本日発売の「ほんとうに怖い童話」10月号に、読切作品『ブルターニュの雌獅子〜復讐のジャンヌ』が掲載されました。

『ブルターニュの雌獅子〜復讐のジャンヌ』009

「ほんとうに怖い童話」は、以前に読み切りを載せてもらった「まんがグリム童話」の姉妹誌で、雑誌の内容としてはほとんど同じだそうです。

今回も実在人物伝として、ジャンヌ・ド・ベルヴィルという人物を題材に描かせてもらいました。

英仏百年戦争初期に、女海賊として活躍した女傑です。


以前のマネット・ボヌールとかイネス・ワイラス・ユパンキほどではありませんが、今回も結構マイナーな人物ですね(笑)


百年戦争期の女性戦士と言えばジャンヌ・ダルクが超有名ですが、彼女は戦士としてはド素人で一生懸命旗を振ってただけなのに対して、ジャンヌ・ド・ベルヴィルは戦場でも勇猛果敢に戦った真の女性戦士です。


以下略歴を紹介します。
(言わずもがなですが、漫画の方は史実と異なる部分があります。あしからず)


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ジャンヌ・ド・ベルヴィルは1300年にフランスの貴族の娘として生まれました。

国一番の美女とも称えられ、最初の夫と若くして死別した後、1330年、ブルターニュ地方の裕福な貴族オリヴィエ・ド・クリソン3世と再婚。

夫婦仲は良かったようで、3男2女をもうけました。


1339年、イングランド王エドワード3世がフランス王フィリップ6世に宣戦布告し、英仏百年戦争が始まると、ブルターニュ地方でも、ブルターニュ公の地位を巡って
イングランド派のジャン・ド・モンフォールとフランス派のシャルル・ド・ブロワが衝突(ブルターニュ継承戦争)。

1342年、ジャンヌの夫オリヴィエはシャルル・ド・ブロワの側に参戦。しかしヴァンヌの防衛に失敗し、一時イングランドの捕虜になったことから、シャルルとフランス王フィリップから疑惑をかけられたようです。

43年、オリヴィエは槍試合に参加した際に逮捕され、裁判にかけられました。

裁判ではシャルル・ド・ブロワを含む15人の貴族がオリヴィエの反逆罪を認め、8月2日国王フィリップの命令の下、斬首刑に処されてしまいます。

オリヴィエの首はナント市に送られ城門の前に晒されました。


それを見たジャンヌは激怒し、復讐の鬼と化します


没収されずに済んだ領地や邸宅、宝石類などめぼしい財産を売り払って、傭兵を雇い、イングランド側に付いてフランス軍への攻撃を開始。

ジャンヌ本人も先頭に立って戦い、「ブルターニュの雌獅子(あるいは雌虎)」と呼ばれ恐れられました。


やがてジャンヌは、その戦いぶりを評価されたのか、イングランドから3隻の軍船を与えられて、戦いの場を海上に移します。

船体を黒く塗り、帆を赤く染め、エリザベス朝時代の私掠船のように、フランス側の船を次々と攻撃しました。

とくにフランス貴族の乗った船を襲うことに執着し、捕らえた貴族の首をジャンヌ自ら斬り落とし、胴体を海に投げ捨てたとも言われています。

船の乗員にも情けはかけず、うち2〜3人だけは生かして逃がしたのは、フランス側の恐怖心を煽るよう仕向けたのでしょう。


そのプレッシャーが効いたのか、仇敵フィリップ6世は1350年に死去。


その後も戦争は続き、ジャンヌも海賊行為を続けますが(シャルル・ド・ブロワがまだ生きているから?)、1356年、とうとうフランス海軍に敗れ、船を捨ててボートで脱出。

ジャンヌはいつも2人の息子を連れて戦っていましたが(先に3男2女を産んだと書きましたが、残る1人の息子がどうなったのかは不明。早死にしたのか、他に預けられていたのか…)、脱出艇で漂流する間に1人が衰弱死してしまいます。

このことがこたえたのか、ジャンヌは13年続いた復讐の戦いからようやく身を引きます。


その後、イングランド王
エドワード3世の側近のウォルター・ベントレー卿と3度目の結婚をし、1359年に死去しました。


ちなみに、ジャンヌの息子のオリヴィエ・ド・クリソン4世(ジャンヌと共に戦った息子の一人?)はのちにフランス側について参戦し、ブルターニュの有力貴族としてフランス王シャルル5世およびシャルル6世に仕え、元帥にまで昇進します。

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以前にも紹介した『ジャンヌ・ダルク〜超異端の聖女』によれば、ジャンヌ・ド・ベルヴィルは「復讐の女神」「戦いの女神」として、生きているうちから伝説的存在だったそうです。


たいへんな美人でもあったので、いっそう男達の崇拝を集めたのでしょう。

やはり女神は美しくあってほしいもの。


ただ気になるのは、彼女が戦っていた時期は43〜56歳で…

まあ、今で言う「美魔女」だったと思えばきっとみんな幸せかと♪



◎参考資料◎

ジャンヌ・ダルク (講談社現代新書)
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剣の乙女―戦場を駆け抜けた女戦士 (Truth In Fantasy)
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(↑この本では「ジャンヌ・ド・ヴェルヴィーユ」と表記され、出典も定かでない伝説だと…)

Wikipedia(英語版):
Jeanne de Clisson