コジゼラ

よもやま話を雑文で

2008年06月

集い

高田牧舎6月29日(日)
(早稲田・高田牧舎)

先日、年2回開催している、早混「森の歌の会」があった。参加者17名と年々減少傾向に歯止めがかからないが、出席者はほぼ固定し、レギュラーメンバー中心となっている。幹事を受け持っている身にとっては、年2回の開催は多すぎるんじゃないかと、いつも気にしながら通知しているわけだが、今回アンケートの結果、参加者全員が年2回のこの会を楽しみにしているとの結果を知り、大いに胸をなでおろした次第だ。そういえば、開成高野球部OBの会も2た月に1回の頻度で行われていて、こちらはちょっと多すぎるんじゃないかと思いながら出席している。

平均年齢72歳という集まりだから、年々参加者が減るのは当たり前の話だが、今年も一人が認知症、一人が脳腫瘍のため検査入院ということで欠席した。かくいうコチトラも20日間の検査入院を経験しているわけで、こういう傾向が年々多くなるのは致し方ないかもしれない。メンバー構成中、女性は6名だが、こちらのほうは年々若返っていくようで、病の話はほとんど出ない。男の弱さと女の強さ、女性長寿説を裏付けるような元気さを感じてしまうね。

過去なんらかの病を経験している人が男性11名、レギュラーだった不参加者5名を加えると16名、うち無病息災で来た人はたったの6名しかいないのに反し、女性は参加者全員6名が大病を経験していないんだから、畏れ入谷の鬼子母神と来たもんだ。「老いを看て すぐ老いが来る 世の無常」って川柳があるけれど、この経験者って、ほとんど女性だもんなあ。そういえば、この年齢になると、娘を産んどいてよかったとの声も多かった。

確かに男は頼りにならないのは事実、私事とでいえば、義理のオフクロの面倒をきちんと看たのもにょうぼだったし、コチトラなんて、まるで蚊帳の外に置かれたようなもんだった。つまりオフクロの信用をまったく欠いてしまったわけである。息子が二人いるけれど、同じような仕打ちをされても仕方がないだろうなあ、オトコってそういうもんだもの。いずれにせよ、頼りになるのは二人の嫁さんだというのは間違いないところだ。だからといって、決して世話にはなりたくないって、いつも思っているけどね。

空梅雨

ビョウヤナギ6月27日(金)
(ビョウヤナギ)

仙台管区気象台は19日、東北6県が梅雨入りしたと発表した。東北南部では平年より9日遅く、昨年より2日早い梅雨入りとなった。一方、九州北部に停滞している梅雨前線の活動が活発化し、19日午前、福岡、熊本両県で1時間に約110ミリ、佐賀県で約100ミリの雨が降り、佐賀県の観測所2カ所で、過去最も多い1時間降水量を記録した。一方、とっくに梅雨入りしている東京は今日も空梅雨、きのうなんか梅雨寒だった。

米中西部を襲った「カトリーナ以来最大規模」となった洪水被害は、国境や海を越えて、世界の食糧供給に深刻な影響を与えそうだ。米国は世界のトウモロコシの37%、大豆の36%を生産する最大の穀物生産国であり輸出国だが、農地が水没したことで、今季の大幅減産は避けられない。バイオ燃料増産などを契機に高騰を続ける穀物価格を一段と押し上げ、途上国の食糧事情を深刻化させる恐れもある。

中国南部の広東省・湖南省など20省で5月末から大雨が降り続き、広範囲にわたる地域で大規模な洪水が生じている。16日までに127万人もの住民が家屋倒壊により避難せざるを得ない状況となった。中国政府によると17日現在で洪水による死者は被害地域12省で112人となっている。河川の氾濫により数万件の家屋が倒壊し、農作物の被災による経済的損害は4,100億円にも達しているという。

バングラデシュと国境を接する隣国インドのメガラヤ丘陵は世界で最も雨が多い地域。そこで降った雨のほとんどが、国土の大半が標高10メートル以下というバングラデシュに流れ込み、大規模な洪水を引き起こしている。今年も6月初めのサイクロンの襲来で大洪水が発生した。その他、ミャンマー、スリランカ、インド、南フランスなど、洪水による被害は枚挙のいとまもないくらいだ。

地球規模で洪水、干ばつが発生しているが、これらはすべて人為的要因によるものと見做されている。どうやら地球は破滅に向けて歩き出したらしい。いまさら、世界を論じてもしょうがないけれど、関東地方の空梅雨にはホトホト困ったね。アジサイはいま真っ盛りだが、地面がカラッカラに乾いているから、例年に比べ、元気がない。アジサイは雨のよく似合う花だから、多少雨にぬれても、篠突く雨とアジサイ、雨にぬれたアジサイ、滴をたたえたアジサイ、そうした情景を撮ろうと、待機しているのに、今年の梅雨はウンでもスーでもないというんだから、参っちゃうね。

後期高齢者

タマリュウ6月26日(木)
(タマリュウ)

なにかと後期高齢者問題が世間を騒がせている。谷間にいるコチトラとしては論評をする立場にはないかもしれない。だが、3年もすれば、このむかつくような固有名詞にくくられた年代に到達する。厚生官僚の腹のうちがはっきりと姿を現したという現実を、認識しなければならないだろう。さんざん絞り取ったら、使い捨てにしようという魂胆である。昔から姨捨山とかが現実にあり、それをベースにした「楢山節考」もベストセラーになった。とにかくゴミは整理しなけりゃならない。粗大ゴミなのか、不燃ゴミなのか、とりあえず料金の取れる粗大ゴミにしてみようか、という発想だろう。

近隣に出かけるのは、できるだけ歩こうと決めていて実行してきたが、その結果入院となってしまったのでは、あまり効果がなかったんだって、ちょっとがっかりもしている。そういうわけでもないが、病後をいたわる気持ちもあって、無料パスを持っているのをいいことに、ちょっとそこまででも、ついバスに乗ってしまう。利点もあって、歩きだと1か所しか行けないのが、バスを乗り継げば2−3か所を回れる利点もある。だけど、豊洲開発が進んだせいか、最近のバスは混んでいる。

バスの運転手って大変なんだなあって、つくづく思い知らされたねえ。きのう、停留所で何度かバスがブレーキをひいて、運転手が下車をした。最近急増している車イスの乗客を補助するためである。車イスを押してバスに乗せ、指定された場所に車イスを固定する。また、赤ちゃんを乗せたバギー車の場合も同様である。この動作を運転手たった一人で、乗降の都度繰り返す。一緒に乗っていれば、この大変さを理解できるけど、最近のバス到着時間が予定より大幅に遅れるのは、そして、いつも混んでいるのは、この辺りの事情もあるようだ。

一つ気になることがある。それは車イスに乗った老人たちの、それが当たり前といった感じの傲慢さと横柄さである。社会の弱者だから、それ相応の対応が与えられるのはやむを得ないとしても、それが当然というような態度は、見ていてとっても印象が悪い。弱者は弱者なりに、謙虚さと感謝の気持ちが必要で、それが乗客の共感も呼ぶことになる。いずれにせよ、高齢者の在り方って微妙だなあ、込み合ったバスに揺られながら、前期高齢者は考え込んでしまったね。むろん、誰からも席を譲られず、立ったまんまだったけどね。

腐臭

デカバナ6月23日(月)
(泰山木)

豊洲で信号待ちをしていると、地下の下水溝から、イワシのはらわたの腐ったような臭いが突き抜けてくる。そう、あのすえたような不快な臭いで、人間どもが作り上げた、この臭いと激しい突風はどうやら豊洲名物になりそうだ。超高層ビルが次々とお目見えするに従って、この有難くない名物はますます加速してくる。都市計画上の間違いだったかどうか分からないが、少子の一時的人口増を満たすため、突貫工事で作られた豊洲第2小学校。空を圧するばかりの超高層ビルに周囲を囲まれ、まるで監視塔つきの監獄のように見えてくる。

確かに豊洲の人口は急増している。普段はあまり気にならないが、休日ともなると、ショッピングセンターはものすごい混みようで、客は圧倒的に若い夫婦が多い。ほとんど例外なく、生まれたてのあかちゃんをスリガーでだっこするか、バギー車を押している。あるいは4-5歳の子供連れも多く見受けられる。休日を見る限り豊洲は完全な若者の街と化し、年寄りは肩身が狭い思いだ。しかし、知らず知らずのうちに若者のエネルギーを吸収できるんだから、まんざら捨てたもんでもないってことになる。

九州では豪雨が続き、河川が氾濫しているというテレビの報道だが、こちらは朝から今にも降り出しそうな気配を見せるが、肩透かしされる。人をおちょくったような天気で、ようやく降り始めたのは,日付が変わった辺りからで、それもどしゃ降りというわけにはいかなかった。決して梅雨が好きではないが、空梅雨が続き、地面はカラカラ、植物は青息吐息といった有様。雨にこだわるのは、季節の風物詩、雨に濡れたアジサイをどうしても撮りたいのだ。

退院して一番先にやったことはベランダの水やりだった。にょうぼがたまには水やりをしてくれたようだが、やっぱ、気になってしょうがなかった。家のベランダにはどことなく腐臭が漂っていた。ここ数日好天が続き、ベランダの土も乾ききっていて、せっかく咲いた花のつぼみもぐったりと、こうべを垂れている。それが腐臭の原因、とっても良くない状態だが、なんとか間に合いそうだ。

散ってしまった花がらを切り取り、枯草、枯れ枝を取り除く。だらしなく伸びきった枝を剪定し、水をたっぷりと与えるが、乾いた土は際限なく貪欲に水を吸い込んでいく。まもなく「助かったぜ」とでもいうように、ベランダ全体から強烈な匂いが立ちあがってきた。これは腐臭ではなく、よみがえった命の証しを示す返礼の匂いだった。とりわけゼラチャンの放つ匂いが強烈だったね。

肥だめ

芝浦工大6月21日(土)
(芝浦工大豊洲校)

閑だから、売店で東京新聞とスポニチを買い、夕方にはにょうぼが持ってくる朝日新聞朝夕刊を隅から隅までズズーと読み下す。掃除のオバサンにずいぶんお勉強ですねって冷やかされるほど、常にゴミ箱は一杯だ。改めて思ったけど、朝日新聞って三流新聞になり下がったね。目ぼしい記事は単なる垂れ流しだし、政治に対する意見にも自分の主張がない。韓国で米国の牛肉輸入問題で連日ストが起きているようだが、ジャーナリストは常に民衆の側にいるのを痛感するね。

特に顕著だったのは、まるで悪夢のような秋葉原の無差別殺人事件。朝日新聞はいつものように、取り澄ました第三者的な報道姿勢、まるで福田首相が発言する他人事のような言動に終始していた。そこへ行くと東京新聞やスポニチ、スポーツ報知の写真と記事は鮮烈だったね。記者が現場にどんどん入り込み、インタビューも生々しいものが多かった。通りいっぺんに報道するだけでなく、事件に突入しようとする熱意にあふれていたね。

さて、各新聞の特集記事から幾つか。江戸時代の「肥だめ」はまさに循環型社会の優等生だったという囲み記事。汚穢屋が各家庭の便所をさらっていき、汚穢船が汚穢を満載して東京湾沖に放棄するなんて光景は、戦後やたらと目にしたもんだった。キツネに化かされて、風呂だと思って入ったら肥溜めだった、なんて話はよく聞かされたっけ。江戸時代、し尿は放置しておくと悪臭ばかりでなく、感染症の源泉となる。しかし、し尿を肥だめに入れておくと、嫌気性細菌の代謝作用で、安全な肥料として安定化された。こうして都市住民のし尿が肥料として農村に運ばれ、その肥料で作られた作物が都市で消費されたのである。

帝号を称する国、つまり「帝国」とは複数の王国を支配する大国で、「王国」とは王爵の国をいう。幕末の頃の帝国とは、ロシア、中国(清)、トルコ、神聖ローマ帝国、ムガール帝国、日本の6カ国だったと、ロシアの古文書にあったという。江戸幕府が列強の中に入っていたとは意外だが、海外ではそのように評価されていたらしい。徳川幕府が成立すると、分国支配する大名(諸王)に君臨し統括する幕府の状態を帝国とみなしていた。

当時欧米諸国では、帝国は王国より上の最上国家とされ、ロシア滞在中7回もエカテリーナ女帝に召しだされた漂流者、大黒屋光太夫が厚遇されたのも、カレを帝国の臣民とみなしていたからだ。江戸時代というと、とかくバカにしがちだが、為政者にも立派な人がけっこういて、新田を開発したり、運河を掘削したり、川の流れを変えたりする国家的事業のほか、自然循環型の流通組織を作っていたなど、新たに見直されている。

ラジオ体操

廃橋6月20日(金)
(廃橋・ララポートから)

病院ベッドでのうたた寝から目覚め、なにもやることがないから、テレビのスイッチを入れた。溌剌とした肢体が画面を動き回っている。「なんじゃい?これ?」って思いつつも、既に目は点となって画面を追っかけている。NHKの番組だぜって不審に思いながら見ていると、まもなく聞きなれた音楽が聞こえてきた。なんだ、ラジオ体操か、ずいぶん様変わりしちゃったんだなあ。それにしても近頃の女性のスタイルのいいこと、8頭身どころか10頭身に見えるね。

そういえば、ガキの頃、家でも学校でも職場でも、よくやっていたなあ。簡単な運動なんだけど、終わると結構しんどくて、サラリーマン時代はどちらかといえば苦手の口だった。肉体美を斜に眺めながらベッドの上で、身についているラジオ体操第一をやってみたけど、思うように体が動かない。あちこちが錆びついていてギシギシと音を立てる。でも悲しいかな、メロデイを聞くと魔法にかけられたように身体が勝手に動いてしまうが、ダンダン音楽と合わなくなって遂にギブアップ。情けないことに、もう既に身体のあちこちから悲鳴が聞こえてくる。

ラジオ体操第2というのは、それほど覚えていないけど、第1はほぼ完璧に覚えているね。若い頃植えつけられたものは、幾つになっても身についているもんなんだなあ。そういえば、合唱で初めて歌った「森の歌」だけは、歌詞も曲もはっきりと覚えているし、30歳代得意にしていたカラオケの曲だって、未だに忘れていないのも不思議だなあ。

ラジオ体操は1928年、簡保によって創設され、今年80年を迎え,いまでもNHKのラジオとテレビで、年中無休で放送されている。いまのラジオ体操第一が始まったのは1951年。だれでもできることに重点が置かれたというが、それに筋力を鍛える動きが加えられたのが第2で、翌52年にスタートした。計26種類の運動は、身体をまんべんなく動かす動作が巧みに組み合わされている。高齢者などにも優しい動きを取り入れた「みんなの体操」を合わせると、準備運動を含め、合計15分弱、全身を動かすから、57カロリーを消費できる。

や、や、57カロリーっていえば、ほぼ1単位余計に食べられる計算じゃあないか。チーズ1ケかナビスコ4枚、バナナ半分のどれかってとこか、やってみるべしだなあ。そうだ、間食したけりゃ、ラジオ体操をやればいいんだ。ビジョビジョにも会えるし、空腹にも打ち勝つことができる。でも、とても続ける自信はなさそうな気がするね。

同姓同名

ベニガク6月19日(木)
(ベニガク・原始的アジサイ)

連日続けてきた病院日記、っていうより、病院ドタバタ騒動記っていうべきなのか、いずれにせよ、
そろそろネタが尽きかけてきた。そんなわけで、病院がらみは今週一杯までで終了、来週月曜日から、今まで通り一日おきの常態に戻る予定だ。楽しい話ばかりじゃなくなるのが辛いけど、よろしくね。

6人部屋とはいえ、入口近くの2つベッドはだいたい空いている。常にといったら語弊があるのは、週末の金土には緊急入院があるからだ。金曜日の午後入院1泊2日で、土曜日夕方までに退院していくのである。メンバーを見ていると若い連中が多い。いずれも具合は悪そうで入院当初まるで元気がない。しかし、入院中の忙しさといったら大変だ。入院早々、点滴をつけられ、検査、検査の連続、病室を出たり入ったりの繰り返し。食事はなく、睡眠時間はひたすら点滴、ナースが何度も液剤を取り換えにやってくる。そして、土曜日も朝早くから検査、そして検査の結果を知らされ退院していく。

検査だって半端じゃない。胸部レントゲン、CT、MR、心肺機能、大腸検査、その患者の病気に関する検査が集中している。一応退院していくが、完治したわけじゃないから、後日の外来診察が義務づけられ、捕まった鳥は容易に籠の中から出されない仕組みとなっている。どうも見ていると大腸ガンと肝硬変の予備軍らしい。だけど、元気なく入院してきた連中が、ケロっと元気になって退院していくのはちょっと不思議な気がするね。

ちょっとした事件が起こった。偶然とはいえ2週目に、この1泊2日用のベッドに、隣り合わせて同姓同名の患者が入院した。むろん、同姓同名といっても漢字そのものでなく、音読みがまったく同じという意味である。例えていえば、東浩二(ひがしこうじ)と我妻幸治(あずまこうじ)のような感じかな。二人とも同じような肺機能に異常のある患者だが、使用する薬剤が微妙に違うから、ナースは大変だ。施薬したり、点滴液を取り換えるたんび、わざわざ大声で姓名を連呼している。もしも間違いでもしたらえらいことになるのは目に見えているもんねえ。同病相哀れむ、同床異夢って言葉があるけど、同姓同名と動転看護といった感じだったね。

テスト外出

カシワバアジサイ6月18日(水)
(カシワバアジサイ)

入院3週目に入り、担当の女医さん(これがけっこうベッピンなんだなあ)に甘えたら、数日午後の外出許可を得られた。「せんせ、どうもあんがと」、早速翌日、先生から外出許可をもらったからと、担当のナースにいったら、外出願を出してください。って意外に冷たい。ゴチャゴチャ書く欄が多くあったが、外出目的に「散歩」って書いたら、病人なんだからと、「テスト外出」と書くことを強要された。なんでもいい、外に出られれば、ガマン、ガマンの子だ。

いつもなら、まず間食といきたいとこだが、それはじっと我慢、どうしても行きたい場所があった。それは秘密の花園、越中島に秘かに見つけてあるガクアジサイの美しい場所である。今回入院が長期化しそうになって、一番気になっていた場所である。もう咲いてしまったんじゃないか、そればかりが気になって、ああ、気が狂いそう。ちゃんと待っていてくれよと前夜から祈っていた。当日は嬉しいことに梅雨の合間の快晴、少しでも早く会いたいから、普段なら歩くところをバス乗車。

やっとの思いで着いた先には、まるで待っていましたとばかりに、ガクアジサイが満艦飾でのお出迎え。やあ、間に合ったか、万感胸に迫る思い、久しぶりに操るデジカメの手先が不本意ながらも揺れる。まあ、慌てることはない、相手は逃げないんだからと、じっくり腰を据えた。まだちょっと早かったようだが、ここ数日の日照りで、やや元気がないのが気になった。トイメンにあるチョコレート色の珍しいタチアオイも元気で、早くこっちへ来いって呼んでいる。晴天の下で、暗色系の花を撮るのは至難の業なんだが、今日はどういうわけかうまく撮れた。

折角来たんだからと、近くの古石場公園にも足を延ばしたが、ここでは、なんと今年はダメだろうって、半ばあきらめていたショウブに出会った。それも5種類もが群生している。嬉しくて、切なくて、感謝感激雨霰、いいのをたくさん撮ってきたよ。長い公園なんだけど、終点まで歩き、散在するアジサイの群れを観察しながら、見せ場を探す。退院したらいの一番に行かざあなるまいて。気分よく病院まで歩いて帰ったら、8000歩近く歩いていた。その夜、低血糖状態に陥ったが、1300カロリーでは、やはり、ちょっと運動すると足りなくなるんだなあ。で、翌日の外出は取りやめることにしたよ。

かゆいの

クチナシ6月17日(火)
(クチナシ)

切られ与三の残骸が、日の経つにつれ、盛り上がってきて、かさぶただらけになってきた。そのかゆさといったら、もうたまらないね。ナースにかゆみ止めの薬をくれっていったら、いま、やっと治ろうとしているんだから、我慢しなさいというご宣託。奥さんが使っている保湿剤でも塗った方がいいというアドバイスも。ああ、かゆいのなんの、頭をかきむしりたい心境だね。不潔だなあって思っていた石坂浩二扮する名探偵、金田一耕助が羨ましくなってくる。

それにしてもバカなことをやってしまったよ。中途半端に伸びた白髪が、なんとなく貧乏くさくて、せっかく元気になったんだから、見事なハゲチャビンにしてやろうと、8階の売店で買った安物の安全カミソリがこんなに切れないなんと夢にも思わなかったし、鏡もなしにやみくもに剃ったツケも大きかったね。周囲にかっこつけようって魂胆がものの見事に外れ、病院中の笑いものになってしまったんだから、ミジメ、ミジメもいいとこだった。

アラ、頭を血だらけにしてどうしたのって、ナースに言われて、初めて気がつくお粗末さもあったが、会うナース、会うナースが思わずプっと吹き出す始末だったから、よっぽどひどかったんだろうな。トイレの鏡でわが頭を眺めて、あまりのひどさに気を失いかけたよ。熱いタオルで頭を隠し、ほうほうの体で、自分の部屋に逃げ込んだよ。そこへまた追いかけるように、年配のナースが出た血は出しっぱなしにしておきなさい、ってキツーイ一言、その方が治りがいいんだって。

金田一 耕助といえば、横溝正史の推理小説に登場するおなじみの探偵。ボサボサ頭にお釜帽をかぶり、セルの袴に下駄履きといった姿が印象的である。作者のエッセイ「金田一耕助誕生記」によれば、金田一耕助の風体は劇作家の菊田一夫がモデルといわれ、一見小柄で貧相だが、うちに大いなる才能を秘めた人物」としてチェックし、名前も当初は「菊田一○○」と付けようとしていたという。

だが、これは菊田に失礼だろうという事で取り止め、疎開前に住んでいた東京・吉祥寺で隣組にいた、言語学者金田一京助の弟、金田一安三の表札を見ていた事から、「菊田一」に近い苗字である「金田一」を取り、名前は“京助”をもじて「耕助」と付けた。また耕助の興奮すると頭を掻く癖は横溝自身の癖を誇張したものだそうである。

梅雨

アジサイ6月16日(月)
(アジサイ)

入院していると、世情に疎くなりそうな気がするけど、実はそうではない。外に出られないのに、天気には敏感になる、どういうわけだろうか。関東地方が梅雨入りしたというニュースはあっという間に広まった。平年より6日早く昨年より20日も早いんだなんて話も、これ見よがしの大声で聞こえてくる。この情報通によると、今年3-5月の東日本太平洋側の降水量は例年より2倍も多かったんだとさ。コチトラなんか自室にこもって、トイレ以外めったに外に出ないけど、廊下でしゃべっている声は筒抜けのように聞こえてくる。

男の患者たちは概してあまりおしゃべりではないようだが、女性の患者と来た日にゃ、昼間はお互いのカーテンを開け、おおっぴらにしゃべっているようだ。それでも、自分のベットでしゃべりあっている分には、別室だから聞こえるはずはない。ところが、ちょっと元気になると、廊下のベンチに座りあって、ああでもないこうでもないっておしゃべりが始まる。さっきもいったように、これが筒抜けになって聞こえてくる。他愛のない話ばかりならまだいいが、下手すりゃ女の一生まで聞かされてしまうんだからたまったもんじゃあない。

中でもどうやら常連らしいババア3人組がやかましい。女3人集まりゃ姦しいっていうけど、これがバアサンともなりゃ、ウルトラCクラスの姦しさとなる。くだらないおしゃべりには辟易させられるばかりだが、トイレに行くには、その前を通らなきゃならないからたまったもんじゃあない。たんびたんびに、値踏みするような目つきで、無遠慮に眺められるんだから、出るものも出なくなっちゃうよ。はなしの終わり頃になると、明日の献立の前発表となるが、こればかりは嬉しく聞かせてもらっている。

初めのうちは味の薄い食事にへどもどしていたが、次第に慣らされちゃって、それもおいしく感じられるようになっちゃうんだから不思議だよねえ。普段いかに塩辛いものを食べていたかを思い知らされるね。だから、最終日の夜に出たテンプラ定食にはびっくらこいたね。エビが2本、それにイカとナスとオクラの豪華版と来たもんだから、もう見ただけで感激しちゃったね。だし汁もたっぷりついて、久し振りに御馳走を食べたって気になったね。1日1300カロリーでも、こんなもの食べられるっていうことは、今後に明るい灯がともったような気がするね。
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