フライングブリッジ アンテナ
 この写真はCMA CGM ALMAVIVAのブリッジ上部のアンテナ類です。これだけ見ても船がたくさんの機器を搭載しているのが分かります。今回は以前書きかけになっていたブリッジの機器の二回目、前回扱わなかったものをまとめてみました。

<レーダー>
レーダー1
 ほとんどの方が知ってる計器ですね。電波を発射してその跳ね返ってきた方位と、かかった時間から距離を測り写真のように映像として見せてくれます。またほとんどのレーダーにはARPAというものが搭載されており、レーダー映像を継続観測して他船の動きや最接近距離、最接近までの時間なども知ることが出来ます。
 通常商船が装備しているレーダーは3000MHz帯を使用するSバンド、9000MHz帯を使用するXバンドの二種類。Xバンドは波長の直進性が強くシャープな映像が得られますが雨雪に邪魔されやすく、逆にSバンドはあまりシャープな映像は得られませんが雨雪の中の物標でも反射波を得やすいなどの特徴があり、状況によって使い分けます。
 最近のレーダーは画面上にAIS情報やECDIS(電子海図)も表示できるなど、直感的な操作が可能になってます。ALMAVIVAはXバンド2台とSバンド1台の計3台を装備していました。

<ECDIS(電子海図)>
ECDIS

 海図といえば下の写真のような紙海図のイメージですが、電子海図とは簡単に言うとそれをパソコン化したものです。近年ほとんどの外航船で強制化され、加えてECDISが装備されている船には取り扱い講習を受けていないと航海士として乗船することさえできなくなりました。
 先日この講習を受けてきたのですが、この電子海図、単に海図と思っていたらなかなか奥が深いものでした。これは他の計器と同列には扱えないというか確かに講習が必要な機器ですね。海外では年配のキャプテンがECDISの機能を理解していないため船が出港差し止めにあう事例も発生しているようです。

チャートテーブル

 紙海図と比べると自船の位置がGPS信号により常に表示されるので、リアルタイムで自船がどこにいて、どこに向かっているのかを知ることが出来ます。対して紙海図の場合はいちいちクロスベアリングなどで位置を計測し、それを鉛筆で記入しなけれないけません。
 ちなみに独立したECDISを2台持っていれば紙海図を持つ必要はありません。紙海図はアップデートにおそろしい程の手間暇がかかるため最近では紙海図を持たない船も増えてきています。(そのため紙海図の場合、実際にはアップデートをやってない船も多いようです…)

<VHF>
VHF

 写真左上の受話器がついているのが通称VHFという通信機器です。Very High Frequencyの略で、その名の通りその帯域を使った近距離用の通信機器です。近くにいる他船と通信する際はこの機器を使います。その右手に書いてるアルファベットはコールサインです。船名の代わりにこのコールサインで呼ぶことも多いです。
 気を付けなければいけないのは誰でも聞ける通信であるという事・・・よく仲間の船を呼び出して実名を出したりプライベートなことを話してる方もいますがちょっと注意した方がいいかもと思います(^^;

<VDR>
VDR

 これも近年、ほとんどの外航船で強制化された機器です。Voyage Data Recorder、つまりドライブレコーダーの船版ですね。レーダー、ECDIS、スピード、方位などの情報を常に記録しており(古くなった情報は上書き)、事故の原因究明などに有効な機械です。

<GPSとAIS>
gpsとais

 右がGPS、左がAISという機械です。
 GPSについては説明不要ですね。付け加えるとすれば通常船で使っているものはDGPSといって基地局から補正データを受信して位置精度はほぼ1メートル以内にしています。(DGPSは主に沿岸でのみ使用可)

 AISはAutomatic Identification Systemの略で簡単に言えば周囲の船のいろいろな情報を知ることが出来ます。例えば船名、速度、航行状態(錨泊中か航行中かなど)、目的地etc・・・
 昔はVHFで船を呼び出すにも双眼鏡で船名を確認したりするなど大変だったそうですが、今は船名がすぐわかるので呼び出しも簡単です。加えて目的地も分かるので、その船がどちらに向かうのかという予測にも役立ちます。
 ネット上でもいくつかのサイトでAIS情報を一般の人も閲覧可能になっています。しかも大洋航海中の船でさえ・・・下手なツイートするとすぐに乗船している船がばれてしまうおそろしい時代です(^^;

<エンジンテレグラフとスラスター>
エンジンテレグラフとスラスター

・エンジンテレグラフ
 写真右のハンドルがついているのがエンジンテレグラフ。これで船のエンジンを操作します。電車のマスコンとほぼ同じ感覚ですね・・・商船の場合は前進をAhead、後進はAsternと呼びます。
 また通常航海中は基本的にこのハンドルは操作せず、船のスピードは固定。舵による進路変更のみで他の船を避けます。なので基本的に使用するのは入出港時にエンジンルームに人を配置して、エンジンがスタンバイになっている時です。(基本的にというのはたとえエンジンルームに人が配置されていなくても、緊急時事故を避ける時など操作すべき時もあるので・・・)

・スラスター
 船内電話の右、ダイヤルがついているのがスラスターの操作盤です。下の写真の様に船底近くに船の左右を貫通する穴があり、その中にプロペラがついています。これによって横方向へ船を動かす力を発生させられます。

IMG_0923

 ある漫画の中でこれを使って船を急速旋回させるシーンがあったのですが、通常商船が装備しているスラスターは低速時しか使えません…

<通信機器>
衛星通信設備

 船舶はその航行海域(A1~A4)によって装備すべき通信機器が決められています。(詳しくは総務省HP参照 http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/musen/kaijou/ )
 この写真はたしかインマルサットC(衛星通信の一つ)とMF/HF無線機(地上波を利用した無線機、MF:中波、HF:短波)だったと思います。この様な法定機器の他にも多くの通信機器が装備されています。ちなみに船と会社のやり取りはパソコンによるe-mailがメインです(^^;
 最近では乗組員が私的に使う衛星通信があったり、船内wi-fiが整備されている船も多くなってきました。外航船に乗っている友人にメールしてもインド洋上からでもすぐに返信が来るので驚きます(^^;

<エコサウンダー>
エコサン

 水深を測る機械、まさに船にとっては重要な機器です。船底の発振器から音波を発して帰ってくるまでの時間を計測することで水深を測っています。

 以上、書いていたらキリがないので、ざっとですがALMAVIVAのブリッジ機器類の紹介でした!

前面計器類