2007年12月11日

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そば屋の小上がりの隅で、冷や酒を飲むことが好きです。
とりわけ、「池之端藪」の道路側の雪見障子のような窓際に陣取って、酒を飲むのは良い気分です。

日曜日は、通しで一日中営業しているので、夕方早い時間に寄って酒を飲み始めると、夕暮れ過ぎには良い心持ちになれるのです。

この日も、通りから私の指定席が空いているのを確認して、店の中へ入ってゆきました。

冷や酒

菊正の冷やを指定席で

酒を頼むと付いてくる蕎麦味噌が美味しい。

天ぬき

ここの天ぬきは、汁が天ぷら蕎麦とは違って、四国のうどんの出汁のように澄んでいます。「藪」という正統派にあって、独自のメニューを置くという勇気と、決して邪道とは言わせないような完成度があります。これが、不味いものであったら、邪道と揶揄されたところですが、流石に老舗だけあって確かな見識です。

鴨南蛮

鴨南蛮といえば、普段はせいろを手繰っていた池波正太郎も、冬枯れの季節にはここに寄って、酒と鴨南を楽しんだそうです。「並木藪」もそうですが、鴨肉のつみれが入っています。並木は、もっと脂ぎっていますが、こちらは脂加減が控えめで更に上品です。先に蕎麦だけ手繰った後、冷や酒をもう一本もらって、鴨肉を楽しみながら汁をすする。何と素晴らしいことか!?

この時、隣には60位の男性と、30位な女性が酒を飲んで楽しんでいました。女性が席を立った時に、この男性が話しかけてきました。

「良くここにはお越しですか?」
「はい時々」
「お住まいは?」
「千代田区の麹町あたりですが」
「そりやぁ〜坊ちゃんですな」
「いいや、生まれは千葉県です」
「そうでしたか、へえ〜」
「今日は、楽しそうで良いですね」
「イヤね、ありゃね、あちし(ワタシ)の娘なんですよ」
「またまた。。。」

「ところで、それ何食べてるんすか?」
「鴨南ですが」
「健啖家(*)ですな」
「まだ若いものでねぇ、えへへ」

*久しぶりに、”健啖家”という言葉を聞きました。最近は、死語と化したような言葉です。簡単に言えば、”大食い”といった意味ですが、言葉に敏感な人は、こういった言葉を未だに使っています。そういえば、池波正太郎も健啖家で有名だったそうです。例えば、「まつや」で酒を飲んで蕎麦を手繰り、「松栄亭」に寄ってカツレツを食べながら更に酒を飲み、近くの甘味処「竹むら」で、あんみつを食べるなどということも日常的なことだったようです。

この年の差カップルは、その話から察するところ、演劇研究所(劇団)の研究生(女優?)と舞台美術の方だったようです。

「年上の方を前にして、こんなこと言うのは失礼だけど、
石さんと話していると、気を使わなくって楽でいいな」と、この女性は男性に言っていました。
「寄席に行ったら、寝ないでね、石さん」
勘定を済ませ、立ち去る前に、この女性は
「お相手いただき有り難うございました」と、可愛らしい笑顔で挨拶してくれました。

「それじゃあ、行ってらっしゃい」

また何処かで。。。




池の端藪蕎麦 [ うどん、そば、丼 ] - Yahoo!グルメ








(11:07)

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