2014年12月30日

藁の楯4

少し前に『藁の楯』という映画のDVDを観ました。
幼女暴行殺人魔・清丸国秀(藤原竜也)の首に、被害者・蜷川知香の祖父・蜷川隆興(山崎努)が十億円の懸賞金をかける。命の危険を感じて福岡で自首をした清丸を警視庁へ護送することになったのが、銘苅一基(大沢たかお)、白岩篤子(松嶋菜々子)、奥村武(岸谷五朗)、神箸正樹(永山絢斗)、関谷賢示(伊武雅刀)の5名。しかし、十億円の懸賞金のせいで、日本国民全員が清丸の命を狙ってくる可能性が出てきて、護送チームは次から次に現れる刺客から命がけで清丸を守らなければならなくなるというお話。

waranotate04


雑誌『映画芸術』では2013年のワースト9位に選ばれた『藁の楯』ですが、個人的には結構面白かったんです。何があかんかったんやろう?
とにかく退屈はしなかったし、原作を読んでなかったので、次はどうなるんやろう? と最後まで期待しながら見ることができました。

waranotate05


また、護送チームの人間もほぼ最後まで誰を信用していいのか、疑問を持ちながら見れたので、そこも楽しい。
幼女暴行殺人魔・清丸国秀は本当にどうしようもない悪い奴で、こんな奴を守る必要があるのか? と誰しもが思うでしょうが、この作品に好感を持てたのは、答えをこちら(オーディエンス)に強要してこなかったところ。
果たしてこの犯罪者を守る価値があるのかを含めて、死刑制度や復讐(仇討)、法と罪と罰、人権や命の尊厳、被害者遺族の感情など、答えを強要されずに考えることができたところがこの作品の良いところだと思います。
よくこのテの作品にはあざといくらいに答えを強要してくるものがあるんだけど、この作品は、何とかそこのところで感情的にならずに抑えているのではないでしょうか。
もちろん、いくら十億円の懸賞金をかけたからといって、日本人全員が刺客になるということは現実にはないのだろうけど、無宗教で拝金主義的な日本だからこそ多少の説得力があるところが面白いのです。
また「被害者遺族の感情」というゼロ年代的命題を扱っているところも大変興味深い。
その「被害者遺族の感情」が極大化したものが、この『藁の楯』なのだろうと思います。

waranotate10



ただ、気をつけなければいけないのは、護送チームのメンバーが命を落とすところ。
観ている側は、こんな人間のために命を落とさなければならないのか、と疑問を感じてしまいます。
しかし、その疑問は正しくない。
そう思ってしまったのなら、そこには論理のすり替えがあります。
護送チームのメンバーは、清丸国秀に依頼されて彼を守っているのではなくて、国からの命令で清丸を守り、命を落としているので、たとえ警護対象が要人であろうが犯罪者であろうが、それは職務ですから殉職という意味ではどちらも同じなのです。
にもかかわらず、犯罪者のために命を落とすと、まるで犬死のような、あるいは本末転倒のような気がしてしまうのです。
ここは勘違いをしてはいけないところ。
護送チームのSPは、誰であろうが命をかけて守ることでお給料をもらっているのですから。

waranotate07


それから、新幹線での場面の撮影で日本の新幹線ではなく台湾の新幹線(?)を使っているところを批判している人があるけど、この批判はつまらない。
名作『新幹線大爆破』では、ほとんど模型を使ってるし、映画やドラマの撮影でフェイクを使って撮影するのは、普通のこと。
「京都」と言いながら、「京都」でないところを使っているのもいっぱいあるんだし。

waranotate02


とにかく大沢たかおがカッコイイ。
松嶋菜々子はフェミニンな部分を封印して、ハードな役を頑張っていたかなと思います。
藤原竜也の犯人役はさすが。
この「どうしようもなく悪い奴」は彼でないとなかなかできないのかもしれない。
ただ、ちょっと顔が綺麗すぎて、幼女暴行殺人魔の「気持ち悪さ」は出なかったかな。
この顔やったら、幼女じゃなくても、普通に大人の女性に相手にされるでしょって思ってしまう。
端からそういう性癖のある人物という風に理解しないとちょっと難しいような気がしました。

waranotate08


2013年の日本映画
監督・三池崇史
脚本・林民夫
音楽・遠藤浩二
原作・木内一裕
出演・大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、永山絢斗、伊武雅刀、余貴美子





kogoroh27 at 15:01│Comments(0)TrackBack(0)三池崇史 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔