エディオンスタジアムでのJリーグの試合は、アウェイの横浜F・マリノスがサンフレッチェ広島に1-0で勝ち、応援に駆けつけた者たちも幸福感に満たされました。広島で祝杯をあげたあと呉に宿を取り、翌日は映画「この世界の片隅に」のロケ地を巡りました。遠征の番外編として書き残しておこうと思います。

 

まずは、ざっと予備知識。
 
映画「この世界の片隅に」はこうの史代原作、片淵須直監督・脚本のアニメーション映画で、2016年11月12日に 公開されました。制作資金の一部をクラウドファンディングで集めた事でも知られています。戦時下に広島市江波から呉に嫁いだ、主人公すずの日常を描いています。ネットで話題になっており楽しみにしていたので、年明け早々地元のミニシアターに掛かった初日に観に行きました。戦争を表現するのに、ただ悲惨さを見せつけるのではなく日々の暮らしの変化を淡々と畳み掛ける、こんな方法もあるのかと感銘を受けました。

以前、原作者のこうの史代さんの作品「夕凪の街 桜の国」を読んだことがあった事も期待を膨らませました。原作の「この世界の片隅に」は「漫画アクション」(双葉社)で2007年1月から2009年1月にかけて連載されたそうです。映画を観たあと単行本(上・中・下巻)も購入して読みました。そして、広島での試合が4月16日(日)の17時からに決まった時、日帰りは厳しそうなので呉に行ってみようと思い立ったのです。

「この世界の片隅に」製作委員会では公式ロケーションマップ
「この世界の片隅にロケ地MAP」を作成しましたが、呉市のロケ地を訪れる人向けに2017年1月10日に『この世界の片隅に』聖地巡礼についてのお願い と題する注意喚起を行っています。辰川バス停より先、すずさんの住んでいてた辺りは道も狭く、私有地に入り込む事になり兼ねないので、訪問を避けてほしいというものです。 

なお、映画「この世界の片隅に」パンフレット、原作、公式ロケーションマップ「この世界の片隅にロケ地MAP」などから引用した画像の著作権はすべて©️こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会にあります。

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さて当日は朝から小雨が降っていました。上記の注意事項に配慮して最初の目的地は「辰川バス停」としました。前日ホテルのフロントに尋ねたら、タクシーか路線バスで行ったほうがいいとアドバイスされ、バスの時刻表をもらいました。まずは呉駅の海側1分のところにある、くれ観光情報プラザで、こうの史代さんのカラフルなイラストの公式ロケーションマップ「この世界の片隅にロケ地MAP」をもらいました。観光プラザの中には映画のパネル展示もされていました。カラーのMAPは大切にバッグに仕舞い、ホテルにあった白黒のコピーを手に出発しました。




呉駅前の9番のりばから「辰川線31-1」のバスに乗ります。


バスは境川に沿った蔵本通りを北上していきます。呉市役所を過ぎたあたりから支流の辰川川の方へ進路を変え、急な坂道を登っていきます。駅を出てから13分ほどで終点「辰川」に降り立ちました。雨も上がり、傘を差さずに歩けるのはありがたいです。この「辰川バス停」は原作のずずさんが北條家に嫁入りするときに出てきます。
上が原作、上巻66ページ、角度は違いますが下が私が撮った写真です。






辰川バス停からは灰ヶ峰を背に「三ツ蔵」に向けて下って行きます。坂が急で、長崎のような趣がありました。すずさんが闇市に歩いて行くときに通った三ツ蔵は、急な斜面に建っていました。原作や映画に描かれているのは蔵の裏側で、表側は立派ななまこ壁があり、旧澤原家住宅とともに国指定の重要文化財になっています。

上)映画パンフレットより。中)三ツ蔵の裏側。下)表側、左側が三ツ蔵。









三ツ蔵から少し進路を東に変えて休山トンネル方向へ進むと、傾斜は緩くなって境川に出ます。川に沿って少し下った辺りが、
すずが闇市の帰りに迷い込み、リンさんと出会った朝日遊郭跡という事でした。参考にしたサイトの方も特定に苦労されたようで、朝日町の辺りは全く面影がなく、現在は呉市医師会病院になっていました。

上)原作、上巻24ページ。下)朝日町。







遊郭跡近くの別の橋の所で、
おじいさんとおばあさんが大きなアオサギに餌をやっているところに出くわしました。原作には何度か白鷺が出てきます。呉沖海戦で北條家も空襲に遭った時、庭に降り立った白鷺を思い出し、感慨を覚えました。

上)朝日町で見かけたアオサギ。下)原作、下巻64ページ。







境川が大きな通りにぶつかりました。相生橋西詰の交差点です。振り返って長ノ木町方面を見ると、灰ヶ峰の上に広がる雲が暗くどんよりしてきました。




ここからは「中通り」(現れんが通り)を進みます。雨が降ってきましたが、現在はアーケードになっているので助かります。聖地巡礼サイトを参考に、「喜楽館」と「地球館」の
跡地をみました。帳面を忘れたことを口実に周作に呼び出されたすずさんが、周作とデートをした映画館です。結局水兵さんであふれていて、映画を見ることはできなかったのですが。喜楽館の跡地はラーメン屋に、地球館の跡地は駐車場になっていました。

上)喜楽館跡地。中)原作、中巻32ページ、地球館。下)地球館跡地。









さらに中通りの一本東を走る「本通り」に出て、本通り4丁目の「福屋百貨店呉市店」のあった場所へ行きました。今は八百屋になっています。

呉を離れる直前に、呉駅ビル「クレスト」の階段に展示されていた、映画「この世界の片隅に」パネル展を見たのですが、「福屋百貨店呉市店」のパネルを見ていた時、居合わせたおじいさんが、「昔は呉に市電が走ってたんだよねぇ」と呟いていました。 呉のお年寄りにとっては懐かしい風景だったのでしょう。

上)呉市ロケ地MAPより。下)現在。







今度は福屋百貨店跡横のパルス通りを西に進み、中通り(現れんが通り)を突っ切って西へ、境川に出たら左に折れて下っていきます。すずさんと周作がデートで語らった「小春橋」に来ました。現在は架け替えられて趣もなにもないですが、境川に橋がいくつもかかる光景は優美だったろうと思います。

上)小春橋、中巻33ページ、月がバックにあるので、多分上流から。下)小春橋、下流から。






雨も本降りになりました。また本通りに出て南下し、めがね橋まで来ました。呉線の高架をくぐってすぐにあるのが下士官集会所(現青山クラブ・海上自衛隊呉集会所)です。建物の外壁は変わっていますが、形はそのままなのですね。

上)映画パンフレットより。下)現在。







いよいよ今回のロケ地巡りも終盤です。下士官集会所の先を左に曲がって、ゆっくりと坂を登っていきます。突き当りが旧陸軍病院前の階段です。広工廠の空襲で怪我をして海軍病院に入院していしたお義父さんを、姪の晴美ちゃんと見舞いに行くシーンです。
現在は国立病院機構呉医療センターになっています。

上)映画パンフレットより。下)現在。







最後に「入船山記念館」を見学しました。呉は旧海軍の「呉鎮守府」が置かれた場所で、その長官が住んだ
「旧呉鎮守府司令長官官舎」が入船山記念館として建設当初の姿で修復、復元されれいます。敗戦で海軍はなくなっても、時間の経過とともに海上自衛隊の施設が多く存在するようになった事を思うと、地域が軍事産業とともにあるという事は戦前と変わってないのだなぁと感じました。








※ここでミニ情報です。 
入船山記念館」の入館料は大人250円ですが、JAFの会員証を見せると50円引きでした。アプリのJAFデジタル会員証が便利です。

雨も本降りになって寒くなってきたので本通りに戻り、お好み焼き屋さんに入って呉焼きと海自カレーを昼食にいただきました。広島では至る所にお好み焼き屋があるけど、こちらでいうラーメン屋のようなものなのかもしれません。




当初は一人で回るつもりで計画した呉のロケ地巡りですが、休暇が取れたので娘が同行してくれ、スマートフォンで検索しながら次々とロケ地に案内してくれたので大助かりでした。
平日でひっそりしていて、なかなか良い旅でした。


◆各種リンク
 映画「この世界の片隅に」公式サイト
「この世界の片隅に聖地巡礼ロケ地ガイド」今回のロケ地巡り中に参考にしたサイト 
[公開]聖地巡礼マップ&解説書:のんちゃん写真集&この世界の片隅に 地図を参考にしたサイト
アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(1)~ (16)原作をもう一度読みたくなるサイト

 


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