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 前回に引き続き、シンガポール海峡をさらに西へ、最狭部へと進んでいきます。上の海図の一番右手付近が前回書いたイースタンブイで、下の動画では2nd officer(二等航海士)がイースタンブイ通過をVTISにVHF(船舶無線)で報告しています。
 この時はキャプテン、2nd officer(二等航海士)、AB(Able seaman、クオーターマスター・甲板手のこと)の3人がブリッジで当直にあたってました。



 通常航海中はChief officer(一等航海士)、2nd officer(二等航海士)、3rd officer(三等航海士)の3直制で交代で船を操船し、キャプテンがブリッジで操船するのはこのような狭水道通狭時や入出港時だけです。(船によって違いますが、大型船の場合はおおむねこのような当直体制です。)
 たまに船舶の衝突事故のニュースなどでキャプテンが非難されていたりしますが、ブリッジにキャプテンがいない時に起こった事故のことも多いんですよね・・・任せた責任はあるのでしょうけど、任せないとキャプテン寝られないし・・・


 海図はゴチャゴチャしててわかりづらいですが、下図の通り航路は北側が西航、南側が東航で分かれています。航路幅が狭くなるにつれ、同じレーンの同航船や反対レーンの反航船との距離もあまりとれなくなり、VHF(船舶無線)で接近する船舶とは連絡を取り合いながら進みます。

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 またVTISも接近する可能性のある船舶やその行先などの情報を積極的に提供してくれます。ちなみに前回書きましたが、この付近ではVTISのセクターはEASTからCENTRALに変わり、聴取チャンネルも14チャンネルに変更します。この海域を航行する船舶はみな同じチャンネルを聞くことになるので、このチャンネルでのやり取りは他の船舶にも共有されることになります。



 動画ではキャプテンが他船にこの後どうするのか意図を聞いています。VHFで互いの意図を確認することを面倒に思う船員さんもいますが、大型船の場合は操縦性能が悪いのでこのような確認は非常に重要になってきます。出光タンカーさんのページでよくまとめられていたのでご参考までに。

http://www.idemitsu.co.jp/tanker/know/trivia/service/communication3.html

 90度変針するのに10~15分・・・(^^;しかも車のようにしっかりと地についているわけではなく流体である水の上で、潮流や風圧も考慮しながらやる必要があります。なので特に大型船の場合、他の船が急に違う動きを取った時、簡単に避けることなんて出来ないのです・・・
 ちなみにこのコンテナ船も全長でいえば、上記出光タンカーさんのVLCCと同じ大きさです。

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 人によって違うかもしれませんが、西航の場合、上の海図の赤丸、セントーサの南東、セントジョーンズ島前後(TEMBAKULとの記載の左にある島)が一番気を遣うところかなと思います。前述のように航路幅が狭くなることに加え、左の東航レーンからシンガポール方面へ入港するために西航レーンを横切る船舶や、北側シンガポール方面からは錨地や港から出港してくる船舶など、ブリッジは緊張状態がずっと続きます。しかも操縦性能の悪い大型船で夜間の通狭です、よく私をブリッジに入れてくれたなあと本当に感謝です(^^;
(でも通行船舶が少ないので夜の方がいいというキャプテンもいますね・・・)

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 そのような中、私は旅客ということもあり後ろで動画を撮影したり、ウィングに出てシンガポールの夜景を眺めたりと気ままなものでした。立場違えば本当に気楽で楽しい訳ですが、入出港や通狭時のブリッジの船員は常に緊張状態で操船にあたっています(^^;

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