2008年01月18日

間に合うか労働ビザ

1bca495f.JPG はたして本田圭佑の労働ビザが間に合うのかどうか…。もしオランダ時間の18日正午(日本時間同日午後8時)までに労働ビザが発給されれば、リーグへの選手登録が完了し、20日のホームでのPSV戦(日本時間同日午後8時半キックオフ)への出場が可能になる。つまり公式戦デビューを飾るわけだ。

 間に合わなかったら、デビューは3日後のヘーレンフェーン戦(日本時間24日午前4時)にずれ込む。長いシーズンだから、1試合遅れたって、たいしたことではない。確かにそうなのだが、相手は現在リーグ首位を走るPSVだ。いま最もオランダで強い相手に本田圭佑が、どれくらいできるか見てみたい、と思うのはワシだけではないだろう。

 しかもPSVの指揮官は、今季末まで2シーズンに渡って、名古屋グランパスを指揮したセフ・フェルフォーセン監督。スポーツ新聞風に書けば、「いきなり師弟対決」ということになる。

 すでに労働ビザは申請済みで、あとはお役所がどう判断するかにかかっている。VVVフェンロのクラブ側は、万事を尽くした、というから、あとは待つのみ。はたして…。



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2008年01月17日

最終版に突っ込んだ本田移籍決定

1/2/125584c3.jpg 本田圭佑がオランダ・エールディビジ、VVVフェンロへ移籍することが15日、決まった。実はこの日、現場はもうバタバタの大忙しだった。16日付け朝刊最終版の締め切り直前、何とか短い原稿を突っ込んだが、この最終版が配られたのは首都圏と名古屋中心部だけ。大きい記事でドカ〜ンと行きたかったが、実にタイミングが悪かった。

 これまでの取材で、本田圭佑が名古屋からVVVフェンロへ移籍する、と確信はあったが、契約の詳細が分からないことには「決定」とは書けない。実はPSVが獲得してVVVフェンロへ期限付き移籍する、という情報もあったからだ。


e33596b6.jpg 15日、雨の降るなか、アイントホーフェン近郊の森のなかにある、PSVのトレーニングコンプレックスにいた。PSV−VVVフェンロの練習試合に本田圭佑が出場する、というからだ。というより、本田圭佑のために組まれた練習試合だった。対戦相手PSVのセフ・フェルフォーセン監督は、今季末まで名古屋グランパスの指揮官だったから、本田のプレーは隅々まで知っている。そのセフがPSVの幹部に本田を見せ、獲得するかどうかを決める最終テスト、と読んでいた。

 ところが試合前に関係者を取材すると、VVVフェンロが直接獲得することで合意した、という。だがこのときすでに日本時間は午後11時半。いまから急いで原稿を書いても、最終版のひとつ前の版に間に合うがどうか。そのうえすでにレイアウトはすでに固まっているので、それほど大きくはならない。

10b7e07d.jpg しかもこの事実を知っているのはワシだけだ。それなら試合後、両監督と本田を取材して、1日遅れの朝刊でドカ〜ンと大きく書いたほうがいい、と判断し、雨天のなか始まった試合を見ていた。

 本田は開始3分、ゴール右前、約22メートルの位置から得意の左足FKで先制ゴールを決め(右→連続写真)、前半終了間際にはスルーパスで追加点をアシスト。2−0でリードして前半を終え、きっとPSVの幹部たちは「うちで獲得すればよかった!」と地団駄を踏んでいるのではないか。いや状況が一転して、やっぱりPSVで獲得する、なんてことにもなりかねない。こりゃPSVの強化担当も取材しなきゃならんな…。



8cb1580d.jpg 後半が始まり、1点を返された直後だった。ポケットの携帯電話がブルブルと鳴った。森のなかにいるためか、すぐに回線が切れる。かけ直すと日本の同僚K記者だった。「共同(通信)が本田の移籍決まった、と流したらしいぞ」。

 やられた! すぐに本社に電話をするとAデスクが出た。「共同が10分後に原稿を流すといってるから、そっちを使っていいか?」。「ちょっと待って下さい」といって、電話をつないだまま、再び観戦中の関係者の横に座り込んで再確認して、契約の詳細を電話で吹き込む。次いでパソコンを開いて、バチバチバチと原稿を殴り書きだ。同じように試合を見ていた、他社の記者、通信員たちの携帯も鳴っている。東京のデスクからの電話だろう。

883cb9a7.jpg 結局、後半はほとんど試合を見ないまま、3−2でVVVフェンロの勝利。ひと息ついていると、再び電話が鳴った。Aデスクだ。「お疲れさん、何とか最終版に突っ込んだよ」。
 と労われても、全然うれしくない。敗北感だけが残った。

 というわけで、これが殴り書きした原稿だ。

【アイントホーフェン(オランダ)=原田公樹】サッカーのJ1名古屋グランパスのMF本田圭佑(21)が15日、オランダ1部リーグ、VVVフェンロへ完全移籍することが決まった。契約金なしの2年半契約でさらに1年のオプションがつく。推定年俸は42万ユーロ(約6900万円)で、オランダの規定であるEU(欧州連合)籍外選手の最低年俸38万ユーロを上回る契約となった。
 本田は3日にオランダ入りし、VVVの冬季合宿に参加。日本代表候補合宿を辞退して移籍を目指し、アピールしていた。小野伸二、藤田俊哉、戸田和幸、平山相太に次いで5人目のオランダ1部リーグでプレーする日本人選手が誕生した。


 あとになって気づいたが、本田圭佑は5人目ではなく、6人目だった。もう25年も前のことだから忘れていたが、1982-84年に望月達也さんが、清水東からハーレムへ移籍し、3試合に出場していたのだ。さらにどっ〜と疲労感が…。あぁ取材不足だぁ。


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2008年01月12日

地元紙フィーバー

9015a744.jpg 本田圭佑のVVVフェンロへの移籍が決まるまで、オランダに滞在しようと思っていたが、9日夜、同じ日本五輪代表のMFでジェフユナイテッド千葉の水野晃樹がグラスゴー入りした。もしかしたら11日にもセルティック移籍会見があるかも…。コーキの会見をコーキが落とすわけにはいかない。と変に自分を納得させ、飛行機に飛び乗った。当日予約でしかも片道なので485ユーロ(約7万7000円)なり。とほほっ…。

 ようやく機内でひと息つき、搭乗前に売店で買ったオランダの地元紙を眺めていると、全国紙アルヘメーンダッハブラット(AD)に←のような記事を見つけた。「日本人がフェンロへ押し寄せる」という見出しで、本田くんがオランダメディアでデビューを飾ってるじゃないか。しかもワシがボイスレコーダーを突き出して、取材中の姿も載っておる。

 あとで記事の中身を確認したところ、「小野伸二に続いて平山相太も去り、この地球上から消えたと思った日本人の番記者たちが戻ってきた」というヘンテコな書き出しながら、全体的には好意的な内容らしい。

 このオランダ人記者も、きっと本田のハキハキした態度が気に入ったのだろう。「ケイスケがこの環境に慣れてきていることは、わずかだが、もうオランダ語を話すことからも分かる。誇らしそうにデュルッケン(プレスをかけろ)、リンクス(左)、レックス(右)、エイン(いち)、ツウェイ(にー)、ドゥリー(さん)と話した」と褒めている。

 さらに記事の締めくくりはこうだ。「オランダの料理はどう? と聞いたら彼はこういった。“レッカ(おいしい)!」。

d9552e76.jpg 1時間半後、大雨のグラスゴーに到着した。空港の売店でスコットランド紙を買い漁ると、ほぼ全紙のポーツ面のトップが、水野晃樹じゃないか(→)。写真もデカデカと載り、いきなりスコットランドメディアから洗礼を浴びたようだ。

 見出しに「Koki」「Koki」と踊るのは、わが身のことのようで悪い気はしないが、この期待は晃樹にとってはプレッシャーになるだろう。メディアもファンも、ほとんどの人が晃樹のプレーを見たことがないから、中村俊輔と同レベルの選手、と思っているふしがある。もちろん晃樹は可能性を秘めた選手だが、俊輔は苦労に苦労を重ね、ひと一倍努力してきたから、いまがあるのだ。

 さて、晃樹へも挨拶しておかなきゃ。05年ワールドユースやジェフ千葉、日本代表などの試合後、囲み取材で話をしたことはあるが、ワシの顔は覚えておらんだろう。宿泊ホテルのロビーで待っていると、体力テストを終えて帰ってきた。
 
 つかつかを歩み寄って「原田“コーキ”です。たぶん長いつき合いになると思うのでよろしく。東京中日スポーツで書いてます」と握手をかわした。「あっそうなんですか。トウチュウですか。よろしくお願いします」と晃樹はにこり。楽しみな取材対象がまた増えちゃったなぁ。



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2008年01月10日

もしかして本田圭佑

32067b09.jpg 挨拶をしておこうと思い、本田圭佑がピッチから引き上げてくるのを待ち構え、声をかけた。「原田コーキです。ロンドンから来ました。よろしく」。その瞬間、本田の顔がゆるみ、右手が伸びてきた。

 おぉ、なかなかやるな本田! もちろんこちらも右手を差し出し、握手をかわす。カズ(三浦知良)以来、欧州でプレーしたほとんどの選手を取材して来た。だがこれほど自然に右手が出てきた選手は初めてだ。

 オランダ・エールディビジ(1部リーグ)のVVVファンロへの移籍を目指し、練習に参加している名古屋グランパスのMF本田圭佑の取材をするため、オランダ・デンハーグに来ている。12日にリーグ戦再開を前に、VVVはここで冬季合宿を張っているからだ。

 この日の練習はわりと軽めで、ボール回しのあと、持久力のテストを行って終了した。05年のワールドユースや、日本五輪代表の試合で、本田のプレーは何度か見たことはあるが、取材したことがない。記者たる者、こういう場合はまず挨拶をして、こちらの素性を明かしておくのが礼儀だ。

 だいたい日本人選手はシャイが多い。とくに高校時代から周囲にチヤホヤされた選手は、狭い世界で育ったせいか、こちらが挨拶しても、目を合わさなかったり、口数が少なかったり…。心の扉を開くまでに時間がかかる。

b6af82d1.jpg 日本国内なら、それでもいいが、世界に出たらシャイは犯罪だ。人見知りして、声をかけても貰うのを待っている、なんて言語道断。ちょっと古いけど、高倉健のように「自分、不器用っすから…」なんていうのは、世界では完全に変人なのだ。

 とにかく話題を見つけて自ら進んで周囲に話しかけ、コミュニケーションをとっていかないと、自分で自分の首を絞めることになる。世界では「沈黙は罪なり」なのだ。

 さらにワンステップ上の社交術でカギを握るのはスキンシップ。握手したり、肩を抱いたり、抱擁したり、国によっては同姓でも、相手に頬にキスをすることがある。2回だったり、3回だったり、難しいのだが…。

 そういう点で、カズは別格だった。いままで欧州の各トップリーグでプレーした、約20人の日本人選手のなかで、いや海外に出た日本人のなかでも、抜群に社交術に優れていた。ブラジル、日本、イタリア、クロアチアとプロ選手として渡り歩き、いまなお現役でプレーできているのは、こうした才能が大きな助けになっていると思う。

0f2de190.jpg さて本田の場合も――。きっとチームメイトや周囲の人間に対し、何のためらいもなく、右手が出ているのだろう。第一印象はいい。その後、いくつか質問したが、こちらの目を見ながら、しっかり考えて答えてくれ、なかなかの好印象だ。

 さらにインタビューの最後の言葉が気に入った。
――ホテルでは選手とうまくコミュニケーションとってるの? からかったり、からかわれたりしてる?

「いやぁ、俺が(チームメイトを)からかえる部分はないでしょ(笑)。日本では、俺はからかわれるタイプじゃないかもしれんけど、こっちではからかわれてもいいから、オランダ語を覚えたい、という気持ちが優先してる。積極的に年下の選手とも絡んでいくし、そういうことを気にしてはいけないと思う。日本だと、いろいろしがらみがあるかもしれんけど、こっちだといちいち気にしてられへん(爆)。とりあえず、飛び込んでる。殻を破っていってるもん」
 
 いいぞ、その調子だ。このまま順調にコトが進めば、来週あたりに移籍が正式発表されるかもしれない。もしかして本田圭佑、大化けするかも。


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2008年01月07日

イングランド8部のクラブで初蹴り

96e58665.jpg 初蹴りの日曜日の朝、さわやかな青空が広がっていた。今年初の晴天だ。しかも試合会場に着いてびっくり。立派なメインスタンド付きのスタジアムだったからだ。

 イングランド・イスミアンリーグ・ディビジョンワン・サウス(ライマン・フットボールリーグ・ディビジョンワン・サウス)の最下位で、現在残留争いをしているモレジーFCのスタジアムだという。対戦相手のディットンFCが実質イングランド8部のクラブの本拠地を借りていたのだ。しかもザ・ヘーズ・ルノースタジアムと、しっかりネーミングライツされていて本格的だ。

 イングランドには、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドのプレミアリーグを頂点とする、確固たるピラミッド型のリーグシステムが存在する。実に20部あたりまでしっかり組織されているのだ。

 前日にはFAカップ3回戦で、同じ8部リーグのチェイスタウンが、2部リーグでかつて稲本潤一が所属したカーディフと対戦して注目され、結果は1−3で逆転負けだったが、健闘ぶりが称えられた。だからより歴史と伝統のイングランドサッカーの大きなピラミッドの片隅に立っている、という実感が沸き、無性に気持ちが高揚した。

e5ed0360.jpg だがわが草サッカーチーム、ロンドン・ジャパニーズ(通称ロンジャパ)は現在、選手登録数が51名(マスコット犬を含む)もいる大所帯なのだ。日本へ帰国した選手もいるし、宴会担当の選手もいるが、新年の初蹴りだからなのだろう。志の高い選手が多かった。

 来るわ、来るわ、なんと23人も集まったのだ。チームとしては、いいことなのだが、当然41歳の不動のDFは出番が少なくなる。それでもロンジャパは、ポリシーとして、必ず出場機会が与えられるところがうれしい。

 試合前、監督からの指示は「前半の後半、左サイドバック、原田」というものだった。「はい!」と元気に答える。よかった、ロスタイムを含めれば約25分は出られる。

 前半23分、1−1の場面でピッチへ飛び出した。独特の粘土質のピッチに足をとられながらも、相手の10番をマークしつつ、機会があれば、サイドからオーバーラップをしかける。気持ちだけは…。年末の不摂生がたたって、息が上がるし、思うように身体が動かないし、もういいところはなし。無失点にはおさえたが、ほとんどボールに触れず、前半は終わった。

 後半はサイドライン際から、チームメイトに声をかけて、奮闘を促したが、不可解なPKを取られ、こちらの攻撃はことごとくオフサイド判定で結局2−4の敗北。今年初勝利は持ち越しとなった。

d6054fb0.jpg 試合後はロッカールームに隣接したパブで、両チームが入り乱れてビールを飲み交わす。英国のクラブハウスには、どんな小さなところでも、ちゃんとパブが併設されている。あのプレーがよかった、もう少しこうすればよかった、とお互いに言い合うのだ。これがまた楽しい。

 正直いって、フットボールを取材したり、原稿を書いたり、テレビで見たりするより、やっぱり自分でするのが、一番好きだ。次こそ若手たちから「あのプレーよかったですよ」と言われるよう、明日からまた頑張ろうっと。


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2008年01月06日

職務質問

11dfe982.jpg 動画を撮影していると、こちらをチラチラと見る警官がいた。FAカップ3回戦、トットナム−レディング戦の開始1時間半前、試合会場のホワイトハートレーンの外観を撮影していたときのことだ。そのままカメラをスタジアムへ向けていると、こっちへ近づいてくるではないか(写真左)。

 昨年から、日本の主要サッカー携帯サイトで、「絶対現場主義! スポーツジャーナリスト原田公樹の動画レポート」なるものを配信している。世界各地のフットボールの現場を動画で伝える、という新しい試みだ。

「英語しゃべれる?」
「はい」
「ちょっと話していいかな?」
「どういう意味ですか?」

 英国に住んで9年。はははっ初の路上職質だ。英国の警官は物腰が柔らかい。日本の警官は、たいてい高圧的だが、英国のポリスマンは本当によく教育されていて、紳士的で、外国人にも決して差別的な発言も、態度もとらない。

「サッカーを見に来たの?」
「ええ…」

 逆にやさしい警官の態度が、妙に嫌な気分にさせる。ワシ何も悪いこと、しとらんよなぁ…。と自問自答。

「こうしたスタジアムはテロリストの対象になります。もちろんあなたはテロリストではないと思うし、テロリストには見えないけど、一応、名前を教えてくれるかな?」

a43c3576.jpg と話しながら、おもむろに手帳を取り出す警官…。走って逃げたら、面白い動画が撮れるかも、と頭をよぎる。だがあとが面倒だ。いや、というより、正直そんな勇気はない。記者だ、といってプレスパスを見せようと思ったが、どうせ名前を控えられるのには変わらない。

「コーキ、ハラダ」

 あっ、ちょっとぶっきらぼう過ぎたかな…。

「どこに住んでるの?」
「ノースフィンチリー」
「ご協力ありがとう。試合を楽しんで」

 えっ、それだけ? 警官は笑顔とともに立ち去って行った。別にパスポート見せろ、とか、免許証を見せろとか、国籍はどこだ、とか、一切なし。何だか拍子抜けだ。

 7年ほど前、車で遠出をしたとき、途中で眠くなって、エンジンをかけたまま路肩に車を止めて寝ていたら、警官に起こされ、「寝るならエンジンを止めなさい」と注意されたことがある。日本なら免許証を見せろ、車検証を見せろ、とくるが、まったくなし。

 あのときも拍子抜けしたが、今回はもっとだ。やっぱり走って逃げればよかったかなぁ。


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2008年01月04日

ロンドン初雪の日に

cc693311.jpg 昨年末から忘年会、クリスマスパーティーと飲んで、食べて、歌い続け、体重は2キロ増。明らかに運動不足で、自分で身体が重いのが分かる。6日に我がロンジャパの初蹴りだが、このままだと、動けないどころか、ケガでもするのではないか。

 とはいえ、気温5度の寒いなか、ジョギングをする元気はない。せめて、というわけで近所を散歩することにした。午後2時半、我が家を北へ向かって歩き始め、途中から住宅街へ入り、フットパスと呼ばれる、小道を発見。小雨に濡れながら、ぬかるんだ狭い泥道を歩いていたときのことだ。

 鉛色の空からひらひらと小雪が舞ってくるではないか。今冬のロンドンでの初雪だ。思わずレミオロメンの「粉雪」を口ずさむ。♪こな〜ゆき〜 さびしか知らないからそこだけ…。
 
3641bea9.jpg 並行して走る小川のせせらぎを聞きながら、さらに小道をつき進むと、フットボールピッチが2面ほどある大きなフィールドに出た。このエリアに住んで、8年近くになるが、こんな場所があるなんて知らなかった。

 その外周を歩いていると、小川とフィールドを仕切るフェンスが、ところどころ、切れているではないか(写真)。人が出入りするため? それにしては数が多すぎる。設置したとき、英国らしく適当に工事した? それにしては、隙間がとても意図的だ。???

 分かった。動物が行き来できるようになってるんだ。この周辺は、野生のきつね、うさぎ、りすなどがいっぱい生存している。りすは昼間から頻繁に見かけるし、夜、車を運転していると、大きな尻尾のきつねが道を横切ることがある。

 その昔、人々が寝静まった深夜、通っていたカレッジのフットボールピッチを何百といううさぎが埋め尽くしているのを見たことがある。なんと動物にやさしいフェンスなんだ。ちょっとうれしくなってしまった。

 そこからは一般道をさらに歩いて、ようやく我が家の下に到着。午後4時。約1時間半の散歩は終わった。ちょっと喉が渇いたし、気分もいいし、パブに寄ってから帰ろうっと。


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2008年01月02日

フィルの死を悼んで

fd686379.jpg 今日2日は、本当なら、セルティック-レンジャーズのオールドファームダービーを取材するため、グラスゴーへ出張の予定だった。左ひざのじん帯を痛めている俊輔は、出場しないけど、年明け早々の真剣勝負は楽しみだった。

 ところが12月29日、マザーウェルの主将、MFフィル・オドネルがダンディー・ユナイテッド戦の後半30分すぎにピッチ上で突然倒れ、搬送された病院で死亡。のちに死因は心不全だったことが分かった。まだ35歳。奥さんと2人の娘、2人の息子を残しての若すぎる死だった。

 この非業の死を受け、6日のマザーウェル-セルティック戦などの延期が決まり、追って今日2日のオールドファームダービーの延期も決定された。

 オドネルは94-99年まで、セルティックでプレーしていたため、元チームメートの突然死にショックを受けている選手も多かったからだ。

 リーグを盛り上げるため、2強対決をわざわざお正月のかき入れどきに設定したのに、これを延期するという決断は、商業的にとても難しかったと思う。

 日本では、一度決めたことをやり通すことが美しいとされるし、人の気持ちよりも商業主義が優先されることがしばしばある。そういう国に生まれ育った僕は、改めて英国とは、人の命が重い国だと感じてしまう。

 この延期を受け、セルティックの主将、スティーブン・マクマナスが発表した声明が心に響いた。

「何人かのチームメイトは、フィルの家族ととても親しいつき合いをしており、あのような悲劇のあと、すぐに試合を行うことは相応しくない、と感じています。

 両チームのファン、とくに遠方からこの試合へ来る予定だった人にご迷惑をおかけし、落胆させてしまったことを心から理解いたします。
 
 この延期決定について、私たちはすべてのファンの考えを尊重します。しかしながらこの決断は、唯一の正しい判断だろうと私たちは感じています。

 このような状況下にいる、私たちの心情をファンのみなさんが理解してくれることを望みます」

 ファンの気持ちを思いながらも、チームメイトと残された家族のことを気遣い、はっきりと自分たちの考えを主張しているところに、とても誠実さを感じる。うわべだけで謝ってばかりいる近ごろの日本とは違う、とても英国らしい声明だ。
 

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2008年01月01日

2008年 新たなるスタート

b8458a5f.jpg新年明けまして、まことにおめでたいことでございます。
みなさんご無沙汰です。久々の更新です。

2007年はどんな年だったか、振り返ろうと思ったら、なかなか思い出せない。
前半は俊輔がセルティックで大活躍し、夏はアジアカップでベトナムへ(ここでブログはストップ)。秋は2度も風邪を引いて寝込み、冬はパーティー三昧の日々…。

真面目にブログを書いておけば、すぐに1年を振り返ることができたのに。

年も明けたし、今年こそはブログをマメに更新しようかな、と意気込んでいます。
三日坊主で終わるかもしれませんが…。

今年もひとつよろしくお願いします。

2008年(平成20年)元旦

原田公樹




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2007年07月13日

バイクの3人乗りは当たり前〜ベトナム・ハノイから

4662e4ff.JPG アジアカップ取材のため、ベトナムのハノイへ来ている。この街は、毎日毎日、驚きの連続だ。まずノイバイ空港に到着して、タクシーでホテルへ向かう道すがら、びっくりしたのが、オートバイの数の多さ。スクーターやスーパーカブ、いやあれはスズキ・バーディーだ。べスパもいるし、アメリカンタイプ…。今日は何かオートバイのフェスティバルでもあるのか!?

 中国で自転車の数に驚き、オーストラリアではハエの多さに腰を抜かしたワシじゃが、こりゃ、はるかの想像の域を脱しておる。都心部に近づけば、近づくほど、バイクの数は増え、車1台に対し、オートバイは100台の割合か。しかもベトナムにゃ、交通マナーちゅうものがない。信号無視、逆走、オートバイの3人乗り、4人乗り(さすがにまだ5人乗りは見ていないけど…)。そのうえ2人乗り、3人乗りをしながら、運転手が携帯電話をかけたり、携帯メールを打ったりしとる。もう見ているほうが、肝を冷やすのだ。

 だからタクシーやバスは、常にクラクションを鳴らしながら、オートバイの群れの間をぬうようにして走り、それに負けじとオートバイたちもピー、ピー鳴らしながら走る。このクラクションは、「どけ、どけ」という意味ではなく、「私、近づいてるよ、気をつけて」という意味なのだろう。

ハノイの冒険 そんな大混乱の道を渡る歩行者はもっと大変じゃ。危険すぎて、一歩が踏み出せないでいると、地元ベトナム人たちは、左右を見ながら、うまく渡って行く。しばらく様子を見ていると、車が途切れたとき、一定のスピードで歩き始め、そのまま歩き続けると、オートバイのほうがよけて行くではないか。

 だが例え、突っ込んで来るオートバイがいたとしても、決して立ち止まっていけない。止まったり、走ったりすると、別のオートバイが目測を誤って、ひかれる可能性があるからだ。なるほど、コツを心得ると、意外に簡単じゃないか。

 となると、次はオートバイに乗りたくなるのが、このワシの性分。一緒のホテルに泊まっている、岩崎先輩に言ってみた。「乗ってみませんか?」。しかし「おい、俺たちは取材で来てるんだぞ。ケガしたらどうすんだ」。それも、そうか…。



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