2015年08月13日


【道案内】

 国道21号で来られた方も、いったんJR醒ヶ井駅を基点とするとわかり易いでしょう。駅から出て、目の区前の国道21号を横断、駅前の通りを行くと、すぐ二又になっているのでこれを左折、さらに道を進んでいくと小さな石橋がありT字路にあたります。ここで左右に伸びている道が旧「中山道」で、これに沿って流れている川が「地蔵川」です。
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地蔵川(5)
醒井湧水群と地蔵川を紹介する案内看板
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 車で来た方は、JR醒ヶ井駅前にある「醒ヶ井水の宿駅《さめがいみずのえき》」の駐車場に停めて徒歩・散策がよろしいでしょうか。醒ヶ井駅より岐阜県方の国道21号脇には、バイカモの季節に利用できる臨時駐車場も設けられるようです。

(ここまでの文章は省略されることがあります)

【紹介】

 「醒井湧水群」と「地蔵川」は、JR東海道本線醒ヶ井駅の南側に位置する醒井集落に見られる水環境です。醒井は中山道第61次の宿場町でもあり、そこに見られる湧水群とそれを源とする地蔵川は古くから人々の行き交いや生活と結びついて利用され、大切にされてきました。

 「醒井湧水群」は、「平成の名水百選」にも選定された「居醒の清水 《いさめのしみず》」のほか、「十王水」、「西行水」などの各湧水に、枝折集落の「天神水(灌田水)」を含めた、いずれも石灰岩地帯の湧水群です。ここに上丹生集落の「いぼとり水(法性坊の初洗いの水) 」,醒井養鱒場周辺の「鍾乳水」と「役の行者の斧割り水 《えんのぎょうじゃのよきわりすい》 」を加えて、「醒井七湧水」とも呼ばれています(下の関連リンクを参照)。

 「地蔵川」は「居醒の清水」を源として、醒井集落を旧中山道に沿って流下し、天野川に合流する小河川です。源流の「居醒の清水」は30L/秒程度の湧出量ですが、「十王水」、「西行水」などの3~5L/秒程度の湧水を複数合わせて、最終的な水量は倍の60L/秒程度となっています。
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地蔵川
地蔵川の流れ
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地蔵川(2)
高所より眺めた中山道と地蔵川(街路樹の箇所)
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● 醒井延命地蔵と地蔵盆
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 地蔵川の名前は、加茂神社境内の「居醒の清水」そばにある「延命地蔵尊」(醒井地蔵)に由来するようです。延命地蔵尊の縁起は下に記しておきます。地蔵像は、花崗石を丸彫りした半跏像(はんかぞう,腰掛けたお姿の像)で、高さ2.7mという大きい石仏です。その彫刻の特徴から鎌倉時代後半の製作であろう考えられるそうです(縁起とは年代が合わない)。

 お地蔵様のお祭りである「地蔵盆」は毎年8月23・24日(新暦)に行われ、「つくりもん(つくりもの)」と呼ばれる工作物(としか言えない…)などが盛大で、参詣客が集まります。
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延命地蔵尊の縁起(看板にあった文を要約)
 西暦817年(弘仁8年)に干ばつが続いた。時の嵯峨天皇の命により伝教大師(最澄) が比叡山で降雨を祈ると、薬師如来が夢の中に現れ、「ここより東へ数十里行ったところに清浄な泉がある。そこへ行って雨を求めよ。」と告げたという。
 大師 が泉を訪ねてこの醒井の里へ来ると、白髪の老翁が現れ、水の守護神と名乗った後、この地に衆生済度・寿福円満の地蔵尊の像を刻み安置するよう言い残して消え た。石工を集め、一丈二尺(3.6m)の地蔵菩薩の座像を刻み祈念されると、大雨が3日間降り続き、干ばつの難より逃れたという。
 なおこの地蔵菩薩像は、はじめ水中に安置されていたので俗に「尻冷し地蔵」と唱えられていたと言う。 
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● ハリヨとバイカモ
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 「地蔵川」は生物環境的には、ハリヨ(針魚)やバイカモ(梅花藻)が生息する貴重な場所として知られています。いずれも清浄で20度以下の低水温の湧水地を好む生物です。地蔵川の水温は年間を通じて14度で、生育条件に合致しています。
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○ ハリヨ
 「ハリヨ」は、トゲウオ目トゲウオ科に分類される淡水魚の一種。全長5cm前後の小魚で、最大7cm程度。背中には背びれの棘条(トゲ)が3本離れて発達し、さらに腹に2本、尻びれ付近にも1本トゲがあります。

 年間の水量が一定した綺麗な湧水地や、その周辺の流れの緩やかな河川に限定して生息し、水草の生い茂った水深20-50cmの浅瀬を好みます。清浄な湧水があることが生息環境の必須条件で、10~18度の低水温を好み、水温20度を超える場所では生息できないとのこと。日本のほか、ヨーロッパ、北アメリカに分布しています。現在の日本では、滋賀県東部と岐阜県西濃地区、岐阜地区の平野部の湧水地のみで生息が確認されていますが、開発による湧水地の減少や川の汚染で絶滅の危機にあり、環境省によって絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)とされています(以上、Wikipediaより整理)。

 「地蔵川」の「ハリヨ」は、人為的に放流されたと見られる同じトゲウオ科の陸封性「イトヨ」と交雑した個体群に置き換わってしまっており、絶滅が判明したとの発表がありました。幸い、近くの川などで純粋種が確認されたため、これらを増やし自然に戻す取り組みも始まっているようです。 
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○ バイカモ
 「バイカモ」は、キンポウゲ科キンポウゲ属の水草で、清流中に生育する多年生の沈水植物です。一個体の茎の長さは2mにも及ぶことがあります。葉身は細かく裂け糸状の裂片となり、長さは2.0~6.0cm。初夏から初秋にかけて、直径1.0~1.5cmのウメの花のような白い花を水中に付けます(水位が下がると空中でも咲きます)。

 東日本などで生育しますが、冷水を好み(適温は15度,水温25度では生育できない)、西日本では生育場所が限られ、生育地として醒井の地蔵川が有名なようです(以上、Wikipediaより整理)。

 「地蔵川」でのバイカモの花は6月~9月下旬に渡って見られるようですが、見頃は7月中旬(梅雨明け頃)~8月下旬の真夏の時期だそうです。
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地蔵川(3)
バイカモ(梅花藻,地蔵川にて。白い点々は花)
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地蔵川(4)
バイカモの花。花の直径はせいぜい1cm。
水中で咲いてます。確かに白梅に似ている。
撮っていたら、ハリヨらしき魚が泳いで行った
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● まだまだある見どころ
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 「醒井湧水群」と「地蔵川」の周辺には水環境のほか、中山道の宿場町としての景観や、後述の旧醒井郵便局舎を始めとする米原市醒井宿資料館など見所が複数あります。散策すると、徒歩(見学時間抜き)で1時間程度でしょうか。時間を取ってゆっくり回ることを提案します。

 旧醒井郵便局舎は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計を元にする建物で、1915年(T4年)築造。1934年(S9年)に外側をモルタル張りにして、玄関の位置や内部の間取りが変更変更されています。1973年(S48年)まで郵便局の局舎として使われていました。荘厳なモルタルの装飾が印象的で、国の登録有形文化財に指定されています。
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地蔵川(7)
「米原市醒井宿資料館」のうち、「旧醒井郵便局舎」
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地蔵川(6)
散策中、地蔵川で冷やされていたヤカンを見つけた。
麦茶だろうか。冷たくて美味しそう。
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● ところで、水汲みは?
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 JR醒ヶ井駅前にある「醒井水の宿駅 《さめがいみずのえき》」で、「醒井の湧水」とされる水を試飲したり、水汲みすることができます。筆者訪問時は平日でコソコソと汲んでいったのですが、「ご自由に汲んでいただけます」とのことなので、心配無用でした。水場は8箇所ほどあるそうです。
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居醒の清水(6)
「醒ヶ井水の宿駅」にある水飲み場
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 醒井集落内の旧中山道には、バイカモの季節に見学者の乗用車の集落内進入禁止を訴える看板が出ていました。多数の観光客がゾロゾロと歩くような観光地ではないため、直ちに危険という感じではありませんが、散策者に退けとばかりにクラクションを鳴らす観光客らしき自動車がいたのは残念です。観光シーズンの観光客の導線整理には工夫の必要がありそうです 。と最後に苦言も呈しておきます。
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例えば、次のあたりが効果的かと。(1) 自動車で来た人が町中に入り込むことなく、迷わず辿り付ける駐車場の整備。これには標識案内の整備がまず必要。(2) 醒井水の宿駅を活用し、醒井の見どころを紹介するビジターセンターとする。ビジターセンターであることもわかるように。
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【関連記事】

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【関連リンク】

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【基本データ】

 「醒井水の宿駅」で代表します。

《名称》醒井水の宿駅
《読み》 さめがいみずのえき
《所在地》  滋賀県米原市(旧坂田郡米原町)醒井688-10 JR醒井駅前
《位置》
35°19′37.715″N 136°20′41.455″E (35.327143,136.344849)
《旧座標》
35°19′26.2″N 136°20′51.9″E(日本測地系)
《水系》天野川(淀川水系)
《タイプ》引き水
《水量》 2~5 L / 分程度の水汲み場・水飲み場が8箇所
《水汲み》 「ご自由に汲んでいただけます」
《備考》「醒井の湧水」とされる
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(2015/8/12 訪問)


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この記事へのコメント

1. Posted by 管理人   2015年08月24日 00:26
この夏最後のSL北びわこ号を撮りに虎姫駅~河毛駅間に行ってきました。稲がずいぶん実って黄金色になってきたので、田園風景を撮りに行ったのです(もう稲刈りしているところもあった)。
ふと田んぼの排水路を見ると、梅花藻の花が咲いてました。あまり綺麗な水とは言えない感じでしたが、あるところにはあるのね (^o^)

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