鑑賞した。実は、同名の映画が1976年にも公開されており、当時16歳の私は映画館で鑑賞した。チャールトン・ヘストン、ヘンリー・フォンダ、ジャームズ・コバーン、ロバート・ミッチャム、三船敏郎、と、米日の有名俳優が多数出演し、ドラマパートは素晴らしかったが、戦闘シーンは、お粗末だったと記憶している。本作の米国人俳優は(少なくとも日本では)無名な人ばかりだが、日本人俳優は、豊川悦司、浅野忠信、國村隼、と、割と有名な人が出ている。そして、本作の最大の魅力は迫力満点の戦闘シーンである。映画の冒頭直後に「真珠湾攻撃」が描かれているが、CGによるリアルな(あるいは「残酷な」)映像である。そして、「ミッドウェイ海戦」では、パイロット目線を中心とした(米国空母の艦載機=ドーントレスによる)日本空母への急降下爆撃シーンが登場するが、これは恐るべき臨場感である。この戦いで、日本海軍は(所有する6隻の空母のうち)「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」の4隻を失っている。日本側の大敗北とされる海戦だが、人的損害だけを見れば、日本側は死者110名なのに対して、米国側は倍近い犠牲者を出しているそうだ。映画のラスト近くに「この映画を、ミッドウェイで戦った日米すべての兵士に捧げる」「海は全てを覚えている」というメッセージが掲げられている。
牧田習「オドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)
2023年4月に出たばかりの本だ。オールカラーの143頁で、定価は(紙版も電子版も同じ)1430円(税込)である。私は電子版を購入した。本書を見つけたのは全くの偶然である。弁護士の山口真由(1983年生まれ)氏が(おそらく)独身で母親になるらしいというニュースをネット上で見て、私は「そう言えば、プロフィギアスケーターの安藤美姫(1987年生まれ)さんも10年位前に同様の選択をしてたな」「でも安藤さんはイケメンの昆虫タレントに好意を寄せてもいたな」と思い出した。その昆虫タレントこそ本書の著者・牧田習(1996年生まれ)氏である。どうやら、これが単行本デビュー作らしい。昆虫たちのびっくり生態(1~27)昆虫たちのスゴい技(28~40)昆虫たちのひそむ場所(41~48)ちょっと怖い昆虫たち(49~56)昆虫たちの不思議な体(59~82)昆虫の名前に隠された真実(83~99)と、全部で6章である。想定している読者層は子供たちだけではなく老若男女すべてと思われる。どの頁を読んでも「へーそうなんだ!」という驚きの連続である。文章には牧田氏の「昆虫愛」が随所に込められている。監修している大学教授もいなければ(当然のごとく)ゴーストライターもいないだろう。牧田氏は「昆虫版さかなクン」を目指しているそうだが、本書を読んだテレビ関係者が声を掛けてくるかもしれない。ネット上では「イケメン」という御世辞言葉が必要以上に多用される傾向にあるが、牧田氏は(男の私から見ても)正真正銘の「イケメン」である。今後はテレビにも頻繁に登場するかもしれない。それはともかくとして、本書は一読の価値大である。ちなみに、私自身は「昆虫は好きでも嫌いでもない」というポジションに居る。
「詳説日本史」「詳説世界史」(山川出版社)
2023年4月1日以降いよいよ、高校生向けの「日本史探究」「世界史探究」「地理探究」の教科書の一般購入が可能になった。都内の場合、一般の人が教科書を購入しようと思えば、大久保駅南口から徒歩1分弱の「第一教科書」か、池袋駅東口の西武百貨店地下1階にある「三省堂書店池袋本店」の学習参考書売り場に行くのが良いと思う。「第一」の方が品ぞろえが良いが、平日の9時から17時しか営業していないのが難点だ。「池袋本店」は年中無休で22時まで営業しているらしい。さて、山川の「詳説日本史」「詳説世界史」と言えば、日本人の大半が知っている通史のスタンダードテキストである。10年ぶりに大改訂(「小改訂」は数年に1回している)された両書は、「日本史B」「世界史B」時代よりも遥かに読みやすくなっている。サイズも少し大きくなり、カラーも一層鮮やかとなり、レイアウトや注書きも大変見やすくなった。今までにあった教科書特有の「無味乾燥」さが殆ど払拭されたと思う。このような素晴らしい本を高校生や大学受験生だけに独占所有させておくのは誠に勿体ない。私は他にも、「高校日本史」「高校世界史」「新世界史」(山川出版社)「世界史探究」(東京書籍)「新詳世界史探究」「新詳地理探究」(帝国書院)「地理探究」(二宮書店)「地理探究」「生物基礎」「生物」(東京書籍)も購入した。いずれも、凡百の学習参考書を凌駕する出来栄えである。「三人寄れば文殊の知恵」ではないが、教科書というのは多くの専門家の英知が結集しているので大いに信頼できる。なお、作家の日垣隆(1958~)氏は毎年正月に「詳説日本史」「詳説世界史」を全編通読しているそうだ。
「コアレックス英和辞典(第3版)」(旺文社)
2018年10月に出た本だ。収録語数は約70000語、(辞書本編は)1982頁で、定価は税込3300円である。初版は2005年11月、第2版は2011年10月、に出ている。私は発売直後に本書を購入したが、4年以上本棚の飾りになっていた。私が本書に注目したのは、ネット動画で奇術師&翻訳家の堂本秋次氏が本書の兄貴分の「オーレックス英和辞典(第2版)」(旺文社)と共に「翻訳家が愛用する辞書」として紹介していたからだ。出版社によると本書は「高校生のための中級英和辞典」ということらしい。本書の最大の特徴にして利点は「全編に満載された多種多様のコラム(=囲み記事)」である。辞書とは本来「調べる本」だが、本書は「読む本」としても活用できる。大学受験でも9割方の入試は(英和辞典としては)本書だけで十分なような気がする。知らんけど。また、「(私の好きな言葉だが)社会人の学びなおし」の1冊目の英和辞典としても大いに推薦できる。なお、堂本氏の動画では、2022年10月に出た「英文法総覧(大改訂新版)」(開拓社)や、2023年2月に出た「Q&Aで探る学習英文法解説」(開拓社)なども詳しく紹介しているので興味深い。ネット動画では「キャスト・ダイス」「武田塾」などの大学受験参考書紹介も面白い。私も地上波のテレビ番組はニュースかスポーツ中継くらいしか見なくなった。テレビモニターでは、BS8K(←殆どが再放送)やネット動画やDVD・ブルーレイや電子書籍を見ている時間の方が遙に多いだろう。それから、テレビゲームは最近まったくやらなくなった。
大塚裕史「応用刑法Ⅰ総論」(日本評論社)
2023年2月に出たばかりの本だ。本文は546頁、定価は税込み4400円である。「法学セミナー」(日本評論社)の2015年10月号から2018年5月号に32回連載された物を纏めて加筆修正したものだ。続く各論は2018年6月号から2023年3月号に54回連載され終了する予定だ。出版社に直接問い合わせたところ、2024年1月以降に「応用刑法Ⅱ各論」として単行本化されるそうだ。現在、司法試験対策の刑法の教科書として人気ナンバーワンなのが、大塚・十河・塩谷・豊田「基本刑法Ⅰ総論(第3版)*2019年3月刊」「基本刑法Ⅱ各論(第3版)*2023年4月刊行予定」(日本評論社)である。判例の思考方法を体系化した名著である。その共同著者の一人である大塚氏が単独で執筆した「応用編」が本書である。「これ以上分りやすくは書けないであろう」と思えるほど懇切丁寧な解説が素晴らしい。司法試験受験生は(ほぼ)全員購入するだろう。実は、大塚氏は以前にも「刑法総論の思考方法(第4版)*2012年4月刊」「刑法各論の思考方法(第3版)*2010年12月刊」(早稲田経営出版)という、「なぜ刑法の学説は対立するのか?」を俯瞰的に解説した名著を上梓している。この2冊は現在絶版だが、アマゾンで普通に入手可能だ。「応用刑法」は「基本刑法」の「副読本」であると同時に「思考方法」の「リニューアル&パワーアップ版」でもある。なお、私は「法学教室」(有斐閣)は1980年の創刊号から2023年の最新号まで全て所有しているが、「法学セミナー」は大学時代の1980年代に4年間購読して以来、購入していない。ゆえに、「応用刑法Ⅱ各論」の刊行が非常に待ち遠しい。
宮下卓也「英作文FIRST PIECE」(学研)
2022年12月に出た本だ。奥付には「2023年1月3日発行」と書いてある。214頁で定価は税込1485円である。著者は河合塾の英語講師だ。「FIRST PIECE」とは「はじめの一歩」という意味らしい。目次は、00英作文の発想法01「言う」の表現=伝達02「見える」「聞こえる」の表現=知覚03「させる」の表現=使役04「される」の表現=受け身05・06時についての表現①②07「なる」の表現=変化08「増える」「減る」の表現09「いる」「ある」の表現=存在10「もの」「こと」の表現=名詞11疑問詞を用いた表現12形容詞を用いた表現13itの表現=時間・距離・形式主語・形式目的語14無生物主語の表現15・16比較の表現①②17~19「…する〔名詞〕」の表現①~③=分詞句・to不定詞句・関係代名詞節・関係副詞節20「という」の表現=同格21「なので」「だから」の表現=因果関係22「するために」「するように」の表現=目的23「するくらい」「するように」の表現=程度・態様24「にもかかわらず」「だとしても」の表現=譲歩25仮定の表現、となっている。01~25には、例題が2問、練習問題が3問、関連表現が4問、の合計9問が収録されている。そして、最後に9×25=225の文章が、復習&暗唱用のキーセンテンスとして纏めてある。私自身は本書全体の5分の1くらいしか、まだ読んでいないが、間違いなく素晴らしい本である。多くの学習者がミスしやすい箇所を的確に指摘してくれている。高校生の日常学習から大学受験は言うに及ばず、大学生や社会人の英作文&英会話の基礎固めにも大いに役立つはずだ。私は感動して紙版と電子版の両方を購入した。