高岳堂Blog

上方落語を愛す

6月24日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」は、1月20収録の「第116回上方落語を聴く会」昼の部から桂咲之輔「鬼の面」。
おそらくは桂梅團治師からの修得。
イマドキの子どもではないからこそ成り立つ。旦那のいたずらは罪作りだが、これもイマドキの子どもにはあり得ない。純朴さや情が際立つ噺。
地の文がもう少し少なければと思う。咲之輔は達者に演っている。訛りの気になるところがあるけれど。
トークゲストは電話で柳家三三師。三遊亭白鳥師作の「任侠流れの豚次伝」ツアーの話題。

きのう地震の影響でダイヤからすると2時間遅れのJR琵琶湖線の車内で、6月17日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」の録音を聴いた。
2018年1月20日の「第116回上方落語をきく会」昼の部から、桂文珍師の「くっしゃみ講釈」。
マクラはカットしているか。冒頭、「忘れ」の強調として、識字の不備の例を挙げて客席をほぐす。政やんは忘れん坊の語彙を増やす対策で講釈場に連れていこうという対策を講じていた。
本編のテキストは枝雀版をベースにしていると思われるが、例によってセリフが追いつかない文珍流のアバウト加減。そこは天性のセンスでツボを押さえる。良い客席でもある。

桂米朝師が体調を崩していた頃、新聞にアメリカと北朝鮮を指す「米朝」云々の文字を見るたびにドキッとしたものだが、きのうの「米朝初会談」を受けてのきょうの朝刊には多くの「米朝」が踊る。
本紙面で何個出てくるかは信念のある方に委ねるとして、試みに、ラテ欄ではどれくらいの露出なのか、閑人は数えてみる。
朝日新聞大阪本社13版で、地上波のNHKテレビ6個、MBSテレビ4個、ABCテレビ5個、カンテレ3個、読売テレビ4個、テレビ大阪1個で、計23個。NHK Eテレとサンテレビ、京都テレビは0個。BSではNHK BS1で2個。
会談ありきで、中身のない期待はずれの一事でこれ。

きのうのNHK「演芸図鑑」は、あさひのぼる、対談ゲストはコシノジュンコ。
落語は、このクールの最終回で、桂文枝師の「赤とんぼ」。
童謡・唱歌の蘊蓄の披露とオンパレード。オンパレードはランダムに気ままに歌っているようでいながら、順番は予め決めてあるのだろう、よく覚えているものだ。まず本人が歌いたいというのが製作の動機のひとつではないか。
客席は寛容。よく笑う。

タイムフリーの録音を聴く。だいぶ溜まってきている。
5月20日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」は、1月収録の「第116回上方落語を聴く会」夜の部から笑福亭松喬師の「花色木綿」。
師得意の泥棒の噺。肩に力は全く入らず、言い間違いは軽くいなし、古典にはないクスグリを挟み、最終盤のウソに対する追及の弁明は横山たかし・ひろし風。奔放に演って爆笑の連続。七代目のカラーが色濃く出ていて楽しい。

本日、周年。
ここのところ毎年のことだが、ラジオ・テレビの視聴が主になってライブに行けていない。音源や映像も繰り返しがきいて良いけれど、ナマで得る体験に勝るものはない。
ナマ体験が何度できるか、今年の課題だ。

12時35分頃、梅田の地下街ですれ違った人物は、黄色地の派手なミニオンのTシャツ姿。帽子もサングラスもマスクも、なんの変装もしていない、桂坊枝師だった。

5月13日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」は、2018年1月20日の「第116回上方落語をきく会」昼の部から、桂米二師の「初天神」。
伝統的なクスグリを含め、凧揚げまでのフルバージョンなので濃厚な感じがする一席。
まず天神さんに向かうまでがオカズたっぷり。寅ちゃんの策士ぶりが小気味よく聴こえる。噺し初めは掠れ気味だった米二師の声も、この前半の速いセリフの応酬が潤滑油になったようで、高度な息と間(ま)と相まって流れるストーリーテリング。

5月6日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」は、2018年1月20日の「第116回上方落語をきく会」昼の部から、笑福亭仁智師の「源太と兄貴」。
マクラから絶妙の間(ま)とイキで大爆笑。プロ野球解説者の掛布、川藤、福本、栗橋の話で17分。
本編は、「まともなシノギの方法」を模索するがことごとくスカタン。小咄の連続とも言えるけれど、意表をつくオチがイキと間に相まって飽きさせない。聴衆を休ませないネタと話の持っていき方はさすが。

溜まっているABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」の録音をせわしなく聴く。
3月25日放送分は、桂ざこば師の「笠碁」。2016年1月の「第114回上方落語をきく会」夜の部から。
「旦さん」は大店質屋の旦那、「辰っつあん」の素性は不明ながら旦那よりは年若。
辰っつあんは旦那宅に忘れてきた煙管と煙草入れを取りに行くのを口実とする。笠は深江笠。
人情の機微が細やかに表れるセリフが秀逸。それがざこば師の口から発せられることで、より深みをつくりあげている。師のニンが影響していると言える。

4月15日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」は、月亭可朝師の追悼番組。
まず、1981年4月の「第70回上方落語をきく会 八方しごきの会」から「住吉駕籠」。
基本的には米朝テキストに則っているが、せっかちなのかセリフのやり取りの間が短い。セリフが速いため、酔っ払いの物言いがしっかりしていて酔い方も浅い気がする。客席は落語本来のおもしろさでウケているように思え、そこは実力発揮といった感じ。
一般的な「住吉駕籠」の時間の「持ち」ではないテンポのためか、落語だけでは時間が余り、ABCラジオ「ハイ!可朝ですABC」の1994年3月の番組オープニング部分を流す。
最後に迷曲「嘆きのボイン」。「出てきた男」もよいけれど、やはり可朝師と言えばコレ。
ご冥福を祈る。

きのう4月15日放送のNHK Eテレ「日本の話芸」は、桂文枝師の「大・大阪辞典」。
東京と大阪のカルチャーギャップがテーマ。
夫が出身地の大阪に転勤になり、銀座育ちの夫人が帯同するかどうかを「大阪辞典」で勉強してテストする。
いわゆる「大阪あるある」で、個々のあるあるは大阪人に共感されてよくウケる。小ネタのチョイスやウケの構成はさすがだが、ネタ数が多くてリズムも悪くなり、途中でダレた印象がある。テスト中、解答を先に言ってしまうミスがあったのはそれが原因ではないかと思われる。同門の勢いのある若手が演れば、一層弾ける高座になりうると思う。
いずれにしても師の創作力には感心する。

4月7日放送のフジテレビ「ENGEIグランドスラム」の録画を観た。
漫才やピン芸が主力だが、珍しい人が出ていた。立川志らく師と神田松之丞。客席はほとんどが若い女性と思われるが、反応は如何に。
志らく師は7分で「死神」。
冒頭のしゃべりは談志師を彷彿とさせる。死神を退散させるまじないは「『どんぐりころころ』を『天城超え』の節で歌う」というもので、サゲは「誕生日を祝ってやる」でろうそくの火を吹き消す。
司会の岡村隆史は「ホンマの落語を見た」。ネタの選択がまず正解。
大トリの三つ前の膝変わりの位置で神田松之丞。大汗かいての熱演で「寛永宮本武蔵伝・山田真龍軒」。講談こそ客席に受けいられるかと心配だったが、これもネタの選択が良く。
いずれもミステリ的要素があることで、落語にも講談にも接点のない若い人にアピールできているのではないかと思う。プロデューサーの英断と言えるかも知れない。これをきっかけに興味を持ってもらえたらと願う。
とは言え、最もおもしろかったのは「今この芸人がスゴい!」で取り上げられたプラス・マイナス。

溜まっているABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」のタイムフリー録音を聴く。
3月18日の放送は、初代桂春團治のSPレコードから「ちりとてちん」と「馬の田楽」。
「ちりとてちん」でのもてなしは、伏見屋の名酒・白菊、鯖のきずし、鯛の造り、鰻のまむし。
豆腐の腐ったのは去年の物。命名は簡単に決まる。
喜いさんは十津川の出身。
手伝いの竹は、酒は「大関」を推す。竹曰く「ちりとてちん」はご当地・長崎では「ちりん・とてちん」と発するらしい。
「馬の田楽」では、「いかけ屋」と同様子どもの描写が初代らしい色合い。
馬のモノのことを「どでん」と言う。他にも当時の物言いでわからない文言がある。
どちらも初代の勢いが伝わる。

4月8日のNHK「演芸図鑑」は新シーズンの始まりで、桂文枝師がナビゲーター。出演は、おぼん・こぼん、柳亭市馬、対談は中村吉右衛門。
市馬師は「長屋の花見」。
やはり上方版のほうが理屈がしっくりくる。
大家は大抵ゴウツクに描かれるにしても、自分から威光をちらつかせて花見に誘うのなら、江戸っ子らしく豪気さを示すべきだと思うし、長屋の連中が貧困を笑い飛ばすことができず、卑屈になるばかりに感じられる。
移植の弊害が表れた噺とも言え、無理にトーキョーナイズせずに上方版を踏襲すればよかったのにと思う。
市馬師は現代的に噛み砕いて口演している。

4月8日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」は、2001年11月に収録の四代目林家染語楼師の「青空散髪」。
伝家の宝刀。新作は時代がわざしてしまうきらいがあるが、少々の工夫で現代に活きる。
普通の店なら8,000円のところ、天王寺公園西口グラウンド近くの「青空理容所」はカット・洗髪・ひげそりで50円、オッサン自慢の電気バリカンを誉めると30円。衛生面に問題があるが、100円くらいからワンカップの酒代くらいに、もう少し高くてもよいと思う。
抜ける青空のもと、ふたりの男のやりとりを聞いていると、長閑な午後の風景が浮かんでくる。
サゲは「うちの看板見なはれ。『利用しよ』と書いてある」。

4月1日放送のABCラジオ「日曜落語 なみはや亭」のタイムフリーを録音して聴く。
2015年6月収録の、林家花丸師の「あくびの稽古」。
マクラではタカラヅカの話。師がタカラヅカのファンであることを客席もよく知っていてウケが良い。
噺は丁寧な筋立て。将棋のあくびは「中級の上」で、オープニングキャンペーンでサービス。付き添いの友人は、当日が「月に一度のくっしゃみ習いに行く日」だというのには驚く。クスグリのセンスの良さが光る。

せっかくradikoのタイムフリーで録音していてもなかなか聴くのも覚束ない。
3月23日深夜放送のMBSラジオ「おわらナイト」の「茶屋町MBS寄席」は、桂吉朝師の「天神山」。音源は1988年3月収録のMBSラジオ「ザ・上方寄席」から。34歳くらいで、勢いが良い。
師の「天神山」は聴いたことがあったろうか。出囃子が「ゲゲゲの鬼太郎」。
一心寺の寺男がレレレのおじさん。
墓見であっても、そもそも花見のつもりだったのだから3月下旬から4月の上旬頃の話のはずで、春の彼岸の1週間後くらいとすれば(ちょうど今ごろ)寺内は静かなものだろう。晴れていれば、酒肴が進めば良い気分になる。まさに或る春の日の情景。
「レレレのおじさん」以外にも洒落たクスグリがたくさんあって、「どこから入ってきなはったん。戸の隙間から。新聞みたいな人でんな」には思わず声を出して笑ってしまった(電車内でイヤホンで聴いていたのに!)。
プロ野球シーズンに入るので、「茶屋町MBS寄席」のコーナーはしばらく休みとのこと。またシーズンオフまで待たねばならない。

3月25日のMBSテレビ「らくごのお時間」を録画予約しようと思ったら、いつもの早朝の時間帯に番組名がない。どうしたことかと番組ホームページを見ると、その日の深夜2時25分から「らくごのお時間SP〜落語バラエティーin NGK〜」というのが組まれている。
以前ABCラジオ「なみはや亭」で桂吉弥師がゲストの折りに告知していた、米朝事務所とよしもとCAがタッグを組んでNGKで初めて開催した2月のイベントの模様のようだ。
落語や大喜利、鹿芝居「芝浜」など、いわゆるバラエティーショウらしく、どんなものか楽しみにしたい。忘れぬうちに録画予約。

本日3月19日は丸3年の米朝忌。
米朝師の「鴻池の犬」を聴く。3月9日深夜放送のMBSラジオ「おわらナイト」の「茶屋町MBS寄席」で、1991年4月収録のMBSテレビ「特選!!米朝落語全集」から。
これもセリフ廻しの若干の違いから、初めて聴く高座のよう。
マクラでは芸人にも運不運があるという端緒から、先代の米團治師や二代目春團治師の話。
人間界から舞台が犬の世界に移る巧みな劇作。知らぬ間に感情移入している。
落ちぶれた弟犬が白犬か斑かは判然としないが、なんとなく斑犬ではないかと思ってしまうのは偏見か。
「鴻池の大将」は侠客の出で立ち。

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