2010年09月12日

第231夜 病魔封殺譚 その1 ぼくの初めてを君に捧ぐ

夏草の線路

 

 

 

 

 

 

 

 

このまま気づかずに
通り過ぎてしまえなくて
何処まで歩いても
終わりのない夏の線路

(遊佐三森 夏草の線路)

ぢ )は、肛門部周辺の静脈が圧迫され、血液の流れが滞ること等によって発生する、疾患の総称である。痔疾(じしつ)ともいう。ちなみに、パソコンでの文字変換の際には、通常は「じ」から変換する必要がある。痔は「年寄りの男性」がかかる病気で、「かかると恥ずかしい・汚い」という方が、おおむね一般的な認知であるとされている。しかし実際には、若者でも女性でもかかる病気である。また、基本的には、運動不足な人ほどかかりやすい病気であり、仕事熱心なサラリーマンやOL、隠居して動かない高齢者などが患いやすい。(wikipwdiaより)

 

今年の初め、まだヒートテックのTシャツが欲しくても品切れで手に入らなかったころの話である。

ケツからベンが出た。

間違い。

血便が出た。

思ったより明るい赤で綺麗でした。

もっとよく見てみようと近づいたら勝手に流された。

くそっ、変にハイテクにしやがって、会社め。

ひさや大黒堂の滑らかな書体が頭の中を駆け巡る。

これでみなつきも大人の仲間入りかぁ……

加齢臭もかもし出せるようになればもう完全体ぢゃないか。

相方に自慢したら病院に行け!としかられた。

えー、めんどくさいし恥ずかしい、って言ったら勝手にネットで検索して微妙に遠い病院を見つけてきた。

知り合いに会わないようにという配慮らしい。

ありがたいやらめんどくさいやら。

やれやれ、行ってみるか。

そして先生に

「ケツの穴のでかい男だぜ!!」

と言わしてみるか。


 

「じゃ、見てみましょうか」

笑顔で髭のナイスガイが問いかける。

「は、はい(裏声)」

だ、大丈夫よ。

きちんと身体も洗ったし、下着だっておにゅーだわ。

看護士さんもおばさんだから変に恥ずかしくないし。

診察台で横になってズボンを下げる。

なんか塗られてなんか差し込まれるらしい。

上の空で聞いてた。

「はい、力抜いてくださいーい」

「ふぁい」

肛門から何者かが侵入していく感じがわかる。

全身の力を抜いて口を開けっ放しにしていいたからか、

そんなに変な感じはしない。

ふっ、さすがみなつき、一般人なら変な声を上げているに違いない。

「うーん、肛門周辺と直腸にはそれらしきものは見られませんねぇ。

綺麗なもんです。」

え、やだなに、これ。

うれしい!!

みなつきの直腸は綺麗です。

お医者様のお墨付きです。

日本でも5本の指が入ります!!

まぁ、いい。

「ぢ」じゃないことがわかったら世界が変わって見えてきた。

とっとと、その異物を抜いてくれぇい。

「はい、スコープを抜きまーす、力を抜いてください」

 

ズビョビョボボズプズポッ

 

「はおおぉぉぉうぅぅぅぅぅぅ!!!」

おもいっきし変な声をあげるみなつき。

なに、コレ?

行きはよいよい、帰りは怖い。

うんち。

大量のうんちが肛門から出ている感じ。

知らず知らず歩いてきた太く長い一本ぐそ。

え?

みなつき、知らない人たちの前でうんちもらしてるの!?

本気でそう心配してしまうほどの感覚。

小学校のとき友達の家の前でうんちをもらした絶望感。

高校の時に授業中に我慢できなくなって「気分が悪いので保健室に行ってきます」と嘘をついてトイレに行った敗北感。

社会人になってバスで移動中、便意が限界に達して知らないバス停で降りたせつなさ。

さまざまな思い出が走馬灯のように廻る。

「もしかして……漏らしてます?」

泣いている、あのみなつきが。

自分の分だけドリンクが来てないのに乾杯の音頭が始まったときも、

同窓会があったことを数年後に知らされたときにも泣かなかったみなつきが、

泣いていた……

人前でうんちを漏らすとはそれほどのことなのである。

 

「え?…あぁ大丈夫ですよ」

ベテラン臭い看護師さんがあっけらかんと答える。

良かった。

本当に良かった。

「ぢ」かどうかなんてどうでもいい。

漏らしてない、

漏らしてなかった、はないちもんめ。

そのときのみなつきの安心感、安堵感、無頼漢。

おわかりいただけるであろうか?

先ほどとは違う感情で泣いていた。

高校のとき友達に貸したジョジョのコミックが先生に没収されたときも、

大学であだ名が「ヘルメッポ」になったときにも泣かなかったみなつきがである。

それほどのことであった。

泣きながらズボンをあげるみなつき。

はたから見たら違うシチュエーションを想像してしまいそうだ。

「えー、ぢではないようなんですけどね……ただ……」

「えっ?」

つづく

 

くそっ!!なんでみなつきがこんな目にっ!!

何か、何かあるはずだ、この状況を打破する策が!!

考えろ、考えるんだ!!

みなつきを襲う、かつてない恐怖と絶望!!

今度のみなつきには泣いているヒマなんてないっっ!!

次回、病魔封殺譚 その2 見て肛門

お楽しみに!!


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この記事へのコメント
こえ〜・・・ぢ、こえ〜。
あのみなつきなつきさんが、ソレほどまでに・・・。
Posted by メロンパン侍 at 2010年09月17日 09:12
3年前の夏、旅行から帰ったとき、思いっきり血が出たことがあった。
何もしなかったけど、そのあと別に何もなかったなぁ。
しかし、今の俺は病院通いです。
Posted by ToS at 2010年09月18日 15:29
>こえ〜・・・ぢ、こえ〜。

怖いですよ、ぢは。でも、まぁみなつきはぢではなかったんですがね。

>しかし、今の俺は病院通いです。

どした!?メタボか?肝臓系か?なんにしろ気をつけてな?続きを読んで気を悪くしないといいんですが…
Posted by みなつきなつき at 2010年09月18日 21:40