インドネシアは製造業であれば現在は100%独資で現地法人を設立することが可能です。そのため、最近の新規進出案件はほとんどが独資を前提としています。

 その理由を聞いてみると、自分たちのペースで思い通りに事業を進めたいとの方針、合弁の候補となるインドネシアの事業者の多くは華僑であるため、華僑すなわち中国人に対する警戒感(これは既に中国進出の経験を持つ企業に圧倒的に多い)、そして自社技術の流出に対する不安感が主に挙げられます。

 しかしその反面で、インドネシア市場に入って行くための足掛かりが欲しい、投資資金の負荷を軽減したい、本社にインドネシア事業を担当出来る人材が居ないなどの理由で、インドネシア企業または個人との合弁会社を設立する事例もあります。

 どちらかが絶対に良いと言う事はもちろん出来ません。それぞれの会社事情やインドネシアでの事業形態により最適な形を取れば良いのですが、最初から独資あるいは合弁と決めつけるのはいただけません。

 これはあたかも独身を貫くのか、それとも結婚を選ぶのかを決めるようなもので、双方にメリット、デメリットがあることは明確です。

 独身生活は自由度が高く気楽な面がある一方で、全て自分一人で物事を片付けて行かなくてはなりません。

 結婚生活は良き伴侶に巡り合えれば苦楽を分かち合えて幸せですが、相性が悪かったり、まして相手が悪人だったりするととんでもない苦労をすることになります。

 特に合弁相手を決める際には絶対に印象とか誰それの紹介だと言うような大雑把な感覚だけに頼ってはいけません。会社定款、過去数年間の決算報告書を提示してもらい、それらを冷徹に評価することが必須です。

 最近はインドネシアにも信用調査会社が出来ていますのでそこに依頼することも意義があります。しかし、必ず自分自身の頭で判断することを忘れてはなりません。

 インドネシア側のパートナーが日本側パートナーに期待するのは高度な技術です。それが社外に流れたりしないように合弁契約書の中で法的な規制をかけることも必要です。

 最初の頃は和気あいあいとしていたパートナーも、事業が始まり色々と問題が出て来ると、なかなか厳しい注文を付けて来るものです。想像を遥かに超える冷徹さに驚かされることもあるでしょう。

 後になって言った言わないの議論をすることが最悪です。そうならないためには、詳細な事業計画を作り合意を取り付けておく、打ち合わせの際には必ず双方が理解出来る英文の議事録を交わす、特に大事な決めごとをした際にはMOU(覚書)を交わすなどの努力は不可欠です。

 大変なようですが、合弁であっても、独資であっても成功している会社はたくさんありますから、どちらが自社に適しているのかじっくりと考えたいものです。