私はジュニアのスキー教室のインストラクターをしてた経験がありますが、
私が指導していた教室では、
通常指導者1人が4人以上の生徒を受け持つパターンがほとんどだったので、
一応指導のメソッドは、対複数人数の生徒に対する指導パターンでした。
その為、マンツーマンでの教え方というのを考えたことがなかったんです。
幼児数人を1人で指導する場合は、そう簡単にはリフトに乗せることはできません。
まずは平地や極緩斜面で歩く練習をし、
ある程度の傾斜を登れる様にし、
更に極緩斜面での真っすぐなボーゲンをして「止まり方」を覚えなければ、
リフトに乗せることができません。
ちなみに幼児(年中以上)ですと、通常は1回2時間程の教室を、
3回目消費したくらいでやっとリフトに乗れるという感じです。
しかしながら親が教えるのであれば、
マンツーマンで指導できるでしょうから、
そうなってくると指導の仕方も変わってきます。
そもそもスキーというものは滑走することが一番の魅力であり、
歩くというのは単なるその為の手段でしかないわけで、
幼児にとっては、スキーの面白さを体感するには、
やはり「滑る」時間を増やす必要があると思うんです。
で、そういえば、その為の優れものアイテムがウチの店で扱ってる品にあったなと。
もしかして、アレって使ってみる価値あるかも...と思った訳です。
そのアレっていうのが、
当店ではコンケストの「コーチベルト」という名前で出てるアイテムです。
子供の腰にベルトを巻いて、
後ろからハーネスで指導者が引っぱってコントロールする用具です。
子供が暴走する心配がないので、いきなり中斜面とかにも連れてけます。
他にも同じ目的の製品が、複数のメーカーから販売されていますね。
それと、もう一つ、初心者向け指導グッズの定番トライスキー(コンケスト)も用意。
これも同じ目的の品が他メーカーから出てますね。
トライスキー類は、あちこちのスキースクールでも実際に使われている様で、
初心者指導の現場では実績は実証済みですが、
後ろから引っぱる「コーチベルト」の類は、
僕も正直、効果は半信半疑でした。
そもそも、子どもがヒモに頼ってしまったら、
自力でエッジングする技術を学べないのではないのか?
また、指導経験が長い人間にとっては、
あの大袈裟なグッズで子どもを犬の様に引っぱる姿が格好悪い...
というイメージも正直ありました。
(道具に頼るのは格好悪い?)
2歳で挑戦した時は、
スキー指導経験者としての驕りからか、
こうした指導グッズを使いませんでした。
でも、これらの品がどれだけ効果があるのか?は、
やはりこのレベルの子どもの指導に、実際に使ってみないと解らないんですよね。
なのでこれまた実験の意味合いも含めて、使ってみることにしたんです。
今回来たスキー場は、近所の猿倉スキー場。
スノーボード禁止のスキー初心者に優しいスキー場ですが、
リフトに乗ってしまうと、初心者ではちょっと厳しい中斜面を滑らなければいけません。
昨シーズン、2歳の時は、数回滑らせてみたものの、
結局スキー滑走の楽しさを解らずに終わってしまった我が息子。
当然、リフトで登った斜面なんて、
普通に考えたら滑れるわけがないんですが、
これらアイテムの効果を信じて、
思いきってリフトに乗って上に連れて行きました。
で、「コーチベルト」と「トライスキー」をセットし、
いざ滑走してみると....、
おぉ、想像以上に簡単に滑れるじゃん!
しかも最初はコーチベルトのハーネスはテンション張った状態でしたが、
さりげなく、テンションを緩めてみると、
後ろからサポートされている安心感からなのか、
気がつかず普通に滑れてました。
息子かなり楽しそう。
(いやー、初めてスキーで楽しそうな顔をしたような。)
当然、トライスキーの効果も高いです。
奇麗なハの字で危なげなくズラしの滑りが出来てます。
冷静に考えてみると、
全く初めての子をいきなりリフトに乗せて、
通常であれば初心者では滑れない中斜面を滑らせる...ということは、
斜面に対する恐怖心を一気に取っ払ってしまえるという
大きなメリットがあると思いました。
まぁ、メーカーさんは当然そのつもりで作ってるんでしょうが、
この手のグッズって効果は高くても、
価格も高いだけあって、
圧倒的普及には繋がらないもんなんですよね。
(一部の指導者は道具に頼りたくない方もいらっしゃいますし。あ、俺も?)
自分なりの分析ですが、
緩斜面で歩く練習、登る練習を長くやってしまうと、
重力によって下に滑ってしまう「恐怖感」を覚えてしまいます。
ちょっと斜度が変わっただけで「これは登れない」「これは滑れない」という
防衛本能が働く様になります。
そのため、リフトで乗って行く様な中斜面以上の斜面になると、
相当な恐怖を感じるし、自分にはこれは無理..という壁を作ってしまいます。
しかし、この「コーチベルト」の類を使って、
最初から中斜面を滑ってしまえば、
その斜度を滑ることが当たり前に思い込ませることができ効果がある様です。
また、最初からリフトに乗れるということは、
歩いて登って滑るよりも、これだけで相当な滑走距離が稼げます。
とにかく長い距離を滑走することで、
その間にエッジのズラしの感覚を速く習得できます。
パラレル習得には「横滑り」の練習が欠かせませんが、
ある程度のスピードが出ていない横滑りは実は難しいものですよね。
これと同じでボーゲンのズラしの感覚も実はそこそこのスピードがあった方が、
習得し易いんですね。
滑り出すか、止まるかの曖昧なスピード領域では、
どうしてもエッジが曖昧にかんでしまい、ぎくしゃくしたズラしになってしまいます。
だったら最初からそれなりの速度で滑らせた方が良いという感じです。
そういう意味では、いきなり中斜面に連れて行って、
「コーチベルト」で補助しながら、
補助無しでは不可能なスピードで滑らせるということは、
ボーゲン習得の最も効率的な方法かもしれません。
■リフト2本目以降の流れ
で、再度リフト2本目トライとなるわけですが、
1本目でハーネスにテンションかけずに滑ることができたので、
2本目から思い切って「コーチベルト」無しに挑戦してみました。
すると...あら不思議。もうトライスキーだけで滑れる様になってました。
いやぁ、マジックですな。コレは。
たったリフト1本しか使わなかった「コーチベルト」。
このリフト1本分これを使ったか使わないかで、
価格以上の差が出てくると思いますね。
それなりに高価なアイテムですから、
せっかく買ったんだから、長く使いたい気持ちもありますが、
長く使うと、子どもがこれに頼ることを覚えてしまうので、
なるべく早めに使うのを辞めるのがコツだと思います。
リフト1本だけ使って、あとは知人にあげるなり、売るなりすれば更に喜ばれますから、
買う価値は充分にあると思います。
で、リフト4本目ほどで、トライスキーも外しました。
(もっと早く外してもよかったかも。)
すると、これまたマジック!
トライスキー無しでハの字が出来る様になってます。
ボーゲン完成の瞬間です。
親父が前でバックボーゲンしながら、
こっちだよ〜、こっちだよ〜と左右にターンをすると、
それに合わせてなんとなくターンもできてます。
教えてる自分がびっくりです。
なんだよ。3歳でボーゲン出来る様になるじゃん。
今日、2時間くらいの間にリフト6本乗れました。
かなりスピードも出せるようになってきました。
息子もかなり得意げに「もう滑れる様になったよ。」とはしゃいでます。
とりあえず、今日1日でスキーの面白さは伝えることが出来たと思います。
■結論としては
いや〜、使ってみて目からウロコでした。
一応、これを売っている立場なので、
少々大袈裟なセールストークと思われても仕方ないですけど、
本気で、この2アイテムは「使うべき」だと思いました。
(できればスキー場側でこの2アイテムをレンタルしてくれると嬉しいんですけどね。)
なるべくなら無駄な物にお金をかけたくない気持ちも解りますが、
この2アイテムが無いと、
スキーが嫌になってダダをこねる子どもに長い時間つきあうことになるでしょうし、
上達のスピードがまるで違います。
今回も同スキー場で数多くの親子スキーを見かけましたが、
ほとんどの親が悪銭苦闘してましたね。
泣いてる子供も珍しくないですし、
小学生くらいの子供でもウチより大変そうなのが沢山いました。
ちょっといやらしいですけど、
1人で普通に滑れる3歳の子を連れてるとかなーり優越感に浸れます。
他の親子が、何であのチビッコが普通に滑れるんだ?って目でジロジロ見ます。
考えてみると、
これを使えば2歳でボーゲンマスターも夢じゃなかったかも。
ちょっと後悔。
誰かぜひ実験してみて下さい。
レンタルコンケスト・トライスキー
レンタルコンケスト・コーチベルト
このコーチベルトは凄いです!長男年中さんは初回スクール1日、二回目このベルトを使用してスピードにならし、三回目から一人で滑っています。現在、長女3才児使用中。2回使用しました。大分バランスも取れてきたので次回外し独り立ちです。スピードに慣れますし最高のアイテムです!