巷にひとり在り

歴史好きな漫画家・大西巷一の公式ブログ

「月刊アクション」にて
『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』連載中!

★単行本第9巻は11月10日発売!

『乙女戦争』44話「たとえガチョウは焼かれても」

今月23日発売の「月刊アクション」11月号に『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』第44話が掲載されました。

タイトルは「たとえガチョウは焼かれても」


ところで、先月43話掲載時にはブログでお知らせするのをすっかり忘れていました…!

先々月に掲載延期になってしまいましたが、表現上の問題をきちんとクリアして無事掲載されました。

その43話は今ニコニコ静画で公開されています。例によって一ヶ月の期間限定での無料公開です。


閑話休題。

今月の44話ですが、回想でコンスタンツ公会議とフスの処刑の場面があります。

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そして本筋ではとうとう…
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もはや多くを語ることはできませんが、物語上とても重要な回となります。


41話から始まったモラヴィア遠征編は次回45話で終わります。

41〜45話収録の単行本第9巻は11月10日発売予定です。


よろしくお願いします〜

『乙女戦争』第43話掲載延期のお知らせ

今月25日発売の「月刊アクション」に『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』第43話が掲載される予定でしたが、掲載を1ヶ月延期することになりました。

すでに原稿は入稿済みでしたが、表現上の問題があることがわかり、数ページにわたって描き直す必要があると判断したためです。

予告無しで突然休載することになってしまい申し訳ありません。


「表現上の問題」が具体的にどういうものなのかは、今説明してしまうとネタバレにもなってしまうので、しばらく時間をおいてから説明させてもらおうと思います。
あしからずご了承ください。


出版元の双葉社さまには、出版物に差別表現とか著作権侵害などの問題点がないかどうかを予めチェックする部署があります(おそらく他の出版社にもあるでしょう)。
今回は、作者であるぼく自身も担当の編集さんも気付いていなかった問題点を、その部署のスタッフが校了直前に見つけて指摘してくれました。
そのまま掲載されていたらいろんな方に多大な迷惑をかけることになっていたかもしれません。
危ないところでした…!

もちろん、ぼくがはじめから問題のない原稿を描いておけば、掲載延期なんてことにもならずに済んだんですけどね…

失敗を反省しつつ、今後は一層良い作品を世に出せるよう精進しますので、引き続き『乙女戦争』をよろしくお願いします!

『乙女戦争』42話「聖戦士たちの夢の痕」

今月24日発売の「月刊アクション」に『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』第42話が掲載されました。
タイトルは「聖戦士たちの夢の痕」

ジシュカ率いるフス派軍がカトリック軍と激突します。
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回想では「中世最大の会戦」タンネンベルクの戦いも。
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今回は戦闘シーンばかりで作画は大変でしたが、フス派軍の力の真骨頂を描くことが出来て楽しかったです♪


ニコニコ静画では41話が公開されました。


よろしくお願いします!

『乙女戦争』第41話「騎士を殺す者」

今月25日発売の月刊アクションに『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』第41話が掲載されました☆

タイトルは「騎士を殺す者」

先月は単行本作業のため休載させてもらいました。
休載明けの今回はその8巻の続きになる回です。

これまでは十字軍の侵攻を迎え撃つばかりでしたが、今回フス派軍は初めてボヘミアの外へ攻め込むことになります。
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ジシュカの眼帯が黒くなりました。
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こっちの方が似合いますね。はじめから黒にしておけばよかったかも…

それとジシュカの若い頃のエピソードもあります。
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8巻の予告ページにも書かれていますが、この遠征がヤン・ジシュカにとって最後の戦いとなります。
どういう結末を迎えるのか、どうぞご期待ください!

『乙女戦争』8巻プレゼント企画@ツイッターのお知らせ

『乙女戦争』8巻の発売日が迫って参りました。
7巻発売時に行って大好評だった販促企画を今回も実施します!

ツイッターで『乙女戦争』8巻の購入報告をしてくれた方に抽選でイラストをプレゼントいたします!

まず、『乙女戦争』8巻を買ってくれた方は以下の要領でツイートしてください。

本の写真をつけてください。
 本の表紙か、本の中身のお気に入りの場面を撮影したものをツイートに添付してください(なるべく露骨なネタバレは避けてもらった方がいいですが、ネタバレの基準は難しいので各自の判断にお任せします)
 電子版を購入された方は、キャプチャ画像ではなく、デバイス(スマホ、タブレット、パソコンなど)ごと撮影したものにしてください。

「#乙女戦争8巻買いました」というタグをつけてください。 
 
・できればひと言感想など添えてくれるとありがたいです。
 
描いてほしいキャラクター添えてほしい宛名(ハンドルネームなど)のリクエストがあればかいてください(イラストは作中のキャラクター1名のみ、顔のみとさせていただきます)。


応募期間は5/22の24:00までとします。


応募者の中から抽選で50名にイラストをプレゼントを進呈いたします。

ツイッター上で当選者の方宛てにイラストを添付して返信ツイートをします。
この返信ツイートでもって当選者の発表とさせていただきます。
 

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【前回企画との違い】
・前回は「先着50名」という形にしたところ、発売初日で応募を締め切ることになってしまい、遠隔地にお住まいなどで初日に買えない方にはノーチャンスとなってしまいました。
そこで、今回は抽選形式にしてみます。

・前回は紙の書籍のみを対象としましたが、今回は電子版を購入された方も対象としてみます。
なお『乙女戦争』8巻の電子版は5月17日の予定です(取扱い書店によって多少ズレるかも知れません)。
画面のキャプチャ画像では購入証明としてはちょっと弱いと思うので、面倒でもデバイスごと撮影したものを用意してください。 

・タグは前回と少し違うのでお間違えないように。

・イラストは前回は下書き風でしたが、今回はペン画風にしてみます。


以上です。ご応募お待ちしています! 



それとこれも一応言っておきます。

前回の7巻発売前には、このままだと『乙女戦争』を構想通りの最後まで描けずに終わってしまうかも知れない、というような話をしたところ、「応援しなくては!」という声をたくさんいただきました。
とてもありがたいと思うと同時に、なんとなく物乞いじみた発言になってしまったようで忸怩たる思いもありました。

で、あれから担当さんとも今後の見通しについて相談しましたが、現状の売上ペースならば最低限の構想は実現できそうだということになりました。
『乙女戦争』は多分単行本で11〜12巻くらいで完結することになりそうです。 

ですので、読者のみなさんにも特別なことはしていただかなくても大丈夫です。
とはいっても急に売上が落ちてしまうとマズいので、なんというか、ぜひ普通に応援してください!(笑) 
 

『乙女戦争』8巻発売のお知らせ

いよいよ、今月12日に『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』第8巻が発売されます!

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聖母子像風のイラストを描いてみました。
なんだかいつにもましてインパクトのある帯がつきました(笑)


7巻では2度目の十字軍との戦いが決着し、今巻ではフス派の内部抗争が起こります。
そしてシャールカには大きな試練と運命の転機が待ち受けています…
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今回もいつも通り巻末に解説文4コマ漫画を載せていますが、4コマの方は作画スタッフの永崎らんかさんに描いてもらいました。
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ちなみに、らんかさんは学生時代からの友人でもあり、漫画家として成人向けの単行本を何冊か上梓されてもいます(「永崎らんか」もしくは「RANKA」名義で)。
『淫獄の戦乙女』
『蝕魔戦線』
『絶対敗北お姉さん』
得意技はSFと触手。興味がありましたらこちらも読んでみてください〜


閑話休題、今回も各書店さま用に購入特典用のイラストをいくつか用意しました。

・COMIC ZIN様用

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とらのあな様用
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まんが王倶楽部様及び漫画全巻ドットコム様用
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まんが王倶楽部様ではサイン本の抽選も受付中です。5/10〆切。詳しくは前記リンク先を)

書泉様及び芳林堂書店様用
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・共通用
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 モノクロイラストにはミュシャ展を観た影響が見られます(笑)


それと、前回の7巻の時と同じようなツイッターでの販促プレゼント企画を今回もやろうと思っています。
前回は先着50名で募集したところ、わずか1日で締め切ることになってしまったので、今度は抽選形式にしようと思います。
確認事項がありますので、詳細は明日発表させていただきます。

というわけで、『乙女戦争』第8巻をよろしくお願いします!!

『乙女戦争』第40話「正義の証明」

今月25日発売の「月刊アクション」に『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』第40話掲載されました!

タイトルは「正義の証明」

2年に及ぶフス派の内部抗争に終止符を打つため、ジシュカが繰り出す戦術は?
そして、シャールカの取る行動とは?

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今回までが単行本8巻の内容になります。
8巻の発売は5月頃になると思います。
現在単行本の準備中です。
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↑表紙イラストチラ見せ

発売日が決まりましたら改めてお知らせしますので、よろしくお願いします〜

ニコニコ静画では39話が公開されています。

こちらもよろしくお願いします。

次号の月刊アクション6月号は単行本作業のため休載させていただきます。


※追記
『乙女戦争』8巻の発売日は5月12日です!
「月刊アクション」の誌面にちゃんと書いてあるのに見落としてました… 

ミュシャ展でヤン・ジシュカを探せ!

前回の記事で、ミュシャの《スラヴ叙事詩》と拙著『乙女戦争』の関連について書きましたが、先日ミュシャ展を観てきました♪

予想通りかなり混んでいましたが、絵が巨大で、会場も広かったので満足に鑑賞できました。
会場一時間前から並んで、早めに入場できたのも良かったです。

《スラヴ叙事詩》を改めて鑑賞して発見したことですが、ヤン・ジシュカがあちこちに描かれてしました!

前回紹介したように、『ヴィートコフ山の戦いの後』にははっきりと描かれていますが、
NMF015_After_the_Battle_of_Vitkov
 
さらに、『ベツレヘム礼拝堂で説教をするヤン・フス師』 と、
Kazani_mistra_jana_husa_v_kapli_betlemske_81x61m
 
『グルンヴァルトの戦いの後』、
After_the_Battle_of_Grunwald_-_Alfons_Mucha
 
そして連作の掉尾を飾る『スラヴ民族の賛歌』の中にもジシュカが描かれています。 
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片眼に黒い眼帯をしているのが特徴です。

ここに載せた画像では小さすぎてわからないでしょう。
ぜひミュシャ展の会場に行って探してみてください。
双眼鏡やオペラグラスを持参するのがお勧めです。

さらに、《スラヴ叙事詩》とあわせて展示されているプラハ市民会館の天井画にもヤン・ジシュカが描かれていて、一緒に『乙女戦争』の登場人物のヤン・ロハーチ(ドゥベーのロハーチ)もいます。
《闘う魂 ヤン・ジシュカ》
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《堅固 ドゥベーのロハーチ》
Alfons_Mucha,_Jan_Rohač_z_DubeWS003234

ここではジシュカが若々しくて、ロハーチがかなり老けているのもなんだか面白いですw


ちなみにミュシャが描くジシュカは、絵によって眼帯をつけているのが右眼だったり左眼だったりします。隻眼だったということしかわかっていなかったので、他の人の手によるジシュカの図像類も同じくまちまちなのですが、ミュシャの中でも左右不統一なのはなぜなのか…?

近年発見されたジシュカの遺骨を調査した結果、幼少期に左眼を失明し、晩年に矢傷で右眼も失明したことが今では判明しています(なので左眼に眼帯が正解ということになります)。

《スラヴ叙事詩》とフス戦争

《ミュシャ展》始まりましたね!
 ミュシャ展公式サイト 

目玉は何と言っても《スラヴ叙事詩》です。
ぼくは一昨年にチェコに行った際に一度見ているのですが、来日すると聞いてからずっと楽しみに待っていました。

《スラヴ叙事詩》はミュシャ(母国のチェコ語ではムハ)が祖国への愛を込めた晩年のライフワークで、スラヴ民族の歴史を題材にした20枚の連作です。キャンバスの巨大さも相まって、壮大な歴史スペクタクルが感じられる大傑作です!

ミュシャがチェコ出身ということからチェコの歴史に関するものが多く、とりわけフス派関連の絵が多いです。絵の解釈にもよりますが、20点中10点がチェコの歴史、うち8点がフス派関連の絵になっています。

従って《スラヴ叙事詩》にはフス戦争を題材にした拙作『乙女戦争』とも関連する絵がいくつもあるのです。
以下、簡単に紹介します。
(※各絵の題はミュシャ展の公式サイトに準じました)


『ベツレヘム礼拝堂で説教をするヤン・フス師』
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まずはフス派の祖ヤン・フス

フスはプラハ大学の神学者で、ウィクリフ派の神学に傾倒し、教会と聖職者の腐敗を批判しました。市内のベツレヘム礼拝堂で定期的に説教し、民衆から国王まで多くの人の心を掴みました。
しかし、教会からは異端者と見なされ、1415年、コンスタンツ公会議にて処刑されました。
フスの死後もフスの支持者たちの改革への情熱は冷めず、全キリスト教世界を敵に回しての《フス戦争》へと突き進んでいきます。
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『乙女戦争』では、物語はすでにフスの死後ですが、回想シーンで少し登場しています。
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『クロムニェジージュのヤン・ミリーチ』
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ヤン・ミリーチはフスの少し前の時代にプラハで教会改革と貧者の救済に尽力した聖職者で、フスの先駆者と言われる人物です。当時カール4世(カレル大王)の治世の下でプラハは大きく発展を遂げていますが、その裏ではすでに社会の歪みが生じていました。
ミリーチは『乙女戦争』には登場してません。
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『クジーシュキでの集会』
Mucha_Na_Krizku
これはフス戦争開始直後の1419年9月30日の出来事です。

この頃フスの熱心な信奉者たちは、カトリック派からの弾圧を避けて、郊外の野山に集まって説教集会をしばしば開いていました。
そうした信者の集会をもとにして生まれた町のひとつがターボルです。
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ターボル誕生の経緯については以前ブログに書いてことがありますので、参考までに。
ターボルの誕生 - 巷にひとり在り 

こうした野山での説教集会は当初は平和的なものでしたが、次第に自衛のため武装し、攻撃的になっていきます。
この絵に描かれたクジーシュキの集会では、説教師ヴァーツラフ・コランダが武力闘争を説き、集まった民衆を率いてプラハに向かい教会の偶像を破壊してまわりました。
コランダは、『乙女戦争』作中には登場していませんが、(登場するヤン・ジェリフスキーのような)攻撃的・急進的な説教師で、民衆を扇動してプルゼニ市を一時フス派の支配下におき、その後フシネツのミクラーシュやヤン・ジシュカとともにターボルに加わりました。


『ヴィートコフ山の戦いの後』
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ターボルに新しい拠点を築き、武装したフス派の急進派は、フス派撲滅のために進攻してきた十字軍の大軍と戦うことになります。
そしてヤン・ジシュカ率いるターボル軍はプラハ郊外のヴィトコフの丘で画期的な大勝利をあげました。
この絵の右側の赤いマントの人物がジシュカです。

ヤン・ジシュカは『乙女戦争』ではもう一人の主人公と言うべき重要人物として登場します。
ヴィトコフの戦いについても第2巻で大きく取り上げています。
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作中では戦闘の経緯などはかなり脚色してありますが、史実の戦闘については以前ブログに書きましたので参照ください。
ヴィトコフの戦いについて - 巷にひとり在り 

ジシュカが組織した農民主体のターボル軍は「早すぎた近代軍」とも呼ばれるほど革新的な戦術を実現し、5回にわたって送り込まれた十字軍をすべて撃退するという驚異的な戦果をあげました。
彼がいなければフス派はたちどころに弾圧されて消滅していたでしょう。

『グルンヴァルトの戦いの後』
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グリュンバルトの戦い(ドイツ語ではタンネンベルクの戦い)は、1410年7月15日にドイツ騎士団とポーランド・リトアニア連合軍の間で行われた大規模な会戦です。
これはフス戦争が始まる少し前の出来事で、ボヘミアからの義勇軍としてヤン・ジシュカもポーランド側に参戦したと言われています。

ポーランド王国、リトアニア大公国、ドイツ騎士団はそれぞれボヘミアの近隣諸国としてフス戦争に深く関わっていくことになります。
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『乙女戦争』の架空キャラであるドイツ騎士団員ヴィルヘルムは、グリュンバルトで戦死した騎士団総長の庶子ということになっています。
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『ヴォドニャヌイ近郊のペトル・ヘルチツキー』
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ヴィトコフで勝利した後、ジシュカ率いるターボル軍はボヘミア国内のカトリック派を駆逐するべく各地を転戦していました。
この絵のヴォドニャヌイはその頃ジシュカが征服した町のひとつです。
絵の中央で聖書を持っているペトル・ヘルチツキーという人物は、フス派の思想に共鳴してターボルに加わったものの、武器を持って戦うことはフスの思想に反すると考え、ターボルを離れて独自の信仰の道を歩むことになります。

ヘルチツキーは『乙女戦争』の第3巻に登場します。
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武力闘争の道を邁進したターボル派はフス戦争の結果滅びますが、ヘルチツキーの思想はフス戦争後も脈々と受け継がれ、新しいフス派の一派《兄弟団》を産むことになります。

『イヴァンチツェの兄弟団学校』
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フスとヘルチツキーの思想を受け継いだ《兄弟団》(チェコ兄弟団、ボヘミア兄弟団とも)は次第に支持者を増やし大きな一派となりました。
フスは誰もが聖書を読んで学べるよう聖書をチェコ語に翻訳するなどして教育の重要性を説きましたが、《兄弟団》はとりわけ教育活動に力を注ぎました。
この絵に描かれたイヴァンチツェの学校も《兄弟団》が建てたもので、ここで翻訳・編纂されたチェコ語聖書は「クラリツェ聖書」と呼ばれ、《兄弟団》の大きな業績のひとつとされています。
ちなみにイヴァンチツェはミュシャの生まれ故郷でもあります。
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ヘルチツキーと《兄弟団》については《スラヴ叙事詩》もからめて以前ブログでも紹介しました。
ヘルチツキーについて - 巷にひとり在り


『フス派の王、ポジェブラディとクンシュタートのイジー』
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フス戦争の結果ターボル派などの急進派は滅びますが、穏健派はカトリック側と和解し、一応の信仰の自由を獲得しました。ポジェブラディのイジーはフス派穏健派のボヘミア貴族で、着実に力を延ばしてボヘミア国王にまで登り詰めます。
イジーは混迷するヨーロッパに平和を実現するため、現在の国連にも似た「キリスト教諸侯同盟」の構想を打ち出すなど、優れた政治・外交手腕を発揮しました。

イジーはフス戦争の最中に生まれ、『乙女戦争』にもちょっと登場します。
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イジーの父親ヴィクトリーンはジシュカの信頼篤い盟友の一人でした。ジシュカはイジーの洗礼親(代父母とも。実の親とは別に定める後見人)にもなりました。


『ヤン・アモス・コメンスキー — 希望の灯』
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ルターによる宗教改革が起こり、宗教対立から三十年戦争が始まるとボヘミアは大きな戦禍に晒されます。1620年白山(ピーラー・ホラ)の戦いでハプスブルク家が勝利を収めると、ボヘミアの信仰の自由は失われプロテスタントもフス派も厳しい弾圧を受けることになります。
この絵はオランダに亡命したフス派の《兄弟団》の指導者ヤン・アモス・コメンスキーが描かれています。コメンスキー(コメニウス)は高名な教育学者で、身分階級を問わない学校教育の方法論を唱え、「教育学の父」とも呼ばれています。

一般庶民の教育を重んじたフスの思想をコメンスキーが大きく発展させたことで、我々にもなじみ深い学校教育の制度が生まれたと言えるでしょう。その点では我々現代人はみなフス派の影響と恩恵を受けていると言っていいかもしれません。




以上、ミュシャの《スラブ叙事詩》と拙作『乙女戦争』の関連についてまとめてみました。
チェコや東欧の歴史は日本人にはなじみが薄い題材だと思いますが、《スラヴ叙事詩》を観た後に拙作『乙女戦争』を読んでもらったり、『乙女戦争』を読んだ後に《スラヴ叙事詩》を観たりすると、いっそう楽しんでもらえるのではないでしょうか。
よろしければぜひ〜




◎参考文献・参考サイト
 ミュシャを楽しむために:スラヴ叙事詩 
 スラヴ叙事詩 - Wikipedia 

 
東欧を知る事典
伊東 孝之
平凡社
2001-03

『乙女戦争』39話「帰るべき処」

今月25日発売の「月刊アクション」に『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』39話が掲載されました!

タイトルは「帰るべき処」

いろいろあって、シャールカはボヘミアを離れてハンガリーのプレスブルク(現在のスロバキアの首都ブラチスラヴァ)で暮らしています。

少し時が流れて1424年になり(物語冒頭から4年経過)、シャールカは16歳になっています。

皇帝ジギスムントとバルバラの娘の皇女エリザベートと友達になったり、イスクラと再会したりします。
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余談ですが、フス戦争後、ヤン・イスクラはフス派の残党を含む傭兵団を率いて、幼い皇帝の母となったエリーザベトに仕え、ヨハン・フニャディと戦うことになります。 
イスクラの若い頃の動向はまったくわかっていませんので、この時期に彼らが出会っていたというのは虚構ですが…


そしてシャールカは内戦が続くボヘミアの実情を知り、再び戦火の中へ身を投じる決断を…
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もう一つ余談ですが、今回ちらっと登場するフス派の武将ポジェブラディのヴィクトリーンの息子イジーは、のちにフス派に属したままボヘミア王になり、 歴史上重要な役割を演じることになります。
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ヴィクトリーンは、ジシュカが最も信頼する戦友のひとりで(作中では活躍してませんが…)、ジシュカが息子イジーの洗礼親になったというのもおそらく史実です。


次回はフス派にとって、ジシュカにとって、重要な転機となる《マレショフの戦い》が行われ、8巻の締めくくりの回となります。
シャールカにもひと働きしてもらいます。
請うご期待!


それと、ニコニコ静画では38話が公開されました。
前回書いたようにちょっと挑戦的な展開で、担当さんもびっくりした回です。
よろしくお願いします〜 
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『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』







短編集『涙の乙女』

2015年5月9日発売。
『ダンス・マカブル』




『ダンス・マカブル』1〜2巻の電子版は各電子書籍サイトでも購入できます。
くわしくはホームページをご覧ください。


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