高岳堂Blog

上方落語を愛す

2019年02月

2月17日のABCラジオ「日曜落語なみはや亭」は、2015月6月24日に収録の桂吉の丞「仏師屋盗人」。
不明な言葉の極めつけとも言ってよいのが「べんずりさん」。便利なもので、ネットで調べると「『賓頭盧尊者』という仏像。おさすりさんとも言う」と出てくる。ひと昔ではポピュラーだったのか。
吉の丞も勢いがあるが、後半の場面では六代目の豪快な仏師屋が浮かんでくる。
ゲストはリピート山中。

2月24日のABCラジオ「日曜落語なみはや亭」は、2017年7月13日に収録の桂華紋「粗忽長屋」。
舞台は「天神さんへ参詣の帰り道」。
発声の仕方というか声音というのか、何とはなしに桂吉朝師に似ている。口跡が安定して達者なのは演技の根本として、今後楽しみに思わせる。
ゲストも華紋。関西学院大学甲山落語研究会出身の華紋、春風亭昇々、桂文華師らの創部45周年記念落語会の告知。
最後に笑福亭松之助師の訃報。来週は松之助師の録音。

けさのNHKテレビ「演芸図鑑」の出演は、チャーリーカンパニー、桂かい枝。スペシャル対談は嵐山光三郎。
MBSテレビ「らくごのお時間」の録画予約と時間が重なったため、早起きしてオンタイムで観ようとしたが、タッチの差で「談志の名言」を聴けず。
かい枝師は「ハル子とカズ子」。
老女の公園での会話。年寄の「あるある」の集合体だが、ピックアップの視点は演者のセンス次第だから、中には客席にわかりにくそうなのが何点かあるが(構成も含め)、フォローによってカバーする。年寄ネタは新作ネタの宝庫。
嵐山光三郎氏のインタビューで、志らく師を聞いた最初の「死神」を評価。

けさの朝日新聞朝刊社会面に笑福亭松之助師の訃報が載っていた。
「笑福亭松之助さん死去」のリードの脇に「明石家さんまさんの師匠」とある。一般的にはそうなのだろうが、「幅の広い活動で人気を集め」、「『三十石』に長唄『新曲浦島』を取り入れるなど、独自の工夫を施した高座でわかせた」と功績を記す。
葬儀は近親者で営み、後日お別れ会が開かれる予定という。
上方落語の戦後復興期の最後の功労者を悼む。合掌。

けさの朝日新聞朝刊2面の「ひと」欄は、「武道館で落語会を開く『らくごカフェ』店主 青木伸広さん(49)」。
落語好きになった経緯や立川志の輔師との因縁の紹介があって、開店10年を機に「節目だから盛大に」と企画されたのが25日に行われる今回の落語会という。実現するのがすごい。「人生最大の道楽」と言うが、席亭冥利に尽きるイベントだろう。
余生万端ならば、席亭になってみたい。

けさのNHKテレビ「演芸図鑑」の出演は、入船亭小辰、三遊亭わん丈、三遊亭歌太郎。スペシャル対談は嵐山光三郎。
冒頭の「談志の名言」は、「小言は不快感の解消だ」。
演芸は珍しく落語二ツ目が三人。
小辰は「たけのこ」。古い言い回しや武家言葉でも客席はよく理解している。
わん丈は「近江八景」。馴染みない地名が主の歌の文句でも客席はよく理解している。
歌太郎は「やかん」。軍記ものの講談がメインの構成だが客席はよく理解している。
いずれも噺の世界に引き込んでいるため、客の理解を促しているのだろう。力量が確かである証明。

2月10日に行われ、生放送された「第117回上方落語をきく会」昼の部の録音を車移動の合間に聴く。
昼の部の出演・演目は、
笑福亭鉄瓶「かぜうどん」
桂雀五郎「初天神」
笑福亭たま「源平盛衰記」
桂南天「崇徳院」
(中入り)
笑福亭生喬「質屋芝居」
笑福亭仁智「ハードラック」
で、いずれ劣らぬ熱演。
特に中堅の南天・生喬の両師が自身の特長を前面に出し、会での役どころを全うして頼もしい。ラクゴリラメンバーでは南天・文三両師に続き、生喬師も花丸師も大きな襲名があっておかしくない。近い将来の上方落語界を背負い立つ中心のゾーンにある。
たまの斬新も侮るべからず。

溜まっている録音から、1月27日と2月3日、2月10日放送のABCラジオ「日曜落語なみはや亭」をまとめて聴く。3週続きで、1月21日に行われた「第5回なみ1グランプリ」の模様。
出番順で、27日分は桂團治郎と桂慶治朗、3日分は笑福亭笑利と桂小梅、10日分は桂寅之輔と桂米輝。
團治郎「看板の一」はテンポよく手堅い運び。
慶治朗「みかん屋」はテキストの優秀さに負うところ大。
笑利「千鳥の香炉」は石川五ェ門が主役の自作歴史落語。
小梅「鉄道勇助」は「鉄砲勇助」の改作。
寅之輔「大安売り」は前座噺の定番。
米輝「ハムカツの父」は中世ヨーロッパを舞台にした自作。
グランプリを獲った桂あおば「動物園」は放送なし。10日の「第117回上方落語を聴く会」に出番を得られる特典。当日分は別に録音しておいて後日聴く。

NHK「日本の話芸」の録画を観る。林家木久扇師の「昭和芸能史」。
冒頭、先代林家正蔵師への入門の経緯や怪談噺の演出の話があって、徐々に戦中戦後の世相に移る。主に映画の話題で、お得意のものまねを入れながら「鞍馬天狗」や「遠山の金さん」のストーリーをなぞる。
まあ、イマドキの噺ではないが、これはこれで存在の価値はある。

けさのNHKテレビ「演芸図鑑」の出演は、山上兄弟、柳家権太楼、スペシャル対談はモロ師岡。
冒頭の「談志の名言」は、「師弟とは価値観を共有する者」。
権太楼師は「芝居の喧嘩」。
啖呵が肝で、合間の地の息とのバランスで完成度が違ってくる。硬軟緩急が絶妙。

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