2009年09月03日

何が戦略で、何が戦術?

暑さが和らいできたので、そろそろ本でも読もうかと書棚の奥から10年以上前の単行本を引っ張り出して読み始めました。その一つに阿能務氏の「春秋戦国志」があります。阿能氏は「演義を正史とする」というダイナミックな発想によって、封神演義や隋唐演義、三国演義を翻訳ではなく独自の書き下ろしで執筆した方で、大変おもしろい物語を書かれてます。しかし、すでにお亡くなりになっており、作品数もそれほど多くないのが残念です。

この時代の物語には戦略と戦術という言葉が頻繁に出てきます。おそらく、丁度この頃、孫子によって、それまで「目的と手段」しか無かった軍事行動に「戦略」という中間概念が取り入れられたからでしょう。もともと戦略、戦術とは軍事用語ですが、いつの頃からか民間人も使うようになりました。企業戦略とか経営戦略とかいう単語を聞いた事があると思います。また、名称が「戦略会議」という会議が民間会社で採用されている所も多いでしょう。もちろんライブドアにも「なんちゃら戦略会議」という会議がいくつかあります。

ところで、戦略と戦術は何が違うのでしょう。ざらっとネットをさらってみると、戦略とは「目的を達成するための大まかな計画」とあり、戦術は「戦略に沿った具体的な策」とあります。これは、どのあたりで線引きがなされるのでしょうか?「それは戦術であって戦略ではない」とか「戦術はあっても戦略が無い」とかよく耳にしませんか?私自身、どこまでが戦略で、どこからが戦術なのかがはっきりしないまま使っていた気がします。要は言葉で遊んでいたに過ぎなかったのではないかと。そして、最近、ひとつの解を得ました。戦略と戦術の区別は普遍的な分類があるわけではなく、目的の取り様で決まるのではないかと思い始めている所です。

戦略、戦術とは何かを考えるとき、別の言葉に置き換えると判りやすいかもしれません。すなわち戦略とは「方針」であり、戦術とは「方策(もしくは施策)」です。おそらく、元々は方針と方策という言葉を使っていたのではないかと思い、元に戻してみました(笑。

たとえば、ライブドアの会社としての目的が「インターネット技術によって利益を上げる事」としましょう。その目的に対し、「ブログNO.1を目指す」という方針(戦略)を取り、NO.1になるための方策(戦術)の一つとして、「最高のレスポンス性能」を挙げたとします。しかし、開発部門にとっては、この「最高のレスポンス性能」が目的であり、それを達成するための戦略として(たとえば)「データキャッシュによる高速化」を取り、「memcachedによるRDBクエリキャッシュ」や「squidによるHTMLキャッシュ」という戦術、策を施すといった感じでしょうか。

ここで、重要な事は、何が戦略で何が戦術かということではなく、戦略とは目的を達成するためにあり、戦術とは戦略に沿って練られるということです。目的の無い戦略は何も達成しませんし、戦略に沿わない戦術は無駄になりがちです。

「データをキャッシュする」という戦略に対し、それに沿わず「RDBサーバのCPU性能を高速化する」という戦術を取ってしまうと、結局負荷が高くなったときRDBサーバが落ちてサイトが潰れるという結果を引き起こしてしまうかもしれません。つまりCPUの増強は無駄だったわけです。

そうすると、トップレベルで選択した戦略、方針は、その後につづく最下層までの活動全てに対し、それが無駄に終わるか有効となるかを決定するので、非常に重要な判断になるのですね。目的を明確にせずに戦略を立てていたりしないでしょうか?方針に沿わず、手段のための手段を講じていたりはしないでしょうか?我ながらちょっとドッキリします。

企業はもちろんですが、それ以上に政府、議会、省庁など、国レベルでの戦略、方針の決定に不適当が無い事を切に願う次第です。





koichiise at 11:43│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 社会学 

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