2010年09月03日

9 - 整数の加法群

ラグランジュの定理の続きですが、ここで回転群や巡回群から離れて代数の世界へと。

ここで整数の集合を考えて見ます。普通、整数は Z で表記されます。英語だと Integer ですが、整数に関してはドイツ語のという意味である Zahlen の頭文字を使う事になっているそうな。
Z = { ......, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, 4, .......}

前後(上下?)に無限です。いちおう、有理数 R の仲間なので、有理整数とも言います。さて、この Z に加法演算を考えてみましょう。いわゆる算数でいう「足す:+」という二項演算です。具体的にいうと、こんな感じ

1 + 2 = 3
(-3) + (-6) = -9
4 + (-8) = -4
2 + 5 = 7

この整数に対する加法という演算は、常に「整数+整数=整数」となるので、
Z は加法演算において、集合は閉じている。 ... (I)

また、 (1 + 2) + 3 = 1 + (2 + 3) = 6ですから、これも
Z は加法演算において、結合則が成り立つ。... (II)

ここで、0との演算をしてみると、

0 + 1 = 1 + 0 = 1
(-5) + 0 = 0 + (-5) = -5
245 + 0 = 0 + 245 = 245

となり、どの整数に「0」を加えても値は変化しないので、
Z には単位元 0 が存在する。 ...(III)

次に、絶対値が同じで符号の異なる値同志の演算は

3 + (-3) = (-3) + 3 = 0
(-9) + 9 = 9 + (-9) = 0
200 + (-200) = (-200) + 200 = 0

であり、全ての整数には演算結果が 0 になるペアがあるので、
Z には逆元が存在する。 .... (IV)

さてこれでの4条件を満たしたので、「整数の集合は加法演算に対して群を成す」という事が言えます。ただ、これだと整数は無限にあるため、群も無限群になります。ここで、この整数加法群に対し、剰余による類別という事をしてみましょう。そうですねぇ、たとえば 6 で割った余り(剰余)で類別してみますか。数学っぽい言い方をすると、

「6を法とした剰余類に類別する」

ってことです。ある整数 a が以下の条件を満たすとき

a = 6k + m (k = 0, ±1, ±2, ±3, ±4,....)

a 6 を法として 剰余 m の類である」とします。そうすると、剰余が0,1,2,3,4,5となるグループに分類できますね。

たとえば、剰余 0 の類は
a = 6k + 0
なので、 a は6の倍数となり、{ .. , -12, -6, 0, 6, 12, 18, ...} という集合になります。ついでに、剰余 1 の類は
a = 6k + 1
ですから、 {.. , -11, -5, 1, 7, 13, 18, ...} です。これを全ての剰余類に対して類別すると、以下のようになります。

剰余0類 = {..., -18, -12, -6, 0, 6, 12, 18, 24, ....}
剰余1類 = {...,-17, -11, -5 , 1, 7, 13, 19, 25, ....}
剰余2類 = {...,-16, -10, -4 , 2, 8, 14, 20, 26, ....}
剰余3類 = {...,-15, -9, -3, 3, 9, 15, 21, 27, ....}
剰余4類 = {...,-14, -8, -2, 4, 10, 16, 22, 28, ...}
剰余5類 = {...,-13, -7, -1, 5, 11, 17, 23, 29, ...}

当然ですが、剰余類の合計は整数全体 Z を網羅するので、6を法とした整数全体の集合を Z6 とすると、

Z6 = {剰余0類、剰余1類、剰余2類、剰余3類、剰余4類、剰余5類} ... (1)


というように記述できます。「剰余0類」とか書くの面倒なので、これをその類に含まれるどれかの値を代表させて [ a ] とします。 a はなんでも構いません。たとえば、剰余2類を示したいのであれば、 [ -4 ] でも [ 2 ] でもいいでしょう。[ -4 ] とは -4 を含む剰余類全体を示すと考えます。

ここで、「≡」という記号を導入します。

同じ類の数 a, b は、たとえ、 a ≠ b であっても、 n の剰余を考えると同値類であるということを

a ≡ b ( mod n )

と記述し、「 a n を法として b と合同である」、と言います。上の例だと、剰余 2 類の二つの元、 -48

-4 ≡ 8 ≡ 2 ( mod 6 )

という事です。この「≡」は類として同値である事を示しています。つまり、この場合 -4 8 同値類です。結局(1)式はこんな風に書き直せます。

Z6 = { [ 0 ], [ 1 ], [ 2 ], [ 3 ], [ 4 ], [ 5 ] } ... (2)


[ ] の中の要素、元をその剰余類 代表元 と呼ぶそうです。なので、ある剰余類に含まれる全ての元は、それぞれ、その類の代表元になりえますね。この剰余類のうち、群構造を持っているのは、[ 0 ]だけです。[ 0 ] だけは類の中に単位元「0」と a の逆元 -a がありますが、他の剰余類には逆元も単位元もありません。それではこの剰余類の集合は何らかの操作によって群となりえるでしょうか?さて? (つづく)

koichiise at 09:40│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!群論 | 数学

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