2009年07月17日

無知の平穏?

少年「どうして暗闇の中で的が見えるの?」
僧「私の目を見て・・・(目をつぶったまま的を射抜く)」
少年「どうやってやるの?」
僧「やるのではない。自然に、"なる"んだ」
少年「自然って、どういうこと?」
僧「的に当てようとしなくても、当たるんだ」
少年「どうして?」
僧「的と矢と弓は、ひとつだ。別のものじゃない。同じものなんだ、ひとつの」
少年「へぇ・・・そうかな。よく分かんないけど」
僧「それでいいんだ」
少年「何がいいの?」
僧「こういうことは、理解したいと焦っては駄目だ。焦りが消えた時、おのずとわかる」


平穏な日々だった。
部活はきつく、ほとんど毎回地獄だったが、終わった後の飲み会には必ず参加した。
そこにはイジメもしごきもなく、先輩達は稽古中とはうってかわって、僕を迎えてくれた。
ただ飲んで話して時間を過ごすだけ。
けれどそんな平凡な交流こそ、僕には未知のものだった。
当たり前の歓談が、馴れ合いが、僕にとっては新鮮で、豊穣な時間だった。
帰ったらテレビを見るか、ゴロゴロしているだけ。
せっかく上京したというのに、有名な場所などほとんど訪ねようとはしない。
映画もあまり見なくなった。
バイトもしないのでカネがもったいなかったせいもあるが、何も出掛けなくても、僕は十分、この退屈?な日常に満足していた。
夏休み、一年生だけで島へ遊びに行ったことがある。
ある同輩はそこでカノジョを見つけた。
別の同級生は、先輩と付き合いだしていて、結局参加しなかった。
もちろん一年生同士のロマンスも多分、きっと・・・。
僕はまったく無関心だった。
他人の色恋沙汰にも、己が異性に対する好奇心にも。
こんなに自然極まる一種の"三無主義"?に、僕はどこからドップリ漬かるように成り果ててしまっていたのか?
わかるはずもない。
焦りも何も、それが僕だけの若さだったと、今も昔も自得するしかない・・・。

kohe000 at 11:58│Comments(0)TrackBack(0)孤独 | 大学時代

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