2015年04月27日
【道案内】
国道21号が通りJR「醒ヶ井《さめがい》」駅のある醒井《さめがい》集落から、丹生川に沿って県道多賀醒井線(17号線)を山に分け入った先に醒井養鱒場《―ようそんじょう》があります。最後の集落である上丹生《かみにゅう》までは谷も広く山奥感は少ないのですが、集落手前で右に折れて入った辺りから谷が険しくなり、川も蛇行しています。ここが醒井峡谷とされます。この醒井峡谷を抜けた先の谷間盆地が醒井養鱒場になります。(ここまでの文章は省略されることがあります)
【紹介】
「岩清水」は、醒井峡谷の中ほどにあります。登って道路(県道)左側の落石防止金網の向こうからパイプが伸びています。低い位置なので見落とすかもしれません。すぐ上の金網には「岩清水」と木彫された小さな札が付いています。パイプのほか備品として、水汲み用の樋先、風呂桶、給水のペットボトルの高さを調節するための平たい石(後述のチャート)なども置かれています。どなたか整備している方がおられるようです。駐車スペースは特にありません。道路は広めですが養鱒場行きの路線バスも通る(意外とよく通る)ので注意してください。前後のカーブで見通し不良ですので、帰りの際は奥(養鱒場)まで行ってUターンした方が安全でしょう。
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落石防止の金網の向こう、パイプの根元を見ますと、古いコンクリートの擁壁がありました。この擁壁の水抜き穴から出ていた水というのが「岩清水」の元々の姿で、ここに塩ビのパイプを挿して水場としたと推測します。
擁壁によって崩れるのを押さえられている岩はチャートでした。チャートとは二酸化ケイ素(水晶やメノウの成分)が海底に溜まってできた岩石で、この地域のチャートは中生代三畳紀(おおよそ2.5億~2億年前)くらいの時代に溜まった地層です。醒井湧水群の元となっている石灰岩とは違う地層で、距離は比較的近いですが醒井湧水群とは性質の違う湧水です。湧出量も 4L / 分程度で、石灰岩地帯の湧水と違って比較的少量です。
チャートはほとんど二酸化ケイ素からできているので、地下水にカルシウムやマグネシウムが溶け出ることは少なく、この湧水は軟水の可能性があります。実際パックテストを実施してみたところ、硬度 20 mg / L 程度(色調的には20よりはちょっと大きい。25程度か)と判明し、軟水である確認が取れました。近傍の名水は石灰分の多い硬水が主なので、「岩清水」は貴重な存在です。煮物や炊飯、緑茶用の水に適しているはずです。
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他の名水に比べて知名度は今一つなものの、水汲み客に遭遇する率も高く、地元の人などを中心に人気があるようです。よくわかっているなぁ、と感心します。他の軟水の湧水に比べて国道からも近く、アクセスが容易なことも魅力でしょう。
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【関連記事】
- 醒井湧水群と地蔵川 〔http://blog.livedoor.jp/kohoku_mizu/archives/1036912245.html〕
- 白清水
- 水の硬度(2) 軟水と硬水 〔http://blog.livedoor.jp/kohoku_mizu/archives/1021810636.html〕
【関連リンク】
- 滋賀県・琵琶湖の水 (c) Minami Masatoki 〔http://homepage2.nifty.com/mizunotabi/kinki3.ishigabiwako.html〕 まん中あたり
- Mizumiroku|■岩清水■ 〔http://takimiroku.blog59.fc2.com/blog-entry-18.html〕
【基本データ】
《名称》 | 岩清水 |
《読み》 | - |
《所在地》 | 滋賀県米原市(旧坂田郡米原町)上丹生 醒井峡谷 |
《位置》 | 35°18′05.85″N 136°20′37.55″E (35.301625,136.343764) |
《旧座標》 | 35°18′17.4″N 136°20′27.1″E(日本測地系) |
《水系》 | 天野川(淀川水系) |
《タイプ》 | 湧水 |
《水量》 | 4 L / 分 程度 |
《水汲み》 | ポリタンクはグレーチングを外すという大技で可。 |
《備考》 | 硬度20 mg / L 程度(25mg/Lくらいかな) |
(2015年4月3日 訪問,2015年5月22日など再訪問)
kohoku_mizu at 22:19│Comments(0)│● 米原市(旧坂田郡)の名水